(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155138
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 41/12 20060101AFI20241024BHJP
A01F 12/60 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A01D41/12 H
A01F12/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069581
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】佐嶋 圭介
(72)【発明者】
【氏名】井本 弘平
(72)【発明者】
【氏名】香取 桂介
【テーマコード(参考)】
2B074
2B396
【Fターム(参考)】
2B074AA01
2B074AB01
2B074AC02
2B074BA04
2B074BA07
2B074CD03
2B074CE01
2B074CG01
2B396JC07
2B396JG03
2B396MA05
(57)【要約】
【課題】排気が運転者に及び難いコンバインが要望されている。
【解決手段】コンバインは、エンジンと、機体フレーム10と、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置3と、エンジンの排気を排出する排気管8と、を備えている。排気管8の排気下流側端部に、外部に開口する排気口62が形成されている。排気口62は、脱穀装置3の上端P1よりも下側で、機体フレーム10の下端P2よりも上側に配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
機体フレームと、
刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、
前記エンジンの排気を排出する排気管と、を備え、
前記排気管の排気下流側端部に、外部に開口する排気口が形成され、
前記排気口は、前記脱穀装置の上端よりも下側で、前記機体フレームの下端よりも上側に配置されているコンバイン。
【請求項2】
前記排気口は、下方に開口している請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記脱穀装置と機体左右方向で隣り合う位置に配置され、前記脱穀装置からの穀粒を貯留する穀粒貯留部を備え、
前記排気管は、前記脱穀装置と前記穀粒貯留部との間を通されて、側面視で前記脱穀装置及び前記穀粒貯留部と重複している請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記排気管は、平面視で前記穀粒貯留部と重複している請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
左右一対のクローラ走行装置を備え、
前記排気口は、機体前後方向視で、前記左右一対のクローラ走行装置のうち何れか一方のクローラ走行装置に向かって開口している請求項3に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記排気口は、機体前後方向視で、前記左右一対のクローラ走行装置のうち前記穀粒貯留部側のクローラ走行装置に向かって開口している請求項5に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記機体フレームは、枠状に構成され、
前記排気口の中心の延長線は、前記機体フレームの枠内を通り、かつ、前記一方のクローラ走行装置の後方を通っている請求項5に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記脱穀装置の後方に配置される燃料タンクを備え、
前記排気口は、機体左右方向で前記燃料タンクとは反対側に開口している請求項3に記載のコンバイン。
【請求項9】
前記穀粒貯留部は、穀粒貯留タンクによって構成され、
前記脱穀装置は、前記脱穀装置の前記穀粒貯留タンク側の側部に設けられ、一番物の穀粒を前記穀粒貯留タンクに向けて上方に搬送する揚穀装置を有し、
前記排気管は、前記穀粒貯留タンクと前記揚穀装置との間を通されている請求項3に記載のコンバイン。
【請求項10】
前記排気口は、前記揚穀装置よりも後側に位置している請求項9に記載のコンバイン。
【請求項11】
前記穀粒貯留タンクの後方に立設され、前記穀粒貯留タンク内の穀粒を排出する穀粒排出装置を備え、
前記排気口は、前記穀粒排出装置における前記穀粒貯留タンクの後方に立設される部分よりも、前側に位置している請求項10に記載のコンバイン。
【請求項12】
前記排気口は、前記穀粒貯留タンクの後壁よりも前側に位置している請求項11に記載のコンバイン。
【請求項13】
前記穀粒貯留部は、穀粒貯留タンクによって構成され、
前記穀粒貯留タンクの下部に、機体前後方向視で下方に窄まる下窄まり部が形成され、
前記排気管の排気下流側端部は、機体前後方向視で前記下窄まり部に沿って傾斜している請求項3に記載のコンバイン。
【請求項14】
前記排気管の排気下流側端部は、側面視で後下がりに傾斜している請求項13に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインとして、例えば、特許文献1に記載のコンバインが知られている。特許文献1に記載のコンバインは、エンジンと、機体フレームと、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、エンジンの排気を排出する排気管と、を備えている。排気管の排気下流側端部には、外部に開口する排気口が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンバインでは、排気口の高さ位置が運転者の高さ位置に近いため、排気が運転者に及び易い。
【0005】
上記状況に鑑み、排気が運転者に及び難いコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、エンジンと、機体フレームと、刈取穀稈を脱穀する脱穀装置と、前記エンジンの排気を排出する排気管と、を備え、前記排気管の排気下流側端部に、外部に開口する排気口が形成され、前記排気口は、前記脱穀装置の上端よりも下側で、前記機体フレームの下端よりも上側に配置されていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、排気口が脱穀装置の上端よりも下側に配置されているため、排気口の高さ位置が運転者の高さ位置から離れている。これにより、排気が運転者に及び難い。また、排気口が機体フレームの下端よりも上側に配置されているため、排気口に地面の土が付着し難い。
【0008】
さらに、本発明において、前記排気口は、下方に開口していると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、排気口が後方に開口していないため、排気口に地面の土が入り込み難い。また、排気が排気口から地面に向けて排出されるため、排気が機体の後方に及び難い。
【0010】
さらに、本発明において、前記脱穀装置と機体左右方向で隣り合う位置に配置され、前記脱穀装置からの穀粒を貯留する穀粒貯留部を備え、前記排気管は、前記脱穀装置と前記穀粒貯留部との間を通されて、側面視で前記脱穀装置及び前記穀粒貯留部と重複していると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、脱穀装置と穀粒貯留部との間の空間を利用して、排気管を配置することができる。
【0012】
さらに、本発明において、前記排気管は、平面視で前記穀粒貯留部と重複していると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、穀粒貯留タンクの下方の空間を利用して、排気管を配置することができる。
【0014】
さらに、本発明において、左右一対のクローラ走行装置を備え、前記排気口は、機体前後方向視で、前記左右一対のクローラ走行装置のうち何れか一方のクローラ走行装置に向かって開口していると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、排気が排気口から、一方のクローラ走行装置による轍に向けて排出される。これにより、湿田であっても排気口に地面の土が入り込み難い。
【0016】
さらに、本発明において、前記排気口は、機体前後方向視で、前記左右一対のクローラ走行装置のうち前記穀粒貯留部側のクローラ走行装置に向かって開口していると好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、排気が排気口から、穀粒貯留タンク側の轍に向けて排出される。これにより、機体左右方向で穀粒貯留タンク側が既刈り地側となる作業形態において、排気が未刈り地に及び難い。
【0018】
さらに、本発明において、前記機体フレームは、枠状に構成され、前記排気口の中心の延長線は、前記機体フレームの枠内を通り、かつ、前記一方のクローラ走行装置の後方を通っていると好適である。
【0019】
本特徴構成によれば、排気口からの排出された排気が、機体フレームの枠内を通って、一方のクローラ走行装置の後方を流れる。これにより、排気が排気口から一方のクローラ走行装置による轍に向けてスムーズに流れる。
【0020】
さらに、本発明において、前記脱穀装置の後方に配置される燃料タンクを備え、前記排気口は、機体左右方向で前記燃料タンクとは反対側に開口していると好適である。
【0021】
本特徴構成によれば、排気が排気口から、機体左右方向で燃料タンクとは反対側に排出される。これにより、排気が燃料タンクに及び難い。
【0022】
さらに、本発明において、前記穀粒貯留部は、穀粒貯留タンクによって構成され、前記脱穀装置は、前記脱穀装置の前記穀粒貯留タンク側の側部に設けられ、一番物の穀粒を前記穀粒貯留タンクに向けて上方に搬送する揚穀装置を有し、前記排気管は、前記穀粒貯留タンクと前記揚穀装置との間を通されていると好適である。
【0023】
本特徴構成によれば、穀粒貯留タンクと揚穀装置との間の空間を利用して、排気管を配置することができる。
【0024】
さらに、本発明において、前記排気口は、前記揚穀装置よりも後側に位置していると好適である。
【0025】
本特徴構成によれば、排気が揚穀装置よりも後側で離れた位置で排気口から排出される。これにより、排気が揚穀装置に及び難い。
【0026】
さらに、本発明において、前記穀粒貯留タンクの後方に立設され、前記穀粒貯留タンク内の穀粒を排出する穀粒排出装置を備え、前記排気口は、前記穀粒排出装置における前記穀粒貯留タンクの後方に立設される部分よりも、前側に位置していると好適である。
【0027】
本特徴構成によれば、排気管の排気下流側端部が、穀粒排出装置における穀粒貯留タンクの後方に立設される部分よりも、後側に出っ張らない。これにより、排気管の長さを短くすることができると共に、排気管の排気下流側端部が機体の後方で邪魔になり難い。
【0028】
さらに、本発明において、前記排気口は、前記穀粒貯留タンクの後壁よりも前側に位置していると好適である。
【0029】
本特徴構成によれば、排気管の排気下流側端部が、穀粒貯留タンクの後壁よりも、後側に出っ張らない。これにより、排気管の長さをより短くすることができると共に、排気管の排気下流側端部が機体の後方でより邪魔になり難い。
【0030】
さらに、本発明において、前記穀粒貯留部は、穀粒貯留タンクによって構成され、前記穀粒貯留タンクの下部に、機体前後方向視で下方に窄まる下窄まり部が形成され、前記排気管の排気下流側端部は、機体前後方向視で前記下窄まり部に沿って傾斜していると好適である。
【0031】
本特徴構成によれば、排気が排気管内の排気下流側端部を、機体前後方向視で下窄まり部に沿って傾斜する方向に流れる。これにより、排気が排気口から機体横外側の地面に向けてスムーズに流れる。
【0032】
さらに、本発明において、前記排気管の排気下流側端部は、側面視で後下がりに傾斜していると好適である。
【0033】
排気が排気管内の排気下流側端部を、側面視で後下がりに傾斜する方向に流れる。これにより、排気が排気口から機体後側の地面に向けてスムーズに流れる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図3】排気管及びその周辺構造を示す右側面図である。
【
図4】排気管及びその周辺構造を示す平面図である。
【
図5】排気管及びその周辺構造を示す左側面図である。
【
図6】排気管及びその周辺構造を示す背面図である。
【
図11】排気管及びその周辺構造を示す平面図であって、第二排気管部材及び第三排気管部材を取り外した状態を示す平面図である。
【
図12】排気管及びその周辺構造を示す右側面図であって、第二排気管部材及び第三排気管部材を取り外した状態を示す右側面図である。
【
図16】別実施形態に係る排気管を右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、矢印Lの方向を「機体左側」、矢印Rの方向を「機体右側」とする。
【0036】
図1及び
図2には、コンバインを示している。コンバインは、自脱型コンバインである。コンバインは、機体1と、刈取部2と、脱穀装置3と、穀粒貯留タンク4と、穀粒排出装置5と、運転キャビン6と、原動部7と、排気管8と、を備えている。
【0037】
機体1は、左右のクローラ走行装置9と、機体フレーム10と、を備えている。機体フレーム10は、左右のクローラ走行装置9に支持されている。
【0038】
刈取部2は、植立穀稈を刈り取る。刈取部2は、機体1の前方に配置されている。本実施形態では、刈取部2は、四条刈りの刈取部によって構成されている。ただし、刈取部2は、四条刈りの刈取部に限定されるものではない。例えば、刈取部2は、二条、三条又は五条刈り以上の刈取部によって構成されていてもよい。
【0039】
脱穀装置3は、刈取穀稈を脱穀し、かつ、脱穀処理物を一番物の穀粒(単粒化穀粒等)及び二番物の穀粒(枝梗付き穀粒等)等に選別する。脱穀装置3は、揚穀装置11と、二番還元装置12と、を備えている。揚穀装置11は、一番物の穀粒を穀粒貯留タンク4に向けて上方に搬送する。二番還元装置12は、二番物の穀粒を脱穀装置3の前部に還元する。二番還元装置12によって脱穀装置3の前部に還元された二番物の穀粒は、脱穀装置3によって再度選別される。揚穀装置11及び二番還元装置12は、脱穀装置3の穀粒貯留タンク4側の側部(本実施形態では、右側部)に設けられている。二番還元装置12は、脱穀装置3の右側部における揚穀装置11よりも後側の箇所に設けられている。
【0040】
穀粒貯留タンク4は、脱穀装置3からの穀粒を貯留する。穀粒貯留タンク4は、脱穀装置3と機体左右方向で隣り合う位置(本実施形態では、脱穀装置3の右隣り)に配置されている。穀粒貯留タンク4は、脱穀装置3からの穀粒を貯留する貯留位置(
図2に示す実線の位置)と、脱穀装置3の穀粒貯留タンク4側の側部(本実施形態では、右側部)を開放する開放位置(
図2に示す二点鎖線の位置)とに亘って、上下方向に沿って延びる揺動軸心Z1周りで揺動可能に構成されている。すなわち、穀粒貯留タンク4は、脱穀装置3からの穀粒を貯留する貯留状態と、脱穀装置3の穀粒貯留タンク4側の側部(本実施形態では、右側部)を開放する開放状態とに状態変更可能に構成されている。
【0041】
穀粒排出装置5は、穀粒貯留タンク4内の穀粒を排出する。穀粒排出装置5は、穀粒貯留タンク4の後方に立設されている。穀粒排出装置5は、上下方向に沿って延びる、揺動軸心Z1と同一の軸心である旋回軸心Z2周りで旋回可能に構成されている。
【0042】
穀粒排出装置5は、穀粒貯留タンク4内の穀粒を上方に搬送する穀粒縦搬送部13と、穀粒縦搬送部13からの穀粒を水平方向に搬送する穀粒水平搬送部14と、を備えている。穀粒水平搬送部14は、穀粒縦搬送部13の上端部に上下揺動可能に支持されている。穀粒水平搬送部14は、折り畳み可能に構成されている。
【0043】
運転キャビン6は、機体1における左右一方側(本実施形態では、右側)に偏倚した位置に配置されている。すなわち、運転キャビン6は、穀粒貯留タンク4の前方に配置されている。運転キャビン6は、運転者が搭乗する運転部15と、運転部15を覆うキャビン部16と、を備えている。運転部15は、運転座席17を備えている。
【0044】
原動部7は、運転部15の下方に設けられている。すなわち、原動部7は、穀粒貯留タンク4の前方に設けられている。原動部7は、エンジンルーム18と、エンジンEと、排気浄化装置19と、を備えている。エンジンルーム18は、エンジンE及び排気浄化装置19を収容している。エンジンルーム18は、運転部15の下方に形成されている。すなわち、エンジンルーム18は、穀粒貯留タンク4の前方に形成されている。
【0045】
排気浄化装置19は、エンジンEの排気を浄化処理する。本実施形態では、排気浄化装置19は、エンジンEの排気をDPF(Diesel Particulate Filter)によって浄化処理する。
【0046】
図3及び
図4に示すように、揚穀装置11は、掃除口(図示省略)を覆う着脱可能な掃除口カバー20を備えている。掃除口カバー20を取り外すことにより、前記掃除口から揚穀装置11の内部のメンテナンスを行うことができる。
【0047】
二番還元装置12は、処理胴部21と、縦搬送部22と、を備えている。処理胴部21は、二番物の穀粒を扱ぎ処理する。処理胴部21は、掃除口(図示省略)を覆う着脱可能な掃除口カバー23を備えている。掃除口カバー23を取り外すことにより、前記掃除口から処理胴部21の内部のメンテナンスを行うことができる。縦搬送部22は、処理胴部21による扱ぎ処理後の二番物の穀粒を上方に搬送する。縦搬送部22は、掃除口(図示省略)を覆う着脱可能な掃除口カバー89を備えている。掃除口カバー89を取り外すことにより、前記掃除口から縦搬送部22の内部のメンテナンスを行うことができる。
【0048】
図4から
図6に示すように、穀粒貯留タンク4は、前壁24と、後壁25と、左側壁26と、右側壁27と、下窄まり部28と、を備えている。
【0049】
前壁24は、平ら又は略平らな平板によって構成されている。すなわち、前壁24は、平ら又は略平らな形状に形成されている。後壁25は、平ら又は略平らな平板によって構成されている。すなわち、後壁25は、平ら又は略平らな形状に形成されている。
【0050】
左側壁26は、穀粒貯留タンク4の脱穀装置3側の側壁である。左側壁26は、平ら又は略平らな平板によって構成されている。すなわち、左側壁26は、平ら又は略平らな形状に形成されている。右側壁27は、穀粒貯留タンク4の脱穀装置3とは反対側の側壁である。右側壁27は、平ら又は略平らな平板によって構成されている。すなわち、右側壁27は、平ら又は略平らな形状に形成されている。
【0051】
前壁24と左側壁26とによって形成される角部には、穀粒貯留タンク4の内部側に凹む前側の凹部29が形成されている。前側の凹部29は、前壁24と左側壁26とによって形成される角部における一部に形成されている。すなわち、前壁24と左側壁26とによって形成される角部は、部分的に穀粒貯留タンク4の内部側に凹んでいる。
【0052】
後壁25と左側壁26とによって形成される角部には、穀粒貯留タンク4の内部側に凹む後側の凹部29が形成されている。後側の凹部29は、後壁25と左側壁26とによって形成される角部における一部に形成されている。すなわち、後壁25と左側壁26とによって形成される角部は、部分的に穀粒貯留タンク4の内部側に凹んでいる。
【0053】
下窄まり部28は、穀粒貯留タンク4の下部に形成されている。下窄まり部28は、機体前後方向視で下方に窄まっている。下窄まり部28の底部には、底スクリュー30が設けられている。底スクリュー30は、穀粒貯留タンク4内の穀粒を穀粒縦搬送部13に向けて後方に搬送する。
【0054】
下窄まり部28は、底部28aを備えている。底部28aは、平ら又は略平らな形状の平板によって構成されている。すなわち、底部28aは、平ら又は略平らな形状に形成されている。底部28aは、右下がりに傾斜している。
【0055】
図6において、底部28aの傾斜角度をθで示している。底部28aの傾斜角度θは、水平線に対する傾斜角度である。本実施形態では、底部28aの傾斜角度θは、40度又は略40度に設定されている。底部28aの傾斜角度θは、穀粒の安息角に設定されている。すなわち、底部28aは、穀粒の安息角で傾斜している。
【0056】
図4及び
図5に示すように、排気浄化装置19は、エンジンEの左側部の上方に配置されている。排気浄化装置19は、脱穀装置3と穀粒貯留タンク4との間の空間Sの前方に配置されている。排気浄化装置19は、前記DPF(図示省略)と、排気浄化ケース31と、尾管32と、を備えている。排気浄化ケース31は、前記DPFを収容している。排気浄化ケース31は、略円筒形状の部材によって構成されている。排気浄化ケース31には、排出部31aが形成されている。
【0057】
排出部31aは、前記DPFによる浄化処理後の、エンジンEの排気を排出する。排出部31aは、排気浄化ケース31の外周部における後部の下部に設けられている。排出部31aは、排気浄化ケース31から右下方に斜めに突出している。尾管32の排気上流側端部は、排出部31aに接続されている。尾管32の排気下流側端部は、排気管8に接続されている。
【0058】
図3から
図6に示すように、排気管8は、エンジンEの排気を排出する。排気浄化装置19による浄化処理後の、エンジンEの排気が、排気管8によって排出される。排気管8は、機体フレーム10の上方に配置されている。排気管8は、脱穀装置3と穀粒貯留タンク4との間において、下窄まり部28の下方を通されている。具体的には、排気管8は、底部28aの下方を通されている。排気管8は、底部28aに対して平行又は略平行に延びている。
【0059】
排気管8は、平面視で穀粒貯留タンク4と重複している。具体的には、排気管8は、平面視で下窄まり部28と重複している。排気管8は、側面視で脱穀装置3及び穀粒貯留タンク4と重複している。具体的には、排気管8は、側面視で脱穀装置3の下部及び下窄まり部28と重複している。
【0060】
排気管8は、穀粒貯留タンク4と揚穀装置11との間を通されている。具体的には、排気管8は、下窄まり部28と揚穀装置11及び二番還元装置12との間を通されている。排気管8と排気浄化装置19とは、機体左右方向で異なる位置に配置されている。具体的には、排気管8は、排気浄化装置19よりも機体左右方向で穀粒貯留タンク4側(本実施形態では、右側)に位置している。排気管8と排気浄化装置19とは、上下方向で異なる位置に配置されている。具体的には、排気管8は、排気浄化装置19よりも下側に配置されている。
【0061】
排気管8は、穀粒貯留タンク4以外の部材に支持されている。本実施形態では、排気管8は、機体フレーム10及び脱穀装置3のうち少なくとも何れか一方に支持されている。すなわち、排気管8は、穀粒貯留タンク4に支持されていない。
【0062】
詳しくは後述するが、排気管8の一部が、着脱可能に構成されている。排気管8における着脱可能な部分には、排気管8の排気下流側部分が含まれている。すなわち、排気管8の少なくとも一部は、着脱可能に構成されている。
【0063】
図7から
図9に示すように、排気管8は、複数(本実施形態では、三つ)の排気管部材に分割されて構成されている。三つの排気管部材は、第一排気管部材33と、第二排気管部材34と、第三排気管部材35と、を備えている。第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35は、排気上流側からこの順で配置されている。第一排気管部材33のサイズを変更することにより、排気管8を車格の違うコンバインに適用することができる。
【0064】
第一排気管部材33は、円筒状の直管によって構成されている。第一排気管部材33は、二重管によって構成されている。
図7から
図9において、第一排気管部材33の中心線をC1で示している。第一排気管部材33は、側面視で後下がりに傾斜している。第一排気管部材33は、平面視で排気下流側ほど右側に位置するように傾斜している。第一排気管部材33の排気上流側端部は、尾管32の排気下流側端部に排気管8の径方向外側から重なり合っている。第一排気管部材33の排気下流側端部には、第一小径部33aが形成されている。第一小径部33aは、第一排気管部材33における他の部分よりも小径に形成されている。
【0065】
第一排気管部材33の排気上流側端部には、外気を排気管8内に導入する第一外気導入部36が形成されている。第一外気導入部36は、尾管32と第一排気管部材33との接続部に形成されている。具体的には、第一外気導入部36は、尾管32の排気下流側端部の外周と第一排気管部材33の排気上流側端部の内周との間に形成されている。第一外気導入部36は、エンジンルーム18に臨んでいる。第一外気導入部36は、エンジンルーム18内で開口している。
【0066】
第一排気管部材33は、機体フレーム10に支持されている。具体的には、第一排気管部材33は、ステー37、ステー38及び台座39を介して、機体フレーム10に支持されている。第一排気管部材33は、ステー40及び支柱41を介して、機体フレーム10に支持されている。第一排気管部材33は、前取り付け部42と、後取り付け部43と、を備えている。
【0067】
台座39には、エンジンEからの動力を底スクリュー30に伝達するギヤケース44が取り付けられている。ステー38は、台座39及びギヤケース44に取り付けられている。ステー37は、ステー38に取り付けられている。後取り付け部43は、ステー37に取り付けられている。具体的には、後取り付け部43が、ステー37に対して右側から当て付けられた状態で、前後のボルト45によって固定されている。
【0068】
支柱41は、エンジンルーム18の後方において、機体フレーム10上に立設されている。ステー40は、前取り付け部42及び支柱41に取り付けられている。具体的には、ステー40が、前取り付け部42に対して右側から当て付けられた状態で、ボルト46によって固定され、かつ、支柱41に対して後側から当て付けられた状態で、ボルト46によって固定されている。
【0069】
第二排気管部材34は、円筒状の直管(二重管)によって構成されている。第二排気管部材34は、二重管によって構成されている。
図7から
図9において、第二排気管部材34の中心線をC2で示している。第二排気管部材34は、水平又は略水平に配置されている。第二排気管部材34は、平面視で機体前後方向に沿って直線状に延びている。第二排気管部材34は、揚穀装置11の横方(本実施形態では、右方)に位置している。第一排気管部材33と第二排気管部材34とは、互いに重なり合って設けられている。具体的には、第二排気管部材34の排気上流側端部は、第一小径部33aに排気管8の径方向外側から重なり合っている。第二排気管部材34の排気下流側端部には、第二小径部34aが形成されている。第二小径部34aは、第二排気管部材34における他の部分よりも小径に形成されている。
【0070】
第二排気管部材34の排気上流側端部には、外気を排気管8内に導入する第二外気導入部47が形成されている。第二外気導入部47は、第一排気管部材33と第二排気管部材34との接続部に形成されている。具体的には、第二外気導入部47は、第一小径部33aの外周と第二排気管部材34の排気上流側端部の内周との間に形成されている。第一排気管部材33と第二排気管部材34との接続部の外周には、断熱材48が取り付けられている。具体的には、断熱材48は、第一排気管部材33の排気下流側端部の外周に取り付けられている。
【0071】
第二排気管部材34は、脱穀装置3に支持されている。具体的には、第二排気管部材34は、揚穀装置11に支持されている。第二排気管部材34は、前後の取り付け部49を備えている。揚穀装置11は、取り付け部50を備えている。前後の取り付け部49は、取り付け部50に前後のボルト51によって固定されている。具体的には、前後の取り付け部49が、取り付け部50に対して右側から当て付けられた状態で、前後のボルト51によって固定されている。後側の取り付け部49には、詳しくは後述する前取っ手52が設けられている。
【0072】
第一排気管部材33の中心線C1と第二排気管部材34の中心線C2とは、互いに位置ずれしている。具体的には、第一排気管部材33の中心線C1と第二排気管部材34の中心線C2とは、平面視及び側面視で互いに位置ずれしている。すなわち、排気管8は、第一排気管部材33と第二排気管部材34との接続部で曲がっている。
【0073】
図7から
図10に示すように、第三排気管部材35は、四角筒状の部材によって構成されている。第三排気管部材35は、平面視で排気下流側ほど右側に位置するように曲がっている。第三排気管部材35は、側面視で後下がりに傾斜している。すなわち、排気管8の排気下流側端部は、側面視で後下がりに傾斜している。第三排気管部材35は、機体前後方向視で下窄まり部28に沿って傾斜している。すなわち、排気管8の排気下流側端部は、機体前後方向視で下窄まり部28に沿って傾斜している。第三排気管部材35は、二番還元装置12の横方(本実施形態では、右方)に位置している。第二排気管部材34と第三排気管部材35とは、互いに重なり合って設けられている。具体的には、第三排気管部材35の排気上流側端部は、第二小径部34aに排気管8の径方向外側から重なり合っている。
【0074】
第三排気管部材35の外周には、断熱材53が取り付けられている。具体的には、第三排気管部材35の外周の四面のうち三面にのみ、断熱材53が取り付けられている。すなわち、第三排気管部材35の外周における一面(
図7に示す面35a)には、断熱材53が取り付けられていない。
【0075】
第三排気管部材35の排気上流側端部には、外気を排気管8内に導入する第三外気導入部54が形成されている。第三外気導入部54は、第二排気管部材34と第三排気管部材35との接続部に形成されている。具体的には、第三外気導入部54は、第二小径部34aの外周と第三排気管部材35の排気上流側端部の内周との間に形成されている。第二排気管部材34と第三排気管部材35との接続部の外周には、断熱材55が取り付けられている。具体的には、断熱材55は、第二排気管部材34の排気下流側端部の外周に取り付けられている。
【0076】
第三排気管部材35は、脱穀装置3に支持されている。具体的には、第三排気管部材35は、二番還元装置12に支持されている。第三排気管部材35には、ステー56が前後のボルト57によって固定されている。ステー56は、ステー58にボルト59によって固定されている。具体的には、ステー56が、ステー58に対して右側から当て付けられた状態で、ボルト59によって固定されている。ステー58は、掃除口カバー23に前後のボルト60によって固定されている。ステー56には、詳しくは後述する後取っ手61が設けられている。
【0077】
図3から
図6に示すように、排気管8の排気下流側端部には、外部に開口する排気口62が形成されている。排気口62は、第三排気管部材35の排気下流側端部に形成されている。第三排気管部材35の排気下流側端部は、排気下流側ほど断面が小さくなる絞り形状に形成されている。
図6において、脱穀装置3の上端をP1、機体フレーム10の下端をP2で示している。本実施形態では、機体フレーム10の下端P2は、機体フレーム10の横縁部(詳しくは後述する側部フレーム65)の下端である。排気口62は、脱穀装置3の上端P1よりも下側で、機体フレーム10の下端P2よりも上側に配置されている。
【0078】
排気口62は、縦搬送部22よりも後側に位置している。すなわち、排気口62は、揚穀装置11よりも後側に位置している。排気口62は、穀粒排出装置5における穀粒貯留タンク4の後方に立設される部分(穀粒縦搬送部13)よりも、前側に位置している。本実施形態では、排気口62は、穀粒貯留タンク4の後壁25よりも前側に位置している。
【0079】
排気口62は、下方に開口している。具体的には、排気口62は、機体前後方向視で右下方に開口し、かつ、側面視で後下方に開口している。排気口62は、機体前後方向視で、左右一対のクローラ走行装置9のうち何れか一方のクローラ走行装置9に向かって開口している。本実施形態では、排気口62は、機体前後方向視で、左右一対のクローラ走行装置9のうち右側のクローラ走行装置9に向かって開口している。すなわち、排気口62は、機体前後方向視で、左右一対のクローラ走行装置9のうち穀粒貯留タンク4側のクローラ走行装置9に向かって開口している。脱穀装置3の後方には、燃料タンク63が配置されている。排気口62は、機体左右方向で燃料タンク63とは反対側(本実施形態では、右側)に開口している。
【0080】
機体フレーム10は、枠状に構成されている。機体フレーム10は、左右の主フレーム64と、左右の側部フレーム65と、複数の横フレーム66と、を備えている。主フレーム64は、機体前後方向に沿って延びている。左右の主フレーム64は、左右のクローラ走行装置9の間に配置されている。側部フレーム65は、機体前後方向に沿って延びている。左側の側部フレーム65は、機体フレーム10の左縁部に設けられている。右側の側部フレーム65は、機体フレーム10の右縁部に設けられている。横フレーム66は、機体左右方向に沿って延びている。横フレーム66は、左右の側部フレーム65に亘って設けられている。
【0081】
図3から
図6において、排気口62の中心の延長線をC3で示している。排気口62の中心の延長線C3は、機体フレーム10の枠A内を通り、かつ、右側のクローラ走行装置9の後方を通っている。すなわち、排気口62の中心の延長線C3は、機体フレーム10及び右側のクローラ走行装置9に当たらない。
【0082】
機体フレーム10の枠Aは、機体フレーム10の右後角部に位置している。機体フレーム10の枠Aは、機体フレーム10の後部における前後の横フレーム66と、右側の側部フレーム65と、右側の主フレーム64とで囲まれている。機体フレーム10の枠Aの領域は、右側のクローラ走行装置9の後端部の上方に位置している。すなわち、機体フレーム10の枠Aの領域は、平面視で右側のクローラ走行装置9の後端部と重複している。
【0083】
図7から
図10に示すように、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35は、カバー67によって覆われている。カバー67は、排気管8と穀粒貯留タンク4との間に配置されている。カバー67は、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35のそれぞれにおける穀粒貯留タンク4側の部分を覆っている。カバー67は、排気管8に支持されている。すなわち、カバー67は、穀粒貯留タンク4に支持されていない。カバー67は、第一排気管部材33を覆う第一カバー部材68と、第二排気管部材34を覆う第二カバー部材69と、第三排気管部材35を覆う第三カバー部材70と、を備えている。
【0084】
第一カバー部材68は、第一排気管部材33における穀粒貯留タンク4側の部分を覆っている。第一カバー部材68の上面は、機体左右方向で穀粒貯留タンク4側下がり(本実施形態では、右下がり)に傾斜している。第一カバー部材68は、第一排気管部材33に取り付けられている。第一排気管部材33は、三つの取り付け部71を備えている。第一カバー部材68は、三つの取り付け部71のそれぞれにボルト72によって固定されている。第一カバー部材68の前下角部は、ステー40をかわすために、切り欠き形状に形成されている。
【0085】
第二カバー部材69は、第二排気管部材34における穀粒貯留タンク4側の部分を覆っている。第二カバー部材69の上面は、機体左右方向で穀粒貯留タンク4側下がり(本実施形態では、右下がり)に傾斜している。第二カバー部材69は、第二排気管部材34に取り付けられている。第二排気管部材34は、三つの取り付け部73を備えている。第二カバー部材69は、三つの取り付け部73のそれぞれにボルト74によって固定されている。第一カバー部材68の後端部と第二カバー部材69の前端部とは、互いに重なり合っている。本実施形態では、第二カバー部材69の前端部が、第一カバー部材68の後端部に排気管8の径方向外側から重なり合っている。
【0086】
第三カバー部材70は、第三排気管部材35における穀粒貯留タンク4側の部分を覆っている。第三カバー部材70の上面は、機体左右方向で穀粒貯留タンク4側下がり(本実施形態では、右下がり)に傾斜している。第三カバー部材70は、第三排気管部材35に取り付けられている。第三排気管部材35は、二つの取り付け部75を備えている。第三カバー部材70は、二つの取り付け部75のそれぞれにボルト76によって固定されている。第二カバー部材69の後端部と第三カバー部材70の前端部とは、互いに重なり合っている。本実施形態では、第二カバー部材69の後端部が、第三カバー部材70の前端部に排気管8の径方向外側から重なり合っている。第二カバー部材69の後端部と第三カバー部材70の前端部とが互いに重なり合う部分が、ボルト77によって固定されている。
【0087】
図7から
図9に示すように、第二排気管部材34及び第三排気管部材35によって、ユニット78が構成されている。第二排気管部材34の排気下流側端部と第三排気管部材35とが排気上流側端部とがボルト79によって固定されることにより、第二排気管部材34と第三排気管部材35とがユニット化されている。第二排気管部材34は、取り付け部80を備えている。取り付け部80は、第二排気管部材34の排気下流側端部に設けられている。第三排気管部材35は、取り付け部81を備えている。取り付け部81は、第三排気管部材35の排気上流側端部に設けられている。取り付け部80と取り付け部81とがボルト79によって固定されている。具体的には、取り付け部81が、取り付け部80に対して上側から当て付けられた状態で、ボルト79によって固定されている。
【0088】
前述のように、第二排気管部材34及び第二排気管部材34は、脱穀装置3に支持されている。すなわち、ユニット78は、脱穀装置3に支持されている。言い換えると、ユニット78は、同一の部材に支持されている。
【0089】
詳しくは後述するが、前後のボルト51及びボルト59を取り外すことにより、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を取り外すことができる。すなわち、第二排気管部材34と第三排気管部材35とが一体的に着脱可能に構成されている。本実施形態では、第二排気管部材34と第三排気管部材35と第二カバー部材69と第三カバー部材70とが一体的に着脱可能に構成されている。
【0090】
第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35のうち第二排気管部材34及び第三排気管部材35が、着脱可能に構成されている。すなわち、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35のうち少なくとも一つは、着脱可能に構成されている。言い換えると、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35のうち少なくとも最も排気下流側に位置する第三排気管部材35は、着脱可能に構成されている。
【0091】
前述のように、第二排気管部材34は、揚穀装置11の横方(本実施形態では、右方)に位置し、かつ、第三排気管部材35は、二番還元装置12の横方(本実施形態では、右方)に位置している。すなわち、排気管8における少なくとも揚穀装置11及び二番還元装置12の横方(本実施形態では、右方)に位置する部分(第二排気管部材34及び第三排気管部材35)は、着脱可能に構成されている。
【0092】
前述のように、第二排気管部材34及び第二排気管部材34には、それぞれ、前取っ手52及び後取っ手61が設けられている。すなわち、排気管8における着脱可能な部分(第二排気管部材34及び第二排気管部材34)に、複数(本実施形態では、二つ)の前取っ手52及び後取っ手61が設けられている。前取っ手52及び後取っ手61は、機体前後方向で異なる位置に配置されている。
【0093】
前取っ手52は、第二排気管部材34に対して下側に配置されている。後取っ手61は、第三排気管部材35に対して上側に配置されている。すなわち、前取っ手52及び後取っ手61は、排気管8における着脱可能な部分(第二排気管部材34及び第二排気管部材34)を挟んで上下に配置されている。
【0094】
前取っ手52は、第二排気管部材34に対して右側に配置されている。後取っ手61は、第三排気管部材35に対して左側に配置されている。すなわち、前取っ手52及び後取っ手61は、排気管8における着脱可能な部分(第二排気管部材34及び第二排気管部材34)を挟んで左右に配置されている。
【0095】
前取っ手52は、機体左右方向に沿って配置されている。具体的には、前取っ手52は、後側の取り付け部49から右方に延びている。
【0096】
後取っ手61は、機体前後方向に沿って配置されている。具体的には、後取っ手61は、側面視で前方に開口する略C字形状に形成されている。後取っ手61は、上下方向に沿って延びる第一部分61aと、第一部分61aの上端部から前方に延びる第二部分61bと、第一部分61aの下端部から前方に延びる第三部分61cと、を備えている。
【0097】
第三部分61cは、ステー56に固定されている。ステー58には、ステー82がボルト83によって固定されている。ステー82には、開口82aが形成されている。開口82aは、機体前後方向に開口している。開口82aには、第三部分61cの前端部が後方から差し込まれている。
【0098】
ここで、排気管8は、エンジンEの排気を排出する排出状態と、エンジンEの排気を排出しない非排出状態とに状態変更可能に構成されている。本実施形態では、前記排出状態とは、第二排気管部材34及び第三排気管部材35が取り付けられた状態である。前記非排出状態とは、第二排気管部材34及び第三排気管部材35が取り外された状態である。排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことは、センサー84によって検知される。
【0099】
センサー84は、ステー85に取り付けられている。ステー85は、脱穀装置3の右側部に上下のボルト86によって固定されている。センサー84は、ステー85を介して脱穀装置3の右側部に支持されている。ステー56の前端部には、センサー84に接触する接触部56aが形成されている。第二排気管部材34及び第三排気管部材35が取り付けられた状態において、接触部56aがセンサー84に後側から接触している。
【0100】
前後のボルト51及びボルト59を取り外すことにより、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を取り外すことができる。具体的には、以下の手順で第二排気管部材34及び第三排気管部材35を取り外すことができる。
【0101】
先ず、前後のボルト51及びボルト59を取り外す。次に、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を、第一排気管部材33に対して離間する側(本実施形態では、後側)にスライドさせる。その際、作業者は、前取っ手52及び後取っ手61を持つことができる。
【0102】
そして、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を後側にスライドさせることにより、第一排気管部材33の排気下流側端部(第一小径部33a)と第二排気管部材34の排気上流側端部とが互いに重なり合う状態が解消されると共に、後取っ手61(第三部分61c)が開口82aから抜ける。
【0103】
こうして、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を取り外すことができる(
図11及び
図12参照)。すなわち、排気管8を前記排出状態から前記非排出状態に状態変更することができる。
【0104】
図11及び
図12に示すように、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を取り外すことにより、揚穀装置11及び二番還元装置12が開放される。これにより、穀粒貯留タンク4を前記開放位置(
図2参照)に位置変更して、揚穀装置11及び二番還元装置12のメンテンナンスを行う際に、揚穀装置11及び二番還元装置12に容易にアクセスすることができる。
【0105】
ここで、取り外された、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を仮置きするための場所(仮置き場所)が、コンバインにあってもよい。前記仮置き場所は、例えば、穀粒貯留タンク4の周辺に設けられていてもよい。この場合、前記仮置き場所に、取り外された、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を、引っ掛けるための引っ掛け部材(例えば、棒等)が設けられていてもよい。例えば、前取っ手52や後取っ手61を、前記引っ掛け部材に引っ掛けることができる。
【0106】
ここで、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を後側にスライドさせることにより、ステー56(接触部56a)がセンサー84から離間する。これにより、センサー84によって排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことが検知される。すなわち、センサー84は、排気管8における着脱可能な部分(第二排気管部材34及び第三排気管部材35)が、機体前後方向で、排気管8における他の部分(第一排気管部材33)に対して離間する側(本実施形態では、後側)にスライドされることにより、排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことを検知する。
【0107】
図13には、コンバインの制御構成を示している。コンバインは、エンジンEと、センサー84と、制御装置87と、始動スイッチ88と、を備えている。制御装置87は、センサー84の検知結果に基づいて、エンジンEを制御する。始動スイッチ88は、エンジンEの始動を制御装置87に指令する。
【0108】
図14に示すように、センサー84によって排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことが検知されると(S1 Yes)、エンジンEの始動が禁止される(S2)。すなわち、センサー84によって排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことが検知されると(S1 Yes)、制御装置87は、始動スイッチ88からエンジンEを始動する指令があっても、エンジンEを始動しない。このように、排気管8が前記非排出状態である場合、エンジンEの始動が禁止される。
【0109】
一方、センサー84によって排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことが検知されない場合(S1 No)、エンジンEの始動が禁止されない(S3)。すなわち、センサー84によって排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことが検知されない場合(S1 No)、制御装置87は、始動スイッチ88からエンジンEを始動する指令があると、エンジンEを始動する。
【0110】
図15に示すように、エンジンEが稼働中に、センサー84によって排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことが検知されると(S1 Yes)、エンジンEが停止される(S2)。すなわち、エンジンEが稼働中に、センサー84によって排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことが検知されると(S1 Yes)、制御装置87は、エンジンEを停止する。このように、エンジンEが稼働中に、排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更された場合、エンジンEが停止される。
【0111】
一方、エンジンEが稼働中に、センサー84によって排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことが検知されない場合(S1 No)、エンジンEが停止されない(S3)。すなわち、エンジンEが稼働中に、センサー84によって排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことが検知されない場合(S1 No)、制御装置87は、エンジンEを停止しない。
【0112】
以下では、本発明に係る別実施形態について説明する。
【0113】
(1)上記実施形態では、第二排気管部材34と第三排気管部材35とが一体的に着脱可能に構成されている。しかし、
図16に示すように、第二排気管部材34と第三排気管部材35とが一体的に揺動可能に構成されていてもよい。第二排気管部材34の前端部は、回動機構94によって上下揺動可能に支持されている。
【0114】
排気管8の一部が、揺動可能に構成されている。排気管8における揺動可能な部分には、排気管8の排気下流側部分が含まれている。すなわち、排気管8の少なくとも一部は、揺動可能に構成されている。
【0115】
排気管8における少なくとも揚穀装置11及び二番還元装置12の横方(右方)に位置する部分(第二排気管部材34及び第三排気管部材35)は、揺動可能に構成されている。第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35のうち第二排気管部材34及び第三排気管部材35が、揺動可能に構成されている。すなわち、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35のうち少なくとも一つは、揺動可能に構成されている。言い換えると、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35のうち少なくとも最も排気下流側に位置する第三排気管部材35は、揺動可能に構成されている。
【0116】
排気管8における揺動可能な部分(第二排気管部材34及び第二排気管部材34)に、複数(二つ)の前取っ手52及び後取っ手61が設けられている。前取っ手52及び後取っ手61は、排気管8における揺動可能な部分(第二排気管部材34及び第二排気管部材34)を挟んで上下に配置されている。前取っ手52及び後取っ手61は、排気管8における揺動可能な部分(第二排気管部材34及び第二排気管部材34)を挟んで左右に配置されている。
【0117】
本別実施形態でも、上記実施形態と同様に、前後のボルト51及びボルト59を取り外して、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を、第一排気管部材33に対して離間する側(後側)にスライドさせることにより、第二排気管部材34及び第三排気管部材35を、回動機構90を介して上方に揺動させることができる。すなわち、排気管8を前記排出状態から前記非排出状態に状態変更することができる。センサー84は、排気管8における揺動可能な部分(第二排気管部材34及び第三排気管部材35)が、機体前後方向で、排気管8における他の部分(第一排気管部材33)に対して離間する側(後側)にスライドされることにより、排気管8が前記排出状態から前記非排出状態に状態変更されたことを検知する。
【0118】
(2)上記実施形態では、底部28aは、穀粒の安息角で傾斜している。しかし、底部28aは、穀粒の安息角よりも大きな角度で傾斜していてもよい。すなわち、底部28aは、穀粒の安息角以上で傾斜していてもよい。
【0119】
(3)上記実施形態では、前壁24と左側壁26とによって形成される角部及び後壁25と左側壁26とによって形成される角部は、それぞれ、部分的に穀粒貯留タンク4の内部側に凹んでいる。しかし、前壁24と左側壁26とによって形成される角部及び後壁25と左側壁26とによって形成される角部は、それぞれ、部分的に穀粒貯留タンク4の内部側に凹んでいなくてもよい。
【0120】
(4)上記実施形態では、第一排気管部材33は、機体フレーム10に支持され、第二排気管部材34及び第三排気管部材35は、脱穀装置3に支持されている。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0121】
例えば、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35は、機体フレーム10に支持されていてもよい。また、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35は、脱穀装置3に支持されていてもよい。
【0122】
(5)上記実施形態では、排気浄化装置19は、エンジンルーム18に収容されている。しかし、排気浄化装置19は、エンジンルーム18の外部に設けられていてもよい。この場合、排気浄化装置19は、排気管8の中途部に設けられることになる。
【0123】
(6)上記実施形態では、第一外気導入部36は、エンジンルーム18に臨んでいる。しかし、第一外気導入部36は、エンジンルーム18に臨んでいなくてもよい。
【0124】
(7)上記実施形態では、排気管8と排気浄化装置19とは、機体左右方向で異なる位置に配置されている。しかし、排気管8と排気浄化装置19とは、機体左右方向で同じ位置に配置されていてもよい。
【0125】
(8)上記実施形態では、排気管8と排気浄化装置19とは、上下方向で異なる位置に配置されている。しかし、排気管8と排気浄化装置19とは、上下方向で同じ位置に配置されていてもよい。
【0126】
(9)上記実施形態では、排気口62は、穀粒貯留タンク4の後壁25よりも前側に位置している。しかし、排気口62は、穀粒貯留タンク4の後壁25よりも後側に位置していてもよい。
【0127】
(10)上記実施形態では、排気口62は、機体前後方向視で、左右一対のクローラ走行装置9のうち穀粒貯留タンク4側のクローラ走行装置9に向かって開口している。すなわち、排気口62は、機体前後方向視で、左右一対のクローラ走行装置9のうち右側のクローラ走行装置9に向かって開口している。しかし、排気口62は、機体前後方向視で、左右一対のクローラ走行装置9のうち穀粒貯留タンク4とは反対側のクローラ走行装置9に向かって開口していてもよい。すなわち、排気口62は、機体前後方向視で、左右一対のクローラ走行装置9のうち左側のクローラ走行装置9に向かって開口していてもよい。
【0128】
(11)上記実施形態では、排気管8の一部が、着脱可能に構成されている。しかし、排気管8の全部が、着脱可能に構成されていてもよい。
【0129】
(12)上記実施形態では、第二排気管部材34及び第二排気管部材34に、「取っ手」が二つ(前取っ手52及び後取っ手61)設けられている。しかし、第二排気管部材34及び第二排気管部材34に、「取っ手」が一つ又は三つ以上設けられていてもよい。
【0130】
(13)上記実施形態では、排気管8は、三つの排気管部材に分割されて構成されている。しかし、排気管8は、二つ又は四つ以上の排気管部材に分割されて構成されていてもよい。
【0131】
(14)上記実施形態では、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35のうち第二排気管部材34及び第三排気管部材35が、着脱可能に構成されている。しかし、第一排気管部材33、第二排気管部材34及び第三排気管部材35が、着脱可能に構成されていてもよい。
【0132】
(15)上記実施形態では、コンバインは、カバー67を備えている。しかし、コンバインは、カバー67を備えていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、自脱型コンバインの他、全稈投入型コンバインにも利用可能である。
【符号の説明】
【0134】
3 脱穀装置
4 穀粒貯留部、穀粒貯留タンク
5 穀粒排出装置
8 排気管
9 クローラ走行装置
10 機体フレーム
11 揚穀装置
25後壁
28下窄まり部
62 排気口
63 燃料タンク
A 機体フレームの枠
C3 排気口の中心の延長線
E エンジン
P1 脱穀装置の上端
P2 機体フレームの下端