(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155194
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】導線剥出装置
(51)【国際特許分類】
B26D 9/00 20060101AFI20241024BHJP
B26D 1/09 20060101ALI20241024BHJP
B26D 1/157 20060101ALI20241024BHJP
B23D 23/00 20060101ALI20241024BHJP
B26D 3/00 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
B26D9/00
B26D1/09
B26D1/157
B23D23/00 B
B26D3/00 601E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069671
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】田淵 裕規
(72)【発明者】
【氏名】工藤 晃志
【テーマコード(参考)】
3C039
【Fターム(参考)】
3C039DA04
(57)【要約】
【課題】長尺部材を一定寸法に切断する際に、導線を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、端部の導線を剥き出して露出させることが可能な導線剥出装置を提供する。
【解決手段】導線58が埋め込まれた長尺部材50’における端部の導線58を剥き出して露出させる導線剥出装置1である。長尺部材50’は、第1部分50Aと、導線58が埋め込まれた第2部分50Bと、を有するものである。長尺部材50’の長手方向と直交する面で第1部分50Aを切断する第1切断手段10と、第1切断手段10による切断面と同一平面で、導線58およびその周りの部位を残して、第2部分50Bを剪断切断する刃部21を有する第2切断手段20と、第2切断手段20による切断面から先端側に所定長さだけ離れた位置で、少なくとも導線58を切断する第3切断手段30と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全長に亘って導線が埋め込まれた長尺部材における端部の導線を剥き出して露出させる導線剥出装置であって、
上記長尺部材は、第1部分と、当該第1部分と繋がる、上記導線が埋め込まれた第2部分と、を有するものであり、
上記長尺部材の長手方向と直交する面で、上記第1部分を切断する第1切断手段と、
上記第1切断手段による切断面と同一平面で、上記第2部分に押し付けられることで、上記導線およびその周りの部位を残して、当該第2部分を剪断切断する刃部を有する第2切断手段と、
上記長尺部材における、上記第2切断手段による切断面から先端側に所定長さだけ離れた位置で、少なくとも上記導線を切断する第3切断手段と、を備えていることを特徴とする導線剥出装置。
【請求項2】
上記請求項1に記載の導線剥出装置において、
上記第1部分には、その全長に亘って芯金が埋め込まれており、
上記第1切断手段は、鋸刃の回転動により上記第1部分を切断するように構成されていることを特徴とする導線剥出装置。
【請求項3】
上記請求項1または2に記載の導線剥出装置において、
上記第2切断手段は、上記刃部を押し付ける押付け方向に見て、上記導線と重なる空間部を挟んで、上記長尺部材の長手方向と当該押付け方向とに直交する方向に並ぶ2つの刃部を有していることを特徴とする導線剥出装置。
【請求項4】
上記請求項3に記載の導線剥出装置において、
上記2つの刃部は、1枚のカッター刃で構成されており、
上記空間部は、上記カッター刃に形成された、上記押付け方向に延び且つ当該カッター刃の先端側に開口するスリットであることを特徴とする導線剥出装置。
【請求項5】
上記請求項3に記載の導線剥出装置において、
上記2つの刃部は、上記空間部を挟んで並ぶ2枚のカッター刃で構成されていることを特徴とする導線剥出装置。
【請求項6】
上記請求項3に記載の導線剥出装置において、
上記第3切断手段は、上記長尺部材の長手方向で上記2つの刃部と対向し、且つ、当該2つの刃部と同期して押付け方向に移動するカッター刃を有していることを特徴とする導線剥出装置。
【請求項7】
上記請求項1に記載の導線剥出装置において、
上記長尺部材における、上記第1および第2切断手段による切断面よりも先端側の部位の、長手方向の移動を抑えるストッパ部を備えていることを特徴とする導線剥出装置。
【請求項8】
上記請求項7に記載の導線剥出装置において、
上記ストッパ部は、上記第2部分を剪断切断した状態で静止した上記刃部であることを特徴とする導線剥出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導線が埋め込まれた長尺部材における端部の導線を剥き出して露出させる導線剥出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばワゴン車等におけるスライドドアの前端部に取り付けられ、スライドドアを閉じた際に、スライドドアの前端部とドア開口縁部との間をシールするウェザーストリップが知られている。このようなウェザーストリップを製造する場合には、半製品(以下、「長尺部材」ともいう。)を一旦押出成形した後、かかる長尺部材からリップ等を部分的に取り除いたり、長尺部材を適正な長さ(一定寸法)に切断したりすることで、製品として仕上げていくのが一般的である。
【0003】
例えば特許文献1には、ウェザーストリップを切断する切断刃からのコーキング剤の除去清掃作業を省くことができるように、ウェザーストリップ押出物(長尺部材に相当)の切断予定ラインが、中間に位置する所定長さのウェザーストリップ押出物部分を除いて、ウェザーストリップ押出物へコーキング剤を注入する方法が開示されている。この特許文献1のものでは、上下2枚の切断刃が上下動してウェザーストリップ押出物部分を切断するようになっている(
図5および
図6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したウェザーストリップの一種として、スライドドアの前端部とドア開口縁部との間に挟まれた異物の存在を検知するセンサが組込まれたセンサ付きのプロテクターが従来から知られている。
【0006】
かかるセンサ付きのプロテクターとして、スライドドアの前端部に取り付けられる断面略U字状の取付け基部と、センサ用の2本の導線が埋設された、中空部を有するセンサ部と、を備えているものがある。このようなプロテクターにおいては、センサ部に埋設された2本の導線は、リード線を介して、電気信号の変化に基づいて異物の存在を判定する制御装置と電気的に接続されている。このような構成により、かかるプロテクターを用いた異物検知システムでは、スライドドアを閉じた際に、スライドドアの前端部とドア開口縁部との間に挟まれた異物により、センサ部の中空部が押されて潰れると、それに対応した電気信号の変化によって、制御装置が異物の存在を検知するようになっている。
【0007】
それ故、かかるセンサ付きのプロテクターでは、センサ部に埋設された導線と、リード線とを結線しなければならず、このため、プロテクターの半製品である長尺部材を一定寸法に切断する際に、長尺部材における端部の導線を剥き出して露出させる必要がある。
【0008】
しかしながら、長尺部材における端部の導線を露出させるべく、導線の周りのゴムを、上記特許文献1のもののように上下動する上下2枚の切断刃や、単純な切断刃等を用いて切断しようとすると、導線を傷付けないようにするために、切断作業を慎重に行わざるを得ず、切断作業に多大な時間を要することから、作業効率が低下するという問題がある。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、長尺部材を一定寸法に切断する際に、導線を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、長尺部材における端部の導線を剥き出して露出させることが可能な導線剥出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明に係る導線剥出装置では、導線が埋め込まれていない部位における第1切断手段による切断面と同一平面で、且つ、第1切断手段とは異なる切断手段を用いて、導線およびその周りの部位を残して、長尺部材における導線が埋め込まれた部位を剪断切断するようにしている。
【0011】
具体的には、本発明は、全長に亘って導線が埋め込まれた長尺部材における端部の導線を剥き出して露出させる導線剥出装置をその対象としている。
【0012】
この導線剥出装置によって、導線が剥き出される長尺部材は、第1部分と、当該第1部分と繋がる、上記導線が埋め込まれた第2部分と、を有するものである。
【0013】
そして、この導線剥出装置は、上記長尺部材の長手方向と直交する面で、上記第1部分を切断する第1切断手段と、上記第1切断手段による切断面と同一平面で、上記第2部分に押し付けられることで、上記導線およびその周りの部位を残して、当該第2部分を剪断切断する刃部を有する第2切断手段と、上記長尺部材における、上記第2切断手段による切断面から先端側に所定長さだけ離れた位置で、少なくとも上記導線を切断する第3切断手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
この構成によれば、第1切断手段により、簡単かつ短時間で第1部分を切断することができる。また、導線が埋め込まれた第2部分については、第2切断手段によって、刃部を押し付けて導線およびその周りの部位を残して剪断切断することから、導線を傷つけることなく、例えば上下動する上下2枚の切断刃や単純な切断刃等を用いる場合に比して簡単かつ短時間で、第2部分を切断することができる。
【0015】
ここで、第1切断手段による切断面と、第2切断手段による切断面とが、同一平面であることから、長尺部材における、これらの切断面を長手方向に挟んだ2つの部分は、導線およびその周りの部位で繋がっている状態となる。なお、以下では便宜上、「切断面を長手方向に挟んだ2つの部分」のうち、長手方向における切断面よりも先端側の部分(切り離される端部)を「切離し部分」と称し、長手方向における切断面よりも、先端側とは反対側の部分を「本体部分」と称する。
【0016】
そうして、長尺部材における、第2切断手段による切断面から先端側に所定長さだけ離れた位置で、第3切断手段により導線を切断することから、本体部分と切離し部分とは、導線の周りの部位だけで僅かに繋がっている状態となる。これにより、一方(例えば切離し部分)を固定して他方(本体部分)を長手方向に引っ張るだけで、これら2つの部分を容易に切り離して(切離し部分から導線を抜き出して)、長尺部材を一定寸法に切断するとともに、導線を露出させることが可能となる。
【0017】
以上のように、本発明によれば、長尺部材を一定寸法に切断する際に、導線を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、長尺部材における端部の導線を剥き出して露出させることができる。
【0018】
また、上記導線剥出装置では、上記第1部分には、その全長に亘って芯金が埋め込まれており、上記第1切断手段は、鋸刃の回転動により上記第1部分を切断するように構成されていてもよい。
【0019】
この構成によれば、第1部分に芯金が埋め込まれている場合でも、第1切断手段における鋸刃の回転動により、簡単かつ短時間で、第1部分を切断することができる。
【0020】
また、上記導線剥出装置では、上記第2切断手段は、上記刃部を押し付ける押付け方向に見て、上記導線と重なる空間部を挟んで、上記長尺部材の長手方向と当該押付け方向とに直交する方向に並ぶ2つの刃部を有していてもよい。
【0021】
この構成によれば、押付け方向に見て、導線と重なる空間部を挟んで並ぶ2つの刃部を、第2部分に押し付けると、導線およびその周りの部位が空間部に嵌る一方、それ以外の部位が2つの刃部で切断されることから、導線を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、導線およびその周りの部位を残して、第2部分を剪断切断することができる。
【0022】
さらに、上記導線剥出装置では、上記2つの刃部は、1枚のカッター刃で構成されており、上記空間部は、上記カッター刃に形成された、上記押付け方向に延び且つ当該カッター刃の先端側に開口するスリットであってもよい。
【0023】
この構成によれば、押付け方向に延び且つ先端側に開口するスリットが形成されたカッター刃を第2部分に押し付けると、導線およびその周りの部位がスリットに嵌ることから、導線を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、導線およびその周りの部位を残して、第2部分を剪断切断することができる。
【0024】
また、上記導線剥出装置では、上記2つの刃部は、上記空間部を挟んで並ぶ2枚のカッター刃で構成されていてもよい。
【0025】
この構成によれば、空間部を挟んで並ぶ2枚のカッター刃を押し付けると、導線およびその周りの部位が空間部に嵌ることから、導線を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、導線およびその周りの部位を残して、第2部分を剪断切断することができる。
【0026】
さらに、上記導線剥出装置では、上記第3切断手段は、上記長尺部材の長手方向で上記2つの刃部と対向し、且つ、当該2つの刃部と同期して押付け方向に移動するカッター刃を有していてもよい。
【0027】
この構成によれば、第3切断手段のカッター刃が、第2切断手段の2つの刃部と同期して押付け方向に移動することから、導線およびその周りの部位を残して、第2部分を剪断切断すると同時に、第2切断手段による切断面から先端側に所定長さだけ離れた位置で、導線を含む第2部分を切断することができる。よって、導線を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、導線およびその周りの部位を残して、第2部分を剪断切断するとともに、切離し部分において、露出させるべき長さを超える導線を切断することができる。
【0028】
また、上記導線剥出装置では、上記長尺部材における、上記第1および第2切断手段による切断面よりも先端側の部位の、長手方向の移動を抑えるストッパ部を備えていてもよい。
【0029】
この構成によれば、第2切断手段による切断面から先端側に所定長さだけ離れた位置で、第3切断手段によって導線が切断されることに加え、切離し部分の長手方向の移動が、ストッパ部によって抑えられることから、本体部分を長手方向に引っ張るだけで、切離し部分から簡単に導線を抜き出して露出させることができる。
【0030】
さらに、上記導線剥出装置では、上記ストッパ部は、上記第2部分を剪断切断した状態で静止した上記刃部であってもよい。
【0031】
この構成によれば、第2部分を剪断切断した状態で静止した第2切断手段の刃部は、導線とは接触することなく、切離し部分の切断面と接触していることから、例えば本体部分を長手方向における先端側とは反対側に引っ張っても、当該刃部によって、切離し部分の長手方向の移動が抑えられることになる。したがって、別途ストッパ部を設ける場合に比して、導線剥出装置の装置構成を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明に係る導線剥出装置によれば、長尺部材を一定寸法に切断する際に、導線を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、長尺部材における端部の導線を剥き出して露出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態に係る導線剥出装置の概要を模式的に示す斜視図である。
【
図2】センサ付きのプロテクターを模式的に示す断面図である。
【
図3】導線が露出された長尺部材を模式的に説明する図である。
【
図4】第1~第3切断手段による、長尺部材の切断手順の一例を模式的に説明する図である。
【
図7】第2切断手段の一例を模式的に説明する図である。
【
図8】第2切断手段の他の例を模式的に説明する図である。
【
図9】第2切断手段の他の例を模式的に説明する図である。
【
図10】第3切断手段の一例を模式的に説明する図である。
【
図11】第3切断手段の他の例を模式的に説明する図である。
【
図12】ストッパ部の一例を模式的に説明する図である。
【
図13】ストッパ部の他の例を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
図1は、本実施形態に係る導線剥出装置1の概要を模式的に示す斜視図である。この導線剥出装置1は、全長に亘って導線58が埋め込まれた、センサ付きのプロテクター50(
図2参照)の半製品である長尺部材50’を一定寸法に切断するとともに、長尺部材50’における端部の導線58を剥き出して露出させるものである。なお、
図1における、矢印Fwは長尺部材50’の長手方向の先端側である第1水平方向前側を示し、また、矢印Rrは第1水平方向後側を示し、また、矢印Upは上下方向上側を示し、また、矢印Dwは上下方向下側を示し、また、矢印Rhは第1水平方向と上下方向とに直交する方向である第2水平方向右側を示し、また、矢印Lfは第2水平方向左側を示している。
【0036】
導線剥出装置1の説明に先立ち、導線剥出装置1の切断対象である長尺部材50’乃至プロテクター50について説明する。
【0037】
(プロテクター(長尺部材))
図2は、センサ付きのプロテクター50を模式的に示す断面図である。プロテクター50は、ウェザーストリップの一種であり、ワゴン車等におけるスライドドア(図示せず)の前端部とドア開口縁部との間に挟まれた異物の存在を検知するセンサが組込まれたものである。このプロテクター50は、ゴム製であり、
図2に示すように、スライドドアの前端部に取り付けられる断面略U字状の取付け基部51と、2本の導線58が埋設された、中空部52aを有するセンサ部52と、を備えている。
【0038】
取付け基部51には、剛性を高めるための芯金54が埋め込まれているとともに、スライドドアの前端部に取付け基部51が取り付けられた場合に、スライドドアの内壁を押圧する保持リップ53が設けられている。また、プロテクター50には、例えばスライドドアパネルの一部を覆う意匠リップ55や、ワイヤーハーネス(図示せず)を保持するためのCリップ57が設けられている。
【0039】
センサ部52に埋設された2本の導線58は、リード線(図示せず)を介して、電気信号の変化に基づいて異物の存在を判定する車載制御装置(図示せず)と電気的に接続されている。このプロテクター50を用いた異物検知システムでは、スライドドアを閉じた際に、スライドドアの前端部とドア開口縁部との間に挟まれた異物により、センサ部52の中空部52aが押されて潰れると、それに対応した電気信号の変化によって、車載制御装置が異物の存在を検知するようになっている。
【0040】
図3は、導線58が露出された長尺部材50’を模式的に説明する図である。プロテクター50を製造する場合には、半製品である長尺部材50’を一旦押出成形した後、かかる長尺部材50’からリップ55,57等を部分的に取り除いたり、長尺部材50’を適正な長さ(一定寸法)に切断したりすることで、製品として仕上げていくのが一般的である。また、センサ部52に埋設された導線58と、リード線とを結線しなければならないため、
図3に示すように、長尺部材50’における両端部の導線58を剥き出して露出させる必要がある。
【0041】
なお、リップ55,57等を部分的に取り除くことを除けば、プロテクター50および長尺部材50’を構成する各部は共通しているので、以下では、長尺部材50’を説明する場合にも、各部についてはプロテクター50の場合と同じ符号を用いる。また、以下の説明では、便宜上、長尺部材50’における、芯金54、取付け基部51、保持リップ53、意匠リップ55およびCリップ57に対応する部分をまとめて「第1部分50A」とも称し、また、2本の導線58およびセンサ部52に対応する部分をまとめて「第2部分50B」とも称する。
【0042】
(導線剥出装置の全体構成)
導線剥出装置1は、
図1に示すように、第1切断手段10と、第2切断手段20と、第3切断手段30と、これら第1~第3切断手段10,20,30を制御する制御装置40と、を備えている。なお、各切断手段10,20,30は、長尺部材50’を切断する鋸刃11や刃部21,31の他、制御装置40からの指令に基づいて、鋸刃11を駆動させる駆動機構や、鋸刃11や刃部21,31を移動させる移動機構等を有しているが、
図1~
図5および
図7~
図13では、図を見易くするために、鋸刃11および刃部21,31のみを示している。また、第1~第3切断手段10,20,30によって長尺部材50’を切断する場合には、長尺部材50’を固定する必要があるが、
図1~
図13では、図を見易くするために、長尺部材50’を固定する機構を図示省略している。さらに、
図1において、刃部21,31の形状や、白抜き矢印で示す鋸刃11の移動方向や、黒塗り矢印で示す刃部21の移動方向や、ハッチング矢印で示す刃部31の移動方向等は、飽くまでも例示であり、刃部21,31の形状や移動方向は
図1に示すものに限定されない。
【0043】
制御装置40は、例えば、演算処理等を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)、処理データ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータを中心にして構成されている。制御装置40は、
図1の破線で示すように、第1~第3切断手段10,20,30の駆動機構や移動機構等と電気的に接続されていて、これらの駆動機構や移動機構等に指令を出すことで、鋸刃11や刃部21,31を用いた切断動作を予め決められた手順で第1~第3切断手段10,20,30に行わせるように構成されている。
【0044】
なお、制御装置40が、第1~第3切断手段10,20,30を始動させるタイミングについては特に限定はなく、例えば、長尺部材50’が所定の位置にセットされたことをセンサ(図示せず)等が検出した場合や、作業者が長尺部材50’を所定の位置にセットした後、スイッチ(図示せず)等を操作した場合に、第1~第3切断手段10,20,30を始動させるようにしてもよい。
【0045】
図4は、第1~第3切断手段10,20,30による、長尺部材50’の切断手順の一例を模式的に説明する図である。第1切断手段10は、例えば、鋸刃11を回転駆動させるためのスピンドルモータを含む駆動機構(図示せず)や、鋸刃11を移動させるための一軸シリンダーを含む移動機構13(
図6参照)等を備えていて、制御装置40からの指令に基づいて、鋸刃11を回転駆動させるとともに、回転動する鋸刃11を移動させて、第1部分50Aを切断するものである。
【0046】
長尺部材50’を切断する場合には、先ず、
図4の上段に示すように、第1切断手段10にて、長尺部材50’の先端部における第1水平方向(長手方向)と直交する面で、鋸刃11の回転動により第1部分50Aを切断する。このように、回転動する鋸刃11を用いることから、簡単かつ短時間で、第1部分50Aを芯金54ごと切断することができる。
【0047】
第2切断手段20は、第2部分50Bに押し付けられることで、導線58およびその周りの部位を残して、第2部分50Bを剪断切断することが可能な刃部21を有している。第2切断手段20は、刃部21の他、刃部21を保持するためのホルダー(図示せず)や、刃部21を保持したホルダーを移動させるための移動機構等を備えていて、制御装置40からの指令に基づいて、刃部21を移動させて第2部分50Bに押し付けることで、第2部分50Bを切断するものである。
【0048】
長尺部材50’を切断する場合には、上述の如く、第1切断手段10にて第1部分50Aを切断した後、
図4の中段に示すように、第1切断手段10による切断面C1と同一平面で、刃部21を押し付けることで第2部分50Bを切断する。このように、第2切断手段20によれば、刃部21を押し付けて、導線58およびその周りの部位を残して第2部分50Bを剪断切断することから、導線58を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、第2部分50Bを切断することができる。
【0049】
ここで、第1切断手段10による切断面C1と、第2切断手段20による切断面C2とが、同一平面であることから、長尺部材50’における、これらの切断面C1,C2を第1水平方向に挟んだ2つの部分は、導線58およびその周りの部位だけで繋がっている状態となる。なお、以下では便宜上、「切断面C1,C2を長手方向に挟んだ2つの部分」のうち、第1水平方向における切断面C1,C2よりも前側の部分(切断される端部)を「切離し部分60」と称し、第1水平方向における切断面C1,C2よりも後側の部分を「本体部分50”」と称する。
【0050】
第3切断手段30は、制御装置40からの指令に基づいて、刃部31を移動させて、
図4の下段に示すように、切離し部分60(長尺部材50’)における、切断面C2から前側(先端側)に所定長さLだけ離れた位置で、少なくとも導線58を切断するように構成されている。第3切断手段30は、少なくとも導線58を切断すればよいので、種々の切断態様や種々の構成にて実現することができる。例えば第3切断手段30は、第2部分50Bの一部および導線58を切断するように構成されていてもよいし、また、第2部分50Bの全部および導線58を切断するように構成されていてもよいし、また、導線58、第1部分50Aおよび第2部分50Bをまとめて切断するように構成されていてもよい。さらに、第3切断手段30は、
図1のハッチング矢印で例示するように、刃部31を第2水平方向に移動させることで、導線58を含む長尺部材50’を切断するように構成されていてもよいし、刃部31を上下方向に移動させることで、導線58を含む長尺部材50’を切断するように構成されていてもよい。
【0051】
このように、長尺部材50’における切断面C2から前側に所定長さLだけ離れた位置で、第3切断手段30により導線58を切断することから、本体部分50”と切離し部分60とは、導線58の周りの部位だけで僅かに繋がっている状態となる。それ故、例えば切離し部分60を固定して、
図4の下段の白抜き矢印で示すように、本体部分50”を第1水平方向後側に引っ張るだけで、本体部分50”と切離し部分60とを容易に切り離して(切離し部分60から導線58を抜き出して)、導線58を露出させることが可能となる。
【0052】
なお、長尺部材50’をセンサ付きのプロテクター50として用いるためには、
図3に示すように、本体部分50”(長尺部材50’)の両端部の導線58を露出させる必要がある。このため、切断作業(剥き出し作業)を行う場合には、例えば2台の導線剥出装置1を第2水平方向に左右対称に並べて、U字状に湾曲させた長尺部材50’の両端部を、2台の導線剥出装置1を用いて同時に加工するようにしてもよい。この場合には、例えば、右側の導線剥出装置1による切断面C1,C2から、左側の導線剥出装置1による切断面C1,C2までの距離が、プロテクター50として要求される一定寸法になるように、切断作業に先立ち、長尺部材50’における切断予定位置を予め設定しておくのが好ましい。
【0053】
(切断手段等の具体的な態様)
次に、導線剥出装置1を構成する第1~第3切断手段10,20,30等の具体的な態様についてそれぞれ説明する。
【0054】
-第1切断手段-
図5および
図6は、第1切断手段10を模式的に説明する図である。なお、
図6では、図を見易くするために、鋸刃11の大きさに対する、長尺部材50’の大きさを誇張して示している。第1切断手段10は、鋸刃11の回転動により、第1部分50Aを芯金54ごと切断するのであれば、第1部分50Aに対して、鋸刃11をどのような方向から侵入させてもよい。例えば、
図5の白抜き矢印で示すように、鋸刃11を第2水平方向右側から左側に移動させて、右側から侵入した鋸刃11で第1部分50Aを切断してもよいし、また例えば、
図5の黒塗り矢印で示すように、鋸刃11を上昇させて、下方から侵入した鋸刃11で第1部分50Aを切断してもよいし、また例えば、
図5のハッチング矢印で示すように、鋸刃11を第2水平方向左側から右側に移動させて、左側から侵入した鋸刃11で第1部分50Aを切断してもよい。
【0055】
ここで、長尺部材50’の形状等(例えば導線58と芯金54との位置関係)によっては、第2水平方向からではなく、
図6の二点鎖線CLで示すような傾斜した方向から、回転動する鋸刃11を長尺部材50’(第1部分50A)に対して侵入させる方が好ましい場合もある。もっとも、例えば二軸シリンダーやロボットアーム等を用いた、鋸刃11を斜めに移動させることが可能な機構よりも、
図6の黒塗り矢印で示すように、例えば一軸シリンダー等を用いた、鋸刃11を水平に移動させる移動機構13の方が、構造を簡略化するとともに、設備コストの上昇を抑えることができる。
【0056】
そこで、例えば
図6の白抜き矢印で示すように、第2水平方向の一方の端部の高さを可変させることで、傾斜角度を調整することが可能なベース15の上に移動機構13を取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、構造を簡略化および設備コストの低減を図りつつ、
図6のハッチング矢印で示すように、回転動する鋸刃11を所望の傾斜角度で長尺部材50’に対して侵入させることができる。
【0057】
-第2切断手段-
〈第1の態様〉
図7は、第2切断手段20の一例を模式的に説明する図である。
図7に示す第1の態様では、刃部21は、第2水平方向右側および左側が刃先22aとなるようにそれぞれ第1水平方向と直交し、且つ、第2部分50Bの幅以上に左右に離間するように配置された2枚のカッター刃22で構成されている。第2切断手段20は、制御装置40からの指令に基づいて、
図7の白抜き矢印で示すように、2枚のカッター刃22を第2水平方向に近づくように移動させて、2枚のカッター刃22の刃先22a同士を当接させるように構成されている。各カッター刃22の刃先22aには、半円形の切欠き部23が、2本の導線58と同じ間隔で上下に並ぶように形成されている。
【0058】
以上のように構成された第1の態様の第2切断手段20では、左右に離間するように配置された2枚のカッター刃22を、
図7の上段に示すように、第2水平方向に近づけて第2部分50Bに押し付けると、すなわち、2枚のカッター刃22の刃先22aで第2部分50Bを第2水平方向に挟むと、
図7の下段に示すように、導線58およびその周りの部位が、当接することで円形となった切欠き部23に嵌る一方、それ以外の部位が2つのカッター刃22の刃先22aで剪断切断されることになる。これにより、導線58を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、導線58およびその周りの部位を残して、第2部分50Bを切断することができる。
【0059】
〈第2の態様〉
図8は、第2切断手段20の他の例を模式的に説明する図である。
図8に示す第2の態様では、第2切断手段20は、上下方向(刃部21’を押し付ける押付け方向)に見て、導線58と重なる空間部25を挟んで、第2水平方向(長尺部材50’の長手方向と押付け方向とに直交する方向)に並ぶ2つの刃部21’を有している。具体的には、刃部21’は、下端部が刃先24aとなるようにそれぞれ第1水平方向と直交し、且つ、空間部25を挟んで左右に並ぶ2枚のカッター刃24で構成されている。そうして、これら2枚のカッター刃24は、互いの刃先24aが同じ高さになるように、第2切断手段20のホルダーに保持されている。第2切断手段20は、制御装置40からの指令に基づいて、
図8の白抜き矢印で示すように、ホルダー(2枚のカッター刃24)を下方に移動させて、2枚のカッター刃24の刃先24aを上方から第2部分50Bに押し付けるように構成されている。
【0060】
以上のように構成された第2の態様の第2切断手段20では、上下方向に見て空間部25が導線58と重なることから、空間部25を挟んで左右に並ぶ2枚のカッター刃24を、
図8の上段に示すように下方に移動させて、その刃先24aを第2部分50Bに同時に押し付けると、
図8の下段に示すように、導線58およびその周りの部位が空間部25に嵌る一方、それ以外の部位が2つのカッター刃24の刃先24aにて剪断切断されることになる。これにより、導線58を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、導線58およびその周りの部位を残して、第2部分50Bを切断することができる。
【0061】
〈第3の態様〉
図9は、第2切断手段20の他の例を模式的に説明する図である。
図9に示す第3の態様では、第2切断手段20は、上下方向(刃部21”を押し付ける押付け方向)に見て、導線58と重なる空間部を挟んで、第2水平方向(長尺部材50’の長手方向と押付け方向とに直交する方向)に並ぶ2つの刃部21”を有している。具体的には、「2つの刃部21”」は、1枚のカッター刃26における、スリット27によって二股に分かれた2つの部位で構成されており、また、「空間部」は、カッター刃26に形成されたかかるスリット27で構成されている。
【0062】
より詳しくは、カッター刃26は、下端部が刃先26aとなるように第1水平方向と直交する姿勢で、第2切断手段20のホルダーに保持されている。スリット27は、上下方向に延び且つ下方に開口するように、カッター刃26における第2水平方向の中央部に形成されている。第2切断手段20は、制御装置40からの指令に基づいて、
図9の白抜き矢印で示すように、カッター刃26を下方に移動させて、カッター刃26の刃先26aを上方から第2部分50Bに押し付けるように構成されている。
【0063】
以上のように構成された第3の態様の第2切断手段20では、上下方向に見て空間部(スリット27)が導線58と重なることから、カッター刃26を、
図9の上段に示すように下方に移動させて、その刃先26aを第2部分50Bに押し付けると、
図9の下段に示すように、導線58およびその周りの部位がスリット27に嵌る一方、それ以外の部位が二股に分かれたカッター刃26の刃先26aで剪断切断されることになる。これにより、導線58を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、導線58およびその周りの部位を残して、第2部分50Bを切断することができる。
【0064】
-第3切断手段-
〈第1の態様〉
図10は、第3切断手段30の一例を模式的に説明する図である。上述の如く、第3切断手段30は、少なくとも導線58を切断するのであれば、導線58、第1部分50Aおよび第2部分50Bをまとめて切断するように構成されていてもよく、例えば、鋸刃11と刃部31とを兼用するように、すなわち、第1切断手段10と第3切断手段30とを兼用するようにしてもよい。具体的には、この第1の態様では、
図10の上段に示すように、第1切断手段10にて、鋸刃11の回転動により第1部分50Aを切断し、第2切断手段20にて第2部分50Bを切断した後、
図10の下段に示すように、鋸刃11を切断面C1,C2から第1水平方向前側に所定長さLだけ移動させた後、上昇(または第2水平方向に移動)させて、鋸刃11の回転動により導線58、第1部分50Aおよび第2部分50Bをまとめて切断するようにしてもよい。
【0065】
〈第2の態様〉
図11は、第3切断手段30の他の例を模式的に説明する図である。
図11に例示する第2の態様では、第3切断手段30は、第1水平方向(長尺部材50’の長手方向)で第2切断手段20のカッター刃26(2つの刃部21”)と対向し、且つ、カッター刃26と同期して下方(押付け方向)に移動する刃部31を有している。具体的には、刃部31は、下端部が刃先32aとなるように第1水平方向と直交し、且つ、カッター刃26と所定長さLだけ間隔を空けて第1水平方向に対向するカッター刃32として構成されている。そうして、カッター刃32は、その刃先32aが、カッター刃26の刃先26aと同じ高さになるように、カッター刃26と共に第2切断手段20のホルダーに保持されている。
【0066】
以上のように構成された第2の態様の第3切断手段30では、第2切断手段20のホルダーを下方に移動させると、カッター刃32はカッター刃26と同期して下方に移動することから、カッター刃26にて第2部分50Bを剪断切断すると同時に、切断面C2から前側に所定長さLだけ離れた位置で、カッター刃32にて導線58を含む第2部分50Bを剪断切断することができる。よって、導線58を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、第2部分50Bを切断するとともに、切離し部分60において、露出させるべき長さを超える導線58を切断することができる。
【0067】
-ストッパ部-
〈第1の態様〉
図12は、ストッパ部70の一例を模式的に説明する図である。
図12に例示する第1の態様では、導線剥出装置1は、長尺部材50’における切断面C1,C2よりも先端側の部位、すなわち、切離し部分60の長手方向の移動を抑えるストッパ部70を備えている。具体的には、ストッパ部70は、
図12の黒塗り矢印で示すように、切離し部分60を上から押さえ付けることで、切離し部分60が第1水平方向に移動するのを規制するように構成されている。
【0068】
この第1の態様によれば、切断面C2から前側に所定長さLだけ離れた位置で、第3切断手段30によって導線58が切断されることに加え、切離し部分60の長手方向の移動が、ストッパ部70によって抑えられることから、
図12の下段の白抜き矢印で示すように、本体部分50”を第1水平方向後側に引っ張るだけで、切離し部分60から簡単に導線58を抜き出して露出させることができる。
【0069】
〈第2の態様〉
図13は、ストッパ部70の他の例を模式的に説明する図である。
図13に例示する第2の態様では、第2部分50Bを切断した状態で静止した、第2切断手段20の刃部21”で、ストッパ部70を構成するようにしている。より詳しくは、この第2の態様では、カッター刃26で第2部分50Bを切断した後も、導線58およびその周りの部位がスリット27に嵌るようにして、切離し部分60の切断面C2と接触しているカッター刃26を、切離し部分60から導線58を抜き出すまでの間、そのままの状態で静止させるようにしている。
【0070】
この第2の態様のストッパ部70によれば、第2部分50Bを切断した状態で静止したカッター刃26は、導線58とは接触することなく、切離し部分60の切断面C2と接触していることから、
図13の白抜き矢印で示すように本体部分50”を第1水平方向後側に引っ張っても、切離し部分60の第1水平方向の移動がカッター刃26によって抑えられることになり、これにより、切離し部分60から簡単に導線58を抜き出して露出させることができる。したがって、別途ストッパ部70を設ける第1の態様に比して、導線剥出装置1の装置構成を簡単にすることができる。
【0071】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0072】
上記実施形態では、ストッパ部70を刃部21”(カッター刃26)で構成するようにしたが、これに限らず、例えばストッパ部70を刃部21’(2枚のカッター刃24)で構成するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、カッター刃32およびカッター刃26を第2切断手段20のホルダーで保持するようにしたが、これに限らず、例えば、カッター刃32および2枚のカッター刃24を第2切断手段20のホルダーで保持するようにしてもよい。
【0074】
さらに、上記実施形態では、制御装置40からの指令に基づいて、刃部21,31を自動で移動させるようにしたが、これに限らず、例えば、刃部21,31を人力で移動させるようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、鋸刃11の回転動により、第1部分50Aを芯金54ごと切断するように第1切断手段10を構成したが、第1部分50Aに芯金54が埋め込まれていないタイプのプロテクター(長尺部材)が対象であれば、これに限らず、例えば、第2水平方向に水平動する左右2枚の切断刃(図示せず)等により、第1部分50Aを切断するように第1切断手段10を構成してもよい。
【0076】
さらに、上記実施形態では、ゴム製のプロテクター50の半製品である長尺部材50’に本発明を適用したが、長尺部材50’の材質は、ゴムのような弾性体であれば特に限定はなく、例えば熱可塑性エラストマー等の各種熱可塑性樹脂材などであってもよい。
【0077】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によると、長尺部材を一定寸法に切断する際に、導線を傷つけることなく、簡単かつ短時間で、長尺部材における端部の導線を剥き出して露出させることができるので、長尺部材の導線を露出させる導線剥出装置に適用して極めて有益である。
【符号の説明】
【0079】
1 導線剥出装置
10 第1切断手段
11 鋸刃
20 第2切断手段
21、21’、21” 刃部
22、24、26 カッター刃
25 空間部
27 スリット(空間部)
30 第3切断手段
32 カッター刃
50’ 長尺部材
50A 第1部分
50B 第2部分
54 芯金
58 導線
60 切離し部分(先端側の部位)
70 ストッパ部
C1 切断面
C2 切断面