(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155181
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ミストノズル
(51)【国際特許分類】
B05B 7/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B05B7/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069645
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】522167456
【氏名又は名称】株式会社クジ精機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】504253614
【氏名又は名称】アドバンスデザインテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139996
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 洋子
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩平
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033QA01
4F033QA05
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB15X
4F033QB17
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD20
4F033QE06
4F033QE14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シンプルな構造で、低圧・低風量であっても微細なミストの安定的な発生を可能とするとともに、ミスト発生量の調整が容易なミストノズルを提供すること。
【解決手段】液体吐出口144を備える液体吐出部140と液体供給路120、気体吐出口162及び気体供給路160とを有して液体吐出部140の他端部と連結する保持部150とを有するノズル本体100と、噴出孔部182を備えノズル本体100に着脱自在に装着されるキャップ180とを有し、ノズル本体100にキャップ180を装着すると、気体吐出口162と連結する気体噴出部166と空間部170が設けられ、液体吐出口144は噴出孔部182と同心円上に且つその軸方向外端部よりも液体の上流側に位置し、気体吐出口162は液体吐出口144よりも液体の下流側に位置して、液体と気体の混合体が噴射孔部182から噴射されるミストノズル。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部側に液体吐出口が設けられた筒状の液体吐出部及び当該液体吐出部の他端部側に連結する保持部を有するノズル本体と、外面部と内面部とを貫通する噴出孔部が設けられ前記ノズル本体に着脱自在に装着されるキャップとを有し、
前記保持部は、前記液体吐出部の他端部側に連結して当該液体吐出部に液体を供給する液体供給路と、気体が吐出される気体吐出口と、当該気体吐出口に気体を供給する気体供給路とを有し、
前記ノズル本体に前記キャップが装着された状態にあると、
前記気体吐出口に連通する気体噴出部と、前記キャップの内面部と前記ノズル本体に囲まれ且つ前記噴出孔部と前記気体噴出部とに連通する空間部とが設けられ、
前記液体吐出口は、前記噴出孔部と同心円上に存し、且つ前記噴出孔部の軸方向外端部よりも液体の上流側に位置し、
前記気体吐出口は、前記液体吐出口よりも液体の下流側に位置し、
前記液体吐出口から吐出される液体と前記気体噴出部から噴出される気体の混合体が、前記噴射孔部から噴射されるよう構成される、ミストノズル。
【請求項2】
前記液体吐出部は、金属製または合金製である、請求項1記載のミストノズル。
【請求項3】
前記液体吐出口は、外径(Φ)が0.2mm以上1.0mm以下であり、内径(Φ)が0.1mm以上0.9mm以下である、請求項1または請求項2に記載のミストノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と液体とを混合させて、液体を微粒化して噴霧するノズル、所謂ミストノズル、特に、外部混合方式のミストノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
薬液や塗料の散布・噴霧に使用されるスプレーノズルの一つとして、ミストノズルが存在する。ミストノズルには、気体(例えば、空気)と液体(例えば、水)とを別々にミストノズルに流入させてミストノズル内でこれらを混合させることにより、液体をミスト化するタイプ(内部混合方式)のものと、気体と液体とをノズル内に別々に流入させて、ミストノズルの先端部(噴出口部分)でこれらを混合させるタイプ(外部混合方式)のものとがある。いずれのタイプのものでも、スプレーパターンを均一化し安定してミストを発生させることが極めて大事である。
【0003】
特許文献1には、背負動力散布機において、送液管と一体的に結合された中空長尺状の支持桿に可撓性材質からなるホース及びホースに連通されるミストノズルとを沿設させた液剤散布装置が開示されている。このものにあっては、散布作業に際してエンジン駆動で回転されるファンによりファンケース内で発生する加圧風が曲管及びホースを経てミストノズルに達する一方、ミストポンプの駆動で薬液槽内の薬液が送液管を経てミストノズル内に流入されることで、加圧風によりミストノズル内で薬液が微粒化され、ミストノズル先端から散布されるよう構成したものである。
【0004】
特許文献2には、ノズル本体の噴口より噴出させた水または薬液をその前方に僅かの間隙をおいて位置させたデフレクターに衝突させて霧化することにより、広範囲に薬液を散布するミストノズルが開示されている。このものにあっては、ノズル本体に装着されてデフレクターを支持する支持アームが、噴口の射出中心線と直交する線上に位置するデフレクター支持直線部と、デフレクター支持直線部の両端側に夫々延長されてノズル本体の外周面に着脱可能に嵌めうる両クリップ部とを有する一本の細い弾性線材により構成されたものである。
【0005】
特許文献3には、ノズル吐出口の全周囲に対して十分な負圧を発生させ、ノズル吐出口から均等に噴霧できるミスト噴頭が開示されている。このものにあっては、筒状を成し気流を流すための噴頭本体と、薬液を吐出するためのノズル吐出口を先端に有する胴体部が噴頭本体内に位置するミストノズルとを具備するミスト噴頭に於いて、胴体部の気流の流れ方向に沿う側部に対して、ノズル吐出口の周囲であって胴体部により後方側の気流の流れが遮られる側に窪み部を設けるよう構成したものである。
【0006】
特許文献4には、加圧した気体と液体との直交衝突によるエネルギー損失の発生を抑制して、高速で微粒化したミストを噴射することができるミストノズルが開示されている。このものにあっては、噴射流路の中心線上に液体を吸入するための液体吸入口を設けるとともに、液体吸入口の外側に気体を吐出するための気体吐出口を液体吸入口と同心円上に複数設けて、同心円上の複数の気体吐出口の内側で渦流となって液滴を微粒化させる内側微粒化領域を形成し、噴射流路の中途部を複数の気体吐出口よりも外側に拡幅させて、同心円上の複数の気体吐出口の外側で渦流となって液滴を微粒化させる外側微粒化領域を形成することにより、ミストノズルによる洗浄能力や冷却能力の向上を図ったものである。
【0007】
非特許文献1には、ミストの目的、ノズルの設置高さ、設置場所の環境等に応じて選択できる噴霧孔の口径サイズが異なるミストノズルが開示されている。このものにあっては、摩耗による孔の広がり防止を意図して、噴霧孔をステンレス製、本体を真鍮製としたもの、または噴霧孔及び本体を全てステンレス製としたのものとなっている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実公平4-33961号公報
【特許文献2】実公平5-1322号公報
【特許文献3】特許第4921409号公報
【特許文献4】特開2022-48605号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】https://mistdotcom.jp/item/02.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、理想的なミストの生成や取り扱い性の向上等を求めて、種々のミストノズルが提案されている。しかし、依然としてその構造や使い方は、複雑なものである。
【0011】
特許文献1に開示されたものにあっては、ノズルそのものの改良を意図したものではなく、加圧風の強制流入を図るために新たにファンを設ける必要がある。このため、液剤塗布装置の重量が増すとともに、製造コスト等も増すものである。
【0012】
特許文献2に開示されたものにあっては、デフレクター、固定ねじ及び支持アーム等の細かな組み立て部品を要するものである。このため、耐久性やメンテナンスの面で難が生じ、誰でも容易に管理・使用ができるものではない。
【0013】
特許文献3に開示されたものにあっては、ノズル吐出口の全周囲に対して十分な負圧を発生させる必要があり、このためミストノズルの胴体部の気流の流れ方向に沿う側部に対して特別な窪み部を新たに設ける必要がある。また、ミストノズルを支持するための支持部をミスト噴頭本体に設ける必要がある。
【0014】
特許文献4に開示されたものにあっては、ノズルの内部構造が複雑であり、ミスト噴射口の開口部位が外部に露呈しているものである。
【0015】
非特許文献1に開示されたものにあっても、ノズルの内部構造が複雑である。
【0016】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、シンプル且つコンパクトな構造で、低圧・低風量であっても安定して微細なミストの発生を可能とするとともに、ミスト発生量の調整が容易なミストノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のミストノズルは、上記目的を達成するために以下の構成を有する。
【0018】
(1)一端部側に液体吐出口が設けられた筒状の液体吐出部及び当該液体吐出部の他端部側に連結する保持部を有するノズル本体と、外面部と内面部とを貫通する噴出孔部が設けられ前記ノズル本体に着脱自在に装着されるキャップとを有し、
前記保持部は、前記液体吐出部の他端部側に連結して当該液体吐出部に液体を供給する液体供給路と、気体が吐出される気体吐出口と、当該気体吐出口に気体を供給する気体供給路とを有し、
前記ノズル本体に前記キャップが装着された状態にあると、
前記気体吐出口に連通する気体噴出部と、前記キャップの内面部と前記ノズル本体に囲まれ且つ前記噴出孔部と前記気体噴出部とに連通する空間部とが設けられ、
前記液体吐出口は、前記噴出孔部と同心円上に存し、且つ前記噴出孔部の軸方向外端部よりも液体の上流側に位置し、
前記気体吐出口は、前記液体吐出口よりも液体の下流側に位置し、
前記液体吐出口から吐出される液体と前記気体噴出部から墳出される気体の混合体が、前記噴射孔部から噴射されるよう構成される、ミストノズル。
【0019】
(2)上記(1)に記載のミストノズルであって、前記液体吐出部は、金属製または合金製である、ミストノズル。
【0020】
(3)上記(1)または(2)に記載のミストノズルであって、前記液体吐出口は、外径(Φ)が0.2mm以上1.0mm以下であり、内径(Φ)が0.1mm以上0.9mm以下である、ミストノズル。
【0021】
また、本発明のミストノズルは、気体で液体をミスト化させて噴射するミストノズルであって、樹脂性のノズル本体内に設けられ液体を供給する液体供給路と、この液体供給路の先端部に着脱自在となるよう設けられ当該液体を噴射する金属製の噴射部と、上記ノズル本体内に設けられこの噴射部による液体の噴射方向と同方向に気体を供給し噴射する気体供給路と、この気体供給路及び上記噴射部を囲繞するよう着脱自在に上記ノズル本体に装着され当該気体供給路からの気体及び当該噴射部からの液体が混合されてミストとして噴出する噴出孔部が穿設された樹脂製のキャップを具備し、このキャップが上記ノズル本体に装着されているとき、上記噴射部は当該キャップ外に露呈することなく当該キャップ内に位置するよう構成したことを特徴とする。
【0022】
上記構成によれば、シンプル且つコンパクトな構造で、低圧・低風量であっても安定して微細なミストの発生を可能とし、しかもミスト発生量の調整が容易という有用な効果を奏するものである。
【0023】
また、上記構成によれば、耐久性にも優れ実用的で生産性及び経済性の面でも優れるものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明のミストノズルは、シンプルな構造であって、低圧・低風量であっても安定して微細なミストを発生させることができる。また、本発明のミストノズルは、ミスト発生量の調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係わるミストノズルの全体の概略構成を模式的に示す右側断面図である。
【
図2】同実施形態に係わるミストノズルの先端側(液体及び気体の下流側)の拡大右側断面図である。
【
図3】同実施形態に係わるミストノズルの全体の概略構成を模式的に示す正面図である。
【
図4】
図4(a)は、同実施形態に係わるミストノズルのA-A正断面図であり、
図4(b)は、同実施形態に係わるミストノズルのB-B正断面図であり、
図4(c)は、同実施形態に係わるミストノズルのC-C正断面図である。
【
図5】同実施形態に係わり、
図5(a)は、液体吐出部に保持部が連結している状態のミストノズル本体を模式的に示す右側断面図であり、
図5(b)は、保持部から液体吐出部を取り外した状態を模式的に示す右側断面図である。
【
図6】同実施形態の変形例に係わるミストノズルの全体の概略構成を模式的に示す右側断面図である。
【
図7】同実施形態の他の変形例に係わるミストノズルの全体の概略構成を模式的に示す右側断面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係わるミストノズルの全体の概略構成を模式的に示す側面図である。
【
図9】同他の実施形態に係り、噴射部とキャップの位置関係を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態につき、
図1から
図5を参照して説明する。なお、本明細書において、同一の構成または同一の機能を有する部材・要素については、同一の符号を付し、詳細な説明の繰り返しを省略する。
【0027】
本実施形態に係わるミストノズル10は、空気(気体)で水(液体)をミスト化させて噴射するミストノズルである。ミストノズル10は、ノズル本体100と、ノズル本体100に着脱自在に装着されるキャップ180とを有する。
【0028】
ノズル本体100は、一端部側に液体吐出口144が設けられた筒状の液体吐出部140と、液体吐出部140の他端部側に連結する保持部150とを有する。
保持部150は、気体が吐出される気体吐出口162を備え、また、液体吐出部140の他端側部に連結して液体吐出部140に液体を供給する液体供給路120と、気体吐出口162に気体を供給する気体供給路160が内設されている。
キャップ180には、キャップ180の外面部と内面部とを貫通する噴出孔部182が設けられている。
【0029】
ミストノズル本体100にキャップ180が装着されると、即ち、ミストノズル本体100にキャップ180が装着された状態にあると、ミストノズル10には、気体吐出口162と連通し、気体吐出口162から吐出された気体を噴出させる気体噴出部166及びキャップ180の内面部とノズル本体100とに囲まれた空間部170が設けられる。空間部170は、噴射孔部182及び気体噴出部166に連通する。
また、この状態において、液体吐出部140は、以下の2つの条件を満たす位置に存することとなる。
・
図1のX軸方向において、液体吐出口144は、噴出孔部182の同心円上に存する。
・
図1のY軸方向において、液体吐出口144は、噴出孔部182の軸方向外端部E1よりも液体の上流側に位置する。
また、本実施形態においては、液体吐出口144は、
図1のY軸方向において、噴出孔部182の軸方向外端部E1と噴出孔部182の軸方向内端部E2の間に存する。
【0030】
上記構成のミストノズル10では、気体供給路160から供給され気体吐出口162から吐出される気体は、気体噴出部166から噴出され、空間部170に向かい流れる。この際、気体噴出部166の気体下流側での気体の流速は上昇する。
流速が上昇した状態で空間部170に流入する気体は、その一部が空間部170内を旋回し、噴射孔部182に向かう。この際、気体は、液体吐出部140と噴射孔部182の内周面との隙間及び液体吐出口144の周囲を通って気体下流側に向かう。これにより、噴射孔部182の気体上流側と気体下流側に生じる差圧はより大きくなり、噴射孔部182の気体下流側での気体流速はさらに上昇する。
そのため、ミストノズル10は、気体供給路160に供給する気体が低圧・低風量であっても、噴射孔部182の下流側、即ち、液体吐出口144の液体下流側領域を負圧状態にできる。そして、液体吐出口144は、噴出孔部182の軸方向外端部E1よりも液体の上流側に位置するため、上記負圧により低圧・低風量の気体で液体吐出口144から液体を吐出させ、噴射孔部182から気体と液体の混合体を効率よく且つ液体を微粒化させて噴射することが可能となる。これにより、ミストノズル10の構造をシンプルにしつつ、低圧・低風量であっても安定して微細なミストを発生させることができる。
つまり、ミストノズル10では、噴出孔部182と液体吐出部140(液体吐出口144)との隙間で空間部170に充填された気体の流速を上昇させて、この気体をミストノズル10外に放出させる。この際、液体吐出部140内に存する液体に対して負圧が生じ、ミストノズル10外に放出される気体とともに、液体も吸い出され放出される。なお、この際、加圧によって液体を供給することにより、噴霧量を増大させることもできる。
また、噴霧するミストの細かさは液体吐出口144の外径(Φ)D1、内径(Φ)D2及び噴出孔部182の位置関係により調整することができる。
このように、本実施形態のミストノズル10は、構造をシンプルにしつつ、低圧・低風量であっても微細なミストを安定的に発生させることができる。
【0031】
なお、上記構成のミストノズル10によれば、キャップ180を着脱可能にノズル本体100に装着できるため、用途や所望するミスト発生量(噴射量)に応じて、噴射孔部182の径(直径)が異なるキャップをミストノズル本体100に付け替えることもできるため、さらに容易にミスト発生量を容易に調整することが可能となる。
【0032】
以下、本実施形態のミストノズル10について詳述する。
【0033】
ノズル本体100を構成する液体吐出部140は、中空部142と、一端部側(液体下流側)に液体吐出口144と、他端部側(液体上流側)に液体流入口146とを有する。液体吐出部140は、金属製、合金製、樹脂製またはセラミック製のいずれでもあってよく、他の素材からなるものであってもよい。耐久性及び費用を考慮すると、液体吐出部140は、金属製または合金製、特に、ステンレス製であることが好ましい。
【0034】
液体吐出口144の外径(Φ)D1は、0.2mm以上1.0mm以下であることが好ましい。より好ましい外径(Φ)D1は、0.4mm以上0.9mm以下であり、特に好ましい外径(Φ)D1は、0.5mm以上0.8mm以下である。本実施形態においては、外径(Φ)D1は、0.5mmである。
また、液体吐出口144の内径(Φ)D2は、0.1mm以上0.9mm以下であることが好ましい。より好ましい内径(Φ)D2は、0.2mm以上0.8mm以下であり、特に好ましい内径(Φ)D2は、0.4mm以上0.7mm以下である。本実施形態においては、液体吐出口144の内径は、0.4mmである。
また、液体吐出口144における液体吐出部140の厚みは、0.01mm以上0.2mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.1mm以下であることがより好ましい。本実施形態においては0.05mmである。
液体流入口146の外径(Φ)D3は、外径(Φ)D1と略等しく、液体流入口146の内径(Φ)D4は、内径(Φ)D2と略等しいことが好ましい。
なお、外径(Φ)D1、内径(Φ)D2、外径(Φ)D3及び内径(Φ)D4の大きさは、気体流量と気体供給圧力に応じて適宜選択することが可能である。
【0035】
また、ノズル本体100を構成する保持部150に内設される液体供給路120の一端部側(液体下流側)には、連結口120aが、他端部側(液体上流側)には、液体供給口120bが設けられている。
なお、保持部150は、金属製、合金製、樹脂製またはセラミック製のいずれでもあってよく、他の素材からなるものであってもよい。費用等を考慮すると、保持部150は、樹脂製であることが好ましい。
液体供給路120は、連結口120aを介して液体吐出部140に連結されている。本実施形態においては、保持部150の液体下流側の先端部に凹状の空間部152が設けられ、液体吐出部140の他端部側は、空間部152及び連結口120aを介して液体供給路120に挿通されている。
ミストノズル10の使用時に、保持部150から液体吐出部140が脱落しないよう、空間部152は、液体吐出部140の形状と略同一となる。また、液体吐出部140の他端部側を液体供給路120に挿通できるよう、連結口120aの径は、液体流入口146の外径(Φ)D3と同等以上となる。
また、液体供給口120bは、液体供給源(図示せず)とパイプ等を介して接続される。
【0036】
そして、液体供給源から供給される液体は、液体供給口120bから液体供給路120に流入し、液体供給路120を通って液体吐出部140の液体流入口146から中空部142に流入し、中空部142を通って液体吐出口144から吐出される。なお、ミストノズル10は、自吸式で液体を液体供給源から供給できるようにしてもよく、ポンプ等を用いて液体を供給できるようにしてもよい。
【0037】
なお、液体供給路120を液体吐出部140の他端部側に連結する方法(形態)は、上記に限定されるものではない。例えば、液体供給路120の連結口120aを凸状とし、これを液体流入口146を介して液体吐出部140の一端部側の内側に嵌め込む方法、連結部材(図示せず)を介して両者を連結する方法、さらに、液体吐出部140と保持部150とを3Dプリンタ等を用いて一体形成する方法等を採用することができる。
【0038】
また、気体供給路160の一端部には気体吐出口162が、他端部には気体供給口164が設けられている。気体供給口164は、気体供給源(図示せず)とパイプ及び圧縮調整弁等を介して接続されている。
そして、気体供給源から加圧によって供給される気体は、気体供給口164から気体供給路160に流入し、気体供給路160を通って気体吐出口162から吐出される。
また、気体吐出口162を介して気体噴出部166から気体が噴出される。ここで、気体噴出部166は、液体吐出口144の開口方向と同方向またはほぼ同方向に開口している。このような構成とすることで、気体をより効率よく噴射孔部182に送ることができる。
気体供給源としては、コンプレッサ装置が好ましく用いられる。コンプレッサ装置の気体供給圧力は、例えば、0.1MPa以上1MPa以下とすることができ、0.2MPa以上0.9MPa以下、0.3MPa以上 0.7MPa以下や、0.2MPa以上0.3MPa以下とすることも可能である。
【0039】
キャップ180は、筒状であって、ノズル本体100の先端側(液体・気体下流側)に嵌合される。ただし、キャップ180の形状は、これに限定されるものではなく、ノズル本体100に着脱自在に装着される形状であれば、どのような形状であってもよい。また、キャップ180をノズル本体100に装着する方法としては、ノズル本体100の先端側をキャップ180内に挿し込んで嵌める方法や、一方に嵌め込み溝を、他方に嵌め込み溝に対応する凸部を設け、凸部を嵌め込み溝に嵌め込む方法等が挙げられるが、これに限定されない。
【0040】
噴射孔部182の軸方向外端部E1の径(Φ)D5は、0.3mm以上1.1mm以下であることが好ましい。より好ましい径(Φ)D5は、0.5mm以上1.0mm以下であり、特に好ましい径(Φ)D5は、0.6mm以上0.9mm以下である。
また、噴射孔部182の軸方向内端部E2の径(Φ)D6は、0.3mm以上1.1mm以下であることが好ましい。より好ましい径(Φ)D6は、0.5mm以上1.0mm以下であり、特に好ましい径(Φ)D6は、0.6mm以上0.9mm以下である。
径(Φ)D5と径(Φ)D6とは同等であることが好ましい。本実施形態においては、径(Φ)D5及び径(Φ)D6は、0.8mmである。
なお、径(Φ)D5及び径(Φ)D6の大きさは、気体流量と気体供給圧力に応じて適宜選択することが可能である。
【0041】
また、この状態において、液体吐出部140は、X軸方向及びY軸方向において、所定の位置に存することとなる。
本実施形態のミストノズル10においては、液体吐出口144は、噴出孔部182と同心円上に存する。なお、本明細書において、同心円上とは、液体吐出口144の径方向断面における中心点と、噴出孔部182の軸方向外端部E1の径方向断面の中心点とが、Φ0.01mm以下となることを言う。
また、液体吐出口144は、噴射孔部182の軸方向外端部E1よりも液体上流側であって、且つ、噴出孔部182の軸方向内端部E2よりも液体下流側に位置する。即ち、液体吐出口144は、噴射孔部182に挿通された状態となる。
この際、噴射孔部182(液体吐出口144付近)の気体上流側と気体下流側に生じる差圧はさらに大きくなり、噴射孔部182の気体下流側での気体流速はさらに上昇する。このように、ミストノズル10は、液体吐出口144の液体下流側領域を効率よく負圧にすることができるため、低圧・低風量の気体供給で液体吐出口144から液体を吐出させることができる。また、噴射孔部182の気体下流側領域の気体流速をより大きくできるため、気体と液体の混合体を効率よく、且つ、液体をより微粒化させて噴射孔部182から噴射することができる。
なお、液体吐出口144のY軸方向上の位置は、噴射孔部182の軸方向外端部E1よりも液体上流側であって、噴出孔部182の軸方向内端部E2と径方向断面が同一直線状となる位置の範囲に調整されることが望ましい。
【0042】
本実施形態において、液体吐出口144の外径(Φ)D1と、噴射孔部182の径(Φ)D6とは、径(Φ)D6-外径(Φ)D1(即ち、液体吐出口144の外周部と噴射孔部182の内周面との距離L)が、0.5mm以下となることが好ましく、0.1mm以上0.15mm以下となることがより好ましい。なお、液体吐出口144の外周部と噴射孔部182の内周面との距離は、気体流量と気圧供給圧力に応じて適宜選択することが可能である。
【0043】
また、キャップ180は、ノズル本体100に着脱可能に装着されるため、異なる開口径の噴霧孔部を有する複数のキャップ180を用意しておき、気体流量と気体供給圧力に応じて、ノズル本体100に装着するキャップ180を変更してもよい。
【0044】
次いで、本実施形態の変形例であるミストノズル11を
図6を用いて説明する。
ミストノズル11では、キャップ180がノズル本体100に装着された状態においては、液体吐出口144は、噴射孔部182の軸方向外端部E1よりも液体上流側であって、且つ、その径方向断面と噴出孔部182の軸方向内端部E2の径方向断面とが、同一線上となるよう位置する。
この際、気体吐出口144の周縁部における気体流路断面積は、空間部170の気体流路最大断面積の約1/73以下となる。そのため、噴射孔部182(液体吐出口144付近)の気体上流側と気体下流側に生じる差圧はさらに大きくなり、噴射孔部182の気体下流側での気体流速はさらに上昇する。このように、ミストノズル11は、液体吐出口144の液体下流側領域を効率よく負圧にすることができるため、低圧・低風量の気体供給で液体吐出口144から液体を吐出させることができる。また、噴射孔部182の気体下流側領域の気体流速をより大きくできるため、気体と液体の混合体を効率よく、且つ、液体をより微粒化させて噴射孔部182から噴射することができる。
【0045】
さらに、本実施形態の他の変形例であるミストノズル12を
図7を用いて説明する。
ミストノズル12では、キャップ180がノズル本体100に装着された状態においては、液体吐出口144は、噴射孔部182の軸方向外端部E1及び軸方向内端部E2よりも気体上流側に位置する。
この際、液体吐出口144の周縁部と、噴射孔部182の軸方向内端部E2(周端部)の間には、噴出孔部182に向かう気体流域が発生する。そのため、噴射孔部182に気体が流入しやすくなり、即ち、気体の流速が上昇しやすくなり、液体吐出口144付近の気体上流側と気体下流側に差圧が生じやすくなる。これにより、液体吐出口144の液体下流側領域を効率よく負圧にすることができるため、ミストノズル12は、低圧・低風量の気体供給で液体吐出口144から液体を吐出させることができる。また、噴射孔部182の気体下流側領域の気体流速をより大きくできるため、気体と液体の混合体を効率よく、且つ、液体をより微粒化させて噴射孔部182から噴射することができる。
【0046】
次に、他の実施形態に係るミズトノズル20について、
図8及び
図9を用いて説明する。
他の実施形態に係わるミストノズル20は、空気(気体)で水(液体)をミスト化させて噴射するミストノズルで水を供給する液体供給路220と、この液体供給路220の先端部220aに着脱自在となるよう設けられ水を噴射する金属製の噴射部240と、ノズル本体200内に設けられ、噴射部240による水の噴射方向(
図8中、矢印A方向)と同方向に空気を供給して噴射する気体供給路260と、この気体供給路260及び噴射部240を囲繞するよう着脱自在にノズル本体200に装着され、気体供給路260から噴射される空気及び噴射部240から噴射される水が混合されることにより発生するミストを噴出する噴出孔部282が穿設された樹脂製のキャップ280(
図8中、二点鎖線にて示す)を具備し、キャップ280がノズル本体200に装着されているときに、噴射部240はキャップ280外に露呈することなくキャップ280内に位置するよう構成したものである。
【0047】
さて、ノズル本体200は、合成樹脂にて形成されている。ノズル本体200には、その先端部位にて水と低圧にした空気の二流体を混合させることにより水を粉砕してミスト状にするために、液体供給路220及び気体供給路260が設けられている。
【0048】
液体供給路220は、ノズル本体200から突設している部分も含め合成樹脂にて形成されており、先端部220a側に向けて水を供給するための案内経路の機能を有する。
【0049】
噴射部240は、例えば真鍮やステンレスの金属素材から成り、液体供給路220のからの水を噴射する。その最先端部の内径(φ1)は0.2mmであるが、この内径に限定されることなく、適宜変更可能である。
【0050】
気体供給路260は、合成樹脂にて形成されており、先端部260a側に向けて空気を供給するための案内経路の機能を有する。
【0051】
キャップ280は、合成樹脂製であり、ノズル本体200に装着されているとき、噴射部240の長手方向の延長線上(
図8中、水平方向)に、内径(φ2)が0.7mmから1.2mmの噴出孔部182が穿設されている。なお、噴出孔部282の内径は、適宜調整可能である。この内径を適宜調整することで、噴射されるミストの径を調整することができる。また、キャップ280がノズル本体200に装着されているとき、噴射部240はキャップ280内に位置して噴出孔部282を除いて密閉状態となるものである(
図9参照)。
【0052】
上記構成につき、その作用を説明する。
【0053】
気体供給路260を介してその先端部260a側に空気が供給されてくると、キャップ280内にて低圧状態となる。ここで、液体供給路220を介して水が先端部220a側に向けて供給されてくると、低圧状態の空気が水を粉砕する。これにより、水は、例えば5μmのミスト状となる。
【0054】
而してミスト状化した水は、噴出孔部282からキャップ280外に噴出されることになる。
【0055】
なお、発生させるミストの量や径は、キャップ280の調整または液体供給路220の内径を変更することにより、容易に調整可能である。
【0056】
上記他の実施形態によれば、キャップ280がノズル本体200に装着されているとき、噴射部240をキャップ280外に露呈させることなくキャップ280内に位置させて略密閉状態となるよう構成したので、噴射部がキャップから突出または露呈した従来のミストノズルに比べて、低圧且つ低風量であっても、高い水の供給能力と、安定した微細なミスト(5μm~20μm)の発生を実現できるものである。
【0057】
また、上記他の実施形態によれば、負荷のかかる噴射部240のみを金属製とし、他を合成樹脂にて形成したので、耐久性及び軽量性の面でも優位なものである。
【0058】
さらに、上記他の実施形態によれば、構造がシンプルでコンパクトであるため、製造が容易であり、実用的で生産性及び経済性の面でも優れた効果を奏するものである。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
10,11,12,20 …ミストノズル
100,200 …ノズル本体
120,220 …液体供給路
140 …液体吐出部
240 …噴射部
160,260 …気体供給路
180,280 …キャップ
182,282 …噴出孔部