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特開2024-155125太陽電池パネル固定補助金具、支持金具および設置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155125
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】太陽電池パネル固定補助金具、支持金具および設置構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20180101AFI20241024BHJP
   H02S 20/24 20140101ALI20241024BHJP
【FI】
E04D13/18 ETD
H02S20/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069565
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】509196556
【氏名又は名称】アイユーソーラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】友野 収
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108MM08
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】太陽電池パネルのフレームの裏面板を補強して、支持金具に対する固定強度の向上をはかる。
【解決手段】太陽電池パネル13のフレーム13aにおける裏面に接する下片42と、外側面に接する縦片43と、これら下片42と縦片43がそれぞれフレーム13aの裏面と外側面に接したときにフレーム13aの表面を押さえる上片44を一体に備える。下片42には、フレーム13aの裏面を構成する裏面板17と太陽電池パネル13を支持する支持金具31の受け片34を貫通する固定ボルト14が挿入される固定穴42aを形成し、固定穴42aの大きさを固定ボルト14の太さに対応する大きさとする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルのフレームにおける裏面に接する下片と、外側面に接する縦片と、これら下片と縦片がそれぞれフレームの裏面と外側面に接したときにフレームの表面を押さえる上片を一体に備え、
前記下片には、フレームの裏面を構成する裏面板と太陽電池パネルを支持する支持金具の受け片を貫通する固定ボルトが挿入される固定穴を形成し、
前記固定穴が前記固定ボルトの太さに対応する大きさである
太陽電池パネル固定補助金具。
【請求項2】
前記上片が、前記下片と平行に延びる平板形状である
請求項1に記載の太陽電池パネル固定補助金具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の太陽電池パネル固定補助金具を備えた
太陽電池パネル支持金具。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の前記支持金具を用いて太陽電池パネルを設置する太陽電池パネル設置構造であって、
前記支持金具が、板材で形成されて、長手方向の一端部から、設置面に接地する接地片と、前記接地片の一端から起立する起立片と、前記起立片の上端から張り出して太陽電池パネルを受け前記受け片を有しており、
前記受け片と前記裏面板に形成される前記固定ボルトを挿通する挿通穴が、前記固定ボルトの太さに対応する大きさであり、
前記接地片の上に、前記接地片よりも幅広の厚板状重錘体からなる押さえ部材を重ねて、前記接地片を押さえつけた状態で前記設置面に対して接着固定する
太陽電池パネル設置構造。
【請求項5】
前記押さえ部材が、裏面に前記接地片の全体を嵌める凹溝を有し、側面に前記起立片に沿う起立面を有する形状である
請求項4に記載の太陽電池パネル設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池パネルの固定に用いられる金具と、これを用いた設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネルの外周縁を囲むフレームの裏面には、太陽電池パネルの固定に用いることができる固定穴が形成されているので、この固定穴を用いてボルト締めによってフレームを支持金具に固定することがある。固定穴は、フレームの裏面を構成する裏面板に形成されており、固定穴を利用した固定ではフレームの裏面板のみが支持金具に結合される。
【0003】
ところが、一般にフレームの裏面板は、下記の特許文献1に開示されているように、フレームの外側面を構成する外側面板よりも厚みが薄い。
【0004】
このため、設置時において負圧が作用するなどして過負荷がかかると、裏面板の基部に荷重が集中して、裏面板が損傷するおそれがある。
【0005】
より高い固定強度を得るためには、特許文献2の図14に開示されているように、太陽電池パネルの縁を上面から押さえ込む係止金具を用いることがある。係止金具は側面視逆L字状に形成されており、短冊状の本体部と、本体部の上端で横に曲がる係止片で構成されている。係止片が太陽電池パネルの縁に係止して押さえ込む部分であり、本体部が支持金具に沿わせて固定される。本体部には固定のため、上下方向に長い長穴が形成されている。すなわち、係止金具を上から下に降ろして、係止片が太陽電池パネルの縁を押さえ込んだ時点で本体部を支持金具に緊結することによって、固定状態が維持される。
【0006】
しかし、係止金具は長穴を介して支持金具に固定されるので、太陽電池パネルに上方への過度な負荷が作用して上方へ移動しようとする力が作用すると、支持金具による押さえつけが緩むおそれがある。緩むと裏面板に負荷が集中することになる。裏面板が損傷して固定状態が維持できなければ、支持金具を設置面に対して強固に固定できたとしても意味がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-78261号公報
【特許文献2】特開2022-107206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、高い設置強度を得るため、フレームを補強して、支持金具に対する固定強度の向上をはかることを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、この発明は下記の太陽電池パネル固定補助金具を提供する。すなわち、太陽電池パネル固定補助金具は、太陽電池パネルのフレームにおける裏面に接する下片と、外側面に接する縦片と、これら下片と縦片がそれぞれフレームの裏面と外側面に接したときにフレームの表面を押さえる上片を一体に備えている。下片には、フレームの裏面を構成する裏面板と太陽電池パネルを支持する支持金具の受け片を貫通する固定ボルトが挿入される固定穴を形成している。そして、固定穴は固定ボルトの太さに対応する大きさである。
【0010】
この構成では、下片がフレームの裏面に重なり合って裏面板の強度を補う。同時に下片は、固定ボルトの太さに見合った固定穴で相対移動不可に固定されることが可能であり、支持金具の受け板とフレームの裏面板との間に挟み込まれて、締め付けられる。これによって、縦板がフレームの外側面に対して面接触して規制し、上片がフレームの表面を押さえ込む。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、フレームの裏面と外側面と表面に合わせて下片と縦片と上片を有し、少なくとも下片と縦片を面接触させて、その下片を締め付けてフレームの形状を保つように補強する構成であるので、荷重を良好に分散してのフレームの補強が実現できる。この結果、支持金具に対する固定強度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】太陽電池パネル設置構造の斜視図。
図2】太陽電池パネル設置構造の要部の断面図。
図3】固定補助金具と支持金具の斜視図。
図4】固定補助金具と支持金具の斜視図。
図5】太陽電池パネルに対する支持金具の固定作業を示す断面図。
図6】押さえ部材を用いた固定状態を示す斜視図。
図7】他の押さえ部材を用いた固定状態を示す斜視図。
図8】別態様に係る太陽電池パネル設置構造の要部の断面図。
図9】別の態様に係る支持金具を用いた太陽電池パネル設置構造の斜視図。
図10図9の側面図。
図11】要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0014】
図1に、太陽電池パネル設置構造11(以下、「設置構造」という)の斜視図を示す。この設置構造11は、建物の屋上や陸屋根、舗装表面など平らな設置面12に太陽電池パネル13を設置するのに適したものである。2個で一組の太陽電池パネル支持金具31(以下、「支持金具」という)と、太陽電池パネル固定補助金具41(以下、「固定補助金具」という)を用いて設置面12の上方に太陽電池パネル13を支持する。
【0015】
支持金具31は、太陽電池パネル13を設置面12に対して平行に、または傾けて支持するものであり、一側(傾斜下側)の支持金具31aと、他側(傾斜上側)の支持金具31bの2種類がある。いずれの支持金具31も板材で形成されており、一定幅の金属板をプレス加工して形成されている。
【0016】
太陽電池パネル13を設置面12に対して平行に、つまり傾斜角度を0度とする場合の一側の支持金具31aと他側の支持金具31bは互いに同一形状である。
【0017】
この例では、太陽電池パネル13を傾けて設置する例を説明する。
【0018】
傾斜下側の支持金具31aは、図2にも示したように、長手方向の一端部から、設置面12に接地する接地片32と、接地片32の一端から起立する起立片33と、起立片33の上端から張り出して太陽電池パネルを受ける受け片34を有している。
【0019】
接地片32の長手方向の端、つまり起立片33と反対側の端には、起立片33と同様に垂直に起立する起立端部32aを有している。この起立端部32aは接地片32の上面に適宜の物体を置いたときに引っかかりとなり得る程度の高さに形成される。
【0020】
起立片33の高さは極力低く設定される。これは、支持した太陽電池パネル13が受ける風による影響を低減するためである。
【0021】
受け片34の張り出し方向は、接地片32とは反対側である。この支持金具31は、傾斜下側の支持金具31aであるので、受け片34と起立片33との間の角度が90度に所望の傾斜角度を加算した鈍角である。
【0022】
受け片34の中央部には、図3に示したように、厚み方向に貫通した平面視円形の挿通穴34aが形成されている。この挿通穴34aは、太陽電池パネル13を固定するため固定ボルト14(図2参照)を挿通する部分である。挿通穴34aの大きさは固定ボルト14の太さに対応している。
【0023】
傾斜上側の支持金具31bは、基本的に傾斜下側の支持金具31aと同じ構造である。相違する点は、起立片33の高さと、受け片34の傾斜方向である。すなわち、傾斜上側の支持金具31bの起立片33は、傾斜下側の支持金具31aのそれよりも太陽電池パネル13の傾斜方向の長さを考慮したぶん長く形成されている。また、受け片34は、図2図4に示したように斜め下に向けて形成され、受け片34と起立片33との間の角度は、90度から所望の傾斜角度を減算した鋭角である。
【0024】
前述のように支持金具31は一定幅の金属板で構成されているので、製造に際して歩留りがよいうえに、運搬や保管の際にコンパクトにできるので取扱い性もよい。
【0025】
固定補助金具41は、太陽電池パネル13のフレーム13aにおける長手方向の一部に嵌まる構造である。
【0026】
ここで、フレーム13aの断面形状について説明する。フレーム13aは、図2に示したように、フレーム13aの表面を構成する表面板15と、外側面を構成する外側面板16と、裏面を構成する裏面板17を有している。表面板15の下方には、表面板15と平行な仕切り板18が形成され、表面板15と仕切り板18との間に太陽電モジュール13bが保持されている。仕切り板18と裏面板17との間には、固定ボルト14が入る大きさの空間が形成されている。裏面板17は、その長手方向の所定位置に、固定ボルト14の太さに対応する大きさで平面視円形の挿通穴17aを有している。
【0027】
固定補助金具41は、このようなフレーム13aにおける裏面に接する下片42と、外側面に接する縦片43と、これら下片42と縦片43がそれぞれフレーム13aの裏面と外側面に接したときにフレーム13aの表面を押さえる上片44を一体に備えている。上片44は下片42と平行に延びる平板形状である。
【0028】
この固定補助金具41も、支持金具31と同じく、一定幅の金属板をプレス加工して形成されている。固定補助金具41の幅は、支持金具31と同じである。
【0029】
下片42と上片44は、平面視形状が方形であり、縦片43からの突出長さについて、下片42はフレーム13aの裏面板17の内外幅よりも長く形成される一方、上片44は、フレーム13aの表面板15の内外幅と同一か、それよりも若干短く形成されている。
【0030】
そして、図3図4に示したように、下片42は、フレーム13aの裏面を構成する裏面板17と支持金具31の受け片34を貫通する固定ボルト14が挿入される固定穴42aを有している。固定穴42aは平面視円形であり、固定ボルト14の太さに対応する大きさである。
【0031】
固定穴42aと挿通穴17a,34aの形成位置は、互いの穴を重ね合わせたときに、固定補助金具41の縦片43の内面がフレーム13aの外側面に面接触し、縦片43が支持金具31の起立片33の上方に位置するように設定される。
【0032】
固定補助金具41は、フレーム13aにおける挿通穴17aを有する部分にクリップのように嵌めて取り付けられ、フレーム13aにおける固定補助金具41が取り付けられた部分が支持金具31に固定される。そして、支持金具31は、設置面12に対して接着剤G(図2参照)によって固定される。すなわち、太陽電池パネル13の設置作業に際しては、まず、固定補助金具41を嵌めた太陽電池パネル13の裏面に受け片34を固定したのち、つぎに、接地片32を設置面12に対して接着固定する。
【0033】
太陽電池パネル13に対する受け片34の固定では、まず、図5に示したように、裏返した太陽電池パネル13のフレーム13aにおける挿通穴17aが形成されている部分に固定補助金具41を嵌める。このとき、固定補助金具41の固定穴42aとフレーム13aの挿通穴17aを合わせる。つぎに、フレーム13aの裏面板17から挿通穴17aと固定穴42aに固定ボルト14を挿通し、この固定ボルト14に支持金具31の受け片34の挿通穴34aを挿嵌して、固定ボルト14にナット14aを締結する。これによって、フレーム13aと固定補助金具41と支持金具31を結合一体化する。このとき、支持金具31の接地片32が太陽電池パネル13の外側に出る向きに向けられる。
【0034】
なお、図5は傾斜下側の支持金具31aを示しており、図示しない傾斜上側の支持金具31bの場合も図5と同様である。
【0035】
支持金具31が例えば図1に示したように四隅に近い部分に固定された太陽電池パネル13は、支持金具31を下に向けた姿勢に反転されて、接地片32が接着固定される。
【0036】
この設置構造11では、設置面12に固定された支持金具31の接地片32の上に押さえ部材51を重ねて接着固定することができる。
【0037】
押さえ部材51は、接地片32の幅よりも幅広で大面積のものである。その一例として、図1図6に示したようなシート状の押さえ部材51aがある。
【0038】
シート状の押さえ部材51aは、1枚の薄い板または紙状であって、十分な強度を有する材料で形成される。その材料は、柔軟性を有して面に応じて変形可能なものであるほか、設置面12に接触させてもその表面に追従して変形しない硬質のものであってもよい。
【0039】
この例の押さえ部材51aは、金属板で構成されており、硬質である。金属板としては、耐候性の点からアルミ合金が好適に使用できる。金属板の厚さは、支持金具31を構成する金属板の厚さよりも薄い、0.5mm程度から1.5mm程度であるとよい。
【0040】
押さえ部材51aは、幅方向の中間に支持金具31の接地片32を押さえつける押さえ面部52を有し、押さえ面部52の左右両側に設置面12に対して接着される接着面部53を有している。押さえ面部52と接着面部53との間には段差54が形成されている。
【0041】
具体的には、押さえ部材51aの平面視形状は方形状であり、接地片32の長手方向(縦方向)と直交する方向(横方向)に長い長方形である。そして、押さえ面部52の長さ、換言すれば押さえ部材51の短手方向(縦方向)の長さは、支持金具31の接地片32に対応する長さである。このため、押さえ部材51aにおける2本の長辺のうち一方が起立片33または起立端部32aに接する対向辺55となり、他方が起立端部32aまたは起立片33に接する対向辺55となる。
【0042】
押さえ部材51の他の例として、図7に示したような厚板状重錘体からなる押さえ部材51bがある。この押さえ部材51bは、たとえばコンクリートからなり、シート状の押さえ部材51aと同様に平面視方形に形成されている。支持金具31の接地片32の長手方向に対応する方向(縦方向)の辺の長さは接地片32の長さに対応しており、これと直交する方向(横方向)の長さは、所望の接着面積が得られる長さに設定されている。押さえ部材51bの厚さは、所望の重量を得られるように設定される。
【0043】
裏面における横方向の中間位置には、接地片32の全体を嵌める凹溝56が形成されている。凹溝56の深さは接地片32の厚みと対応する。凹溝56の天井面が前述の押さえ面部52と同じであり、凹溝56より左右両側の部分が前述の接着面部53と同じである。
【0044】
前述のように縦方向の長さが接地片32の長さに対応しているので、押さえ部材51bの縦方向両端における2つの側面のうち、一方が起立片33または起立端部32aに沿う起立面57となり、他方が起立端部32aまたは起立片33に沿う起立面57となる。起立面57は、起立片33または起立端部32aに接するのが好ましい。
【0045】
接着に際しては、押さえ部材51の下面における押さえ面部52を除く全体に接着剤が塗布され、押さえ面部52を接地片32に重ねるようにして設置面12に対する接着がなされる。接着剤は、接地片32と押さえ部材51の間にも塗布することができる。
【0046】
押さえ部材51の接着によって、押さえ部材51が接地片32を設置面12に押さえつけた状態で、接地片32よりも幅広い範囲に接着層が形成される。
【0047】
押さえ部材51は、すべての支持金具31の接地片32に対して固定するとよいが、特に風圧を受ける箇所や設置面12に不陸がある部分など、現場の状況に応じて部分的に固定を行ってもよい。
【0048】
このようにして構成された設置構造11では、支持金具31の接地片32が接着剤Gによる接着力によって設置面12に固定されている。押さえ部材51が接着固定された支持金具31は、より強力に設置面12に対して固定される。
【0049】
太陽電池パネル13に上から荷重がかかると、その荷重はフレーム13aを介して、固定補助金具41と固定ボルト14と支持金具31に分散されつつ支持される。固定補助金具41の下片42と縦片43と上片44がすべてフレーム13aの外面(表面、外側面および裏面)に接触しており、その下片42が固定ボルト14によって受け片34に対して強硬に結合されているので、固定強度は高い。
【0050】
強風等で負圧が作用した場合も、固定ボルト14によって結合一体化された固定補助金具41と支持金具31が荷重を支える。このとき、固定補助金具41の下片42は、フレーム13aの裏面に重なり合って裏面板17の強度を補う。しかも、下片42の固定穴42aは、フレーム13aや支持金具31の挿通穴17a,34aと同じで固定ボルト14の太さに見合った大きさであるので、固定補助金具41は他の部材と相対移動不可に固定される。このため、下片42は、フレーム13aと受け片34に挟み付けられて強固な結合がなされて、下片42に一体の縦片43がフレーム13aの外側面に面接触して規制し、上片44がフレーム13aの表面を押さえ込んで、フレーム13aの形状を補強する。この結果、固定補助金具41がなければフレーム13aの裏面板17の基部に集中する荷重を全体に分散して、裏面板17にかかる荷重を低減する。
【0051】
しかも、上片44が下片42と平行に延びる平板状であるので、固定補助金具41の内面がすべてフレーム13aの外面に接触する構造となる。このため、フレーム13aの一部のみに負荷を集中させることなく、フレーム13aの補強ができる。
【0052】
このようにフレーム13aが補強されるので、固定強度を向上できる。
【0053】
そして、固定補助金具41がこのような構造であるので、太陽電池パネル13の支持角度がどのような角度であろうとも、従来のように係止金具の係止片で上から押さえようとした場合とは異なり、一部に荷重を集中させることなく、同様に強固な固定が行える。
【0054】
また、固定補助金具41を用いたフレーム13aの固定が強固に行えるため、支持金具31の接地片32の接着部分にかかる負荷は増大する。しかし、押さえ部材51を接着固定して接地片32の取付け強度を補強すれば、太陽電池パネル13の設置強度を全体としてバランスよく向上することができる。
【0055】
特に、押さえ部材51が厚板状重錘体からなる場合、凹溝56が接地片32との位置関係を積極的に規制するうえに、起立面57が支持金具31の変形を積極的に抑制するので、より強固な固定状態が得られる。
【0056】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0057】
たとえば、図1図2で示した例においては支持金具31の接地片32が太陽電池パネル13の外側に出る向きに向けたが、それとは逆に、図8に示したように太陽電池パネル13の内側に入る向きに向けてもよい。この場合には、太陽電池パネル13の設置枚数を増やして設置面12を有効利用できる。
【0058】
固定補助金具41の上片44は、全体が下片42と平行で平板状であるほか、下片42と平行な部分が一部にある形状であってもよい。また、固定補助金具41は、複数本の固定ボルト14で固定するものであってもよい。
【0059】
先の例において支持金具31は、1枚の金属板で構成したが、複数の部材を結合して構成してもよい。
【0060】
支持金具31は、フレーム13aの裏面を留めつける受け片34、またはこれに準じた構成があるものであれば、その形状や設置態様は問わない。
【0061】
図9は、他の例に係る支持金具31を用いた設置構造11の斜視図であり、図10は、その断面図である。この支持金具31の説明において、前述と同様の構成については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0062】
支持金具31は設置面12に載置される重錘19に取り付けられるものであって、重錘19は設置面12に対して接着剤Gによって固定される。
【0063】
まず、重錘19について説明する。重錘19には、既製のものが使用され、図示したように、コンクリート二次製品のなかでも空洞を有した建築用のコンクリートブロックが好適に使用できる。コンクリートブロックからなる重錘19は、上面と下面が所定大の方形をなす塊状であって、所定厚さの厚み方向の中間部に、一方向に貫通した1個以上の空洞19aを有している。つまり、上面と下面の一方向の平らな両側面に空洞19aが開口している。
【0064】
つぎに、支持金具31について説明する。支持金具31は、重錘19に固定される固定部35を下部に有し、太陽電池パネル13のフレーム13aを受ける受け片34を上部に有している。
【0065】
この例の支持金具31は、重錘19を締め付ける方向に組み合わされる対をなす主金具担体36と従金具担体37で構成されている。重錘19を締め付ける方向とは、重錘19の空洞19aが延びる方向である。
【0066】
傾斜下側の支持金具31aと傾斜上側の支持金具31bは、この例においても前述と同様で、一定幅の金属板をプレス加工して形成されており、基本的に同じ構造である。
【0067】
主金具担体36は、長手方向の一端部から、設置面としての重錘19の上面に接地する接地片32と、接地片32の一端から起立する起立片33と、起立片33の上端から張り出して太陽電池パネル13を受け片34を有している。重錘19に取り付けるものであるため、接地片32の端には、重錘19の空洞19aより上側の部分19bを厚み方向に挟み付けるための側面視L字型をなす挟持挿入片38が一体形成されている。また接地片32の長さは、重錘19の空洞19aが延びる方向の長さの半分である。
【0068】
従金具担体37は、主金具担体36と同様に、挟持挿入片38と接地片32と起立片33を有している。起立片33は、主金具担体36の起立片33に重なり合う部分であり、主金具担体36の起立片33よりも短く形成されている。
【0069】
主金具担体36と従金具担体37の起立片33には、図11に示したように、両者を結合するための締結ボルト39を挿入する貫通穴33aが形成されている。
【0070】
また、この支持金具31においては、図11に示したように、太陽電池パネル3のフレーム13aにおける裏面板17の上にのせる座金部材14bが用いられる。座金部材14bは、フレーム13aとの関係で回り止め可能な大きさの平面視方形状であり、固定ボルト14の太さに見合った大きさの貫通穴14cを中央に有している。
【0071】
固定補助金具41は、前述例と同じ構造である。
【0072】
なお、図11には、傾斜下側の支持金具31aのみを図示して傾斜上側の支持金具31bの詳細の図示を省略しているが、傾斜上側の支持金具31bは傾斜下側の支持金具31aと同様である。
【0073】
このように構成された支持金具31では、図11に示したように、座金部材14bと、フレーム13aの裏面板17と、固定補助金具41の下片42と、支持金具31の受け片34が互い重なり合って締結されており、フレーム13aの補強がなされる。そして、重錘19は、その自重と接着剤Gの接着力によって設置面12に対する設置状態が維持される。
【符号の説明】
【0074】
11…太陽電池パネル設置構造
12…設置面
13…太陽電池パネル
13a…フレーム
14…固定ボルト
17…裏面板
17a…挿通穴
31…太陽電池パネル支持金具
32…接地片
33…起立片
34…受け片
34a…挿通穴
41…固定補助金具
42…下片
42a…固定穴
43…縦片
44…上片
51…押さえ部材
56…凹溝
57…起立面
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10
図11