(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155142
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】天井保管棚、および搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/14 20060101AFI20241024BHJP
B65G 1/06 20060101ALI20241024BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B65G1/14 H
B65G1/06 511A
B65G1/04 551A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069586
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 将
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022BB09
3F022CC02
3F022EE05
3F022FF07
3F022FF26
3F022JJ08
3F022KK11
3F022MM01
3F022MM17
(57)【要約】
【課題】複数の収容物を収容できる天井保管棚を実現する。
【解決手段】収容物(P)を保管するための、天井から吊り下げられた天井保管棚(1)は、昇降可能な複数の棚段(12)と、棚段を昇降させる昇降部(15)と、を備え、上下に隣り合う棚段の間隔が収容物の高さよりも狭くなるまで接近できるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送レールおよび搬送台車を備えた搬送システムにおける、所定の収容物を保管するための、天井から吊り下げられた天井保管棚であって、
昇降可能な複数の棚段と、
前記棚段を昇降させる昇降部と、を備え、
上下に隣り合う前記棚段の間隔が前記収容物の高さよりも狭くなるまで接近できるように構成されている、天井保管棚。
【請求項2】
前記昇降部は、昇降する把持部であって、前記棚段を所要の高さにセットするための前記棚段を把持する把持部を有している、請求項1に記載の天井保管棚。
【請求項3】
前記棚段を異なる複数の高さにおいて係合できる係合部材を更に備える、請求項2に記載の天井保管棚。
【請求項4】
前記昇降部は、前記収容物が前記棚段に載置された後に、前記収容物が前記棚段に載置された状態で前記棚段を昇降させて、前記係合部材に係合させる、請求項3に記載の天井保管棚。
【請求項5】
前記昇降部は、前記収容物が前記棚段に載置された後に、前記棚段直下の前記棚段に前記収容物を載置できる位置まで昇降する、請求項1に記載の天井保管棚。
【請求項6】
前記昇降部は、前記棚段に載置された前記収容物を前記搬送台車が取り出す場合に、前記搬送台車が前記収容物を取り上げできる所要の位置まで前記棚段を昇降する、請求項1に記載の天井保管棚。
【請求項7】
前記複数の棚段は、それぞれ独立して昇降できる、請求項1に記載の天井保管棚。
【請求項8】
請求項1に記載の天井保管棚を備えた搬送システムであって、
前記天井保管棚に隣接して設けられる搬送レールと、
前記搬送レールの上を走行し、前記天井保管棚に対し前記収容物を載置する搬送台車と、を備えた搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天井保管棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば半導体製品を製造する工場等では、天井に設けられたレールに沿って物品を搬送する天井搬送車が用いられてきた。工場には、天井搬送車が搬送している収容物を一時的に保管するために、レールに沿って天井保管棚が設けられることがある。特許文献1は、2段の天井保管棚に、収容物を載置できる天井搬送車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/095570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、天井保管棚の収容量は、2段では十分ではない場合がある。また、スペースの関係で、レールに沿って複数の天井保管棚を設けられない場合もある。そのため、限られたフロア面積においてより多くの収容物を収容できる天井保管棚が求められている。
【0005】
本発明の一態様は、複数の収容物を収容できる天井保管棚を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る天井保管棚は、所定の収容物を保管するための、天井から吊り下げられた天井保管棚であって、昇降可能な複数の棚段と、前記棚段を昇降させる昇降部と、を備え、上下に隣り合う前記棚段の間隔が前記収容物の高さよりも狭くなるまで接近できるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、複数の収容物を収容できる天井保管棚を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る天井保管棚と、それを用いた搬送システムの構成を示す正面図である。
【
図2】実施形態1に係る天井保管棚の棚段が昇降している場合の上面図である。
【
図3】実施形態1に係る天井保管棚の棚段が昇降している場合の正面図である。
【
図4】実施形態1に係る天井保管棚の棚段が昇降している場合の
図2におけるA-A断面図である。
【
図5】実施形態1に係る天井保管棚の棚段が係合部に係合している場合の上面図である。
【
図6】実施形態1に係る天井保管棚の棚段が係合部に係合している場合の
図5におけるB-B断面図である。
【
図7】搬送システムの要部の構成を示すブロック図である。
【
図8】実施形態2に係る天井保管棚と、それを用いた搬送システムの構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0010】
(搬送システム100の概要)
図1は、実施形態1に係る天井保管棚1と、それを用いた搬送システム100の構成を示す正面図である。搬送システム100は、天井から吊り下げられた搬送レール2と、搬送レール2上を走行する搬送台車3と、搬送レール2に隣接して設けられる天井保管棚1と、を備える。搬送台車3は、複数台あってもよい。
【0011】
搬送台車3は、走行部31と、台車部32と、移載部33と、を備える。走行部31は、搬送レール2上を走行する部分である。台車部32は、走行部31に吊り下げられた台車であり、収容物Pを収容する。移載部33は、台車部32に収容された収容物Pを、搬送台車3の側方に移載する機構である。移載部33には、搬送台車3の側方に収容物Pをスライドさせる機構と、収容物Pを載置または取出しする機構と、が含まれる。そのため、搬送システム100は、移載部33によって搬送台車3から天井保管棚1に対し、収容物Pを移載することができる。なお、収容物Pはウェハ収容容器またはレチクル収容容器などがある。
【0012】
(天井保管棚1の概要)
図2は、実施形態1に係る天井保管棚1の棚段12が昇降している場合の上面図である。
図3は、実施形態1に係る天井保管棚1の棚段12が昇降している場合の正面図である。
図4は、実施形態1に係る天井保管棚1の棚段12が昇降している場合の
図2におけるA-A断面図である。
図5は、実施形態1に係る天井保管棚1の棚段12が係合部17に係合している場合の上面図である。
図6は、実施形態1に係る天井保管棚1の棚段12が係合部17に係合している場合の
図5におけるB-B断面図である。天井保管棚1は、構造部11と、複数の棚段12と単一の棚段13と、リニアガイド14と、昇降部15と、把持部16と、係合部17と、を備える。
【0013】
構造部11は、天井保管棚1全体の構造を担う部分であり、天井から吊り下げられている。棚段12は、構造部11に対して昇降可能に設けられている。対して、棚段13は、構造部11に対して固定されている。
【0014】
本実施形態では、天井保管棚1は、昇降可能な棚段12を3段有し、さらに固定された棚段13を最下部に有する。棚段12は上から順に棚段12a、棚段12b、および棚段12cとも称する。天井から棚段12aまでの間隔をD1、棚段12aから棚段12bまでの間隔をD2、棚段12bから棚段12cまでの間隔をD3、棚段12cから棚段13までの間隔をD4とする。また、棚段12または棚段13に収容する収容物Pの高さはHである。
【0015】
棚段12は、棚部121と、被把持部122と、接続部123と、を備える。棚部121は、収容物Pを載置する棚である。棚部121は、適宜収容物Pに合わせた形状をしていてもよい。被把持部122は、棚部121と離間した部分であり、後述する把持部16によって把持される。接続部123は、棚部121と被把持部122とを接続する部分であり、L字に折れ曲がっている。被把持部122の両端の底面に、被係合部124が形成されている。被係合部124は、後述する係合部材171に当接し係合する部分である。
【0016】
接続部123の正面方向矢視での水平方向での幅W1は、棚部121および被把持部122より狭く、後述する2つの係合部17が配置された間隔よりも狭い。つまり、接続部123は凹状に形成されている。
【0017】
棚部121は、接続部123に対して角度θ(θ≦90°)で固定されている。角度θは、棚部121と接続部123との成す角度である。角度θが90°よりも小さいことによって、棚部121に載置された収容物Pが落下することを防ぐことができる。また、角度θは、棚部121が片持ち梁であることによって、撓むこと、および構造上のガタによって棚部121が傾斜することを考慮した角度としてもよい。すなわち、撓む場合、ガタで傾斜した場合に、棚部121が水平になるように角度θを設定してもよい。
【0018】
リニアガイド14は、リニアガイドにおける固定部(リニアガイドレール)141が構造部11に固定されたリニアガイドであり、固定部141に対して棚段12が支持されて、棚段12が鉛直方向に昇降する。なお、リニアガイド14はリニアガイドに制限されず、リニアブッシュ、スライドレール等の任意の直動支持機構であればよい。
【0019】
昇降部15は、リニアガイド14における可動部(リニアガイドブロック)142に固定されている。昇降部15は、構造部11に対して昇降することができ(可動できる)、後述する把持部16で把持した棚段12を昇降させることができる。リニアガイド14の固定部141の端部に、駆動部151が固定されている。駆動部151は、一端が駆動部151に固定され、他端が昇降部15に固定されたベルトを巻き取るモータである。そのため、駆動部151は、ベルトをドラムに巻き取ることによって、昇降部15を昇降させることができる。また、昇降部15は、把持部16で把持した棚段12を他の棚段12から独立して昇降させることができる。
【0020】
把持部16は昇降部15に固定された把持機構である。つまり、昇降部15は昇降する把持機構である。把持部16は、棚段12を支持する下把持部163と、下把持部163に対して棚段12を押し付けて棚段12を押さえる上把持部164と、が備わっており、下把持部163および上把持部164を合わせて把持機構とも称する。
【0021】
下把持部163および上把持部164は、基部162に接続されている。上把持部164は基部162に対して上下に駆動し、被把持部122を把持する機構であり、例えばシリンダなどを搭載している。把持部16は、基部162と昇降部15との間に、移動機構161を有している。移動機構161は、把持機構を前後にスライドできる機構であり、例えばシリンダなどである。つまり、移動機構161の長さが変化することによって、把持機構の位置が前後し、把持部16によって把持されている棚段12の位置も前後する。
【0022】
なお、昇降部15は、昇降基部152と、昇降回転部153とによって構成されていてもよい。昇降回転部153は、昇降基部152に対して回転駆動する機構であり、昇降回転部153としてはロータリーシリンダなどである。つまり、把持部16および棚段12は、昇降回転部153によって回転することができる。なお、昇降回転部153の回転角度は所定の角度である。
【0023】
係合部17は、構造部11に設けられた一対の凹状の鉛直方向に延伸した部材である。一対の係合部17の凹部は互いに対向している。係合部17の間に、水平面内において把持部16が位置する。また、係合部17の間隔W2は、接続部123の幅W1よりも大きい。そのため、係合部17は、棚段12に干渉しない構造をなしている。また、係合部17における凹部には、被把持部122が位置する。
【0024】
係合部17は、所要の高さに、係合部材171を有している。係合部材171は、係合部17から、突出した構造をしており、係合部材171の上に被係合部124が当接することによって係合しあう。係合部材171は棚段12および収容物Pの重量を支持できる構造を成している。また、係合部材171には、棚段12の傾斜を防止する任意の機構が備わっていてもよい。なお、係合部17における係合部材171が位置する所要の高さは複数あってもよい。つまり、把持部16と係合部17とによって、把持部16が把持した棚段12を係合部17の所要の高さにセットすることができる。
【0025】
なお、係合部材171がある平面において、係合部17が存在しない空隙172がある。該空隙172の大きさは、被係合部124の大きさよりも大きい。そのため、把持部16が昇降する場合に、被係合部124が空隙172を通過することで、棚段12は係合部17に干渉せずに昇降できる。
【0026】
ここで、棚部121は、係合部17に向けて接続部123よりも突出している部分125がある。該突出している部分125は次に示すように、昇降時および係合時において常に係合部17に当接している。
【0027】
(棚段12の昇降)
図2および
図4に示すように、棚段12が昇降する場合に関して説明する。まず、昇降回転部153が回転し、棚段12が傾斜する。その後、移動機構161が短くなり、棚段12を引き込む。
【0028】
棚段12が回転することによって、係合部材171が存在する鉛直方向には、棚段12の構成部材がない状態になる。つまり、接続部123は、棚段12が昇降する際に、係合部材171と干渉する部位に関しては切り欠かれている。そのため、棚段12は昇降することができるようになる。
【0029】
同様に、被係合部124は、空隙172(
図5参照)の位置に位置する。空隙172には、係合部17が存在しないため、棚段12の昇降を妨げることはない。すなわち、被係合部124が空隙172に位置する場合は、棚段12が昇降可能である。
【0030】
(棚段12の係合)
対して、
図5および
図6に示す棚段12が係合部17に係合している場合、被係合部124は係合部材171の位置に位置する。そのため、棚段12は係合部17に当接し係合することができる。すなわち、棚段12は所要の高さにセットされている。
【0031】
この際、まず移動機構161が長くなる。その後、昇降回転部153が棚段12を水平になるように回転させる。この時、突出している部分125は、係合部17に当接する。これにより、棚段12は、該突出している部分125によって、収容物Pによる荷重を保持する力が働くようになる。そのため、安定して収容物を格納できる。
【0032】
棚段12が昇降できる場合から、棚段12が係合される場合に移行するためには、把持部16は、移動機構161によって、被把持部122を把持した下把持部163および上把持部164を係合部材171に向けて動作させ、その後で上把持部164を上昇させて把持を解除することで係合させることができる。
【0033】
逆に、棚段12が係合されている場合から、棚段12が昇降できる場合に移行するためには、把持部16は、被把持部122を把持できる位置まで移動機構161によって下把持部163および上把持部164を移動させる。その後、把持部16は、上把持部164を下降させて、把持部16は被把持部122を把持し、移動機構161によって被係合部124の位置が空隙172の位置になるまで後退する。これにより、棚段12を昇降可能とする。
【0034】
(動作プロセス)
次に、天井保管棚1の動作プロセスに関して説明する。天井保管棚1に収容物Pが一つも載置されていない状態から記載する。
【0035】
図7は、搬送システム100の要部の構成を示すブロック図である。天井保管棚1は、制御部20をさらに備える。制御部20は、天井保管棚1の各部を統括的に制御する。制御部20は、外部の上位装置30の指令に基づき、天井保管棚1の棚段12の位置を制御している。すなわち、制御部20は、どの棚段12または棚段13に、搬送台車3に載置されている収容物Pを載置するか、または取り出すかを上位装置30から指示され、そのように動作する。また、上位装置30は、搬送台車3をも制御している。
【0036】
棚段12aに収容物Pを載置する場合は、制御部20は、棚段12aおよび棚段12bおよび棚段12cを下降させ、特に棚段12aの上に収容物Pを載置できる所要の高さまで下降させる。すなわち、制御部20は、間隔D2、間隔D3、および間隔D4を収容物の高さHよりも狭くなるまで棚段12a、棚段12b、棚段12cおよび棚段13を接近させる。移載部33によって収容物Pが棚段12aに載置された後、制御部20は、棚段12aを上昇させる。棚段12aは直下の棚段12bに収容物Pを載置できる位置まで上昇すればよく(間隔D2が高さHよりも高く、移載部33と干渉しない高さになればよい)、例えば収容物Pが天井にあたらない限界の高さまで上昇してもよい。つまり、制御部20は、間隔D1が収容物Pの高さHよりも若干長いようにする。
【0037】
続いて、棚段12bに収容物Pを載置する場合は、制御部20は、棚段12bの上に収容物Pを載置できる所要の高さまで昇降させる。すなわち、制御部20は、間隔D3、および間隔D4を収容物の高さHよりも狭くなるまで棚段12b、棚段12c、および棚段13を接近させる。移載部33によって収容物Pが棚段12bに載置された後、制御部20は、棚段12bを上昇させる。棚段12bは直下の棚段12cに収容物Pを載置できる位置まで上昇すればよく(間隔D3が高さHよりも高く、移載部33と干渉しない高さになればよい)、例えば収容物Pが棚段12aにあたらない限界の高さまで上昇してもよい。つまり、制御部20は、間隔D2が収容物Pの高さHよりも若干長いようにする。
【0038】
続いて、棚段12cに収容物Pを載置する場合は、制御部20は、棚段12cの上に収容物Pを載置できる所要の高さまで昇降させる。すなわち、制御部20は、間隔D4を収容物の高さHよりも狭くなるまで棚段12cおよび棚段13を接近させる。移載部33によって収容物Pが棚段12cに載置された後、制御部20は、棚段12cを上昇させる。棚段12cは直下の棚段13に収容物を載置できる位置まで上昇すればよく(間隔D4が高さHよりも高く、移載部33と干渉しない高さになればよい)、例えば収容物Pが棚段12bにあたらない限界の高さまで上昇してもよい。つまり、制御部20は、間隔D3が収容物Pの高さHよりも若干長いようにする。
【0039】
続いて、棚段13に収容物Pを載置する場合は、移載部33によって収容物Pを棚段13に載置する。これによって、天井保管棚1の全ての棚段12および13には収容物Pが載置された。
【0040】
ここまでは天井保管棚1に収容物Pを収容する場合に関して説明したが、これ以降は天井保管棚1から収容物Pを取り出す場合に関して説明する。まず初めに、制御部20は、棚段12cと移載部33が干渉しない位置まで、棚段12cを上昇させる。つまり、制御部20は、間隔D4を大きくすることで、移載部33が棚段12cに干渉しないようにする。なお、制御部20は、棚段12aおよび12bも、該棚段12直下の棚段12の収容物Pに干渉しない位置まで該棚段12を上昇させる。移載部33によって棚段13の上の収容物Pを取り出す。
【0041】
続いて、棚段12cに載置された収容物Pを取り出す場合に、制御部20は、収容物Pを取り上げできる所要の高さまで棚段12cを下降させる。つまり、制御部20は、間隔D4を収容物Pの高さHよりも狭くする。移載部33によって、棚段12cに載置されている収容物Pが移載された後、制御部20は、棚段12cが棚段13に干渉しない位置までさらに下降させてもよい。
【0042】
続いて、棚段12bに載置された収容物Pを取り出す場合に、制御部20は、収容物Pを取り上げできる所要の高さまで棚段12bを下降させる。つまり、制御部20は、間隔D3を収容物Pの高さHよりも狭くする。移載部33によって棚段12bに載置されている収容物Pが移載された後、制御部20は、棚段12bが棚段12cに干渉しない位置までさらに下降させてもよい。
【0043】
続いて、棚段12aに載置された収容物Pを取り出す場合に、制御部20は、収容物Pを取り上げできる所要の高さまで棚段12aを下降させる。つまり、制御部20は、間隔D2を収容物Pの高さHよりも狭くする。移載部33によって棚段12aに載置されている収容物Pが移載された後、制御部20は、棚段12aが棚段12bに干渉しない位置までさらに下降させてもよい。
【0044】
したがって、制御部20は、上下に隣り合う棚段12の間隔が収容物の高さHよりも狭くなるまで接近させる。制御部20は、棚段12に収容物Pが載置された後に、収容物Pが棚段12に載置された状態で棚段を昇降させて、係合部材171に係合させる。つまり、昇降部15は、収容物Pが棚段12に載置された後に、収容物Pが棚段12に載置された状態で棚段を昇降させて、係合部材171に係合させる。この結果、係合部材171に棚段12を係合させることができる。
【0045】
制御部20は、棚段12に収容物Pが載置された後に、該棚段12直下の棚段12に収容物を載置できる位置まで該棚段を昇降させる。つまり、昇降部15は、収容物Pが棚段12に載置された後に、該棚段12直下の棚段に収容物Pを載置できる位置まで昇降する。制御部20は、棚段12に載置された収容物Pを取り出す場合に、収容物Pを取り上げできる所要の高さまで昇降させる。つまり、昇降部15は、棚段12に載置された収容物Pを搬送台車3が取り出す場合に、搬送台車3が収容物Pを取り上げできる所要の位置まで該棚段12を昇降する。
【0046】
各複数の棚段はそれぞれ独立して昇降できる。また、制御部20は、最上段の棚段(棚段12a)は、棚段に設置された収容物Pが天井近傍になるまで上昇させる。
【0047】
なお、各棚段12の収容物Pを載置または取り上げできる所要の高さと、収容物Pを収容した後に天井保管棚1の上方で収容物Pを保管する所要の高さと、に係合部材171は設けられている。そのため、複数の棚段12を把持部16で常に保持している必要がなく、省エネルギーである。また、収容物Pを載置する所要の高さと、収容物Pを取り上げる所要の高さとは、同一の高さであってもよい。
【0048】
(作用効果)
上述したように、天井保管棚1は、複数の収容物Pを限られたフロア面積に収容することができる。また、天井付近までの空間を利用し、搬送レール2下の空間をそこまで大きく占有しない。このため、搬送レール2下に設けられる設備空間を十分に担保することができる。
【0049】
また、天井保管棚1の下は一般的に設備が占有する空間となっている。そのため、天井保管棚1を下方に伸ばすことが難しい。搬送レール2と設備高さの間は限られるため、棚段12の間隔が収容物Pの高さよりも狭くなることができない場合、多くの収容物Pを収容するための棚段12を待機させることができない。
【0050】
ここで、本実施形態では、各棚段12が独立して昇降し、待機状態にある棚段12間の間隔が収容物Pの高さよりも狭くなるまで接近できる。これにより、天井から、設備までの高さの間に、より多くの棚段12を配置することができるようになる。したがって、限られた少ないフロア面積により多くの収容物Pを収容することができる。
【0051】
また、最上段の棚段(棚段12a)を天井近傍になるまで上昇させることができるため、従来利用されていなかった搬送レール2横の空間を有効活用することができる。
【0052】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0053】
(搬送システム101の概要)
図8は、実施形態2に係る天井保管棚1と、それを用いた搬送システム101の構成を示す正面図である。搬送システム101は、天井から吊り下げられ、異なる高さに設けられた第1搬送レール2aおよび第2搬送レール2bと、第1搬送レール2a上を走行する第1搬送台車3aと、第2搬送レール2b上を走行する第2搬送台車3bと、第1搬送レール2aおよび第2搬送レール2bに隣接して設けられる天井保管棚1と、を備える。実施形態2における天井保管棚1は、実施形態1における天井保管棚1と同一である。
【0054】
つまり、実施形態2では、実施形態1における搬送レール2および搬送台車3の組み合わせが、異なる高さにおいて、複数天井保管棚1に隣接している。
【0055】
(収容物Pの高さ方向での移載)
次に、搬送システム101の動作プロセスに関して説明する。天井保管棚1に収容物Pが一つも載置されていない状態から記載する。ここでは、最上段の棚段12aを用いて、第1搬送レール2aを走行する第1搬送台車3aから、第2搬送レール2bを走行する第2搬送台車3bへと、収容物Pを移載する場合に関して示すがこれに限定されない。また、搬送レール2のレール数も制限されない。つまり、異なる高さを走行する搬送台車3間で、収容物Pを移載すればよい。
【0056】
まず、第1搬送台車3aは、収容物Pを収容している。該収容物Pを移載部33によって、天井保管棚1に移載する。制御部20は、開いている棚段12aを第1搬送台車3aから収容物Pを載置できる位置まで昇降させる。第1搬送台車3aの移載部33は、収容物Pを棚段12aに移載する。
【0057】
その後、制御部20は、棚段12aを、第2搬送台車3bが収容物Pを取り上げ出来る所要の高さまで昇降させる。その後、第2搬送台車3bの移載部33は、収容物Pを棚段12aから取り上げる。
【0058】
これにより、異なる高さを走行する第1搬送台車3aおよび第2搬送台車3b間で収容物Pを移載することができる。したがって、専用の収容物Pのための昇降機を用いずに異なる高さの第1搬送レール2aおよび第2搬送レール2b間に収容物を移送することができ、工場全体の設計自由度が向上し、効率的にすることができる。
【0059】
〔変形例〕
(昇降部15)
実施形態1および2では、昇降部15はドラムによってベルトを巻き上げる機構によって昇降したが、これに限定されない。例えば、昇降部15はボールネジなどの送りねじで昇降してもよいし、タイミングベルトで昇降してもよい。また、昇降部15にピニオンギアが設けられたモータが配置されており、リニアガイド14に代えて、ラックがあってもよく、この場合ラックとピニオンとの噛み合いによって昇降する。他の任意の昇降方式を採用してもよい。例えば、シリンダ等が挙げられる。
【0060】
(把持部16)
実施形態1および2では、把持部16は下把持部163と上把持部164との間に被把持部122を把持する機構としたが、これに限定されない。例えば、棚段12の下にフォークを突っ込み持ち上げるような構造であってもよい。
【0061】
(棚段13)
実施形態1および2では、棚段13が構造部11に固定されていたが、これに限定されず、棚段13も昇降できてもよい。
【0062】
(棚段12)
また、棚段12の段数は、複数段であればよく、段数は特に制限されない。なお、搬送レール2から天井までの距離があればあるほど、複数の棚段を設けることができる。
【0063】
(複数の昇降部15)
昇降部15は、1つに限定されず、棚段12毎にあってもよく、昇降部15に棚段12が固定されていてもよい。この場合、係合部材171が存在しなくてもよい。
【0064】
(係合部材171および被係合部124)
係合部材171は上部が開口となり、内部に空洞を有したポケット状に形成されていてもよく、また被係合部124は被把持部122から下方に突出していてもよい。この場合、被係合部124が係合部材171のポケットに入り込むことによって、棚段12は係合部17に係合する。
【0065】
なお、被係合部124は、先細りするようにテーパ形状をなしていてもよい。この場合、被係合部124の先端が細いために、容易に係合部材171に挿入することができ、また、被係合部124の根本が太いために、係合部材171とのクリアランスが狭くなり、ガタが少ないことから、棚段12が傾斜し辛くなる。なお、この場合、突出している部分125はなくてもよい。
【0066】
〔まとめ〕
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る天井保管棚は、搬送レールおよび搬送台車を備えた搬送システムにおける天井保管棚であって、所定の収容物を保管するための、天井から吊り下げられた天井保管棚であって、昇降可能な複数の棚段と、前記棚段を昇降させる昇降部と、を備え、上下に隣り合う前記棚段の間隔が前記収容物の高さよりも狭くなるまで接近できるように構成されている。
【0067】
上記の構成によれば、複数の棚段に収容物を収容することができ、少ないフロア面積に多くの収容物を収容することができる。また、天井保管棚に収容物を搬入出する搬送台車と収容物を用いる設備との間の限られた高さにおいて、棚段の間隔を収容物の高さよりも狭くすることで、より多くの空いた棚段を配置することができるようになる。
【0068】
本発明の態様2に係る天井保管棚は、上記態様1において、前記昇降部は、昇降する把持部であって、前記棚段を所要の高さにセットするための前記棚段を把持する把持部を有してもよい。
【0069】
上記の構成によれば、棚段ごとに昇降部を有する必要がなく、昇降部で昇降する把持部によって棚段を一時的に把持すればよい。そのため、把持部によって棚段を所要の高さにセットすることで、昇降部および把持部はエネルギー消費がない状態を作り出すことができ、省エネルギーである。
【0070】
本発明の態様3に係る天井保管棚は、上記態様2において、前記棚段を異なる複数の高さにおいて係合できる係合部材を更に備えてもよい。
【0071】
上記の構成によれば、把持部によって係合部材に対し棚段を係合させることができる。これによって、棚段を所要の高さで保持する必要がなく、省エネルギーである。
【0072】
本発明の態様4に係る天井保管棚は、上記態様3において、前記昇降部は、前記収容物が前記棚段に載置された後に、前記収容物が前記棚段に載置された状態で前記棚段を昇降させて、前記係合部材に係合させてもよい。
【0073】
上記の構成によれば、物を載置した状態で係合部材に係合することによって、棚段は昇降部が保持される必要がなく、省エネルギーである。
【0074】
本発明の態様5に係る天井保管棚は、上記態様1から4において、前記昇降部は、前記収容物が前記棚段に載置された後に、前記棚段直下の前記棚段に前記収容物を載置できる位置まで昇降してもよい。
【0075】
上記の構成によれば、効率的に連続して収容物を棚段に載置することができる。
【0076】
本発明の態様6に係る天井保管棚は、上記態様1から5において、前記昇降部は、前記棚段に載置された前記収容物を前記搬送台車が取り出す場合に、前記搬送台車が前記収容物を取り上げできる所要の位置まで前記棚段を昇降してもよい。
【0077】
上記の構成によれば、保管していた収容物を天井保管棚から取り出すことができる。
【0078】
本発明の態様7に係る天井保管棚は、上記態様1から6において、前記複数の棚段は、それぞれ独立して昇降できてもよい。
【0079】
上記の構成によれば、各棚段が独立して昇降できることで、効率的に収容物を収容することができる。
【0080】
本発明の態様8に係る天井保管棚は、上記態様1から7において、前記複数の棚段における最上部の棚段は、前記棚段に載置された前記収容物が天井近傍になるまで上昇できてもよい。
【0081】
上記の構成によれば、最上部の棚段は天井近傍になるまで上昇することができ、鉛直方向のスペースを最大限に活用することができる。
【0082】
本発明の態様9に係る天井保管棚は、上記態様1から8において、前記収容物は、ウェハ収容容器またはレチクル収容容器であってもよい。
【0083】
上記の構成によれば、天井保管棚にウェハ収容容器またはレチクル収容容器を保管することで、各装置の近傍に複数のワークを収容し管理できるようになり、効率的な半導体の製造を可能にする。
【0084】
本発明の態様10に係る搬送システムは、上記態様1から9における天井保管棚を備えた搬送システムであって、前記天井保管棚に隣接して設けられる搬送レールと、前記搬送レールの上を走行し、前記天井保管棚に対し前記収容物を載置する搬送台車と、を備える。
【0085】
上記の構成によれば、搬送システムの一部として天井保管棚を用いることができ、搬送システムにおける収容物の管理を容易にする。
【0086】
本発明の態様11に係る搬送システムは、上記態様10において、前記搬送レールは、第1搬送レールと、前記第1搬送レールと異なる高さにおける第2搬送レールとを備え、前記棚段は、前記第1搬送レール上を走行する第1搬送台車と、前記第2搬送レール上を走行する第2搬送台車と、の間での前記収容物の移載に用いられてもよい。
【0087】
上記の構成によれば、二つの異なる高さにおける搬送レール間において、天井保管棚を介して収容物の移載を可能とする。
【0088】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1 天井保管棚
2 搬送レール
2a 第1搬送レール
2b 第2搬送レール
3 搬送台車
3a 第1搬送台車
3b 第2搬送台車
11 構造部
12、12a~12c、13 棚段
14 リニアガイド
15 昇降部
16 把持部
17 係合部
20 制御部
30 上位装置
100、101 搬送システム
121 棚部
122 被把持部
123 接続部
124 被係合部
151 駆動部
152 昇降基部
153 昇降回転部
161 移動機構
162 基部
163 下把持部
164 上把持部
171 係合部材
172 空隙
P 収容物