(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155215
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】インピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G01R27/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069707
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】北村 直也
(72)【発明者】
【氏名】吉原 亮平
(72)【発明者】
【氏名】羽田 一暁
【テーマコード(参考)】
2G028
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028BB01
2G028CG02
2G028CG08
2G028DH05
2G028FK08
2G028GL03
2G028HN11
2G028HN13
(57)【要約】
【課題】四端子測定の際における測定対象に対する各ソース端子および各センス端子の接続状態を示す経路インピーダンスを個別かつ正確に算出する。
【解決手段】ソース端子Hcと、測定対象DUTと、ソース端子Lcとを含む第1の電流経路IR1に検出用電流Itaを供給すると共に、センス端子Hpと、測定対象DUTと、センス端子Lpとを含む第2の電流経路IR2に検出用電流Itbを供給し、検出用電流Ita,Itbの供給時において、ソース端子Hcとセンス端子Hpとの間に生じる電圧、およびソース端子Lcとセンス端子Lpとの間に生じる電圧を検出電圧として検出し、検出した各検出電圧に基づいて、各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと測定対象DUTの一端および他端との間の各経路の各経路インピーダンスを算出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Hi側のソース端子およびHi側のセンス端子に一端が接続されると共にLo側のソース端子およびLo側のセンス端子に他端が接続される測定対象に当該各ソース端子を介して交流測定用電流を供給する測定用信号源と、
前記Hi側のソース端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、Lo側のソース端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンス、前記Hi側のセンス端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、およびLo側のセンス端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給する検出用信号源と、
前記交流測定用電流の供給によって前記測定対象の前記一端および当該測定対象の前記他端間に生じる交流電圧を前記各センス端子を介して検出すると共に前記検出用電流の供給によって前記各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記交流電圧の電圧値と前記交流測定用電流の電流値とに基づいて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記検出部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する処理部とを備えているインピーダンス測定装置であって、
前記検出用信号源は、前記Hi側のソース端子と、前記測定対象と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子とを含む第1の電流経路に前記検出用電流としての第1の検出用電流を供給すると共に、前記Hi側のセンス端子と、前記測定対象と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちの他方の端子とを含む第2の電流経路に前記検出用電流としての第2の検出用電流を供給可能に構成され、
前記検出部は、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Hi側のセンス端子との間に生じる電圧、および前記Lo側のソース端子と前記Lo側のセンス端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、
前記処理部は、前記検出部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出するインピーダンス測定装置。
【請求項2】
Hi側のソース端子およびHi側のセンス端子に一端が接続されると共にLo側のソース端子およびLo側のセンス端子に他端が接続される測定対象に当該各ソース端子を介して交流測定用電流を供給する測定用信号源と、
前記Hi側のソース端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、Lo側のソース端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンス、前記Hi側のセンス端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、およびLo側のセンス端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給する検出用信号源と、
前記交流測定用電流の供給によって前記測定対象の前記一端および当該測定対象の前記他端間に生じる交流電圧を前記各センス端子を介して検出すると共に前記検出用電流の供給によって前記各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記交流電圧の電圧値と前記交流測定用電流の電流値とに基づいて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記検出部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する処理部とを備えているインピーダンス測定装置であって、
前記検出用信号源は、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子を含み、前記測定対象を含まない第1の電流経路に前記検出用電流としての第1の検出用電流を供給すると共に、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子を含み、前記測定対象を含まない第2の電流経路に前記検出用電流としての第2の検出用電流を供給可能に構成され、
前記検出部は、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子との間に生じる電圧、並びに前記Hi側のセンス端子と前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちの他方の端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、
前記処理部は、前記検出部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出するインピーダンス測定装置。
【請求項3】
前記検出用信号源は、交流電流の前記第1検出用電流および前記第2検出用電流を供給し、
前記検出部は、前記各端子間に生じる各電圧を前記各検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記各検出電圧として検出する検波部を備えて構成され、
前記処理部は、前記検波部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する請求項1記載のインピーダンス測定装置。
【請求項4】
前記検出用信号源は、交流電流の前記第1検出用電流および前記第2検出用電流を供給し、
前記検出部は、前記各端子間に生じる各電圧を前記各検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記各検出電圧として検出する検波部を備えて構成され、
前記処理部は、前記検波部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する請求項2記載のインピーダンス測定装置。
【請求項5】
前記検出用信号源は、前記Hi側のソース端子、前記測定対象および前記Lo側のソース端子を含む電流経路を前記第1の電流経路として前記第1の検出用電流を供給すると共に、前記Hi側のセンス端子、前記測定対象および前記Lo側のセンス端子を含む電流経路を前記第2の電流経路として前記第2の検出用電流を供給可能に構成され、
前記検波部は、前記Hi側のセンス端子およびLo側のセンス端子間に生じる前記交流電圧を前記交流測定用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して第1の検波信号を生成する第1の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第2の検波信号を生成する第2の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第3の検波信号を生成する第3の同期検波回路と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第4の検波信号を生成する第4の同期検波回路と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第5の検波信号を生成する第5の同期検波回路とを備えて構成され、
前記処理部は、前記第1の検波信号の電圧値を前記検出部によって検出された交流電圧の電圧値として用いて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記第2の検波信号、前記第3の検波信号、前記第4の検波信号および前記第5の検波信号に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する請求項3記載のインピーダンス測定装置。
【請求項6】
前記検出用信号源は、前記Hi側のソース端子、前記測定対象および前記Lo側のセンス端子を含む電流経路を前記第1の電流経路として前記第1の検出用電流を供給すると共に、前記Hi側のセンス端子、前記測定対象および前記Lo側のソース端子を含む電流経路を前記第2の電流経路として前記第2の検出用電流を供給可能に構成され、
前記検波部は、前記Hi側のセンス端子およびLo側のセンス端子間に生じる前記交流電圧を前記交流測定用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して第1の検波信号を生成する第1の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第2の検波信号を生成する第2の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第3の検波信号を生成する第3の同期検波回路と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第4の検波信号を生成する第4の同期検波回路と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第5の検波信号を生成する第5の同期検波回路とを備えて構成され、
前記処理部は、前記第1の検波信号の電圧値を前記検出部によって検出された交流電圧の電圧値として用いて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記第2の検波信号、前記第3の検波信号、前記第4の検波信号および前記第5の検波信号に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する請求項3記載のインピーダンス測定装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Lo側のソース端子との間に生じる電圧、および前記Hi側のセンス端子と前記Lo側のセンス端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、
前記検波部は、前記Hi側のセンス端子およびLo側のセンス端子間に生じる前記交流電圧を前記交流測定用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して第1の検波信号を生成する第1の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Lo側のソース端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第2の検波信号を生成する第2の同期検波回路と、前記Hi側のセンス端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第3の検波信号を生成する第3の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Lo側のソース端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第4の検波信号を生成する第4の同期検波回路と、前記Hi側のセンス端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第5の検波信号を生成する第5の同期検波回路とを備えて構成され、
前記処理部は、前記第1の検波信号の電圧値を前記検出部によって検出された交流電圧の電圧値として用いて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記第2の検波信号、前記第3の検波信号、前記第4の検波信号および前記第5の検波信号に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する請求項4記載のインピーダンス測定装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Lo側のセンス端子との間に生じる電圧、および前記Hi側のセンス端子と前記Lo側のソース端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、
前記検波部は、前記Hi側のセンス端子およびLo側のセンス端子間に生じる前記交流電圧を前記交流測定用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して第1の検波信号を生成する第1の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第2の検波信号を生成する第2の同期検波回路と、前記Hi側のセンス端子および前記Lo側のソース端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第3の検波信号を生成する第3の同期検波回路と、前記Hi側のセンス端子および前記Lo側のソース端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第4の検波信号を生成する第4の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第5の検波信号を生成する第5の同期検波回路とを備えて構成され、
前記処理部は、前記第1の検波信号の電圧値を前記検出部によって検出された交流電圧の電圧値として用いて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記第2の検波信号、前記第3の検波信号、前記第4の検波信号および前記第5の検波信号に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する請求項4記載のインピーダンス測定装置。
【請求項9】
前記測定用信号源は、前記検出用信号源としても作動して、前記第1の検出用電流を供給する請求項5記載のインピーダンス測定装置。
【請求項10】
前記第1の検出用電流の周波数および前記第2の検出用電流の周波数は、互いに異なる値に規定されている請求項3から9のいずれかに記載のインピーダンス測定装置。
【請求項11】
前記交流測定用電流の周波数、前記第1の検出用電流の周波数および前記第2の検出用電流の周波数は、互いに異なる値に規定されている請求項3から9のいずれかに記載のインピーダンス測定装置。
【請求項12】
Hi側のソース端子およびHi側のセンス端子に一端が接続されると共にLo側のソース端子およびLo側のセンス端子に他端が接続される測定対象に当該各ソース端子を介して交流測定用電流を供給し、当該交流測定用電流の供給によって前記測定対象の前記一端および当該測定対象の前記他端間に生じる交流電圧を前記各センス端子を介して検出すると共に、前記Hi側のソース端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、Lo側のソース端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンス、前記Hi側のセンス端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、およびLo側のセンス端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給し、当該検出用電流の供給によって前記各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出し、前記検出した交流電圧の電圧値と前記交流測定用電流の電流値とに基づいて前記測定対象のインピーダンスを測定すると共に前記検出した各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを測定するインピーダンス測定方法であって、
前記Hi側のソース端子と、前記測定対象と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子とを含む第1の電流経路に前記検出用電流としての第1の検出用電流を供給すると共に、前記Hi側のセンス端子と、前記測定対象と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちの他方の端子とを含む第2の電流経路に前記検出用電流としての第2の検出用電流を供給し、
前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Hi側のセンス端子との間に生じる電圧、および前記Lo側のソース端子と前記Lo側のセンス端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、
前記検出した前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを測定するインピーダンス測定方法。
【請求項13】
Hi側のソース端子およびHi側のセンス端子に一端が接続されると共にLo側のソース端子およびLo側のセンス端子に他端が接続される測定対象に当該各ソース端子を介して交流測定用電流を供給し、当該交流測定用電流の供給によって前記測定対象の前記一端および当該測定対象の前記他端間に生じる交流電圧を前記各センス端子を介して検出すると共に、前記Hi側のソース端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、Lo側のソース端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンス、前記Hi側のセンス端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、およびLo側のセンス端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給し、当該検出用電流の供給によって前記各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出し、前記検出した交流電圧の電圧値と前記交流測定用電流の電流値とに基づいて前記測定対象のインピーダンスを測定すると共に前記検出した各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを測定するインピーダンス測定方法であって、
前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子を含み、前記測定対象を含まない第1の電流経路に前記検出用電流としての第1の検出用電流を供給すると共に、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子を含み、前記測定対象を含まない第2の電流経路に前記検出用電流としての第2の検出用電流を供給し、
前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子との間に生じる電圧、並びに前記Hi側のセンス端子と前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちの他方の端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、
前記検出した前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを測定するインピーダンス測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象に接続される一対のソース端子(電流供給端子)と一対のセンス端子(電圧検出端子)とを有する4線式の(インピーダンスを4端子法で測定する)インピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、この種のインピーダンス測定装置として下記の特許文献1に開示された4つのインピーダンス測定装置が知られている。このインピーダンス測定装置のうちの1つのインピーダンス測定装置は、測定部と処理部とを備えて構成されて、測定用信号源の電源系における第1グランドと測定部の電源系における第2グランドとが電気的に分離されている。この場合、測定部は、Hi側のセンス端子と第2グランドに接続されたLo側のセンス端子との間に接続される測定対象に交流検査電流を供給する検査用信号源と、Hi側のソース端子に接続されて、Hi側のソース端子からLo側のソース端子を介して第1グランドに至る経路に流れる交流測定電流に基づいてHi側のソース端子に生じる電圧を、第2グランドを基準として検出して第1検出電圧として出力する第1検出部と、Lo側のソース端子に接続されて、交流測定電流に基づいてLo側のソース端子に生じる電圧を、第2グランドを基準として検出して第2検出電圧として出力する第2検出部と、Lo側のソース端子に接続されて、交流検査電流に基づいてLo側のソース端子に生じる電圧を、第2グランドを基準として検出して第3検出電圧として出力する第3検出部と、Hi側のセンス端子に接続されて、交流測定電流に基づいてHi側のセンス端子に生じる電圧を、第2グランドを基準として検出して第4検出電圧として出力する第4検出部と、Hi側のセンス端子に接続されて、交流検査電流に基づいてHi側のセンス端子に生じる電圧を、第2グランドを基準として検出して第5検出電圧として出力する第5検出部とを備えて構成されている。また、処理部は、第1検出電圧、第2検出電圧、第3検出電圧、第4検出電圧、第5検出電圧、交流測定電流および交流検査電流に基づいて、Hi側のソース端子と測定対象との間の接触抵抗RHCの抵抗値、Lo側のソース端子と測定対象との間の接触抵抗RLCの抵抗値、Hi側のセンス端子と測定対象との間の接触抵抗RHPの抵抗値、およびLo側のセンス端子と測定対象との間の接触抵抗RLPの抵抗値を算出している。
【0003】
この場合、ソース端子Hcに生じる電圧についての第1検出電圧の電圧値は、測定対象の内部抵抗Rxと接触抵抗RHCの直列合成抵抗(Rx+RHC)の抵抗値に比例する値となっている。また、ソース端子Lcに生じる電圧についての第2検出電圧の電圧値は、接触抵抗RLCの抵抗値に比例する値となっている。また、ソース端子Lcに生じる電圧についての第3検出電圧の電圧値は、接触抵抗RLPの抵抗値に比例する値となっている。また、センス端子Hpに生じる電圧についての第4検出電圧の電圧値は、内部抵抗Rxの抵抗値に比例する値となっている。また、センス端子Hpに生じる電圧についての第5検出電圧の電圧値は、接触抵抗RHPと内部抵抗Rxと接触抵抗RLPの直列合成抵抗(RHP+Rx+RLP)の抵抗値に比例する値となっている。
【0004】
したがって、処理部は、第1検出電圧の電圧値を交流測定電流の既知の電流値で除算して直列合成抵抗(Rx+RHC)の抵抗値を算出し、第2検出電圧の電圧値を交流測定電流の既知の電流値で除算して接触抵抗RLCの抵抗値を算出し、第3検出電圧の電圧値を交流検査電流の既知の電流値で除算して接触抵抗RLPの抵抗値を算出し、第4検出電圧の電圧値を交流測定電流の既知の電流値で除算して内部抵抗Rxの抵抗値を算出し、第5検出電圧の電圧値を交流検査電流の既知の電流値で除算して直列合成抵抗(RHP+Rx+RLP)の抵抗値を算出する。
【0005】
次いで、処理部は、算出した直列合成抵抗(Rx+RHC)の抵抗値から算出した内部抵抗Rxの抵抗値を減算することで、接触抵抗RHCの抵抗値を算出する。また、処理部は、算出した直列合成抵抗(RHP+Rx+RLP)の抵抗値から算出した内部抵抗Rxの抵抗値および接触抵抗RLPの抵抗値を減算することで、接触抵抗RHPの抵抗値を算出する。これにより、4つの経路インピーダンスとしての接触抵抗RHC,RLC,RHP,RLPの各抵抗値がすべて算出される。
【0006】
このように、このインピーダンス測定装置では、各接触抵抗の抵抗値を求めるための検査用信号源および検出部を備えたことにより、Hi側とLo側の信号供給用の各ソース端子、およびHi側とLo側の信号検出用の各センス端子と測定対象における対応する電極との間の接触抵抗(RHC,RLC,RHP,RLP)の各抵抗値を個別に測定することが可能となっている。
【0007】
また、他の3つのインピーダンス測定装置でも、上記のインピーダンス測定装置と同様にして、5つの検出部を備えて、処理部が、その5つの検出部によって検出された第1検出電圧、第2検出電圧、第3検出電圧、第4検出電圧、第5検出電圧、交流測定電流および交流検査電流に基づいて、Hi側のソース端子、Lo側のソース端子、Hi側のセンス端子およびLo側のセンス端子のそれぞれと測定対象との間の各接触抵抗の抵抗値を算出することにより、Hi側とLo側の信号供給用の各ソース端子、およびHi側とLo側の信号検出用の各センス端子と測定対象における対応する電極との間の接触抵抗(RHC,RLC,RHP,RLP)の各抵抗値を個別に測定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第7154958号公報(第8-28頁、第1~4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記のインピーダンス測定装置では、各検出電圧から最終的に接触抵抗(RHC,RLC,RHP,RLP)の各抵抗値を算出する際に、各検出電圧に基づいて検出対象の4つの接触抵抗RHC,RLC,RHP,RLPの各抵抗値を直接的に算出することはできず、少なくとも1つの接触抵抗の抵抗値を算出する際には、必ず減算処理が必要となっている。つまり、これらのインピーダンス測定装置では、その少なくとも1つの接触抵抗の抵抗値を算出する際に、測定対象の内部抵抗Rxの抵抗値や算出対象以外の接触抵抗の抵抗値を先に算出して、その算出結果を利用して減算処理することにより、算出対象の接触抵抗の抵抗値を算出している。具体的には、例えば、接触抵抗RHPを検出対象としてその抵抗値を算出する際には、先に算出した直列合成抵抗(RHP+Rx+RLP)の抵抗値から、他の演算によって先に算出した内部抵抗Rxの抵抗値および他の接触抵抗RLPの抵抗値を減算処理することにより、接触抵抗RHPの抵抗値を算出している。したがって、これらのインピーダンス測定装置では、各接触抵抗の抵抗値を算出するにあたり、減算処理が必ず必要となるため、他の演算結果における演算誤差が加算されて累積されている。このため、これらのインピーダンス測定装置には、各接触抵抗についての抵抗値算出の誤差が大きくなる結果、この点の改善が求められている。
【0010】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、四端子測定の際における測定対象に対するHi側のソース端子、Hi側のセンス端子、Lo側のソース端子およびLo側のセンス端子のそれぞれの接続状態を示す経路インピーダンス(抵抗値)を個別かつ正確に測定(算出)し得るインピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく本発明に係るインピーダンス測定装置は、Hi側のソース端子およびHi側のセンス端子に一端が接続されると共にLo側のソース端子およびLo側のセンス端子に他端が接続される測定対象に当該各ソース端子を介して交流測定用電流を供給する測定用信号源と、前記Hi側のソース端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、Lo側のソース端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンス、前記Hi側のセンス端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、およびLo側のセンス端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給する検出用信号源と、前記交流測定用電流の供給によって前記測定対象の前記一端および当該測定対象の前記他端間に生じる交流電圧を前記各センス端子を介して検出すると共に前記検出用電流の供給によって前記各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記交流電圧の電圧値と前記交流測定用電流の電流値とに基づいて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記検出部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する処理部とを備えているインピーダンス測定装置であって、前記検出用信号源は、前記Hi側のソース端子と、前記測定対象と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子とを含む第1の電流経路に前記検出用電流としての第1の検出用電流を供給すると共に、前記Hi側のセンス端子と、前記測定対象と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちの他方の端子とを含む第2の電流経路に前記検出用電流としての第2の検出用電流を供給可能に構成され、前記検出部は、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Hi側のセンス端子との間に生じる電圧、および前記Lo側のソース端子と前記Lo側のセンス端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、前記処理部は、前記検出部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する。
【0012】
上記目的を達成すべく本発明に係るインピーダンス測定方法は、Hi側のソース端子およびHi側のセンス端子に一端が接続されると共にLo側のソース端子およびLo側のセンス端子に他端が接続される測定対象に当該各ソース端子を介して交流測定用電流を供給し、当該交流測定用電流の供給によって前記測定対象の前記一端および当該測定対象の前記他端間に生じる交流電圧を前記各センス端子を介して検出すると共に、前記Hi側のソース端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、Lo側のソース端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンス、前記Hi側のセンス端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、およびLo側のセンス端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給し、当該検出用電流の供給によって前記各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出し、前記検出した交流電圧の電圧値と前記交流測定用電流の電流値とに基づいて前記測定対象のインピーダンスを測定すると共に前記検出した各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを測定するインピーダンス測定方法であって、前記Hi側のソース端子と、前記測定対象と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子とを含む第1の電流経路に前記検出用電流としての第1の検出用電流を供給すると共に、前記Hi側のセンス端子と、前記測定対象と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちの他方の端子とを含む第2の電流経路に前記検出用電流としての第2の検出用電流を供給し、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Hi側のセンス端子との間に生じる電圧、および前記Lo側のソース端子と前記Lo側のセンス端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、前記検出した前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを測定する。
【0013】
このインピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法によれば、Hi側のソース端子と、測定対象と、Lo側のソース端子およびLo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子とを含む第1の電流経路Iに第1検出用電流を供給すると共に、Hi側のセンス端子と、測定対象と、Lo側のソース端子およびLo側のセンス端子のうちの他方の端子とを含む第2の電流経路に第2の検出用電流を供給し、第1検出用電流および第2の検出用電流の供給時において、Hi側のソース端子とHi側のセンス端子との間に生じる電圧、およびLo側のソース端子とLo側のセンス端子との間に生じる電圧を検出電圧として検出し、検出した各検出電圧に基づいて各経路インピーダンスを測定することにより、減算処理を行うことなく、各経路インピーダンスを直接的に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法によれば、四端子測定の際における測定対象に対するHi側のソース端子、Hi側のセンス端子、Lo側のソース端子およびLo側のセンス端子のそれぞれの接続状態を示す経路インピーダンスを個別かつ正確に測定(算出)することができる。
【0014】
上記目的を達成すべく本発明に係るインピーダンス測定装置は、Hi側のソース端子およびHi側のセンス端子に一端が接続されると共にLo側のソース端子およびLo側のセンス端子に他端が接続される測定対象に当該各ソース端子を介して交流測定用電流を供給する測定用信号源と、前記Hi側のソース端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、Lo側のソース端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンス、前記Hi側のセンス端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、およびLo側のセンス端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給する検出用信号源と、前記交流測定用電流の供給によって前記測定対象の前記一端および当該測定対象の前記他端間に生じる交流電圧を前記各センス端子を介して検出すると共に前記検出用電流の供給によって前記各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出する検出部と、前記検出部によって検出された前記交流電圧の電圧値と前記交流測定用電流の電流値とに基づいて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記検出部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する処理部とを備えているインピーダンス測定装置であって、前記検出用信号源は、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子を含み、前記測定対象を含まない第1の電流経路に前記検出用電流としての第1の検出用電流を供給すると共に、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子を含み、前記測定対象を含まない第2の電流経路に前記検出用電流としての第2の検出用電流を供給可能に構成され、前記検出部は、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子との間に生じる電圧、並びに前記Hi側のセンス端子と前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちの他方の端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、前記処理部は、前記検出部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する。
【0015】
上記目的を達成すべく本発明に係るインピーダンス測定方法は、Hi側のソース端子およびHi側のセンス端子に一端が接続されると共にLo側のソース端子およびLo側のセンス端子に他端が接続される測定対象に当該各ソース端子を介して交流測定用電流を供給し、当該交流測定用電流の供給によって前記測定対象の前記一端および当該測定対象の前記他端間に生じる交流電圧を前記各センス端子を介して検出すると共に、前記Hi側のソース端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、Lo側のソース端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンス、前記Hi側のセンス端子と前記測定対象の前記一端との間の経路の経路インピーダンス、およびLo側のセンス端子と前記測定対象の前記他端との間の経路の経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給し、当該検出用電流の供給によって前記各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出し、前記検出した交流電圧の電圧値と前記交流測定用電流の電流値とに基づいて前記測定対象のインピーダンスを測定すると共に前記検出した各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを測定するインピーダンス測定方法であって、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子を含み、前記測定対象を含まない第1の電流経路に前記検出用電流としての第1の検出用電流を供給すると共に、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子を含み、前記測定対象を含まない第2の電流経路に前記検出用電流としての第2の検出用電流を供給し、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子との間に生じる電圧、並びに前記Hi側のセンス端子と前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子のうちの他方の端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、前記検出した前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを測定する。
【0016】
このインピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法によれば、Hi側のソース端子およびHi側のセンス端子を含み、測定対象を含まない第1の電流経路に第1検出用電流を供給すると共に、Lo側のソース端子およびLo側のセンス端子を含み、測定対象を含まない第2の電流経路に第2の検出用電流し、第1検出用電流および第2の検出用電流の供給時において、Hi側のソース端子とLo側のソース端子およびLo側のセンス端子のうちのいずれか一方の端子との間に生じる電圧、並びにHi側のセンス端子とLo側のソース端子およびLo側のセンス端子のうちの他方の端子との間に生じる電圧を検出電圧として検出し、検出した各検出電圧に基づいて各経路インピーダンスを測定することにより、減算処理を行うことなく、各経路インピーダンスを直接的に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法によれば、四端子測定の際における測定対象に対するHi側のソース端子、Hi側のセンス端子、Lo側のソース端子およびLo側のセンス端子のそれぞれの接続状態を示す経路インピーダンスを個別かつ正確に測定(算出)することができる。
【0017】
また、本発明に係るインピーダンス測定装置では、前記検出用信号源は、交流電流の前記第1検出用電流および前記第2検出用電流を供給し、前記検出部は、前記各端子間に生じる各電圧を前記各検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記各検出電圧として検出する検波部を備えて構成され、前記処理部は、前記検波部によって検出された前記各検出電圧に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する。
【0018】
このインピーダンス測定装置では、検出用信号源が、交流電流の第1検出用電流および第2の検出用電流を供給し、検出部の同期検波回路が、各端子間に生じる各電圧を第1検出用電流および第2検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して各検出電圧として検出し、処理部が、同期検波回路によって検出された各検出電圧に基づいて各経路インピーダンスを算出することにより、簡易な構成でありながら、各経路インピーダンスを確実かつ正確に算出することができる。
【0019】
また、本発明に係るインピーダンス測定装置では、前記検出用信号源は、前記Hi側のソース端子、前記測定対象および前記Lo側のソース端子を含む電流経路を前記第1の電流経路として前記第1の検出用電流を供給すると共に、前記Hi側のセンス端子、前記測定対象および前記Lo側のセンス端子を含む電流経路を前記第2の電流経路として前記第2の検出用電流を供給可能に構成され、前記検波部は、前記Hi側のセンス端子およびLo側のセンス端子間に生じる前記交流電圧を前記交流測定用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して第1の検波信号を生成する第1の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第2の検波信号を生成する第2の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第3の検波信号を生成する第3の同期検波回路と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第4の検波信号を生成する第4の同期検波回路と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第5の検波信号を生成する第5の同期検波回路とを備えて構成され、前記処理部は、前記第1の検波信号の電圧値を前記検出部によって検出された交流電圧の電圧値として用いて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記第2の検波信号、前記第3の検波信号、前記第4の検波信号および前記第5の検波信号に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する。
【0020】
また、本発明に係るインピーダンス測定装置では、前記検出用信号源は、前記Hi側のソース端子、前記測定対象および前記Lo側のセンス端子を含む電流経路を前記第1の電流経路として前記第1の検出用電流を供給すると共に、前記Hi側のセンス端子、前記測定対象および前記Lo側のソース端子を含む電流経路を前記第2の電流経路として前記第2の検出用電流を供給可能に構成され、前記検波部は、前記Hi側のセンス端子およびLo側のセンス端子間に生じる前記交流電圧を前記交流測定用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して第1の検波信号を生成する第1の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第2の検波信号を生成する第2の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Hi側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第3の検波信号を生成する第3の同期検波回路と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第4の検波信号を生成する第4の同期検波回路と、前記Lo側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第5の検波信号を生成する第5の同期検波回路とを備えて構成され、前記処理部は、前記第1の検波信号の電圧値を前記検出部によって検出された交流電圧の電圧値として用いて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記第2の検波信号、前記第3の検波信号、前記第4の検波信号および前記第5の検波信号に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する。
【0021】
また、本発明に係るインピーダンス測定装置では、前記検出部は、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Lo側のソース端子との間に生じる電圧、および前記Hi側のセンス端子と前記Lo側のセンス端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、前記検波部は、前記Hi側のセンス端子およびLo側のセンス端子間に生じる前記交流電圧を前記交流測定用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して第1の検波信号を生成する第1の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Lo側のソース端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第2の検波信号を生成する第2の同期検波回路と、前記Hi側のセンス端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第3の検波信号を生成する第3の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Lo側のソース端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第4の検波信号を生成する第4の同期検波回路と、前記Hi側のセンス端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第5の検波信号を生成する第5の同期検波回路とを備えて構成され、前記処理部は、前記第1の検波信号の電圧値を前記検出部によって検出された交流電圧の電圧値として用いて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記第2の検波信号、前記第3の検波信号、前記第4の検波信号および前記第5の検波信号に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する。
【0022】
また、本発明に係るインピーダンス測定装置では、前記検出部は、前記第1の検出用電流および前記第2の検出用電流の供給時において、前記Hi側のソース端子と前記Lo側のセンス端子との間に生じる電圧、および前記Hi側のセンス端子と前記Lo側のソース端子との間に生じる電圧を前記検出電圧として検出し、前記検波部は、前記Hi側のセンス端子およびLo側のセンス端子間に生じる前記交流電圧を前記交流測定用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して第1の検波信号を生成する第1の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第2の検波信号を生成する第2の同期検波回路と、前記Hi側のセンス端子および前記Lo側のソース端子間に生じる電圧を前記第1の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第3の検波信号を生成する第3の同期検波回路と、前記Hi側のセンス端子および前記Lo側のソース端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第4の検波信号を生成する第4の同期検波回路と、前記Hi側のソース端子および前記Lo側のセンス端子間に生じる電圧を前記第2の検出用電流の周波数と同じ周波数の同期信号で同期検波して前記検出電圧としての第5の検波信号を生成する第5の同期検波回路とを備えて構成され、前記処理部は、前記第1の検波信号の電圧値を前記検出部によって検出された交流電圧の電圧値として用いて前記測定対象のインピーダンスを算出すると共に前記第2の検波信号、前記第3の検波信号、前記第4の検波信号および前記第5の検波信号に基づいて前記各経路インピーダンスを算出する。
【0023】
これらのインピーダンス測定装置では、第1の同期検波回路から第5の同期検波回路を備えて検出部を構成し、処理部が交流測定用電流を測定対象に供給したときに測定対象の一端および他端間に生じる交流電圧の電圧値として第1の検波信号の電圧値を用いて、その交流電圧の電圧値と交流測定用電流の電流値とに基づいて測定対象のインピーダンスを算出すると共に、第2の検波信号、第3の検波信号、第4の検波信号および第5の検波信号に基づいて各経路インピーダンスを算出することにより、各インピーダンスを並行して同時に算出することが可能となるため、測定対象のインピーダンスおよび各経路インピーダンスを短時間で算出することができる。
【0024】
また、本発明に係るインピーダンス測定装置では、前記測定用信号源は、前記検出用信号源としても作動して、前記第1の検出用電流を供給する。
【0025】
このインピーダンス測定装置では、測定用信号源が、交流測定用電流を第1の検出用電流として供給することにより、簡易な構成でありながら、減算処理を行うことなく、各経路インピーダンスを直接的に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置によれば、簡易な構成でありながら、四端子測定の際における測定対象に対するHi側のソース端子、Hi側のセンス端子、Lo側のソース端子およびLo側のセンス端子のそれぞれの接続状態を示す経路インピーダンスを個別かつ正確に測定(算出)することができる。
【0026】
また、本発明に係るインピーダンス測定装置では、前記第1の検出用電流の周波数および前記第2の検出用電流の周波数は、互いに異なる値に規定されている。
【0027】
このインピーダンス測定装置では、第1検出用電流の周波数および第2検出用電流の周波数を互いに異なる値に規定したことにより、各ソース端子および各センス端子と、測定対象との間の各経路インピーダンスを並行して同時に算出することができる。
【0028】
また、本発明に係るインピーダンス測定装置では、前記交流測定用電流の周波数、前記第1の検出用電流の周波数および前記第2の検出用電流の周波数は、互いに異なる値に規定されている。
【0029】
このインピーダンス測定装置では、交流測定用電流の周波数、第1検出用電流の周波数および第2検出用電流の周波数を互いに異なる値に規定したことにより、測定対象のインピーダンス、並びに各ソース端子および各センス端子と、測定対象との間の各経路インピーダンスを並行して算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置によれば、測定対象のインピーダンスおよび各経路インピーダンスを最も短時間で算出することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るインピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法によれば、四端子測定の際における測定対象に対するHi側のソース端子、Hi側のセンス端子、Lo側のソース端子およびLo側のセンス端子のそれぞれの接続状態を示す経路インピーダンスを個別かつ正確に測定(算出)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】インピーダンス測定装置1Aの構成を示す構成図である。
【
図2】インピーダンス測定装置1Aaの構成を示す構成図である。
【
図3】インピーダンス測定装置1Bの構成を示す構成図である。
【
図4】インピーダンス測定装置1Cの構成を示す構成図である。
【
図5】インピーダンス測定装置1Dの構成を示す構成図である。
【
図6】インピーダンス測定装置1Abの構成を示す構成図である。
【
図7】インピーダンス測定装置1Daの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、インピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0033】
(実施例1)
最初に、
図1を参照して、インピーダンス測定装置としてのインピーダンス測定装置1Aの構成について説明する。
【0034】
インピーダンス測定装置1Aは、Hi(High)側のソース端子Hc(接続端子や接触式のプローブなどで構成されている測定信号供給用のソース端子)、Lo(Low)側のソース端子Lc(接続端子や接触式のプローブなどで構成されている測定信号供給用のソース端子)、Hi側のセンス端子Hp(接続端子や接触式のプローブなどで構成されている信号検出用のセンス端子)、Lo側のセンス端子Lp(接続端子や接触式のプローブなどで構成されている信号検出用のセンス端子)、測定用信号源11、検出用信号源12、検出部13A、処理部14および出力部15を備えて構成されている。
【0035】
また、このインピーダンス測定装置1Aは、測定対象DUTの一方の電極にHi側のソース端子HcおよびHi側のセンス端子Hpが接続され(例えば、不図示の測定ケーブルを介して接続され)、測定対象DUTの他方の電極にLo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpが接続された状態(例えば、不図示の測定ケーブルを介して接続された状態)において、測定対象DUTのインピーダンス(実数の抵抗値のみも含む)を測定可能に構成されている。本例では一例として、インピーダンス測定装置1Aは、バッテリを測定対象DUTとして、Hi側のソース端子HcおよびHi側のセンス端子Hpが測定対象DUTとしてのバッテリの正極(測定対象の一端)に接続され、かつLo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpがバッテリの負極(測定対象の他端)に接続された状態において、測定対象DUTの内部抵抗(内部インピーダンス)Rxの抵抗値をインピーダンスとして算出(測定)する。
【0036】
測定用信号源11は、Hi側のソース端子HcおよびLo側のソース端子Lc間に正極(測定対象の一端)および負極(測定対象の他端)が接続される測定対象DUTに交流測定用電流Imを供給する。具体的には、測定用信号源11は、Hi側のソース端子Hc、測定対象DUT、およびLo側のソース端子Lcからなる経路に交流測定用電流Imを供給する。この場合、測定用信号源11は、交流測定用電流Imとして、一定の振幅(既知)で、かつ一定の周波数f1に規定された正弦波の交流電流を生成して出力する。また、測定用信号源11は、交流測定用電流Imに同期した周波数f1の同期信号Sf1を出力する。
【0037】
検出用信号源12は、第1検出用信号生成回路12aおよび第2検出用信号生成回路12bを備えて、各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと測定対象DUTの正極および負極との間の各経路の各経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給する。第1検出用信号生成回路12aは、Hi側のソース端子HcとLo側のソース端子Lcとの間に接続されており、Hi側のソース端子Hcと、測定対象DUTと、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちのいずれか一方の端子としてのLo側のソース端子Lcとを含む第1の電流経路IR1における接触抵抗や配線抵抗からなる経路インピーダンス(Hi側のソース端子Hcと測定対象DUTの正極(測定対象の一端)との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス、およびLo側のソース端子Lcと測定対象DUTの負極(測定対象の他端)との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス)を検出するための第1の検出用電流としての検出用電流Itaを生成して第1の電流経路IR1に供給する。この場合、第1検出用信号生成回路12aは、検出用電流Itaとして、一定の振幅(既知)で、かつ周波数f1とは周波数の値が異なる一定の周波数f2に規定された正弦波の交流電流を生成して出力する。また、第1検出用信号生成回路12aは、検出用電流Itaに同期した同じ周波数f2の同期信号Sf2を出力する。
【0038】
第2検出用信号生成回路12bは、Hi側のセンス端子HpとLo側のセンス端子Lpの間に接続されており、Hi側のセンス端子Hpと、測定対象DUTと、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちの他方の端子としてのLo側のセンス端子Lpとを含む第2の電流経路IR2における接触抵抗や配線抵抗からなる経路インピーダンス(Hi側のセンス端子Hpと測定対象DUTの正極(測定対象の一端)との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス、およびLo側のセンス端子Lpと測定対象DUTの負極(測定対象の他端)との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス)を検出するための第2の検出用電流としての検出用電流Itbを生成して第2の電流経路IR2に供給する。この場合、第2検出用信号生成回路12bは、検出用電流Itbとして、一定の振幅(既知)で、かつ周波数f1,f2とは周波数の値が異なる一定の周波数f3に規定された正弦波の交流電流を生成して出力する。また、第2検出用信号生成回路12bは、検出用電流Itbに同期した同じ周波数f3の同期信号Sf3を出力する。
【0039】
検出部13Aは、増幅回路21a~21c、同期検波回路22a~22e、およびローパスフィルタ(以下、各図では、「LPF」と表記する)23a~23eを備えて構成され、交流測定用電流Imの供給によって測定対象DUTの正極および負極間に生じる交流電圧をHi側のセンス端子HpおよびLo側のセンス端子Lpを介して検出すると共に検出用電流Ita,Itbの供給によって上記の各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出する。ここで、同期検波回路22a~22eおよびローパスフィルタ23a~23eによって検波部が構成される。
【0040】
この場合、後述するように、処理部14が、検出部13Aによって検出された測定対象DUTの正極および負極間に生じる交流電圧に基づいて、測定対象DUTの内部抵抗Rxの抵抗値VRxを算出すると共に、検出部13Aによって検出された上記の各経路に生じる各電圧に基づいて、Hi側のソース端子Hcと測定対象DUTの正極との間の接触抵抗RHCの抵抗値VRHC、Lo側のソース端子Lcと測定対象DUTの負極との間の接触抵抗RLCの抵抗値VRLC、Hi側のセンス端子Hpと測定対象DUTの正極との間の接触抵抗RHPの抵抗値VRHP、およびLo側のセンス端子Lpと測定対象DUTの負極との間の接触抵抗RLPの抵抗値VRLPを経路インピーダンスとして算出する。ここで、各接触抵抗RHC,RLC,RHP,RLPは、上記したように、端子Hc,Lc,Hp,Lpのうちの対応する端子から、測定対象DUTの正極および負極のうちの対応する電極までの間の接触抵抗や配線抵抗(測定ケーブルの抵抗)の経路インピーダンスとする概念であってもよいし、各端子Hc,Lc,Hp,Lpの接触抵抗だけとする概念であってもよい。
【0041】
増幅回路21a(第1の増幅回路)は、演算増幅器を用いて差動増幅回路に構成されて、非反転入力端子がHi側のセンス端子Hpに接続されると共に反転入力端子がLo側のセンス端子Lpに接続されており、センス端子Lpの電圧とセンス端子Hpの電圧との差分の電圧を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21aは、交流測定用電流Imが内部抵抗Rxを流れる際に内部抵抗Rxの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する交流信号を出力する。増幅回路21b(第2の増幅回路)は、演算増幅器を用いて差動増幅回路に構成されて、非反転入力端子がHi側のソース端子Hcに接続されると共に反転入力端子がHi側のセンス端子Hpに接続されており、センス端子Hpの電圧とソース端子Hcの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21bは、検出用電流Itaが接触抵抗RHCを流れる際に接触抵抗RHCの両端に発生する電圧と、検出用電流Itbが接触抵抗RHPを流れる際に接触抵抗RHPの両端に発生する電圧とを加算した電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する交流信号を出力する。増幅回路21c(第3の増幅回路)は、演算増幅器を用いて差動増幅回路に構成されて、非反転入力端子がLo側のソース端子Lcに接続されると共に反転入力端子がLo側のセンス端子Lpに接続されており、センス端子Lpの電圧とソース端子Lcの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21cは、検出用電流Itaが接触抵抗RLCを流れる際に接触抵抗RLCの両端に発生する電圧と、検出用電流Itbが接触抵抗RLPを流れる際に接触抵抗RLPの両端に発生する電圧とを加算した電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する交流信号を出力する。
【0042】
同期検波回路22aは、一例として乗算器を用いてローパスフィルタ23aと共に第1の同期検波回路として構成されて、増幅回路21aから出力される信号と測定用信号源11から出力される同期信号Sf1とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21aから出力される信号をこの同期信号Sf1で同期検波することにより)、交流測定用電流Imが測定対象DUTを流れる際に測定対象DUTの内部抵抗Rxの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23aは、低域通過型フィルタとして構成されて、同期検波回路22aから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第1の検波信号としての第1検出電圧Vd1を出力する。
【0043】
この場合、第1検出電圧Vd1は、交流測定用電流Imが測定対象DUTに流れることに起因してセンス端子Lpおよびセンス端子Hp間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、内部抵抗Rxの抵抗値VRxに比例する値(∝VRx)となっている。このため、後述するように、第1検出電圧Vd1の電圧値を交流測定用電流Imの既知の電流値で除算することにより、測定対象DUTの内部抵抗Rxの抵抗値VRxが直接的に算出される。
【0044】
同期検波回路22bは、一例として乗算器を用いてローパスフィルタ23bと共に第2の同期検波回路として構成されて、増幅回路21bから出力される信号と第1検出用信号生成回路12aから出力される同期信号Sf2とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21bから出力される信号をこの同期信号Sf2で同期検波することにより)、検出用電流Itaが接触抵抗RHCを流れる際に接触抵抗RHCの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23bは、低域通過型フィルタとして構成されて、同期検波回路22bから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第2の検波信号としての第2検出電圧Vd2を出力する。
【0045】
この場合、第2検出電圧Vd2は、検出用電流Itaが接触抵抗RHCに流れることに起因してセンス端子Hpおよびソース端子Hc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RHCの抵抗値VRHCに比例する値(∝VRHC)となっている。このため、後述するように、第2検出電圧Vd2の電圧値を検出用電流Itaの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RHCの抵抗値VRHCが直接的に算出される。
【0046】
同期検波回路22cは、一例として乗算器を用いてローパスフィルタ23cと共に第3の同期検波回路として構成されて、増幅回路21bから出力される信号と第2検出用信号生成回路12bから出力される同期信号Sf3とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21bから出力される信号をこの同期信号Sf3で同期検波することにより)、検出用電流Itbが接触抵抗RHPを流れる際に接触抵抗RHPの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23cは、低域通過型フィルタとして構成されて、同期検波回路22cから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第3の検波信号としての第3検出電圧Vd3を出力する。
【0047】
この場合、第3検出電圧Vd3は、検出用電流Itbが接触抵抗RHPに流れることに起因してセンス端子Hpおよびソース端子Hc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RHPの抵抗値VRHPに比例する値(∝VRHP)となっている。このため、後述するように、第3検出電圧Vd3の電圧値を検出用電流Itbの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RHPの抵抗値VRHPが直接的に算出される。
【0048】
同期検波回路22dは、一例として乗算器を用いてローパスフィルタ23dと共に第4の同期検波回路として構成されて、増幅回路21cから出力される信号と第1検出用信号生成回路12aから出力される同期信号Sf2とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21cから出力される信号をこの同期信号Sf2で同期検波することにより)、検出用電流Itaが接触抵抗RLCを流れる際に接触抵抗RLCの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23dは、低域通過型フィルタとして構成されて、同期検波回路22dから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第4の検波信号としての第4検出電圧Vd4を出力する。
【0049】
この場合、第4検出電圧Vd4は、検出用電流Itaが接触抵抗RLCに流れることに起因してセンス端子Lpおよびソース端子Lc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCに比例する値(∝VRLC)となっている。このため、後述するように、第4検出電圧Vd4の電圧値を検出用電流Itaの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCが直接的に算出される。
【0050】
同期検波回路22eは、一例として乗算器を用いてローパスフィルタ23eと共に第5の同期検波回路として構成されて、増幅回路21cから出力される信号と第2検出用信号生成回路12bから出力される同期信号Sf3とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21cから出力される信号をこの同期信号Sf3で同期検波することにより)、検出用電流Itbが接触抵抗RLPを流れる際に接触抵抗RLPの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23eは、低域通過型フィルタとして構成されて、同期検波回路22eから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第5の検波信号としての第5検出電圧Vd5を出力する。
【0051】
この場合、第5検出電圧Vd5は、検出用電流Itbが接触抵抗RLPに流れることに起因してセンス端子Lpおよびソース端子Lc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RLPの抵抗値VRLPに比例する値(∝VRLP)となっている。このため、後述するように、第5検出電圧Vd5の電圧値を検出用電流Itbの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RLPの抵抗値VRLPが直接的に算出される。
【0052】
処理部14は、一例として、A/D変換器、CPUおよびメモリ(いずれも図示せず)を有して構成されて、測定対象DUTの内部抵抗Rxのインピーダンス(本例では、抵抗値VRx)を算出するインピーダンス算出処理および経路インピーダンス(接触抵抗RHC,RLC,RHP,RLPの各インピーダンス(本例では、各抵抗値VRx,VRHC,VRLC,VRHP,VRLP))を算出する経路インピーダンス算出処理を実行する。このインピーダンス算出処理では、処理部14は、第1検出電圧Vd1を入力してこの電圧値を算出すると共に、この電圧値と、交流測定用電流Imの既知の電流値とに基づいて、測定対象DUTの内部抵抗Rxの抵抗値VRxを算出(測定)する。この場合、処理部14は、内部抵抗Rxの抵抗値VRxを複素数形式のインピーダンスとして算出することもできるし、実数形式の抵抗値を算出することもできる。以下、インピーダンスの算出とは、複素数形式のインピーダンスの算出でもよいし、実数形式の抵抗値の算出でもよいものとする。
【0053】
また、経路インピーダンス算出処理では、処理部14は、第2検出電圧Vd2、第3検出電圧Vd3、第4検出電圧Vd4および第5検出電圧Vd5を入力して、これらの各電圧値を算出すると共に、これらの各電圧値と、検出用電流Ita,Itbの既知の電流値とに基づいて、各接触抵抗RHC,RLC,RHP,RLPのインピーダンス(接触抵抗RHCの抵抗値VRHC、接触抵抗RLCの抵抗値VRLC、接触抵抗RHPの抵抗値VRHPおよび接触抵抗RLPの抵抗値VRLP)を算出(測定)する。また、処理部14は、算出した内部抵抗Rxおよび各接触抵抗RHC,RLC,RHP,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRLC,VRHP,VRLPが記述されたデータDdを出力部15に出力させる出力処理を実行する。
【0054】
出力部15は、一例として、表示装置で構成されて、処理部14から出力されたデータDdに基づいて、内部抵抗Rxおよび各接触抵抗RHC,RLC,RHP,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRLC,VRHP,VRLPを画面上に表示する(出力する)。なお、出力部15は、表示装置に代えて種々のインターフェース回路で構成することもでき、外部インターフェース回路で構成したときには、外部インターフェース回路を介して伝送路で接続された外部装置に内部抵抗Rxおよび各接触抵抗RHC,RLC,RHP,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRLC,VRHP,VRLPを出力し、また媒体用インターフェース回路で構成されたときには、この媒体用インターフェース回路に接続された記憶媒体に内部抵抗Rxおよび各接触抵抗RHC,RLC,RHP,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRLC,VRHP,VRLPを記憶させる。
【0055】
次に、インピーダンス測定装置1Aの動作について、図面を参照して説明する。なお、インピーダンス測定装置1Aは、不図示の4本の測定ケーブルを介して各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpにおいて測定対象DUT(バッテリ)に接続されているものとする。
【0056】
インピーダンス測定装置1Aでは、測定用信号源11が、ソース端子Hcおよびセンス端子Hpと、ソース端子Lcおよびセンス端子Lpとの間に接続されている測定対象DUTに周波数f1の交流測定用電流Imを供給する。また、第1検出用信号生成回路12aが、周波数f2の検出用電流Itaを第1の電流経路IR1に供給し、第2検出用信号生成回路12bが、周波数f3の検出用電流Itbを第2の電流経路IR2に供給する。
【0057】
この状態において、検出部13Aでは、増幅回路21aが、センス端子Lpの電圧とセンス端子Hpの電圧との差分の電圧を規定の利得で増幅して同期検波回路22aに出力する。この際に、同期検波回路22aは、増幅回路21aから出力される交流の信号と測定用信号源11から出力される同期信号Sf1とを乗算することにより、交流測定用電流Imが測定対象DUTを流れる際に測定対象DUTの内部抵抗Rxの両端に発生する交流電圧の電圧値に応じて電圧値が変化すると共に交流成分が重畳している直流信号を出力する。次いで、ローパスフィルタ23aが、同期検波回路22aから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第1検出電圧Vd1を生成して出力する。
【0058】
また、増幅回路21bが、センス端子Hpの電圧とソース端子Hcの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して同期検波回路22b,22cに出力する。この際に、同期検波回路22bは、増幅回路21bから出力される交流の信号と第1検出用信号生成回路12aから出力される同期信号Sf2とを乗算することにより、検出用電流Itaが接触抵抗RHCを流れる際に接触抵抗RHCの両端に発生する交流電圧の電圧値に応じて電圧値が変化すると共に交流成分が重畳している直流信号を出力する。次いで、ローパスフィルタ23bが、同期検波回路22bから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第2検出電圧Vd2を生成して出力する。また、同期検波回路22cは、増幅回路21bから出力される交流の信号と第2検出用信号生成回路12bから出力される同期信号Sf3とを乗算することにより、検出用電流Itbが接触抵抗RHPを流れる際に接触抵抗RHPの両端に発生する交流電圧の電圧値に応じて電圧値が変化すると共に交流成分が重畳している直流信号を出力する。次いで、ローパスフィルタ23cが、同期検波回路22cから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第3検出電圧Vd3を生成して出力する。
【0059】
また、増幅回路21cが、センス端子Lpの電圧とソース端子Lcの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して同期検波回路22d,22eに出力する。この際に、同期検波回路22dは、増幅回路21cから出力される交流の信号と第1検出用信号生成回路12aから出力される同期信号Sf2とを乗算することにより、検出用電流Itaが接触抵抗RLCを流れる際に接触抵抗RLCの両端に発生する交流電圧の電圧値に応じて電圧値が変化すると共に交流成分が重畳している直流信号を出力する。次いで、ローパスフィルタ23dが、同期検波回路22dから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第4検出電圧Vd4を生成して出力する。また、同期検波回路22eは、増幅回路21cから出力される交流の信号と第2検出用信号生成回路12bから出力される同期信号Sf3とを乗算することにより、検出用電流Itbが接触抵抗RLPを流れる際に接触抵抗RLPの両端に発生する交流電圧の電圧値に応じて電圧値が変化すると共に交流成分が重畳している直流信号を出力する。次いで、ローパスフィルタ23eが、同期検波回路22eから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第5検出電圧Vd5を生成して出力する。
【0060】
処理部14は、各ローパスフィルタ23a~23eから出力された各検出電圧Vd1,Vd2,Vd3,Vd4,Vd5に基づき、インピーダンス算出処理および経路インピーダンス算出処理を実行する。これらの算出処理では、処理部14は、まず、各検出電圧Vd1,Vd2,Vd3,Vd4,Vd5をA/D変換することにより、各検出電圧Vd1,Vd2,Vd3,Vd4,Vd5の電圧値を示す電圧データに変換する。次いで、処理部14は、各検出電圧Vd1,Vd2,Vd3,Vd4,Vd5についてのこの電圧データに基づき、各検出電圧Vd1,Vd2,Vd3,Vd4,Vd5の電圧値を算出する。
【0061】
この場合、上記したように、交流測定用電流Imの供給によってセンス端子Lpおよびセンス端子Hp間に生じる交流電圧についての第1検出電圧Vd1の電圧値は、内部抵抗Rxの抵抗値VRxに比例する値となっている。また、検出用電流Itaの供給によってセンス端子Hpおよびソース端子Hc間に生じる電圧についての第2検出電圧Vd2の電圧値は、接触抵抗RHCの抵抗値VRHCに比例する値となっている。また、検出用電流Itbの供給によってセンス端子Hpおよびソース端子Hc間に生じる電圧についての第3検出電圧Vd3の電圧値は、接触抵抗RHPの抵抗値VRHPに比例する値となっている。また、検出用電流Itaの供給によってセンス端子Lpおよびソース端子Lc間に生じる電圧についての第4検出電圧Vd4の電圧値は、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCに比例する値となっている。また、検出用電流Itbの供給によってセンス端子Lpおよびソース端子Lc間に生じる電圧についての第5検出電圧Vd5の電圧値は、接触抵抗RLPの抵抗値VRLPに比例する値となっている。
【0062】
次いで、処理部14は、第1検出電圧Vd1の電圧値を交流測定用電流Imの既知の電流値で除算して内部抵抗Rxの抵抗値VRxを算出し、第2検出電圧Vd2の電圧値を検出用電流Itaの既知の電流値で除算して接触抵抗RHCの抵抗値VRHCを算出し、第3検出電圧Vd3の電圧値を検出用電流Itbの既知の電流値で除算して接触抵抗RHPの抵抗値VRHPを算出し、第4検出電圧Vd4の電圧値を検出用電流Itaの既知の電流値で除算して接触抵抗RLCの抵抗値VRLCを算出し、第5検出電圧Vd5の電圧値を検出用電流Itbの既知の電流値で除算して接触抵抗RLPの抵抗値VRLPを算出する。これにより、減算処理を行うことなく、測定対象DUTの内部抵抗Rxおよび各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLPが1回の演算処理によって直接的に算出される。
【0063】
続いて、処理部14は、算出した各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを内部メモリに記憶する。次いで、処理部14は、出力処理を実行して、データDdを出力部15に出力することにより、算出した内部抵抗Rxの抵抗値VRxと各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPとを出力部15に表示させる。これにより、インピーダンス測定装置1Aによる測定対象DUTの内部抵抗Rxの抵抗値VRxの算出(測定)と、各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPの算出(測定)とが完了する。なお、処理部14は、算出した各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPが規定の抵抗値を超えているときには、いずれかの経路において接触不良や測定ケーブル不良が存在するため、再測定を促す表示を出力部15に表示させる。
【0064】
このように、このインピーダンス測定装置1Aおよびインピーダンス測定方法によれば、Hi側のソース端子Hcと、測定対象DUTと、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちのいずれか一方の端子(本例では、Lo側のソース端子Lc)とを含む第1の電流経路IR1に検出用電流Itaを供給すると共に、Hi側のセンス端子Hpと、測定対象DUTと、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちの他方の端子(本例では、Lo側のセンス端子Lp)とを含む第2の電流経路IR2に検出用電流Itbを供給し、検出用電流Itaおよび検出用電流Itbの供給時において、Hi側のソース端子HcとHi側のセンス端子Hpとの間に生じる電圧、およびLo側のソース端子LcとLo側のセンス端子Lpとの間に生じる電圧を検出電圧(本例では、各検出電圧Vd2~Vd5)として検出し、検出した各検出電圧に基づいて各経路インピーダンスを測定することにより、減算処理を行うことなく、各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを直接的に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1Aおよびインピーダンス測定方法によれば、四端子測定の際における測定対象DUTに対するHi側のソース端子Hc、Hi側のセンス端子Hp、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのそれぞれの接続状態を示す接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを個別かつ正確に測定(算出)することができる。
【0065】
また、このインピーダンス測定装置1Aによれば、検出用信号源12が、交流電流の検出用電流Itaおよび検出用電流Itbを供給し、検出部13Aの同期検波回路22b~22eが、各端子Hc,Hp,Lc,Lp間に生じる各電圧を検出用電流Ita,Itbの周波数(f1,f2)と同じ周波数の同期信号Sf2,Sf3で同期検波して各検出電圧Vd2~Vd5として検出し、処理部14が、同期検波回路22b~22eおよびローパスフィルタ23b~23eによって検出された各検出電圧Vd2~Vd5に基づいて各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出することにより、簡易な構成でありながら、各経路インピーダンスを確実かつ正確に算出することができる。
【0066】
また、このインピーダンス測定装置1Aによれば、同期検波回路22a~22eを備えて検出部13Aを構成し、処理部14が交流測定用電流Imを測定対象DUTに供給したときに測定対象DUTの正極および負極間に生じる交流電圧の電圧値として第1検出電圧Vd1の電圧値を用いて、その交流電圧の電圧値と交流測定用電流Imの電流値とに基づいて測定対象DUTの内部抵抗Rxの抵抗値VRxを算出すると共に、第2検出電圧Vd2、第3検出電圧Vd3、第4検出電圧Vd4および第5検出電圧Vd5に基づいて各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出することにより、各インピーダンスを並行して同時に算出することができるため、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)および各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を短時間で算出することができる。
【0067】
また、このインピーダンス測定装置1Aによれば、検出用電流Itaの周波数f2および検出用電流Itbの周波数f3を互いに異なる値に規定したことにより、各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと、測定対象DUTとの間の各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を並行して同時に算出することができる。
【0068】
また、このインピーダンス測定装置1Aによれば、交流測定用電流Imの周波数f1、検出用電流Itaの周波数f2および検出用電流Itbの周波数f3を互いに異なる値に規定したことにより、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)、並びに各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと、測定対象DUTとの間の各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を並行して同時に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1Aによれば、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)および各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を最も短時間で算出することができる。
【0069】
(第1実施例の変形例)
上記のインピーダンス測定装置1Aを簡易に構成することもできる。
図2を参照して、インピーダンス測定装置1Aの構成を簡易にしたインピーダンス測定装置1Aaについて説明する。なお、以下の各種インピーダンス測定装置の説明において、インピーダンス測定装置1Aの構成要素と機能的に同様に動作する構成要素に関しては、同一の符号を付して、重複する説明を省略して、相違する構成および動作について説明する。
【0070】
図2に示すように、インピーダンス測定装置1Aaは、各端子Hc,Lc,Hp,Lp、測定用信号源11、第2検出用信号生成回路12b、検出部13Aa、処理部14および出力部15を備えて構成されている。このインピーダンス測定装置1Aaでは、第1検出用信号生成回路12aの配設を省略して構成されている。この場合、測定用信号源11は、測定用信号源として機能すると共に第2検出用信号生成回路12bと相俟って検出用信号源12としても機能して交流測定用電流Imを第1の検出用電流(検出用電流Ita)として第1の電流経路IR1に供給する。なお、生成する交流信号の周波数を変更可能に測定用信号源11を構成したときには、交流測定用電流Imとして出力するときの周波数と、検出用電流Itaとして出力するときの周波数とを異なる周波数とすることもできる。
【0071】
また、検出部13Aaでは、同期検波回路22bが、増幅回路21bから出力される信号と測定用信号源11から出力される同期信号Sf1とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21bから出力される信号をこの同期信号Sf1で同期検波することにより)、交流測定用電流Imが接触抵抗RHCを流れる際に接触抵抗RHCの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23bは、同期検波回路22bから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第2検出電圧Vd2を出力する。
【0072】
この場合、第2検出電圧Vd2は、交流測定用電流Imが接触抵抗RHCに流れることに起因してセンス端子Hpおよびソース端子Hc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RHCの抵抗値VRHCに比例する値(∝VRHC)となっている。このため、第2検出電圧Vd2の電圧値を交流測定用電流Imの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RHCの抵抗値VRHCが直接的に算出される。
【0073】
また、同期検波回路22dが、増幅回路21cから出力される信号と測定用信号源11から出力される同期信号Sf1とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21cから出力される信号をこの同期信号Sf1で同期検波することにより)、交流測定用電流Imが接触抵抗RLCを流れる際に接触抵抗RLCの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23dは、同期検波回路22dから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第4検出電圧Vd4を出力する。
【0074】
この場合、第4検出電圧Vd4は、交流測定用電流Imが接触抵抗RLCに流れることに起因してセンス端子Lpおよびソース端子Lc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCに比例する値(∝VRLC)となっている。このため、第4検出電圧Vd4の電圧値を交流測定用電流Imの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCが直接的に算出される。
【0075】
このインピーダンス測定装置1Aaにおいても、処理部14が、インピーダンス測定装置1Aにおける処理部14と同様にして、第1検出電圧Vd1~第5検出電圧Vd5に基づいて、減算処理を行うことなく、測定対象DUTの内部抵抗Rxおよび各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを直接的に算出する。
【0076】
このように、このインピーダンス測定装置1Aaおよびインピーダンス測定方法によれば、インピーダンス測定装置1Aによる効果に加えて、測定用信号源11が、交流測定用電流Imを第1の検出用電流(本例では、検出用電流It1)として供給することにより、第1検出用信号生成回路12aを有しない簡易な構成でありながら、インピーダンス測定装置1Aと同様にして、減算処理を行うことなく、各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを1回の演算処理によって直接的に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1Aaおよびインピーダンス測定方法によれば、簡易な構成でありながら、四端子測定の際における測定対象DUTに対するHi側のソース端子Hc、Hi側のセンス端子Hp、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのそれぞれの接続状態を示す接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを個別かつ正確に測定(算出)することができる。
【0077】
(実施例2)
次に、他のインピーダンス測定装置としてのインピーダンス測定装置1Bについて説明する。
【0078】
図3に示すように、インピーダンス測定装置1Bは、各端子Hc,Lc,Hp,Lp、測定用信号源11、検出用信号源12、検出部13B、処理部14および出力部15を備えて構成されている。
【0079】
検出用信号源12は、第1検出用信号生成回路12aおよび第2検出用信号生成回路12bを備えて、各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと測定対象DUTの正極および負極との間の各経路の各経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給する。第1検出用信号生成回路12aは、Hi側のソース端子HcとLo側のセンス端子Lpとの間に接続されており、Hi側のソース端子Hcと、測定対象DUTと、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちのいずれか一方の端子としてのLo側のセンス端子Lpとを含む第1の電流経路IR3における接触抵抗や配線抵抗からなる経路インピーダンス(Hi側のソース端子Hcと測定対象DUTの正極との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス、およびLo側のセンス端子Lpと測定対象DUTの負極との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス)を検出するための第1の検出用電流としての検出用電流Itaを生成して第1の電流経路IR3に供給する。この場合、第1検出用信号生成回路12aは、検出用電流Itaとして、一定の振幅(既知)で、かつ一定の周波数f2に規定された正弦波の交流電流を生成して出力する。また、第1検出用信号生成回路12aは、検出用電流Itaに同期した同じ周波数f2の同期信号Sf2を出力する。
【0080】
第2検出用信号生成回路12bは、Hi側のセンス端子HpとLo側のソース端子Lcとの間に接続されており、Hi側のセンス端子Hpと、測定対象DUTと、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちの他方の端子としてのLo側のソース端子Lcとを含む第2の電流経路IR4における接触抵抗や配線抵抗からなる経路インピーダンス(Hi側のセンス端子Hpと測定対象DUTの正極との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス、およびLo側のソース端子Lcと測定対象DUTの負極との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス)を検出するための第2の検出用電流としての検出用電流Itbを生成して第2の電流経路IR4に供給する。この場合、第2検出用信号生成回路12bは、検出用電流Itbとして、一定の振幅(既知)で、かつ一定の周波数f3に規定された正弦波の交流電流を生成して出力する。また、第2検出用信号生成回路12bは、検出用電流Itbに同期した同じ周波数f3の同期信号Sf3を出力する。
【0081】
また、検出部13Bでは、同期検波回路22dが、増幅回路21cから出力される信号と第2検出用信号生成回路12bから出力される同期信号Sf3とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21cから出力される信号をこの同期信号Sf3で同期検波することにより)、検出用電流Itbが接触抵抗RLCを流れる際に接触抵抗RLCの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23dは、同期検波回路22dから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第4検出電圧Vd4を出力する。
【0082】
この場合、第4検出電圧Vd4は、検出用電流Itbが接触抵抗RLCに流れることに起因してセンス端子Lpおよびソース端子Lc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCに比例する値(∝VRLC)となっている。このため、第4検出電圧Vd4の電圧値を検出用電流Itbの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCが直接的に算出される。
【0083】
また、同期検波回路22eが、増幅回路21cから出力される信号と第1検出用信号生成回路12aから出力される同期信号Sf2とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21cから出力される信号をこの同期信号Sf2で同期検波することにより)、検出用電流Itbが接触抵抗RLPを流れる際に接触抵抗RLPの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23eは、同期検波回路22eから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第5検出電圧Vd5を出力する。
【0084】
この場合、第5検出電圧Vd5は、検出用電流Itaが接触抵抗RLPに流れることに起因してセンス端子Lpおよびソース端子Lc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RLPの抵抗値VRLPに比例する値(∝VRLP)となっている。このため、第5検出電圧Vd5の電圧値を検出用電流Itaの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RLPの抵抗値VRLPが直接的に算出される。
【0085】
このインピーダンス測定装置1Bにおいても、処理部14が、インピーダンス測定装置1Aにおける処理部14と同様にして、第1検出電圧Vd1~第5検出電圧Vd5に基づいて、減算処理を行うことなく、測定対象DUTの内部抵抗Rxおよび各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを1回の演算処理によって直接的に算出する。
【0086】
このように、このインピーダンス測定装置1Bおよびインピーダンス測定方法によれば、Hi側のソース端子Hcと、測定対象DUTと、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちのいずれか一方の端子(本例では、Lo側のセンス端子Lp)とを含む第1の電流経路IR3に検出用電流Itaを供給すると共に、Hi側のセンス端子Hpと、測定対象DUTと、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちの他方の端子(本例では、Lo側のソース端子Lc)とを含む第2の電流経路IR4に検出用電流Itbを供給し、検出用電流Itaおよび検出用電流Itbの供給時において、Hi側のソース端子HcとHi側のセンス端子Hpとの間に生じる電圧、およびLo側のソース端子LcとLo側のセンス端子Lpとの間に生じる電圧を検出電圧(本例では、各検出電圧Vd2~Vd5)として検出し、検出した各検出電圧に基づいて各経路インピーダンスを測定することにより、減算処理を行うことなく、各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを直接的に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1Bおよびインピーダンス測定方法によれば、四端子測定の際における測定対象DUTに対するHi側のソース端子Hc、Hi側のセンス端子Hp、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのそれぞれの接続状態を示す接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを個別かつ正確に測定(算出)することができる。
【0087】
また、このインピーダンス測定装置1Bによれば、検出用信号源12が、交流電流の検出用電流Itaおよび検出用電流Itbを供給し、検出部13Bの同期検波回路22b~22eが、各端子Hc,Hp,Lc,Lp間に生じる各電圧を検出用電流Ita,Itbの周波数(f1,f2)と同じ周波数の同期信号Sf2,Sf3で同期検波して各検出電圧Vd2~Vd5として検出し、処理部14が、同期検波回路22b~22eおよびローパスフィルタ23b~23eによって検出された各検出電圧Vd2~Vd5に基づいて各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出することにより、簡易な構成でありながら、各経路インピーダンスを確実かつ正確に算出することができる。
【0088】
また、このインピーダンス測定装置1Bによれば、同期検波回路22a~22eを備えて検出部13Bを構成し、処理部14が交流測定用電流Imを測定対象DUTに供給したときに測定対象DUTの正極および負極間に生じる交流電圧の電圧値として第1検出電圧Vd1の電圧値を用いて、その交流電圧の電圧値と交流測定用電流Imの電流値とに基づいて測定対象DUTの内部抵抗Rxの抵抗値VRxを算出すると共に、第2検出電圧Vd2、第3検出電圧Vd3、第4検出電圧Vd4および第5検出電圧Vd5に基づいて各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出することにより、各インピーダンスを並行して同時に算出することができるため、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)および各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を短時間で算出することができる。
【0089】
また、このインピーダンス測定装置1Bによれば、検出用電流Itaの周波数f2および検出用電流Itbの周波数f3を互いに異なる値に規定したことにより、各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと、測定対象DUTとの間の各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を並行して同時に算出することができる。
【0090】
また、このインピーダンス測定装置1Bによれば、交流測定用電流Imの周波数f1、検出用電流Itaの周波数f2および検出用電流Itbの周波数f3を互いに異なる値に規定したことにより、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)、並びに各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと、測定対象DUTとの間の各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を並行して同時に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1Bによれば、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)および各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を最も短時間で算出することができる。
【0091】
(実施例3)
次に、他のインピーダンス測定装置としてのインピーダンス測定装置1Cについて説明する。
【0092】
図4に示すように、インピーダンス測定装置1Cは、各端子Hc,Lc,Hp,Lp、測定用信号源11、検出用信号源12、検出部13C、処理部14および出力部15を備えて構成されている。
【0093】
検出用信号源12は、第1検出用信号生成回路12aおよび第2検出用信号生成回路12bを備えて、各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと測定対象DUTの正極および負極との間の各経路の各経路インピーダンスを検出するための検出用電流を供給する。第1検出用信号生成回路12aは、Hi側のソース端子HcとHi側のセンス端子Hpとの間に接続されており、Hi側のソース端子HcおよびHi側のセンス端子Hpを含み、測定対象DUTを含まない第1の電流経路IR5における接触抵抗や配線抵抗からなる経路インピーダンス(Hi側のソース端子Hcと測定対象DUTの正極との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス、およびHi側のセンス端子Hpと測定対象DUTの正極との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス)を検出するための第1の検出用電流としての検出用電流Itaを生成して第1の電流経路IR5に供給する。この場合、第1検出用信号生成回路12aは、検出用電流Itaとして、一定の振幅(既知)で、かつ一定の周波数f2に規定された正弦波の交流電流を生成して出力する。また、第1検出用信号生成回路12aは、検出用電流Itaに同期した同じ周波数f2の同期信号Sf2を出力する。
【0094】
第2検出用信号生成回路12bは、Lo側のソース端子LcとLo側のセンス端子Lpの間に接続されており、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpを含み、測定対象DUTを含まない第2の電流経路IR6における接触抵抗や配線抵抗からなる経路インピーダンス(Lo側のソース端子Lcと測定対象DUTの負極との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス、およびLo側のセンス端子Lpと測定対象DUTの負極との間の経路における接触抵抗や配線抵抗からなるインピーダンス)を検出するための第2の検出用電流としての検出用電流Itbを生成して第2の電流経路IR6に供給する。この場合、第2検出用信号生成回路12bは、検出用電流Itbとして、一定の振幅(既知)で、かつ周波数f1,f2とは周波数の値が異なる一定の周波数f3に規定された正弦波の交流電流を生成して出力する。また、第2検出用信号生成回路12bは、検出用電流Itbに同期した同じ周波数f3の同期信号Sf3を出力する。
【0095】
検出部13Cは、増幅回路21a~21c、同期検波回路22a~22e、およびローパスフィルタ23a~23eを備えて構成され、交流測定用電流Imの供給によって測定対象DUTの正極および負極間に生じる交流電圧をHi側のセンス端子HpおよびLo側のセンス端子Lpを介して検出すると共に検出用電流Ita,Itbの供給によって上記の各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出する。
【0096】
増幅回路21bは、非反転入力端子がHi側のソース端子Hcに接続されると共に反転入力端子がLo側のソース端子Lcに接続されており、ソース端子Lcの電圧とソース端子Hcの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21bは、検出用電流Itaが接触抵抗RHCを流れる際に接触抵抗RHCの両端に発生する電圧と、検出用電流Itbが接触抵抗RLCを流れる際に接触抵抗RLCの両端に発生する電圧とを加算した電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する交流信号を出力する。増幅回路21cは、非反転入力端子がHi側のセンス端子Hpに接続されると共に反転入力端子がLo側のセンス端子Lpに接続されており、センス端子Lpの電圧とセンス端子Hpの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21cは、検出用電流Itaが接触抵抗RHPを流れる際に接触抵抗RHPの両端に発生する電圧と、検出用電流Itbが接触抵抗RLPを流れる際に接触抵抗RLPの両端に発生する電圧とを加算した電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する交流信号を出力する。なお、この電圧出力装置1Cでは、増幅回路21aおよび増幅回路21cは、共に、センス端子Hpの電圧とセンス端子Lpの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して出力する構成となっている。このため、増幅回路21cの配設を省略して、増幅回路21aの出力部を同期検波回路22d,22eの入力部に接続することで、増幅回路21aに対して増幅回路21cの機能も兼用させる構成を採用しても良い。
【0097】
同期検波回路22bは、ローパスフィルタ23bと共に第2の同期検波回路として機能し、増幅回路21bから出力される信号と第1検出用信号生成回路12aから出力される同期信号Sf2とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21bから出力される信号をこの同期信号Sf2で同期検波することにより)、検出用電流Itaが接触抵抗RHCを流れる際に接触抵抗RHCの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23bは、同期検波回路22bから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第2検出電圧Vd2を出力する。
【0098】
この場合、第2検出電圧Vd2は、検出用電流Itaが接触抵抗RHCに流れることに起因してセンス端子Hpおよびソース端子Hc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RHCの抵抗値VRHCに比例する値(∝VRHC)となっている。このため、第2検出電圧Vd2の電圧値を検出用電流Itaの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RHCの抵抗値VRHCが直接的に算出される。
【0099】
同期検波回路22cは、ローパスフィルタ23cと共に第4の同期検波回路として機能し、増幅回路21bから出力される信号と第2検出用信号生成回路12bから出力される同期信号Sf3とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21bから出力される信号をこの同期信号Sf3で同期検波することにより)、検出用電流Itbが接触抵抗RLCを流れる際に接触抵抗RLCの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23cは、同期検波回路22cから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第4検出電圧Vd4を出力する。
【0100】
この場合、第4検出電圧Vd4は、検出用電流Itbが接触抵抗RLCに流れることに起因してソース端子Lcおよびソース端子Hc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCに比例する値(∝VRLC)となっている。このため、第4検出電圧Vd4の電圧値を検出用電流Itbの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCが直接的に算出される。
【0101】
同期検波回路22dは、ローパスフィルタ23dと共に第3の同期検波回路として機能し、増幅回路21cから出力される信号と第1検出用信号生成回路12aから出力される同期信号Sf2とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21cから出力される信号をこの同期信号Sf2で同期検波することにより)、検出用電流Itaが接触抵抗RHPを流れる際に接触抵抗RHPの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23dは、同期検波回路22dから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第3検出電圧Vd3を出力する。
【0102】
この場合、第3検出電圧Vd3は、検出用電流Itaが接触抵抗RHPに流れることに起因してセンス端子Lpおよびセンス端子Lp間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RHPの抵抗値VRHPに比例する値(∝VRHP)となっている。このため、第3検出電圧Vd3の電圧値を検出用電流Itaの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RHPの抵抗値VRHPが直接的に算出される。
【0103】
同期検波回路22eは、ローパスフィルタ23eと共に第5の同期検波回路として機能し、増幅回路21cから出力される信号と第2検出用信号生成回路12bから出力される同期信号Sf3とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21cから出力される信号をこの同期信号Sf3で同期検波することにより)、検出用電流Itbが接触抵抗RLPを流れる際に接触抵抗RLPの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23eは、同期検波回路22eから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第5検出電圧Vd5を出力する。
【0104】
この場合、第5検出電圧Vd5は、検出用電流Itbが接触抵抗RLPに流れることに起因してセンス端子Lpおよびセンス端子Lp間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RLPの抵抗値VRLPに比例する値(∝VRLP)となっている。このため、第5検出電圧Vd5の電圧値を検出用電流Itbの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RLPの抵抗値VRLPが直接的に算出される。
【0105】
このインピーダンス測定装置1Cにおいても、処理部14が、インピーダンス測定装置1Aにおける処理部14と同様にして、第1検出電圧Vd1~第5検出電圧Vd5に基づいて、減算処理を行うことなく、測定対象DUTの内部抵抗Rxの抵抗値VRxおよび各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを1回の演算処理によって直接的に算出する。
【0106】
このように、このインピーダンス測定装置1Cおよびインピーダンス測定方法によれば、Hi側のソース端子HcおよびHi側のセンス端子Hpを含み、測定対象DUTを含まない第1の電流経路IR5に検出用電流Itaを供給すると共に、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpを含み、測定対象DUTを含まない第2の電流経路IR6に検出用電流Itbを供給し、検出用電流Itaおよび検出用電流Itbの供給時において、Hi側のソース端子HcとLo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちのいずれか一方の端子(本例では、Lo側のソース端子Lc)との間に生じる電圧、並びにHi側のセンス端子HpとLo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちの他方の端子(本例では、Lo側のセンス端子Lp)との間に生じる電圧を検出電圧(本例では、各検出電圧Vd2~Vd5)として検出し、検出した各検出電圧に基づいて各経路インピーダンスを測定することにより、減算処理を行うことなく、各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを直接的に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1Cおよびインピーダンス測定方法によれば、四端子測定の際における測定対象DUTに対するHi側のソース端子Hc、Hi側のセンス端子Hp、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのそれぞれの接続状態を示す接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを個別かつ正確に測定(算出)することができる。
【0107】
また、このインピーダンス測定装置1Cによれば、検出用信号源12が、交流電流の検出用電流Itaおよび検出用電流Itbを供給し、検出部13Cの同期検波回路22b~22eが、各端子Hc,Hp,Lc,Lp間に生じる各電圧を検出用電流Ita,Itbの周波数(f1,f2)と同じ周波数の同期信号Sf2,Sf3で同期検波して各検出電圧Vd2~Vd5として検出し、処理部14が、同期検波回路22b~22eおよびローパスフィルタ23b~23eによって検出された各検出電圧Vd2~Vd5に基づいて各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出することにより、簡易な構成でありながら、各経路インピーダンスを確実かつ正確に算出することができる。
【0108】
また、このインピーダンス測定装置1Cによれば、同期検波回路22a~22eを備えて検出部13Cを構成し、処理部14が交流測定用電流Imを測定対象DUTに供給したときに測定対象DUTの正極および負極間に生じる交流電圧の電圧値として第1検出電圧Vd1の電圧値を用いて、その交流電圧の電圧値と交流測定用電流Imの電流値とに基づいて測定対象DUTの内部抵抗Rxの抵抗値VRxを算出すると共に、第2検出電圧Vd2、第3検出電圧Vd3、第4検出電圧Vd4および第5検出電圧Vd5に基づいて各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出することにより、各インピーダンスを並行して同時に算出することができるため、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)および各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を短時間で算出することができる。
【0109】
また、このインピーダンス測定装置1Cによれば、検出用電流Itaの周波数f2および検出用電流Itbの周波数f3を互いに異なる値に規定したことにより、各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと、測定対象DUTとの間の各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を並行して同時に算出することができる。
【0110】
また、このインピーダンス測定装置1Cによれば、交流測定用電流Imの周波数f1、検出用電流Itaの周波数f2および検出用電流Itbの周波数f3を互いに異なる値に規定したことにより、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)、並びに各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと、測定対象DUTとの間の各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を並行して同時に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1Cによれば、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)および各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を最も短時間で算出することができる。
【0111】
(実施例4)
次に、他のインピーダンス測定装置としてのインピーダンス測定装置1Dについて説明する。なお、以下、主として、インピーダンス測定装置1Cの構成要素と相違する構成について説明する。
【0112】
図5に示すように、インピーダンス測定装置1Dは、各端子Hc,Lc,Hp,Lp、測定用信号源11、検出用信号源12、検出部13D、処理部14および出力部15を備えて構成されている。
【0113】
検出部13Dは、増幅回路21a~21c、同期検波回路22a~22e、およびローパスフィルタ23a~23eを備えて構成され、交流測定用電流Imの供給によって測定対象DUTの正極および負極間に生じる交流電圧をHi側のセンス端子HpおよびLo側のセンス端子Lpを介して検出すると共に検出用電流Ita,Itbの供給によって上記の各経路に生じる各電圧を検出電圧として検出する。
【0114】
増幅回路21bは、非反転入力端子がHi側のソース端子Hcに接続されると共に反転入力端子がLo側のセンス端子Lpに接続されており、センス端子Lpの電圧とソース端子Hcの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21bは、検出用電流Itaが接触抵抗RHCを流れる際に接触抵抗RHCの両端に発生する電圧と、検出用電流Itbが接触抵抗RLPを流れる際に接触抵抗RLPの両端に発生する電圧とを加算した電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する交流信号を出力する。増幅回路21cは、非反転入力端子がHi側のセンス端子Hpに接続されると共に反転入力端子がLo側のソース端子Lcに接続されており、ソース端子Lcの電圧とセンス端子Hpの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21cは、検出用電流Itaが接触抵抗RHPを流れる際に接触抵抗RHPの両端に発生する電圧と、検出用電流Itbが接触抵抗RLCを流れる際に接触抵抗RLCの両端に発生する電圧とを加算した電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する交流信号を出力する。
【0115】
同期検波回路22cは、ローパスフィルタ23cと共に第5の同期検波回路として機能し、増幅回路21bから出力される信号と第2検出用信号生成回路12bから出力される同期信号Sf3とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21bから出力される信号をこの同期信号Sf3で同期検波することにより)、検出用電流Itbが接触抵抗RLPを流れる際に接触抵抗RLPの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23cは、同期検波回路22cから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第5検出電圧Vd5を出力する。
【0116】
この場合、第5検出電圧Vd5は、検出用電流Itbが接触抵抗RLPに流れることに起因してセンス端子Lpおよびソース端子Hc間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RLPの抵抗値VRLPに比例する値(∝VRLP)となっている。このため、第5検出電圧Vd5の電圧値を検出用電流Itbの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RLPの抵抗値VRLPが直接的に算出される。
【0117】
同期検波回路22eは、ローパスフィルタ23eと共に第4の同期検波回路として機能し、増幅回路21cから出力される信号と第2検出用信号生成回路12bから出力される同期信号Sf3とを乗算することにより(言い換えれば、増幅回路21cから出力される信号をこの同期信号Sf3で同期検波することにより)、検出用電流Itbが接触抵抗RLCを流れる際に接触抵抗RLCの両端に発生する交流電圧の電圧値(例えば、振幅)に応じて電圧値が変化する直流信号を出力する。また、ローパスフィルタ23eは、同期検波回路22eから出力される交流成分が重畳した直流信号を入力して、その交流成分を除去して平滑化することにより、第4検出電圧Vd4を出力する。
【0118】
この場合、第4検出電圧Vd4は、検出用電流Itbが接触抵抗RLCに流れることに起因してソース端子Lcおよびセンス端子Hp間に生じる電圧に基づいて得られる電圧であることから、その電圧値は、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCに比例する値(∝VRLC)となっている。このため、第4検出電圧Vd4の電圧値を検出用電流Itbの既知の電流値で除算することにより、接触抵抗RLCの抵抗値VRLCが直接的に算出される。
【0119】
このインピーダンス測定装置1Dにおいても、処理部14が、インピーダンス測定装置1Aにおける処理部14と同様にして、第1検出電圧Vd1~第5検出電圧Vd5に基づいて、減算処理を行うことなく、測定対象DUTの内部抵抗Rxおよび各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRx,VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを1回の演算処理によって直接的に算出する。
【0120】
このように、このインピーダンス測定装置1Dおよびインピーダンス測定方法によれば、Hi側のソース端子HcおよびHi側のセンス端子Hpを含み、測定対象DUTを含まない第1の電流経路IR5に検出用電流Itaを供給すると共に、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpを含み、測定対象DUTを含まない第2の電流経路IR6に検出用電流Itbを供給し、検出用電流Itaおよび検出用電流Itbの供給時において、Hi側のソース端子HcとLo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちのいずれか一方の端子(本例では、Lo側のセンス端子Lp)との間に生じる電圧、並びにHi側のセンス端子HpとLo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのうちの他方の端子(本例では、Lo側のソース端子Lc)との間に生じる電圧を検出電圧(本例では、各検出電圧Vd2~Vd5)として検出し、検出した各検出電圧に基づいて各経路インピーダンスを測定することにより、減算処理を行うことなく、各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを直接的に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1Dおよびインピーダンス測定方法によれば、四端子測定の際における測定対象DUTに対するHi側のソース端子Hc、Hi側のセンス端子Hp、Lo側のソース端子LcおよびLo側のセンス端子Lpのそれぞれの接続状態を示す接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLPを個別かつ正確に測定(算出)することができる。
【0121】
また、このインピーダンス測定装置1Dによれば、検出用信号源12が、交流電流の検出用電流Itaおよび検出用電流Itbを供給し、検出部13Dの同期検波回路22b~22eが、各端子Hc,Hp,Lc,Lp間に生じる各電圧を検出用電流Ita,Itbの周波数(f1,f2)と同じ周波数の同期信号Sf2,Sf3で同期検波して各検出電圧Vd2~Vd5として検出し、処理部14が、同期検波回路22b~22eおよびローパスフィルタ23b~23eによって検出された各検出電圧Vd2~Vd5に基づいて各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出することにより、簡易な構成でありながら、各経路インピーダンスを確実かつ正確に算出することができる。
【0122】
また、このインピーダンス測定装置1Dによれば、同期検波回路22a~22eを備えて検出部13Dを構成し、処理部14が交流測定用電流Imを測定対象DUTに供給したときに測定対象DUTの正極および負極間に生じる交流電圧の電圧値として第1検出電圧Vd1の電圧値を用いて、その交流電圧の電圧値と交流測定用電流Imの電流値とに基づいて測定対象DUTの内部抵抗Rxの抵抗値VRxを算出すると共に、第2検出電圧Vd2、第3検出電圧Vd3、第4検出電圧Vd4および第5検出電圧Vd5に基づいて各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出することにより、各インピーダンスを並行して同時に算出することができるため、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)および各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を短時間で算出することができる。
【0123】
また、このインピーダンス測定装置1Dによれば、検出用電流Itaの周波数f2および検出用電流Itbの周波数f3を互いに異なる値に規定したことにより、各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと、測定対象DUTとの間の各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を並行して同時に算出することができる。
【0124】
また、このインピーダンス測定装置1Dによれば、交流測定用電流Imの周波数f1、検出用電流Itaの周波数f2および検出用電流Itbの周波数f3を互いに異なる値に規定したことにより、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)、並びに各ソース端子Hc,Lcおよび各センス端子Hp,Lpと、測定対象DUTとの間の各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC、接触抵抗RHP、接触抵抗RLCおよび接触抵抗RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を並行して同時に算出することができる。したがって、このインピーダンス測定装置1Dによれば、測定対象DUTのインピーダンス(本例では、内部抵抗Rxの抵抗値VRx)および各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を最も短時間で算出することができる。
【0125】
なお、本発明は、上記した各実施例の構成および動作に限定されない。例えば、上記のインピーダンス測定装置1A,1Aa,1B,1C,1Dでは、測定用信号源11から測定対象DUTへの交流測定用電流Imの供給と、検出用電流Ita,Itbの供給とを同時に実行することにより、第1検出電圧Vd1~第5検出電圧Vd5を同時に検出して測定時間を短縮し得るように、交流測定用電流Imの周波数、検出用電流Itaの周波数および検出用電流Itbの周波数を互いに異なる周波数に規定したが、これに限らない。具体的には、内部抵抗Rxの抵抗値VRxおよび各接触抵抗RH,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRH,VRHP,VRLC,VRLPの各算出タイミングを異ならせると共に、その各タイミングに合わせて、交流測定用電流Im、検出用電流Itaおよび検出用電流Itbのうちの必要な電流を供給することで、すべて同じ周波数に規定することもできるし、交流測定用電流Imの周波数、検出用電流Itaの周波数および検出用電流Itbの周波数のうちの任意の2つを同じ周波数に規定することもできる。
【0126】
なお、交流測定用電流Im、検出用電流Itaおよび検出用電流Itbの供給タイミングを異ならせる構成においては、交流測定用電流Im、検出用電流Itaおよび検出用電流Itbを供給する機能を1つまたは2の信号源を用いて構成することもできる。この場合、その1つまたは2つの信号源と、その1つまたは2つの信号源と各電流の供給箇所とを切替接続するスイッチ回路とを設け、交流測定用電流Im、検出用電流Itaおよび検出用電流Itbを供給するタイミングに合わせて、そのスイッチ回路を制御する構成を採用することで容易に実現することができる。
【0127】
また、上記のインピーダンス測定装置1A,1Aa,1B,1C,1Dでは、増幅回路21a~21cを差動増幅回路で構成したため、測定用信号源11側のグランドと、測定用信号源11を除くインピーダンス測定装置1A,1Aa,1B,1C,1Dの各構成要素側のグランドとを、共通にする構成および相違させる構成のいずれも採用することができている。一方、増幅回路21a~21cのいずれか1つまたは2つをシングルエンド型の増幅回路とする構成を採用することもできる。
【0128】
図6を参照して、例えば、インピーダンス測定装置1Aaにおける測定用信号源11側のグランドG1と、測定用信号源11を除くインピーダンス測定装置1Aaの各構成要素側のグランドG2とを相違させたインピーダンス測定装置1Abについて具体的に説明する。このインピーダンス測定装置1Abでは、測定用信号源11の一部を構成する交流信号生成回路11aが、グランドG1を基準電位として作動して、交流測定用電流Imの元となる交流信号を生成する。また、測定用信号源11の一部を構成する増幅回路11bが、グランドG1を基準電位として作動して、交流信号生成回路11aから出力された交流信号を増幅して交流測定用電流Imとして出力する。
【0129】
また、測定用信号源11を除くインピーダンス測定装置1Abでは、各構成要素は、グランドG2を基準電位として作動する。この場合、例えば、Lo側のセンス端子LpをグランドG2と共通電位とする構成を採用したときには、増幅回路21a,21cをシングルエンド型の増幅回路で構成して検出部13Abを構成することができる。この増幅回路21aは、非反転入力端子がHi側のセンス端子Hpに接続されると共に反転入力端子がグランドG2を介してLo側のセンス端子Lpに接続されており、センス端子Lpの電圧とセンス端子Hpの電圧との差分の電圧を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21aは、インピーダンス測定装置1Aaにおける増幅回路21aと同様の動作を実行する。また、増幅回路21cは、非反転入力端子がLo側のソース端子Lcに接続されると共に反転入力端子がグランドG2を介してLo側のセンス端子Lpに接続されており、センス端子Lpの電圧とソース端子Lcの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21cは、インピーダンス測定装置1Aaにおける増幅回路21cと同様の動作を実行する。
【0130】
次に、
図7を参照して、例えば、インピーダンス測定装置1Dにおける測定用信号源11側のグランドG1と、測定用信号源11を除くインピーダンス測定装置1Dの各構成要素側のグランドG2とを相違させたインピーダンス測定装置1Daについて説明する。このインピーダンス測定装置1Daでは、測定用信号源11が、インピーダンス測定装置1Abの測定用信号源11と同様に構成されて同じ動作を実行する。
【0131】
また、増幅回路21a,21bをシングルエンド型の増幅回路で構成して検出部13Daを構成することができる。この場合、増幅回路21aは、インピーダンス測定装置1Abの増幅回路21aと同様に構成されて同じ動作を実行する。また、増幅回路21bは、非反転入力端子がHi側のソース端子Hcに接続されると共に反転入力端子がグランドG2を介してLo側のセンス端子Lpに接続されており、センス端子Lpの電圧とソース端子Hcの電圧との電圧差を規定の利得で増幅して出力する。したがって、増幅回路21bは、インピーダンス測定装置1Dにおける増幅回路21bと同様の動作を実行する。なお、このインピーダンス測定装置1Daにおいて、増幅回路21aについては、差動増幅回路に構成して、非反転入力端子をHi側のセンス端子Hpに接続すると共に反転入力端子をLo側のセンス端子Lpに接続する構成を採用することもできる。したがって、この構成の増幅回路21aも、インピーダンス測定装置1Dにおける増幅回路21aと同様の動作を実行する。
【0132】
また、検出用信号源として、交流電流の検出用電流Itaを供給する第1検出用信号生成回路12aと、交流電流の検出用電流Itbを供給する第2検出用信号生成回路12bとで検出用信号源12を構成するインピーダンス測定装置の例について説明したが、これに限らず、第1検出用信号生成回路12aおよび第2検出用信号生成回路12bのいずれか一方が直流の検査用信号を出力する検出用信号源を採用することができる。例えば、インピーダンス測定装置1A,1Aa,1Bにおいて、第2検出用信号生成回路12bから出力される検出用電流Itbに代えて、直流信号を検査用電流として第2の電流経路IR2,IR4に供給する構成を採用することもできる。この構成では、同期検波回路22cの配設を省略して、増幅回路21bの出力信号を、直接的にローパスフィルタ23cを通過させて第3検出電圧Vd3とすることができる。また、同期検波回路22eの配設を省略して、増幅回路21cの出力信号を、直接的にローパスフィルタ23eを通過させて第5検出電圧Vd5とすることができる。また、第1検出用電流および第2検出用電流の供給タイミングをずらす構成においては、第1検出用信号生成回路12aおよび第2検出用信号生成回路12bの双方において直流の検査用信号を出力する構成とすることができる。
【0133】
また、上記の各実施例では、アナログ方式で各検出電圧Vd1~Vd5を検出し、処理部14が検出された各検出電圧Vd1~Vd5に基づいて内部抵抗Rxのインピーダンス(本例では、抵抗値VRx)および各経路インピーダンス(本例では、接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出しているが、これに限らない。例えば、処理部14の内部に備えているアナログ/デジタル変換器に増幅回路21a,21b,21cの出力信号を入力して、処理部14(その内部に備えているCPUやFPGAなどのプラグラム可能な集積回路)が、同期検波回路22a~22eおよびローパスフィルタ23a~23eの機能をデジタル処理によって実行する構成を採用することもできる。また、処理部14が、増幅回路21a,21b,21cの機能をデジタル処理によって実行する構成を採用することもできる。
【0134】
また、バッテリを測定対象DUTとして四端子法によってバッテリの内部抵抗Rxの抵抗値VRxを測定する例について説明したが、4つのプローブや接続具を接続対象部位に接続させて四端子法によって測定する測定装置や測定方法である限り、各種測定対象DUTについての電圧、電流、電力値などを測定する測定装置や測定方法に広く適用することができる。また、インピーダンス測定装置1A,1Aa,1B,1C,1D,1Ab,1Daでは、内部抵抗Rxのインピーダンス(上記の例では、抵抗値VRx)および各接触抵抗RHC,RHP,RLC,RLPの各インピーダンス(上記の例では、各抵抗値VRHC,VRHP,VRLC,VRLP)を算出しているが、実部の抵抗値だけを算出する構成に適用可能なことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本願発明によれば、四端子測定の際における測定対象に対するHi側のソース端子、Hi側のセンス端子、Lo側のソース端子およびLo側のセンス端子のそれぞれの接続状態を示す経路インピーダンスを個別かつ正確に算出することができる。これにより、本願発明は、このようなインピーダンス測定のインピーダンス測定装置およびインピーダンス測定方法に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0136】
1A,1Aa,1Ab,1B,1C,1D,1Da インピーダンス測定装置
11 測定用信号源
12 検出用信号源
12a 第1検出用信号生成回路
12b 第2検出用信号生成回路
13A,13Aa,13Ab,13B,13C,13D,13Da 検出部
14 処理部
21a~21c 増幅回路
22a~22e 同期検波回路
DUT 測定対象
Hc,Lc ソース端子
Hp,Lp センス端子
Im 交流測定用電流
Ita,Itb 検出用電流
RHC,RLC,RHP,RLP 接触抵抗
Rx 内部抵抗
Vd1 第1検出電圧
Vd2 第2検出電圧
Vd3 第3検出電圧
Vd4 第4検出電圧
Vd5 第5検出電圧
VRHC,VRLC,VRHP,VRLP,VRx 抵抗値