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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155198
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】管体接続部の構造、継手及び浴室
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/03 20060101AFI20241024BHJP
   F16L 33/32 20060101ALI20241024BHJP
   F24D 3/10 20060101ALI20241024BHJP
   F16L 35/00 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
F16L33/03
F16L33/32
F24D3/10 M
F16L35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069675
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】508321823
【氏名又は名称】株式会社イノアック住環境
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】西 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】大北 達也
(72)【発明者】
【氏名】江口 智人
(72)【発明者】
【氏名】常松 大樹
【テーマコード(参考)】
3H017
3L070
【Fターム(参考)】
3H017EA03
3L070BC15
(57)【要約】
【課題】管体から受ける曲げ負荷に対する強度アップが可能な管体接続部の構造の提供。
【解決手段】管体接続部の構造10は、管体90に挿入されてクランプリング20に締め付けられる筒形挿入部15を備え、管体90に接続される。管体接続部の構造10には、筒形挿入部15と一体成形され、クランプリング20に外側から重なる外側対向部30が備えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体に挿入されてクランプリングに締め付けられる筒形挿入部を備え、前記管体に接続される管体接続部の構造であって、
前記筒形挿入部と一体成形され、前記クランプリングに外側から重なる外側対向部を備える管体接続部の構造。
【請求項2】
前記外側対向部には、前記筒形挿入部の軸方向で前記クランプリングを突き当て可能な当接部が設けられている、請求項1に記載の管体接続部の構造。
【請求項3】
前記外側対向部は、前記筒形挿入部を挟むか又は囲むように配置され、
前記外側対向部の内側と外側を連通する開口部が備えられている、請求項1に記載の管体接続部の構造。
【請求項4】
前記筒形挿入部と前記外側対向部は、前記筒形挿入部の軸方向に垂直な方向で型抜き可能な形状になっている、請求項1に記載の管体接続部の構造。
【請求項5】
前記筒形挿入部と前記外側対向部は、前記筒形挿入部の中心軸回りに回転対称に配置されている、請求項4に記載の管体接続部の構造。
【請求項6】
前記筒形挿入部から前記管体とは反対側に延長されて屈曲した屈曲管部と、
前記屈曲管部から張り出し、前記外側対向部の少なくとも一部を含むフランジ部と、を備える、請求項1に記載の管体接続部の構造。
【請求項7】
請求項1から6の何れか1の請求項に記載の管体接続部の構造を有し、他の管体又は機器の流路に接続される流路接続部を備える継手。
【請求項8】
請求項7に記載の継手が、給水配管又は給湯配管に使用されている浴室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管体に接続される管体接続部の構造と、その管体接続部の構造を有する継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管体接続部の構造として、管体に挿入された筒形挿入部が、クランプリングで締め付けられて抜け止めされるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-111066号公報(図2等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の管体接続部の構造に対して、管体から受ける曲げ負荷に対する強度アップが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた発明の第1態様は、管体に挿入されてクランプリングに締め付けられる筒形挿入部を備え、前記管体に接続される管体接続部の構造であって、前記筒形挿入部と一体成形され、前記クランプリングに外側から重なる外側対向部を備える管体接続部の構造である。
【発明の効果】
【0006】
発明の第1態様では、クランプリングに外側から重なる外側対向部により、管体から受ける曲げ負荷に対する強度のアップを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1実施形態に係る管体接続部の構造を有する継手の斜視図
図2】継手の側面図
図3】管体接続部の構造の図2におけるA-A線断面図
図4】管体接続部の構造の側断面図
図5】継手の斜視図
図6】第1方向から見たときの継手の側面図
図7】継手の正面図
図8】管体接続部の構造の図6におけるB-B線断面図
図9】管体接続部の構造の図6におけるC-C線断面図
図10】成形金型で成形された継手の正断面図
図11】成形金型が型開きされているときの継手の正断面図
図12】第2実施形態に係る管体接続部の構造を有する継手の側面図
図13】継手の斜視図
図14】管体接続部の構造の側断面図
図15】継手の側面図
図16】継手の斜視図
図17】継手の正面図
図18】管体接続部の構造の図15におけるD-D線断面図
図19】管体接続部の構造の図15におけるE-E線断面図
図20】成形金型で成形された継手の正断面図
図21】成形金型が型開きされているときの継手の正断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
図1及び図2に示すように、本開示の第1実施形態に係る管体接続部の構造10は、継手100に設けられている。図3及び図4に示すように、管体接続部の構造10には、筒形をなして管体90に挿入される筒形挿入部15が備えられ、管体90と筒形挿入部15が外側からクランプリング20に締め付けられることで、筒形挿入部15が管体90に抜け止めされて接続される。なお、例えば、管体90は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。後者の場合、例えば、管体90にアルミニウム等の金属層が含まれていてもよい。
【0009】
図4及び図5に示すように、本実施形態では、継手100は、中心孔11を有するストレート状の筒形構造をなし、その軸方向の途中部分に、全周に亘って張り出したフランジ部12を有している。フランジ部12の先端面の中央部からは、円筒状をなした上述の筒形挿入部15が突出している。継手100のうちフランジ部12より基端側の部分は、図示しない他の管体又は機器の流路に接続される流路接続部13を構成する。なお、流路接続部13の外周面には、雄螺子部が形成されている。
【0010】
図5及び図6に示すように、本実施形態の例では、筒形挿入部15の外周面には、軸方向に複数の係止突部16が並んでいる。係止突部16は、基端側に向かうにつれてテーパ―状に突出量を大きくするように構成され、その基端の段差部により、管体90の内面に係止し易くなっている。複数の係止突部16のうち先端側の(本実施形態の例では、3つの)係止突部16は、環状になっている。また、最も基端側の係止突部16は、筒形挿入部15の周方向で複数に分割された分割突部16Aで構成され、本実施形態の例では、これら分割突部16Aは、等間隔に4つ設けられ、筒形挿入部15の軸方向で同じ位置に配置される。
【0011】
また、本実施形態の例では、筒形挿入部15の根元部分の外周面には、フランジ部12と連絡される基端周面突部17が形成されている。基端周面突部17は、筒形挿入部15の周方向で複数に分割された分割突部17Aで構成される。各分割突部17Aは、上記した各分割突部16Aと、筒形挿入部15の周方向で同じ位置に4つ配置されると共に、複数の分割突部17Aは、筒形挿入部15の軸方向で互いに同じ位置に配置される。基端周面突部17のうち先端側の部分は、先端から基端側に向かうにつれてテーパ―状に突出量を大きくしていて、基端周面突部17の途中位置から基端側部分は一定断面積になっている。なお、詳細には、図8及び図9に示すように、互いに反対側に配置される一対の分割突部17A同士は、形状が同じになっている。筒形挿入部15の軸方向に垂直な第1方向H1で互いに反対側に配置される分割突部17A同士では、基端側の外周面が、筒形挿入部15と同心の円弧状の膨出面になっている。一方、残りの分割突部17A同士は、上記分割突部17A同士と同様の形状から筒形挿入部15の径方向外側の部分を平坦にカットした形状をなし、その平坦面17Sは、上記第1方向H1に平行に配置されている。
【0012】
ここで、図5に示すように、本実施形態の管体接続部の構造10には、筒形挿入部15に対して径方向外側から間隔をあけて対向し、クランプリング20に外側から重なる外側対向部30が設けられている。外側対向部30は、継手100のフランジ部12から先端側に突出している。また、外側対向部30は、筒形挿入部15と一体成形され、本実施形態では、継手100は、樹脂の一体成形品になっている。
【0013】
図7に示すように、本実施形態の例では、外側対向部30は、一対設けられていて、筒形挿入部15を挟んで互いに対向配置されている。一対の外側対向部30の間には、外側対向部30の内側と外側を連通する開口部30Kがそれぞれ形成されていて、本実施形態の例では、開口部30Kは、第1方向に沿って開口している。また、図3に示すように、各開口部30Kは、クランプリング20の一対のつまみ突片25,26が共に挿通可能な大きさに開口している。クランプリング20のつまみ突片25,26は、一方の開口部30Kに挿通され、外側対向部30の外側に突出する。本実施形態では、開口部30Kが複数設けられるので、クランプリング20の配置の自由度を高くすることができる。
【0014】
なお、詳細には、図1及び図2に示すように、クランプリング20は、径方向外側に突出した上述の一対のつまみ突片25,26を両端部に備え、それら端部同士が交差した構成になっている。そして、一対のつまみ突片25,26を挟持して近づけると、クランプリング20が拡径状態になる。また、一対のつまみ片25,26の挟持を解除すると、クランプリング20が弾発力により縮径状態となり、内側に挿通された管体を締め付けて筒形挿入部15の外面に押し付ける(図3参照)。なお、例えば、クランプリング20の一端部には、貫通孔22が形成され、その貫通孔22に、クランプリング20の幅狭になった他端部のつまみ突片26が挿通されて突出し、クランプリング20の両端部が交差している。
【0015】
図7に示すように、本実施形態の例では、外側対向部30は、筒形挿入部15の軸方向から見て、略円弧状をなしている。外側対向部30は、基端側(フランジ部12側)の土台部31と、突出先端側の湾曲壁部35と、で構成される。土台部31は、湾曲壁部35よりも一対の外側対向部30の対向方向内側にせり出している(図4参照)。そして、そのせり出し部分の先端面により、外側対向部30の内側面に、段差面30Dが形成されている。また、このように土台部31が内側にせり出しているので、開口部30Kにおいて、湾曲壁部35同士の間の開口幅は、土台部31同士の間の開口幅よりも広くなっている(図3参照)。従って、開口部30Kに、クランプリング20のつまみ突片25,26を挿通し易くなっている。外側対向部30の外側面は、筒形挿入部15と同心の円弧面になっていて、土台部31と湾曲壁部35との外周面同士は、連続した同径の円弧面になっている。なお、図6に示すように、筒形挿入部15の軸方向において、土台部31の先端面(段差面30D)は、分割突部17Aの先端よりは基端側に配置され、湾曲壁部35の先端面は、分割突部16Aと、その隣の環状の係止突部16との間に配置される。
【0016】
図4に示すように、本実施形態では、一対の土台部31同士の間隔は、管体90の外径より大きくなっている。従って、筒形挿入部15を管体90に挿入したときに、管体90を一対の土台部31の間に受容させて、フランジ部12に突き当てることが可能となり、管体90の位置決めをすることが可能となる。また、一対の土台部31同士の間隔が、クランプリング20の外径よりも小さくなっていると共に、一対の湾曲壁部35同士の間隔が、クランプリング20の外径よりも大きくなっている。従って、クランプリング20を一対の湾曲壁部35の間に受容させて、段差面30Dに筒形挿入部15の軸方向で突き当てることが可能となり、クランプリング20を位置決めすることが可能となる。
【0017】
図6に示すように、本実施形態の管体接続部の構造10では、筒形挿入部15の軸方向に対して垂直な方向のうち第1方向H1から見たときに、筒形挿入部15と一対の外側対向部30とが、重ならない配置となる。そして、この第1方向H1の一方側と他方側の両方から見ると、筒形挿入部15の外周面と各外側対向部30の表面との全体が視認可能になっている。従って、本実施形態では、筒形挿入部15と一対の外側対向部30とは、後述するように、第1方向H1で型抜き可能な形状(いわゆる、非アンダーカット形状)になっている。
【0018】
具体的には、図7に示すように、外側対向部30の内側面には、筒形挿入部15の周方向における外側対向部30の一方側の端部から他方側に延びる第1平坦部31H,35Hが形成されている。また、外側対向部30の内側面には、外側対向部30の上記第1平坦部31H,35Hにそれぞれ連続し、筒形挿入部15の外周面に沿って、もう一方の外側対向部30に近づくように曲がる曲がり部31M,35Mが形成されている。
【0019】
詳細には、第1平坦部31Hは、土台部31に設けられ、第1平坦部35Hは、湾曲壁部35に設けられている。本実施形態では、一対の外側対向部30における第1平坦部31H同士は、互いに平行になっていて、上記第1方向H1に平行になっている。また、本実施形態では、上記曲がり部31M,35Mは、筒形挿入部15と同心の円弧状に湾曲した凹面となっていて、曲がり部31Mは、土台部31に設けられ、曲がり部35Mは、湾曲壁部35に設けられている。土台部31の曲がり部31Mは、湾曲壁部35の曲がり部35よりも小径になっている。
【0020】
また、本実施形態では、外側対向部30の内側面には、曲がり部31M,35Mにそれぞれ連続して端部まで延びる第2平坦部31N,35Nが設けられている。第2平坦部31M,35Mは、第1平坦部31H,35Hと平行になっている。図9に示すように、各土台部31の第2平坦部31Nは、それぞれ近い側の分割突部17Aの平坦面17Sの延長面上に配置される。
【0021】
図7に示すように、本実施形態の例では、各外側対向部30と筒形挿入部15とは、筒形挿入部15の中心軸回りに回転対称に配置されていて、該中心軸回りに180度回転させたときの形状が同じになっている。
【0022】
本実施形態の管体接続部の構造10及び継手100は、例えば、以下のようにして製造される。図10には、継手100を成形する成形金型70が示されている。成形金型70には、継手100の第1方向H1に移動して、成形金型70を型閉じ及び型開きする上型71と下型72とが備えられると共に、上型71と下型72の間に配置される中子73が備えられる。上型71と下型72は、筒形挿入部15の外周面と、一対の外側対向部30の表面を成形する。中子73は、筒形挿入部15内の中心孔11の内周面を成形する。
【0023】
図10に示すように、成形金型70が型閉じ状態になってから、成形金型70のキャビティ78内に、図示しない注入口から溶融樹脂が注入される。そして、注入された樹脂が硬化すると、キャビティ78内で、筒形挿入部15と一対の外側対向部30とが一体成形され、継手100が成形される。
【0024】
ここで、上述のように、筒形挿入部15と一対の外側対向部30は、第1方向H1で型抜き可能な形状になっている。従って、図11に示すように、上型71と下型72を、第1方向H1で分離して成形金型70を型開きすることができる。その後、中子73を筒形挿入部15から抜くと、継手100が成形金型70から取り外され、筒形挿入部15と外側対向部30が一体成形された管体接続部の構造10が得られる。
【0025】
ところで、従来の管体接続部の構造では、例えば管体90から筒形挿入部15の軸方向に対して交差する方向に外力がかかった場合のように、管体90から筒形挿入部15に曲げ負荷がかかった場合に、筒形挿入部15の根元等が折れることがある。これは、例えば金属層が含まれる管体90のように、可撓性が低い管体90を用いる場合には特に生じ易い。これに対し、本実施形態の管体接続部の構造10及び継手100では、クランプリング20に外側から重なる外側対向部30により、管体90から受ける曲げ負荷に対する強度のアップを図ることが可能となる。具体的には、管体接続部の構造10では、管体90から筒形挿入部15に曲げ負荷がかかった場合に、外側対向部30でクランプリング20、即ち、管体90及び筒形挿入部15を外側から支持することが可能となり、筒形挿入部15を折れ曲がり難くすることが可能となる。
【0026】
また、外側対向部30の土台部31同士の間に、管体90を受容させることができるので、管体90に筒形挿入部15の軸方向に交差する方向に外力がかかった場合等に、土台部31によって管体90を外側から支持することが可能となる。これにより、筒形挿入部15に曲げ負荷がかかることを抑制することが可能となり、筒形挿入部15が折れることをより抑えることが可能となる。なお、一対の土台部31同士の間隔を、管体90が嵌合される大きさにすれば(例えば、管体90の外径と略同じにすれば)、管体90をより支持し易くすることが可能となる。
【0027】
また、本実施形態では、開口部30Kが設けられることで、クランプリング20のつまみ突片25,26を開口部30Kから突出させることが可能となる。これにより、外側対向部30(湾曲壁部35)をクランプリング20に近接させることが可能となり、外側対向部30でクランプリング20を支持し易くすることが可能となる。その結果、筒形挿入部15に曲げ負荷がかかり難くすることが可能となり、筒形挿入部15を一層折れ曲がり難くすることが可能となる。なお、一対の湾曲壁部35の間隔を、拡径状態のクランプリング20がちょうど収まる大きさにすれば、クランプリング20を湾曲壁部35により近接配置させることが可能となる。また、開口部30Kのうち湾曲壁部35同士の間の開口幅を、クランプリング20の外径よりも小さくすることで、管体90に、筒形挿入部15回りのどの方向から外力がかかっても、外側対向部30でクランプリング20を外側から支持することが可能となる。
【0028】
また、本実施形態では、外側対向部30の内側面には、第1平坦部31H,35Hに連続し、筒形挿入部15の外周面に沿ってもう一方の外側対向部30に近づくように曲がる曲がり部31M,35Mが設けられる。従って、外側対向部30の内側面が平坦部のみで構成される場合に比べて、管体90から筒形挿入部15に曲げ負荷がかかった場合に、外側対向部30でクランプリング20(即ち、筒形挿入部15)を支持し易くすることが可能となる。これにより、筒形挿入部をより折れ難くすることが可能となる。
【0029】
本実施形態では、筒形挿入部15と外側対向部30が、筒形挿入部15の軸方向に垂直な第1方向H1で型抜き可能な形状になっている。従って、筒形挿入部15と外側対向部30を、第1方向H1で分割する一対の成形金型(上型71、下型72)で成形することが可能となる。また、筒形挿入部15と外側対向部30が、筒形挿入部15の中心軸回りに回転対称に配置されているので、第1方向H1で分割する一対の成形金型(上型71、下型72)の成形面を同じ形状にすることが可能となると共に筒形挿入部15と外側対向部30の成形のバランスを良くすることが可能となり、管体接続部の構造10の製造を容易にすることが可能となる。また、筒形挿入部15と外側対向部30が、筒形挿入部15の中心軸回りに回転対称に配置されていることで、筒形挿入部15と外側対向部30の見た目を良くすることも可能となる。なお、図10及び図11では、第1方向H1が上下方向になっているが、これに限定されるものではなく、水平方向であってもよいし、上下方向に対して傾斜する方向であってもよい。
【0030】
[第2実施形態]
図12及び図13に示すように、本実施形態の継手100Vは、屈曲部を有したエルボー状になっている点が、上記第1実施形態の継手100とは異なる。本実施形態の継手100Vに備えられ、管体90と接続される管体接続部の構造10Vは、筒形挿入部15から管体90とは反対側に延長されて屈曲した屈曲管部40を備えている。本実施形態では、屈曲管部40の先端面から筒形挿入部15が突出していて、屈曲管部40の先端面に管体90を突き当て可能となっている。なお、筒形挿入部15の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0031】
屈曲管部40のうち筒形挿入部15に対して交差する方向に延びる基端側部分(即ち、屈曲管部40のうちその屈曲部に対して筒形挿入部15から離れた側の部分)からは、フランジ部42が外側に張り出している。なお、例えば、本実施形態の継手100Vは、建物内の壁99(図12参照。例えば浴室Sの壁)に固定され、フランジ部42の基端面は、壁99に宛がわれる。そして、例えば、配管部材10のうち流路接続部13側の部分が、居住空間側に配置される。より具体的には、例えば、配管部材10(本実施形態の例では継手)は、浴室Sや洗面室等の水回り空間において、給水配管や給湯配管等の配管に使用される(例えば配管の一部として使用される)。上述のように浴室S等の壁99に固定される配管部材10では、例えば、流路接続部13が浴室S内の給水配管や給湯配管に接続される。また、本実施形態の例では、屈曲管部40のうち屈曲部より先端側の部分には、側方からフランジ部42の一部が一体化している。フランジ部42は、屈曲管部40の先端よりも先方にはみ出している。
【0032】
図14及び図15に示すように、本実施形態の管体接続部の構造10Vでは、上記第1実施形態と同様に、外側対向部30が、一対設けられていて、筒形挿入部15を挟んで互いに対向配置されている。外側対向部30は、屈曲管部40の先端部から張り出している。なお、本実施形態の例では、屈曲管部40は、第1方向H1(図17参照)と直交する方向(即ち、一対の外側対向部30同士が対向する方向)に屈曲していて、フランジ部42より基端側部分に、上記第1実施形態と同様の流路接続部13を有している。
【0033】
ここで、本実施形態では、一方の外側対向部30(流路接続部13側に配置される外側対向部30)の少なくとも一部が、フランジ部42に設けられている。即ち、一方の外側対向部30の一部が、フランジ部42に兼用されている。このようにすることで、一方の外側対向部30とフランジ部42が、別体で設けられる場合に比べて、材料を少なくすることが可能となると共に、省スペース化を図ることが可能となる。なお、フランジ部42に、一方の外側対向部30の一部のみが含まれていてもよいし、一方の外側対向部30の全体が含まれていてもよい。
【0034】
図14及び図15に示すように、本実施形態においても、外側対向部30の内側面には、段差面30Dが設けられると共に、段差面30Dより突出先端側の先端側壁部35Vと、段差面30Dより基端側の土台部31Vと、が設けられている。土台部31Vは、先端側壁部35Vよりも内側に(筒形挿入部15側に)せり出している。なお、図18及び図19に示すように、各外側対向部30の内側面には、上記第1実施形態と同様に、第1平坦部31H,35H、曲がり部31M,35M、及び土台部31Vの第2平坦面31Nが設けられているが、先端側壁部35Vの第2平坦面35Nは設けられていない。なお、土台部31Vの第2平坦部31Nは、筒形挿入部15の各平坦面17Sの延長線上には配置されておらず(図19参照)、第1方向H1から見ると、筒形挿入部15と各外側対向部30とが、間隔をあけて配置されている(図15参照)。
【0035】
本実施形態においても、継手100Vは、筒形挿入部15と一対の外側対向部30とが一体成形された樹脂の一体成形品になっている。そして、筒形挿入部15と一対の外側対向部30とが、第1方向H1で型抜き可能な形状になっている。従って、図20から図21への変化に示すように、成形金型70内で、管体接続部の構造10V及び継手100Vを成形した後に、成形金型70の上型71と下型72を、第1方向で離して型開きし、継手100Vを型抜きすることが可能となる。
【0036】
本実施形態の管体接続部の構造10Vによっても、外側対向部30により、管体90から受ける曲げ負荷に対する強度をアップすることが可能となる。
【0037】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、外側対向部30が、一対設けられていたが、1つだけ設けられていてもよいし、3つ以上設けられていてもよい。外側対向部30は、例えば、棒状であってもよいし、筒形挿入部15と対向する板状であってもよいし、筒形挿入部15を囲むようにC字状をなして開口部30Kが一箇所に設けられた構成であってもよい。
【0038】
(2)管体接続部の構造10(10V)や継手100(100V)は、外側対向部30又は筒形挿入部15が、筒形挿入部15の軸方向に垂直な方向で型抜き可能な形状ではないものであってもよく、例えば、3Dプリンタで成形されたものであってもよい。また、管体接続部の構造10(10V)や継手100(100V)は、金属製であってもよい。
【0039】
(3)上記実施形態では、管体接続部の構造10(10V)が、継手100(100V)に設けられていたが、管体接続部の構造10(10V)が、流体機器の一部を構成してもよく、この場合、流体機器から筒形挿入部15を突出させた構造であってもよい。
【0040】
(4)上記実施形態では、外側対向部30の内側面に設けられて、クランプリング20を突き当て可能な当接部が、段差面30Dであったが、筒形挿入部15の軸方向に傾斜する傾斜面又はテーパ面であってもよい。
【0041】
(5)上記第1実施形態では、筒形挿入部15と一対の外側対向部30とが、筒形挿入部15の中心軸回りに回転対称になっていたが、回転対称になっていなくてもよい。
【0042】
(6)第1平坦部31H,35Hが、互いに平行ではなく、曲がり部31M,35Mから離れるに従って、開口部30Kを広げるように延びていてもよい。また、第2平坦部31N,35Nが、曲がり部31M,35Mから離れるに従って、開口部30Kを広げるように延びていてもよい。また、曲がり部31M,35Mが、円弧状等の湾曲形状ではなく、第1平坦部31H,35Hから折れ曲がって直線状に延びる平坦面を有していてもよい。
【0043】
(7)なお、外側対向部30と筒形挿入部15を、一体成形せずに、別々に成形してから一体に固定する構成とすることもできる。
【0044】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0045】
[特徴1]
管体に挿入されてクランプリングに締め付けられる筒形挿入部を備え、前記管体に接続される管体接続部の構造であって、
前記筒形挿入部と一体成形され、前記クランプリングに外側から重なる外側対向部を備える管体接続部の構造。
【0046】
特徴1では、クランプリングに外側から重なる外側対向部により、管体から受ける曲げ負荷に対する強度のアップを図ることが可能となる。具体的には、外側対向部がクランプリングに外側から重なるので、外側対向部によりクランプリングを介して筒形挿入部を外側から支持することが可能となり、管体から受ける曲げ負荷に対する強度のアップを図ることが可能となる。
【0047】
[特徴2]
前記外側対向部には、前記筒形挿入部の軸方向で前記クランプリングを突き当て可能な当接部(段差面30D)が設けられている、特徴1に記載の管体接続部の構造。
【0048】
特徴2では、外側対向部に、筒形挿入部の軸方向でクランプリングを突き当て可能な当接部が設けられるので、クランプリングを当接部に当てて筒形挿入部の軸方向でのクランプリングの位置決めをすることが可能となる。
【0049】
[特徴3]
前記外側対向部は、前記筒形挿入部を挟むか又は囲むように配置され、
前記外側対向部の内側と外側を連通する開口部が備えられている、特徴1又は2に記載の管体接続部の構造。
【0050】
例えば、開口部を、クランプリングのつまみ部を挿通可能な大きさにすれば、クランプリングのつまみ部を開口部に挿通させることで、外側対向部をクランプリングに近接させることが可能となり、外側対向部でクランプリングを支持し易くすることが可能となる。
【0051】
[特徴4]
前記筒形挿入部と前記外側対向部は、前記筒形挿入部の軸方向に垂直な方向で型抜き可能な形状になっている、特徴1から3の何れか1の特徴に記載の管体接続部の構造。
【0052】
特徴4では、筒形挿入部と外側対向部が、筒形挿入部の軸方向に垂直な方向で型抜き可能な形状になっている。従って、筒形挿入部と外側対向部を、当該垂直な方向で分割する一対の成形金型で成形することが可能となる。
【0053】
[特徴5]
前記筒形挿入部と前記外側対向部は、前記筒形挿入部の中心軸回りに回転対称に配置されている、特徴4に記載の管体接続部の構造。
【0054】
特徴5では、筒形挿入部と外側対向部が、筒形挿入部の中心軸回りに回転対称に配置されているので、筒形挿入部と外側対向部の成形のバランスを良くすることが可能となると共に、筒形挿入部の軸方向に垂直な方向で分割する一対の成形金型の成形面を同じ形状にすることが可能となり、管体接続部の構造の製造を容易にすることが可能となる。また、特徴5によれば、筒形挿入部と外側対向部の見た目を良くすることが可能となる。
【0055】
[特徴6]
前記筒形挿入部から前記管体とは反対側に延長されて屈曲した屈曲管部と、
前記屈曲管部から張り出し、前記外側対向部の少なくとも一部を含むフランジ部と、を備える、請求項1から5の何れか1の請求項に記載の管体接続部の構造。
【0056】
発明の第7態様のように、屈曲管部が設けられる場合には、フランジ部で外側対向部の少なくとも一部を構成してもよい。
【0057】
[特徴7]
請求項1から6の何れか1の請求項に記載の管体接続部の構造を有し、他の管体又は機器の流路に接続される流路接続部を備える継手。
【0058】
[特徴8]
前記外側対向部は、対をなして設けられて、前記筒型挿入部を挟んで対向配置され、
前記外側対向部の内側面には、
前記筒形挿入部の周方向における前記外側対向部の一方側の端部から他方側に延びて前記外側対向部同士で平行になった平坦部と、
前記平坦部に連続し、前記筒形挿入部の外周面に沿って、もう一方の前記外側対向部に近づくように曲がる曲がり部と、が設けられている、特徴4又は5に記載の管体接続部の構造。
【0059】
特徴8では、外側対向部の内側面に、平坦部に連続して筒形挿入部の外周面に沿ってもう一方の外側対向部に近づくように曲がる曲がり部が設けられる。従って、外側対向部の内側面が平坦部のみで構成される場合に比べて、管体から筒形挿入部に曲げ負荷がかかった場合に、外側対向部でクランプリングを介して筒形挿入部を支持し易くすることが可能となる。これにより、筒形挿入部をより折れ難くすることが可能となる。
【0060】
[特徴9]
特徴7に記載の継手が、給水配管又は給湯配管に使用されている浴室。
【0061】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0062】
10 管体接続部の構造
15 筒形挿入部
20 クランプリング
30 外側対向部
30K 開口部
30D 段差面
40 屈曲管部
42 フランジ部
90 管体
100 継手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21