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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155226
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】処理対象水の清掃装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20241024BHJP
   E02B 9/04 20060101ALI20241024BHJP
   E02B 15/00 20060101ALI20241024BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20241024BHJP
   H02S 10/20 20140101ALI20241024BHJP
【FI】
E02B5/08 101Z
E02B9/04
E02B15/00 Z
C02F1/00 X
C02F1/00 L
C02F1/00 S
H02S10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069733
(22)【出願日】2023-04-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年6月19日 RKB毎日放送株式会社ほか5社が放送した「世界一の九州が始まる!」という番組にて公開 令和5年3月2日 熊本県民テレビKKTが放送した「てれビタevery.」という番組にて公開 令和5年3月4日 熊本県民テレビKKT公式チャンネルがインターネット上の動画投稿サイトYouTubeに「〔SDGs〕飲食店の廃油はどこへ?貝殻で水をきれいに」を公開
(71)【出願人】
【識別番号】519085213
【氏名又は名称】株式会社SUSTAINABLE JAPAN
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100142701
【弁理士】
【氏名又は名称】吉永 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】東▲濱▼ 孝明
(72)【発明者】
【氏名】真島 直
【テーマコード(参考)】
2D025
5F251
【Fターム(参考)】
2D025AA01
5F251JA28
(57)【要約】
【課題】流量が変化しやすい用水路などを流れる処理対象水の中の塵芥の中でもマイクロプラスチック等の原因となりやすい肥料被覆材などの浮遊性の塵芥等を効率よく回収でき、回収した塵芥を容易に除去できる清掃装置を提供する。
【解決手段】処理対象水の塵芥を回収して清掃する清掃装置10であって、処理対象水を取水する取水部21と、取水部21に流入する水量を調整する調整部31と、取水部21の開口部を水面に維持する浮遊性の姿勢制御部41、42と、取水部21の処理対象水を送水するポンプ22と、ポンプ22で送水した処理対象水の塵芥を回収する回収部61と、を有する清掃装置10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象水の塵芥を回収して清掃する清掃装置であって、
処理対象水を取水する取水部と、
前記取水部に流入する水量を調整する調整部と、
前記取水部の開口部を水面に維持する浮遊性の姿勢制御部と、
前記取水部の前記処理対象水を送水するポンプと、
前記ポンプで送水した前記処理対象水の塵芥を回収する回収部と、を有する清掃装置。
【請求項2】
前記回収部が、塵芥を捕捉する網状部を有し、前記網状部を通過した水が水路に戻される、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記取水部の容器に含まれる水量に応じて上下して開閉する扉により前記取水部に流入する水量を調整するものであり、前記扉は液と気体を含み密閉した容器を前記取水部に配置したものである請求項1に記載の清掃装置。
【請求項4】
前記姿勢制御部は、前記取水部の奥行の2倍以上の長さの浮子を有するものである、請求項1に記載の清掃装置。
【請求項5】
前記処理対象水の水面を計測する水面センサを有し、処理対象水の水位が管理水位よりも低いとき、前記ポンプの運転を停止する請求項1に記載の清掃装置。
【請求項6】
太陽光発電部と、前記太陽光発電部で発電した電力を蓄電する蓄電池とを有し、前記蓄電池の電力で前記ポンプを運転する請求項1に記載の清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用水路や調整池、海などの処理対象水に含まれる塵芥の清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
灌漑用などに、田圃などの農作地の周辺などには用水路や調整池などが配置されている。用水路等は、その多くが、外に開放された状態で設けられているため、季節や天候などにより水量も大きく異なり、落ち葉や、路上に放棄されたごみなど、様々なところから入り込む塵芥も流れる場合がある。用水路等の清掃は、用水の使用者等にとって大きな負担となる場合があり、清掃を行わずに流失させると河川や海洋汚染の原因となるものもある。また、海などでも、これらの塵芥が流れ込んだり、その場所やその周辺に由来したりする塵芥を清掃することが求められる場合がある。
【0003】
用水路等の清掃に関するものとして、次のような技術などが開示されている。特許文献1は、汚泥、塵芥を汲み上げる管路に吸入ポンプを設け、該管路の終端に粉砕機を接続し、該粉砕機の出口下方に塵芥、汚泥と泥水とを分けるストレーナーを設けてなる分離装置を車輌に搭載したことを特徴とする用水路等の清掃車を開示している。
【0004】
特許文献2は、用水路、排水路、取水路等の水路に揺動自在に設けたスクリーンと、このスクリーンの後部の昇降を司る前記水路の側壁肩部に載置されたスクリーン巻上装置と、このスクリーンを水流方向に対しては固定的にすると共に、その先部を水面方向に上下動可能とした支持装置と、前記スクリーンの後端に近接して設けたバケツト装置と、このバケツト装置のバケツトを転向させる搬送装置とを設けてなる用水路等水路の除塵装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61-23355号公報
【特許文献2】実公平4-12094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
用水路は、落葉や、虫の屍骸など、自然界由来の塵芥等が入り込む場合がある。しかし、自然界由来のものであれば、その種類によって時間がかかる場合があっても、自然界での腐敗等により分解され一定程度は自然に排除される。また、水路の構造などから塵芥が集まる部分について、定期的に人手による清掃や、特許文献1等の清掃車による清掃などで維持管理できる。
【0007】
近年、農業において、その効果の高さなどから、緩効性の被覆肥料などが広く用いられるようになっている。被覆肥料は、プラスチック製の容器内に肥料が含まれ、被覆材の孔などから肥料を徐放することで農作物を育成する期間中、効果を奏することができる。しかし、長期間用いることから、被覆材が風雨などで飛散し用水路に入り込む場合がある。これらのプラスチック製の容器は、従来の自然界由来のものや土砂等と流路での挙動が異なり、水路の定期清掃などでは捕捉できない場合がある。
【0008】
また、自然界でのマイクロプラスチックの蓄積がより大きな環境問題としても着目されるようになってきている。特許文献2などのように、用水路の除塵のためにスクリーンを用いることで捕捉等できる場合があるが、スクリーンを常時配置すると目詰まり等で用水が流れにくくなる場合もあり、スクリーンを巻き上げて塵芥を回収する必要があり手間がかかる場合がある。また、海などでも潮の満ち引きや季節、天候などによって海面や潮流が変わるためその海面等に合わせて塵芥を回収することが求められている。
【0009】
このような状況下、本発明は、処理対象水中の塵芥の中でも肥料被覆材などの浮遊性の塵芥を効率よく回収でき、回収した塵芥を容易に除去できる清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0011】
<1> 処理対象水の塵芥を回収して清掃する清掃装置であって、
処理対象水を取水する取水部と、
前記取水部に流入する水量を調整する調整部と、
前記取水部の開口部を水面に維持する浮遊性の姿勢制御部と、
前記取水部の前記処理対象水を送水するポンプと、
前記ポンプで送水した前記処理対象水の塵芥を回収する回収部と、を有する清掃装置。
<2> 前記回収部が、塵芥を捕捉する網状部を有し、前記網状部を通過した水が水路に戻される、前記<1>の清掃装置。
<3> 前記調整部は、前記取水部の容器に含まれる水量に応じて上下して開閉する扉により前記取水部に流入する水量を調整するものであり、前記扉は液と気体を含み密閉した容器を前記取水部の上流側に配置したものである前記<1>または<2>の清掃装置。
<4> 前記姿勢制御部は、前記取水部の奥行の2倍以上の長さの浮子を有するものである、前記<1>~<3>のいずれかの清掃装置。
<5> 前記処理対象水の水面を計測する水面センサを有し、処理対象水の水位が管理水位よりも低いとき、前記ポンプの運転を停止する前記<1>~<4>のいずれかの清掃装置。
<6> 太陽光発電部と、前記太陽光発電部で発電した電力を蓄電する蓄電池とを有し、前記蓄電池の電力で前記ポンプを運転する前記<1>~<5>のいずれかの清掃装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の清掃装置によれば、処理対象水中の塵芥に含まれるマイクロプラスチックなどの原因となる浮遊性の塵芥を効率よく回収でき、回収した塵芥を容易に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第一の実施形態に係る清掃装置の製造例の像である。
図2】本発明の第一の実施形態の清掃装置の調整部の例を説明するための図である。
図3】本発明の第一の実施形態の清掃装置の製造例の調整部を拡大した像である。
図4】本発明の第一の実施形態の清掃装置の使用例の外観を示す像である。
図5】本発明の第一の実施形態の清掃装置の使用例の調整部を拡大した像である。
図6】本発明の第二の実施形態の清掃装置の概要図である。
図7】本発明の第三の実施形態の清掃装置の概要図である。
図8】本発明の第四の実施形態の清掃装置の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。
【0015】
[本発明の清掃装置]
本発明の清掃装置は、処理対象水の塵芥を回収して清掃する清掃装置であって、処理対象水を取水する取水部と、前記取水部に流入する水量を調整する調整部と、前記取水部の開口部を水面に維持する浮遊性の姿勢制御部と、前記取水部の前記処理対象水を送水するポンプと、前記ポンプで送水した前記処理対象水の塵芥を回収する回収部と、を有する。
【0016】
本発明の清掃装置は、流量が変化しやすい用水路等を流れる浮遊性の塵芥を効率よく回収でき、回収した塵芥を容易に収集できる。本発明の清掃装置は、水面に浮きやすい塵芥を回収し、用水等に含まれる浮遊性の塵芥等を回収できる。また、清掃装置は水面に応じて姿勢制御部が浮遊することで上下に移動する。また、回収部に回収されている塵芥を除去することで効率よく塵芥を除去でき、継続して運転できる。
【0017】
特に、調整部により取水部に流入する水量を調整して、取水部に入る処理対象水の流れを作ることで、塵芥が入り込みやすいものとすることができる。また、ポンプの流量がポンプ規格に則った一定流量であっても、取水部内水量を調整していることで、ポンプの複雑な制御を行わずとも安定した処理ができる。さらに、取水部の水量変化により不安定になる重心に対しても、姿勢制御部により安定させることができる。
【0018】
[清掃装置10]
図1は、本発明の第一の実施形態に係る清掃装置の製造例の像である。図1は、清掃装置10の斜視図である。清掃装置10は、用水路などの処理対象水に含まれる浮遊性の塵芥等を回収して清掃する装置である。清掃装置10は、取水部21と、ポンプ22と、調整部31と、姿勢制御部41、42と、回収部61とを有する。
【0019】
図1において、用水路などで用いるとき、処理対象水の流れは、左側が上流側であり、右側が下流側である。取水部21に、調整部31側から処理対象水が流入し、その処理対象水に含まれる塵芥を回収する。
【0020】
図2は、本発明の第一の実施形態の清掃装置の調整部の例を説明するための図である。図2は、取水部21等を側面視した略断面図である。取水部21には、ポンプ22を配置しており、配管51を通して、取水部21内の処理対象水を回収部61へと送出する。回収部61は、送出された処理対象水に含まれる塵芥を回収する。
【0021】
図2(a)は、取水部21に入っている処理対象水の量が少ない状態である。調整部31は、中空の直方体状であり、その内部に水と、空気とが含まれている。調整部31は、取水部21の中の処理対象水が少なく水面91のように低いときは、扉となる調整部31が下がった状態である。調整部31が低い位置にあるため、上流側となる左側から処理対象水が容易に取水部21に入り込む状態となる。
【0022】
図2(b)は、取水部21に含まれる水量が増えて、水面92が取水部21の中央付近まで高くなった状態である。このとき、水面92に、調整部31内の水311の水面が、それぞれの比重によって連動するため、調整部31の扉が上がっていく。これに伴い、取水部21の上流側の開口部が狭くなるため、取水部21に処理対象水が入りにくくなる。
【0023】
図2(c)は、取水部21に含まれる水量がさらに増えて、水面93まで高くなった状態である。このとき、水面93に合わせて、調整部31内の水311の水面に応じてスライドして、さらに調整部31の扉が上がる。これに伴い、取水部21の開口部がほぼ閉じた状態となる。このため、取水部21には水が入り込まない状態となる。そして、取水部21内の水量が減るにつれ、図2(a)のような状態に戻っていくため、再度、処理対象水が入り込む状態となる。なお、流入量と、ポンプの送出量のバランスが取れているときは、調整部31は安定した位置で留まる。
【0024】
ポンプの送出量は、例えば、150W程度の動力で送出するものの場合、80L~100L/min程度である。しかし、処理対象水の流量は、時間帯や天候などによって変わる場合もあるため、そのときの流量によって、ポンプが送出するべき水量が変わる可能性がある。しかし、調整部31のような構成を設けることで、取水部21内の処理対象水の水量を調整でき、ポンプは一定流量のままでも対応できる。さらに、調整部31が上がった状態(閉じた状態)から、下がったとき(開いた状態)に、大きな流れが生じるため、この流れにのって、塵芥を取水部に流れこませることができる。
【0025】
図3は、本発明の第一の実施形態の清掃装置の製造例の調整部を拡大した像である。取水部21を正面視したとき、図3(a)のように調整部31の扉が下がったときは、開口部が大きくなり処理対象水が流れ込みやすい。図3(b)のように調整部31の扉が上がったときは、開口部が閉じて、取水部21に処理対象水がそれ以上流れ込まず、取水部21内の処理対象水の送出を行えばよいものとなる。
【0026】
図4は、本発明の第一の実施形態の清掃装置の使用例の外観を示す像である。図5は、本発明の第一の実施形態の清掃装置の使用例の調整部周辺を拡大した像である。
【0027】
清掃装置は、用水路に配置して、用水の処理対象水の塵芥を回収する。姿勢制御部に、浮遊性のフロート(浮子)を用いているため、水面に配置された状態となる。用水が、取水部に連続的に入り込み、取水部内の水量が多くなると、調整部が上がっていく。
【0028】
図5(a)は、調整部が下がった状態で、勢いよく用水が取水部に流れ込んでいる。一方、図5(b)は、取水部に含まれる水が多くなり、調整部が上がった状態で、用水が流れ込みにくくなった状態である。取水部の水を十分にポンプが送出すると、図5(a)のように再度、調整部が下がった状態になる。
【0029】
取水部周辺は、取水部内の水量や、調整部の位置によって、用水路の水量とのバランスが変わり、傾きやすい状態である。しかし、姿勢制御部が、取水部の奥行に沿って、用水路の上流から下流に向けて十分に長いフロート(浮子)を用いたものとして設けられているため、調整部の位置が変わっても取水部周辺の傾きを解消するように姿勢を制御する。
【0030】
ポンプが送出した処理対象水は、被覆肥料のプラスチック被覆材などの大きさに合わせたネットを配置した回収部を通して送出される。これにより、被覆材などはネットに回収されて、処理後の水は、用水路に戻される。
【0031】
[処理対象水]
清掃装置10は、用水の水路や、調整池などの処理対象水がある場所で用いられる。清掃装置10は、特に灌漑のための農業用の用水路などに用いられる。用水路を流れる用水は、農業用水や雨水などが流れる。用水には、落葉や自然界由来のものや、飛散や放棄されたもの、農業用途で用いられた被覆肥料などの塵芥を含む水が流れる。
【0032】
[取水部21]
取水部21は、用水路などの水面付近の塵芥を含む水を回収するための取水をする部分である。取水部21は、上流部側に開口部を有している。取水部21は、箱状の容器であり、その一面が開口部となり調整部31を設ける部分である。取水部21の底面側にポンプ22を配置している。ポンプ22を運転して水を吸い込むことで、上流側から塵芥を含む水が取水部21に流れ込み、配管51を通り、回収部61へと塵芥を含む水が送出される。例えば、図1の清掃装置10の取水部21は、幅50cm程度、奥行45cm程度、高さ35cm程度とでき、調整部により開口部の高さが、±10cm程度上下できるものとしている。
【0033】
ポンプ22は、水中でも起動する水中ポンプでもよい。または、用水路の上部や外に配置するものとしてもよい。また、ポンプ22が送出する流量は、用水路の大きさなどによって、適宜設定される。例えば、幅50cm~1m程度の汎用されている用水路の場合、10L/min~300L/min程度や、50L/min~150L/min程度、80L/min~100L/min程度の流量のものなどを用いることができる。
【0034】
[調整部31]
調整部31は、取水部21に流入する水量を調整する部分である。例えば、図2~5等に示すような構成で水量の流れを調整できる。取水部の容器に含まれる水量に応じて上下して開閉する扉により取水部に流入する水量を調整するものであり、扉は、水などの液と気体を含み密閉した容器を取水部の上流側に配置したものとすることができる。
【0035】
[姿勢制御部41、42]
姿勢制御部41、42は、取水部の開口部を水面に維持するためのものである。また、このために、浮遊性を有している。姿勢制御部41、42は、例えば、塩化ビニル管の端部を閉じて中空状とすることで、水に浮くものとして、用水路などの用水の水面に配置される。これにより、清掃装置10全体や、取水部21の開口部を、用水の水位に応じて上下に動くものとする。姿勢制御部41、42は、取水部21の両端に1本ずつ配置することで、取水部に誘導する流路をなす誘導部としても機能する。
【0036】
姿勢制御部に浮遊性を持たせるためにフロート(浮子)を用いることができる。フロートは、清掃装置10全体や、特に取水部21の開口部を用水の水面に配置するものである。フロートは、水位に合わせて上下しても、取水部21の姿勢を制御でき、かつ開口部から水面付近の水が流入するように取り付ける。フロートは、例えば、発泡スチロールや、中空の管、中空の容器等を用いることができる。
【0037】
姿勢制御部41、42は、取水部の奥行の2倍以上の長さのフロート(浮子)を有するものとすることが好ましい。取水部21は、容器内に含まれる水量によって、容器内の水面が変わるため、周囲の用水路の用水の水面に応じて、浮力の安定性が変わったり、処理対象水の流入に合わせて上流から下流側に波打つように揺れるような場合がある。姿勢制御部41、42は、このような取水部の水量による不安定性を解消して、姿勢を制御する。
【0038】
[回収部61]
回収部61は、取水部21から流入した塵芥を含む処理対象水に含まれる塵芥を回収する。清掃装置10は、配管51から塵芥を含む水が、回収部61に向けて排出される。回収部61に塵芥は捕捉されて回収される。回収される塵芥としては、肥料被覆材(被覆肥料)などがあげられる。目開き1~10mm程度の網で大きな塵芥を回収することができる。また、適宜、さらに目開きが小さい網で比較的小さい塵芥を回収するものとしてもよい。回収部61の網状部の目開き部分から水は流出し、用水路などに戻される。
【0039】
フレーム71は、清掃装置10の回収部の取り付けや、姿勢制御部41、42、回収部を一体化させるための枠組みとして設けている。また、塵芥の回収に加えて、さらに処理対象水に含まれる水質を改良するために、適宜フィルタ81も流通させるものとしてもよい。
【0040】
清掃装置10は電源部を設けてもよい。電源部は、清掃装置10を動作するための電源などを収容した部分である。例えば、屋外に配置されて電源の確保などが難しい場所でも独立して使用できるように、清掃装置10は、太陽光発電部となるソーラーパネルを有するものとできる。ソーラーパネルで発電した電力や、予め充電等された電力は、蓄電池となるバッテリーに蓄電される。バッテリーの電力は、ポンプ22などを運転するための電力として使用される。また、清掃装置10は、水位や時間帯などに応じて運転条件を制御する制御部を有するものとできる。
【0041】
清掃装置は、IoT技術を取り入れて、水位センサ、電力ストップセンサ、回収ゴミ分類赤外線センサ、GPSを搭載して、スマートフォンなどの携帯端末のアプリに通知が来るシステムとしてもよい。これにより、遠隔に配置している装置の状態も容易に把握することができる。
【0042】
清掃装置10は、使用場所の用水路などに係留しておくことができる。一方で、流れが速いときや故障などにより意図しない場所に動いたり、盗難などのおそれもある。このため、GPSセンサ(グローバルポジショニングシステム、全地球測位システム)を配置して、機器の盗難防止等をできるものとしてもよい。
【0043】
清掃装置10は、用水路を流れる用水などの水面を計測する水面センサを有するものとすることができる。水面センサは、用水路を水が流れていないときは、ポンプの運転を停止する制御を行うものとできる。水面センサは、水面の高さを把握するセンサとしてもよいし、所定の水位を下回るか否かを判定するセンサとしてもよい。用水路は、干ばつ期や、農閑期などは用水が流れていないため、空回りなどを防止するために停止することが好ましい。
【0044】
また、清掃装置10は、通信部や、警報部(図示しない)を有するものとしてもよい。通信部は、遠隔地に設置された清掃装置10の運転状況を把握したり、運転を指示するものとできる。また、用水が溢流している場合や、水面センサ以下となっている場合、電力が不足している場合、回収部が捕捉している塵芥量が上限量を超えている場合など、維持管理の問題が生じているときなどに警報を発するものとできる。この警報は適宜通信部により維持管理システムなどに連絡することができる。
【0045】
図6は、本発明の第二の実施形態の清掃装置の概要図である。清掃装置101は、図1等に示す清掃装置10に準じる構成の清掃装置である。図6(a)は、清掃装置101を平面視した概要図である。図6(b)は、清掃装置101を、側面視方向からみた略断面図である。X方向は幅方向であり、Y方向は奥行方向であり、Z方向は高さ方向である。
【0046】
清掃装置101において、取水部21は、姿勢制御部41、42間に配置され、姿勢制御部41、42に固定されている。また、回収部61は、平面視したとき姿勢制御部41、42間に配置され、高さ方向で姿勢制御部41、42よりやや上方に配置されて、姿勢制御部41、42に固定されている。清掃装置101は、構造を一体化させるために、姿勢制御部41、42間を架け渡すフレーム71によっても固定されている。
【0047】
取水部21内には、ポンプ22が配置されている。ポンプ22は、太陽光発電部221に接続された蓄電池222に接続されて、蓄電池222の電力で動作する。取水部21内には、所定の高さにセンサ223が配置され水位を検出している。取水部21内の水量が管理水位よりも低いとき、センサ223がその水位を検出し、ポンプ22は停止する。管理水位は、ポンプが空転する恐れがあるような水量が少ないときや、用水路等の水位がそもそも低く流入する取水部に水量が少なくて処理する必要が無いときの取水部21内の水位であり、ポンプ22を停止したほうがよい状態として管理するために設定した水位である。図6(a)、図6(b)の左から右に向けて、用水路の水が流れる。取水部21内の水量は、上下する調整部31により調整される。
【0048】
清掃装置101は、設置する場所に合わせて、その大きさを調整する。特に、用水路や調整池での使用が好ましく、それらの幅などに合わせて設計する。大きさは、特に、姿勢制御部41、42の幅方向の外側の広さとなる、図6における、幅の長さL0に基づいて設計できる。この姿勢制御部41、42の幅にあたる長さL0は、例えば、30cm~2m程度や、50cm~1.2m程度とすることができる。
【0049】
姿勢制御部は、このような姿勢の制御を安定させるために、流れ方向に沿うものとしての設計が有効である。これは、図6における、取水部21の奥行の長さL1に対する、姿勢制御部41、42の奥行の長さL2の比率(L2/L1)は、2倍以上の長さとなるフロート(浮子)を用いることが好ましい。より好ましくは、L2/L1は、2.5倍以上や、3倍以上である。L2/L1の上限は、取り回しなども考慮して8倍以下や、5倍以下としてもよい。なお、例えば、これらの長さL1は、30cm~1m程度とすることができる。また、長さL2は、60cm~5mなどとすることができる。
【0050】
図7は、本発明の第三の実施形態の清掃装置の概要図である。清掃装置102は、清掃装置101に準じる構成である。清掃装置102は、塵芥を含む水の流路に配置された予備回収部32を有する。塵芥を含む水は、取水部21から、配管51等を通って、回収部61へと送出されるため配管51等よりも大きいものなどは、予備回収部32で捕捉することで配管への流入を防止すれば、より長期間安定して用水路を清掃することができる。予備回収部32は、網状体などを用いることができ、姿勢制御部41、42の取水部21よりも上流側に張ったり、取水部21の開口部付近に設けることができる。また、予備回収部32に捕捉されるような大型のゴミ等は、予備回収部32を適宜取り外したり、取り換えたりすることで部分的な清掃で維持管理できる。このような網状部で回収するゴミとしては、例えば、ペットボトルや、袋、草、葉などがあげられる。
【0051】
また、姿勢制御部41、42の上流側から処理対象水が流れ込むため、効率よく処理対象水を流れ込ませるために、上流側に向かって幅が広がるハの字状の誘導部411、誘導部412を設けてもよい。
【0052】
本発明の清掃装置は、用水路のほかにも、池や、湖、海、河川などで用いることもできる。前述した清掃装置10、101、102をそのまま用いてもよいし、使用環境に合わせて変形等を行って用いてもよい。水流の向きが安定している環境で使用する場合は、その水流に合わせて配置してもよい。また、水流が少ない場合や、時間帯などで複数の流れが想定される場合は、清掃装置の向きを流動的にできるものとして、回転等させて複数の向きから取水できるようにしてもよい。または、取水部21の大きさや取付位置を調整して、調整部31を、取水部21の複数の面に設けてもよい。または、環境の流れなどから選択的に塵芥が溜まりやすい場所などがある場合は、取水部の調整部を取り付けた面を、その塵芥が溜まりやすい場所に向けておくことで、清掃装置により取水部に向けた流れを作り塵芥を回収することもできる。
【0053】
図8は、本発明の第四の実施形態の清掃装置の概要図である。清掃装置103は、清掃装置101、102に準じる構成である。清掃装置103は、海や湖、池などの一方の流れが生じにくい場合や、流れが変わる場合などに適した構成である。図8における取水部21の左右に調整部31、予備回収部32を設けており、時間帯によって流れが変わるなどの理由で、一方の水面が高い場合はその水面が高いほうの調整部31が上下することができ、水面に合わせて両方の調整部31がほぼ同時に上下することもできる。また、図8における左右から水が入りやすいように、左側には誘導部411、421があり、右側には誘導部412、422がある。清掃装置103は、流路を閉鎖して全量を処理するような使用に限らず、海や湖、池などで繰り返し処理することで清掃するときに適している。このため、回収部61通過後の水は、取水部21のいずれの方向に流してもよい。図8の清掃装置103は、姿勢制御部41、42間の流路から外して、図8における下側に配置している。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、用水路や貯水池、海などの清掃に利用することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0055】
10、101、102、103 清掃装置
21 取水部
22 ポンプ
221 太陽光発電部
222 蓄電池
223 センサ
31 調整部
311 内部水
32 予備回収部
41、42 姿勢制御部
411、412、421、422 誘導部
51 配管
61 回収部
71 フレーム
81 フィルタ
91~93 水面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8