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特開2024-155130設計支援システム、設計支援方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155130
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】設計支援システム、設計支援方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20241024BHJP
   G06F 30/28 20200101ALI20241024BHJP
   G06F 113/14 20200101ALN20241024BHJP
   G06F 113/08 20200101ALN20241024BHJP
【FI】
G06F30/18
G06F30/28
G06F113:14
G06F113:08
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069572
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】西本 舞
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA03
5B146DG02
5B146DJ03
5B146DJ14
(57)【要約】
【課題】配管システムの設計の最適化及び容易化を可能にする設計支援システム、設計支援方法、及び、プログラムを提供する。
【解決手段】設計支援システムは、表示装置22a及び入力装置21に接続される演算回路25を備える。演算回路25は、表示装置22aにより、配管システムの配管形式に関する第1情報及び配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報D1の入力のための入力画面を表示し、入力装置21により、入力情報D1の入力を受け付け、表示装置22aにより、入力情報D1に基づいて、配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報D2を提示する出力画面を表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置及び入力装置に接続される演算回路を備え、
前記演算回路は、
前記表示装置により、配管システムの配管形式に関する第1情報及び前記配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報の入力のための入力画面を表示し、
前記入力装置により、前記入力情報の入力を受け付け、
前記表示装置により、前記入力情報に基づいて、前記配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報を提示する出力画面を表示する、
設計支援システム。
【請求項2】
前記第1情報は、前記配管形式に関連付けられたカテゴリ変数を含み、
前記第2情報は、前記管径を示す離散変数、又は、前記管径に関連付けられたカテゴリ変数を含む、
請求項1の設計支援システム。
【請求項3】
前記入力画面は、前記第1情報に関して、互いに異なる複数の配管形式から一つを選択するための領域を含む、
請求項1の設計支援システム。
【請求項4】
前記複数の配管形式は、第1配管形式と、第2配管形式と、を含み、
前記第1配管形式は、建物からの雨水の落とし口と竪樋の中心軸が一致する雨樋システムの配管形式に対応し、
前記第2配管形式は、建物からの雨水の落とし口と竪樋の中心軸が一致しない雨樋システムの配管形式に対応する、
請求項3の設計支援システム。
【請求項5】
前記入力画面は、前記第2情報に関して、互いに異なる複数の管径から一つを選択するための領域を含む、
請求項1の設計支援システム。
【請求項6】
前記入力情報は、前記第3情報を含み、
前記出力情報は、前記入力情報に含まれる前記第3情報に対応する排水能力を含む、
請求項1の設計支援システム。
【請求項7】
前記第3情報は、前記高さを示す連続変数である、
請求項6の設計支援システム。
【請求項8】
前記第1情報で特定される前記配管システムの配管部材による圧力損失の和に対応する係数をΣd、
前記第1情報で特定される前記配管システムの長さをL、
前記第2情報で特定される前記配管システムの管径をd、
前記第3情報で特定される前記配管システムの高さをh、
重力加速度をg、
前記配管システムの下流側開放点における流速をVとすると、
は、
【数1】
を満たすように決定され、
前記配管システムの下流側開放点における流量の理論値をQとすると、
は、
【数2】
を満たすように決定され、
前記排水能力は、Qに基づいて決定される、
請求項1の設計支援システム。
【請求項9】
前記排水能力を示す流量をQとすると、
は、a×Qで表され、
aは、前記配管システムの下流側開放点における流量の理論値及び実測値に基づいて決定される、
請求項8の設計支援システム。
【請求項10】
前記出力情報は、前記第1情報と前記第2情報との組み合わせにおける、前記第3情報と前記排水能力との対応関係を含む、
請求項1の設計支援システム。
【請求項11】
前記出力画面は、前記対応関係を表形式で提示する、
請求項10の設計支援システム。
【請求項12】
前記出力画面は、前記対応関係をグラフ形式で提示する、
請求項10の設計支援システム。
【請求項13】
前記演算回路は、ウェブブラウザにより前記入力画面及び前記出力画面の表示を行う、
請求項1の設計支援システム。
【請求項14】
前記第1情報は、前記配管形式と、前記配管形式で用いられる1以上の配管部材の情報と、を含む、
請求項1の設計支援システム。
【請求項15】
表示装置及び入力装置に接続される演算回路により実行され、
前記表示装置により、配管システムの配管形式に関する第1情報及び前記配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報の入力のための入力画面を表示し、
前記入力装置により、前記入力情報の入力を受け付け、
前記表示装置により、前記入力情報に基づいて、前記配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報を提示する出力画面を表示する、
設計支援方法。
【請求項16】
請求項15の設計支援方法を、前記演算回路に実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設計支援システム、設計支援方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、サイフォンの原理を利用する雨水排水構造を開示する。特許文献1は、雨水を溜める水溜り部に設けられた排水口と、前記排水口から雨水を排出する為の排水管とを有し、サイフォンの原理による排水を行なう雨水排水構造において、前記水溜り部の高さは、排水管の水封トラップを含む逆勾配により生じる水頭の総和よりも高いことを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-139659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配管システムの排水能力は、配管システムが設置される建物の規模、建物の周囲環境等に応じて適切な範囲で設定されることが好ましい。一般に、建物の規模が大きいほど、より大きな排水能力が求められる。建物の建設予定地が比較的降雨量が多い土地である場合にもより大きな排水能力が求められる。
【0005】
特許文献1は、排水の流量を計算する方法をいくつか開示する。しかしながら、排水の流量の計算には、専門的な知識を必要とし、専門知識を持たないユーザが排水の流量を計算することは難しい場合が多い。
【0006】
そのため、従来、配管システムの設計にあたっては、配管システムに用いる配管部材のカタログ等に記載の排水能力を参考にしていた。しかしながら、配管システムの実際の排水能力は、カタログ等に記載の排水能力よりも高かったり、低かったりする場合がある。そして、配管システムの実際の排水能力が必要な排水能力に満たない場合には、配管システムから雨水等が溢れるオーバーフロー等の問題が生じる可能性がある。一方で、このようなオーバーフロー等を避けるために、配管システムの排水能力に余裕をもたせて設計した場合には、配管システムの実際の排水能力が必要な排水能力に対して過剰になることがある。このような場合、結果として、配管システムに無駄なコストをかけていたことになる。
【0007】
本開示は、配管システムの設計の最適化及び容易化を可能にする設計支援システム、設計支援方法、及び、プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様にかかる設計支援システムは、表示装置及び入力装置に接続される演算回路を備え、演算回路は、表示装置により、配管システムの配管形式に関する第1情報及び配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報の入力のための入力画面を表示し、入力装置により、入力情報の入力を受け付け、表示装置により、入力情報に基づいて、配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報を提示する出力画面を表示する。
【0009】
本開示の一態様にかかる設計支援方法は、表示装置及び入力装置に接続される演算回路により実行され、表示装置により、配管システムの配管形式に関する第1情報及び配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報の入力のための入力画面を表示し、入力装置により、入力情報の入力を受け付け、表示装置により、入力情報に基づいて、配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報を提示する出力画面を表示する。
【0010】
本開示の一態様にかかるプログラムは、上記の設計支援方法を、演算回路に実行させるための、プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示の態様は、配管システムの設計の最適化及び容易化を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1にかかる設計支援システムのブロック図
図2】実施の形態1にかかる設計支援システムの情報端末のブロック図
図3】実施の形態1にかかる設計支援システムの処理装置のブロック図
図4】配管システムの第1配管形式の概略図
図5】配管システムの第2配管形式の概略図
図6】配管システムの第1配管形式の計算モデルの説明図
図7】配管システムの高さと流量との関係を示すグラフ
図8】配管システムの第2配管形式の計算モデルの説明図
図9】実施の形態1にかかる設計支援システムで表示される画面の一例の説明図
図10】変形例1にかかる設計支援システムで表示される画面の一例の説明図
図11】変形例2にかかる設計支援システムで表示される画面の一例の説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.実施の形態]
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0014】
上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施の形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0015】
なお、以下の説明において、複数ある構成要素を互いに区別する必要がある場合には、「第1」、「第2」等の接頭辞を構成要素の名称に付すが、構成要素に付した符号により互いに区別可能である場合には、文章の読みやすさを考慮して、「第1」、「第2」等の接頭辞を省略する場合がある。
【0016】
[1.1 構成]
図1は、一実施の形態にかかる設計支援システム1のブロック図である。設計支援システム1は、配管システムの設計の支援のために用いることができる。配管システムは、サイフォン現象を利用して排水を行うように設計される。配管システムは、例えば、雨樋システムである。雨樋システムは、建物からの雨水を地面のます部に流すために用いられる。建物は、例えば、店舗、オフィス、工場、ビル、学校、福祉施設又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は戸建住宅若しくは集合住宅の各住戸等の住宅施設の建物である。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含む。
【0017】
図1に示すように、設計支援システム1は、情報端末2-1,2-2,…,2-n(以下、総称して符号2を付す)と、処理装置3と、を備える。
【0018】
情報端末2は、通信ネットワーク4を介して、処理装置3に通信可能に接続可能である。通信ネットワーク4は、インターネットを含み得る。通信ネットワーク4は、単一の通信プロトコルに準拠したネットワークだけではなく、異なる通信プロトコルに準拠した複数のネットワークで構成され得る。通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。有線通信規格の例としては、イーサネット(登録商標)等の規格が挙げられる。無線通信規格の例としては、IEEE802.11、4G、又は5G等の規格が挙げられる。通信ネットワーク4は、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。
【0019】
設計支援システム1では、情報端末2は、配管システムに関する入力情報D1の入力に用いられる。情報端末2に入力された入力情報D1は、通信ネットワーク4を介して、処理装置3に送信される。処理装置3は、入力情報D1を用いて配管システムに関する出力情報D2を生成する。処理装置3で生成された出力情報D2は、通信ネットワーク4を介して、入力情報D1の送信元の情報端末2(図1では、情報端末2-1)に送信される。情報端末2は、出力情報D2を提示する。
【0020】
図2は、情報端末2のブロック図である。情報端末2は、配管システムに関する入力情報D1の入力、及び、配管システムに関する出力情報D2の提示に用いられる。図1に示すように、情報端末2-1,2-2,…,2-nは、ユーザ5-1,5-2,…,5-n(以下、総称して符号5を付す)により操作される。ユーザ5は、例えば、配管システムの施工業者である。
【0021】
情報端末2は、入力装置21と、出力装置22と、通信装置23と、記憶装置24と、演算回路25と、を備える。情報端末2は、例えば、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、)、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末等)等により実現され得る。
【0022】
入力装置21は、情報入力のための1以上のヒューマン・マシン・インターフェースを備える。ヒューマン・マシン・インターフェースの例としては、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、トラックボール等)、タッチパッド、タッチパネルディスプレイの位置入力装置等の入力インターフェースが挙げられる。本実施の形態において、入力装置21の1以上のヒューマン・マシン・インターフェースは、タッチパネルディスプレイの位置入力装置21aを含む。入力装置21の1以上のヒューマン・マシン・インターフェースは、情報端末2に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。つまり、入力装置21は、情報端末2それ自体のヒューマン・マシン・インターフェース、及び、情報端末2に接続されたヒューマン・マシン・インターフェースを含み得る。
【0023】
出力装置22は、情報出力のための1以上のヒューマン・マシン・インターフェースを備える。ヒューマン・マシン・インターフェースの例としては、ディスプレイ、スピーカ、タッチパネルディスプレイの表示装置等の出力インターフェースが挙げられる。本実施の形態において、出力装置22の1以上のヒューマン・マシン・インターフェースは、タッチパネルディスプレイの表示装置22aを含む。出力装置22の1以上のヒューマン・マシン・インターフェースは、情報端末2に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。つまり、出力装置22は、情報端末2それ自体のヒューマン・マシン・インターフェース、及び、情報端末2に接続されたヒューマン・マシン・インターフェースを含み得る。
【0024】
通信装置23は、通信ネットワーク4を通じた処理装置3との通信に用いられる。通信装置23は、1以上の通信インターフェースを備える。通信装置23は、通信ネットワーク4に接続可能であり、通信ネットワーク4を通じた通信を行う機能を有する。通信装置23は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0025】
記憶装置24は、情報端末2が利用する情報及び情報端末2で生成される情報を記憶するために用いられる。記憶装置24は、1以上のストレージ(非一時的な記憶媒体)を含む。ストレージは、例えば、ハードディスクドライブ、光学ドライブ、及びソリッドステートドライブ(SSD)のいずれであってもよい。また、ストレージは、内蔵型、外付け型、及びNAS(network-attached storage)型のいずれであってもよい。
【0026】
記憶装置24に記憶される情報は、ウェブブラウザWB1、入力情報D1、及び、出力情報D2を含む。図2では、記憶装置24が、ウェブブラウザWB1、入力情報D1、及び、出力情報D2を記憶している状態を示している。ウェブブラウザWB1、入力情報D1、及び、出力情報D2は常に記憶装置24に記憶されている必要はなく、演算回路25で必要とされるときに記憶装置24に記憶されていればよい。ウェブブラウザWB1は、例えば、Safari(商標又は登録商標)、Microsoft Edge(商標又は登録商標)、Google Chrome(商標又は登録商標)等の従来周知のウェブブラウザであってよい。
【0027】
演算回路25は、入力装置21、出力装置22及び通信装置23に接続され、記憶装置24にアクセス可能である。演算回路25は、例えば、コンピュータシステムにより実現され得る。コンピュータシステムは、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含む。1以上のプロセッサが(1以上のメモリ又は記憶装置24に記憶された)プログラムを実行することで、情報端末2の種々の機能を実現する。プログラムは、記憶装置24に予め記録されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0028】
図3は、処理装置3のブロック図である。処理装置3は、配管システムに関する入力情報D1に基づいて配管システムに関する出力情報D2を生成するために用いられる。処理装置3は、配管システムの設計支援のサービスを提供する業者等により管理され得る。
【0029】
処理装置3は、入力装置31と、出力装置32と、通信装置33と、記憶装置34と、演算回路35と、を備える。処理装置3は、例えば、1以上のサーバ等により実現され得る。
【0030】
入力装置31は、情報入力のための1以上のヒューマン・マシン・インターフェースを備える。出力装置32は、情報出力のための1以上のヒューマン・マシン・インターフェースを備える。
【0031】
通信装置33は、通信ネットワーク4を通じた情報端末2との通信に用いられる。通信装置33は、1以上の通信インターフェースを備える。通信装置33は、通信装置23と同様の機能を有する。
【0032】
記憶装置34は、処理装置3が利用する情報及び処理装置3で生成される情報を記憶するために用いられる。記憶装置34は、1以上のストレージ(非一時的な記憶媒体)を含む。
【0033】
演算回路35は、入力装置31、出力装置32及び通信装置33に接続され、記憶装置34にアクセス可能である。演算回路35は、例えば、コンピュータシステムにより実現され得る。1以上のプロセッサが(1以上のメモリ又は記憶装置34に記憶された)プログラムを実行することで、処理装置3の種々の機能を実現する。プログラムは、記憶装置34に予め記録されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0034】
記憶装置34に記憶される情報は、演算プログラムP1、入力情報D1、及び、出力情報D2を含む。図3では、記憶装置34が、演算プログラムP1、入力情報D1、及び、出力情報D2を記憶している状態を示している。演算プログラムP1、入力情報D1、及び、出力情報D2は常に記憶装置34に記憶されている必要はなく、演算回路35で必要とされるときに記憶装置34に記憶されていればよい。
【0035】
演算プログラムP1は、入力情報D1を用いて出力情報D2を生成する処理を規定する。
【0036】
入力情報D1は、第1情報と、第2情報と、第3情報と、を含む。
【0037】
第1情報は、配管システムの配管形式に関する情報である。配管形式は、配管システムの流路の形状を特定する。例えば、流路の形状としては、直線形状、折れ曲がり形状、分岐形状等が挙げられる。配管形式には、流路の断面積、流路の長さ等は必ずしも含まれない。配管形式は、配管システムの分類に対応し得る。本実施の形態では、配管形式として、第1配管形式と、第2配管形式とが用いられる。第1配管形式は、建物からの雨水の落とし口の中心軸と竪樋の中心軸とが一致する雨樋システムの配管形式である。第2配管形式は、建物からの雨水の落とし口の中心軸と竪樋の中心軸とが一致しない雨樋システムの配管形式である。
【0038】
図4は、第1配管形式に対応する雨樋システム100Aの概略図である。雨樋システム100Aは、建物200Aの屋根210からの雨水を受けて、地面300のます部310に流す。ます部310に集められた雨水は、ます部310から埋設管320を通って雨水管に流れ出る。
【0039】
雨樋システム100Aは、軒樋120と、竪樋130と、ドレン140とを備える。
【0040】
軒樋120は、建物200Aの屋根210からの雨水を受ける。軒樋120は、建物200Aの屋根210の下に設置される。軒樋120は、長尺の桶状である。軒樋120は、底壁120aを有する。底壁120aに落とし口120bがある。
【0041】
ドレン140は、軒樋120の落とし口120bに配置される。ドレン140は、落とし口120bでの渦の発生及び空気の巻き込みを低減する。ドレン140は、サイフォン現象の発生に寄与し得る。ドレン140は、周知の構成であってよい。
【0042】
竪樋130は、落とし口120bから雨水を排水するために設置される。竪樋130は、控金具131a,131b,131cにより建物200の壁面220に固定される。竪樋130は、落とし口120bからの雨水を垂直に流すための流路を構成する。雨樋システム100Aでは、竪樋130には、軒樋120とは別の軒樋からの枝管等は接続されていない。つまり、竪樋130に、落とし口120bとは別の落とし口からの雨水が流入しないように構成されている。
【0043】
竪樋130は、上流側の端部130aと下流側の端部130bとを有する。上流側の端部130aは、竪樋130において落とし口120bに接続される端部(図5での上端部)である。竪樋130は落とし口120bに直接的に接続される。つまり、落とし口120bから雨水が竪樋130内に垂直に落下して、ます部310内に流入する。下流側の端部130bは、竪樋130において、ます部310に挿入される端部(図5での下端部)である。竪樋130とます部310との隙間からます部310内に雨水が流入しないように排水管カバー132が配置される。
【0044】
雨樋システム100Aでは、竪樋130が、落とし口120bに直接的に接続され、建物200Aからの雨水の落とし口120bの中心軸と竪樋130の中心軸とが一致する。第1配管形式では、配管システムの流路の形状は直線状である。第1配管形式は、慣用的に、直管タイプとも呼ばれる。
【0045】
図5は、配管システムの第2配管形式に対応する雨樋システム100Bの概略図である。雨樋システム100Bは、建物200Bの屋根210からの雨水を受けて、地面300のます部310に流す。ます部310に集められた雨水は、ます部310から埋設管320を通って雨水管に流れ出る。
【0046】
建物200Bは、建物200Aよりも軒が長い。建物200Bでは、落とし口120bに竪樋130を直接的に接続すると、竪樋130と建物200Bの壁面220との距離が大きくなり、竪樋130の施工基準を満たさなくなる。雨樋システム100Bは、軒が長い建物に適した構造を有する。
【0047】
雨樋システム100Bは、軒樋120と、竪樋130と、ドレン140と、呼び樋150と、第1エルボ161と、第2エルボ162と、接続管170と、を備える。
【0048】
雨樋システム100Bの軒樋120、竪樋130及びドレン140は、雨樋システム100Aの軒樋120、竪樋130及びドレン140と同様である。
【0049】
雨樋システム100Bでは、雨樋システム100Aとは異なり、竪樋130は、落とし口120bに直接的に接続されていない。竪樋130は、呼び樋150、第1エルボ161、第2エルボ162及び接続管170を介して、落とし口120bに接続される。
【0050】
呼び樋150は、建物200Bからの雨水の落とし口120bと竪樋130との間にある。第1エルボ161は、呼び樋150の上流側の端部150aを落とし口120bに接続する。第2エルボ162は、呼び樋150の下流側の端部150bを竪樋130の上流側の端部130aに接続する。接続管170は、落とし口120bと第1エルボ161との間を接続する。
【0051】
雨樋システム100Bでは、竪樋130が、落とし口120bに呼び樋150を介して接続され、建物200Aからの雨水の落とし口120bの中心軸と竪樋130の中心軸とが一致しない。第2配管形式では、配管システムの流路の形状は直線状ではなく、折れ曲がり状、特にクランク状又はS字状である。第2配管形式は、慣用的に、エルボ振りタイプとも呼ばれる。
【0052】
本実施の形態では、第1情報は、第1配管形式と第2配管形式とから選択される。第1情報は、配管形式に関連付けられたカテゴリ変数を含む。例えば、カテゴリ変数「1」が第1配管形式に関連付けられ、カテゴリ変数「2」が第2配管形式に関連付けられる。
【0053】
第2情報は、配管システムの管径に関する情報である。配管システムの管径は、配管システムの流路の内径に相当する。従来から、配管システムの構築に利用可能な管材として、サイズが異なる管材が提供されている。管材のサイズとしては、呼び径を用いることができる。呼び径は、例えば、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格における呼び径であってよい。
【0054】
表1は、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格におけるVPの硬質ポリ塩化ビニル管の呼び径の一例である。表1において、外径(基準寸法)、厚さ(最小寸法)及び近似内径の単位はmmである。
【0055】
【表1】
【0056】
表2は、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格におけるVUの硬質ポリ塩化ビニル管の呼び径の一例である。表2において、外径(基準寸法)、厚さ(最小寸法)及び近似内径の単位はmmである。
【0057】
【表2】
【0058】
本実施の形態では、第2情報は、互いに異なる複数の管径から選択される。第2情報は、管径に関連付けられたカテゴリ変数を含む。例えば、カテゴリ変数「1」が、VU75(=内径83mm)に関連付けられ、カテゴリ変数「2」がVP75(=内径77mm)、カテゴリ変数「3」が、VP100(=内径100mm)に関連付けられ、カテゴリ変数「4」がVP125(=内径125mm)に関連付けられる。
【0059】
第3情報は、配管システムの高さに関する情報である。配管システムの高さは、サイフォン現象が有効な高さであり、これは、配管が分断されず、外気との完全な開放部分がなく、サイフォン現象が維持されている高さを意味する。配管システムの高さは、鉛直方向における配管システムの上流側開放点と下流側開放点との間の距離で表される。配管システムの上流側開放点は、配管システムの上流側において外気圧に開放される部位である。配管システムの下流側開放点は、配管システムの下流側において外気圧に開放される部位である。配管システムの上流側開放点と下流側開放点との間には、外気との完全な開放部分が存在しない。つまり、下流側開放点は、大気圧に対して開放となり、サイフォン現象が停止する箇所である。したがって、上流側開放点と下流側開放点とは、配管システムにおいてサイフォン現象が維持される範囲の上流端及び下流端であるといえる。
【0060】
雨樋システム100A,100Bにおいて、上流側開放点は、ドレン140の下端であり、下流側開放点は、竪樋130の下流側の端部130bの開口である。雨樋システム100A,100Bにおいて、配管システムの高さをh[m]とする。hは、鉛直方向におけるドレン140の下端と竪樋130の下流側の端部130bの開口との間の距離である。なお、上流側開放点は、ドレン140の下端ではなく、落とし口120bの上端又は下端であってよい。一般的に、配管システムの高さhは、専ら竪樋130の長さによって決まるところ、上端側開放点がドレン140か落とし口120bかによるhの変化は、竪樋130の長さに比べれば無視できる程度に小さいと考えられる。なお、雨樋システム100Aにおいて、建物200Aに庇があり、竪樋130が、庇で、一旦、大気圧に対して開放されている場合には、下流側開放点は、竪樋130の下流側の端部130bの開口ではなく、庇で大気圧に対して開放されている部分になる。つまり、ドレン140の下端から、竪樋130において庇で大気圧に対して開放されている部分までの、鉛直方向の長さが、サイフォン現象が有効な高さ、つまり、配管システムの高さとなる。
【0061】
本実施の形態では、第3情報は、配管システムの高さを示す連続変数である。配管システムの高さは、建物の構造等による影響が大きく、離散変数とするよりは連続変数としたほうが便利である。
【0062】
出力情報D2は、第3情報に対応する配管システムの排水能力を含む。本実施の形態では、第3情報は、入力情報D1に含まれているため、配管システムの排水能力は、入力情報D1に含まれる第3情報に対応する。例えば、配管システムの排水能力は、配管システムの下流側開放点での流量で表される。配管システムの設計にあたっては、流量の実際の値に基づいて、流量の保証値が用いられることが多い。そこで、本実施の形態では、配管システムの排水能力は、配管システムの下流側開放点での流量の保証値を含む。
【0063】
次に、入力情報D1を用いて出力情報D2を生成する処理について説明する。
【0064】
図6は、図4の配管システムの第1配管形式の計算モデルの説明図である。第1配管形式の計算モデルは、上流側開放点111と下流側開放点112との間の流路が竪樋130により規定されている。ここで、上流側開放点111での位置エネルギーをH、圧力をP、運動エネルギーをVとする。下流側開放点112での位置エネルギーをH、圧力をP、運動エネルギーをVとする。配管システムの配管部材による圧力損失の和をΣDとする。配管システムの管路総圧力損失をDとする。この場合、ベルヌーイの定理から、次式(1)が成立する。
【0065】
【数1】
【0066】
上流側開放点111での位置エネルギーHと下流側開放点112での位置エネルギーHとの差は、上流側開放点111と下流側開放点112との高さの差で決まる。H,Hの単位をmとした場合、H-H=hである。
【0067】
上流側開放点111での圧力Pと下流側開放点112での圧力Pとは、いずれも0である。
【0068】
下流側開放点112での流速は0であるから、上流側開放点111での運動エネルギーVと下流側開放点112での運動エネルギーVとの差は、下流側開放点112での流速で決まる。下流側開放点112での流速をVとし、Vの単位をmとした場合、V=V /(2g)[m]である。gは重力加速度である。
【0069】
第1配管形式において、ΣDは、ΣD=Da+Dcで表すことができる。Daは、上流側開放点111での圧力損失(入口圧力損失)である。Dcは、配管システムにおいて生じるその他の微小な圧力損失の総和である。例えば、Dcは、配管システムの配管同士のつなぎ目の段差等により生じる圧力損失を含む。
【0070】
流速をVとし、ΣDの単位をmとすると、ΣD=Σd・V/g=(da+dc)・V/gとすることができる。da及びdcは、実験による雨樋システム100Aの評価等から、予め決定することができる。
【0071】
管路圧損Dは、配管システムの管径をd、管摩擦係数をλ、配管システムの長さをL、流速をVとする。Dの単位をmとすると、Dと、次式(3)で与えられる。
【0072】
【数2】
【0073】
通常、配管システムの内壁は滑らかであるから、管摩擦係数λは、ニクラゼの式により、λ=0.0032+0.221×Re-0.237を用いることができる。Reはレイノルズ数である。
【0074】
下流側開放点112での流速をVとすると、流速Vは、次式(3)のように表すことができる。
【0075】
【数3】
【0076】
上式(3)において、f(Σd,L,d)は、流速の2乗の項の摩擦損失係数であり、Σd,L,dの関数とすることができる。f(L,d)は、流速の1.763乗の項の摩擦損失係数であり、L,dの関数とすることができる。
【0077】
Σdは、配管システムの配管部材による圧力損失の和に対応する係数である。第1配管形式では、Σd=da+dcである。上述したように、da及びdcは、実験による雨樋システム100Aの評価等から、予め決定することができる。したがって、Σdは、第1情報を用いて特定することができる。
【0078】
管径dは、第2情報を用いて特定することができる。
【0079】
配管システムの高さhは、第3情報を用いて特定することができる。
【0080】
配管システムの長さLは、第1情報及び第3情報を用いて特定することができる。つまり、第1情報で特定された配管形式と第3情報で特定された高さhとから、長さLを特定することができる。第1配管形式では、L=hである。
【0081】
このように、第1情報、第2情報及び第3情報から、Σd、L、d、hを特定できる。 そうすると、上式(3)において、未知の値はVだけであるから、上式(3)から、Vを求めることができる。
【0082】
本実施の形態では、出力情報D2に含まれる配管システムの排水能力は、配管システムの下流側開放点112での流量の保証値で表される。下流側開放点112での流量の保証値は、下流側開放点112での流量の実際の値に基づいて設定される。下流側開放点112での流量の実際の値は、上式(3)より求めた流量Vを用いて得られる下流側開放点112での流量の理論値から決定される。
【0083】
下流側開放点112での流量の理論値をQとする。Qは、次式(4)で表される。
【0084】
【数4】
【0085】
下流側開放点112での流量の実際の値をQとすると、Qは、Q=a×Qで表すことができる。実際の値は、理論値との対比で用いられており、あくまでも理論値に比べれば真の値に近いという意味合いである。aは、流量の理論値Qを流量の実際の値Qに変換するための補正係数である。aは、下流側開放点112での流量の理論値Qと、実験により求めた雨樋システム100Aの下流側開放点112での流量の実測値とから決定することができる。これによって、理論値だけではなく、理論値と実測とに基づいた流量を提示することが可能となる。流量の実際の値Qは、実測値に基づいているから、配管システムを安全に使用できる流量である配管システムの保証値を設定するのに適している。
【0086】
図7は、配管システムの高さと流量との関係を示すグラフである。図7のグラフは、第1配管形式、VP75の配管システムに対応する。図7において、F11は、配管システムの高さhに対する理論値Qの変化を示す近似曲線である。図7において、任意の高さhでの理論値QTに対する実測値の比率をaとして用いる。例えば、aは、h=3での理論値QTに対する実測値の比率であってよい。F12は、F11の近似曲線を示す式にaを乗じて得られる。図7では、F12は、実測値とよく一致していることがわかる。したがって、実験又は試験等によって流量を評価していない配管システムの構成についても、理論値Qを利用することで、実測に基づいた流量を提示することが可能になる。これにより、配管システムの高さhを変えて排水能力を確認することができ、これは、配管システムの高さに対する排水能力の変化の傾向の確認を可能にし得る。設計支援システム1を用いることで、配管システムの想定される高さhの全てについて実験又は試験等によって流量を評価しなくてもよくなる。これによって、配管システムの実験又は試験にかかる労力を低減でき得る。
【0087】
下流側開放点112での流量の保証値をQとすると、Qは、Q=b×Qで表すことができる。bは、流量の実際の値Qに対する保証値Qの比率である。bは、いわゆる、配管システムの設計における安全率である。bは、配管システムのエア混入量、配管システムの高さ、配管形式、流量の保証値のマージン、配管システムの誤差(例えば、配管部材の形状誤差、組み立て誤差等)等の種々の事情を勘案して適宜決定されればよい。一例としてbは、0.7~0.9の範囲で設定されてよい。
【0088】
したがって、入力情報D1に含まれる第1情報、第2情報及び第3情報を用いて、排水能力を示す下流側開放点112での流量の保証値Qを含む出力情報D2を生成することができる。
【0089】
図8は、図5の配管システムの第2配管形式の計算モデルの説明図である。第2配管形式の計算モデルは、上流側開放点111と下流側開放点112との間の流路が、竪樋130、呼び樋150、第1エルボ161、第2エルボ162及び接続管170により規定されている。
【0090】
第2配管形式の計算モデルにおいても、上式(1)が成立する。
【0091】
第2配管形式においては、ΣDは、ΣD=Da+Db1+Db2+Dcで表すことができる。Db1は、第1エルボ161近傍での圧力損失である。Db2は、第2エルボ162近傍での圧力損失である。
【0092】
第2配管形式においては、ΣD=Σd・V/g=(da+db1+db2+dc)・V/gとすることができる。da、db1、db2及びdcは、実験による雨樋システム100Bの評価等から、予め決定することができる。Σdは、Σd=da+db1+db2+dcとして、第1情報を用いて特定することができる。
【0093】
したがって、第2配管形式においても、流速Vは、上式(3)で表すことができる。
【0094】
Σdは、第2配管形式で決まる値である。第2配管形式では、Σd=da+db1+db2+dcである。上述したように、da、db1、db2及びdcは、実験による雨樋システム100Bの評価等から、予め決定することができる。したがって、Σdは、第2情報を用いて特定することができる。
【0095】
管径dは、第2情報を用いて特定することができる。
【0096】
配管システムの高さhは、第3情報を用いて特定することができる。
【0097】
配管システムの長さLは、第1情報及び第3情報を用いて特定することができる。つまり、第1情報で特定された配管形式と第3情報で特定された高さhとから、長さLを特定することができる。第2配管形式では、L=h+lである。lは、呼び樋150、第1エルボ161及び第2エルボ162により規定される流路の長さである。第1エルボ161及び第2エルボ162が90°エルボである場合、lは、水平方向における配管システムの上流側開放点111と下流側開放点112との間の距離で表される。lは、例えば、第2配管形式の雨樋システム100Bの施行制約、平均的な構成等を参酌して予め決定されてよい。
【0098】
このように、第1情報、第2情報及び第3情報から、Σd、L、d、hを特定できる。そうすると、上式(3)において、未知の値はVだけであるから、上式(3)から、Vを求めることができる。
【0099】
第2配管形式においても、実験による雨樋システム100Bの評価等から、a及びbを予め特定することができる。したがって、Vが求まれば、Q、Q、及び、Qを求めることができる。
【0100】
したがって、入力情報D1に含まれる第1情報、第2情報及び第3情報を用いて、排水能力を示す下流側開放点112での流量の保証値Qを含む出力情報D2を生成することができる。
【0101】
以上述べたように、設計支援システム1は、入力情報D1を用いて出力情報D2を生成することができる。
【0102】
次に、設計支援システム1の動作について、図9を参照して説明する。
【0103】
図9は、設計支援システム1で表示される画面の一例の説明図である。図9に示す画面G1は、入力情報D1の入力のための入力画面、及び、出力情報D2の提示のための出力画面を兼ねる。
【0104】
設計支援システム1において、情報端末2は、ユーザ5からの入力情報D1の入力を受け付ける。より詳細には、情報端末2は、ユーザ5による情報端末2の入力装置21の位置入力装置21aの操作により、入力情報D1の入力のための入力画面として、画面G1を、表示装置22aに表示する。本実施の形態では、画面G1は、ウェブブラウザWB1を利用して表示される。
【0105】
画面G1は、第1領域R1、第2領域R2、第3領域R3、第4領域R4及びボタンB1を含む。
【0106】
第1領域R1、第2領域R2及び第3領域R3は、入力情報D1の入力のための領域である。画面G1において、第1領域R1、第2領域R2及び第3領域R3を含む部分が入力画面を構成する。
【0107】
第1領域R1は、配管システムの配管形式に関する第1情報の入力に用のための領域である。本実施の形態では、第1領域R1は、第1情報に関して、互いに異なる複数の配管形式から一つを選択するための領域である。第1領域R1は、説明領域T11,T12,T13と、選択ボタンRB1,RB2と、を含む。説明領域T11は、第1情報の入力を促すための文字列を表示する。図9の説明領域T11は、「システムのタイプを選んでください」という文字列を表示する。選択ボタンRB1,RB2はいずれか一方だけを選択可能なラジオボタンである。選択ボタンRB1は第1配管形式に対応し、選択ボタンRB2は第2配管形式に対応する。説明領域T12は、選択ボタンRB1が第1配管形式に対応することを示す文字列を表示する。図9の説明領域T12は、「直管タイプ」という文字列を表示する。説明領域T13は、選択ボタンRB2が第2配管形式に対応することを示す文字列を表示する。図9の説明領域T13は、「エルボ振りタイプ」という文字列を表示する。
【0108】
第2領域R2は、配管システムの管径に関する第2情報の入力に用のための領域である。本実施の形態では、第2領域R2は、第2情報に関して、互いに異なる複数の管径から一つを選択するための領域である。第2領域R2は、説明領域T2と、選択ボタンPD1と、を含む。説明領域T2は、第2情報の入力を促すための文字列を表示する。図9の説明領域T2は、「管径を選んでください(VU75/VP75/VP100/VP125)」という文字列を表示する。選択ボタンPD1は、例えば、管径を、「VU75」、「VP75」、「VP100」及び「VP125」の項目の値から選択するために用いられる。選択ボタンPD1は、例えば、プルダウンメニュー(ドロップダウンリスト)形式である。
【0109】
第3領域R3は、配管システムの高さに関する第3情報の入力に用のための領域である。本実施の形態では、第3領域R3は、第3情報に関して、任意の数値を入力するための領域である。第3領域R3は、説明領域T3と、値表示領域F1と、を含む。説明領域T3は、第3情報の入力を促すための文字列を表示する。図9の説明領域T3は、「システム高さを入力してください」という文字列を表示する。値表示領域F1は、システムの高さとして用いる数値の入力を受け付け、入力された数値を表示する。本実施の形態では、システムの高さは、連続変数である。ただし、現実的には、数値間隔及び数値範囲には制限がある。
【0110】
ボタンB1は、排水能力の計算を開始するためのボタンである。ボタンB1は、「計算」という文字列を含む。ボタンB1は、第1情報、第2情報、及び第3情報の全てが入力された状態で操作可能となってよい。
【0111】
画面G1においてボタンB1が操作されると、情報端末2は、第1領域R1で入力された第1情報、第2領域R2で入力された第2情報、及び、第3領域で入力された第3情報を含む入力情報D1を、通信ネットワーク4を介して、処理装置3に送信する。処理装置3は、入力情報D1に基づいて、排水能力の計算を実行する。これによって、処理装置3は、排水能力として、流量Qを含む出力情報D2を生成する。処理装置3は、出力情報D2を、情報端末2に通信ネットワーク4を介して送信する。
【0112】
第4領域R4は、配管システムの排水能力を含む出力情報D2を提示する領域である。画面G1において、第4領域R4を含む部分が出力画面を構成する。本実施の形態では、第4領域R4は、出力情報D2に含まれる排水能力を提示するための領域である。第4領域R4は、説明領域T4と、値表示領域F4と、を含む。値表示領域F2は、情報端末2が処理装置3から受け取った出力情報D2に含まれる排水能力、つまりは、流量QGの値を表示する。説明領域T4は、値表示領域F4に表示される情報を説明するための文字列を表示する。図9の説明領域T4は、「排水能力」という文字列を表示する。
【0113】
このように、設計支援システム1では、情報端末2の演算回路25が、表示装置22aにより、配管システムの配管形式に関する第1情報及び配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報D1の入力のための入力画面を表示し、入力装置21により、入力情報D1の入力を受け付ける。入力情報D1は、情報端末2から処理装置3に送信される。処理装置3の演算回路35は、入力情報D1に基づいて、配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報D2を生成する。出力情報D2は、処理装置3から情報端末2に送信される。情報端末2の演算回路25は、表示装置22aにより、入力情報D1に基づいて、配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報D2を提示する出力画面を表示する。
【0114】
このように、設計支援システム1は、配管システムに関する入力情報D1を用いて、配管システムの排水能力を含む出力情報D2を提示する。入力情報D1は、配管システムの配管形式、及び、配管システムの管径により決定することができ、排水の流量を計算するための専門的な知識がなくても配管形式及び管径は入力可能である。そのため、設計支援システム1を用いることで、排水能力が適切は範囲に収まるように配管システムを設計することが可能となる。
【0115】
[1.2 効果等]
以上述べた設計支援システム1は、表示装置22a及び入力装置21に接続される演算回路25を備える。演算回路25は、表示装置22aにより、配管システムの配管形式に関する第1情報及び配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報D1の入力のための入力画面を表示し、入力装置21により、入力情報D1の入力を受け付け、表示装置22aにより、入力情報D1に基づいて、配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報D2を提示する出力画面を表示する。この構成は、配管システムの設計の最適化及び容易化を可能にする。
【0116】
設計支援システム1において、第1情報は、配管形式に関連付けられたカテゴリ変数を含み、第2情報は、管径に関連付けられたカテゴリ変数を含む。この構成は、第1情報及び第2情報の入力の容易化を可能にする。
【0117】
設計支援システム1において、入力画面は、第1情報に関して、互いに異なる複数の配管形式から一つを選択するための領域(第1領域R1)を含む。この構成は、第1情報の入力の容易化を可能にする。
【0118】
設計支援システム1において、複数の配管形式は、第1配管形式と、第2配管形式と、を含む。第1配管形式は、建物からの雨水の落とし口と竪樋の中心軸が一致する雨樋システムの配管形式に対応する。第2配管形式は、建物からの雨水の落とし口と竪樋の中心軸が一致しない雨樋システムの配管形式に対応する。この構成は、配管システムの設計の最適化及び容易化を可能にする。
【0119】
設計支援システム1において、入力画面は、第2情報に関して、互いに異なる複数の管径から一つを選択するための領域(第2領域R2)を含む。この構成は、第2情報の入力の容易化を可能にする。
【0120】
設計支援システム1において、入力情報D1は、第3情報を含む。出力情報D2は、入力情報D1に含まれる第3情報に対応する排水能力を含む。この構成は、配管システムの設計の最適化及び容易化を可能にする。
【0121】
設計支援システム1において、第3情報は、高さを示す連続変数である。この構成は、配管システムの所望の高さに対応する排水能力を提示できる。
【0122】
設計支援システム1において、第1情報で特定される配管システムの配管部材による圧力損失の和に対応する係数をΣd、第1情報で特定される配管システムの長さをL、第2情報で特定される配管システムの管径をd、第3情報で特定される配管システムの高さをh、重力加速度をg、配管システムの下流側開放点112における流速をVとすると、Vは、次式を満たすように決定される。
【0123】
【数5】
【0124】
配管システムの下流側開放点112における流量の理論値をQとすると、Qは、次式を満たすように決定される。
【0125】
【数6】
【0126】
この構成は、配管システムの設計の最適化及び容易化を可能にする。
【0127】
排水能力を示す流量をQとすると、Qは、a×Qで表される。aは、配管システムの下流側開放点112における流量の理論値及び実測値に基づいて決定される。この構成は、理論値だけではなく、理論値と実測とに基づいた流量を提示することが可能となる。
【0128】
設計支援システム1において、演算回路25は、ウェブブラウザWB1により入力画面及び出力画面の表示を行う。この構成は、入力画面及び出力画面の表示の容易化を可能にする。
【0129】
以上述べた設計支援システム1は、以下の方法(設計支援方法)を実行しているといえる。設計支援方法は、表示装置22a及び入力装置21に接続される演算回路25により実行され、表示装置22aにより、配管システムの配管形式に関する第1情報及び配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報D1の入力のための入力画面を表示し、入力装置21により、入力情報D1の入力を受け付け、表示装置22aにより、入力情報D1に基づいて、配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報D2を提示する出力画面を表示する。この構成は、配管システムの設計の最適化及び容易化を可能にする。
【0130】
設計支援システム1は、演算回路25を利用して実現されている。つまり、設計支援システム1が実行する設計支援方法は、演算回路25がプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、演算回路25に、設計支援方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。この構成は、配管システムの設計の最適化及び容易化を可能にする。
【0131】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。なお、以下の変形例にかかる設計支援システムの構成は、上記実施の形態にかかる設計支援システム1の構成と同様であるから、単に冗長な説明を避けるために、上記実施の形態で用いた符号を援用する。
【0132】
[2.1 変形例1]
設計支援システム1において、入力情報D1は、第3情報を含んでいなくてもよい。上式(3)、(4)から、第1情報及び第2情報が特定されれば、流量は、配管システムの高さhの関数として表すことができる。実情を鑑みれば、配管システムの高さhは、ある程度の範囲に収まると考えられる。したがって、入力情報D1が第1情報及び第2情報を含んでいれば、出力情報D2として、予め決めた高さhの範囲において、第3情報に対応する排水能力を決定することができる。つまり、出力情報D2は、第1情報と第2情報との組み合わせにおける、第3情報と排水能力との対応関係を含んでよい。この構成は、排水能力に基づいて配管システムの高さを設定する作業の容易化を可能にする。
【0133】
図10は、変形例1の設計支援システムで表示される画面の一例の説明図である。図10に示す画面G2は、入力情報D1の入力のための入力画面、及び、出力情報D2の提示のための出力画面を兼ねる。
【0134】
画面G2は、第1領域R1、第2領域R2、第4領域R41及びボタンB1を含む。画面G2は、画面G1とは異なり第3領域R3を含んでおらず、ユーザは配管システムの高さhを入力する必要がない。
【0135】
画面G2においてボタンB1が操作されると、情報端末2は、第1領域R1で入力された第1情報及び第2領域R2で入力された第2情報を含む入力情報D1を、通信ネットワーク4を介して、処理装置3に送信する。処理装置3は、第1情報と第2情報との組み合わせに対して、予め決定された配管システムの高さhの範囲において、排水能力の計算を実行する。これによって、処理装置3は、第3情報と排水能力との対応関係、ここでは、配管システムの高さhと排水能力(流量Q)の対応関係を得る。これによって、処理装置3は、配管システムの高さhと排水能力(流量Q)の対応関係を含む出力情報D2を生成する。高さhの範囲は、特に限定されないが、例えば、3m~10mであってよい。高さhの間隔(刻み幅)は、特に限定されないが、1mであってよい。この場合、処理装置3は、高さhが、3m、4m、5m、6m、7m、8m、9m、10mのそれぞれの場合について、排水能力を計算する。処理装置3は、配管システムの高さhと排水能力(流量Q)の対応関係を含む出力情報D2を、情報端末2に通信ネットワーク4を介して送信する。
【0136】
第4領域R41は、出力情報D2を提示する領域である。画面G2において、第4領域R41を含む部分が出力画面を構成する。第4領域R41は、出力情報D2に含まれる配管システムの高さhと排水能力(流量Q)の対応関係を示す表T41を含む。つまり、第4領域R41は、配管システムの高さhと排水能力(流量Q)の対応関係を表形式で提示する。
【0137】
変形例1にかかる設計支援システム1において、出力情報D2は、第1情報と第2情報との組み合わせにおける、第3情報と排水能力との対応関係を含む。この構成は、配管システムの高さに対する排水能力の変化の傾向の確認を可能にし、排水能力に基づいて配管システムの高さを設定する作業の容易化を可能にする。
【0138】
変形例1にかかる設計支援システム1において、出力画面は、対応関係を表形式で提示する。この構成は、第3情報と排水能力との対応関係の把握の容易化を可能にする。
【0139】
[2.2 変形例2]
図11は、変形例2の設計支援システムで表示される画面の一例の説明図である。図11に示す画面G3は、入力情報D1の入力のための入力画面、及び、出力情報D2の提示のための出力画面を兼ねる。
【0140】
画面G3は、第1領域R1、第2領域R2、第4領域R42及びボタンB1を含む。
【0141】
画面G3においてボタンB1が操作されると、変形例1と同様にして、処理装置3は、配管システムの高さhと排水能力(流量Q)の対応関係を含む出力情報D2を生成する。処理装置3は、出力情報D2を、情報端末2に通信ネットワーク4を介して送信する。
【0142】
第4領域R42は、出力情報D2を提示する領域である。画面G3において、第4領域R42を含む部分が出力画面を構成する。第4領域R42は、出力情報D2に含まれる配管システムの高さhと排水能力(流量Q)の対応関係を示すグラフT42を含む。つまり、第4領域R42は、配管システムの高さhと排水能力(流量Q)の対応関係をグラフ形式で提示する。
【0143】
変形例2にかかる設計支援システム1において、出力情報D2は、第1情報と第2情報との組み合わせにおける、第3情報と排水能力との対応関係を含む。この構成は、排水能力に基づいて配管システムの高さを設定する作業の容易化を可能にする。
【0144】
変形例2にかかる設計支援システム1において、出力画面は、対応関係をグラフ形式で提示する。この構成は、第3情報と排水能力との対応関係の把握の容易化を可能にする。
【0145】
[2.3 その他の変形例]
一変形例において、第1情報における配管形式は、上述した第1配管形式及び第2配管形式に限定されない。第1配管形式及び第2配管形式は、雨樋システムにおいて比較的典型的な配管形式ではあるが、雨樋システムではさらに多様な配管形式が用いられていることはいうまでもない。配管形式としては、本管に対して分岐管が合流する形式や、複数の分岐管が一つにまとまる形式等が挙げられる。
【0146】
一変形例において、第1情報は、配管形式と、配管形式で用いられる1以上の配管部材の情報と、を含んでよい。配管部材は、特に、圧力損失が生じる配管部材から選択され得る。配管部材の例としては、エルボ、インクリーザ、ソケット、チーズ等の継手が挙げられる。
【0147】
例えば、第2配管形式においては、上述したように、ΣDは、ΣD=Da+Db1+Db2+Dcで表すことができる。Db1は、第1エルボ161近傍での圧力損失である。Db2は、第2エルボ162近傍での圧力損失である。第1エルボ161及び第2エルボ162としては、様々な周知のエルボが利用され得る。例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」では、90°エルボ、90°大曲がりエルボ、45°エルボ等がある。第1エルボ161及び第2エルボ162にどのようなエルボを用いるかで、第1エルボ161及び第2エルボ162近傍での圧力損失は変化し得る。そのため、配管形式で用いられる1以上の配管部材の情報は、第1エルボ161及び第2エルボ162の種類に関する情報を含んでよい。これによって、排水能力の演算の精度の向上が期待できる。
【0148】
一変形例において、第2情報は、管径を示す離散変数であってよい。管径を示す離散変数としては、表1及び表2に挙げられる近似内径の値を用いることができる。例えば、第2情報は、VU75に対応する83mm、VP75に対応する77mm、VP100に対応する100mm、VP125に対応する125mmから選択可能であってよい。
【0149】
一変形例において、第2情報は、管径を示す連続変数であってよい。これによって、配管システムの設計の自由度が高い場合にも対応できる。
【0150】
一変形例において、第3情報は、配管システムの高さhの範囲を含んでよい。つまり、設計支援システム1は、指定された配管システムの高さhの範囲に関して、排水能力を決定することができる。あるいは、第3情報は、配管システムの高さhに関して、離散的な複数の値を含んでよい。つまり、設計支援システム1は、指定された配管システムの高さhの複数の値に対して、排水能力を決定することができる。
【0151】
一変形例において、出力情報D2に含まれる排水能力は、流量の理論値Qであってもよいし、流量の実際の値Qであってもよい。
【0152】
一変形例において、入力画面及び出力画面は、画面G1として一画面とされているが、入力画面及び出力画面は、別々の画面であってよい。
【0153】
一変形例において、ボタンB1が必須ではない。設計支援システム1は、入力情報D1の入力が完了すると自動的に出力情報D2を生成してよい。
【0154】
一変形例において、設計支援システム1は、単一のコンピュータシステムで実現されてもよい。例えば、設計支援システム1は、情報端末2により実現されてよい。この場合、情報端末2の演算回路25が、処理装置3の演算回路35としても機能することになる。つまり、情報端末2の演算回路25が、入力情報D1に基づいて出力情報D2を生成する。
【0155】
一変形例において、設計支援システム1は、複数台のサーバ等のコンピュータシステムで実現されてもよい。設計支援システム1における複数の機能(構成要素)が、1つの筐体内に集約されていることは必須ではなく、設計支援システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、設計支援システム1の少なくとも一部の機能、例えば、演算回路25,35の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0156】
以上述べた設計支援システムは、雨樋システム以外の配管システムにも利用可能である。配管システムの例としては、上水道又は下水道のための配管システム、工場等の施設内において目的の流体を搬送数ための配管システムが挙げられる。つまり、配管システムで搬送する流体は、雨水に限定されない。
【0157】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。
【0158】
[態様1]
表示装置及び入力装置に接続される演算回路を備え、
前記演算回路は、
前記表示装置により、配管システムの配管形式に関する第1情報及び前記配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報の入力のための入力画面を表示し、
前記入力装置により、前記入力情報の入力を受け付け、
前記表示装置により、前記入力情報に基づいて、前記配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報を提示する出力画面を表示する、
設計支援システム。
【0159】
[態様2]
前記第1情報は、前記配管形式に関連付けられたカテゴリ変数を含み、
前記第2情報は、前記管径を示す離散変数、又は、前記管径に関連付けられたカテゴリ変数を含む、
態様1の設計支援システム。
【0160】
[態様3]
前記入力画面は、前記第1情報に関して、互いに異なる複数の配管形式から一つを選択するための領域を含む、
態様1又は2の設計支援システム。
【0161】
[態様4]
前記複数の配管形式は、第1配管形式と、第2配管形式と、を含み、
前記第1配管形式は、建物からの雨水の落とし口と竪樋の中心軸が一致する雨樋システムの配管形式に対応し、
前記第2配管形式は、建物からの雨水の落とし口と竪樋の中心軸が一致しない雨樋システムの配管形式に対応する、
態様3の設計支援システム。
【0162】
[態様5]
前記入力画面は、前記第2情報に関して、互いに異なる複数の管径から一つを選択するための領域を含む、
態様1~4のいずれか一つの設計支援システム。
【0163】
[態様6]
前記入力情報は、前記第3情報を含み、
前記出力情報は、前記入力情報に含まれる前記第3情報に対応する排水能力を含む、
態様1~5のいずれか一つの設計支援システム。
【0164】
[態様7]
前記第3情報は、前記高さを示す連続変数である、
態様6の設計支援システム。
【0165】
[態様8]
前記第1情報で特定される前記配管システムの配管部材による圧力損失の和に対応する係数をΣd、
前記第1情報で特定される前記配管システムの長さをL、
前記第2情報で特定される前記配管システムの管径をd、
前記第3情報で特定される前記配管システムの高さをh、
重力加速度をg、
前記配管システムの下流側開放点における流速をVとすると、Vは、次式を満たすように決定され、
【0166】
【数7】
【0167】
前記配管システムの下流側開放点における流量の理論値をQとすると、Qは、次式を満たすように決定される、
【0168】
【数8】
態様1~7のいずれか一つの設計支援システム。
【0169】
[態様9]
前記排水能力を示す流量をQとすると、
は、a×Qで表され、
aは、前記配管システムの下流側開放点における流量の理論値及び実測値に基づいて決定される、
態様8の設計支援システム。
【0170】
[態様10]
前記出力情報は、前記第1情報と前記第2情報との組み合わせにおける、前記第3情報と前記排水能力との対応関係を含む、
態様1~9のいずれか一つの設計支援システム。
【0171】
[態様11]
前記出力画面は、前記対応関係を表形式で提示する、
態様10の設計支援システム。
【0172】
[態様12]
前記出力画面は、前記対応関係をグラフ形式で提示する、
態様10の設計支援システム。
【0173】
[態様13]
前記演算回路は、ウェブブラウザにより前記入力画面及び前記出力画面の表示を行う、
態様1~12のいずれか一つの設計支援システム。
【0174】
[態様14]
前記第1情報は、前記配管形式と、前記配管形式で用いられる1以上の配管部材の情報と、を含む、
態様1~13のいずれか一つの設計支援システム。
【0175】
[態様15]
表示装置及び入力装置に接続される演算回路により実行され、
前記表示装置により、配管システムの配管形式に関する第1情報及び前記配管システムの管径に関する第2情報を含む入力情報の入力のための入力画面を表示し、
前記入力装置により、前記入力情報の入力を受け付け、
前記表示装置により、前記入力情報に基づいて、前記配管システムの高さに関する第3情報に対応する排水能力を含む出力情報を提示する出力画面を表示する、
設計支援方法。
【0176】
[態様16]
態様15の設計支援方法を、前記演算回路に実行させるための、
プログラム。
【0177】
態様2~14は、任意の要素であり、必須ではない。態様2~14は、態様15に適宜組み合わせることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本開示は、設計支援システム、設計支援方法、及び、プログラム(コンピュータプログラム)に適用可能である。具体的には、配管システムの設計のための設計支援システム、設計支援方法、及び、プログラムに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0179】
1 設計支援システム
21 入力装置
22a 表示装置
25 演算回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11