IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155175
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】撮像装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 3/06 20060101AFI20241024BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20241024BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241024BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241024BHJP
   G03B 19/06 20210101ALI20241024BHJP
【FI】
G01C3/06 110V
H04N23/55
H04N23/60 500
G03B15/00 W
G03B19/06
G01C3/06 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069639
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100180655
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】菅原 俊
【テーマコード(参考)】
2F112
2H054
5C122
【Fターム(参考)】
2F112AC03
2F112AC06
2F112BA03
2F112BA06
2F112CA12
2F112DA04
2F112DA28
2F112FA03
2F112FA21
2F112FA35
2F112FA45
2F112GA01
2H054BB05
2H054BB07
5C122DA30
5C122EA37
5C122FA02
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB11
5C122FH04
5C122FH11
5C122FH18
5C122HA88
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】広角でありながら長焦点光学系の解像度を有する画像を得ることが可能な撮像装置及び情報処理方法が提供される。
【解決手段】撮像装置(1)は、被写体(40)から到来する光を第1受光領域に結像させる第1光学素子(11)と、被写体から到来する光を第2受光領域に結像させる第2光学素子(21)と、第1光学素子から第1受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して第1受光領域の中に向かって進行させる第3光学素子(12)と、第2光学素子から第2受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して第2受光領域の中に向かって進行させる第4光学素子(22)と、第1受光領域の重畳画像と第2受光領域の重畳画像に少なくとも反転及び結合を含む変換処理を実行し、変換処理が実行された重畳画像の比較によって被写体の視差を算出するコントローラ(14)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体から到来する光を第1像として撮像素子の第1受光領域に結像させる第1光学素子と、
前記被写体から到来する光を第2像として前記撮像素子の前記第1受光領域に隣接する第2受光領域に結像させる第2光学素子と、
前記第1光学素子から前記第1受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して前記第1受光領域の中に向かって進行させる第3光学素子と、
前記第2光学素子から前記第2受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して前記第2受光領域の中に向かって進行させる第4光学素子と、
前記第1受光領域の重畳画像と前記第2受光領域の重畳画像に少なくとも反転及び結合を含む変換処理を実行し、前記変換処理が実行された重畳画像の比較によって被写体の視差を算出するコントローラと、を備える、撮像装置。
【請求項2】
第5光学素子及び第6光学素子の少なくとも1つを備え、
前記第5光学素子は、前記第3光学素子に対向するように配置され、前記第1光学素子から前記第1受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を遮光し、又は、反射して前記第1受光領域の中に向かって進行させ、
前記第6光学素子は、前記第4光学素子に対向するように配置され、前記第2光学素子から前記第2受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を遮光し、又は、反射して前記第2受光領域の中に向かって進行させる、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記コントローラは、算出した視差の方向に基づいて、前記第1光学素子又は前記第2光学素子のみを介して撮像された被写体像と、前記第1光学素子と前記第2光学素子を除く光学素子を介して撮像された被写体像と、を分離する、請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
被写体から到来する光を第1像として撮像素子の第1受光領域に結像させる第1光学素子と、前記被写体から到来する光を第2像として前記撮像素子の前記第1受光領域に隣接する第2受光領域に結像させる第2光学素子と、前記第1光学素子から前記第1受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して前記第1受光領域の中に向かって進行させる第3光学素子と、前記第2光学素子から前記第2受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して前記第2受光領域の中に向かって進行させる第4光学素子と、コントローラと、を備える撮像装置が実行する情報処理方法であって、
前記コントローラが、
前記第1受光領域の重畳画像と前記第2受光領域の重畳画像に少なくとも反転及び結合を含む変換処理を実行し、
前記変換処理が実行された重畳画像の比較によって被写体の視差を算出する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1台の撮像装置で距離算出用の画像及び表示用の画像の両方を撮像可能にするシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-289305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの撮像素子の中に距離算出用の2枚の画像をそれぞれ撮像する領域が設けられる場合、各領域で撮像される画像の画素数が少なくなる。また、各領域で撮像される画像の広角化が難しくなる。その結果、撮像画像に基づく距離の算出精度が低くなる。そのため、特許文献1の技術は、遠方の撮影画像と広角画像とを高い解像度で同時に得ることができない。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、広角でありながら長焦点光学系の解像度を有する画像を得ることが可能な撮像装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一実施形態に係る撮像装置は、
被写体から到来する光を第1像として撮像素子の第1受光領域に結像させる第1光学素子と、
前記被写体から到来する光を第2像として前記撮像素子の前記第1受光領域に隣接する第2受光領域に結像させる第2光学素子と、
前記第1光学素子から前記第1受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して前記第1受光領域の中に向かって進行させる第3光学素子と、
前記第2光学素子から前記第2受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して前記第2受光領域の中に向かって進行させる第4光学素子と、
前記第1受光領域の重畳画像と前記第2受光領域の重畳画像に少なくとも反転及び結合を含む変換処理を実行し、前記変換処理が実行された重畳画像の比較によって被写体の視差を算出するコントローラと、を備える。
【0007】
(2)本開示の一実施形態として、(1)において、
第5光学素子及び第6光学素子の少なくとも1つを備え、
前記第5光学素子は、前記第3光学素子に対向するように配置され、前記第1光学素子から前記第1受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を遮光し、又は、反射して前記第1受光領域の中に向かって進行させ、
前記第6光学素子は、前記第4光学素子に対向するように配置され、前記第2光学素子から前記第2受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を遮光し、又は、反射して前記第2受光領域の中に向かって進行させる。
【0008】
(3)本開示の一実施形態として、(1)又は(2)において、
前記コントローラは、算出した視差の方向に基づいて、前記第1光学素子又は前記第2光学素子のみを介して撮像された被写体像と、前記第1光学素子と前記第2光学素子を除く光学素子を介して撮像された被写体像と、を分離する。
【0009】
(4)本開示の一実施形態に係る情報処理方法は、
被写体から到来する光を第1像として撮像素子の第1受光領域に結像させる第1光学素子と、前記被写体から到来する光を第2像として前記撮像素子の前記第1受光領域に隣接する第2受光領域に結像させる第2光学素子と、前記第1光学素子から前記第1受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して前記第1受光領域の中に向かって進行させる第3光学素子と、前記第2光学素子から前記第2受光領域の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して前記第2受光領域の中に向かって進行させる第4光学素子と、コントローラと、を備える撮像装置が実行する情報処理方法であって、
前記コントローラが、
前記第1受光領域の重畳画像と前記第2受光領域の重畳画像に少なくとも反転及び結合を含む変換処理を実行し、
前記変換処理が実行された重畳画像の比較によって被写体の視差を算出する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、広角でありながら長焦点光学系の解像度を有する画像を得ることが可能な撮像装置及び情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る撮像装置の概略構成例を示す側面図である。
図2図2は、図1の撮像装置の第1像及び第2像を説明するための図である。
図3図3は、図1の撮像装置が生成する重畳画像を説明するための図である。
図4図4は、図1の撮像装置が実行する変換処理を説明するための図である。
図5図5は、変換後重畳画像の一例を示す図である。
図6図6は、撮像装置が実行する情報処理方法の処理例を示すフローチャートである。
図7図7は、本開示の一実施形態に係る撮像装置の別の概略構成例を示す側面図である。
図8図8は、図7の撮像装置の第1像及び第2像を説明するための図である。
図9図9は、図7の撮像装置が生成する重畳画像を説明するための図である。
図10図10は、図7の撮像装置が実行する変換処理を説明するための図である。
図11図11は、本開示の一実施形態に係る撮像装置の別の概略構成例を示す側面図である。
図12図12は、図11の撮像装置の第1像及び第2像を説明するための図である。
図13図13は、図11の撮像装置が生成する重畳画像を説明するための図である。
図14図14は、図11の撮像装置が実行する変換処理を説明するための図である。
図15図15は、本開示の一実施形態に係る撮像装置の別の概略構成例を示す側面図である。
図16図16は、図15の撮像装置の第1像及び第2像を説明するための図である。
図17図17は、図15の撮像装置が生成する重畳画像を説明するための図である。
図18図18は、図15の撮像装置が実行する変換処理を説明するための図である。
図19図19は、本開示の一実施形態に係る撮像装置の別の概略構成例を示す側面図である。
図20図20は、図19の撮像装置の第1像及び第2像を説明するための図である。
図21図21は、図19の撮像装置が生成する重畳画像を説明するための図である。
図22図22は、図19の撮像装置が実行する変換処理を説明するための図である。
図23図23は、本開示の一実施形態に係る撮像装置の別の概略構成例を示す側面図である。
図24図24は、図23の撮像装置の第1像及び第2像を説明するための図である。
図25図25は、図23の撮像装置が生成する重畳画像を説明するための図である。
図26図26は、図23の撮像装置が実行する変換処理を説明するための図である。
図27図27は、本開示の一実施形態に係る撮像装置のミラーに関する変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る撮像装置1(図1参照)及び情報処理方法が説明される。以下の図面において、同じ構成要素には同じ符号が付されている。実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率などは、現実のものと必ずしも一致していない。
【0013】
本実施形態に係る撮像装置1は、被写体40(図1参照)の視差画像を撮影する。例えば被写体40の視差画像に基づいて、測距対象である被写体40の各点までの距離を算出することができる。視差画像に基づく測距において、基線長が大きいほど距離データの分解能及び精度が高められる。基線長は、視差画像を構成する2枚の画像を撮影する装置の間隔に対応する。
【0014】
測距データを生成するための視差画像を撮影する方法として、例えばステレオカメラを用いる方法が考えられる。ステレオカメラは、平行に配置した2つのカメラで三角測量を行う方式である。ステレオカメラにおいて、2つのカメラの間隔が基線長に対応する。したがって、ステレオカメラの基線長を長くすることによって距離データの分解能及び精度を高めることができる。しかし、ステレオカメラにおいて基線長を長くする場合、2つのカメラを離して配置することが必要になり、装置が大きくなる。近年、さらなる小型化が求められており、装置を大きくすることは難しい。ここで、距離データの分解能及び精度を高めるために、焦点距離を長くする方法が考えられる。しかし、焦点距離を長くすることによって撮像画像の広角化が難しくなる。つまり、従来構成のステレオカメラでは、撮像画像の広角化又は距離データの分解能及び精度の向上のいずれかが難しくなる。
【0015】
本実施形態に係る撮像装置1は、装置を大型化させることなく、撮像画像の広角化並びに距離データの分解能及び精度の向上を実現し得る。つまり、本実施形態に係る撮像装置1は、以下に説明する構成によって、広角でありながら長焦点光学系の解像度を有する画像を得ることが可能である。以下、撮像装置1の具体的な構成例が説明される。
【0016】
(第1構成例)
図1に示されるように、本実施形態に係る撮像装置1は、第1光学系10と、第2光学系20と、コントローラ14と、を備える。撮像装置1は撮像素子30をさらに備えてよい。光学系は光学装置とも称される。撮像装置1は、第1光学系10及び第2光学系20それぞれで被写体40を結像させて撮像素子30で撮像することによって、第1光学系10で結像した像を撮像した画像と第2光学系20で結像した像を撮像した画像とを、視差画像として撮像できる。第1光学系10で結像した像は、第1像41とも称される。第2光学系20で結像した像は、第2像42とも称される。図2は、図1の撮像装置1の第1像41及び第2像42を説明するための図である。図2において、第1像41及び第2像42の説明のために、仮想的に第1光学系10と第2光学系20とを離して示し、仮想的に光が直進して撮像素子30の位置で被写体像が生成される様子を示している。第1像41を撮像した画像は、第1画像とも称される。第2像42を撮像した画像は、第2画像とも称される。視差画像は、第1画像及び第2画像によって構成される。
【0017】
撮像素子30は、受光領域30Aを備える。撮像素子30は、受光領域30Aに入射した光を撮像する。受光領域30Aは撮像領域とも称される。撮像素子30は、可視光又は赤外線若しくは紫外線等の不可視光によって形成される像を撮像可能であってよい。撮像素子30は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等を含んで構成されてよい。撮像素子30は、カラーイメージセンサであってよい。撮像素子30の受光領域30Aは、複数の画素を有してよい。撮像素子30は、各画素に入射する光量に応じて各画素から出力される電気信号に基づいて画像信号を生成する。撮像素子30は、30fps(frame per second)等の所定のフレームレートで画像信号を生成してよい。
【0018】
受光領域30Aは、第1受光領域31と第2受光領域32とを含む。第1受光領域31と第2受光領域32とは、受光領域30Aの上で互いに重複しないとする。また、第1受光領域31の面積と第2受光領域32の面積とが互いに同じであってよい。第1受光領域31と第2受光領域32とは隣接してよい。第1受光領域31と第2受光領域32とは、説明の便宜上、区別される。実際の受光領域30Aにおいて、第1受光領域31と第2受光領域32とは区別可能に構成されなくてよい。
【0019】
第1光学系10は、第1光学素子11を備える。第1光学素子11は、光軸11Aを有する。第1光学素子11は、被写体40から到来する光又は光束を撮像素子30の受光領域30Aのうち第1受光領域31に結像させる。
【0020】
第1光学素子11は、少なくとも1つのレンズを含んで構成されてよい。第1光学素子11は、凸レンズ又は凹レンズ等の種々のレンズを含んで構成されてよい。第1光学素子11は、凸面鏡、凹面鏡又は平面鏡等の種々のミラーを含んで構成されてよい。第1光学素子11は、絞りを含んで構成されてよい。第1光学素子11は、これらに限られず他の種々の素子を含んで構成されてよい。
【0021】
第1光学素子11は、被写体40の像を受光領域30Aで第1像41として結像させる。第1光学系10は、像側テレセントリックでなくてよい。言い換えると、第1光学系10を通過する任意の光束の主光線の方向の、第1光学素子11の光軸11Aに対する角度は、0度より大きくてよい。又は、第1光学系10は、像側テレセントリックであってよい。
【0022】
第2光学系20は、第2光学素子21を備える。第2光学素子21は、光軸21Aを有する。第2光学素子21は、被写体40から到来する光又は光束を撮像素子30の受光領域30Aのうち第2受光領域32に結像させる。
【0023】
第2光学素子21は、少なくとも1つのレンズを含んで構成されてよい。第2光学素子21は、凸レンズ又は凹レンズ等の種々のレンズを含んで構成されてよい。第2光学素子21は、凸面鏡、凹面鏡又は平面鏡等の種々のミラーを含んで構成されてよい。第2光学素子21は、絞りを含んで構成されてよい。第2光学素子21は、これらに限られず他の種々の素子を含んで構成されてよい。
【0024】
第2光学素子21は、被写体40の像を受光領域30Aで第2像42として結像させる。第2光学系20は、像側テレセントリックでなくてよい。言い換えると、第2光学系20を通過する任意の光束の主光線の方向の、第2光学素子21の光軸21Aに対する角度は、0度より大きくてよい。又は、第2光学系20は、像側テレセントリックであってよい。
【0025】
第1像41として結像する光線の一部は、第1光学素子11から受光領域30Aの外側に向かって進行する。第1光学系10は第3光学素子12をさらに含む。第3光学素子12は、第1受光領域31に近い面を反射面とするミラーとして構成される。また、図1の構成例において第3光学素子12は平面鏡である。第3光学素子12は、第1光学素子11から第1受光領域31の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して第1受光領域31の中(内側)に向かって進行させる。第3光学素子12で反射された光線は、第1受光領域31の内側で結像される。第3光学素子12で反射された光線が結像される像は、第1受光領域31の外側に結像される像(図2のL1)が第1受光領域31の内側に折り返された像に対応する。第1受光領域31の内側に折り返された像は、折り返し(反転)を括弧で示し、[L1]と表される。
【0026】
第2像42として結像する光線の一部は、第2光学素子21から受光領域30Aの外側に向かって進行する。第2光学系20は第4光学素子22をさらに含む。第4光学素子22は、第2受光領域32に近い面を反射面とするミラーとして構成される。また、図1の構成例において第4光学素子22は平面鏡である。第4光学素子22は、第2光学素子21から第2受光領域32の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して第2受光領域32の中(内側)に向かって進行させる。第4光学素子22で反射された光線は、第2受光領域32の内側で結像される。第4光学素子22で反射された光線が結像された像は、第2受光領域32の外側に結像される像(図2のR4)が第2受光領域32の内側に折り返された像に対応する。第2受光領域32の内側に折り返された像は、折り返し(反転)を括弧で示し、[R4]と表される。
【0027】
撮像装置1は第5光学素子13及び第6光学素子23の少なくとも1つを備えてよい。図1の構成例において、撮像装置1は第5光学素子13及び第6光学素子23を備える。第5光学素子13及び第6光学素子23は、反射面を有するミラーとして構成されてよい。第5光学素子13及び第6光学素子23は、例えば1枚の両面ミラーとして一体に構成されてよい。
【0028】
第5光学素子13は、第1受光領域31に近い面を反射面とするミラーとして構成される。また、図1の構成例において第5光学素子13は平面鏡である。第5光学素子13は、第3光学素子12に対向するように配置され、第1光学素子11から第1受光領域31の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して第1受光領域31の中(内側)に向かって進行させる。第5光学素子13で反射された光線は、第1受光領域31の内側で結像される。第5光学素子13で反射された光線が結像される像は、第1受光領域31の外側に結像される像(図2のL4)が第1受光領域31の内側に折り返された像に対応する。第1受光領域31の内側に折り返された像は、折り返し(反転)を括弧で示し、[L4]と表される。
【0029】
第6光学素子23は、第2受光領域32に近い面を反射面とするミラーとして構成される。また、図1の構成例において第6光学素子23は平面鏡である。第6光学素子23は、第4光学素子22に対向するように配置され、第2光学素子21から第2受光領域32の外に向かって進行する光の少なくとも一部を反射して第2受光領域32の中(内側)に向かって進行させる。第6光学素子23で反射された光線は、第2受光領域32の内側で結像される。第6光学素子23で反射された光線が結像された像は、第2受光領域32の外側に結像される像(図2のR1)が第2受光領域32の内側に折り返された像に対応する。第2受光領域32の内側に折り返された像は、折り返し(反転)を括弧で示し、[R1]と表される。
【0030】
撮像素子30は、受光領域30Aの上に結像された像を撮像し、撮像画像を生成する。図3は、図1の撮像装置1が生成する重畳画像50を説明するための図である。撮像画像は、被写体40から到来する光が第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像に、他の光学素子を介して第1受光領域31で結像した像が重畳された重畳画像50Lを含む。また、撮像画像は、被写体40から到来する光が第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像に、他の光学素子を介して第2受光領域32で結像した像が重畳された重畳画像50Rを含む。ここで、重畳画像50Lと重畳画像50Rとを区別しない場合に、これらをまとめて重畳画像50と称することがある。
【0031】
図3に示すように、第1像41はL1、L2、L3及びL4の像を含む。L1は第3光学素子12で折り返されて、反転した像である[L1]として第1受光領域31で結像する。[L1]は、第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像であるL2に重畳する。また、L4は第5光学素子13で折り返されて、反転した像である[L4]として第1受光領域31で結像する。[L4]は、第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像であるL3に重畳する。撮像素子30は、[L1]、L2、L3及び[L4]の像が含まれる重畳画像50Lを生成する。
【0032】
また、図3に示すように、第2像42はR1、R2、R3及びR4の像を含む。R4は第4光学素子22で折り返されて、反転した像である[R4]として第2受光領域32で結像する。[R4]は、第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像であるR3に重畳する。また、R1は第6光学素子23で折り返されて、反転した像である[R1]として第2受光領域32で結像する。[R1]は、第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像であるR2に重畳する。撮像素子30は、[R1]、R2、R3及び[R4]の像が含まれる重畳画像50Rを生成する。
【0033】
図3に例示される重畳画像50において、第3光学素子12、第4光学素子22、第5光学素子13及び第6光学素子23は、紙面に向かって左右方向に像を折り返すように配置されているが、紙面に向かって上下方向に像を折り返すように配置されてよい。
【0034】
撮像素子30の受光領域30Aは、第1光学系10及び第2光学系20が被写体40から到来する光又は光束を受光領域30Aに結像させた像を撮像する。逆に言えば、受光領域30Aで撮像されるように第1光学系10及び第2光学系20によって光又は光束が結像され得る範囲が撮像装置1の画角に対応する。第1光学素子11と第2光学素子21を除く光学素子を介することなく、第1光学素子11及び第2光学素子21から受光領域30Aに直接結像される範囲は、直接画角とも称される。
【0035】
本実施形態に係る撮像装置1は、直接画角の外から第1光学系10及び第2光学系20に入射する光又は光束を、第1光学素子11と第2光学素子21以外の光学素子によって受光領域30Aに向けて進行させて結像させることによって撮像できる。その結果、焦点距離を変更することなく画角が広げられる。つまり、広角でありながら長焦点光学系の解像度を有する画像を得ることが可能になる。焦点距離を変更する必要がないことによって、撮像装置1で撮影する視差画像に基づく測距の分解能及び精度に対して広角化が影響を及ぼしにくい。
【0036】
撮像装置1は、撮像装置1を制御するコントローラ14を備える。コントローラ14は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせを含んで構成される。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などであってよい。本実施形態において、コントローラ14は、撮像素子30から取得する撮像画像に対して情報処理(画像処理)を実行する。
【0037】
コントローラ14は、第1受光領域31の重畳画像50Lと第2受光領域32の重畳画像50Rに少なくとも反転及び結合を含む変換処理を実行し、変換処理が実行された重畳画像50の比較によって被写体40の視差を算出する。図4は、図1の撮像装置1が実行する変換処理を説明するための図である。コントローラ14は、重畳画像50Lのうちの[L1]が含まれる部分について、外側方向に反転して(折り返して)結合する。また、コントローラ14は、重畳画像50Lのうちの[L4]が含まれる部分について、外側方向に反転して結合する。変換後重畳画像51Lは、変換処理が実行された重畳画像50Lである。変換後重畳画像51Lは、第1像41と同じ配置でL1、L2、L3及びL4の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Lは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0038】
また、コントローラ14は、重畳画像50Rのうちの[R1]が含まれる部分について、外側方向に反転して(折り返して)結合する。また、コントローラ14は、重畳画像50Rのうちの[R4]が含まれる部分について、外側方向に反転して結合する。変換後重畳画像51Rは、変換処理が実行された重畳画像50Rである。変換後重畳画像51Rは、第2像42と同じ配置でR1、R2、R3及びR4の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Rは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。ここで、変換後重畳画像51Lと変換後重畳画像51Rとを区別しない場合に、これらをまとめて変換後重畳画像51と称することがある。
【0039】
図5は、変換後重畳画像51の一例を示す図である。コントローラ14は、例えば公知のステレオマッチング処理を行うことにより視差を算出する。コントローラ14は、ステレオマッチング処理において、変換後重畳画像51L及び変換後重畳画像51Rの一方を基準画像とし、他方を比較画像としてよい。コントローラ14は、基準画像と比較画像とで対応する部分の画像上の位置の差(視差)を算出することができる。また、コントローラ14は、算出した視差を用いて三角測量の原理により対象までの距離情報を算出することができる。ここで、変換後重畳画像51L及び変換後重畳画像51Rについて、どちらがステレオカメラとして構成されている撮像装置1の右眼側であるか又は左眼側であるかは既知である。したがって、コントローラ14は、基準画像と比較画像との比較において、視差によって被写体40がどの方向に移動するかを予め把握することができる。図4に示すように、変換後重畳画像51には反転した像が含まれているが、被写体40の反転した像が視差によって移動する方向は、予め算出した視差の方向(被写体40の像の移動する正しい方向)と反対になる。したがって、コントローラ14は、予め算出した視差の方向との照合を行うことによって、誤って被写体40の反転像について視差を算出することを回避できる。
【0040】
コントローラ14は、第1光学素子11又は第2光学素子21のみを介して撮像された被写体像と、第1光学素子11と第2光学素子21以外の光学素子も介して撮像された被写体像と、を分離してよい。コントローラ14は、変換後重畳画像51L又は変換後重畳画像51Rに対して、例えば独立成分分析、ウェーブレット法又は画像分離モデル等の画像処理方法を適用することによって被写体像を分離する、すなわち反転した被写体像を除く処理を行ってよい。画像分離モデルは、例えば、事前に複数の画像を重ねた画像を作成し、事前に作成した画像から分離される複数の正解画像を学習させることにより構築されるモデルである。画像分離モデルは、画像を生成するgeneratorと、生成された画像が偽画像かどうか判定するdiscriminatorとを競わせて、その関係を反映したペア画像を生成するPix-to-Pixを適用したモデルであってよい。
【0041】
ここで、コントローラ14は、被写体像を分離する処理においても、上記の算出した視差の方向(被写体40の像の移動する正しい方向)を用いてよい。上記のように、変換後重畳画像51Lと変換後重畳画像51Rの比較によって、被写体40の像が算出した視差の方向に移動し、反転した被写体40の像が反対方向に移動する。そのため、コントローラ14は、算出した視差の方向に基づいて、反転した被写体40の像を特定して変換後重畳画像51から除くことができる。
【0042】
コントローラ14は、変換後重畳画像51から、重畳を分離して、重畳のない第1像41及び重畳のない第2像42の少なくとも1つを出力してよい。コントローラ14は、上記のように、三角測量の原理により対象までの距離情報を算出してよい。
【0043】
図6は、撮像装置1が実行する情報処理方法の処理例を示すフローチャートである。コントローラ14は、反転した被写体40の像が除かれた復元画像を得るために、図6のフローチャートで示される処理を実行してよい。
【0044】
コントローラ14は、第1受光領域31の重畳画像50Lと第2受光領域32の重畳画像50Rを取得する(ステップS1)。コントローラ14は、上記のように少なくとも反転及び結合を含む変換処理を実行する(ステップS2)。変換処理によって、変換後重畳画像51L及び変換後重畳画像51Rが得られる。コントローラ14は、変換後重畳画像51L及び変換後重畳画像51Rの比較によって被写体40の視差を算出する(ステップS3)。視差の算出において、ステレオマッチング処理などが実行されてよい。コントローラ14は、算出した視差の方向に基づいて被写体像(被写体40の像)を分離して、復元画像を得る。被写体像の分離において、例えば独立成分分析、ウェーブレット法又は画像分離モデル等の画像処理方法が適用されてよい。
【0045】
(第2構成例)
第2構成例の撮像装置1は、図7図10を参照して説明される。図7図10は、それぞれ図1図4と同様の説明図であって、同じ要素について同じ符号が付されている。重複説明回避のため、第1構成例と同じ要素については説明を省略又は簡略化し、主に第1構成例と異なる部分について説明する。
【0046】
図7及び図8に示すように、撮像装置1は第5光学素子13及び第6光学素子23を備えなくてよい。第1像41の一部は、第1受光領域31で結像する。第1像41の一部は、第2受光領域32の一部で結像する。つまり、第1光学素子11は、被写体40から到来する光又は光束を第1像41として第1受光領域31よりも広い範囲に結像させるように構成される。また、第2像42の一部は、第2受光領域32で結像する。第2像42の一部は、第1受光領域31の一部で結像する。つまり、第2光学素子21は、被写体40から到来する光又は光束を第2像42として第2受光領域32よりも広い範囲に結像させるように構成される。
【0047】
図9に示すように、第1像41はL1、L2、L3及びL4の像を含む。L1は第3光学素子12で折り返されて、反転した像である[L1]として第1受光領域31で結像する。[L1]は、第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像であるL2に重畳する。また、第2像42の一部であるR1が第1受光領域31で結像する。R1は、第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像であるL3に重畳する。撮像素子30は、[L1]、L2、L3及びR1の像が含まれる重畳画像50Lを生成する。
【0048】
また、図9に示すように、第2像42はR1、R2、R3及びR4の像を含む。R4は第4光学素子22で折り返されて、反転した像である[R4]として第2受光領域32で結像する。[R4]は、第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像であるR3に重畳する。また、第1像41の一部であるL4が第2受光領域32で結像する。L4は、第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像であるR2に重畳する。撮像素子30は、L4、R2、R3及び[R4]の像が含まれる重畳画像50Rを生成する。
【0049】
図10は、図7の撮像装置1が実行する変換処理を説明するための図である。コントローラ14は、重畳画像50Lのうちの[L1]が含まれる部分について、外側方向に反転して結合する。また、コントローラ14は、重畳画像50RからL4が含まれる部分を抽出して、重畳画像50LのうちのL3が含まれる部分の外側方向に結合する。変換後重畳画像51Lは、第1像41と同じ配置でL1、L2、L3及びL4の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Lは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0050】
また、コントローラ14は、重畳画像50Rのうちの[R4]が含まれる部分について、外側方向に反転して結合する。また、コントローラ14は、重畳画像50LからR1が含まれる部分を抽出して、重畳画像50RのうちのR2が含まれる部分の外側方向に結合する。変換後重畳画像51Rは、第2像42と同じ配置でR1、R2、R3及びR4の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Rは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0051】
コントローラ14は、第1構成例の場合と同様に、変換後重畳画像51の比較によって被写体40の視差を算出する。また、コントローラ14は、第1構成例の場合と同様に、第1光学素子11又は第2光学素子21のみを介して撮像された被写体像と、第1光学素子11と第2光学素子21を除く光学素子を介して撮像された被写体像と、を分離してよい。
【0052】
(第3構成例)
第3構成例の撮像装置1は、図11図14を参照して説明される。図11図14は、それぞれ図1図4と同様の説明図であって、同じ要素について同じ符号が付されている。重複説明回避のため、第1構成例と同じ要素については説明を省略又は簡略化し、主に第1構成例と異なる部分について説明する。
【0053】
図11及び図12に示すように、撮像装置1は遮光部材である第5光学素子13及び第6光学素子23を備えてよい。第5光学素子13は、第3光学素子12に対向するように配置され、第1光学素子11から第1受光領域31の外に向かって進行する光の少なくとも一部を遮光する。また、第6光学素子23は、第4光学素子22に対向するように配置され、第2光学素子21から第2受光領域32の外に向かって進行する光の少なくとも一部を遮光する。
【0054】
図13に示すように、第1像41はL1及びL2の像を含む。L1は第3光学素子12で折り返されて、反転した像である[L1]として第1受光領域31で結像する。[L1]は、第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像であるL2に重畳する。撮像素子30は、[L1]及びL2の像が含まれる重畳画像50Lを生成する。
【0055】
また、図13に示すように、第2像42はR2及びR3の像を含む。R3は第4光学素子22で折り返されて、反転した像である[R3]として第2受光領域32で結像する。[R3]は、第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像であるR2に重畳する。撮像素子30は、R2及び[R3]の像が含まれる重畳画像50Rを生成する。
【0056】
図14は、図11の撮像装置1が実行する変換処理を説明するための図である。コントローラ14は、重畳画像50Lのうちの[L1]が含まれる部分(図14の例では重畳画像50Lの全体)について、外側方向に反転して結合する。変換後重畳画像51Lは、第1像41と同じ配置でL1及びL2の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Lは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0057】
また、コントローラ14は、重畳画像50Rのうちの[R3]が含まれる部分(図14の例では重畳画像50Rの全体)について、外側方向に反転して結合する。変換後重畳画像51Rは、第2像42と同じ配置でR2及びR3の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Rは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0058】
コントローラ14は、被写体40の視差を算出する前に、第1光学素子11又は第2光学素子21のみを介して撮像された被写体像と、第1光学素子11と第2光学素子21を除く光学素子を介して撮像された被写体像と、を分離してよい。近距離側の視差算出(測距)範囲を広げることができる。
【0059】
(第4構成例)
第4構成例の撮像装置1は、図15図18を参照して説明される。図15図18は、それぞれ図1図4と同様の説明図であって、同じ要素について同じ符号が付されている。重複説明回避のため、第1構成例と同じ要素については説明を省略又は簡略化し、主に第1構成例と異なる部分について説明する。
【0060】
図15及び図16に示すように、撮像装置1は、第2構成例と同様に、第5光学素子13及び第6光学素子23を備えなくてよい。第1像41の一部は、第1受光領域31で結像する。第1像41の一部は、第2受光領域32の一部で結像する。つまり、第1光学素子11は、被写体40から到来する光又は光束を第1像41として第1受光領域31よりも広い範囲に結像させるように構成される。また、第2像42の一部は、第2受光領域32で結像する。第2像42の一部は、第1受光領域31の一部で結像する。つまり、第2光学素子21は、被写体40から到来する光又は光束を第2像42として第2受光領域32よりも広い範囲に結像させるように構成される。
【0061】
図17に示すように、第1像41はL1、L2及びL4の像を含む。L1は第3光学素子12で折り返されて、反転した像である[L1]として第1受光領域31で結像する。[L1]は、第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像であるL2に重畳する。また、第2像42の一部であるR1が第1受光領域31で結像する。R1は、第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像であるL2に重畳する。撮像素子30は、[L1]、L2及びR1の像が含まれる重畳画像50Lを生成する。
【0062】
また、図17に示すように、第2像42はR1、R2及びR4の像を含む。R4は第4光学素子22で折り返されて、反転した像である[R4]として第2受光領域32で結像する。[R4]は、第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像であるR2に重畳する。また、第1像41の一部であるL4が第2受光領域32で結像する。L4は、第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像であるR2に重畳する。撮像素子30はL4、R2及び[R4]の像が含まれる重畳画像50Rを生成する。
【0063】
図18は、図15の撮像装置1が実行する変換処理を説明するための図である。コントローラ14は、重畳画像50Lのうちの[L1]が含まれる部分(図18の例では重畳画像50Lの全体)について、外側方向に反転して結合する。また、コントローラ14は、重畳画像50RからL4が含まれる部分(図18の例では重畳画像50Rの全体)を抽出して、逆側の外側方向に結合する。変換後重畳画像51Lは、第1像41と同じ配置でL1、L2及びL4の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Lは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0064】
また、コントローラ14は、重畳画像50Rのうちの[R4]が含まれる部分(図18の例では重畳画像50Rの全体)について、外側方向に反転して結合する。また、コントローラ14は、重畳画像50LからR1が含まれる部分(図18の例では重畳画像50Lの全体)を抽出して、逆側の外側方向に結合する。変換後重畳画像51Rは、第2像42と同じ配置でR1、R2及びR4の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Rは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0065】
コントローラ14は、第1構成例の場合と同様に、変換後重畳画像51の比較によって被写体40の視差を算出する。また、コントローラ14は、第1構成例の場合と同様に、第1光学素子11又は第2光学素子21のみを介して撮像された被写体像と、第1光学素子11と第2光学素子21を除く光学素子を介して撮像された被写体像と、を分離してよい。
【0066】
(第5構成例)
第5構成例の撮像装置1は、図19図22を参照して説明される。図19図22は、それぞれ図1図4と同様の説明図であって、同じ要素について同じ符号が付されている。重複説明回避のため、第1構成例と同じ要素については説明を省略又は簡略化し、主に第1構成例と異なる部分について説明する。
【0067】
図19及び図20に示すように、撮像装置1は、第3光学素子12を第1構成例における第5光学素子13の位置に移動し、第5光学素子13を備えない構成であってよい。第3光学素子12は、第1受光領域31に近い面を反射面とするミラーとして構成される。また、撮像装置1は遮光部材である第6光学素子23を備えてよい。
【0068】
図21に示すように、第1像41はL2及びL4の像を含む。L4は第3光学素子12で折り返されて、反転した像である[L4]として第1受光領域31で結像する。[L4]は、第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像であるL2に重畳する。撮像素子30は、L2及び[L4]の像が含まれる重畳画像50Lを生成する。
【0069】
また、図21に示すように、第2像42はR2及びR4の像を含む。R4は第4光学素子22で折り返されて、反転した像である[R4]として第2受光領域32で結像する。[R4]は、第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像であるR2に重畳する。撮像素子30は、R2及び[R4]の像が含まれる重畳画像50Rを生成する。
【0070】
図22は、図19の撮像装置1が実行する変換処理を説明するための図である。コントローラ14は、重畳画像50Lのうちの[L4]が含まれる部分(図22の例では重畳画像50Lの全体)について、外側方向に反転して結合する。変換後重畳画像51Lは、第1像41と同じ配置でL2及びL4の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Lは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0071】
また、コントローラ14は、重畳画像50Rのうちの[R4]が含まれる部分(図22の例では重畳画像50Rの全体)について、外側方向に反転して結合する。変換後重畳画像51Rは、第2像42と同じ配置でR2及びR4の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Rは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0072】
コントローラ14は、第1構成例の場合と同様に、変換後重畳画像51の比較によって被写体40の視差を算出する。また、コントローラ14は、第1構成例の場合と同様に、第1光学素子11又は第2光学素子21のみを介して撮像された被写体像と、第1光学素子11と第2光学素子21を除く光学素子を介して撮像された被写体像と、を分離してよい。
【0073】
(第6構成例)
第6構成例の撮像装置1は、図23図26を参照して説明される。図23図26は、それぞれ図1図4と同様の説明図であって、同じ要素について同じ符号が付されている。重複説明回避のため、第1構成例と同じ要素については説明を省略又は簡略化し、主に第1構成例と異なる部分について説明する。
【0074】
図23及び図24に示すように、撮像装置1は、第3光学素子12を第1構成例における第5光学素子13の位置に移動し、第5光学素子13を備えない構成であってよい。第3光学素子12は、第1受光領域31に近い面を反射面とするミラーとして構成される。また、撮像装置1は、第4光学素子22を第1構成例における第6光学素子23の位置に移動し、第6光学素子23を備えない構成であってよい。第4光学素子22は、第2受光領域32に近い面を反射面とするミラーとして構成される。
【0075】
図25に示すように、第1像41はL2及びL4の像を含む。L4は第3光学素子12で折り返されて、反転した像である[L4]として第1受光領域31で結像する。[L4]は、第1光学素子11から他の光学素子を介さずに第1受光領域31で結像した像であるL2に重畳する。撮像素子30は、L2及び[L4]の像が含まれる重畳画像50Lを生成する。
【0076】
また、図25に示すように、第2像42はR1及びR2の像を含む。R1は第4光学素子22で折り返されて、反転した像である[R1]として第2受光領域32で結像する。[R1]は、第2光学素子21から他の光学素子を介さずに第2受光領域32で結像した像であるR2に重畳する。撮像素子30は、[R1]及びR2の像が含まれる重畳画像50Rを生成する。
【0077】
図26は、図23の撮像装置1が実行する変換処理を説明するための図である。コントローラ14は、重畳画像50Lのうちの[L4]が含まれる部分(図26の例では重畳画像50Lの全体)について、外側方向に反転して結合する。変換後重畳画像51Lは、第1像41と同じ配置でL2及びL4の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Lは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0078】
また、コントローラ14は、重畳画像50Rのうちの[R1]が含まれる部分(図26の例では重畳画像50Rの全体)について、外側方向に反転して結合する。変換後重畳画像51Rは、第2像42と同じ配置でR1及びR2の像を含む。つまり、変換後重畳画像51Rは、反転した像が重畳されているが、被写体40の正しい位置情報を含む画像である。
【0079】
コントローラ14は、被写体40の視差を算出する前に、第1光学素子11又は第2光学素子21のみを介して撮像された被写体像と、第1光学素子11と第2光学素子21を除く光学素子を介して撮像された被写体像と、を分離してよい。
【0080】
(反射面の形態)
図27に示されるように、ミラーである第3光学素子12の反射面は、第1光学素子11の結像面側を向く内側傾斜の姿勢となるように、光軸11Aに対して傾斜してよい。この場合に、ミラーである第4光学素子22、第5光学素子13及び第6光学素子23の反射面が内側傾斜の姿勢であってよい。内側傾斜の姿勢によって、ミラーの反射面が光軸11A又は21Aと平行になる構成と比べて、光学装置全体が小型化され得る。ミラーは、例えば、平面ミラー、曲面ミラー、DMD(Digital Mirror Device)又はフレネルミラーであってよい。また、別の例として、ミラーである第3光学素子12の反射面は、第1光学素子11側を向く外側傾斜の姿勢となるように、光軸11Aに対して傾斜してよい。この場合に、ミラーである第4光学素子22、第5光学素子13及び第6光学素子23の反射面が外側傾斜の姿勢であってよい。外側傾斜の姿勢によって、ミラーの反射面が光軸11A又は21Aと平行になる構成と比べて、光学装置全体の画角が広角化され得る。
【0081】
ここで、図27に示されるように、第3光学素子12が内側傾斜している場合に、第3光学素子12で反射されて第1受光領域31で結像する[L4]の像は、第3光学素子12を介さずに結像した像であるL2に比べて縮小される。コントローラ14は、ミラーで反転される像が縮小又は拡大される場合に、変換処理に拡大処理又は縮小処理を含めて、変換後重畳画像51を生成する。すなわち、変換後重畳画像51は、光学素子の傾斜による像の縮小又は拡大が打ち消されるように生成される。また、ミラーの反射面が曲面などであって、ミラーで反転される像の位置が移動するような場合に、コントローラ14は変換処理に座標変換の処理を含めて、変換後重畳画像51を生成する。すなわち、変換後重畳画像51は、像の位置の移動が打ち消されるように生成される。また、このような拡大処理、縮小処理又は座標変換の処理によって、図27の[L4]は変換後重畳画像51において正しい像となる一方で、共に処理されるL2の一部は変形されて正しくない像となる。算出した視差の方向に基づくだけでなく、拡大処理、縮小処理又は座標変換の処理によって生じる像の変形も利用することによって、コントローラ14はさらに効率的に、視差の算出の処理及び被写体像の分離を行うことが可能である。
【0082】
以上のように、本実施形態に係る撮像装置1及び情報処理方法は、広角でありながら長焦点光学系の解像度を有する画像を得ることが可能である。
【0083】
また、本実施形態に係る撮像装置1及び情報処理方法では、変換後重畳画像51を用いて、被写体像を分離する前に被写体40の視差を算出することができる。例えば、従来の手法において、重畳画像50L及び重畳画像50Rの2つの画像のそれぞれについて被写体像を分離する処理を実行してから、2つの分離後の画像を用いて被写体40の視差を算出することが行われていた。このような従来の手法に比べて、計算量を削減することが可能である。
【0084】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり又は分割したりすることが可能である。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0085】
本開示に記載された構成要件の全て及び/又は開示された全ての方法又は処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。また、本開示に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的又は類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。
【0086】
さらに、本開示に係る実施形態は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本開示に係る実施形態は、本開示に記載された全ての新規な特徴又はそれらの組合せ又は記載された全ての新規な方法又は処理のステップ又はそれらの組合せに拡張することができる。
【0087】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1光学系10は、第2光学系20と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0088】
また、撮像装置1を用いた情報処理を説明したが、本開示の実施形態としては、プログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体としての実施態様をとることも可能である。記憶媒体は、例えば光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク又はメモリカードなどである。
【0089】
また、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムであってよいが、これらに限定されない。例えばプログラムの実装形態としては、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態を含んでよい。さらに、プログラムは、制御基板上のCPUにおいてのみ全ての処理が実施されるように構成されてもされなくてよい。プログラムは、必要に応じて基板に付加された拡張ボード又は拡張ユニットに実装された別の処理ユニットによってその一部又は全部が実施されるように構成されてよい。
【符号の説明】
【0090】
1 撮像装置
10 第1光学系
11 第1光学素子
11A 光軸
12 第3光学素子
13 第5光学素子
20 第2光学系
21 第2光学素子
21A 光軸
22 第4光学素子
23 第6光学素子
30 撮像素子
30A 受光領域
31 第1受光領域
32 第2受光領域
40 被写体
41 第1像
42 第2像
50、50L、50R 重畳画像
51、51L、51R 変換後重畳画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27