(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155231
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】運転適性評価装置および運転適性評価方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20241024BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069783
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】523151713
【氏名又は名称】SDNC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】織田 達也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】運転者の運転適性をより適切に評価することができる運転適性評価装置および運転適性評価方法を提供する。
【解決手段】1つ又は複数のユーザ端末及び1つ又は複数のウェアラブル端末を備え、それぞれがネットワークを介して管理サーバに接続する運転適性評価システムにおいて、運転適性評価装置の一種である管理サーバ101は、プロセッサ203に、ユーザの健康に関する健康情報を取得させる健康情報取得モジュール212と、ユーザの運動特性に関する運動特性情報を取得させる運動情報取得モジュール214と、運動特性情報を取得した場合に、健康情報および運動特性情報に基づいて、ユーザの運転に対する適正度を示す運転適性情報を出力させる運転適性情報出力モジュール215と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの健康に関する健康情報を取得する健康情報取得部と、
ユーザの運動特性に関する運動特性情報を取得する運動情報取得部と、
前記健康情報および前記運動特性情報に基づいて、ユーザの運転に対する適正度を示す運転適性情報を出力する運転適性情報出力部と、
を備える運転適性評価装置。
【請求項2】
前記健康情報取得部は、前記健康情報として生体情報を取得し、前記生体情報に基づいて健康情報を取得する、請求項1に記載の運転適性評価装置。
【請求項3】
前記健康情報取得部は、前記生体情報として脈波情報を取得し、前記脈波情報に基づいて健康情報を取得する、請求項2に記載の運転適性評価装置。
【請求項4】
前記健康情報取得部は、健康問診用コンテンツを出力し、前記健康問診用コンテンツに対する応答に基づいて、健康情報を取得する、請求項1または2に記載の運転適性評価装置。
【請求項5】
前記運動情報取得部は、ユーザの運動特性を評価するための運動特性評価用コンテンツを出力し、前記運動特性評価用コンテンツに対する応答に基づいて、前記運動特性情報を取得する、請求項1または2に記載の運転適性評価装置。
【請求項6】
前記運動情報取得部は、前記運動特性評価用コンテンツにおいて外部刺激を出力し、当該外部刺激に対する反応時間が所定の閾値より短い場合に、ユーザの前記運動特性がより高いと判断する、請求項5に記載の運転適性評価装置。
【請求項7】
前記運動情報取得部が前記運動特性評価用コンテンツを出力するよりも前に、ユーザのストレスを低減する作用を有する情報を出力するストレス低減部を備える、請求項5に記載の運転適性評価装置。
【請求項8】
前記ストレス低減部は、前記健康情報取得部が取得した前記健康情報に基づき、健康度が低いほどストレスを低減する作用の高い情報を出力する、請求項7に記載の運転適性評価装置。
【請求項9】
前記運転適性情報出力部は、健康度が高いことを示す前記健康情報を取得した場合ほど、ユーザの運転に対する適正度が高いことを示す運転適性情報を出力する、請求項1に記載の運転適性評価装置。
【請求項10】
前記運転適性情報出力部は、運動特性が高いことを示す前記運動特性情報を取得した場合ほど、ユーザの運転に対する適正度が高いことを示す運転適性情報を出力する、請求項1または9に記載の運転適性評価装置。
【請求項11】
前記運転適性情報出力部は、健康度が高いことを示す前記健康情報を取得した場合であっても、運動特性が所定の基準に満たない場合には、ユーザの運転に対する適正度が低いことを示す運転適性情報を出力する、請求項9に記載の運転適性評価装置。
【請求項12】
ユーザの健康に関する健康情報を取得するステップと、
ユーザの運動特性に関する運動特性情報を取得するステップと、
前記健康情報および前記運動特性に関する情報に基づいて、ユーザの運転に対する適正度を示す運転適性情報を出力するステップと、
を含む運転適性評価方法。
【請求項13】
前記健康情報として生体情報を取得し、前記生体情報に基づいて健康情報を取得する、請求項12に記載の運転適性評価方法。
【請求項14】
健康度が高いことを示す前記健康情報を取得した場合ほど、ユーザの運転に対する適正度が高いことを示す運転適性情報を出力する、請求項12または13に記載の運転適性評価方法。
【請求項15】
運動特性が高いことを示す前記運動特性情報を取得した場合ほど、ユーザの運転に対する適正度が高いことを示す運転適性情報を出力する、請求項12に記載の運転適性評価方法。
【請求項16】
健康度が高いことを示す前記健康情報を取得した場合であっても、運動特性が所定の基準に満たない場合には、ユーザの運転に対する適正度が低いことを示す運転適性情報を出力する、請求項15に記載の運転適性評価方法。
【請求項17】
コンピュータに、請求項14に記載の方法における各ステップを実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転適性評価装置および運転適性評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2019-061498号公報(特許文献1)がある。この公報には、「アルコール情報I1と、体温情報I2と、血圧情報I3と、故障情報I4と、空気圧情報I5とを取得する車載器1と通信接続され、車載器1から、アルコール情報I1と、体温情報I2と、血圧情報I3と、故障情報I4と、空気圧情報I5とを、通信ネットワークNを介して取得する通信部25と、通信部25により取得されたアルコール情報I1と、体温情報I2と、血圧情報I3と、故障情報I4と、空気圧情報I5と、を用いて、所定の点呼項目及び点検項目の充足性について判定する制御部21と、を備える。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ドライバー状態情報と車両状態情報とを用いて、所定の点呼項目及び点検項目の充足性について判定する。ドライバー状態情報としては、アルコール濃度に係る情報であるアルコール情報と、体温に係る情報である体温情報が開示されている。しかしながら、運転適性を評価するにあたり、この特許文献1におけるドライバー状態情報は十分とは言えない。
そこで、本発明は、運転者の運転適性をより適切に評価することができる仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ユーザの健康に関する健康情報を取得する健康情報取得部と、ユーザの運動特性に関する運動特性情報を取得する運動情報取得部と、前記運動特性情報を取得した場合に、前記健康情報および前記運動特性情報に基づいて、ユーザの運転に対する適正度を示す運転適性情報を出力する運転適性情報出力部と、を備える運転適性評価装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、運転者の運転適性をより適切に評価することができる仕組みを提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る運転適性評価システム1の全体の構成図の一例である。
【
図2】
図2は、管理サーバ101のハードウェア構成の一例である。
【
図3】
図3は、ユーザ端末102のハードウェア構成の一例である。
【
図4】
図4は、ウェアラブル端末103のハードウェア構成の一例である。
【
図7】
図7は、運転適性評価フロー700の一例である。
【
図8】
図8は、健康情報取得フロー800の一例である。
【
図9】
図9は、健康問診用コンテンツ出力画面900の一例である。
【
図10】
図10は、健康問診用コンテンツ出力画面1000の他の一例である。
【
図12】
図12は、生体情報取得画面1200の他の一例である。
【
図13】
図13は、QOLスコア評価テーブル1300の一例である。
【
図14】
図14は、ストレス低減情報出力画面1400の一例である。
【
図15】
図15は、ストレス低減情報出力画面1500の他の一例である。
【
図16】
図16は、運動特性評価用コンテンツ出力画面1600の一例である。
【
図17】
図17は、運転適性評価テーブル1700の一例である。
【
図18】
図18は、運転適性情報出力画面1800の一例である。
【
図19】
図19は、運転適性情報出力画面1900の他の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[運転適性評価システム]
図1は、運転適性評価システム1の全体構成図の一例である。本技術に係る運転適性評価システム1は、例えば、長距離ドライバー、宅配業者、バス運転手、タクシードライバー等の日常的に車両等を運転する運転者の運転適性を手軽にかつ精度よく評価するために用いることができるものである。例えば、毎日、起床後から車両等の運転前等に、運転者の運転適性を評価することができる。ただし、運転適性の評価は、車両の運転手に限らず、瞬時の操作判断を要求されるその他の移動体(その他車両、船舶、航空機などに代表される、水上、陸上、空中移動体、手動ドローン等)の運転者の運転適性判断および各種機器等の操縦者の操縦適性判断者等にも適用することができる。
【0009】
本実施形態における運転適性評価システム1は、1つ又は複数のユーザ端末102、および、1つ又は複数のウェアラブル端末103を備え、それぞれがネットワークを介して管理サーバ101に接続することができるようになっている。なお、ネットワークは有線、無線を問わず、それぞれの端末はネットワークを介して情報を送受信することができる。また、ユーザ端末102は、管理サーバ101とは別体として設けられていてもよいし、管理サーバ101と一体的に設けられてもよい。
【0010】
運転適性評価システム1のそれぞれの端末(管理サーバ101を含む。以下同じ。)は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末(モバイル端末)でもよいし、メガネ型(ゴーグル型)や腕時計型、着衣型などのウェアラブル端末でもよい。また、それぞれの端末は、据置型または携帯型のコンピュータや、クラウドやネットワーク上に配置されるサーバでもよい。また、機能の観点からは、VR(仮想現実:Virtual Reality)端末、AR(拡張現実:Augmented Reality)端末、MR(複合現実:Mixed Reality)端末であってもよい。あるいは、それぞれの端末は、これらの複数の端末の組合せであってもよい。例えば、1台のスマートフォンと1台のウェアラブル端末との組合せが論理的に一つの端末として機能し得る。それぞれの端末はまた、これら以外の情報処理端末であってもよい。
【0011】
運転適性評価システム1のそれぞれの端末や管理サーバ101は、それぞれオペレーティングシステムやアプリケーション、プログラムなどを実行するプロセッサと、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置と、ICカードやハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、ネットワークカードや無線通信モジュール、モバイル通信モジュール等の通信制御部と、タッチパネルやキーボード、マウス、音声入力装置、モーションコントローラ、カメラ部の撮像による動き検知による入力装置、などの入力装置と、GPSやジャイロセンサ,加速度センサなどのセンサ等の入力装置と、モニタやディスプレイ、プリンタ、音声出力装置、発振器等の出力装置と、を任意に備え得る。なお、出力装置は、外部のモニタやディスプレイ、プリンタ、機器などに、出力するための情報を送信する装置や端子であってもよい。
【0012】
主記憶装置には、各種プログラムやアプリケーションなど(ソフトウェア・モジュール)が記憶されており、プロセッサがこれらのプログラムやアプリケーションを実行することで全体システムの各機能要素が実現される。なお、各モジュールは、それぞれ独立したプログラムやアプリケーションにより実装されていてもよいし、1つの統合プログラムやアプリケーションの中の一部のサブプログラムや関数などの形で実装されていてもよい。また、これらの各モジュールは、回路を集積化したりマクロコンピュータを採用することなどにより、ハードウェアとして実装されていてもよい(ハードウェア・モジュール)。さらに、各モジュールは、単一の端末(管理サーバを含む)に備えられていてもよいし、ネットワークを介して相互に接続された2以上の端末(管理サーバを含む)に分けて備えられていてもよい。また、各モジュールは、ネットワークを介して相互に接続された2以上の端末(管理サーバを含む)のそれぞれ、またはいずれか1つ以上に備えられていてもよい。
【0013】
本明細書では、各モジュールが、処理を行う主体(主語)として記載されているが、実際には各種プログラムやアプリケーションなど(モジュール)を処理するプロセッサが処理を実行する。
【0014】
補助記憶装置には、各種データベース(DB)が記憶されている。「データベース」とは、プロセッサまたは外部のコンピュータからの任意のデータ操作(例えば、抽出、追加、削除、上書きなど)に対応できるように整理して収集されたデータ集合である。補助記憶装置は、1又は複数のデータ集合を記憶する機能要素(記憶部)である。データベースの実装方法は限定されず、例えばデータベース管理システムでもよいし、表計算ソフトウェアでもよいし、XML、JSONなどのテキストファイルでもよい。
【0015】
図2は、管理サーバ101のハードウェア構成の例である。
管理サーバ101は、本実施形態の運転適性評価システム1を管理する要素であり、本技術における運転適性評価装置の一例である。管理サーバ101は、例えば、コンピュータやクラウド上のサーバによって構成される。管理サーバ101は、国内外のいずれに設置されていてもよい。管理サーバ101は、例えば本技術に係る運転適性評価システム1のサービスプロバイダによって管理、動作される。
【0016】
管理サーバ101は、主記憶装置201と、補助記憶装置202と、を備える。管理サーバ101はまた、上述のとおりのプロセッサ203と、入力装置204と、出力装置205(出力手段の一例であり得る)と、通信制御部206と、を備える。
【0017】
主記憶装置201には、ユーザ端末管理モジュール211、健康情報取得モジュール212、ストレス低減モジュール213、運動情報取得モジュール214、運転適性情報出力モジュール215等のプログラムやアプリケーションが記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ203が実行することで管理サーバ101の各機能要素が実現される。
【0018】
ユーザ端末管理モジュール211は、ユーザ端末102の動作および接続を管理する。例えばユーザ端末管理モジュール211は、ユーザ端末102のユーザ管理モジュール311等と連携し、ユーザ端末102において運転適性評価システム1の機能を実現するための基本的な動作を制御する。
【0019】
健康情報取得モジュール212は、ユーザの健康に関する健康情報を取得する。ここで、健康とは、例えば、身体的な健康および精神的(心理的)な健康の少なくとも一方、好ましくは両方を含む。ただし、身体的な健康と精神的な健康は密接に関連しているため、必ずしもこれらは完全に区別することができない場合がある。そして健康情報は、このような健康の質の状態を表す情報であり、本技術では、この健康情報を、ユーザが運転を行うに適した状態であるかどうかを評価するための一つの指標として用いるようにしている。健康情報は、例えば、典型的には、健康の質を任意の指標に基づいて数値化したり、健康度合いが相対的に良好なレベルと、相対的に不良なレベルと、の間で複数の段階に区分するなどして、表すことができる。このような健康情報は、健康の質を表し得る情報、例えば、体温、血圧、脈波情報、心拍数、血糖値、心電情報(ECG情報)等の生体情報や、就寝時刻、起床時刻、睡眠時間等の生活情報、一日当たりの歩行数、消費カロリー等の活動量情報等に基づいて取得することができる。
【0020】
なお、健康情報取得モジュール212による健康情報の取得方法は特に制限されない。例えば、健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携し、ユーザ端末102によって取得されたユーザの健康情報を受けとることで取得することができる。また、健康情報取得モジュール212は、例えばユーザ端末102に健康情報を要求する信号を出力し、その応答としてユーザの健康情報を取得してもよい。
【0021】
また、健康情報取得モジュール212は、例えば、健康問診用コンテンツ220を出力し、この健康問診用コンテンツ220に対する応答に基づいて、健康情報を取得することができる。健康問診用コンテンツ220とは、運転適性を評価するために用いる所定の健康情報等を、ユーザが自己申告するためのコンテンツである。健康情報取得モジュール212は、具体的には、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携し、ユーザ端末102に対して健康問診用コンテンツを出力する。そしてこの健康問診用コンテンツに対するユーザからの回答をユーザ端末102において受け付け、ユーザ端末102から管理サーバ101が受け取ることで、当該ユーザからの回答を取得することができる。健康情報取得モジュール212による健康情報の取得方法の詳細については、後述する実施形態において説明する。
【0022】
健康情報は、例えば上記の健康情報のいずれか1つに基づいて取得してもよいし、2つ以上に基づいて取得してもよい。2つ以上に基づいて健康情報を取得することで、運転適性をより適切に、また多様な観点から、評価することができる。なお、健康情報取得モジュール212は、2種以上の健康情報に基づいて、包括的な健康情報を取得するように構成されていてもよい。これに限定されるものではないが、包括的な健康情報として、例えば、身体的・心理的・社会的観点など複数の要素を含んだ人の生活や生命の質の全般を表すQOL(Quality of Life)を数値化したQOLスコアを採用してもよい。QOLスコアは、各種のQOL評価方法に基づいて算出することができる。
【0023】
ストレス低減モジュール213は、ユーザのストレスを低減する作用を有するストレス低減情報を出力する。ストレス低減モジュール213は、典型的には、後述する運動情報取得モジュール214が運動特性評価用コンテンツを出力するよりも前に、ストレス低減情報を出力する。ただし、ストレス低減モジュール213は、任意のタイミングで(例えば、運動特性評価の後、運転適性評価の後等)ストレス低減情報を出力してもよい。ストレス低減情報は、例えば、文字情報、静止画情報、動画情報、音情報、振動情報、温度(温感・冷感)情報等の人の知覚に作用を及ぼす形態の情報であり得る。ストレス低減情報は、具体的には、例えば、適度な運動を行う運動動画、精神的ストレスを緩和させる動画(例えば、小動物を撮像した動画等)、リラクゼーション効果および/または活力を与える効果のある音楽,発光,静止画,動画,振動、発振装置にリラックス作用またはマッサージ作用を呈する振動を起こさせる信号等であってよい。ストレス低減モジュール213は、例えば、健康情報に基づいて、ユーザの健康度合いを低下させている負荷(ストレス)の種類や程度に合わせたストレス低減情報を出力するように構成されていてもよい。
【0024】
運動情報取得モジュール214は、ユーザの運動特性に関する情報である運動特性情報を取得する。運転適性を評価するとの観点において、運動特性情報とは、例えば、ユーザが、何らかの情報に対応(反応)して実施する所定の運動に関する情報であり、この運動は、随意運動および不随意運動であってよい。運動情報取得モジュール214は、具体的には、例えば、所定のあるいは任意の情報(例えば刺激、典型的には、視覚情報)を受け取ったユーザが、所定の動作を実行するのに要する時間(反応時間)等として運動情報を取得することができる。
【0025】
運動特性情報の取得方法は特に制限されず、運動情報取得モジュール214は、例えば、ユーザ端末102に運動特性評価用コンテンツを出力し、その応答としてユーザの運動特性情報を取得するように構成されていてもよい。また、運動情報取得モジュール214は、例えばユーザ端末102に運動特性情報を要求する信号を出力し、その応答としてユーザ端末102に予め用意されていたユーザの運動特性情報をユーザ端末102から取得するように構成されていてもよい。運動情報取得モジュール214による運動情報の取得方法については、後述する実施形態において詳しく説明する。
【0026】
運転適性情報出力モジュール215は、ユーザの運転に対する適正度を示す運転適性情報を出力する。運転適性情報出力モジュール215は、例えば運動情報取得モジュール214が運動特性情報を取得した場合に、健康情報および運動特性情報に基づいて、運転適性情報を出力する。
【0027】
補助記憶装置202は、ユーザ情報500、健康情報600、運転適性情報210、健康問診用コンテンツ220、ストレス低減用コンテンツ230、運動特性評価用コンテンツ240等を記憶する。これらの情報については後述する。
【0028】
図3は、ユーザ端末102のハードウェア構成の例である。
ユーザ端末102は、本実施形態の運転適性評価システム1を利用するユーザが利用する端末である。ユーザ端末102は、例えばスマートフォン、タブレット型端末等の端末であってよい。本実施形態におけるユーザ端末102は、スマートフォンである。ユーザ端末102は、主記憶装置301と、補助記憶装置302と、を備える。ユーザ端末102はまた、上述のとおりのプロセッサ303と、入力装置304と、出力装置305と、カメラ306と、通信制御部307と、を備える。
【0029】
主記憶装置301は、ユーザ管理モジュール311、ユーザ側健康情報取得モジュール312、ユーザ側ストレス低減モジュール313、ユーザ側運動情報取得モジュール314、ユーザ側運転適性情報出力モジュール315等のプログラムやアプリケーションが記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ303が実行することで、ユーザ端末102の各機能要素が実現される。
【0030】
ユーザ管理モジュール311は、ユーザ端末102の基本的な動作を制御する。例えばユーザ管理モジュール311は、管理サーバ101のユーザ端末管理モジュール211と連携して、運転適性評価システム1を実現するための基本的な動作を制御する。
【0031】
ユーザ側健康情報取得モジュール312は、ユーザの健康に関する健康情報を取得する。ユーザ側健康情報取得モジュール312は、例えば、管理サーバ101の健康情報取得モジュール212と連携して、健康情報を取得するための健康問診用コンテンツ220をユーザ端末102のディスプレイ(出力装置305の一例)に出力(表示)したり、健康問診用コンテンツ220に対するユーザからの入力を受け付けて、ユーザからの入力情報を問診情報として取得する。ユーザ側健康情報取得モジュール312は、取得した健康情報を補助記憶装置302に記録する。
【0032】
また、ユーザ側健康情報取得モジュール312は、例えば、後述するウェアラブル端末管理モジュール316を介してウェアラブル端末103と連携し、ウェアラブル端末103によって取得した健康情報を取得する。ユーザ側健康情報取得モジュール312は、管理サーバ101の健康情報取得モジュール212と連携して、取得した健康情報を管理サーバ101に送信する。
【0033】
ユーザ側ストレス低減モジュール313は、ユーザのストレスを低減する作用を有するストレス低減情報を出力(表示)する。例えばユーザ側ストレス低減モジュール313は、管理サーバ101のストレス低減モジュール213と連携して、予め用意されたストレス低減情報にアクセスし、ユーザ端末102のディスプレイにそのストレス低減情報を表示する。
【0034】
ユーザ側運動情報取得モジュール314は、ユーザの運動特性に関する情報である運動特性情報を取得する。例えばユーザ側運動情報取得モジュール314は、管理サーバ101の運動情報取得モジュール214と連携して、予め用意された運動特性評価用コンテンツにアクセスし、ユーザ端末102のディスプレイにその運動特性評価用コンテンツを出力する。また、ユーザ側運動情報取得モジュール314は、運動特性評価用コンテンツに対する応答としてユーザからの入力を受け付け、かかる入力を管理サーバ101に送信する。
【0035】
ユーザ側運転適性情報出力モジュール315は、ユーザ端末102に、ユーザの運転適性情報を出力(表示)する。例えばユーザ側運転適性情報出力モジュール315は、管理サーバ101の運転適性情報出力モジュール215と連携して、管理サーバ101からユーザの運転適性情報を取得し、ユーザ端末102のディスプレイにその運転適性情報を表示する。
【0036】
ウェアラブル端末管理モジュール316は、ウェアラブル端末103のウェアラブル管理モジュール411と連携し、ウェアラブル端末103の基本的な動作を制御する。また、ウェアラブル端末管理モジュール316は、ウェアラブル端末103から取得した生体情報(典型的には、バイタルサインの検知情報)を解析することで、生体情報を取得するように構成されていてもよい。ウェアラブル端末管理モジュール316は、例えば、ウェアラブル端末103の操作用アプリケーションとしてウェアラブル端末103の製造元や販売元から提供されているプログラムを実行することで実現される機能要素であってよい。
【0037】
なお、ユーザ端末102は、入力装置304の一例として、生体情報を検知することができるセンサ機能を備えることができる。このようなセンサ機能は、生体情報を検知するために構成された生体センサ(例えば、光電式容積脈波計)等を備えることで実現されていてもよいし、例えば、ユーザ端末102に標準的に備えられる発光機能(例えば照明機能や撮像用フラッシュ機能)および撮像機能(例えばカメラ306)の組合せからなるバイタルセンサ機能等であってよい。ユーザ端末102がこのようなセンサ機能を備える場合、このウェアラブル端末管理モジュール316に代えて/加えて、ユーザ側健康情報取得モジュール312が、このセンサ機能を用いて得られるセンサデータを解析して健康情報を取得するように構成されていてもよい。
【0038】
補助記憶装置302は、ユーザ情報500や、健康情報600、運転適性情報310、健康問診情報320、ストレス低減情報330、運動特性評価用コンテンツ340等を記憶する。これらは、管理サーバ101に記憶されているユーザ情報500、健康情報600、運転適性情報210、健康問診用コンテンツ220、ストレス低減用コンテンツ230、運動特性評価用コンテンツ240等の一部又は全部であってよい。
【0039】
図4は、ウェアラブル端末103のハードウェア構成の例である。ウェアラブル端末103は、ユーザの健康情報を取得するための健康情報取得端末の一例であり、運転適性評価システム1において付加的な要素である。ウェアラブル端末103は、主記憶装置401と、補助記憶装置402と、を備える。ウェアラブル端末103はまた、上述のとおりのプロセッサ403と、入力装置404と、出力装置405と、センサ406と、通信制御部407と、を備える。
【0040】
健康情報取得端末としては、例えば、上述した健康情報を計測することができる各種の計測装置であってよく、例えば、体温計、血圧計、脈波センサ、血糖値センサ、心電センサ、睡眠計、歩数計等が挙げられる。ウェアラブル端末103は、手指や手首、腕、頭等に装着することができる健康情報取得端末であり、典型的には、スマートリング(指輪型IoTデバイス)や、スマートウォッチ(腕時計型IoTデバイス)が例示される。本実施形態では、ウェアラブル端末103として、ユーザ端末102と通信可能なスマートリングを用いた例について説明する。健康情報取得端末は、ウェアラブル端末(装着型端末)である必要はないが、ウェアラブル端末であることで、ユーザが違和感を覚えることなく且つユーザの負担や手間を軽減して、健康情報を、簡便におよび/または精度よく取得することができる。
【0041】
主記憶装置401には、ウェアラブル管理モジュール411、センサモジュール412等のプログラムやアプリケーションが記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ403が実行することで、ウェアラブル端末103の各機能要素が実現される。
【0042】
ウェアラブル管理モジュール411は、ウェアラブル端末103の基本的な動作を制御する。例えばウェアラブル管理モジュール411は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携して、ウェアラブル端末103の基本的な動作を制御する。また、ウェアラブル管理モジュール411は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携して、後述するセンサモジュール412によって取得されるバイタルデータを、ユーザ端末102に送信する。
【0043】
センサモジュール412は、ユーザのバイタルサインを検知し、バイタルデータ(検知データ)として取得する。例えばセンサモジュール412は、センサ406を用いてユーザのバイタルサインを検知し、補助記憶装置402に記憶する。センサ406は、侵襲的にバイタルデータを取得するものであってもよいし、非侵襲的にバイタルデータを取得するものであってもよいが、非侵襲的センサであることがより好ましい。ウェアラブル端末103が、例えば、センサ406として、多波長PPGセンサ、温度センサ(例えば赤外線センサ)、マイクロ波センサ、心電センサ等が備えられ、これらのセンサに基づいて、ユーザのPPG(Photoplethysmography、光電式容積脈波記録法)信号、体温信号、吸光度信号、血糖値、心臓の動きに伴う電気的な活動等のバイタルデータを取得することができる。
【0044】
なお、センサモジュール412によって取得される上記バイタルデータを、ユーザ端末102のウェアラブル端末管理モジュール316が解析することで、ユーザの心拍数(平均心拍)、脈波特性、体温、皮膚水分量や発汗量、血糖値、心電図等の健康情報を取得することができる。なお、これに限定されるものではないが、ウェアラブル端末103がバイタルデータを解析する解析機能を備え、これを解析することにより得られた健康情報をユーザ端末102や管理サーバ101に送信するように構成されていてもよい。また、管理サーバ101がバイタルデータを解析する解析機能を備え、管理サーバ101がウェアラブル端末103からバイタルデータを取得し、これを解析することにより得られた健康情報をユーザ端末102に送信するように構成されていてもよい。
【0045】
図5および
図6は、管理サーバ101の補助記憶装置202に記憶されてる各種情報である。これらのすべて又は一部はJSON形式のファイルに記憶することを想定しているが、これに限定されない。リレーショナルデータベースや、非リレーショナルデータベースに記憶される構成としてもよい。
【0046】
図5は、ユーザ情報500の一例である。
ユーザ情報500は、運転適性を評価する対象であるユーザに関する情報である。ユーザ情報500は、例えば、ユーザID、ユーザ表示ID、ユーザ名、生年月日雄、性別、所属/住所、パスワード情報、本人確認情報等を含み、それぞれフィールド名510に対してサンプル値520で例示するような値が入力されている。ユーザ情報500は、ユーザ端末管理モジュール211によって、記録や更新等の管理がされる。
【0047】
図6は、健康情報600の一例である。
健康情報600は、上述のとおりのユーザの健康に関する情報である健康情報である。健康情報600は、管理サーバ101の健康情報取得モジュール212がユーザ端末102から取得し、補助記憶装置202に記録する。本実施形態では、健康情報600として、健康情報ID、ユーザID、就寝時刻、起床時刻、食事、身体の状態、疲れの有無、服薬の有無、平均脈拍数、脈波特性、歩数等が記録され、それぞれフィールド名610に対してサンプル値620で例示するような値が入力されている。これらの健康情報のうち、就寝時刻、起床時刻、食事、身体の状態、疲れの有無、および服薬の有無は、問診により取得する情報(問診情報)である。また、平均脈拍数、脈波特性、および歩数は、ウェアラブル端末103から取得する情報(順に、生体情報、活動情報)である。
【0048】
[運転適性評価方法]
以下、運転適性評価システム1の動作と、運転適性評価システム1を利用した運転適性の評価方法について説明する。運転適性評価システム1を利用するにあたり、初回であれば、ユーザはまず、例えばユーザ端末102を介して管理サーバ101にアクセスし、ユーザ情報500を登録する。ここでユーザ端末102のユーザ管理モジュール311は、ユーザからのユーザ情報500の入力を受け付け、管理サーバ101に送信する。管理サーバ101のユーザ端末管理モジュール211は、ユーザ端末102からユーザ情報500を受け取り、補助記憶装置202に記録することでユーザ情報を登録する。
【0049】
図7は、運転適性評価フロー700の一例である。
次いで管理サーバ101の健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102を介して、ユーザの健康情報600を取得する(ステップS710)。本実施形態では、包括的な健康情報の一例として「QOLスコア」を採用し、QOLスコアを取得する。
【0050】
図8は、健康情報取得フロー800の一例である。
本実施形態においては、
図8に示すように、健康情報600を、問診情報と、生体情報および活動情報と、に分けて取得する。問診情報と、生体情報および活動情報と、はいずれを先に取得してもよく、本実施形態においては、まず、問診情報を取得する(ステップS810)。
【0051】
健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携して、ユーザ端末102のディスプレイに、例えば問診情報を取得するための健康問診用コンテンツを表示する。
図9および
図10は、健康問診用コンテンツ出力画面900,1000の一例である。
【0052】
健康情報取得モジュール212は、まず、健康問診用コンテンツ出力画面900を表示する。健康情報取得モジュール212は、健康問診用コンテンツ出力画面900において、就寝時刻入力部901、起床時刻入力部902を表示する。就寝時刻入力部901および起床時刻入力部902はそれぞれ、プルダウン式またはドラムロール式の入力部であり、ユーザが該当する就寝時刻入力部および起床時刻をそれぞれ選択できるようになっている。また、健康情報取得モジュール212は、健康問診用コンテンツ出力画面900において、食事情報、身体の状態、疲れの有無、服薬の有無に関する入力部903を表示する。入力部903は、チェックボックス式の入力部であり、ユーザが摂取した食事や該当する選択肢に対応づけて設けられたチェックボックスを選択することで、当該選択肢を選択できるようになっている。健康情報取得モジュール212は、健康問診用コンテンツ出力画面900において、メモ入力部904を表示する。メモ入力部904は、テキスト入力可能な入力部であり、ユーザが、自身の健康に関して気になる点があった場合などに当該内容をテキスト入力することによってメモすることができるようになっている。
【0053】
健康情報取得モジュール212は、健康問診用コンテンツ出力画面900の下方に、「次へ」と記したボタン905を表示する。ユーザが入力部901~904に健康情報を入力したのち、このボタン905を選択すると、ユーザ側健康情報取得モジュール312は、ユーザによるボタン905の選択を受け付ける。するとユーザ側健康情報取得モジュール312は、入力された健康情報を管理サーバ101に送信し、健康情報取得モジュール212は、入力された健康情報を受けとって補助記憶装置202に記録する。これにより、健康情報600のうちの問診情報を取得することができる。
【0054】
また、健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携して、ユーザ端末102のディスプレイに、例えば
図10に示すような健康問診用コンテンツ出力画面1000を表示する。健康情報取得モジュール212は、この健康問診用コンテンツ出力画面1000の上方に、ステップS810で取得した問診情報1001を表示し、ユーザが、入力した問診情報に誤りがないかどうかを確認できるようにしている。
【0055】
健康情報取得モジュール212は、この健康問診用コンテンツ出力画面1000の下方に、生体情報の取得手段を選択するボタン1002,1003を表示し、ユーザが、生体情報の取得手段を選択できるようにしている。本実施形態では、生体情報「脈波情報」の取得手段として、ウェアラブル端末103である「スマートリング」を選択するボタン1002と、ユーザ端末102である「スマートフォン」を選択するボタン1003と、を表示している。そして、ユーザによるいずれか一方のボタンの選択を受け付けることで、選択した取得手段を用いた生体情報の取得ステップに進むようになっている。取得手段が1種類しかない場合は、ボタン1002,1003に代えて、入力した問診情報の確認ボタンや次のステップに進むボタンを表示してもよい。
【0056】
ボタン1002または1003の選択を受け付けると、生体情報および活動情報を取得する(ステップS820)。本実施形態では、生体情報として脈波情報を取得する場合について説明し、活動情報やその他の情報を取得する場合については説明を省略する。
図11および
図12は、生体情報取得画面1100,1200の一例である。
【0057】
[スマートリングによる生体情報の取得]
健康情報取得モジュール212は、「スマートリング」の選択ボタン1002の選択を受け付けた場合に、例えば
図11に示すような、生体情報取得画面1100を表示する。また健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312およびウェアラブル端末管理モジュール316と連携し、例えば、ウェアラブル端末103との接続を確認する。
【0058】
健康情報取得モジュール212は、まず生体情報取得画面1100の(A)において、案内メッセージ1101およびデータ取得開始ボタン1102を表示する。健康情報取得モジュール212は、案内メッセージ1101として「スマートリングからデータを取得します。スマートリングを指に装着して、取得開始をタッチしてください。」等のメッセージと、スマートリングを用いた脈波計測結果の取得を開始するデータ取得開始ボタン1102を表示する。健康情報取得モジュール212は、例えば、ウェアラブル端末103との通信が可能である場合にデータ取得開始ボタン1102を選択可能とし、ウェアラブル端末103との通信が不可能である場合には、データ取得開始ボタン1102を選択不可能として、案内メッセージ1101において「スマートリングとの通信ができません。設定を確認してください。」等のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0059】
ユーザによるデータ取得開始ボタン1102の選択(タッチ)を受け付けると、健康情報取得モジュール212は、生体情報取得画面1100(B)を表示する。健康情報取得モジュール212は、生体情報取得画面1100(B)において、データ取得進捗状況1103と、案内メッセージ1104と、選択ボタン1105を表示する。健康情報取得モジュール212は、データ取得進捗状況1103において、脈波測定の進捗度をリアルタイムで棒グラフと百分率とで表示する。健康情報取得モジュール212は、ユーザ側健康情報取得モジュール312およびウェアラブル端末管理モジュール316と連携するなどして、安定した脈波および脈波変動が所定の計測時間取得できるように、データ取得進捗を算出するように構成されていてもよい。健康情報取得モジュール212は、案内メッセージ1104として「バイタルデータ取得が完了したら、次へをタッチしてください。」等のメッセージと、次のステップに進むための「次へ」と表示されたボタン1105を表示する。健康情報取得モジュール212は、例えば、データ取得が完了する(データ取得進捗状況1103が100%となる)までは、選択ボタン1105を選択不可能に表示し、データ取得が完了した(データ取得進捗状況1103が100%となった)場合に選択ボタン1105を選択可能に表示するようにしてもよい。
【0060】
また、ユーザによるデータ取得開始ボタン1102の選択(タッチ)を受け付けると、健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312に対し、生体情報を取得するための指示を送信する。これに伴い、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312は、ウェアラブル端末管理モジュール316と連携し、ウェアラブル端末103によるユーザの脈波測定を実行するとともに、所定の条件に基づいて脈波情報を解析する。例えば、所定の計測時間の脈波情報(波形、脈拍数変動、心拍間隔の変化等を含む)を解析することにより、例えば、動脈酸素飽和度、心拍数、血圧(動脈圧)、血管硬化指数、脈波伝播時間、脈波伝播速度、心拍出量、睡眠・覚醒判別、動脈コンプライアンス、抹消抵抗、不整脈等の心臓血管や心臓の自律神経機能に関する各種の健康情報を得ることができる。健康情報取得モジュール212は、脈拍波形の解析に基づいて、例えば以下のことを検知することができる。
【0061】
・脈拍数は、脈波波形の周期性にのみ依存する。そこで例えば、脈波波形における隣り合うピーク間距離を脈拍の周期とし、1分間あたりの脈拍数の平均値から平均脈拍数を算出することができる。なお、脈拍数は、脈拍欠損や血管閉塞などの特殊な事情がない限り、心拍数に略一致することが知られている。
・健康情報を取得するためのセンサが、例えば赤色LEDと赤外LED(例えば緑色LED)を備える容積脈波(Photo-Plethysmogram:PPG)センサを備える場合、血中ヘモグロビンによるこれらのセンサ光の吸収率に違いに基づいて、より信頼性の高い脈拍数や、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)、血中酸素濃度、血中ヘモグロビン濃度、血中糖化ヘモグロビン濃度等を算出することができる。
【0062】
・脈波波形は、常同性波形であるという側面を有し、アナクロット相(anacrotic phase)とカタクロット相(catacrotic phase)の2相から構成される。これに対し、脈波波形をこれら2相に分離できないこと、換言すると脈波のピークに重複隆起がないこと、を検知することで、慢性的な血圧上昇および動脈硬化の兆候を検知することができる。
・一方で、脈波波形は、一心拍ごとの血液量の変化に帰因される拍動性(AC)生理波形であることから、例えば、脈拍数、血拍出量、および脈波伝播速度(PWV)または脈波伝播時間(PTT)の値や、血管壁の圧力と弾性率の関係等に基づいて、血圧(例えば、収縮期血圧)を推定して算出することができる。
【0063】
・大動脈硬化の指標の一つであるSI(硬さ指標)は、例えば、脈波波形における心臓収縮の駆動圧(直接波)による最初のピークとこれに続く駆動圧抹消からの反射による再上昇圧波(反射波)によるピークとの間の時間差(遅延時間)と、被験者の身長と、から算出することができる。この硬さ指標SIが所定の閾値よりも高くなることで、血管壁の硬化、すなわち動脈硬化の兆候および進行を検知することができる。
【0064】
・ストレスや運動によって交感神経は活性化され、リラックスや休息によって副交感神経は活性化され、副交感神経の一部である迷走神経は、心拍数や血圧などの自律的な機能を制御する。脈波波形(時間変化)を周波数分析し、周波数帯域毎のパワーに基づいて、自律神経機能を評価することができる。例えば、低周波数帯域(例えば、0.04~0.15Hz)のパワー(LF)と高周波数帯域(例えば、0.15~0.40Hz)のパワー(HF)との比(LF/HP比)は、交感神経活動あるいは交感/迷走神経活動比の指標として用いることができる。また、HFは、迷走神経活動の指標として用いることができる。これらの値が所定の範囲(例えば、正常範囲、要注意範囲)から外れた場合(例えば、要注意範囲、危険範囲)に、ストレスがあると評価することができる。
【0065】
なお、当業者であれば、かかる開示に基づいて、所望の健康情報を得る目的で、センサの種類・構成および解析アルゴリズム等を適宜調整することができる。また、健康情報取得モジュール212は、脈波波形から所定の健康情報を出力するAIや学習器を用いて、健康情報を取得するように構成されていてもよい。これらの健康情報は、人のストレス状態、疲労等の健康指標として利用することができる。ユーザ側健康情報取得モジュール312は、例えば、算出された上記の脈波解析情報(例えば、本実施形態では、平均脈拍数)を管理サーバ101に送信する。管理サーバ101の健康情報取得モジュール212は、受け取った脈波解析情報を補助記憶装置202に記録するとともに、例えば、選択ボタン1105を選択可能に表示する。
【0066】
[スマートフォンによる生体情報の取得]
健康情報取得モジュール212は、「スマートフォン」(ユーザ端末102)の選択ボタン1003の選択を受け付けた場合に、例えば
図12に示すような、生体情報取得画面1200を表示する。また健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携し、ユーザ端末102のセンサ機能による生体情報の取得を開始する。
【0067】
健康情報取得モジュール212は、まず生体情報取得画面1200の(A)において、脈波情報1201、計測進捗情報1202、撮像情報1203、案内メッセージ1204、および計測開始ボタン1205を表示する。健康情報取得モジュール212は、脈波情報1201において、脈波測定により簡易的に計測される脈拍数(脈波情報の一例)をリアルタイムで表示する。なお、画面1200においては、この脈拍数を、より一般的に用いられている用語「脈拍」として表示している。健康情報取得モジュール212は、計測進捗情報1202において、脈波測定の進捗度をリアルタイムで円グラフと百分率とで表示する。健康情報取得モジュール212は、撮像情報1203において、スマートフォンのカメラ(例えば背面カメラ)で撮像されている動画をリアルタイムで表示する。
【0068】
健康情報取得モジュール212は、案内メッセージ1204として「人差し指、または、中指を背面カメラに押し当てて、脈波が安定するまで動かさないでください。」等のメッセージと、スマートフォンを用いた脈波情報の取得を開始する計測開始ボタン1205を表示する。健康情報取得モジュール212は、例えば、撮像情報に基づき、脈波および脈波変動が安定したことを検知した場合に計測開始ボタン1205を選択可能に表示し、脈波および脈波変動が安定したことが検知されるまでは計測開始ボタン1205を選択不可能に表示してもよい。
【0069】
健康情報取得モジュール212は、ユーザによる計測開始ボタン1205の選択(タッチ)を受け付けると、生体情報取得画面1200(B)を表示する。健康情報取得モジュール212は、生体情報取得画面1200(B)において案内メッセージ1206と、測定データ解析ボタン1207を表示する。健康情報取得モジュール212は、案内メッセージ1206として「測定が完了したら、測定データ解析をタップしてください。」等のメッセージを表示する。健康情報取得モジュール212は、例えば、撮像情報に基づき、脈波情報を所定の計測時間取得できた場合に測定データ解析ボタン1207を選択可能に表示し、脈波情報を所定の計測時間取得できるまでは測定データ解析ボタン1207を選択不可能に表示してもよい。
【0070】
ユーザによる計測開始ボタン1205の選択(タッチ)を受け付けると、健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102を介して脈波情報の取得を開始するとともに、取得した脈波情報を随時解析する。健康情報取得モジュール212は、例えば、簡易的に計測される脈拍数をリアルタイムで算出するとともに、所定の計測時間の平均脈拍数を算出する。
【0071】
なお、上記構成に代えて、健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携して、背面カメラが指で塞がれたことを検知すると、脈波情報の取得を開始するように構成されていてもよい。具体的には、指先端の微妙な色調変化に基づいて終末動脈の脈動を検知し、脈波変動情報を取得する。健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携するなどして、脈波および脈波変動が安定してから所定の計測時間脈波情報を自動的に取得してもよい。
【0072】
また、健康情報取得モジュール212は、生体情報取得画面1200(A)(B)において、撮像情報1203を表示する構成に代えて、検知した脈波波形をリアルタイムで表示してもよい。
さらに、健康情報取得モジュール212は、指の撮像情報から脈波を計測する構成に代えて、顔の撮像情報(具体的には、顔の色調変化)等から脈波(映像脈波)を計測する構成であってもよい。この場合、健康情報取得モジュール212は、撮像情報1203において、前面カメラによるユーザの顔の撮像(動画)をリアルタイムで表示してもよい。
【0073】
脈波情報の解析は、健康情報取得モジュール212が実施することに代えて、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312が実施してもよい。また、健康情報取得モジュール212は、例えば、脈波情報を取得することに代えて、ユーザ側健康情報取得モジュール312によって算出された脈波情報の解析結果(例えば、平均脈拍数)を取得する構成であってもよい。
【0074】
健康情報取得モジュール212は、ユーザによる測定データ解析ボタン1207の選択(タッチ)を受け付けると、生体情報取得画面1200(C)を表示する。生体情報取得画面1200(C)において、健康情報取得モジュール212は、第2の脈波情報1208として平均脈拍数を、計測進捗情報1202および撮像情報1203に代えて脈波波形1209を表示する。第2の脈波情報1208は、例えば、画面(A)に表示した脈波情報1201とは異なる脈波情報であり、ここでは脈波情報1201をさらに解析して得られるものである。健康情報取得モジュール212は、第2の脈波情報1208として、脈波解析により得られる他の健康情報(例えば、血圧、血管硬化指数(動脈硬化指数)、脈波伝播時間、脈波伝播速度、心拍出量、睡眠・覚醒判別、動脈コンプライアンス、抹消抵抗、不整脈等の心臓血管や心臓の自律神経機能に関する各種の健康情報)を表示してもよい。第2の脈波情報1208は、上記に例示したような脈波解析により得られる健康情報のいずれか1つ、または2つ以上の組合せであってよい。
【0075】
健康情報取得モジュール212は、ユーザが予め設定した任意の脈波情報、あるいは、ユーザの既往歴や過去の健康情報に基づいて経時的にモニタリングすることが推奨される脈波情報を、第2の脈波情報1208として表示するように構成されていてもよい。この場合、健康情報取得モジュール212は、算出された第2の脈波情報1208と、過去に算出されて補助記憶装置202等に記録されている過去の第2の脈波情報1208と、の比較に基づいて、ユーザの健康異常を示す結果が得られた場合、注意を喚起するメッセージや表示、音等を、アラームとして出力するように構成されていてもよい。
【0076】
脈波波形1209は、所定の計測時間に取得した脈波波形の一部または全部であってよく、例えば、最も安定した脈波波形の部分等であってよい。
【0077】
また、生体情報取得画面1200(C)において、健康情報取得モジュール212は、案内メッセージ1210として「解析が完了しました。次へをタップしてください。」等のメッセージを表示するとともに、「次へ」と表示した選択ボタン1211を表示する。管理サーバ101の健康情報取得モジュール212は、取得した平均脈拍数情報を補助記憶装置202に記録する。
【0078】
ユーザによる選択ボタン1105,1211の選択(タッチ)を受け付けると、健康情報取得モジュール212は、取得した問診情報および生体情報に基づいて、QOLスコア(包括的な健康情報の一例)を算出する(ステップS830)。
【0079】
健康情報取得モジュール212は、生体情報取得画面1100(C)を表示する。健康情報取得モジュール212は、生体情報取得画面1100(C)において、QOL判定進捗状況1106と、案内メッセージ1107と、判定結果表示ボタン1108を表示する。健康情報取得モジュール212は、QOL判定進捗状況1106において、例えば、QOL判定の進捗度を円グラフ状にリアルタイムで表示する。健康情報取得モジュール212は、案内メッセージ1107として「QOL判定ボタンをタッチして、現在のスコアを判定します。」等のメッセージと、QOL判定を表示するための「QOL判定」と表示された判定結果表示ボタン1108を表示する。健康情報取得モジュール212は、例えば、QOL判定が完了するまでは、選択ボタン1105を選択不可能に表示し、QOL判定が完了した場合に選択ボタン1105を選択可能に表示するようにしてもよい。
【0080】
QOLスコアの算出方法について説明する。
健康情報取得モジュール212は、問診情報と予め規定された条件とに基づいて、複数段階の評価尺度によって規格化された問診結果を取得する。具体的には、例えば、健康情報取得モジュール212は、取得した複数の問診情報のそれぞれについて、予め定められたポイントを付与する。ポイントは、問診内容が健康に及ぼす影響を加味して決定することができる。例えば、ユーザが成人である場合、就寝時刻と起床時刻の情報から算出される睡眠時間が4時間未満の場合のポイントを「0(ゼロ)」とし、4時間以上6時間未満の場合のポイントを「2」とし、6時間以上10時間未満の場合のポイントを「3」とし、10時間以上の場合のポイントを「2」等とすることができる。
【0081】
また、例えば、朝食・昼食・夕食を摂取している場合のポイントを「5」とし、朝食・夕食を摂取しているが昼食を摂取していない場合のポイントを「3」とし、昼食・夕食を摂取しているが朝食を摂取していない場合のポイントを「2」とする、などのように、各食事の健康に及ぼす重要性を加味してポイントを定めることができる。また、身体の状態が良い場合のポイントを「5」とし、身体の状態が悪い場合のポイントを「0」等とすることができる。
【0082】
このようなポイントの合計に関し、例えば、ポイントの合計の最小値から最大値の間を予め5段階に区分し、合計値が小さい区分から大きい区分に向けて順に、問診結果として、相対的に健康状態が悪いこと示す「スコア1」から、相対的に健康状態が良好であること示す「スコア5」を割り当てる。健康情報取得モジュール212は、全ての問診情報に対して付与されたポイントの合計が、いずれのスコアに該当するかを判断することで、問診結果を取得する。
【0083】
また、健康情報取得モジュール212は、平均脈拍数と予め規定された条件とに基づいて、複数段階の評価尺度によって規格化された脈波評価結果を取得する。具体的には、例えば、平均脈拍数に関して、標準的な平均脈拍数の範囲と、標準的な平均脈拍数の範囲から所定の脈拍数だけ離れた範囲と、標準的な平均脈拍数の範囲から所定の脈拍数よりも多く離れた範囲と、を予め定め、順に「スコア3」から「スコア1」を割り当てる。
また、脈波の波形の乱れを「スコア3」から「スコア1」の間で評価する。
さらに、脈波を解析することで得られる他の健康情報(例えば、血圧、動脈硬化の程度(血管硬化指数))を「スコア3」から「スコア1」の間で評価する。
また、脈拍数や脈波の波形、動脈硬化の程度、血圧等のそれぞれのスコアを加重平均することで、評価値を算出することもできる。
【0084】
なお、長距離ドライバーには、脳および心臓疾患のリスク要因である肥満と高血圧症(より具体的には、動脈硬化、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病、痛風、不整脈)の既往歴が多いことが知られている。したがって、健康情報取得モジュール212は、これらの疾患の評価指標ともなり得る、血圧、血管硬化指数(動脈硬化指数)、脈波伝播時間、脈波伝播速度、心拍出量、睡眠・覚醒判別、動脈コンプライアンス、抹消抵抗、不整脈のいずれか1つまたは2つ以上の組合せを表示することで、運転者の運転適性を評価することに加え、運転者の健康状態のモニタリングを可能にし、これらの疾患および疾患の進行の早期発見を可能とする。
健康情報取得モジュール212は、ユーザについて測定された平均脈拍数がいずれのスコアに該当するかを判断することで、脈波評価結果を得ることができる。
【0085】
図13は、QOLスコア評価テーブル1300の一例である。
健康情報取得モジュール212は、得られた問診結果と脈波評価結果とから、QOLスコア評価テーブル1300に基づいて、ユーザのQOLスコアを取得する。これに限定されるものではないが、QOLスコア評価テーブル1300に示されるように、QOLスコアは、A~Cの3段階で規定されている。例えば、QOLスコアの「A」は、健康状態がとても良好であること(すなわち、相対的に健康度が高いこと)を表し、「B」は、健康状態が良好であることを表し、「C」は、健康状態が良好ではないこと(すなわち、相対的に健康度が低いこと)を表す。健康情報取得モジュール212は、例えば、問診結果がスコア4で、脈波評価結果がスコア2である場合、問診結果のスコア「4」と脈波評価結果のスコア「2」の両方に関連づけられた「A」をQOLスコアとして取得する。健康情報取得モジュール212は、このように取得したQOLスコアを、補助記憶装置202に記憶することができる。
【0086】
なお、QOLスコアの取得方法は上記例に限定されない。例えば、EQ-5D(EuroQol 5 Dimension)日本語版に準じるなどして、問診の回答肢の組合せに対するQOLスコアの換算表をあらかじめ用意しておき、健康情報取得モジュール212は、かかる回答肢の組合せと換算表とに基づいてQOLスコアを取得するように構成されていてもよい。QOLスコアの取得に必要となる評価テーブル1300や各種条件等は、例えば、補助記憶装置202に記憶することができる。
【0087】
図14および
図15は、ストレス低減情報出力画面1400,1500の一例である。
判定結果表示ボタン1108の選択を受け付けた場合、健康情報取得モジュール212は、ユーザ端末102のユーザ側健康情報取得モジュール312と連携して、ストレス低減情報出力画面1400,1500を表示する。健康情報取得モジュール212は、ストレス低減情報出力画面1400,1500の上方に、判定結果表示欄1401,1501を表示する。健康情報取得モジュール212は、例えば、判定結果表示欄1401,1501において、取得したQOLスコアとその内容文とを表示する。
【0088】
次いで管理サーバ101のストレス低減モジュール213は、ストレスを低減する作用を有する情報を出力する(ステップS720)。このステップS720は、本技術に係る健康評価方法における任意の行程であり、省略することが可能である。
【0089】
ストレス低減モジュール213は、ユーザ端末102のユーザ側ストレス低減モジュール313と連携して、ストレス低減情報出力画面1400,1500の中央部分に、ストレス低減用コンテンツ1402,1502を表示する。ストレス低減用コンテンツ1402,1502は、ユーザのストレスを低減するためのコンテンツである。ストレス低減モジュール213は、ストレス低減情報出力画面1400,1500の下方に、反射テストに進むと表示した選択ボタン1403,1503を表示する。
【0090】
図14および
図15に示すように、ストレス低減モジュール213は、ユーザがその時点で負っているストレスを好適に低減する作用を有するコンテンツを選択して表示する構成を備えていてもよい。ストレス低減モジュール213は、例えば、ステップ710で取得したユーザの健康情報(例えば、QOLスコア)を基に、予め用意されている複数のストレス低減用コンテンツ1402,1502の中から、その日のユーザの健康状態に適したコンテンツを選択して表示する。ストレス低減用コンテンツ1402、1502は、例えば、ストレスの種類ごとに、身体的疲労等の身体的ストレスを好適に低減するコンテンツと、精神的疲労などの身体的ストレスを好適に低減するコンテンツと、に分類されている。
【0091】
ストレス低減用コンテンツ1402,1502はさらに、それぞれの種類について、ストレスの低減作用の大きさごとに分類されている。ストレス低減モジュール213は、例えば、ユーザがその時点で負っているストレスの種類および大きさに基づいて、当該ストレスを好適に低減する作用を有するコンテンツを選択して表示するようになっている。例えば、ストレス低減モジュール213は、健康度が低いほど(例えばQOLスコアがCである場合)ストレスを低減する作用の高い情報を出力する。ストレス低減モジュール213は、ストレスの種類に応じて、例えば以下のように出力するコンテンツの内容を選択することができる。これらの一部又はすべてを出力することができる。
【0092】
1.身体的ストレスの低減用コンテンツ
・身体運動を行う動画
・発振装置(例えば、ユーザ端末102に備えられているリニア共振アクチュエータ、偏心回転振動モータ、ピエゾアクチュエータ等)に対し、リラクゼーションまたはマッサージ作用を呈する振動を起こさせる情報
2.精神的ストレスの低減用コンテンツ
・視線を様々な方向に誘導する動画(例えば、
図14参照)
・LED発光
・呼吸を整えるための情報(例えば、
図15参照)
・その他、精神的ストレスを緩和させるリラクゼーション動画(例えば、動物動画、風景動画、音楽を伴う/伴わないヒーリング動画等)
【0093】
管理サーバ101の運動情報取得モジュール214は、ユーザの運動特性に関する運動特性情報を取得する(ステップS730)。運動情報取得モジュール214は、例えば、ユーザの運動特性を評価するための運動特性評価用コンテンツ出力画面1600を出力する。そして、運動情報取得モジュール214は、この運動特性評価用コンテンツに対する応答に基づいて、ユーザの運動特性情報を取得するようになっている。
【0094】
図16は、運動特性評価用コンテンツ出力画面1600の一例である。ユーザによる選択ボタン1403,1503の選択を受け付けると、運動情報取得モジュール214は、ユーザ端末102のユーザ側運動情報取得モジュール314と連携して、ユーザ端末102のディスプレイに運動特性評価用コンテンツ出力画面1600を表示する。
【0095】
運動特性評価用コンテンツは、外部刺激が与えられた場合のユーザの瞬時の反射特性を評価するための運動特性評価用コンテンツ(ここでは運転動画)を含む。運動情報取得モジュール214は、画面1600(A)において、コンテンツ表示部1601と、評価を開始するためのスタートボタン1602と、を表示する。コンテンツ表示部1601に表示される運転動画は、例えば、車両等の運転時の運転席からの前方視界を映す動画であり、この運転動画では、通常運転場面の後に任意のタイミングで、危険情報出現場面が現れる。危険情報の出現は、外部刺激の一例である。運動情報取得モジュール214は、ユーザによるスタートボタン1602の選択を受け付けると、画面1600(B)に示すようにコンテンツ表示部1601において運転動画を再生する。また、コンテンツ表示部1601の下方に、「危険な個所が現れたらその場所をタッチしてください。」等のメッセージ1603とともに、リスタートボタン1604を表示する。
【0096】
運動情報取得モジュール214は、ユーザによるリスタートボタン1604の選択を受け付けると、運転動画を最初から再生しなおす。また、運動情報取得モジュール214は、ユーザによるコンテンツ表示部1601内の危険個所の選択(タッチ)を受け付けると、画面1600(C)を表示する。運動情報取得モジュール214は、画面1600(C)において、ユーザがタッチした時点の運転動画の静止画1605と、反射時間1606と、総合判定と表示された選択ボタン1607と、を表示する。運動情報取得モジュール214は、運転動画に危険個所が現れた時から、ユーザが当該危険個所をタッチするまでの時間を計測し、反射時間1606(反応時間の一例)として表示する。この反射時間1606が所定の閾値よりも短い場合に、運動特性がより高いと判断することができる。
【0097】
運動情報取得モジュール214は、例えば、予め反射時間1606を所定の閾値に基づいて、短時間、標準時間、長時間の3つに区分し、反射時間1606が短時間であったユーザの運動特性をレベルA、反射時間1606が標準時間であったユーザの運動特性をレベルB、反射時間1606が長時間であったユーザの運動特性をレベルC、と判断する。これにより、ユーザの運動特性は、高い方からレベルA、レベルB、レベルCと評価することができる。運動情報取得モジュール214は、この反射時間1606および/または運動特性を、運動特性情報として補助記憶装置202に記録する。
【0098】
選択ボタン1607の選択を受け付けると、管理サーバ101の運転適性情報出力モジュール215は、ユーザの運転適性情報を出力する(ステップS740)。
図17は、運転適性評価テーブル1700の一例である。また、
図18および
図19は、運転適性情報出力画面1800,1900の一例である。
【0099】
運転適性情報の取得方法について説明する。
運転適性評価テーブル1700に示されるように、本実施形態において、運転適性は、レベル1~レベル5の5段階で規定されている。例えば、出力画面1800(A)に示されるように、運転適性の「レベル1」は、運転適性が大幅に低く、車両等の運転には適さない非常に危険な状態であることを示す。運転適性が「レベル1」の場合は、十分に休息をとることが推奨される。出力画面1800(B)に示されるように、運転適性の「レベル2」は、運転適性が低く、車両等の運転には警戒が必要であり、運転に適さない状態であることを示す。運転適性が「レベル2」の場合は、体調や運転神経の低下が認められ、少しでも異常を感じた場合には十分に休息をとることが推奨される。
【0100】
出力画面1800(C)に示されるように、運転適性の「レベル3」は、運転適性がやや低めであって、車両等の運転に注意が必要であることを示す。運転適性が「レベル3」の場合は、運転には支障がないが、例えば集中力が低下している可能性があるため、十分に気を付けて運転することが推奨される。また例えば、出力画面1900(D)に示されるように、運転適性の「レベル4」は、運転適性が適正であり、運転には問題がないが若干の注意が必要な状態であることを示す。運転適性が「レベル4」の場合は、疲れを感じたら短時間でも休息をとることが推奨される。出力画面1900(E)に示されるように、運転適性の「レベル5」は、運転適性が高く、通常通り注意を払って安全運転に努めることが推奨される。
【0101】
運転適性は、例えば
図17に示されたような運転適性評価テーブル1700に基づいて、健康情報(ここではQOLスコア)と運動特性情報との組合せから、一義的に定めることができるようになっている。運転適性評価テーブル1700は、例えば、健康情報がレベルAで、運動特性がレベルAの場合、健康情報のレベル「A」と運動特性のレベル「A」の両方に関連づけられた「5」を運転適性レベルとして取得する。
【0102】
また、運転適性情報出力モジュール215は、ユーザ端末102のユーザ側運転適性情報出力モジュール315と連携し、このように取得した運転適性情報に基づいて、予め用意された出力画面1800(A)~(E)の中から対応する運転適性レベルが表示された出力画面をユーザ端末102のディスプレイに表示する。運転適性情報出力モジュール215は、出力画面1800(A)~(E)のそれぞれに、運転適性レベルおよびその説明1801,1901と、登録すると表示された選択ボタン1802,1902と、を表示する。
【0103】
運転適性評価テーブル1700に示されるように、運転適性情報出力モジュール215は、健康情報における健康度が高い場合ほど、ユーザの運転に対する適正度が高いことを示す運転適性情報を出力するようになっている。また、運転適性情報出力モジュール215は、運動特性が高いことを示す運動特性情報を取得した場合ほど、ユーザの運転に対する適正度が高いことを示す運転適性情報を出力するようになっている。ただし、運転適性情報出力モジュール215は、ユーザの健康度が高いことを示す健康情報を取得した場合であっても、運動特性が所定の基準に満たない場合には、ユーザの運転に対する適正度が相対的に低いことを示す運転適性情報を出力する。例えば、運転適性情報出力モジュール215は、運動特性がレベルAで健康情報がレベルCの場合の運転適性情報としてレベル3を出力するが、健康情報がレベルAで運動特性がレベルCの場合の運転適性情報としてレベル2を出力し、前者の場合よりも後者の場合の方が相対的に低い適性情報を出力する。
【0104】
図20は、登録完了画面2000の一例である。運転適性情報出力モジュール215は、選択ボタン1802の選択を受け付けると、登録完了画面2000を出力するとともに、補助記憶装置202に、当該日の運転適性情報を登録する。このような本技術に係る運転適性評価方法によると、ユーザの健康情報のみからではなく、運動特性情報をも考慮した、運転適性情報を得ることができる。これにより、運転者の運転適性をより適切に評価することができる。
【0105】
登録された運転適性に応じて、管理サーバ101では以下のようなことが可能になる。
・運転適性の評価結果が1の人は運転に適していない健康状態であるため、運転させないように業務を管理することができる。このような業務管理としては、例えば、運転管理システムや物流管理システム等へのアクセス権が停止され、運転業務を行うことができなくすることが挙げられる。また、勤怠管理では、休業扱いや、有給休暇扱いとしてもよい。
・運転適性の評価結果が2の人は、運転に適した健康状態であるとは言えず警戒が必要であるため、少しでも身体的、精神的な異常を感じた場合は休息をとるように業務を管理することができる。このような業務管理としては、例えば、所定の時間が経過するごとに、健康状態の報告や、本運転適性評価システムを利用した運転適性評価の実施を義務付け、その結果の健康状態が運転許可状態(例えば、運転適性評価システムによる評価結果が2以上)でないと、運転管理システムや物流管理システム等へのアクセス権が停止され、運転業務の継続が不可能となるようにすることが挙げられる。また、申告や運転適性評価の結果で異常があった場合は、当該運転者のその後の運転業務を適切に調整する(例えば、配送時間の遅延が可能なように配送先に連絡する、代替運転手を手配するなど)構成としてもよい。
・運転適性の評価結果が3,4の人は、運転に注意が必要な健康状態であるため、少しでも身体的、精神的な疲労を感じた場合は休息をとるように注意喚起することができる。このような業務管理としては、例えば、所定の時間が経過するごとに、運転者に対し休憩取得を進める通知をしたり、本運転適性評価システムを利用した運転適性評価の実施を推奨することが挙げられる。
・運転適性の評価結果が1の人は、運転に適した健康状態であるが、常に健康状態に注意を払うように注意喚起することができる。このような業務管理としては、例えば、評価結果が3,4の場合よりも低い頻度で、所定の時間が経過するごとに、運転者に対し休憩取得を進める通知をしたり、本運転適性評価システムを利用した運転適性評価の実施を推奨することが挙げられる。
・本システムは、運転者の健康状態のモニタリングにも利用することができる。運転者は生活習慣病を発症しやすいことが知られており、この疾患は、労働による疲労の蓄積が大きな原因であることが指摘されている。また、生活習慣病をきたすと運転疲労が著しく増大することも知られている。したがって、本システムを継続的に使用することで、当日の運転者の運転適性を評価することに加え、運転者の健康状態の長期的なモニタリングが可能となる。その結果、運転者の健康状態の悪化傾向を早期に検出することが可能となり、延いては、疾患およびその進行の早期発見と、早期の対処が可能となる。
【0106】
また上記構成によると、運動特性評価の前にストレス低減モジュール213がストレス低減用コンテンツを出力することから、ユーザのストレスを好適に低減できるとともに、かかる低減されたストレス状態で運転適性を評価することができる。その結果、例えば、
図17の楕円で示されるように、ストレス低減用コンテンツに応じた運動等を実施しない場合(実線の楕円)と比較して、運動等を実施することにより、運転適性が好適に改善される。なお、ストレス低減用コンテンツおよび運動特性評価用コンテンツは、ユーザの慣れや飽きを抑制できるように、多くの種類(例えば50種類以上、好ましくは90種類以上)を用意することができる。とりわけ運動特性評価用コンテンツは、外部刺激としての危険情報の種類、出現タイミング、出現態様等が、ランダムに変更するように構成されているとよい。
【0107】
上記実施形態において、運動特性評価用コンテンツは運転動画に限られず、例えば、ユーザの運動特性や反射能力を評価できる内容のコンテンツであればよい。
上記実施形態において、健康情報取得モジュール212は、脈波情報から平均脈拍数のみを取得していた。しかしながら、脈波情報からは、平均脈拍数以外の情報(例えば、不整脈情報等)を取得してもよい。
【0108】
上記実施形態では、説明の簡便化のために、健康情報取得モジュール212は脈波評価結果を3段階に、問診結果を5段階に区分して、3段階のQOLスコアを得るようにしていた。また、運動情報取得モジュール214は、運動特性を3段階に区分けし、運転適性情報出力モジュール215は、3段階に区分けされたQOLスコアおよび運動特性から、5段階の運転適性情報を得るようにしていた。しかしながら、上記情報の区分数はこの例に限定されず、適宜調整することができる。
【0109】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0110】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0111】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示している。
【符号の説明】
【0112】
1…運転適性評価システム、101…管理サーバ、102…ユーザ端末、103…ウェアラブル端末、211…ユーザ端末管理モジュール、212…健康情報取得モジュール、213…ストレス低減モジュール、214…運動情報取得モジュール、215…運転適性情報出力モジュール、311…ユーザ管理モジュール、312…ユーザ側健康情報取得モジュール、313…ユーザ側ストレス低減モジュール、314…ユーザ側運動情報取得モジュール、315…ユーザ側運転適性情報出力モジュール、316…ウェアラブル端末管理モジュール、411…ウェアラブル管理モジュール、412…センサモジュール