(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155155
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20240101AFI20241024BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069607
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC00
5L050CC00
(57)【要約】
【課題】ユーザに対して適切なコンテンツを提供すること。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、推定部と、提供部とを備える。推定部は、評価結果が所定の条件を満たす基準コンテンツに対して投稿された返信情報の特徴を学習したモデルを用い、判定対象となる対象コンテンツの返信情報から当該対象コンテンツの評価を推定する。提供部は、推定部によって推定された評価に応じて対象コンテンツを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価結果が所定の条件を満たす基準コンテンツに対して投稿された返信情報の特徴を学習したモデルを用い、判定対象となる対象コンテンツの返信情報から当該対象コンテンツの評価を推定する推定部と、
前記推定部によって推定された前記評価に応じて前記対象コンテンツを提供する提供部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、
前記基準コンテンツの返信情報群の特徴を学習した前記モデルを用いて、前記対象コンテンツの返信情報群から前記対象コンテンツの評価を推定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記基準コンテンツの前記返信情報群の特徴を前記モデルに学習させる学習部
を備え、
前記推定部は、
前記学習部によって学習された前記モデルを用いて、前記対象コンテンツの評価を推定すること
を特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記学習部は、
前記基準コンテンツの前記返信情報群の特徴と、前記対象コンテンツの前記返信情報群の特徴との類似度に応じたベクトルを出力する前記モデルを学習し、
前記推定部は、
前記モデルによって出力される前記ベクトルに基づいて、前記対象コンテンツが前記所定の条件を満たすか否かを推定すること
を特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
評価結果が所定の条件を満たす基準コンテンツに対して投稿された返信情報の特徴を学習したモデルを用い、判定対象となる対象コンテンツの返信情報から当該対象コンテンツの評価を推定する推定工程と、
前記推定工程によって推定された前記評価に応じて前記対象コンテンツを提供する提供工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
評価結果が所定の条件を満たす基準コンテンツに対して投稿された返信情報の特徴を学習したモデルを用い、判定対象となる対象コンテンツの返信情報から当該対象コンテンツの評価を推定する推定手順と、
前記推定手順によって推定された前記評価に応じて前記対象コンテンツを提供する提供手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種コンテンツを提供するサービスがある。例えば、かかるサービスでは、マイクロブログやSNS(Social Networking Service)などユーザによって投稿された各種コンテンツが提供される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ユーザに対して適切なコンテンツを提供するうえで改善余地があった。具体的には、上記のサービスでは、掲載に値するコンテンツを選抜したうえで提供することが望ましいものの、投稿されたコンテンツ自体の評価が難しいという課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザに対して適切なコンテンツを提供することができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る情報処理装置は、評価結果が所定の条件を満たす基準コンテンツに対して投稿された返信情報の特徴を学習したモデルを用い、判定対象となる対象コンテンツの返信情報から当該対象コンテンツの評価を推定する推定部と、前記推定部によって推定された前記評価が所定の条件を満たす前記対象コンテンツを提供する提供部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザに対して適切なコンテンツを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る基準コンテンツ記憶部に格納される情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る返信群の模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る学習処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る提供処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
〔1.情報処理〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。なお、実施形態に係る情報処理は、
図1に示す情報処理装置1によって実現される。
【0011】
図1に示す情報処理装置1は、ニュースサイト等の各種メディアサイトを運営する情報処理装置である。なお、情報処理装置1は、例えば、クラウドシステムやサーバによって実現される。
【0012】
図1に示すユーザ端末100は、ユーザUが所有する端末装置である。例えば、ユーザUは、ユーザ端末100を操作し、各種メディアサイトを通じてユーザUに対して、ニュース記事等を提供する。なお、
図1では、ユーザ端末100がスマートフォンである場合を例示しているが、ユーザ端末100は、PC(Personal computer)など、その他の機器であってもよい。
【0013】
図1に示すSNSサーバ200は、各種SNS(Social Networking Service)を運営するサーバ装置である。例えば、SNSサーバ200によって運営されるSNSの一部の記事(コンテンツ)は、情報処理装置1が運営する各種メディアサイトへ掲載される。
【0014】
SNSには、各ユーザによってコンテンツが投稿されるため、タイムリーなコンテンツが投稿される。そのため、情報処理装置1は、ニュースサイト等にSNSのコンテンツを掲載することで、タイムリーな記事を掲載することもできる。
【0015】
SNSには、多様な投稿が行われ、ニュースサイトに掲載するにあたっては、価値が高い投稿を掲載することが望まれる。一方で、投稿に写真や動画が含まれる場合、「きれいな景色」、「かわいい動物」、「おいしそうな料理」等の画像が投稿される場合、これら画像の価値を機械的に判定することが困難となる。
【0016】
すなわち、投稿自体から投稿されたコンテンツを評価するのは困難となる場合がある。これに対し、本実施形態では、投稿に対する返信(リプライ)に着目した。具体的には、一般的に、投稿されたコンテンツには、SNSを通じて、各ユーザのコメント(以下、返信とも記載)が行われる。
【0017】
ここで、返信は、各ユーザによるコンテンツに対する評価を含み得る。そのため、価値が高いコンテンツの返信の特徴を学習すれば、各コンテンツに対する返信から価値の高いコンテンツの抽出が可能になる。つまり、コンテンツの返信の特徴をクエリとして、当該コンテンツと評価が類似するコンテンツの抽出が可能となる。
【0018】
そのため、実施形態に係る情報処理装置1は、投稿に対する返信に着目し、各投稿を評価することとした。具体的には、
図1に示すように、情報処理装置1は、まず、モデルの学習を行う(ステップS1)。
【0019】
ここでのモデルは、学習対象としてサンプリングされた各コンテンツおよびこれらに対して行われた返信群の関係を学習することで行われる。例えば、モデルは、自己教師あり学習によって行われる。なお、モデルの学習は、人手によってラベル付けされた基準コンテンツ群および返信群の特徴を学習することで行うようにしてもよい。
【0020】
また、モデルは、コンテンツおよび返信群のベクトル表現を出力するエンコーダーであり、深層距離学習(Deep Metric Leaning)を用いて、関連するコンテンツおよび返信群は距離が近いベクトルを出力し、関連しないコンテンツおよび返信群は距離が遠いベクトルを出力するモデルである。
【0021】
つづいて、情報処理装置1は、SNSサーバ200からコンテンツを取得する(ステップS2)。ここでのコンテンツは、ユーザによる投稿および投稿に対する返信を含み、情報処理装置1は、所定の周期でSNSサーバ200からコンテンツを取得する。
【0022】
その後、情報処理装置1は、各コンテンツ(以下、対象コンテンツと記載)の評価をステップS1にて学習したモデルを用いて推定する(ステップS3)。具体的には、情報処理装置1は、基準コンテンツと類似する評価の対象コンテンツを抽出する。
【0023】
例えば、情報処理装置1は、予め設定された基準コンテンツと類似する対象コンテンツを抽出する際に、返信群同士の距離指標を定義し、モデルから出力される各対象コンテンツの返信群のベクトルが距離指標を満たす対象コンテンツを抽出する。より具体的には、返信群同士の距離指標については、返信をベクトル空間中の点と捉えると、ポイント・クラウド間の距離に帰着するため、双方の点群間の基地誤差を図る指標であるChamfer Distance、あるいは、各返信群の分布間の距離を測るEMD(Earth Movers Distance)等によって定義することができる。
【0024】
そして、情報処理装置1は、これら返信群のベクトル間の距離によって、基準コンテンツと評価が類似する対象コンテンツと、基準コンテンツと評価が異なる対象コンテンツとを仕分けることができる。
【0025】
つまり、情報処理装置1は、返信群同士のベクトルが近い対象コンテンツについて、価値の高い投稿であると判定し、返信群同士のベクトルが遠い対象コンテンツについて、価値の高い投稿でないと判定する。
【0026】
そして、情報処理装置1は、スコアが閾値を超える対象コンテンツ、すなわち、価値が高いと推定されるコンテンツを抽出してニュースサイトに掲載し、ユーザUのユーザ端末100へ提供する。換言すれば、価値が高くないと推定されるコンテンツについては、ニュースサイトへの掲載を中止する。
【0027】
これにより、情報処理装置1は、ユーザにとって適切なコンテンツを提供することが可能となる。
【0028】
〔2.情報処理装置〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報処理装置1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置1は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。なお、情報処理装置1は、情報処理装置1を利用する管理者などから各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウスなど)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイなど)を有してもよい。
【0029】
通信部2は、例えば、NIC(Network Interface Card)などによって実現される。通信部2は、4G(4th Generation)または5G(5th Generation)などの通信ネットワークと有線または無線で接続され、通信ネットワークを介して、ユーザ端末100、SNSサーバ200などの各々との間で情報の送受信を行う。
【0030】
記憶部3は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。記憶部3は、コンテンツ記憶部31と、モデル記憶部32とを備える。
【0031】
コンテンツ記憶部31は、コンテンツに関する情報を記憶する。基準コンテンツは、各ユーザがSNS等へ投稿したコンテンツである。
【0032】
図3は、実施形態に係るコンテンツ記憶部31に格納される情報の一例を示す図である。
図3に示すように、コンテンツ記憶部31は、「コンテンツID」、「コンテンツ本体」、「返信群」などといった項目の情報を互いに対応付けて記憶する。
【0033】
「コンテンツID」項目には、各基準コンテンツを識別するための識別子が格納される。「コンテンツ本体」には、対応するコンテンツIDによって識別されるコンテンツ自体のデータが格納される。コンテンツ本体は、テキスト、画像、動画、ハッシュタグ等に関する情報や投稿日時、投稿主(アカウント)に関する情報が含まれる。
【0034】
「返信群」項目には、対応するコンテンツIDによって識別されるコンテンツに対してSNS上で行われた返信群に関するデータが格納される。返信群は、複数の返信によって構成され、各返信には、テキスト、画像、動画、ハッシュタグ等に関する情報や返信日時、返信主(アカウント)に関する情報が含まれる。
【0035】
図2の説明に戻り、モデル記憶部32について説明する。モデル記憶部32は、モデルを記憶する。モデルは、各コンテンツおよび返信群の特徴を学習したモデルである。たとえば、モデルは、各コンテンツおよび返信群間の関係を学習したモデルである。
【0036】
より詳しくは、モデルは、コンテンツおよび返信群のそれぞれについてベクトル表現を出力するエンコーダーであり、かつ、距離学習によって、関連するコンテンツと返信群は近いベクトルとなり、関連しないコンテンツと返信は遠く離れるベクトルを出力するモデルである。
【0037】
すなわち、モデルから出力されるベクトルは、返信群同士が類似するほど、距離が近いベクトルとなり、返信群同士が乖離するほど、距離が遠いベクトルとなる。
【0038】
つづいて、制御部4について説明する。制御部4は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって、情報処理装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部4は、例えば、コントローラであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。
【0039】
図2に示すように、制御部4は、取得部41と、学習部42と、推定部43と、提供部44とを備え、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部4の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部4が有する各処理部の接続関係は、
図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
【0040】
取得部41は、SNSサーバ200からコンテンツを取得する。例えば、取得部41は、SNSサーバ200からコンテンツを取得し、コンテンツ記憶部31に登録する。
【0041】
この際、たとえば、取得部41は、SNSにおける現在のトレンド等に対応する対象コンテンツを抽出して取得するようにしてもよい。すなわち、取得部41は、リアルタイムで注目されているコンテンツを取得するようにしてもよい。
【0042】
学習部42は、所定の条件を満たす基準コンテンツの返信情報群の特徴をモデルに学習させる。学習部42は、コンテンツ記憶部31に格納された各コンテンツおよび返信群間の関係性を自己教師あり学習を用いて、モデルに学習させる。
【0043】
なお、学習部42は、人手でラベル付けされた基準コンテンツおよび返信群間の関係性をモデルに学習させるようにしてもよい。この場合のモデルは、対象コンテンツおよび返信群が入力された場合に、基準コンテンツおよび返信群の類似度に応じたスコアを出力するモデルである。例えば、モデルは、双方の返信群の類似度が高いほど、高いスコアを出力し、双方の返信群の類似度が低いほど、低いスコアを出力する。例えば、この場合、スコアが閾値を超える対象コンテンツについては基準コンテンツと類似する評価であると推定することができる。
【0044】
推定部43は、評価結果が所定の条件を満たす基準コンテンツに対して投稿された返信情報の特徴を学習したモデルを用い、判定対象となる対象コンテンツの返信情報から当該対象コンテンツの評価を推定する。
【0045】
例えば、推定部43は、取得部41によって取得された対象コンテンツの返信群に関する情報を、学習部42によって学習が行われたモデルに入力することで、対象コンテンツの評価を推定する。
【0046】
より具体的には、推定部43は、たとえば、管理者等による指定により、基準コンテンツおよび返信群同士の距離指標を定義する。そして、推定部43は、対象コンテンツの返信群をモデルに入力し、得られるベクトルが定義した距離指標に合致するか否かに応じて、対象コンテンツの評価を推定する。
【0047】
つまり、推定部43は、基準コンテンツおよび対象コンテンツの双方のベクトルの距離が閾値以下であれば、対象コンテンツは基準コンテンツと同等の評価であると推定し、双方のベクトルの距離が閾値を超えていれば、対象コンテンツは基準コンテンツとは異なるコンテンツであると推定する。
【0048】
例えば、推定部43は、これらの処理を各対象コンテンツに対して行うことで、基準コンテンツと評価が類似する対象コンテンツを抽出する。例えば、基準コンテンツとして、価値が高いと評価されたコンテンツを設定することで、価値が高い対象コンテンツを抽出することができる。換言すれば、価値の低いコンテンツをコンテンツを排除することができる。
【0049】
ここで、推定部43による処理の概略について
図4を用いて説明する。
図4は、実施形態に係る返信群の模式図である。
図4では、基準コンテンツの返信群が、返信群Ra1、Ra2、Ra3であり、対象コンテンツP1の返信群が、返信群R11、R12、R13であるとする。
【0050】
推定部43は、たとえば、返信群Ra1、Ra2、Ra3と、返信群R11、R12、R13とのそれぞれの距離に基づいて対象コンテンツの評価を推定する。例えば、推定部43は、各返信群R11、R12、R13について、各返信群Ra1、Ra2、Ra3との近さを評価し、閾値よりも近いものをカウントし、その数に応じてスコアを出力する手法、各返信群R11、R12、R13の分布と、各返信群Ra1、Ra2、Ra3の分布についてそれぞれ正規化し、これらの形的な近さに応じてスコアを出力する手法等が採用可能である。
【0051】
このように、情報処理装置1は、返信群間の距離に基づいて、基準コンテンツと類似する対象コンテンツを抽出することができるので、基準コンテンツの返信群をクエリとして活用したコンテンツの仕分けが可能になる。
【0052】
図2の説明に戻り、提供部44について説明する。提供部44は、推定部43によって推定された評価が所定の条件を満たす対象コンテンツを提供する。例えば、提供部44は、ニュースサイト等において対象コンテンツを掲載することで、対象コンテンツを各ユーザに対して提供する。
【0053】
より具体的には、提供部44は、推定部43により基準コンテンツと同等の評価と推定された対象コンテンツをニュースサイト等に掲載し、基準コンテンツとは異なる評価と推定された対象コンテンツについてはニュースサイト等に掲載しない。
【0054】
たとえば、提供部44は、SNSでトレンド入りしているテーマの対象コンテンツをランキング形式でニュースサイト等に掲載する。すなわち、提供部44は、SNSサーバ200から取得したコンテンツをリアルタイムでユーザに対して提供する。
【0055】
この際、提供部44は、各ユーザに対して提供するコンテンツをパーソナライズ化するようにしてもよい。具体的には、提供部44は、提供先となるユーザの属性に応じて、各ユーザが興味関心を示すコンテンツをリアルタイムで提供するようにしてもよい。
【0056】
〔3.処理フロー〕
次に、
図5および
図6を用いて、実施形態に係る情報処理装置1が実行する処理手順について説明する。
図5は、実施形態に係る学習処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6は、実施形態に係る提供処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理は、情報処理装置1によって所定の周期で繰り返し実行される。
【0057】
図5に示すように、情報処理装置1は、学習処理においては、まず、コンテンツ群の返信群を取得する(ステップS101)。つづいて、情報処理装置1は、各コンテンツ群および返信群をベクトルへ変換する(ステップS102)。つづいて、情報処理装置1は、コンテンツ群および返信群間の関係をモデルに学習させて(ステップS103)、処理を終了する。
【0058】
次に、
図6を用いて、提供処理の処理フローについて説明する。
図6に示すように、情報処理装置1は、まず、対象コンテンツを取得する(ステップS111)。つづいて、情報処理装置1は、対象コンテンツについてモデルを用いてベクトルへ変換する(ステップS112)。
【0059】
つづいて、情報処理装置1は、推定したベクトル間の距離が閾値未満か否かを判定する(ステップS113)。情報処理装置1は、ベクトル間の距離が閾値未満である場合(ステップS113;Yes)、対象コンテンツを提供し(ステップS114)、処理を終了する。
【0060】
また、情報処理装置1は、ステップS113の判定において、ベクトル間の距離が閾値以上である場合(ステップS113;No)、ステップS114を省略し、処理を終了する。
【0061】
〔4.変形例〕
上述した実施形態では、情報処理装置1が、SNSに投稿されたコンテンツに対する返信の特徴を学習し、対象コンテンツに対する返信から対象コンテンツの評価を推定する場合について説明した。しかしながら、対象コンテンツは、SNSに投稿されたコンテンツに限定されるものではなく、コンテンツに対してユーザが返信可能なコンテンツであれば、種々のコンテンツへの適用が可能である。例えば、コンテンツとしては、ブログや、ニュースサイト等に掲載されたニュースコンテンツ、動画サイトに投稿された動画コンテンツ等が挙げられる。
【0062】
〔5.効果〕
実施形態に係る情報処理装置1は、評価結果が所定の条件を満たす基準コンテンツに対して投稿された返信情報の特徴を学習したモデルを用い、判定対象となる対象コンテンツの返信情報から当該対象コンテンツの評価を推定する推定部43と、推定部43によって推定された評価に応じて対象コンテンツを提供する提供部とを備える。
【0063】
また、推定部43は、基準コンテンツの返信情報群の特徴を学習したモデルを用いて、対象コンテンツの返信情報群から対象コンテンツの評価を推定する。また、情報処理装置1は、所定の条件を満たす基準コンテンツの返信情報群の特徴をモデルに学習させる学習部42を備え、推定部43は、学習部42によって学習されたモデルを用いて、対象コンテンツの評価を推定する。
【0064】
また、学習部42は、基準コンテンツの返信情報群の特徴と、対象コンテンツの返信情報群の特徴との類似度に関するスコアを出力するモデルを学習し、推定部43は、モデルによって出力されるスコアに基づいて、対象コンテンツが所定の条件を満たすか否かを判推定する。
【0065】
上述した各処理のいずれかもしくは組合せにより、本願に係る情報処理装置は、ユーザに対して適切なコンテンツを提供することができる。
【0066】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
【0067】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0068】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、ネットワーク(通信ネットワーク)Nを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータをネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0069】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置(
図7では、出力装置および入力装置を総称して「入出力装置」と記載する)を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0070】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0071】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部4の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0072】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0073】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0074】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0075】
例えば、上述した情報処理装置は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0076】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0077】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 情報処理装置
2 通信部
3 記憶部
4 制御部
31 コンテンツ記憶部
32 モデル記憶部
41 取得部
42 学習部
43 推定部
44 提供部
100 ユーザ端末