(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155222
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】足用サポーター
(51)【国際特許分類】
A61F 5/02 20060101AFI20241024BHJP
A41D 13/06 20060101ALI20241024BHJP
A61F 13/06 20060101ALI20241024BHJP
A61F 13/00 20240101ALI20241024BHJP
【FI】
A61F5/02 N
A41D13/06
A61F13/06 A
A61F13/00 355S
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069724
(22)【出願日】2023-04-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)「AGARU」サポーターの写真を公式インスタグラムに公開(https://www.instagram.com/bimax_supporter/)(ウェブサイトの掲載日:令和5年2月5日) (2)「AGARU」サポーターの紹介ページをクラウドファンディングプラットフォーム「Makuake」のサイトに公開(https://www.makuake.com/project/agaru/)(ウェブサイトの掲載日:令和5年2月23日) (3)「AGARU」サポーターの「装着方法」を動画サイト「YouTube」の公式チャンネルに公開(https://www.youtube.com/watch?v=4rZ6xcKWpyQ)(動画サイトの掲載日:令和5年2月23日) (4)「AGARU」サポーターの「装着方法とポイント」を、動画サイト「YouTube」の公式チャンネルに公開(https://www.youtube.com/watch?v=TM3mhdiWXww)(動画サイトの掲載日:令和5年3月16日) (5)「AGARU」サポーターをマックスファンシー株式会社の販売担当が発送先リスト(別紙参照)の住所に発送(発送日:令和5年4月18日)。
(71)【出願人】
【識別番号】523018911
【氏名又は名称】マックスファンシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】田島 千秋
(72)【発明者】
【氏名】平山 葉月
【テーマコード(参考)】
3B211
4C098
【Fターム(参考)】
3B211AA14
3B211AB18
3B211AC17
3B211AC22
4C098AA01
4C098BB12
4C098BC03
4C098BC13
(57)【要約】
【課題】良好な足裏アーチを形成できる足用サポーターを提供する。
【解決手段】サポーター1は、足首ベルト部3、巻き付けベルト部4、固定ベルト部5を備える。足首ベルト部3は二股状に形成され、足の外くるぶし28及び内くるぶしよりも上の位置で外くるぶし28側から足首に両側から巻き回されて外くるぶし28を覆いつつ足首に固定される部位である。巻き付けベルト部4は帯状に形成され、足首ベルト部3の二股状に分岐する下部から下方に延び、外くるぶし28側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げつつ足の甲に巻き付けられる部位である。固定ベルト部5は、巻き付けベルト部4の固定ベルト部5側の一端部と反対側の他端部から延び、足首ベルト部3の外面に重ねて固定可能な部位である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の足に装着可能な伸縮性を有する足用サポーターであって、
二股状に形成され、前記足の外くるぶし及び内くるぶしよりも上の位置で前記外くるぶし側から足首に両側から巻き回されて前記外くるぶしを覆いつつ前記足首に固定可能な足首ベルト部と、
帯状に形成され、前記足首ベルト部の前記二股状に分岐する分岐部から下方に延び、前記外くるぶし側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げつつ前記足の甲に巻き付けられる巻き付けベルト部と、
前記巻き付けベルト部の前記分岐部に接続する一端部とは反対側の他端部から延び、前記足首ベルト部の前記足に接触する内面とは反対側の外面に重ねて固定可能な固定ベルト部と
を備えたことを特徴とする足用サポーター。
【請求項2】
前記固定ベルト部は二股状に形成され、
前記足首ベルト部の前記外面において前記外くるぶしに対応する部分を間に挟むようにして固定されること
を特徴とする請求項1に記載の足用サポーター。
【請求項3】
前記足首ベルト部の前記外面には、面ファスナの雌雄のうち何れか一方が設けられ、
前記固定ベルト部における前記足首ベルト部の前記外面に重ねられる内面には、前記面ファスナの雌雄のうち前記一方に接着される他方が設けられたこと
を特徴とする請求項2に記載の足用サポーター。
【請求項4】
前記足用サポーターの材質はグラフェンであること
を特徴とする請求項1から3の何れか一に記載の足用サポーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足用サポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の足に装着可能な、伸縮性を有する踵足首サポーターであって、帯状に形成され、足の内くるぶしおよび外くるぶしの上方で足首に巻き回されて前記足首に固定可能な足首ベルトと、前記足首ベルトから下方に向けて延びて前記内くるぶし近傍を覆うことができる内側カバー面と、この内側カバー面から延びて踵骨近傍の足裏を覆うことができる踵カバー面と、この踵カバー面から伸びて前記外くるぶし近傍を覆うことができる外側カバー面とが一体に帯状に形成され、前記外側カバー面の端部が前記足首ベルトに固定されることにより伸張状態で前記足首ベルトに対して固定される踵ホールドベルトと;帯状に形成され、前記外側カバー面から略前方に延び、前記足の前側面でショパール関節に沿い、距骨を前記足の後方に向けて押圧可能であるとともに腓骨外側面およびアキレス腱上を通じて前記外くるぶしの上方まで延びるように巻き回されることにより踵および前記足首に固定可能である距骨押圧ベルトとを有する踵足首サポーターが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の踵足首サポーターにおいて、踵ホールドベルトの踵カバー面が覆うのは足裏の踵骨近傍である。そのため、土踏まず部分を効果的に引き上げることができず、良好な足裏アーチを形成するのが困難であった。また、踵ホールドベルトは、内くるぶし側から足裏に巻き回されて外くるぶし側から足の前側に引き上げられているので、仮に踵カバー面が土踏まず部分を覆っていたとしても、足裏の外側部分を引き上げてしまうことから、土踏まず部分を十分に引き上げることが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、良好な足裏アーチを形成できる足用サポーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の足用サポーターは、人体の足に装着可能な伸縮性を有する足用サポーターであって、二股状に形成され、前記足の外くるぶし及び内くるぶしよりも上の位置で前記外くるぶし側から足首に両側から巻き回されて前記外くるぶしを覆いつつ前記足首に固定可能な足首ベルト部と、帯状に形成され、前記足首ベルト部の前記二股状に分岐する分岐部から下方に延び、前記外くるぶし側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げつつ前記足の甲に巻き付けられる巻き付けベルト部と、前記巻き付けベルト部の前記分岐部に接続する一端部とは反対側の他端部から延び、前記足首ベルト部の前記足に接触する内面とは反対側の外面に重ねて固定可能な固定ベルト部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の足用サポーターの前記固定ベルト部は二股状に形成され、前記足首ベルト部の前記外面において前記外くるぶしに対応する部分を間に挟むようにして固定されてもよい。
【0008】
請求項3の足用サポーターの前記足首ベルト部の前記外面には、面ファスナの雌雄のうち何れか一方が設けられ、前記固定ベルト部における前記足首ベルト部の前記外面に重ねられる内面には、前記面ファスナの雌雄のうち前記一方に接着される他方が設けられてもよい。
【0009】
請求項4の足用サポーターの材質はグラフェンであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の足用サポーターによれば、足首ベルト部が足首に両側から巻き回されて固定されることで、腓骨部分を引き締めることができるので、足首のぐらつきを抑制できる。さらに足首ベルト部の分岐部から巻き付けベルト部が外くるぶし側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げる。これにより、楔状骨の位置が引き上げられるので良好な足裏アーチを形成できる。また、巻き付けベルト部が足の甲に巻き付けられた状態で固定ベルト部が足首ベルト部の外面に重ねて固定されるので、甲を押圧して距骨を後方に押し込むことができる。これにより、身体のバランスを安定して保持できるので、腹筋やふくらはぎ等の筋肉使用量を効果的に向上できる。
【0011】
請求項2の足用サポーターによれば、足用サポーターの伸縮性により、V字状の固定ベルト部が外くるぶしの周囲を甲側にひきあげるため、外くるぶし近傍に位置するアキレス腱、踵骨、足底筋を甲側に引き上げることができる。これにより、踵が内側に倒れるのを防止できる。
【0012】
請求項3の足用サポーターによれば、面ファスナで固定ベルト部を足首ベルト部の外面に固定するので、汗や水分等の影響を受け難く、しっかり固定できる。また、固定ベルト部を足首ベルト部の外面に対して面で固定するので、外くるぶしの周囲を効果的に引き上げることができる。
【0013】
請求項4の足用サポーターによれば、グラフェンを採用したことで、熱伝導性と耐久性を向上できる。さらに、遠赤外線効果・抗菌作用も付与できる。また弾力性・伸縮性も向上することから、足首に隙間なくフィットさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】バランスが正常な左足Fの骨格の状態を示す図である。
【
図5】バランスが崩れた左足Fの骨格の状態を示す図である。
【
図6】サポーター1を装着する途中の左足Fの正面図である。
【
図7】サポーター1を装着した左足Fの正面図である。
【
図8】サポーター1を装着した左足Fの右側面図である。
【
図9】左足Fにサポーター1が装着された状態の骨格の各部位との位置関係を示した図である。
【
図10】サポーター1の未装着時と装着時の被験者の両脚を前方から見た比較写真である。
【
図11】サポーター1の未装着時と装着時の被験者の両脚を後ろから見た比較写真である。
【
図14】サポーター100(変形例)が装着された左足Fの斜視図である。
【
図15】サポーター200(変形例)が装着された左足Fの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0016】
図1,
図2を参照し、サポーター1(以下「サポーター1」と呼ぶ)の構成について説明する。サポーター1は足用サポーターであり、右足用と左足用の2種類がある。
図1,
図2に示すサポーター1は左足用であり、右足用は左足用に対して左右対称形状である。なお、
図1,
図2に示すサポーター1の方向については、説明の便宜上、左足に装着するときの向きで説明する。
図1はサポーター1の外面、
図2はサポーター1の内面を示す。本実施形態では、サポーター1を足に装着したときの足の表面に接触する面をサポーター1の内面とし、その反対側の面をサポーター1の外面とする。
【0017】
サポーター1は正面視略Y字状に形成され、上から順に、足首ベルト部3、巻き付けベルト部4、固定ベルト部5を一体して備える。サポーター1は伸縮性を有する素材で作製され、本実施形態ではグラフェンを採用する。グラフェンとは、炭素原子が網目のように六角形に結びついたシート状の素材であり、熱伝導性と耐久性に優れる。グラフェンをサポーター1の生地に採用したことで、サポーター1の熱伝導性と耐久性に加えて弾力・伸縮性が向上する。それ故、サポーター1は足の表面にぴたっとフィットし、しなやかな着け心地が得られる。
【0018】
足首ベルト部3は、上側に向けて二股状に大きく分岐し、正面視略V字状に形成される。足首ベルト部3は中心線O(
図2参照)を基準とする左右対称形状である。サポーター1の外面から見て、足首ベルト部3は、正面視右斜め上方に延びる第1巻回部31と、正面視左斜め上方に延びる第2巻回部32とを備える。これら第1巻回部31と第2巻回部32は足首に対して両側から巻き回して互いに固定する部分である。第1巻回部31と第2巻回部32に挟まれる足首ベルト部3の上縁部3Aは正面視略V字状である。
【0019】
第1巻回部31と第2巻回部32の分岐角度θ(
図2参照)は、第1巻回部31と第2巻回部32とを足首に巻き回したときに、足首ベルト部3の上縁部3Aが略水平となるように決めるのがよく(
図8参照)、本実施形態の分岐角度θは約100°である。第1巻回部31と第2巻回部32の夫々の先端部は略円弧状である。
図1に示すように、足首ベルト部3の外面の全領域には、雌側である面ファスナ35が貼付される。
図2に示すように、第2巻回部32の内面には雄側である面ファスナ11が貼付される。面ファスナ11は、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に対して着脱自在である。
【0020】
巻き付けベルト部4は、足首ベルト部3の下部から下方に延びる略帯状に形成され、中心線O(
図2参照)を基準とする左右対称形状である。巻き付けベルト部4の幅(長さ方向に直交する長さ)は、足首ベルト部3側の上部から長さ方向中央部にかけて先細り状に細くなり、その中央部から下部にかけて略同一幅となっている。巻き付けベルト部4の長さ方向中央部の幅は、足首ベルト部3の幅の略1/4である。巻き付けベルト部4の幅方向両縁部のうち、第1巻回部31側の外縁部41は、足首ベルト部3の第1巻回部31側の外縁部311に連続して中心線O側に緩やかに湾曲し、長さ方向中央部から下部にかけて下方に直線状に延びる。巻き付けベルト部4の第2巻回部32側の外縁部42も、足首ベルト部3の第2巻回部32側の外縁部321に連続して中心線O側に緩やかに湾曲し、長さ方向中央部から下部にかけて下方に直線状に延びる。
【0021】
固定ベルト部5は、巻き付けベルト部4の下端部から下側に向けて二股状に小さく分岐し、正面視略上下逆の略V字状に形成される。固定ベルト部5は、第1固定部51と第2固定部52を備える。第1固定部51は中心線O(
図2参照)から右側に離れるようにして、正面視右斜め下方に長く延びる。なお、第1固定部51は中心線O側とは反対側(右側)にやや沿っている。第2固定部52は中心線Oから左側に離れるようにして、正面視左斜め下方に第1固定部51よりも短く延びる。第2固定部52も中心線O側とは反対側(左側)にやや沿っている。第1固定部51の内面には、雄側である略矩形状の面ファスナ11が貼付され、第2固定部52の内面には、雄側である略矩形状の面ファスナ12が貼付される。これら面ファスナ11,12は、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に対して着脱自在である。
【0022】
上記構成を備えるサポーター1の作製方法について、例えば巻き付けベルト部4と固定ベルト部5は予め一体して作製し、足首ベルト部3は別パーツとして作製する。次いで、足首ベルト部3の下部と、巻き付けベルト部4の上端部とを相互に重ねた部位である連結部10をミシンで縫い合わせる。これにより、足首ベルト部3、巻き付けベルト部4、固定ベルト部5が帯状に一体化したサポーター1が作製される。そして、サポーター1の外縁部に沿って縁部9を縫い合わせることにより、サポーター1の外縁部が補強される。
【0023】
図3を参照し、サポーター1が作用する足の骨と機能について説明する。
図3は左足Fを構成する各骨の位置を図示している。サポーター1は足に装着することで、腓骨21、距骨22、楔状骨23、踵骨24の4つの骨に主に作用する。腓骨21は膝から足首まで延びる2本の骨のうち、外側の細い骨であり、足にかかる衝撃を吸収する。腓骨21の外側である左側部の下部には外くるぶし28が外側に突出して設けられる。なお、内側の太い骨は脛骨20である。脛骨20の内側である右側部の下部には内くるぶし29(
図6参照)が内側に突出して設けられる。
【0024】
距骨22は腓骨21の下側であって、地面に着く足と足首より上の脚との間にある小さな骨である。距骨22は動作の際に支点となって全体重を支えることで、身体のバランスを安定して保持する。距骨22は腰痛や膝痛に影響する骨といわれている。楔状骨23は、足の踵付近にある足根骨を構成する骨の一つであり、第一楔状骨231、第二楔状骨232、第三楔状骨233により構成される。楔状骨23は良好な足裏アーチを形成して足裏を柔らかくすることにより、歩行時の足への衝撃を吸収する。踵骨24は足の踵の骨であり、直接地面に接して全体重を支えると共に、足底筋及びアキレス腱を保持することから、身体の安定に強く影響する。
【0025】
図4を参照し、正しい足の位置について説明する。
図4は正しい位置の左足Fの各骨の位置を図示したものであり、(A)は左足Fを後方から見た図、(B)は左足Fを内側(右側)から見た図である。正しい位置の左足Fでは、(A)に示すように、脛骨20、距骨22、踵骨24が上下方向に一直線に並んで配置される(
図4(A)中に示す直線P参照)。この状態では(B)に示すように、楔状骨23が上方に持ち上がることから、足裏に円弧状に湾曲した綺麗な足裏アーチ(
図4(B)中に示す曲線Q参照)が形成される。足裏アーチは歩行時や運動時にバネやクッションになる重要な役割を担う。つまり、左足Fが正しい位置にあれば良好な足裏アーチが形成されるので、地面Gからの衝撃を吸収でき、足や関節・腰への負担が軽減される。また、踵骨24の位置が真っすぐなので、しっかりとした足取りで歩行・運動か可能である。
【0026】
図5を参照し、悪い足の位置について説明する。
図5は悪い位置の左足Fの各骨の位置を図示したものであり、(A)は左足Fを後方から見た図、(B)は左足Fを内側(左側)から見た図である。例えば(A)に示すように、左足Fの踵が内側に倒れている場合、距骨22及び踵骨24が内側(右側)にずれることから、腓骨21、距骨22、踵骨24が上下方向に並ばず、内側に折れ曲がった状態(
図5(A)中に示す曲線P参照)となる。この状態では(B)に示すように、楔状骨23(
図3参照)の位置が下がることから、足裏アーチが崩れて扁平(
図5(B)中に示す曲線Q参照)になってしまう。この状態で左足Fに力が加わると、踵が内側に崩れて足裏が地面Gに倒れ込んでしまうことから、左足Fに繋がる関節や腰に大きな負荷がかかる。また、踵が大きく崩れることで正しい歩き方ができず、運動神経に悪影響が出ることが予想される。また、全身が不安定な状態となり、そこから姿勢の悪さや全身のだるさにつながる可能性がある。
【0027】
本実施形態のサポーター1は、足首を固定することで足首のぐらつきを抑えつつ、足裏を引き上げて足裏アーチを形成することで、踵の内反(内側にひねること)・外反(外側にひねること)を抑制し、足を正しい位置に矯正できる。これにより使用者は筋肉を正しく使えるようになり、筋肉使用量を効果的に向上させることができる。
【0028】
図6~
図8を参照し、サポーター1の装着手順について説明する。なお、本実施例では、左足用のサポーター1を左足Fに装着する場合を例に説明する。サポーター1の装着手順は主に以下の3つのステップからなる。
【0029】
<第1ステップ>
先ず、サポーター1を
図1,
図2の向きで左足Fの足首の外側に配置する。そして、
図6に示すように、足首ベルト部3の上縁部3Aを、足首の外くるぶし28及び内くるぶし29よりも上の位置で外くるぶし28側から当てて位置決めしつつ、第1巻回部31を後方に巻き回し、次いで第2巻回部32を前方に巻き回す(
図6中矢印A1参照)。そして、外くるぶし28を足首ベルト部3で左方から覆いつつ足首に対して緩みなく締めて、内くるぶし29側において第1巻回部31の先端部の上に第2巻回部32の先端部を重ねる(
図8参照)。この状態で、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に対して、第2巻回部32の内面の面ファスナ11を貼り付けることで、足首ベルト部3が足首に固定される。このとき、足首ベルト部3の上縁部3Aは略水平になる。
【0030】
<第2ステップ>
次に、
図6の状態で、足首ベルト部3の下部から垂れ下がった巻き付けベルト部4を足裏に対して外側から巻き回し(
図6中矢印A2参照)、土踏まず部分をしっかり覆いつつ内くるぶし29側に強く引き上げる(
図7に示す矢印A3参照)。これにより、土踏まず部分が強く引き上げられる。
【0031】
<第3ステップ>
巻き付けベルト部4で土踏まず部分を強く引き上げた状態で、左足Fの甲部分を上方から覆いつつ固定ベルト部5を外くるぶし28側に強く引っ張る。そして、外くるぶし28を覆う足首ベルト部3の外面において、第1固定部51を外くるぶし28の上側において後方に引っ張り(
図7に示す矢印A4参照)、第2固定部52を外くるぶし28の下側において後方に引っ張る(
図7に示す矢印A5参照)。そして、外くるぶし28に対応する部分を第1固定部51と第2固定部52の間に挟んだ状態で(
図9参照)、第1固定部51の内面の面ファスナ12と、第2固定部52の内面の面ファスナ13とを、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に夫々貼り付ける。これにより、サポーター1が左足Fに装着される(
図7~
図9参照)。
【0032】
図9を参照し、サポーター1の装着時における足の各骨に対する作用効果について説明する。足首ベルト部3を足首に巻き付けることで、脛骨20と腓骨21を固定する。これにより、足首のぐらつきを抑制できる。さらに巻き付けベルト部4を外くるぶし28側から足裏に巻き回し、土踏まず部分をしっかり覆った状態で内くるぶし29側に強く引き上げることから、楔状骨23を効果的に持ち上げることができる。これにより、円弧状に湾曲する足裏アーチを簡単に形成できる。仮に足が内側又は外側に倒れていたとしても、楔状骨23が持ち上がることにより、内側又は外側に倒れていた足を中央の正しい位置に戻すことができる。
【0033】
また、巻き付けベルト部4が左足Fの甲に巻き付けられた状態で固定ベルト部5が足首ベルト部3の外面に重ねて固定されるので、甲が押圧されて距骨22を後方に押し込むことができる。これにより、身体のバランスを安定して保持できるので、腹筋やふくらはぎ等の筋肉使用量を効果的に向上できる。
【0034】
そして、固定ベルト部5の第1固定部51と第2固定部52が外くるぶし28を間に挟むようにして固定されている。サポーター1の伸縮性により、第1固定部51と第2固定部52が外くるぶし28の周囲を甲側に引き上げる(
図9中に示す矢印E1,E2参照)。これにより、外くるぶし28近傍に位置するアキレス腱、踵骨24、足底筋が甲側に引き上げられることから、踵が安定した正しい位置に矯正される。よって、踵が内側に倒れるのを抑制できる。
【0035】
また、サポーター1では、固定ベルト部5の第1固定部51と第2固定部52を、第1固定部51の内面の面ファスナ12と、第2固定部52の内面の面ファスナ13とで、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に固定するので、汗や水分等の影響を受け難く、しっかり固定できる。また、第1固定部51と第2固定部52を足首ベルト部3の外面に対して面で固定するので、外くるぶし28の周囲を効果的に引き上げることができる。
【0036】
本実施形態のサポーター1の効果を確認する為、2つの確認試験を行った。確認試験1では、サポーター1装着による足の位置の矯正効果について検証した。確認試験2では、サポーター1装着による腹直筋及び腓腹筋の使用量の変化について検証した。以下順に説明する。
【0037】
図10,
図11を参照し、確認試験1について説明する。本試験では右足に外反の症状を持つ人を被験者とし、サポーター1の未装着時と装着時とで両足の位置の変化について比較を行った。
図10に示す基準線P1~P4は、各足が正しい位置のときの各足の中心線を示す。
図11に示す中心線Oは、各足が正しい位置のときの両脚の中心線を示す。
【0038】
先ず未装着時の被験者の両足の位置及び体のバランスについて検証する。
図10の左側の写真に示すように、未装着時の被験者の両脚を前側から見ると、右足が基準線P1に対して外側(矢印A1方向)にずれて傾いていることが分かる。これに伴い、左足が右足にやや引きずられており、その結果、体全体がA1方向に傾いている。また、
図11の左側の写真に示すように、未装着時の被験者の両脚を後ろ側から見ると、右足の踵がA1方向に傾いて外くるぶしがA1方向に大きく突き出している。このことから、右足に外反の症状が強く出ていることが分かる。そして、踵、足首、ふくらはぎの各位置を結ぶ仮想線C1はA1方向に傾いて湾曲し、右脚全体がA1方向に傾いている。これに伴い、左脚も右脚側(A1方向)に引きずられていることから、体全体が中心線Oに対してA1方向にずれて傾いていることが分かる。
【0039】
次に装着時の被験者の両足の位置及び体のバランスについて検証する。
図11の右側の写真に示すように、装着時の被験者の両脚を前側から見ると、未装着時と比較して、右足の位置がサポーター1によりA2方向に矯正されて右脚全体が基準線P3上に位置している。そして、左足の位置も右足と同様にサポーター1によりA2方向に矯正されて左脚全体が基準線P4上に位置している。その結果、体全体がA2方向に矯正され、左右のバランスが良くなっている。また、
図11に示すように装着時の被験者の両脚を後ろ側から見ると、未装着時と比較して、外くるぶしの位置がA2方向に強制されてふくらはぎが内側に移動して上下方向に立っていることから、右足の外反の症状が軽減されていることが分かる。さらに、踵、足首、ふくらはぎの各位置を結ぶ仮想線C2は仮想線C1と比較してほぼ一直線となっており、中心線Oに対して平行に近い状態となっている。このことから、右脚全体の傾きがA2方向に矯正されていることが分かる。そして、左足の位置も右足と同様にサポーター1により矯正されているので、その結果、体全体の中心線がほぼ中心線O上となり、左右のバランスが良くなっている。
【0040】
以上の結果より、サポーター1を両足に装着することにより、足の位置が正しい位置に矯正され、体全体のバランスが改善されることが実証された。
【0041】
図12,
図13を参照し、確認試験2について説明する。本試験では、3名の被験者A,B,Cについて、サポーター1の未装着の状態と装着した状態とで、ウォーキングマシンにて3分間ウォーキングを行い、そのときの腹直筋(腹の前面に位置する筋肉)と腓腹筋(ふくらはぎ)の筋電測定を行った。なお、サポーター1は両足に装着した。
【0042】
図12は3名の被験者の腹直筋の筋電測定の結果である。縦軸は腹直筋の振幅の積分値である。被験者Aでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が121%向上した。被験者Bでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が135%向上した。被験者Cでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が147%向上した。よって、サポーター1を装着した場合、未装着時と比較して平均134%の腹直筋の使用量が向上した。これらの結果より、サポーター1を両足に装着することによって、腹直筋の使用量が向上することが実証された。
【0043】
図12は3名の被験者の腓腹筋の筋電測定の結果である。縦軸は腓腹筋の振幅の積分値である。被験者Aでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が101%向上した。被験者Bでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が148%向上した。被験者Cでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が142%向上した。よって、サポーター1を装着した場合、未装着時と比較して平均130%の腓腹筋の使用量が向上した。これらの結果より、サポーター1を両足に装着することによって、腓腹筋の使用量が向上することが実証された。
【0044】
上記確認試験2の結果より、サポーター1を足に装着することにより、足の位置が正しい位置に矯正されて足裏アーチが良好に形成されたことから、両脚のバランスが整い、その結果、各部位の運動効率が上がり、筋肉使用量が向上したものと推測される。従って、サポーター1を足に装着することで、体の各部位の運動効率が上がり、全身の筋肉使用量を向上させる効果が期待できる。また、全身の筋肉使用量が向上することから、体のスタイルをキープできるという効果も期待できる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のサポーター1は、人体の足に装着可能な伸縮性を有する足用サポーターである。サポーター1は、足首ベルト部3、巻き付けベルト部4、固定ベルト部5を備える。足首ベルト部3は二股状に形成され、足の外くるぶし28及び内くるぶし29よりも上の位置で外くるぶし28側から足首に両側から巻き回されて外くるぶし28を覆いつつ足首に固定される部位である。巻き付けベルト部4は帯状に形成され、足首ベルト部3の二股状に分岐する下部から下方に延び、外くるぶし28側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げつつ足の甲に巻き付けられる部位である。固定ベルト部5は、巻き付けベルト部4の固定ベルト部5側の一端部と反対側の他端部から延び、足首ベルト部3の外面に重ねて固定可能な部位である。
【0046】
足首ベルト部3が足首に両側から巻き回されて固定されることで、腓骨部分を引き締めることができるので、足首のぐらつきを抑制できる。さらに足首ベルト部3の下部から巻き付けベルト部が外くるぶし28側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げる。これにより、楔状骨の位置が引き上げられるので良好な足裏アーチを形成できる。また、巻き付けベルト部4が足の甲に巻き付けられた状態で固定ベルト部5が足首ベルト部の外面に重ねて固定されるので、甲を押圧して距骨を後方に押し込むことができる。これにより、身体のバランスを安定して保持できるので、腹筋やふくらはぎ等の筋肉使用量を効果的に向上できる。
【0047】
また、第1固定部51と第2固定部52が中心線Oに対して右側及び左側にやや反るようにして互いに離れているので、足の外くるぶし28を内側に配置できるほどのV字を形成でき、且つ足首ベルト部3の外面に確実に固定できるほどの長さを確保できる
【0048】
上記説明において、足首ベルト部3の下部が本発明の「分岐部」の一例である。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。サポーター1は予め別パーツとして用意した足首ベルト部3と、巻き付けベルト部4及び固定ベルト部5とを縫い合わせて作製されるが、足首ベルト部3、巻き付けベルト部4、及び固定ベルト部5を最初から一体して作製してもよい。足首ベルト部3の分岐角度は約100°であるが、これ以外の角度であってもよい。足首ベルト部3の第1巻回部31と第2巻回部32の夫々の先端部は略円弧状であるが、矩形状であってもよい。巻き付けベルト部4の幅は上記実施形態よりも細くても太くてもよい。固定ベルト部5の第1固定部51は第2固定部52よりも長く設計されているが、例えば同じ長さにしてもよく、第2固定部52の方を長くしてもよい。上記実施形態では、面ファスナ35は雌側、面ファスナ11,12,13は雄側であるが、互いに雌雄を逆にしてもよい。
【0050】
固定ベルト部5はV字状に形成され、第1固定部51と第2固定部52とに分岐するが、分岐していなくてもよい。例えば
図14に示すサポーター100、
図15に示すサポーター200は上記実施形態のサポーター1の変形例である。
図14に示すように、サポーター100の固定ベルト部500は分岐しておらず、一本の固定部510を備える。固定部510は足裏に巻き回された巻き付けベルト部4から甲部分の上を経由し、足首ベルト部3の外くるぶし28の上側に向かって略帯状に延びている。固定部510は、巻き付けベルト部4が土踏まず部分を引き上げた状態で、足首ベルト部3の外面に重ねて固定される。このようなサポーター100であっても、巻き付けベルト部4で楔状骨の位置を引き上げることができるので良好な足裏アーチを形成できる。
【0051】
また、
図15に示すサポーター200の固定ベルト部502も分岐しておらず、一本の固定部520を備える。固定部520は足裏に巻き回された巻き付けベルト部4から甲部分の上を経由し、足首ベルト部3の外くるぶし28の下側に向かって略帯状に延びている。固定部520は、巻き付けベルト部4が土踏まず部分を引き上げた状態で、足首ベルト部3の外面に重ねて固定される。このようなサポーター200であっても、巻き付けベルト部4で楔状骨の位置を引き上げることができるので良好な足裏アーチを形成できる。
【0052】
サポーター1の素材はグラフェンであるが、伸縮性のある素材であればグラフェン以外の素材でもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 サポーター
3 足首ベルト部
4 巻き付けベルト部
5 固定ベルト部
31 第1巻回部
32 第2巻回部
51 第1固定部
52 第2固定部
100 サポーター
200 サポーター
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の足に装着可能な伸縮性を有する足用サポーターであって、
伸縮性を有し且つ二股状に形成され、前記足の外くるぶし及び内くるぶしよりも上の位置で前記外くるぶし側から足首に両側から巻き回されて前記外くるぶしを覆いつつ前記足首に固定可能な足首ベルト部と、
伸縮性を有し且つ帯状に形成され、前記足首に固定された前記足首ベルト部の前記二股状に分岐する分岐部から下方に延び、前記外くるぶし側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げつつ前記足の甲に巻き付けられる巻き付けベルト部と、
伸縮性を有し且つ前記巻き付けベルト部の前記分岐部に接続する一端部とは反対側の他端部から延び、前記足首に固定された前記足首ベルト部の前記足に接触する内面とは反対側の外面に重ねて固定可能な固定ベルト部と
を備え、
前記固定ベルト部は、前記巻き付けベルト部の前記他端部から第1固定部と第2固定部とに二股状に分岐するV字状に形成され、前記足首ベルト部の前記外面において前記外くるぶしに対応する部分を前記第1固定部と前記第2固定部との間で挟むようにして固定されることを特徴とする足用サポーター。
【請求項2】
前記足首ベルト部の前記外面には、面ファスナの雌雄のうち何れか一方が設けられ、
前記固定ベルト部における前記足首ベルト部の前記外面に重ねられる内面には、前記面ファスナの雌雄のうち前記一方に接着される他方が設けられたこと
を特徴とする請求項1に記載の足用サポーター。
【請求項3】
前記足用サポーターの材質はグラフェンであること
を特徴とする請求項1又は2に記載の足用サポーター。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足用サポーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の足に装着可能な、伸縮性を有する踵足首サポーターであって、帯状に形成され、足の内くるぶしおよび外くるぶしの上方で足首に巻き回されて前記足首に固定可能な足首ベルトと、前記足首ベルトから下方に向けて延びて前記内くるぶし近傍を覆うことができる内側カバー面と、この内側カバー面から延びて踵骨近傍の足裏を覆うことができる踵カバー面と、この踵カバー面から伸びて前記外くるぶし近傍を覆うことができる外側カバー面とが一体に帯状に形成され、前記外側カバー面の端部が前記足首ベルトに固定されることにより伸張状態で前記足首ベルトに対して固定される踵ホールドベルトと;帯状に形成され、前記外側カバー面から略前方に延び、前記足の前側面でショパール関節に沿い、距骨を前記足の後方に向けて押圧可能であるとともに腓骨外側面およびアキレス腱上を通じて前記外くるぶしの上方まで延びるように巻き回されることにより踵および前記足首に固定可能である距骨押圧ベルトとを有する踵足首サポーターが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の踵足首サポーターにおいて、踵ホールドベルトの踵カバー面が覆うのは足裏の踵骨近傍である。そのため、土踏まず部分を効果的に引き上げることができず、良好な足裏アーチを形成するのが困難であった。また、踵ホールドベルトは、内くるぶし側から足裏に巻き回されて外くるぶし側から足の前側に引き上げられているので、仮に踵カバー面が土踏まず部分を覆っていたとしても、足裏の外側部分を引き上げてしまうことから、土踏まず部分を十分に引き上げることが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、良好な足裏アーチを形成できる足用サポーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の足用サポーターは、人体の足に装着可能な伸縮性を有する足用サポーターであって、伸縮性を有し且つ二股状に形成され、前記足の外くるぶし及び内くるぶしよりも上の位置で前記外くるぶし側から足首に両側から巻き回されて前記外くるぶしを覆いつつ前記足首に固定可能な足首ベルト部と、伸縮性を有し且つ帯状に形成され、前記足首に固定された前記足首ベルト部の前記二股状に分岐する分岐部から下方に延び、前記外くるぶし側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げつつ前記足の甲に巻き付けられる巻き付けベルト部と、伸縮性を有し且つ前記巻き付けベルト部の前記分岐部に接続する一端部とは反対側の他端部から延び、前記足首に固定された前記足首ベルト部の前記足に接触する内面とは反対側の外面に重ねて固定可能な固定ベルト部とを備え、前記固定ベルト部は、前記巻き付けベルト部の前記他端部から第1固定部と第2固定部とに二股状に分岐するV字状に形成され、前記足首ベルト部の前記外面において前記外くるぶしに対応する部分を前記第1固定部と前記第2固定部との間で挟むようにして固定されることを特徴とする。
【0007】
【0008】
請求項2の足用サポーターの前記足首ベルト部の前記外面には、面ファスナの雌雄のうち何れか一方が設けられ、前記固定ベルト部における前記足首ベルト部の前記外面に重ねられる内面には、前記面ファスナの雌雄のうち前記一方に接着される他方が設けられてもよい。
【0009】
請求項3の足用サポーターの材質はグラフェンであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の足用サポーターによれば、足首ベルト部が足首に両側から巻き回されて固定されることで、腓骨部分を引き締めることができるので、足首のぐらつきを抑制できる。さらに足首ベルト部の分岐部から巻き付けベルト部が外くるぶし側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げる。これにより、楔状骨の位置が引き上げられるので良好な足裏アーチを形成できる。また、巻き付けベルト部が足の甲に巻き付けられた状態で固定ベルト部が足首ベルト部の外面に重ねて固定されるので、甲を押圧して距骨を後方に押し込むことができる。これにより、身体のバランスを安定して保持できるので、腹筋やふくらはぎ等の筋肉使用量を効果的に向上できる。
【0011】
また、足用サポーターの伸縮性により、V字状の固定ベルト部が外くるぶしの周囲を甲側にひきあげるため、外くるぶし近傍に位置するアキレス腱、踵骨、足底筋を甲側に引き上げることができる。これにより、踵が内側に倒れるのを防止できる。
【0012】
請求項2の足用サポーターによれば、面ファスナで固定ベルト部を足首ベルト部の外面に固定するので、汗や水分等の影響を受け難く、しっかり固定できる。また、固定ベルト部を足首ベルト部の外面に対して面で固定するので、外くるぶしの周囲を効果的に引き上げることができる。
【0013】
請求項3の足用サポーターによれば、グラフェンを採用したことで、熱伝導性と耐久性を向上できる。さらに、遠赤外線効果・抗菌作用も付与できる。また弾力性・伸縮性も向上することから、足首に隙間なくフィットさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】バランスが正常な左足Fの骨格の状態を示す図である。
【
図5】バランスが崩れた左足Fの骨格の状態を示す図である。
【
図6】サポーター1を装着する途中の左足Fの正面図である。
【
図7】サポーター1を装着した左足Fの正面図である。
【
図8】サポーター1を装着した左足Fの右側面図である。
【
図9】左足Fにサポーター1が装着された状態の骨格の各部位との位置関係を示した図である。
【
図10】サポーター1の未装着時と装着時の被験者の両脚を前方から見た比較写真である。
【
図11】サポーター1の未装着時と装着時の被験者の両脚を後ろから見た比較写真である。
【
図14】サポーター100(変形例)が装着された左足Fの斜視図である。
【
図15】サポーター200(変形例)が装着された左足Fの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される構成などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0016】
図1,
図2を参照し、サポーター1(以下「サポーター1」と呼ぶ)の構成について説明する。サポーター1は足用サポーターであり、右足用と左足用の2種類がある。
図1,
図2に示すサポーター1は左足用であり、右足用は左足用に対して左右対称形状である。なお、
図1,
図2に示すサポーター1の方向については、説明の便宜上、左足に装着するときの向きで説明する。
図1はサポーター1の外面、
図2はサポーター1の内面を示す。本実施形態では、サポーター1を足に装着したときの足の表面に接触する面をサポーター1の内面とし、その反対側の面をサポーター1の外面とする。
【0017】
サポーター1は正面視略Y字状に形成され、上から順に、足首ベルト部3、巻き付けベルト部4、固定ベルト部5を一体して備える。サポーター1は伸縮性を有する素材で作製され、本実施形態ではグラフェンを採用する。グラフェンとは、炭素原子が網目のように六角形に結びついたシート状の素材であり、熱伝導性と耐久性に優れる。グラフェンをサポーター1の生地に採用したことで、サポーター1の熱伝導性と耐久性に加えて弾力・伸縮性が向上する。それ故、サポーター1は足の表面にぴたっとフィットし、しなやかな着け心地が得られる。
【0018】
足首ベルト部3は、上側に向けて二股状に大きく分岐し、正面視略V字状に形成される。足首ベルト部3は中心線O(
図2参照)を基準とする左右対称形状である。サポーター1の外面から見て、足首ベルト部3は、正面視右斜め上方に延びる第1巻回部31と、正面視左斜め上方に延びる第2巻回部32とを備える。これら第1巻回部31と第2巻回部32は足首に対して両側から巻き回して互いに固定する部分である。第1巻回部31と第2巻回部32に挟まれる足首ベルト部3の上縁部3Aは正面視略V字状である。
【0019】
第1巻回部31と第2巻回部32の分岐角度θ(
図2参照)は、第1巻回部31と第2巻回部32とを足首に巻き回したときに、足首ベルト部3の上縁部3Aが略水平となるように決めるのがよく(
図8参照)、本実施形態の分岐角度θは約100°である。第1巻回部31と第2巻回部32の夫々の先端部は略円弧状である。
図1に示すように、足首ベルト部3の外面の全領域には、雌側である面ファスナ35が貼付される。
図2に示すように、第2巻回部32の内面には雄側である面ファスナ11が貼付される。面ファスナ11は、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に対して着脱自在である。
【0020】
巻き付けベルト部4は、足首ベルト部3の下部から下方に延びる略帯状に形成され、中心線O(
図2参照)を基準とする左右対称形状である。巻き付けベルト部4の幅(長さ方向に直交する長さ)は、足首ベルト部3側の上部から長さ方向中央部にかけて先細り状に細くなり、その中央部から下部にかけて略同一幅となっている。巻き付けベルト部4の長さ方向中央部の幅は、足首ベルト部3の幅の略1/4である。巻き付けベルト部4の幅方向両縁部のうち、第1巻回部31側の外縁部41は、足首ベルト部3の第1巻回部31側の外縁部311に連続して中心線O側に緩やかに湾曲し、長さ方向中央部から下部にかけて下方に直線状に延びる。巻き付けベルト部4の第2巻回部32側の外縁部42も、足首ベルト部3の第2巻回部32側の外縁部321に連続して中心線O側に緩やかに湾曲し、長さ方向中央部から下部にかけて下方に直線状に延びる。
【0021】
固定ベルト部5は、巻き付けベルト部4の下端部から下側に向けて二股状に小さく分岐し、正面視略上下逆の略V字状に形成される。固定ベルト部5は、第1固定部51と第2固定部52を備える。第1固定部51は中心線O(
図2参照)から右側に離れるようにして、正面視右斜め下方に長く延びる。なお、第1固定部51は中心線O側とは反対側(右側)にやや沿っている。第2固定部52は中心線Oから左側に離れるようにして、正面視左斜め下方に第1固定部51よりも短く延びる。第2固定部52も中心線O側とは反対側(左側)にやや沿っている。第1固定部51の内面には、雄側である略矩形状の面ファスナ11が貼付され、第2固定部52の内面には、雄側である略矩形状の面ファスナ12が貼付される。これら面ファスナ11,12は、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に対して着脱自在である。
【0022】
上記構成を備えるサポーター1の作製方法について、例えば巻き付けベルト部4と固定ベルト部5は予め一体して作製し、足首ベルト部3は別パーツとして作製する。次いで、足首ベルト部3の下部と、巻き付けベルト部4の上端部とを相互に重ねた部位である連結部10をミシンで縫い合わせる。これにより、足首ベルト部3、巻き付けベルト部4、固定ベルト部5が帯状に一体化したサポーター1が作製される。そして、サポーター1の外縁部に沿って縁部9を縫い合わせることにより、サポーター1の外縁部が補強される。
【0023】
図3を参照し、サポーター1が作用する足の骨と機能について説明する。
図3は左足Fを構成する各骨の位置を図示している。サポーター1は足に装着することで、腓骨21、距骨22、楔状骨23、踵骨24の4つの骨に主に作用する。腓骨21は膝から足首まで延びる2本の骨のうち、外側の細い骨であり、足にかかる衝撃を吸収する。腓骨21の外側である左側部の下部には外くるぶし28が外側に突出して設けられる。なお、内側の太い骨は脛骨20である。脛骨20の内側である右側部の下部には内くるぶし29(
図6参照)が内側に突出して設けられる。
【0024】
距骨22は腓骨21の下側であって、地面に着く足と足首より上の脚との間にある小さな骨である。距骨22は動作の際に支点となって全体重を支えることで、身体のバランスを安定して保持する。距骨22は腰痛や膝痛に影響する骨といわれている。楔状骨23は、足の踵付近にある足根骨を構成する骨の一つであり、第一楔状骨231、第二楔状骨232、第三楔状骨233により構成される。楔状骨23は良好な足裏アーチを形成して足裏を柔らかくすることにより、歩行時の足への衝撃を吸収する。踵骨24は足の踵の骨であり、直接地面に接して全体重を支えると共に、足底筋及びアキレス腱を保持することから、身体の安定に強く影響する。
【0025】
図4を参照し、正しい足の位置について説明する。
図4は正しい位置の左足Fの各骨の位置を図示したものであり、(A)は左足Fを後方から見た図、(B)は左足Fを内側(右側)から見た図である。正しい位置の左足Fでは、(A)に示すように、脛骨20、距骨22、踵骨24が上下方向に一直線に並んで配置される(
図4(A)中に示す直線P参照)。この状態では(B)に示すように、楔状骨23が上方に持ち上がることから、足裏に円弧状に湾曲した綺麗な足裏アーチ(
図4(B)中に示す曲線Q参照)が形成される。足裏アーチは歩行時や運動時にバネやクッションになる重要な役割を担う。つまり、左足Fが正しい位置にあれば良好な足裏アーチが形成されるので、地面Gからの衝撃を吸収でき、足や関節・腰への負担が軽減される。また、踵骨24の位置が真っすぐなので、しっかりとした足取りで歩行・運動か可能である。
【0026】
図5を参照し、悪い足の位置について説明する。
図5は悪い位置の左足Fの各骨の位置を図示したものであり、(A)は左足Fを後方から見た図、(B)は左足Fを内側(左側)から見た図である。例えば(A)に示すように、左足Fの踵が内側に倒れている場合、距骨22及び踵骨24が内側(右側)にずれることから、腓骨21、距骨22、踵骨24が上下方向に並ばず、内側に折れ曲がった状態(
図5(A)中に示す曲線P参照)となる。この状態では(B)に示すように、楔状骨23(
図3参照)の位置が下がることから、足裏アーチが崩れて扁平(
図5(B)中に示す曲線Q参照)になってしまう。この状態で左足Fに力が加わると、踵が内側に崩れて足裏が地面Gに倒れ込んでしまうことから、左足Fに繋がる関節や腰に大きな負荷がかかる。また、踵が大きく崩れることで正しい歩き方ができず、運動神経に悪影響が出ることが予想される。また、全身が不安定な状態となり、そこから姿勢の悪さや全身のだるさにつながる可能性がある。
【0027】
本実施形態のサポーター1は、足首を固定することで足首のぐらつきを抑えつつ、足裏を引き上げて足裏アーチを形成することで、踵の内反(内側にひねること)・外反(外側にひねること)を抑制し、足を正しい位置に矯正できる。これにより使用者は筋肉を正しく使えるようになり、筋肉使用量を効果的に向上させることができる。
【0028】
図6~
図8を参照し、サポーター1の装着手順について説明する。なお、本実施例では、左足用のサポーター1を左足Fに装着する場合を例に説明する。サポーター1の装着手順は主に以下の3つのステップからなる。
【0029】
<第1ステップ>
先ず、サポーター1を
図1,
図2の向きで左足Fの足首の外側に配置する。そして、
図6に示すように、足首ベルト部3の上縁部3Aを、足首の外くるぶし28及び内くるぶし29よりも上の位置で外くるぶし28側から当てて位置決めしつつ、第1巻回部31を後方に巻き回し、次いで第2巻回部32を前方に巻き回す(
図6中矢印A1参照)。そして、外くるぶし28を足首ベルト部3で左方から覆いつつ足首に対して緩みなく締めて、内くるぶし29側において第1巻回部31の先端部の上に第2巻回部32の先端部を重ねる(
図8参照)。この状態で、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に対して、第2巻回部32の内面の面ファスナ11を貼り付けることで、足首ベルト部3が足首に固定される。このとき、足首ベルト部3の上縁部3Aは略水平になる。
【0030】
<第2ステップ>
次に、
図6の状態で、足首ベルト部3の下部から垂れ下がった巻き付けベルト部4を足裏に対して外側から巻き回し(
図6中矢印A2参照)、土踏まず部分をしっかり覆いつつ内くるぶし29側に強く引き上げる(
図7に示す矢印A3参照)。これにより、土踏まず部分が強く引き上げられる。
【0031】
<第3ステップ>
巻き付けベルト部4で土踏まず部分を強く引き上げた状態で、左足Fの甲部分を上方から覆いつつ固定ベルト部5を外くるぶし28側に強く引っ張る。そして、外くるぶし28を覆う足首ベルト部3の外面において、第1固定部51を外くるぶし28の上側において後方に引っ張り(
図7に示す矢印A4参照)、第2固定部52を外くるぶし28の下側において後方に引っ張る(
図7に示す矢印A5参照)。そして、外くるぶし28に対応する部分を第1固定部51と第2固定部52の間に挟んだ状態で(
図9参照)、第1固定部51の内面の面ファスナ12と、第2固定部52の内面の面ファスナ13とを、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に夫々貼り付ける。これにより、サポーター1が左足Fに装着される(
図7~
図9参照)。
【0032】
図9を参照し、サポーター1の装着時における足の各骨に対する作用効果について説明する。足首ベルト部3を足首に巻き付けることで、脛骨20と腓骨21を固定する。これにより、足首のぐらつきを抑制できる。さらに巻き付けベルト部4を外くるぶし28側から足裏に巻き回し、土踏まず部分をしっかり覆った状態で内くるぶし29側に強く引き上げることから、楔状骨23を効果的に持ち上げることができる。これにより、円弧状に湾曲する足裏アーチを簡単に形成できる。仮に足が内側又は外側に倒れていたとしても、楔状骨23が持ち上がることにより、内側又は外側に倒れていた足を中央の正しい位置に戻すことができる。
【0033】
また、巻き付けベルト部4が左足Fの甲に巻き付けられた状態で固定ベルト部5が足首ベルト部3の外面に重ねて固定されるので、甲が押圧されて距骨22を後方に押し込むことができる。これにより、身体のバランスを安定して保持できるので、腹筋やふくらはぎ等の筋肉使用量を効果的に向上できる。
【0034】
そして、固定ベルト部5の第1固定部51と第2固定部52が外くるぶし28を間に挟むようにして固定されている。サポーター1の伸縮性により、第1固定部51と第2固定部52が外くるぶし28の周囲を甲側に引き上げる(
図9中に示す矢印E1,E2参照)。これにより、外くるぶし28近傍に位置するアキレス腱、踵骨24、足底筋が甲側に引き上げられることから、踵が安定した正しい位置に矯正される。よって、踵が内側に倒れるのを抑制できる。
【0035】
また、サポーター1では、固定ベルト部5の第1固定部51と第2固定部52を、第1固定部51の内面の面ファスナ12と、第2固定部52の内面の面ファスナ13とで、足首ベルト部3の外面の面ファスナ35に固定するので、汗や水分等の影響を受け難く、しっかり固定できる。また、第1固定部51と第2固定部52を足首ベルト部3の外面に対して面で固定するので、外くるぶし28の周囲を効果的に引き上げることができる。
【0036】
本実施形態のサポーター1の効果を確認する為、2つの確認試験を行った。確認試験1では、サポーター1装着による足の位置の矯正効果について検証した。確認試験2では、サポーター1装着による腹直筋及び腓腹筋の使用量の変化について検証した。以下順に説明する。
【0037】
図10,
図11を参照し、確認試験1について説明する。本試験では右足に外反の症状を持つ人を被験者とし、サポーター1の未装着時と装着時とで両足の位置の変化について比較を行った。
図10に示す基準線P1~P4は、各足が正しい位置のときの各足の中心線を示す。
図11に示す中心線Oは、各足が正しい位置のときの両脚の中心線を示す。
【0038】
先ず未装着時の被験者の両足の位置及び体のバランスについて検証する。
図10の左側の写真に示すように、未装着時の被験者の両脚を前側から見ると、右足が基準線P1に対して外側(矢印A1方向)にずれて傾いていることが分かる。これに伴い、左足が右足にやや引きずられており、その結果、体全体がA1方向に傾いている。また、
図11の左側の写真に示すように、未装着時の被験者の両脚を後ろ側から見ると、右足の踵がA1方向に傾いて外くるぶしがA1方向に大きく突き出している。このことから、右足に外反の症状が強く出ていることが分かる。そして、踵、足首、ふくらはぎの各位置を結ぶ仮想線C1はA1方向に傾いて湾曲し、右脚全体がA1方向に傾いている。これに伴い、左脚も右脚側(A1方向)に引きずられていることから、体全体が中心線Oに対してA1方向にずれて傾いていることが分かる。
【0039】
次に装着時の被験者の両足の位置及び体のバランスについて検証する。
図11の右側の写真に示すように、装着時の被験者の両脚を前側から見ると、未装着時と比較して、右足の位置がサポーター1によりA2方向に矯正されて右脚全体が基準線P3上に位置している。そして、左足の位置も右足と同様にサポーター1によりA2方向に矯正されて左脚全体が基準線P4上に位置している。その結果、体全体がA2方向に矯正され、左右のバランスが良くなっている。また、
図11に示すように装着時の被験者の両脚を後ろ側から見ると、未装着時と比較して、外くるぶしの位置がA2方向に
矯正されてふくらはぎが内側に移動して上下方向に立っていることから、右足の外反の症状が軽減されていることが分かる。さらに、踵、足首、ふくらはぎの各位置を結ぶ仮想線C2は仮想線C1と比較してほぼ一直線となっており、中心線Oに対して平行に近い状態となっている。このことから、右脚全体の傾きがA2方向に矯正されていることが分かる。そして、左足の位置も右足と同様にサポーター1により矯正されているので、その結果、体全体の中心線がほぼ中心線O上となり、左右のバランスが良くなっている。
【0040】
以上の結果より、サポーター1を両足に装着することにより、足の位置が正しい位置に矯正され、体全体のバランスが改善されることが実証された。
【0041】
図12,
図13を参照し、確認試験2について説明する。本試験では、3名の被験者A,B,Cについて、サポーター1の未装着の状態と装着した状態とで、ウォーキングマシンにて3分間ウォーキングを行い、そのときの腹直筋(腹の前面に位置する筋肉)と腓腹筋(ふくらはぎ)の筋電測定を行った。なお、サポーター1は両足に装着した。
【0042】
図12は3名の被験者の腹直筋の筋電測定の結果である。縦軸は腹直筋の振幅の積分値である。被験者Aでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が121%向上した。被験者Bでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が135%向上した。被験者Cでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が147%向上した。よって、サポーター1を装着した場合、未装着時と比較して平均134%の腹直筋の使用量が向上した。これらの結果より、サポーター1を両足に装着することによって、腹直筋の使用量が向上することが実証された。
【0043】
図12は3名の被験者の腓腹筋の筋電測定の結果である。縦軸は腓腹筋の振幅の積分値である。被験者Aでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が101%向上した。被験者Bでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が148%向上した。被験者Cでは、未装着時と比較して装着した場合は筋肉使用量が142%向上した。よって、サポーター1を装着した場合、未装着時と比較して平均130%の腓腹筋の使用量が向上した。これらの結果より、サポーター1を両足に装着することによって、腓腹筋の使用量が向上することが実証された。
【0044】
上記確認試験2の結果より、サポーター1を足に装着することにより、足の位置が正しい位置に矯正されて足裏アーチが良好に形成されたことから、両脚のバランスが整い、その結果、各部位の運動効率が上がり、筋肉使用量が向上したものと推測される。従って、サポーター1を足に装着することで、体の各部位の運動効率が上がり、全身の筋肉使用量を向上させる効果が期待できる。また、全身の筋肉使用量が向上することから、体のスタイルをキープできるという効果も期待できる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態のサポーター1は、人体の足に装着可能な伸縮性を有する足用サポーターである。サポーター1は、足首ベルト部3、巻き付けベルト部4、固定ベルト部5を備える。足首ベルト部3は二股状に形成され、足の外くるぶし28及び内くるぶし29よりも上の位置で外くるぶし28側から足首に両側から巻き回されて外くるぶし28を覆いつつ足首に固定される部位である。巻き付けベルト部4は帯状に形成され、足首ベルト部3の二股状に分岐する下部から下方に延び、外くるぶし28側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げつつ足の甲に巻き付けられる部位である。固定ベルト部5は、巻き付けベルト部4の固定ベルト部5側の一端部と反対側の他端部から延び、足首ベルト部3の外面に重ねて固定可能な部位である。
【0046】
足首ベルト部3が足首に両側から巻き回されて固定されることで、腓骨部分を引き締めることができるので、足首のぐらつきを抑制できる。さらに足首ベルト部3の下部から巻き付けベルト部が外くるぶし28側から足裏に巻き回されて土踏まず部分を引き上げる。これにより、楔状骨の位置が引き上げられるので良好な足裏アーチを形成できる。また、巻き付けベルト部4が足の甲に巻き付けられた状態で固定ベルト部5が足首ベルト部の外面に重ねて固定されるので、甲を押圧して距骨を後方に押し込むことができる。これにより、身体のバランスを安定して保持できるので、腹筋やふくらはぎ等の筋肉使用量を効果的に向上できる。
【0047】
また、第1固定部51と第2固定部52が中心線Oに対して右側及び左側にやや反るようにして互いに離れているので、足の外くるぶし28を内側に配置できるほどのV字を形成でき、且つ足首ベルト部3の外面に確実に固定できるほどの長さを確保できる
【0048】
上記説明において、足首ベルト部3の下部が本発明の「分岐部」の一例である。
【0049】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。サポーター1は予め別パーツとして用意した足首ベルト部3と、巻き付けベルト部4及び固定ベルト部5とを縫い合わせて作製されるが、足首ベルト部3、巻き付けベルト部4、及び固定ベルト部5を最初から一体して作製してもよい。足首ベルト部3の分岐角度は約100°であるが、これ以外の角度であってもよい。足首ベルト部3の第1巻回部31と第2巻回部32の夫々の先端部は略円弧状であるが、矩形状であってもよい。巻き付けベルト部4の幅は上記実施形態よりも細くても太くてもよい。固定ベルト部5の第1固定部51は第2固定部52よりも長く設計されているが、例えば同じ長さにしてもよく、第2固定部52の方を長くしてもよい。上記実施形態では、面ファスナ35は雌側、面ファスナ11,12,13は雄側であるが、互いに雌雄を逆にしてもよい。
【0050】
固定ベルト部5はV字状に形成され、第1固定部51と第2固定部52とに分岐するが、分岐していなくてもよい。例えば
図14に示すサポーター100、
図15に示すサポーター200は上記実施形態のサポーター1の変形例である。
図14に示すように、サポーター100の固定ベルト部500は分岐しておらず、一本の固定部510を備える。固定部510は足裏に巻き回された巻き付けベルト部4から甲部分の上を経由し、足首ベルト部3の外くるぶし28の上側に向かって略帯状に延びている。固定部510は、巻き付けベルト部4が土踏まず部分を引き上げた状態で、足首ベルト部3の外面に重ねて固定される。このようなサポーター100であっても、巻き付けベルト部4で楔状骨の位置を引き上げることができるので良好な足裏アーチを形成できる。
【0051】
また、
図15に示すサポーター200の固定ベルト部502も分岐しておらず、一本の固定部520を備える。固定部520は足裏に巻き回された巻き付けベルト部4から甲部分の上を経由し、足首ベルト部3の外くるぶし28の下側に向かって略帯状に延びている。固定部520は、巻き付けベルト部4が土踏まず部分を引き上げた状態で、足首ベルト部3の外面に重ねて固定される。このようなサポーター200であっても、巻き付けベルト部4で楔状骨の位置を引き上げることができるので良好な足裏アーチを形成できる。
【0052】
サポーター1の素材はグラフェンであるが、伸縮性のある素材であればグラフェン以外の素材でもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 サポーター
3 足首ベルト部
4 巻き付けベルト部
5 固定ベルト部
31 第1巻回部
32 第2巻回部
51 第1固定部
52 第2固定部
100 サポーター
200 サポーター
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】