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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155167
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ブレーキキャリパ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/097 20060101AFI20241024BHJP
   F16D 55/225 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F16D65/097 C
F16D55/225 113Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069627
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角田 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】篠 圭一
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA43
3J058AA48
3J058AA53
3J058AA63
3J058AA69
3J058BA21
3J058BA23
3J058CA47
3J058CA64
3J058DD13
3J058EA13
3J058EA15
3J058FA01
(57)【要約】
【課題】一例として、ブレーキ鳴きが発生してしまうことを抑制できるブレーキキャリパを得る。
【解決手段】実施形態に係るブレーキキャリパは、一例として、ブレーキパッドと、支持体と、前記ブレーキパッドと前記支持体との間に介在する介在部材と、前記ブレーキパッド及び前記支持体のうち一方から前記回転軸まわりの周方向に突出し、他方に設けられた凹部に嵌り、前記介在部材を介して当該他方に支持される、凸部と、粘着層を有する制振部材と、を備え、前記ブレーキパッド、前記支持体、及び前記介在部材のうちの一つである第1の部材は、第1の面と、前記第1の面と異なる方向に向く第2の面と、を有し、前記第1の面は、前記ブレーキパッドが回転する前記ロータに接触するとき、他の一つである第2の部材を前記周方向に押し、又は前記第2の部材を前記周方向に支持し、前記粘着層は、前記第1の面から前記第2の面にかけて連続した状態で貼り付けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキパッドと、
回転軸まわりに回転するロータに対して前記回転軸に沿う軸方向に移動可能に前記ブレーキパッドを支持する支持体と、
前記ブレーキパッドと前記支持体との間に介在する介在部材と、
前記ブレーキパッド及び前記支持体のうち一方から前記回転軸まわりの周方向に突出し、前記ブレーキパッド及び前記支持体のうち他方に設けられた凹部に嵌り、前記介在部材を介して当該他方に支持される、凸部と、
粘着層を有する制振部材と、
を具備し、
前記ブレーキパッド、前記支持体、及び前記介在部材のうちの一つである第1の部材は、第1の面と、前記第1の面が向く方向と異なる方向に向く第2の面と、を有し、
前記第1の面は、前記ブレーキパッドが回転する前記ロータに接触するときに、前記ブレーキパッド、前記支持体、及び前記介在部材のうち他の一つである第2の部材を前記周方向に押し、又は前記第2の部材を前記周方向に支持し、
前記粘着層は、前記第1の面から前記第2の面にかけて連続した状態で貼り付けられる、
ブレーキキャリパ。
【請求項2】
前記第1の部材は、前記介在部材であり、
前記第2の部材は、前記支持体であり、
前記第1の部材は、前記ブレーキパッドが回転する前記ロータに接触するときに前記ブレーキパッドに押され、前記第1の面で前記第2の部材を前記周方向に押す、
請求項1のブレーキキャリパ。
【請求項3】
前記第1の部材は、前記第2の部材に取り付けられる、
請求項1又は請求項2のブレーキキャリパ。
【請求項4】
前記第1の面と前記第2の面とが接続される角部分に開口が設けられ、
前記粘着層は、前記開口を跨いで前記第1の面及び前記第2の面に貼り付けられる、
請求項1又は請求項2のブレーキキャリパ。
【請求項5】
前記粘着層は、前記角部分に貼り付けられる第1の粘着領域と、前記第1の粘着領域から離間した位置で前記角部分に貼り付けられる第2の粘着領域と、を有し、
前記開口は、前記第1の粘着領域と前記第2の粘着領域との間に位置する、
請求項4のブレーキキャリパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ブレーキキャリパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブレーキパッドと、当該ブレーキパッドを支持するマウンティングと、当該ブレーキパッド及びマウンティングの間に介在するパッドサポートスプリングと、を備えるブレーキキャリパが知られている。マウンティングは、ブレーキキャリパが制動力を発生させるとき、パッドサポートスプリングを介してブレーキパッドから制動力を受ける(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-56480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、ブレーキパッドの振動がパッドサポートスプリングを介してマウンティングに伝達すると、共振によりブレーキ鳴きが発生する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、ブレーキ鳴きが発生してしまうことを抑制できるブレーキキャリパを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るブレーキキャリパは、一例として、ブレーキパッドと、回転軸まわりに回転するロータに対して前記回転軸に沿う軸方向に移動可能に前記ブレーキパッドを支持する支持体と、前記ブレーキパッドと前記支持体との間に介在する介在部材と、前記ブレーキパッド及び前記支持体のうち一方から前記回転軸まわりの周方向に突出し、前記ブレーキパッド及び前記支持体のうち他方に設けられた凹部に嵌り、前記介在部材を介して当該他方に支持される、凸部と、粘着層を有する制振部材と、を備え、前記ブレーキパッド、前記支持体、及び前記介在部材のうちの一つである第1の部材は、第1の面と、前記第1の面が向く方向と異なる方向に向く第2の面と、を有し、前記第1の面は、前記ブレーキパッドが回転する前記ロータに接触するときに、前記ブレーキパッド、前記支持体、及び前記介在部材のうち他の一つである第2の部材を前記周方向に押し、又は前記第2の部材を前記周方向に支持し、前記粘着層は、前記第1の面から前記第2の面にかけて連続した状態で貼り付けられる。よって、一例としては、粘着層が第1の面のみならず第2の面にも貼り付けられる(第1の面から第2の面にかけて連続した状態で貼り付けられる)ことで、制振部材は、剛性及び粘着力を向上させ、位置及び形状をより確実に保つことができる。従って、制振部材は、第1の面に沿って所定の位置からズレてしまうことを抑制できる。制振部材は、第1の面から剥がれずに第1の面に貼り付けられたままに保たれることで、より確実にブレーキ鳴きが発生してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一つの実施形態に係るディスクブレーキ装置を概略的に示す正面図である。
図2図2は、上記実施形態のブレーキキャリパを示す上面図である。
図3図3は、上記実施形態のブレーキキャリパを図2のF3-F3線に沿って示す断面図である。
図4図4は、上記実施形態のブレーキパッド、マウンティング、及びパッドサポートを部分的に示す断面図である。
図5図5は、上記実施形態のパッドサポートを示す斜視図である。
図6図6は、上記実施形態のパッドサポートの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、一つの実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
以下の説明において、「抑制する」は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。また、以下の説明において、「制限する」は、例えば、移動若しくは回転を防ぐこと、又は移動若しくは回転を所定の範囲内で許容するとともに当該所定の範囲を超えた移動若しくは回転を防ぐこと、として定義される。
【0010】
図1は、本実施形態に係るディスクブレーキ装置10を概略的に示す正面図である。ディスクブレーキ装置10は、四輪自動車のような車両1に搭載される。なお、ディスクブレーキ装置10は、この例に限られない。図1に示すように、ディスクブレーキ装置10は、ディスクロータ11と、ブレーキキャリパ12とを有する。ディスクロータ11は、ロータの一例である。
【0011】
ディスクロータ11は、車両1の車輪と一体的に、中心軸Axまわりに回転する。中心軸Axは、回転軸の一例である。中心軸Axは、例えば、車軸の中心軸であるとともに、ディスクロータ11の中心軸である。なお、中心軸Axは、この例に限られない。
【0012】
以下、便宜上、軸方向、径方向、及び周方向Dcが定義される。軸方向は、中心軸Axに沿う方向である。径方向は、中心軸Axと直交する方向である。周方向Dcは、中心軸Axまわりの方向である。
【0013】
周方向Dcは、図1に示す正転方向Dcnと逆転方向Dcrを含む。正転方向Dcnは、中心軸Axまわりの一方向である。逆転方向Dcrは、中心軸Axまわりの逆方向である。車両1が前進するとき、ディスクロータ11は、正転方向Dcnに回転する。一方、車両1が後退するとき、ディスクロータ11は、逆転方向Dcrに回転する。
【0014】
ディスクロータ11は、ロータ本体11aと、ハット部11bとを有する。ロータ本体11aは、中心軸Axと略直交する円盤状に形成される。ハット部11bは、略円筒状に形成され、例えば車両1の車軸に結合される。
【0015】
図2は、本実施形態のブレーキキャリパ12を示す上面図である。図2に示すように、本実施形態のブレーキキャリパ12は、浮動式キャリパである。ブレーキキャリパ12は、一対のブレーキパッド21が組み込まれ、ロータ本体11aを跨ぐように配置される。
【0016】
図3は、本実施形態のブレーキキャリパ12を図2のF3-F3線に沿って示す断面図である。図3に示すように、ブレーキキャリパ12は、ブレーキパッド21と、マウンティング22と、可動キャリパ23と、二つのパッドサポートスプリング(以下、パッドサポートと称する)24と、板バネ25とを有する。マウンティング22は、支持体及び第2の部材の一例である。パッドサポート24は、介在部材及び第1の部材の一例であり、弾性部材又は介装部材とも称され得る。
【0017】
一対のブレーキパッド21は、軸方向に並べられる。ロータ本体11aが、一対のブレーキパッド21の間に配置される。一対のブレーキパッド21のそれぞれは、バックプレート31と、摩擦材32と、シム33とを有する。
【0018】
バックプレート31は、中心軸Axと略直交する板状に形成される。バックプレート31は、略周方向Dcに延びている。バックプレート31は、周方向Dcにおける両方の端部31aと、当該端部31aに設けられたトルク伝達面31bとを有する。
【0019】
図4は、本実施形態のブレーキパッド21、マウンティング22、及びパッドサポート24を部分的に示す断面図である。図4に示すように、トルク伝達面31bは、略径方向に延びている。例えば、トルク伝達面31bは、周方向Dcにおけるバックプレート31の中心を通って径方向に延びる仮想的な線と略平行に延びている。トルク伝達面31bは、周方向Dcに向く。図4は、二つのトルク伝達面31bのうち、正転方向Dcnに向く一方を示す。
【0020】
図3に示すように、バックプレート31は、側面31cをさらに有する。側面31cは、二つの端部31aの間に位置し、軸方向に向く。側面31cは、ロータ本体11aに向く。
【0021】
バックプレート31に、一対の凸部35が設けられる。凸部35は、バックプレート31の端部31aに設けられ、トルク伝達面31bから周方向Dcに突出している。凸部35は、バックプレート31と一体に形成される。凸部35は、径方向において、トルク伝達面31bの外側に位置する。なお、凸部35は、この例に限られない。
【0022】
図4に示すように、一対の凸部35のそれぞれは、内側面35a、外側面35b、及び端面35cを有する。内側面35aは、径方向の外側におけるトルク伝達面31bの端に接続され、径方向の内側に向く。外側面35bは、内側面35aの反対側に位置し、径方向の外側に向く。端面35cは、内側面35aの端と外側面35bの端との間に設けられ、周方向Dcに向く。端面35cに、凹凸が設けられても良い。
【0023】
図3に示すように、摩擦材32は、バックプレート31の側面31cに固定される。摩擦材32は、側面31cとロータ本体11aとの間に位置する。シム33は、バックプレート31の側面31cの反対側の面に取り付けられる。
【0024】
マウンティング22は、車両1の非回転部分に固定される。例えば、マウンティング22は、車両1の車体に取り付けられる。マウンティング22は、ブレーキパッド21、可動キャリパ23、及びパッドサポート24を支持する。マウンティング22は、二つのトルク伝達面22aと、二つの凹面22bとを有する。
【0025】
図4に示すように、トルク伝達面22aは、隙間を介してバックプレート31のトルク伝達面31bに向く。トルク伝達面22aは、バックプレート31のトルク伝達面31bと略平行な平面である。言い換えると、トルク伝達面22aは、略径方向に延びており、周方向Dcに向く。
【0026】
凹面22bは、凹部41を形成(規定、区画)する。すなわち、マウンティング22に、一対の凹部41が設けられる。凹部41は、トルク伝達面22aから周方向Dcに窪んだ空間である。凹部41は、径方向において、トルク伝達面22aの外側に位置する。
【0027】
凹部41は、軸方向に延びている。トルク伝達面22a、凹面22b、及び凹部41のそれぞれの軸方向における長さは、バックプレート31の軸方向における長さ(厚さ)よりも長い。
【0028】
凹面22bは、内側面41a、外側面41b、及び端面41cを有する。内側面41aは、径方向の外側におけるトルク伝達面22aの端に接続され、径方向の外側に向く。外側面41bは、径方向の内側に向く。内側面41aと外側面41bとは、互いに向かい合う。端面41cは、内側面41aの端と外側面41bの端との間に設けられ、周方向Dcに向く。
【0029】
凹部41に、凸部35が嵌って(収容されて)いる。内側面41aは、隙間を介して凸部35の内側面35aに向く。外側面41bは、隙間を介して凸部35の外側面35bに向く。端面41cは、隙間を介して凸部35の端面35cに向く。
【0030】
図2に示すように、可動キャリパ23は、押圧部23aを有する。押圧部23aは、例えば、シリンダ、ピストン、及び当該ピストンを駆動するアクチュエータを有する。押圧部23aは、ディスクロータ11よりも、車幅方向における内側に配置される。
【0031】
押圧部23aは、油圧又は電動により作動し、一対のブレーキパッド21のうち内側の一つをピストンにより軸方向に押す。これにより、内側のブレーキパッド21が、ロータ本体11aに押し付けられる。
【0032】
内側のブレーキパッド21がロータ本体11aに押し付けられると、反動により、可動キャリパ23がピストンの移動方向の反対方向に移動する。これにより、可動キャリパ23は、一対のブレーキパッド21のうち外側の一つをロータ本体11aに押し付ける。
【0033】
具体的には、可動キャリパ23は、シム33を介してバックプレート31を押す。これにより、摩擦材32がロータ本体11aに接触する。なお、シム33が省略され、可動キャリパ23がバックプレート31を直接的に押しても良い。
【0034】
図4に示すように、複数のパッドサポート24は、マウンティング22に取り付けられる。パッドサポート24は、対応する凹部41に嵌められるとともに、マウンティング22のトルク伝達面22aを覆う。
【0035】
パッドサポート24は、ブレーキパッド21とマウンティング22との間に介在し、ブレーキパッド21を軸方向に移動可能に保持する。すなわち、マウンティング22は、パッドサポート24を介して、ディスクロータ11に対して軸方向に移動可能にブレーキパッド21を支持する。
【0036】
図5は、本実施形態のパッドサポート24を示す斜視図である。パッドサポート24は、例えば、曲げ加工された金属板により形成され、弾性を有する。パッドサポート24は、内板部51と、外板部52と、連結板部53と、パッド保持部54と、トルク伝達部55とを有する。
【0037】
内板部51、外板部52、連結板部53、及びトルク伝達部55は、板状に形成される。内板部51、外板部52、及び連結板部53は、全体として略U字状に形成され、凸部35と凹面22bとの間に介在する。凸部35は、パッドサポート24を介してマウンティング22に支持される。
【0038】
図4に示すように、内板部51は、凸部35の内側面35aとマウンティング22の内側面41aとの間に位置し、略周方向Dcに延びている。内板部51は、内側面35a,41aから離間している。なお、内板部51は、内側面41aに一時的に接触しても良い。
【0039】
内板部51は、外面51aを有する。外面51aは、第2の面の一例である。外面51aは、略平坦に形成され、径方向の内側に向く。外面51aは、隙間を介してマウンティング22の内側面41aに向く。
【0040】
外板部52は、凸部35の外側面35bとマウンティング22の外側面41bとの間に位置し、略周方向Dcに延びている。外板部52は、マウンティング22の外側面41b及び凸部35の外側面35bに接触している。なお、外板部52は、外側面35b,41bから一時的に離間しても良い。
【0041】
連結板部53は、内板部51の一方の端と外板部52の一方の端との間に設けられる。連結板部53は、凸部35の端面35cとマウンティング22の端面41cとの間に位置し、略径方向に延びている。連結板部53は、マウンティング22の端面41cに接触し、凸部35の端面35cから離間している。なお、連結板部53は、端面41cから一時的に離間しても良い。
【0042】
図5に示すように、パッド保持部54は、例えば、軸方向における内板部51の端から延びた板バネである。図4に示すように、パッド保持部54の一部は、内板部51と凸部35との間に位置し、凸部35の内側面35aに接触する。パッド保持部54は、押圧部23aがブレーキパッド21を押していないとき、ブレーキパッド21をロータ本体11aから離間させる。さらに、パッド保持部54は、凸部35を外板部52に押し付け、ブレーキパッド21を径方向に保持する。
【0043】
トルク伝達部55は、周方向Dcにおける内板部51の他方の端に接続される。トルク伝達部55は、マウンティング22のトルク伝達面22aとバックプレート31のトルク伝達面31bとの間に位置し、略径方向に延びている。
【0044】
トルク伝達部55は、二つのトルク伝達面55a,55bを有する。トルク伝達面55bは、第1の面の一例である。トルク伝達面55a,55bは、略周方向Dcに向く。トルク伝達面55aは、バックプレート31のトルク伝達面31bに向く。トルク伝達面55bは、トルク伝達面55aの反対側に位置し、マウンティング22のトルク伝達面22aに向く。
【0045】
ブレーキパッド21は、マウンティング22及びパッドサポート24に対して周方向Dcに所定の範囲内で移動することができる。ブレーキパッド21がトルク伝達面22aに最大限近接するとき、トルク伝達面55aは、バックプレート31のトルク伝達面31bに接触する。このため、バックプレート31のトルク伝達面31bとトルク伝達部55のトルク伝達面55aとは、互いに摺動する。ブレーキパッド21がトルク伝達面22aから離れるとき、トルク伝達面55aは、バックプレート31のトルク伝達面31bから離間する。
【0046】
内板部51の外面51aとトルク伝達部55のトルク伝達面55bとは、角部分57において互いに接続される。角部分57は、略円弧状に曲がっており、略軸方向に延びている。なお、角部分57は、この例に限られない。
【0047】
外面51aが向く方向は、トルク伝達面55bが向く方向と異なる。本実施形態では、外面51aが向く方向と、トルク伝達面55bが向く方向とは、略直交している。なお、外面51aが向く方向と、トルク伝達面55bが向く方向とは、この例に限られない。
【0048】
図5に示すように、パッドサポート24に、切欠き61と、スリット62とが設けられる。スリット62は、開口の一例である。切欠き61は、内板部51と連結板部53とを貫通する孔である。切欠き61は、角部分57から離間している。
【0049】
切欠き61が設けられることで、パッドサポート24に、舌片65が形成される。舌片65は、切欠き61の内側に配置される。舌片65は、基部65aと、先端部65bとを有する。
【0050】
基部65aは、連結板部53に接続される。基部65aは、連結板部53に接続された部分から、径方向の内側に延びている。先端部65bは、径方向の内側における基部65aの端から、略周方向Dcに延びている。
【0051】
図4に示すように、先端部65bは、内板部51の外面51aから径方向の内側に張り出している。先端部65bは、弾性変形した状態で、マウンティング22の内側面41aに当接する。
【0052】
先端部65bは、弾性変形からの復元力により、パッドサポート24を径方向の外側に押す。これにより、舌片65は、外板部52を外側面41bに押し付けるとともに、内板部51を内側面41aから離間させる。
【0053】
スリット62は、角部分57に開口するように、パッドサポート24を貫通する孔である。すなわち、スリット62は、角部分57に設けられる。スリット62は、角部分57が延びる方向である軸方向に延びている。
【0054】
スリット62は、内板部51とトルク伝達部55とが互いに接続される部分において、パッドサポート24の剛性を低減する。これにより、スリット62は、内板部51及びトルク伝達部55の相対的な弾性変形からの復元力(弾性力)を調整するとともに、内板部51及びトルク伝達部55の塑性変形を抑制することができる。
【0055】
板バネ25は、ブレーキパッド21の逆転方向Dcr側の凸部35に取り付けられる。板バネ25は、逆転方向Dcr側の連結板部53に当接し、ブレーキパッド21を正転方向Dcnに押す。これにより、板バネ25は、弾性力によりブレーキパッド21を周方向Dcに保持する。
【0056】
図6は、本実施形態のパッドサポート24の一部を示す斜視図である。図6に示すように、ディスクブレーキ装置10は、対応するパッドサポート24に貼り付けられる二つの粘着テープ70をさらに有する。粘着テープ70は、制振部材の一例であり、制振テープとも称され得る。
【0057】
粘着テープ70は、いわゆる片面テープである。なお、粘着テープ70は、両面テープであっても良い。図4に示すように、二つの粘着テープ70のそれぞれは、基材71と、粘着層72とを有する。
【0058】
基材71は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はポリイミド(PI)のような合成樹脂で作られたフィルムである。なお、基材71は、紙又は布のような他の材料で作られても良い。
【0059】
粘着層72は、例えば、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤若しくはウレタン系粘着剤のような粘着剤、又は合成ゴムのようなエラストマーで作られる。粘着層72は、基材71の一方の面に付着している。さらに、粘着層72は、内板部51の外面51aからトルク伝達部55のトルク伝達面55bにかけて連続した状態で、外面51aと、トルク伝達面55bと、角部分57とに貼り付けられる。すなわち、粘着テープ70は、トルク伝達面55bに貼り付けられるとともに、当該トルク伝達面55bが向く方向に谷折りに折られて、外面51aに貼り付けられる。
【0060】
図6に示すように、粘着層72は、四つの粘着領域72a,72b,72c,72dを有する。粘着領域72cは、第1の粘着領域の一例である。粘着領域72dは、第2の粘着領域の一例である。
【0061】
粘着領域72aは、内板部51の外面51aに貼り付けられる。粘着領域72aは、角部分57と切欠き61との間で、外面51aに貼り付けられる。別の表現によれば、粘着領域72aは、切欠き61とスリット62との間で、外面51aに貼り付けられる。なお、粘着領域72aは、切欠き61の少なくとも一部を覆っても良い。
【0062】
粘着領域72bは、トルク伝達部55のトルク伝達面55bに貼り付けられる。粘着領域72bは、トルク伝達面55bのうち粘着領域72bが貼り付いていない部分よりも大きい。なお、粘着領域72bは、この例に限られない。
【0063】
粘着領域72c,72dは、角部分57に貼り付けられる。粘着領域72c,72dは、軸方向に互いに離間している。スリット62は、粘着領域72cと粘着領域72dとの間に位置する。粘着領域72cと粘着領域72dとの間において、粘着層72はスリット62を覆う。
【0064】
粘着層72は、スリット62を跨いで内板部51の外面51aとトルク伝達部55のトルク伝達面55bとに貼り付けられる。なお、粘着層72は、スリット62を避けて外面51a及びトルク伝達面55bに貼り付けられても良い。
【0065】
軸方向において、粘着テープ70の長さ(幅)は、スリット62の長さよりも長い。このため、スリット62は、二つの粘着領域72c,72dの間に配置され得る。軸方向において、粘着テープ70の長さが、スリット62の長さより短くても良い。この場合も、粘着テープ70は、スリット62を跨いで内板部51の外面51aとトルク伝達部55のトルク伝達面55bとに貼り付けられることができる。
【0066】
図4に示すように、粘着テープ70は、マウンティング22のトルク伝達面22aと、トルク伝達部55のトルク伝達面55bと、の間に介在する。基材71が、マウンティング22のトルク伝達面22aに接触する。
【0067】
ディスクブレーキ装置10がディスクロータ11及び車輪を制動するとき、上述のように、押圧部23aがブレーキパッド21を軸方向に移動させる。ブレーキパッド21は、凹部41に沿って軸方向に移動し、ロータ本体11aに当接する。
【0068】
ブレーキパッド21が正転方向Dcnに回転するディスクロータ11に接触すると、ロータ本体11aと摩擦材32との間の摩擦により、ブレーキパッド21が正転方向Dcnへの力を受ける。これにより、バックプレート31のトルク伝達面31bが、トルク伝達部55のトルク伝達面55aに押し付けられる。
【0069】
なお、バックプレート31は、一方のパッドサポート24のトルク伝達面55aに当接するが、他方のパッドサポート24のトルク伝達面55aからは離間する。以下の記載は、バックプレート31が当接する一方のパッドサポート24について説明する。
【0070】
ロータ本体11aと摩擦材32との間の摩擦力が、バックプレート31を正転方向Dcnに押す。マウンティング22のトルク伝達面22aは、粘着テープ70及びトルク伝達部55を介して、バックプレート31を周方向Dcに支持する。これにより、トルク伝達面22aは、ブレーキパッド21、パッドサポート24、及び粘着テープ70のさらなる移動を制限する。
【0071】
マウンティング22は、ブレーキパッド21を介して伝達される制動力(制動トルク)を受けて車両1の車体に伝達する。これにより、ディスクブレーキ装置10は、ディスクロータ11を制動する。
【0072】
マウンティング22のトルク伝達面22aがバックプレート31を支持するとき、凸部35の端面35cは、連結板部53から離間している。すなわち、本実施形態では、マウンティング22の端面41cと凸部35の端面35cとは、制動力(制動トルク)を伝達しない。なお、トルク伝達面22a,31bの代わりに、端面35c,41cが制動力を伝達しても良い。
【0073】
ブレーキパッド21が正転方向Dcnに回転するディスクロータ11に接触するとき、バックプレート31のトルク伝達面31bは、トルク伝達部55を正転方向Dcn(周方向Dc)に押す。また、トルク伝達部55のトルク伝達面55aは、バックプレート31を周方向Dcに支持する。
【0074】
ブレーキパッド21が正転方向Dcnに回転するディスクロータ11に接触するとき、トルク伝達部55は、バックプレート31に押され、トルク伝達面55bで粘着テープ70を介してマウンティング22を正転方向Dcn(周方向Dc)に押す。また、マウンティング22のトルク伝達面22aは、粘着テープ70を介してトルク伝達部55を周方向Dcに支持する。
【0075】
ブレーキパッド21は、例えば回転するロータ本体11aに摺動し且つマウンティング22に支持されることで、振動する。粘着剤又はエラストマーのような粘着層72は、振動を減衰する。このため、粘着テープ70の粘着層72は、振動がブレーキパッド21からパッドサポート24及び粘着テープ70を通じてマウンティング22に伝達する間に、当該振動を減衰する。粘着テープ70は、振動を減衰させることで、例えばブレーキパッド21とマウンティング22との共振に起因するブレーキ鳴きが発生することを抑制できる。
【0076】
一方で、軸方向において、トルク伝達部55の長さは、バックプレート31の厚さよりも長い。このため、バックプレート31は、トルク伝達部55を局部的に押す。押されたトルク伝達部55は、マウンティング22のトルク伝達面22aに向かって突出するように弾性的に曲がることがある。
【0077】
曲がったトルク伝達部55は、粘着テープ70を局部的に押す。このため、粘着テープ70の粘着層72は、トルク伝達部55によって強い荷重をかけられる部分から、比較的弱い荷重をかけられる部分に向かって軸方向に移動しようとする。言い換えると、粘着テープ70のうちトルク伝達部55のトルク伝達面55bに貼り付けられた部分70aには、トルク伝達面55bに沿う方向に当該粘着テープ70をズラそうとする剪断力が作用する。
【0078】
一方で、ロータ本体11aと摩擦材32との間の摩擦力は、バックプレート31を径方向の内側にもさらに押すことがある。しかし、パッド保持部54及び舌片65が、内板部51をマウンティング22の内側面41a及び凸部35の内側面35aから離間した状態に保つ。このため、粘着テープ70のうち、内板部51の外面51aに貼り付けられた部分70bは、マウンティング22及びパッドサポート24から力を受けない。当該部分70bは、力を受けないため、所定の位置及び形状を保つことができる。このため、粘着テープ70の全体としての剛性及び粘着力が向上する。なお、当該部分70bに、荷重が作用しても良い。
【0079】
粘着テープ70のうちトルク伝達面55bに付着する部分70aに剪断力が作用したとしても、粘着テープ70のうち外面51aに貼り付けられた部分70bが、当該部分70aを保持(支持)する。従って、粘着テープ70は、トルク伝達面55bに沿ってズレることがなく、トルク伝達面55bから剥がれずに済む。
【0080】
以上説明された実施形態に係るディスクブレーキ装置10において、パッドサポート24は、トルク伝達面55bと、当該トルク伝達面55bが向く方向と異なる方向に向く外面51aと、を有する。トルク伝達面55bは、ブレーキパッド21が回転するディスクロータ11に接触するときに、マウンティング22を周方向Dcに押す。粘着テープ70の粘着層72は、ブレーキパッド21とマウンティング22との間で力の伝達がなされるトルク伝達面55bのみならず、外面51aに貼り付けられる。このため、トルク伝達面55bに貼り付けられた粘着テープ70の部分70bは、ブレーキパッド21の振動を減衰し、例えばブレーキパッド21とマウンティング22との共振に起因するブレーキ鳴きが発生してしまうことを抑制できる。さらに、粘着層72がトルク伝達面55bのみならず外面51aにも貼り付けられる(トルク伝達面55bから外面51aにかけて連続した状態で貼り付けられる)ことで、粘着テープ70は、剛性及び粘着力を向上させ、位置及び形状をより確実に保つことができる。従って、粘着テープ70は、例えば粘着層72がトルク伝達面55bに沿って押し出されるように押圧されたとしても、トルク伝達面55bに沿って所定の位置からズレてしまうことを抑制でき、ひいてはトルク伝達面55bから剥がれてしまうことを抑制できる。粘着テープ70は、トルク伝達面55bから剥がれずにトルク伝達面55bに貼り付けられたままに保たれることで、より確実にブレーキ鳴きが発生してしまうことを抑制できる。
【0081】
粘着層72は、パッドサポート24に貼り付けられる。これにより、例えば粘着層72が凹部41を形成するマウンティング22の凹面22bに貼り付けられる場合に比べ、粘着テープ70の貼付作業が容易となる。
【0082】
パッドサポート24は、マウンティング22に取り付けられる。このため、粘着テープ70は、マウンティング22に対して相対的に移動することを制限される。従って、粘着テープ70は、当該粘着テープ70とマウンティング22との摺動により摩耗してしまうことを抑制できる。
【0083】
トルク伝達面55bと外面51aとが接続される角部分57にスリット62が設けられる。粘着層72は、スリット62を跨いでトルク伝達面55b及び外面51aに貼り付けられる。例えば、粘着層72が外面51aに貼り付けられずトルク伝達面55bに貼り付けられる場合、粘着テープ70は、スリット62に侵入するようにトルク伝達面55bに沿って所定の位置からズレてしまう虞がある。しかし、粘着層72がトルク伝達面55b及び外面51aに貼り付けられるため、粘着テープ70は、トルク伝達面55bに沿って所定の位置からズレてしまうことを抑制できる。
【0084】
粘着層72は、それぞれが角部分57に貼り付けられる粘着領域72c,72dを有する。スリット62は、粘着領域72cと粘着領域72dとの間に位置する。すなわち、粘着層72は、粘着領域72a,72b,72c,72dによってスリット62を囲む。これにより、粘着層72のうちスリット62を覆う部分が何にも貼り付けられなかったとしても、粘着テープ70は、剛性及び粘着力の低下を抑制できる。従って、粘着テープ70は、トルク伝達面55bに沿って所定の位置からズレてしまうことを抑制できる。
【0085】
以上の実施形態において、パッドサポート24が第1の部材の一例であり、マウンティング22が第2の部材の一例である。しかし、第1の部材は、ブレーキパッド21又はマウンティング22であっても良い。また、第2の部材は、ブレーキパッド21又はパッドサポート24であっても良い。
【0086】
例えば、パッドサポート24が第1の部材の一例であり、ブレーキパッド21が第2の部材の一例であっても良い。この場合、パッドサポート24のトルク伝達面55aが第1の面の一例となり、内板部51の表面(外面51aの反対側の面)が第2の面の一例となり得る。粘着テープ70は、トルク伝達面55aと内板部51の表面とに貼り付けられる。
【0087】
ブレーキパッド21が第1の部材の一例であり、パッドサポート24が第2の部材の一例であっても良い。この場合、ブレーキパッド21のトルク伝達面31bが第1の面の一例となり、バックプレート31の側面31c又は凸部35の内側面35aが第2の面の一例となり得る。粘着テープ70は、トルク伝達面31bと、側面31c又は内側面35aと、に貼り付けられる。
【0088】
マウンティング22が第1の部材の一例であり、パッドサポート24が第2の部材の一例であっても良い。この場合、マウンティング22のトルク伝達面22aが第1の面の一例となり、マウンティング22の内側面41aが第2の面の一例となり得る。粘着テープ70は、トルク伝達面22aと内側面41aとに貼り付けられる。
【0089】
また、以上の実施形態において、粘着テープ70が制振部材の一例である。しかし、制振部材は、例えば、シム33であっても良い。この場合、バックプレート31のトルク伝達面31bが第1の面の一例となり、側面31cの反対側の面が第2の面の一例となる。シム33は、バックプレート31のトルク伝達面31bと、側面31cの反対側の面に貼り付けられる。
【0090】
また、以上の実施形態において、トルク伝達面55aが第1の面の一例である。しかし、トルク伝達面22a,31bの代わりに端面35c,41cが制動力を伝達する場合、連結板部53のうち端面41cに向く面が第1の面の一例であっても良い。この場合、粘着テープ70の粘着層72は、例えば、連結板部53に貼り付けられる。
【0091】
以上説明された少なくとも一つの実施形態に係るブレーキキャリパは、一例として、ブレーキパッドと、回転軸まわりに回転するロータに対して前記回転軸に沿う軸方向に移動可能に前記ブレーキパッドを支持する支持体と、前記ブレーキパッドと前記支持体との間に介在する介在部材と、前記ブレーキパッド及び前記支持体のうち一方から前記回転軸まわりの周方向に突出し、前記ブレーキパッド及び前記支持体のうち他方に設けられた凹部に嵌り、前記介在部材を介して当該他方に支持される、凸部と、粘着層を有する制振部材と、を備え、前記ブレーキパッド、前記支持体、及び前記介在部材のうちの一つである第1の部材は、第1の面と、前記第1の面が向く方向と異なる方向に向く第2の面と、を有し、前記第1の面は、前記ブレーキパッドが回転する前記ロータに接触するときに、前記ブレーキパッド、前記支持体、及び前記介在部材のうち他の一つである第2の部材を前記周方向に押し、又は前記第2の部材を前記周方向に支持し、前記粘着層は、前記第1の面及び前記第2の面に貼り付けられる。よって、一例としては、第1の面は、ロータに接触するブレーキパッドを支持体が支持することでブレーキキャリパが制動力を発生させるときに、ブレーキパッドと支持体との間で力の伝達がなされる面となる。一般的に、アクリル系粘着剤やシリコン系粘着剤のような粘着層は、振動を減衰することができる。このため、第1の面に貼り付けられた制振部材の一部は、ブレーキパッドの振動を減衰し、例えばブレーキパッドと支持体との共振に起因するブレーキ鳴きが発生してしまうことを抑制できる。さらに、粘着層が第1の面のみならず第2の面にも貼り付けられる(第1の面から第2の面にかけて連続した状態で貼り付けられる)ことで、制振部材は、剛性及び粘着力を向上させ、位置及び形状をより確実に保つことができる。従って、制振部材は、例えば粘着層が第1の面に沿って押し出されるように押圧されたとしても、第1の面に沿って所定の位置からズレてしまうことを抑制でき、ひいては第1の面から剥がれてしまうことを抑制できる。制振部材は、第1の面から剥がれずに第1の面に貼り付けられたままに保たれることで、より確実にブレーキ鳴きが発生してしまうことを抑制できる。
【0092】
上記ブレーキキャリパでは、一例として、前記第1の部材は、前記介在部材であり、前記第2の部材は、前記支持体であり、前記第1の部材は、前記ブレーキパッドが回転する前記ロータに接触するときに前記ブレーキパッドに押され、前記第1の面で前記第2の部材を前記周方向に押す。よって、一例としては、粘着層が介在部材に貼り付けられるため、例えば粘着層が凹部を形成する支持体の凹面に貼り付けられる場合に比べ、制振部材の貼付作業が容易となる。
【0093】
上記ブレーキキャリパでは、一例として、前記第1の部材は、前記第2の部材に取り付けられる。よって、一例としては、制振部材は、第2の部材に対して相対的に移動することを制限される。従って、制振部材は、当該制振部材と第2の部材との摺動により摩耗してしまうことを抑制できる。
【0094】
上記ブレーキキャリパでは、一例として、前記第1の面と前記第2の面とが接続される角部分に開口が設けられ、前記粘着層は、前記開口を跨いで前記第1の面及び前記第2の面に貼り付けられる。よって、一例としては、例えば、粘着層が第2の面に貼り付けられず第1の面に貼り付けられる場合、制振部材は、開口に侵入するように第1の面に沿って所定の位置からズレてしまう虞がある。しかし、粘着層が第1の面及び第2の面に貼り付けられるため、制振部材は、第1の面に沿って所定の位置からズレてしまうことを抑制できる。
【0095】
上記ブレーキキャリパでは、一例として、前記粘着層は、前記角部分に貼り付けられる第1の粘着領域と、前記第1の粘着領域から離間した位置で前記角部分に貼り付けられる第2の粘着領域と、を有し、前記開口は、前記第1の粘着領域と前記第2の粘着領域との間に位置する。よって、一例としては、粘着層は、第1の粘着領域と、第2の粘着領域と、第1の面に貼り付けられる領域と、第2の面に貼り付けられる領域と、によって開口を囲む。これにより、粘着層のうち開口を覆う部分が何にも貼り付けられなかったとしても、制振部材は、剛性及び粘着力の低下を抑制できる。従って、制振部材は、第1の面に沿って所定の位置からズレてしまうことを抑制できる。
【0096】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0097】
11…ディスクロータ(ロータ)、12…ブレーキキャリパ、21…ブレーキパッド、22…マウンティング(支持体)、24…パッドサポートスプリング(介在部材)、35…凸部、41…凹部、51a…外面(第2の面)、55b…トルク伝達面(第1の面)、57…角部分、62…スリット(開口)、70…粘着テープ(制振部材)、72…粘着層、72c…粘着領域(第1の粘着領域)、72d…粘着領域(第2の粘着領域)、Ax…中心軸(回転軸)、Dc…周方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6