(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155158
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】鳴音玩具
(51)【国際特許分類】
A63H 5/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A63H5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069611
(22)【出願日】2023-04-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.令和4年11月7から、自社ウェブページにて公開 2.令和4年11月7から、リーフレットの配布により公開
(71)【出願人】
【識別番号】505218292
【氏名又は名称】株式会社フジプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】有吉 宏人
(72)【発明者】
【氏名】大谷 侑平
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150AA12
2C150AA13
2C150BB01
2C150DF01
2C150DF27
2C150FB45
2C150FD12
2C150FD13
(57)【要約】
【課題】環境負荷軽減及び省資源化に寄与することができ、しかも紙製の中空筒体でありながら安定した強度を備えた鳴音玩具を提供する。
【解決手段】紙素材からなる平板状のブランクシート1を折り曲げて組み立てられる鳴音玩具は、シート本体2に前後方向に形成された複数本の第1の折り線L1に沿ってシート本体2を折り曲げるとともに、シート本体2の左右の辺部どうしを接合されて形成された、内部に中空部Eを有する多角筒状の本体部15と、シート本体2との間に形成された第2の折り線L2に沿って前フラップ3を折ることにより形成されて、本体部15の前方の筒開口17を閉鎖する蓋片20と、シート本体2との間に形成された第3の折り線L3に沿って後フラップ4を折ることにより形成されて、本体部15の中空部Eを前後方向の中途部で仕切る区画片16とを備える。本体部15の内部に、蓋片20と区画片16とで仕切られた反響室21を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙素材からなる平板状のブランクシート(1)を折り曲げて組み立てられる鳴音玩具であって、
ブランクシート(1)は、前後方向に長い長方形状のシート本体(2)と、シート本体(2)の前端から突出状に連設された前フラップ(3)と、シート本体(2)の後端寄りを部分的に切断することで片持ち状に形成された後フラップ(4)とからなり、
シート本体(2)に前後方向に形成された複数本の第1の折り線(L1)に沿ってシート本体(2)を折り曲げるとともに、シート本体(2)の左右の辺部どうしを接合されて形成された、内部に中空部(E)を有する多角筒状の本体部(15)と、
シート本体(2)との間に形成された第2の折り線(L2)に沿って前フラップ(3)を折ることにより形成されて、本体部(15)の前方の筒開口(17)を閉鎖する蓋片(20)と、
シート本体(2)との間に形成された第3の折り線(L3)に沿って後フラップ(4)を折ることにより形成されて、本体部(15)の中空部(E)を前後方向の中途部で仕切る区画片(16)と、
を備え、
本体部(15)の内部に、蓋片(20)と区画片(16)とで仕切られた反響室(21)が形成されていることを特徴とする鳴音玩具。
【請求項2】
後フラップ(4)が、中空部(E)の断面形状と同一形状に形成されて当該中空部(E)を仕切る隔壁フラップ(10)と、隔壁フラップ(10)の遊端部に形成されて、本体部(15)の内面に接する当接フラップ(11)とを備えており、
第3の折り線(L3)に沿って中空部(E)の内方向に向かって隔壁フラップ(10)を折り、当接フラップ(11)を本体部(15)の内面に押し当てることで、隔壁フラップ(10)が本体部(15)の内面を突っ張り支持するように構成されている、請求項1に記載の鳴音玩具。
【請求項3】
シート本体(2)には、左右方向の等間隔位置に6本の第1の折り線(L1(L1a~L1f))が形成され、本体部(15)は六角筒状に形成されており、
左右方向に隣り合う任意の3本の第1の折り線(L1)を、左折罫線(L1d)、中折罫線(L1e)、右折罫線(L1f)と規定するとともに、左折罫線(L1d)と中折罫線(L1e)とで囲まれるシート本体(2)の側面を左側片(5e)、右折罫線(L1f)と中折罫線(L1e)とで囲まれるシート本体(2)の側面を右側片(5f)と規定したとき、
区画片(16)を構成する後フラップ(4)が、左右の折罫線(L1d・L1f)に沿って前後方向に形成された第1の切り込み線(13a・13a)と、この第1の切り込み線(13a)の後端から左右の側片(5e・5f)の左右方向の中央部に向かって斜め後方に走る第2の切り込み線(13b・13b)と、この第2の切り込み線(13b・13b)の後端から中折罫線(L1e)に向かって斜め前方に走る第3の切り込み線(13c・13c)とによって、左右の側片(5e・5f)から分断されており、
第3の切り込み線(13c)は、左右の第1の切り込み線(13a)の前端のそれぞれから中折罫線(L1e)に向かって斜め前方に形成されており、
隔壁フラップ(10)と当接フラップ(11)との間に形成された第4の折り線(L4)が、第1の切り込み線(13a)の中途部から第3の切り込み線(13c)の前端とを結ぶように斜め後方に形成されており、
隔壁フラップ(10)が、左右一対の第3の折り線(L3・L3)と、左右一対の第4の折り線(L4・L4)と、第4の折り線(L4)との交差位置まで伸びる、左右一対の第1の切り込み線(13a・13a)とで規定される六角形状に形成されている、請求項2に記載の鳴音玩具。
【請求項4】
反響室(21)の内部に、反響室(21)の内壁と衝突して鳴音を発生する打音部材(18)が収容されている、請求項1に記載の鳴音玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳴音玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の鳴音玩具は、応援用具として使用されるものであるが、この種の応援用具は例えば特許文献1、2などに開示されている。特許文献1に記載の応援用具は、気体を充填することで棒状に膨らむスティックバルーンであり、2本のスティックバルーンどうしを打ち当てることで、音を出すことができる。特許文献2には、掌形のバルーンが開示されている。特許文献3には、上下対称の2点の部材で構成された平板状のブランクシートからなる紙製応援用具が開示されている。この紙製応援用具は、上下の部材のそれぞれに設けた3ヶ所の差込片を各々に対応する係止穴に差し込むことで、略六角筒状に組み立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3239317号公報
【特許文献2】登録実用新案第3217228号公報
【特許文献3】意匠登録第1584484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載の応援用具は、化石資源である石油由来の合成樹脂(合成ゴム)を素材とするものであるため、焼却時に生じる二酸化炭素によって地球温暖化等の環境問題を引き起こすおそれがある。合成樹脂(合成ゴム)を素材とすることは、省資源化、或いは廃棄物の原材料化を目指すマテリアルサイクルの推進といった理念にも反する。
【0005】
これに対して、特許文献3の応援用具は、紙製であるため、上記のような環境問題や省資源化といった問題の解決に貢献できる。但し、特許文献3の応援用具は、単に紙を六角筒状としたものにすぎず、中空筒体であるため強度が弱く、強く叩いたときに、筒の側面が凹むなど変形するおそれがある。
【0006】
本発明は、環境負荷軽減及び省資源化に寄与することができ、しかも紙製の中空筒体でありながら安定した強度を備えた鳴音玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、紙素材からなる平板状のブランクシート1を折り曲げて組み立てられる鳴音玩具を対象とする。ブランクシート1は、前後方向に長い長方形状のシート本体2と、シート本体2の前端から突出状に連設された前フラップ3と、シート本体2の後端寄りを部分的に切断することで片持ち状に形成された後フラップ4とからなる。鳴音玩具は、シート本体2に前後方向に形成された複数本の第1の折り線L1に沿ってシート本体2を折り曲げるとともに、シート本体2の左右の辺部どうしを接合されて形成された、内部に中空部Eを有する多角筒状の本体部15と、シート本体2との間に形成された第2の折り線L2に沿って前フラップ3を折ることにより形成されて、本体部15の前方の筒開口17を閉鎖する蓋片20と、シート本体2との間に形成された第3の折り線L3に沿って後フラップ4を折ることにより形成されて、本体部15の中空部Eを前後方向の中途部で仕切る区画片16とを備える。本体部15の内部に、蓋片20と区画片16とで仕切られた反響室21が形成されている。
【0008】
後フラップ4は、中空部Eの断面形状と同一形状に形成されて当該中空部Eを仕切る隔壁フラップ10と、隔壁フラップ10の遊端部に形成されて、本体部15の内面に接する当接フラップ11とを備える。第3の折り線L3に沿って中空部Eの内方向に向かって隔壁フラップ10を折り、当接フラップ11を本体部15の内面に押し当てることで、隔壁フラップ10が本体部15の内面を突っ張り支持するように構成されている。
【0009】
シート本体2には、左右方向の等間隔位置に6本の第1の折り線L1(L1a~L1f)が形成され、本体部15は六角筒状に形成されている。左右方向に隣り合う任意の3本の第1の折り線L1を、左折罫線L1d、中折罫線L1e、右折罫線L1fと規定するとともに、左折罫線L1dと中折罫線L1eとで囲まれるシート本体2の側面を左側片5e、右折罫線L1fと中折罫線L1eとで囲まれるシート本体2の側面を右側片5fと規定したとき、区画片16を構成する後フラップ4が、左右の折罫線L1d・L1fに沿って前後方向に形成された第1の切り込み線13a・13aと、この第1の切り込み線13aの後端から左右の側片5e・5fの左右方向の中央部に向かって斜め後方に走る第2の切り込み線13b・13bと、この第2の切り込み線13b・13bの後端から中折罫線L1eに向かって斜め前方に走る第3の切り込み線13c・13cとによって、左右の側片5e・5fから分断されている。第3の切り込み線13cは、左右の第1の切り込み線13aの前端のそれぞれから中折罫線L1eに向かって斜め前方に形成されており、隔壁フラップ10と当接フラップ11との間に形成された第4の折り線L4が、第1の切り込み線13aの中途部から第3の切り込み線13cの前端とを結ぶように斜め後方に形成されている。そして、隔壁フラップ10が、左右一対の第3の折り線L3・L3と、左右一対の第4の折り線L4・L4と、第4の折り線L4との交差位置まで伸びる、左右一対の第1の切り込み線13a・13aとで規定される六角形状に形成されている。
【0010】
反響室21の内部に、反響室21の内壁と衝突して鳴音を発生する打音部材18が収容されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る鳴音玩具は、紙素材からなる平板状のブランクシート1を折り曲げて組み立てられるものであるため、化石資源である石油由来の合成樹脂(合成ゴム)を素材とするスティックバルーンのように環境問題を引き起こすおそれがなく、環境負荷軽減、および省資源化に貢献することができる。加えて、本発明に係る鳴音玩具のように、内部に中空部Eを有する多角筒状の本体部15に加えて、本体部15の前方の筒開口17を閉鎖する蓋片20と、本体部15の中空部Eを前後方向の中途部で仕切る区画片16とを備えるものとしてあると、これら蓋片20と区画片16とで多角筒状の本体部15の前端と前後方向の中途部の二箇所を支持することができるので、本体部15の剛性を高めて、本体部15に安定した強度を与えることができる。これによれば、より強い力で本体部15の側面を叩いた場合でも、本体部15が凹むなどの変形が生じることを抑えることができる。区画片16よりも後方を握り、換言すれば区画片16よりも後方を把持部として、鳴音玩具を操作した場合には、当該把持部と、それよりも前方の部分(反響室21)との境界部を区画片16で確りと支持することができるので、当該境界部から本体部15が折れ曲がるなどの変形が生じることを抑えることもできる。本体部15の内部に、蓋片20と区画片16とで仕切られた反響室21が形成されていると、本体部15の側面を叩いたときに、反響室21内で音を反響させて、共鳴音を生じさせることができるので、小さな力で軽く本体部15を叩いた場合でも、鳴音玩具から大きな音を発生させることができる。
【0012】
後フラップ4が、中空部Eの断面形状と同一形状に形成されて当該中空部Eを仕切る隔壁フラップ10と、隔壁フラップ10の遊端部に形成されて、本体部15の内面に接する当接フラップ11とを備えており、第3の折り線L3に沿って中空部Eの内方向に向かって隔壁フラップ10を折り、当接フラップ11を本体部15の内面に押し当てることで、隔壁フラップ10が本体部15の内面を突っ張り支持するように構成されていると、これら当接フラップ11と隔壁フラップ10とを備える後フラップ4で構成される区画片16により、本体部15の中空部Eが仕切られるとともに、本体部15の内面を突っ張り支持することができる。これによれば、簡単な構成により本体部15の中空部Eを仕切るとともに、確実に本体部15の強度を高めることができる。当接フラップ11が本体部15の内面に接するようにしていると、隔壁フラップ10が不用意にずれ動くことを抑えることができるので、より確実に隔壁フラップ10を突っ張り支持姿勢に維持させることができる。
【0013】
シート本体2には、左右方向の等間隔位置に6本の第1の折り線L1(L1a~L1f)が形成され、本体部15は六角筒状に形成されていると、本体部15を四角筒状や三角筒状とする場合に比べて、断面形状を真円に近付けることができるので、本体部15の強度を高めることができる。また、八角筒状に比べて折る箇所が少なくて済むため、より簡単にシート本体2を折り曲げて、本体部15を組み立てることができる。隔壁フラップ10が、左右一対の第3の折り線L3・L3と、左右一対の第4の折り線L4・L4と、第4の折り線L4との交差位置まで伸びる、左右一対の第1の切り込み線13a・13aとで規定される六角形状に形成されていると、隔壁フラップ10により本体部15の中空部Eを仕切るとともに、六角形状の隔壁フラップ10の各辺を本体部15の内面の各片に押し当てて、本体部15の内面を強固に突っ張り支持することができる。したがって、本体部15により安定した強度を与えることができる。
【0014】
反響室21の内部に、反響室21の内壁と衝突して鳴音を発生する打音部材18が収容されていると、本体部15を振るだけで、打音部材を反響室21の内壁に衝突させて音を発生させることができる。したがって、より小さな力で音を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る鳴音玩具の斜視図である。
【
図2】鳴音玩具を構成するブランクシートの平面図である。
【
図3】後フラップを説明するための要部の拡大図である。
【
図4】鳴音玩具の販売時の形態(製品シート)を示す平面図である。
【
図5】(a)(b)は鳴音玩具の組立方法を説明するための図である。
【
図6】製品シートからの組立方法を説明するための図である。
【
図8】変形例に係る鳴音玩具の要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
図1乃至
図7に、本発明に係る鳴音玩具の実施形態を示す。本実施形態における前後、左右とは、
図1乃至
図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右の表示に従う。本実施形態に係る鳴音玩具は、
図2に示すような紙素材からなる平板状のブランクシート1を折り曲げて組み立てられるものである。ブランクシート1は、前後方向に長い長方形状のシート本体2と、シート本体2の前端から突出状に連出された前フラップ3と、シート本体2の後端寄りに部分的に切断することで片持ち状に形成された後フラップ4とで構成される。シート本体2には、前後方向に6本の折り線L1(第1の折り線、L1a~L1f)が形成されており、シート本体2は、これら折り線L1により、左から順に第1から第7の側片5(5a~5g)に区画されている。なお、
図2には、ブランクシート1の表面を示している。
【0017】
前フラップ3は、第2の側片5bの前端から、前方に向かって突設された閉鎖板6と、第3、第4、第6、および第7の側板5c、5d、5f、5gの前端から前方に向かって突設された折込み片7とで構成される。前フラップ3の閉鎖板6、および折込み片7と側片5との間には、折り線L2(第2の折り線)が形成されている。閉鎖板6は、六角形状に形成されており、その前端には四角形状の係合片8が連設され、係合片8の左右両端には抜止片9・9が連設されている。
図2において、符号L5は閉鎖板6と係合片8との間に形成された折り線を、符号L6は係合片8と抜止片9との間に形成された折り線を示す。
【0018】
図3の拡大図に示すように、後フラップ4は、折り線(第3の折り線)L3を介して連設された六角形の隔壁フラップ10と、隔壁フラップ10の遊端部に連設された左右一対の当接フラップ11・11とで構成される。後フラップ4は、シート本体2の左から5番目に位置する側片5e(左側片)と、左から6番目に位置する側片5f(右側片)とを跨ぐように形成される。より詳しくは、後フラップ4は、左から4本目の折り線L1d(左折罫線)と、左から6本目の折り線L1f(右折罫線)のそれぞれに沿って前後方向に形成された切り込み線(第1の切り込み線)13a・13aと、これら切り込み線13a・13aの後端から側片5e・5fの左右方向の中央部に向かって斜め後方に走る切り込み線(第2の切り込み線)13b・13bと、この切り込み線13b・13bの後端から左から5本目の折り線L1e(中折罫線)に向かって斜め前方に走る切り込み線13c・13c(第3の切り込み線)とによって、側片5e・5fから分離されている。折り線L3は、左右の切り込み線13a・13aの前端のそれぞれから5本目の折り線L1eに向かって斜め前方に形成されている。隔壁フラップ10と当接フラップ11との間に形成された折り線(第4の折り線)L4は、切り込み線13a・13aの中途部から切り込み線13c・13cの前端とを結ぶように斜め後方に形成されている。
【0019】
以上より、隔壁フラップ10は、左右一対の折り線L3・L3と、左右一対の折り線L4・L4と、折り線L4・L4との交差位置まで伸びる、左右一対の切り込み線13a・13aの前端部とで規定される正六角形状に形成される。左右の当接フラップ11のそれぞれは、切り込み線13b・13cと、折り線L4と、折り線L4との交差位置まで伸びる切り込み線13aの後端部とで規定される台形状に形成される。
【0020】
図4に鳴音玩具の販売形態を示す。同図に示すように鳴音玩具は、上述したブランクシート1を二つ折りした平板体14の形態で販売に供される。具体的には、ブランクシート1の左端の折り線L1aと、左から4番目の折り線L1dとを折り曲げて、第1の側片5aの表面と第7の側片5gの裏面とを接着することで、二つ折りの平板体14とされ、この形態で販売される。このような平板体14の販売形態を採ることで、購入者は、煩わしい接着作業などを要することなく、折り線L1~L6に沿った組立作業を行うだけで、鳴音玩具を得ることができる。また、平板体14とすることで、輸送や販売時において、鳴音玩具が嵩張ることを防ぐことができる。
【0021】
図4、
図5(a)(b)、および
図6を参照して、
図4に示す販売形態(平板体14)からの鳴音玩具の組立方法を説明する。まず、購入者は、二つ折状の平板体14の左右の両側から、左右の内側に向けて力を加えて(
図5(a)の矢印参照)、各折り線L1a~L1fを山折りに折り曲げ、前後の両側が開放した六角筒状の本体部15を形成する(
図5(b)の想像線、
図6参照)。次に、折り線L3に沿って後フラップ4を本体部15である筒体の内方に向かって折り曲げるとともに、折り線L4に沿って当接フラップ11を折り曲げ、当接フラップ11を本体部15の内面(側片5b・5cの裏面)に押し当てる。これにより、隔壁フラップ10により本体部15の内部を仕切る区画片16を形成することができる。また、当接フラップ11を本体部15の内面に押し当てることで、隔壁フラップ10を本体部15の内面に突っ張り支持させることができる。
【0022】
次に、本体部15の前端の筒開口17の内部に打音部材である紙ストロー18を投入する。次に、折り線L2に沿って、折込み片7を本体部15の内方に折り曲げたのち、折り線L2に沿って、閉鎖板6を本体部15の前方の筒開口17を塞ぐように折り曲げる。同時に、折り線L5・L6に沿って係合片8と抜止片9を折り曲げて、これらを筒開口17に押し込む。これにより、本体部15の前方の筒開口17を閉鎖する蓋片20を形成することができる。また、本体部15の内部に、蓋片20と区画片16とで仕切られた反響室21を形成することができる。この反響室21内には紙ストロー18が収容されている。
【0023】
図1および
図7に完成された鳴音玩具を示す。この鳴音玩具は、内部に中空部Eを有する六角筒状の本体部15と、前フラップ3を折ることにより形成された、本体部15の前方の筒開口17を閉鎖する蓋片20と、本体部15の中空部Eを前後方向の中途部で仕切る区画片16とを備える。区画片16は、前後方向の中央よりも後方寄りに形成されており、本体部15の前方寄りの内部には、蓋片20と区画片16とで仕切られた反響室21が形成される。反響室21の内部には打音部材である紙ストロー18が収容されている。本体部15の後方部分は、使用者の手指で握られる把持部22となる。なお、
図1に示すように、把持部22の5本目の折り線L1eは谷折りとされており、把持部22は側片5e・5fが内方向に伸びる、異形六角形状とされている。
【0024】
以上のように構成された鳴音玩具では、把持部22を握り、鳴音玩具を左右に振ることで、紙ストロー18を反響室21を構成する本体部15の筒壁の内面に衝突させて「カラカラ」と打音を生じさせることができる。また、右手で握った鳴音玩具を左手の掌に打ち付ける、或いは、両手のそれぞれに鳴音玩具を握り、鳴音玩具の本体部15どうしを互いに打ち付けることによっても、打音を発生させることができる。このとき、反響室21で音を反響させて、共鳴音を生じさせることができるので、小さな力で本体部15を叩いた場合でも大きな音を発生させることができる。また、このように鳴音玩具を打ち付けたとき、紙ストロー18が反響室21の内面に衝突することによっても、より大きな音を発生させることができる。
【0025】
以上のように本実施形態に係る鳴音玩具は、紙素材からなる平板状のブランクシート1を折り曲げて組み立てられるものとしたため、化石資源である石油由来の合成樹脂(合成ゴム)を素材とするスティックバルーンのように環境問題を引き起こすおそれがなく、環境負荷軽減、および省資源化に貢献することができる。内部に中空部Eを有する多角筒状の本体部15に加えて、本体部15の前方の筒開口17を閉鎖する蓋片20と、本体部15の中空部Eを前後方向の中途部で仕切る区画片16とを備えるものとしたので、これら蓋片20と区画片16とで六角筒状の本体部15の前端と前後方向の中途部とを支持することができ、本体部15の剛性を高めて、本体部15に安定した強度を与えて、より強い力で本体部15の側面を叩いた場合でも、本体部15が凹むなどの変形が生じることを抑えることができる。区画片16よりも後方を把持部22として鳴音玩具を操作すれば、当該把持部22と、それよりも前方の部分(反響室21)との境界部を区画片16で確りと支持することができるので、境界部から本体部15が折れ曲がるなどの変形が生じることを抑えることもできる。本体部15の内部に、蓋片20と区画片16とで仕切られた反響室21を形成したので、本体部15の側面を叩いたときに、反響室21内で音を反響させて、共鳴音を生じさせることができるので、小さな力で軽く本体部15を叩いた場合でも大きな音を発生させることができる。
【0026】
区画片16となる後フラップ4を、中空部Eの断面形状と同一形状に形成されて当該中空部Eを仕切る隔壁フラップ10と、隔壁フラップ10の遊端部に形成されて、本体部15の内面に接する当接フラップ11とを備えるものとし、第3の折り線L3に沿って中空部Eの内方向に向かって隔壁フラップ10を折り、当接フラップ11を本体部15の内面に押し当てることで、隔壁フラップ10が本体部15の内面を突っ張り支持するように構成したので、区画片16により本体部15の中空部Eを仕切るとともに、本体部15の内面を突っ張り支持することができる。これによれば、簡単な構成により本体部15の中空部Eを仕切るとともに、確実に本体部15の強度を高めることができる。当接フラップ11が本体部15の内面に接するようにしたので、隔壁フラップ10が不用意にずれ動くことを抑えることができ、より確実に隔壁フラップ10を突っ張り支持姿勢に維持させることができる。
【0027】
本体部15を六角筒状に形成したので、本体部15を四角筒状や三角筒状とする場合に比べて、断面形状を真円に近付けて、本体部15の強度を高めることができる。また、八角筒状に比べて折る箇所が少なくて済むため、より簡単にシート本体2を折り曲げて、本体部15を組み立てることができる。隔壁フラップ10が、第3の折り線L3と、第4の折り線L4と、第4の折り線L4との交差位置まで伸びる第1の切り込み線13aとで規定される六角形状に形成されていると、隔壁フラップ10により本体部15の中空部Eを仕切るとともに、隔壁フラップ10の六角形状の各辺を本体部15の内面の各片に押し当てて、本体部15の内面を突っ張り支持することができるので、この点でも本体部15に安定した強度を与えることができる。
【0028】
反響室21の内部に、反響室21の内壁と衝突して鳴音を発生する打音部材である紙ストロー18が収容されていると、本体部15を振ることで、紙ストロー18を反響室21の内壁に衝突させて音を発生させることができる。
【0029】
図8は、本実施形態の変形例を示しており、そこでは、側片5e・5fの表面どうしが対向姿勢となるまで、第5の折り線L1eを谷折りに折り返して、把持部22を断面四角形状としている。このように、第5の折り線L1eを谷折りとしていると、これを山折りとする場合よりも把持部22の外形寸法を小さくすることができるので、把持部22をより確りと握ることができる。四角形状の把持部22の断面形状は崩れ難く、この点でも把持部22をより確りと握ることができる。
【0030】
上記実施形態では、本体部15は、六角筒状となっていたが、本発明の形状はこれに限られず、断面形状は、多角形状であればよい。具体的には、断面形状は、三角形状、四角形状、五角形状、八角形状であってもよい。
【0031】
上記実施形態では、反響室21の内部には打音部材として紙ストロー18が収容されていたが、打音部材は紙ストローに限られない。尤も、本発明の鳴音玩具は打音部材を備えないものであってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 ブランクシート
2 シート本体
3 前フラップ
4 後フラップ
5 側片
5e 左側片
5f 右側片
6 閉鎖板
7 折込み片
8 係合片
9 抜止片
10 隔壁フラップ
11 当接フラップ
13 切り込み線
13a 第1の切り込み線
13b 第2の切り込み線
13c 第3の切り込み線
15 本体部
16 区画片
17 筒開口
18 打音部材(紙ストロー)
20 蓋片
21 反響室
L1(L1a~L1f) 第1の折り線
L2 第2の折り線
L3 第3の折り線
L1d 左折罫線
L1e 中折罫線
L1f 右折罫線