(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155201
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20241024BHJP
F24F 7/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F24F13/02 A
F24F7/04 B
F24F13/02 F
F24F13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069681
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100163315
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 徹
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【テーマコード(参考)】
3L058
3L080
【Fターム(参考)】
3L058BB04
3L080AC03
(57)【要約】
【課題】換気システムにおける外壁に設置されたフードの設置場所にかかわらず、侵入抑制部材の掃除を容易とする。
【解決手段】屋外側から壁貫通孔2の開口部を覆ってフード5を外壁1に設置すると共に、屋内側から配管20を壁貫通孔に挿通してフードと着脱可能に接続する。また、配管におけるフードと接続される側の端部に寄せて、通気を確保しながら、配管への異物の侵入を抑制する侵入抑制部材21を設ける。こうすれば、配管を通じて排気と共に排出される埃が侵入抑制部材に蓄積したり、異物が侵入抑制部材に捕捉されたりして詰まったとしても、屋内側から配管を引き抜くことにより、配管の端部寄りに設けられた侵入抑制部材も一緒にフードから取り外すことができるため、たとえフードが外壁の高所に設置されている場合でも、侵入抑制部材を容易に掃除することが可能となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に開口した壁貫通孔を通じて換気する換気システムにおいて、
屋外側から前記壁貫通孔の開口部を覆って前記外壁に設置されるフードと、
屋内側から前記壁貫通孔に挿通され、着脱可能に前記フードと接続される配管と、
前記配管における前記フードと接続される側の端部に寄せて設けられ、通気を確保しながら、該配管への異物の侵入を抑制する侵入抑制部材と
を備えることを特徴とする換気システム。
【請求項2】
請求項1に記載の換気システムにおいて、
前記配管と前記フードとを接続した状態で、係合させることが可能な係合手段を備え、
前記配管を中心軸回りの所定方向に回転させると、前記係合手段によって該配管と前記フードとが抜け止めされ、
前記配管を前記所定方向とは逆に回転させると、前記係合手段による該配管と前記フードとの抜け止めが解除される
ことを特徴とする換気システム。
【請求項3】
請求項2に記載の換気システムにおいて、
前記フードは、前記外壁の壁面に沿って固定される背面板に、前記配管が挿通される挿通孔を有しており、
前記係合手段は、前記フードにおける前記挿通孔の周囲に設けられたフード側係合部と、前記配管における前記フードと接続される側の端部の外周面に設けられた配管側係合部とで構成されている
ことを特徴とする換気システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の換気システムにおいて、
前記配管と前記フードとの接続部では、弾性を有する環状のシール部材が該配管と該フードとの間に挟み込まれている
ことを特徴とする換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁に開口した壁貫通孔を通じて換気する換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁に開口した壁貫通孔を通じて換気する換気システムでは、壁貫通孔に風雨が入り込むことを防ぐために、屋外側から壁貫通孔の開口部を覆って外壁に設置されるフードを備えたものが普及している。壁貫通孔を通じて屋外へと排出される排気は、フードの内部の風路に導かれ、風路の末端の吹出口から吹き出すようになっている。
【0003】
また、こうしたフードでは、平行に並んだ複数の細長い羽板を有するギャラリや、網状の部材などを吹出口に設置しておくことにより、通気を確保しながら、鳥や虫などの異物が風路を介して壁貫通孔に侵入するのを防ぐことが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のようにフードにギャラリや網状の部材といった侵入抑制部材を備えた従来の換気システムでは、排気に含まれる埃が侵入抑制部材に蓄積したり、異物が侵入抑制部材に捕捉されたりすることによって詰まることがあり、特にフードが外壁の高所に設置されていると、侵入抑制部材の掃除が困難であるという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、換気システムにおける外壁に設置されたフードの設置場所にかかわらず、侵入抑制部材を容易に掃除することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の換気システムは次の構成を採用した。すなわち、
建物の外壁に開口した壁貫通孔を通じて換気する換気システムにおいて、
屋外側から前記壁貫通孔の開口部を覆って前記外壁に設置されるフードと、
屋内側から前記壁貫通孔に挿通され、着脱可能に前記フードと接続される配管と、
前記配管における前記フードと接続される側の端部に寄せて設けられ、通気を確保しながら、該配管への異物の侵入を抑制する侵入抑制部材と
を備えることを特徴とする。
【0008】
このような本発明の換気システムでは、配管への異物の侵入を抑制する侵入抑制部材に、配管を通じて排気と共に排出される埃が蓄積したり、異物が捕捉されたりして詰まったとしても、屋内側から配管を引き抜くことにより、配管の端部寄りに設けられた侵入抑制部材も一緒にフードから取り外すことができる。そのため、たとえフードが外壁の高所に設置されている場合でも、侵入抑制部材を容易に掃除することが可能となる。
【0009】
上述した本発明の換気システムでは、次のようにしてもよい。まず、配管とフードとを接続した状態で、係合させることが可能な係合手段を備える。そして、配管を中心軸回りに所定方向に回転させると、係合手段によって配管とフードとが抜け止めされる。一方、配管を所定方向とは逆に回転させると、係合手段による配管とフードとの抜け止めが解除される。
【0010】
このような構成の換気システムでは、配管を回転させる操作だけで、配管とフードとを抜け止めしたり、抜け止めを解除したりすることができるので、配管を通じて排気を実行中に配管がフードから外れて排気が漏れてしまうことを防ぎつつ、侵入抑制部材に埃が詰まった場合には、配管を簡単に取り外して侵入抑制部材を掃除することが可能となる。
【0011】
また、上述した本発明の換気システムでは、次のようにしてもよい。まず、フードは、外壁の壁面に沿って固定される背面板に、配管が挿通される挿通孔を有する。そして、係合手段は、フードにおける挿通孔の周囲に設けられたフード側係合部と、配管におけるフードと接続される側の端部の外周面に設けられた配管側係合部とで構成されている。
【0012】
このような構成の換気システムでは、フード側係合部および配管側係合部が、配管とフードとの接続部に設けられているので、最小限の構成で配管とフードとの抜け止めを簡便に実現することができる。
【0013】
こうした本発明の換気システムにおける配管とフードとの接続部では、弾性を有する環状のシール部材が配管とフードとの間に挟み込まれていてもよい。
【0014】
このような構成の換気システムでは、配管とフードとの接続部における気密を確保できるので、配管を通じて排出される排気が接続部の隙間から壁貫通孔に漏れ出ることを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例の換気システム3の適用例として、衣類乾燥機30から排湿する構成を示した説明図である。
【
図2】本実施例の換気システム3の設置方法を示した分解斜視図である。
【
図3】本実施例のフード5のベースプレート11を外壁1側から見た斜視図である。
【
図4】本実施例の排湿ダクト20とフード5との接続方法を示した縦断面図である。
【
図5】変形例の換気システム3の構成を示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施例の換気システム3の適用例として、衣類乾燥機30から排湿する構成を示した説明図である。図では、衣類乾燥機30の大まかな構造を断面図で表している。図示されるように衣類乾燥機30は、外装ケース31として、前面側に開口部を有する箱形の本体32と、本体32の開口部を開閉する前扉33とを備えている。本体32内には、燃料ガスを燃焼させるバーナ34や、外装ケース31内の空気を排出する排気ファン35や、乾燥させる衣類などが投入される円筒形状のドラム36や、ドラム36を回転させるドラムモータ37などが設けられている。
【0017】
排気ファン35を回転させると、バーナ34での燃焼によって暖められた空気が温風通路38を通ってドラム36に吸い込まれ、衣類などを乾燥させる。そして、ドラム36からは湿った空気が吸い出され、排湿通路39を通って、本体32の上部に形成された排湿口40から排出される。ドラム36内における排湿通路39側にはフィルタ41が設置されており、乾燥中の衣類などから発生する糸くずや埃は大部分がフィルタ41で捕集される。また、本体32の底面には吸気口42が設けられており、排気ファン35の回転によって外装ケース31内が負圧になると、吸気口42から空気が取り入れられて、バーナ34による加熱後に温風通路38へと流入する。尚、
図1中の白抜きの矢印は空気の流れを表している。
【0018】
このような衣類乾燥機30から排出される湿った空気を、本実施例の換気システム3では、建物の外壁1に設けられた壁貫通孔2を通じて屋外に排出するようになっており、壁貫通孔2に風雨が入り込むことを防ぐために、屋外側から壁貫通孔2の開口部を覆ってフード5が外壁1に設置される。また、屋内側から壁貫通孔2に排湿ダクト20が挿通され、この排湿ダクト20は、一端がフード5に接続されると共に、他端が衣類乾燥機30の排湿口40に接続される。尚、本実施例の排湿ダクト20は、本発明の「配管」に相当している。
【0019】
図2は、本実施例の換気システム3の設置方法を示した分解斜視図である。建物の外壁1に開口した円形の壁貫通孔2を覆ってフード5を設置する際は、まず、外壁1の壁面に沿ってベースプレート11を固定する。ベースプレート11は、板金で矩形に形成されて壁貫通孔2よりも小径な挿通孔11aを有しており、壁貫通孔2と挿通孔11aとの中心の位置合わせを行った上で、ビス12などの固定具を用いてベースプレート11の四隅を外壁1に固定する。尚、本実施例のベースプレート11は、本発明の「背面板」に相当している。また、固定具は、ビス12に限られず、アンカーに対するナットなどであってもよい。
【0020】
ベースプレート11の上端および左右両端には、外壁1とは反対側に折り曲げてフランジ13が設けられている。また、ベースプレート11は、挿通孔11aを囲んで外壁1とは反対側に突設された円筒形状の接続筒14を備えている。この接続筒14の内周面には、図中にハッチングを付して示されるようにOリング15が設置されている。本実施例のOリング15は、ゴムなどの弾性材料で形成された環状部材であり、接続筒14の内周面に設けられた環状の溝に嵌め込まれている。尚、本実施例のOリング15は、本発明の「シール部材」に相当している。
【0021】
このようなベースプレート11に対してフードカバー16を取り付ける。フードカバー16は、板金で形成され、ベースプレート11と対向して配置される前面16aと、この前面16aに対して左右両側に位置する左右側面16b,16cと、上側に位置する上面16dとを有しており、ベースプレート11側の面と下側の面とが開放された箱形になっている。ベースプレート11にフードカバー16を取り付ける際には、ベースプレート11のフランジ13を、フードカバー16の上面16dおよび左右側面16b,16cの内側に嵌め合わせて、図示しない固定ビスなどで締結する。
【0022】
また、フード5の開放された下側の面から鳥などが内部に入り込むことを防ぐために、本実施例のフードカバー16の下端には、複数(図示した例では2本)の細長い丸棒を左右側面16b,16cに架け渡して平行に並べた第1ギャラリ17が設けられている。
【0023】
一方、屋内側から壁貫通孔2に挿通される排湿ダクト20は、第1ギャラリ17を通り抜けた虫などの小さな異物が排湿ダクト20に侵入するのを抑制するために、フード5と接続される側の端部に第2ギャラリ21を備えている。本実施例の第2ギャラリ21は、排湿ダクト20の内側に設置される環状の枠体に複数(図示した例では7本)の細長い丸棒が平行に並べて架設されており、通気を確保しながら、異物に見立てた直径16mmの球が通過しないように第1ギャラリ17よりも丸棒の間隔が狭く設定されている。尚、本実施例の第2ギャラリ21は、本発明の「侵入抑制部材」に相当している。
【0024】
また、本実施例の排湿ダクト20におけるフード5と接続される側の端部は、外径がベースプレート11の挿通孔11aの内径よりも小さく設定されている。さらに、排湿ダクト20の端部には、外周面から外向きに突出して設けられた複数(本実施例では4つ)の係合片22が、周方向に等間隔に配置されており、これらの係合片22によってフード5と係合させることが可能となっている。尚、本実施例の係合片22は、本発明の「配管側係合部」に相当している。
【0025】
図3は、本実施例のフード5のベースプレート11を外壁1側から見た斜視図である。図示されるようにベースプレート11の挿通孔11aの周囲には、外壁1側(図中の手前側)に突設された複数(図示した例では4つ、係合片22と同数)の係合受け部18が等間隔に配置されている。係合受け部18の各々は、挿通孔11aの内周側に周方向の溝を備えており、この溝に排湿ダクト20の係合片22が嵌り込むことで係合可能となっている。尚、本実施例の係合受け部18は、本発明の「フード側係合部」に相当している。また、本実施例の係合受け部18および係合片22は、本発明の「係合手段」に相当する機能を有している。
【0026】
図4は、本実施例の排湿ダクト20とフード5との接続方法を示した縦断面図である。図では、排湿ダクト20の中心線を通る垂直な平面で換気システム3を切断した断面を表している。まず、
図4(a)には、外壁1の壁貫通孔2に排湿ダクト20を挿通する前の状態が示されている。前述したように屋外側から外壁1に設置されたフード5のベースプレート11には、壁貫通孔2と中心を合わせた挿通孔11aが設けられていると共に、この挿通孔11aを囲む円筒形状の接続筒14が外壁1とは反対側(フードカバー16側)に突設されている。また、挿通孔11aは壁貫通孔2よりも小径であり、ベースプレート11の外壁1側の面には、挿通孔11aの周囲に複数の係合受け部18が突設されている。
【0027】
排湿ダクト20は、第2ギャラリ21が設置された端部側を、屋内側から壁貫通孔2に挿通し、続けて挿通孔11aから接続筒14の内側に差し込むことにより、フード5と接続される。すると、
図4(b)に示されるように第2ギャラリ21は、外壁1の外側かつフード5の内部に位置した状態となる。また、接続筒14の内周面に設置されたOリング15が排湿ダクト20と接続筒14との間に挟み込まれるため、排湿ダクト20とフード5との接続部の気密が確保される。
【0028】
さらに、本実施例の排湿ダクト20は、端部の外周面に複数の係合片22が突設されており、ベースプレート11の係合受け部18に対して係合片22の位置を周方向にずらした状態で排湿ダクト20を接続筒14の内側に差し込んだ後、排湿ダクト20を時計回りに回転させると、係合受け部18の溝に係合片22が嵌り込むことによって排湿ダクト20とフード5(ベースプレート11)とが抜け止めされる。
【0029】
衣類乾燥機30から排出される湿った空気は、排湿ダクト20を通って屋外のフード5まで導かれ、フード5の内部に形成された風路6に沿って下端の吹出口7から吹き出す。前述したように、衣類乾燥機30で乾燥中の衣類などから発生する糸くずや埃の大部分はフィルタ41で捕集されるものの、フィルタ41を通り抜けた一部の埃は、湿った空気と共に排湿ダクト20を通ってフード5へと至るため、第2ギャラリ21に埃が蓄積して詰まることがある。
【0030】
このように第2ギャラリ21に埃が詰まった場合には、排湿ダクト20を反時計回りに回転させると、係合受け部18の溝から係合片22が脱離して排湿ダクト20とフード5(ベースプレート11)との抜け止めが解除される。そして、屋内側から排湿ダクト20を引き抜けば、排湿ダクト20の端部に第2ギャラリ21が設置されているため、第2ギャラリ21を容易に掃除することができる。このとき、フード5は屋外に残されたままであり、特にフード5が建物の外壁1の2階部分といった高所に設置されている場合でも、フード5に触れる必要がなく、第2ギャラリ21の掃除が容易である。
【0031】
また、本実施例のフード5は、屋外側から外壁1に設置されており、排湿ダクト20の端部に取り付けたフード5を屋内側から壁貫通孔2に挿通して屋外に配置するわけではないので、フード5の設計に際して壁貫通孔2の大きさや形状による制約を受けない。すなわち、壁貫通孔2よりもフード5を大きくすることは勿論のこと、円形の壁貫通孔2に対して角形のフード5を採用することができる。
【0032】
尚、本実施例のフード5は、下端の吹出口7に第1ギャラリ17を備えているものの、この第1ギャラリ17は、第2ギャラリ21に比べて丸棒の間隔を広く設定しておくことによって、衣類乾燥機30から排出される埃が詰まり難くしつつ、鳥などの大型の異物がフード5内に入り込むことを防ぐことができる。また、細長い丸棒を平行に並べて第1ギャラリ17を構成することにより、細長い羽板を平行に並べて構成したり、網状の部材を用いたりする場合に比べて、埃の付着を抑制することができる。
【0033】
以上に説明したように本実施例の換気システム3では、屋外側から壁貫通孔2の開口部を覆ってフード5が外壁1に設置されると共に、屋内側から排湿ダクト20が壁貫通孔2に挿通されてフード5と着脱可能に接続される。また、排湿ダクト20は、フード5と接続される側の端部に設けられた第2ギャラリ21によって、通気を確保しながら、異物の侵入を抑制している。
【0034】
このような本実施例の換気システム3によれば、排湿ダクト20への異物の侵入を抑制する第2ギャラリ21に、衣類乾燥機30から湿った空気と共に排出される埃が蓄積したり、異物が捕捉されたりして詰まったとしても、屋内側から排湿ダクト20を引き抜くことにより、排湿ダクト20の端部に設けられた第2ギャラリ21も一緒にフード5から取り外すことができる。そのため、たとえフード5が外壁1の高所に設置されている場合でも、第2ギャラリ21を容易に掃除することが可能となる。
【0035】
そして、本実施例の換気システム3では、排湿ダクト20とフード5とを接続した状態で、第2ギャラリ21が外壁1の外側かつフード5の内部に位置していることによって、フード5の下端の第1ギャラリ17を通り抜けて虫などの異物が入り込んでも、フード5の内部(外壁1の外側)で第2ギャラリ21による異物の捕捉が可能であり、排湿ダクト20への異物の侵入を抑制することができる。
【0036】
また、本実施例の換気システム3では、フード5のベースプレート11における挿通孔11aの周囲に設けられた複数の係合受け部18と、排湿ダクト20におけるフード5と接続される側の端部の外周面に設けられた複数の係合片22とを備えている。そして、排湿ダクト20とフード5とを接続した状態で、排湿ダクト20を中心軸回りの所定方向(時計回り)に回転させると、係合受け部18の溝に係合片22が嵌り込むことによって排湿ダクト20とフード5とが抜け止めされる。一方、排湿ダクト20を所定方向とは逆(反時計回り)に回転させると、係合受け部18の溝から係合片22が脱離して排湿ダクト20とフード5との抜け止めが解除される。
【0037】
このような構成によれば、排湿ダクト20を回転させる操作だけで、排湿ダクト20とフード5とを抜け止めしたり、抜け止めを解除したりすることができるので、衣類乾燥機30の稼働中に排湿ダクト20がフード5から外れて湿った空気が漏れてしまうことを防ぎつつ、第2ギャラリ21に埃が詰まった場合には、排湿ダクト20を簡単に取り外して第2ギャラリ21を掃除することが可能となる。特に、本実施例の係合受け部18および係合片22は、排湿ダクト20とフード5(ベースプレート11)との接続部に設けられているので、最小限の構成で排湿ダクト20とフード5との抜け止めを簡便に実現することができる。
【0038】
さらに、本実施例の換気システム3では、ベースプレート11における接続筒14の内周面にOリング15が設置されており、排湿ダクト20をフード5に接続すると、排湿ダクト20と接続筒14との間にOリング15が挟み込まれる。これにより、排湿ダクト20とフード5との接続部における気密を確保できるので、衣類乾燥機30からの湿った空気が接続部の隙間から壁貫通孔2に漏れ出ることを防ぐことが可能となる。
【0039】
上述した本実施例の換気システム3には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
図5は、変形例の換気システム3の構成を示した縦断面図である。図では、排湿ダクト20の中心線を通る垂直な平面で換気システム3を切断した断面を表しており、排湿ダクト20をフード5と接続した状態が示されている。前述した実施例の換気システム3では、係合受け部18と係合片22との係合部が、屋外側(排湿ダクト20とフード5との接続部)に設けられていた(
図4参照)。これに対して、変形例の換気システム3では、係合部が屋内側に設けられている。
【0041】
図示されるように、変形例の換気システム3におけるベースプレート11は、挿通孔11aを囲んで外壁1側(接続筒14とは反対側)に突設された円筒形状の挿通管19を備えている。この挿通管19は、ベースプレート11を外壁1に固定する際に、屋外側から壁貫通孔2に挿通され、壁貫通孔2の屋内側の開口部に位置する端部の周囲に複数(本変形例では4つ)の係合受け部18が等間隔に設けられている。
【0042】
排湿ダクト20は、第2ギャラリ21が設置された端部側を、屋内側から挿通管19の内側に挿通し、接続筒14の内側まで差し込むことにより、フード5と接続される。これにより、前述した実施例と同様に、第2ギャラリ21が設置された排湿ダクト20の端部が外壁1の外側かつフード5の内部に位置した状態となると共に、排湿ダクト20と接続筒14との間にOリング15が挟み込まれて排湿ダクト20とフード5との接続部の気密が確保される。
【0043】
また、排湿ダクト20は、フード5と接続された状態で壁貫通孔2の屋内側の開口部に対応する箇所に、外周面から外向きに突出して設けられた複数(本変形例では4つ)の係合片22が等間隔に配置されている。そして、排湿ダクト20を時計回りに回転させると、係合受け部18の溝に係合片22が嵌り込むことによって排湿ダクト20とフード5とが抜け止めされ、排湿ダクト20を反時計回りに回転させると、係合受け部18の溝から係合片22が脱離して排湿ダクト20とフード5との抜け止めが解除される。
【0044】
このように変形例の換気システム3では、係合受け部18と係合片22との係合部を屋内側に設けることによって、屋内側から壁貫通孔2に挿通した排湿ダクト20とフード5とを抜け止めしたり、抜け止めを解除したりする際に、作業者が係合受け部18および係合片22を目視で確認しながら作業を行えるので、作業が容易になると共に、排湿ダクト20とフード5との抜け止めをより確実に行うことが可能となる。
【0045】
尚、前述した実施例のように、係合受け部18と係合片22との係合部を排湿ダクト20とフード5(ベースプレート11)との接続部に設けておけば、変形例の挿通管19は不要であるため、最小限の構成で排湿ダクト20とフード5との抜け止めを簡便に実現することができる。
【0046】
以上、本実施例および変形例の換気システム3について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0047】
例えば、前述した実施例の第2ギャラリ21は、排湿ダクト20におけるフード5と接続される側の端部に設けられており、排湿ダクト20とフード5とを接続した状態で、第2ギャラリ21が外壁1の外側かつフード5の内部に位置するようになっていた。しかし、第2ギャラリ21の設置箇所は、排湿ダクト20の端部に限定されず、排湿ダクト20をフード5から取り外した状態で容易に掃除することが可能な範囲であれば、排湿ダクト20の端部寄りの内部に設けられていてもよく、排湿ダクト20とフード5とを接続した状態で、第2ギャラリ21が壁貫通孔2内に位置していてもよい。
【0048】
また、前述した実施例では、第2ギャラリ21への埃の付着を抑制するために、複数の細長い丸棒を平行に並べて第2ギャラリ21を構成していた。しかし、前述したように屋内側から排湿ダクト20を引き抜くことで第2ギャラリ21の掃除が可能であるため、第2ギャラリ21の構成は、これに限られず、複数の細長い羽板(排気の風向を吹出口7に向ける風向板)を平行に並べてもよいし、格子状や網状の部材を用いてもよい。
【0049】
また、前述した実施例では、排湿ダクト20を時計回りに回転させると、係合受け部18の溝に係合片22が嵌り込むことによって排湿ダクト20とフード5とが抜け止めされるようになっていた。しかし、排湿ダクト20とフード5とを抜け止めする係合手段の構成は、これに限られず、排湿ダクト20を回転させる操作だけで抜け止めや抜け止めの解除が可能であればよい。例えば、ベースプレート11における接続筒14の内周面に雌螺子を設けると共に、排湿ダクト20の端部の外周面に雄螺子を設けることとして、排湿ダクト20を時計回りに回転させると、排湿ダクト20と接続筒14との螺合によって抜け止めされ、排湿ダクト20を反時計回りに回転させると、螺合が解かれて抜け止めが解除されるようにしてもよい。尚、この場合、接続筒14の雌螺子は、本発明の「フード側係合部」に相当し、排湿ダクト20の雄螺子は、本発明の「配管側係合部」に相当する。
【0050】
さらに、前述した実施例では、円形の壁貫通孔2に対して角形(箱形)のフード5を採用していた。しかし、フード5は角形に限られず、円形(半球状)のフード5を採用してもよい。この場合でも、円形のフード5を屋外側から外壁1に設置することによって、壁貫通孔2よりもフード5を大きく形成することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…外壁、 2…壁貫通孔、 3…換気システム、
5…フード、 6…風路、 7…吹出口、
11…ベースプレート、 11a…挿通孔、 12…ビス、
13…フランジ、 14…接続筒、 15…Oリング、
16…フードカバー、 16a…前面、 16b…左側面、
16c…右側面、 16d…上面、 17…第1ギャラリ、
18…係合受け部、 19…挿通管、 20…排湿ダクト、
21…第2ギャラリ、 22…係合片、 30…衣類乾燥機、
31…外装ケース、 32…本体、 33…前扉、
34…バーナ、 35…排気ファン、 36…ドラム、
37…ドラムモータ、 38…温風通路、 39…排湿通路、
40…排湿口、 41…フィルタ、 42…吸気口。