(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155232
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】衣類乾燥機用の外装カバー
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20241024BHJP
D06F 58/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
D06F58/02 U
D06F58/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069787
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA24
3B166AB29
3B166AE01
3B166AE07
3B166BA32
3B166BA82
3B166CA03
3B166CA11
3B166CB11
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3B166ED05
3B166EE01
3B166GA02
3B166GA07
3B166GA12
(57)【要約】
【課題】衣類乾燥機の排気口から排出された衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を外装カバーの外に排出できるようにしつつ、衣類乾燥機を屋外に設置しても、雨水が排気口から衣類乾燥機内に浸入しないようにすることができる衣類乾燥機用の外装カバーを提供する。
【解決手段】本発明の外装カバー10は、衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を機外に排出する排気口75を有する衣類乾燥機1に用いられ、排気口75を覆いつつ、衣類乾燥機1の上面1eと側面1a~1dとを覆う。外装カバー10は、排気口75から排出された排気が導入される排出通路20を有する。排出通路20は、排出通路20に導入された排気を外装カバー10の外に下向きに排出する排出口21を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を機外に排出する排気口を有する衣類乾燥機に用いられ、前記排気口を覆いつつ、前記衣類乾燥機の上面と側面とを覆う外装カバーであって、
前記排気口から排出された前記排気が導入される排出通路を有し、
前記排出通路は、前記排出通路に導入された前記排気を前記外装カバーの外に下向きに排出する排出口を有していることを特徴とする衣類乾燥機用の外装カバー。
【請求項2】
前記排出通路は、前記外装カバーの上下方向に延びるカバー側面に沿って設けられ、前記カバー側面の端部まで延びている請求項1記載の衣類乾燥機用の外装カバー。
【請求項3】
前記排出通路は、前記外装カバーの上下方向に延びるカバー側面に沿って設けられ、
前記排出口から排出される前記排気を前記カバー側面から離隔する方向に案内する案内部を有している請求項1記載の衣類乾燥機用の外装カバー。
【請求項4】
前記排出通路を形成する通路内面に防音部材が設けられている請求項1乃至3のいずれか1項記載の衣類乾燥機用の外装カバー。
【請求項5】
前記外装カバーにおける前記衣類乾燥機の外面に対向するカバー内面にも前記防音部材が設けられている請求項4記載の衣類乾燥機用の外装カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類乾燥機用の外装カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の衣類乾燥機用の外装カバーが開示されている。この外装カバーは、衣類乾燥機の上面と側面を覆う。これにより、この外装カバーでは、衣類乾燥機をベランダ等の屋外に設置しても、衣類乾燥機内に雨水が浸入しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の外装カバーは、衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を除湿するタイプの衣類乾燥機に用いている。このタイプの衣類乾燥機では、除湿後の排気や水を衣類乾燥機の底面に設けられた排気口から排出する。
【0005】
一方、衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を除湿せずにそのまま機外に排出するタイプの衣類乾燥機では、衣類乾燥機の上面や側面に設けられた排気口から衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を機外に排出する。このタイプの衣類乾燥機に用いる外装カバーは、衣類乾燥機の排気口から排出された排気を外装カバーの外に排出できるようにしつつ、衣類乾燥機を屋外に設置しても、雨水が排気口から衣類乾燥機内に浸入しないようにする必要がある。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、衣類乾燥機の排気口から排出された衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を外装カバーの外に排出できるようにしつつ、衣類乾燥機を屋外に設置しても、雨水が排気口から衣類乾燥機内に浸入しないようにすることができる衣類乾燥機用の外装カバーを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の衣類乾燥機用の外装カバーは、衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を機外に排出する排気口を有する衣類乾燥機に用いられ、前記排気口を覆いつつ、前記衣類乾燥機の上面と側面とを覆う外装カバーであって、
前記排気口から排出された前記排気が導入される排出通路を有し、
前記排出通路は、前記排出通路に導入された前記排気を前記外装カバーの外に下向きに排出する排出口を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明の衣類乾燥機用の外装カバーでは、衣類乾燥機の排気口から排出された衣類乾燥後の湿気を含んだ排気が排出通路に導入される。そして、排出通路に導入された排気は、排出口から外装カバーの外に下向きに排出される。このため、衣類乾燥機の排気口から排出された排気を排出通路の排出口から外装カバーの外に排出することができる。
【0009】
そして、外装カバーの排出通路の排出口は、排出通路を通過した排気を外装カバーの外に下向きに排出する。このため、この外装カバーを屋外に設置された衣類乾燥機に用いても、排出口から排出通路内に雨水が浸入し難く、ひいては排気口から衣類乾燥機内に雨水が浸入し難い。
【0010】
したがって、本発明の衣類乾燥機用の外装カバーによれば、衣類乾燥機の排気口から排出された衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を外装カバーの外に排出できるようにしつつ、衣類乾燥機を屋外に設置しても、雨水が排気口から衣類乾燥機内に浸入しないようにすることができる。
【0011】
排出通路は、外装カバーの上下方向に延びるカバー側面に沿って設けられ得る。そして、排出通路は、そのカバー側面の端部まで延びていることが好ましい。
【0012】
排出通路が設けられたカバー側面の面内に排出通路の排出口が位置していると、排出口から排出された排気がカバー側面に直接当たり易いため、カバー側面が汚れ易い。この点、排出通路がカバー側面の端部まで延びていれば、排出口から排出された排気がカバー側面に直接当たることがない。このため、排出口から排出された排気によってカバー側面が汚れることを抑制できる。
【0013】
排出通路は、外装カバーの上下方向に延びるカバー側面に沿って設けられ得る。このとき、本発明の衣類乾燥機用の外装カバーは、排出口から排出される排気をそのカバー側面から離隔する方向に案内する案内部を有していることが好ましい。
【0014】
この場合、排出口から排出された排気は、案内部によって案内されてカバー側面から離隔する方向に流れる。このため、排出口から排出された排気がカバー側面に直接当たることを抑制でき、排出口から排出された排気によってカバー側面が汚れることを抑制できる。
【0015】
排出通路を形成する通路内面に防音部材が設けられていることが好ましい。
【0016】
この場合、衣類乾燥機からの騒音を抑えることができる。
【0017】
外装カバーにおける衣類乾燥機の外面に対向するカバー内面にも防音部材が設けられていることが好ましい。
【0018】
この場合、衣類乾燥機からの騒音をより一層抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の衣類乾燥機用の外装カバーによれば、衣類乾燥機の排気口から排出された衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を外装カバーの外に排出できるようにしつつ、衣類乾燥機を屋外に設置しても、雨水が排気口から衣類乾燥機内に浸入しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、実施例1の衣類乾燥機用の外装カバーの使用状態を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1の衣類乾燥機用の外装カバーに係り、
図1に示す使用状態を衣類乾燥機の後方から見た背面図である。
【
図3】
図3は、実施例2の衣類乾燥機用の外装カバーの使用状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(実施例1)
図1に示す実施例1の衣類乾燥機用の外装カバー10は、本発明の衣類乾燥機用の外装カバーの具体的態様の一例であり、ベランダ等の屋外に設置される衣類乾燥機1に用いられている。
【0023】
衣類乾燥機1は、ガスの燃焼によって加熱した空気で衣類を乾燥させるガス衣類乾燥機である。衣類乾燥機1は、矩形箱状の筐体8、回転ドラム80及び扉89を有している。
【0024】
本実施例では、
図1に示す実線矢印によって衣類乾燥機1の前後方向及び上下方向を規定している。すなわち、衣類乾燥機1における扉89が配置された側面側を前方と規定し、衣類乾燥機1の高さ方向を上下方向と規定している。また、
図2では、
図1に示す衣類乾燥機1を前方から見た場合の横方向である幅方向を左右方向と規定してる。
【0025】
筐体8の前面には、衣類投入口88が設けられている。衣類投入口88における筐体8の内部に位置する端縁には、略円環状のリング板87の内周縁が接合されている。リング板87の下部分には、連通孔87Aが形成されている。
【0026】
筐体8の後面側の壁には、回転軸心X80を中心とするドラム支持軸80Sが固定されている。回転軸心X80は、筐体8の前後方向に水平に延びている。ドラム支持軸80Sは、筐体8の前面側に突出している。
【0027】
回転ドラム80は、筐体8内に設けられている。回転ドラム80は、円筒部84及び奥壁部82を有している。円筒部84は、回転軸心X80を中心とする円筒形状である。奥壁部82は、円筒部84における筐体8の後面側に位置する端縁に接続する略円盤形状である。
【0028】
回転ドラム80は、円筒部84及び奥壁部82によって、衣類C1を収容する乾燥室81を形成している。奥壁部82には、通気部83が設けられている。通気部83は、複数の孔と、各孔を覆うフィルタとによって構成されている。
【0029】
回転ドラム80は、奥壁部82がドラム支持軸80Sによって回転可能に支持され、かつ円筒部84における筐体8の前面側に位置する端縁がリング板87の外周縁によって回転可能に支持されることにより、回転軸心X80周りに回転可能となっている。
【0030】
扉89は、片開き式の円形扉であり、閉鎖位置と開放位置との間で揺動可能に筐体8の前面側に支持されている。扉89は、閉鎖位置にある状態で、衣類投入口88を覆って乾燥室81を閉鎖する。その一方、扉89は、開放位置にある状態で、衣類投入口88から離間して乾燥室81を開放する。
【0031】
筐体8内における回転ドラム80よりも下方には、モータ60が設けられている。モータ60は、回転軸心X80と平行な駆動軸心X60を中心とする第1駆動軸61及び第2駆動軸62を有している。第1駆動軸61は、筐体8の前面側に突出している。第2駆動軸62は、筐体8の後面側に突出している。
【0032】
第1駆動軸61には、第1プーリ61Pが一体回転可能に固定されている。そして、第1伝達ベルト61Bが第1プーリ61Pと、回転ドラム80の円筒部84とに巻き掛けられている。
【0033】
モータ60が作動して駆動力を発生すると、第1駆動軸61、第1プーリ61P及び第1伝達ベルト61Bを経由して円筒部84に駆動力が伝達され、回転ドラム80が回転軸心X80周りに回転する。回転ドラム80の回転は、乾燥室81に収容されている衣類C1を定位置に止めることなく常に動かすために行われる。
【0034】
また、衣類乾燥機1は、送風手段7及び加熱源5を有している。
【0035】
送風手段7は、給気口71、給気ダクト72、排気口75、排気ダクト76及び排気ファン78を含んでいる。
【0036】
給気口71は、筐体8の底壁に貫設された複数の穴である。給気ダクト72は、筐体8内における前面側、かつ底壁側に設けられている。給気ダクト72には、導入口72Aが形成されている。導入口72Aは、筐体8内において給気口71から上方に離間する位置で下向きに大きく開口している。給気ダクト72は、導入口72Aから上向きに延びて、その上端がリング板87の連通孔87Aに接続している。
【0037】
給気口71、給気ダクト72及び連通孔87Aによって、筐体8内に空気を取り入れるとともに、筐体8内において乾燥室81に空気を供給する給気経路が構成されている。
【0038】
排気口75は、回転ドラム80よりも筐体8の後面側において、筐体8の上壁の右端に貫設された穴である。排気ダクト76は、回転ドラム80の奥壁部82と筐体8の後面側の壁との間に設けられている。排気ダクト76には、導出口76Aが形成されている。導出口76Aは、筐体8内において奥壁部82の通気部83に対向する位置で前向きに大きく開口している。排気ダクト76は、導出口76Aから上向きに延びて、その上端が排気口75に接続している。排気口75には、L字状の排気管77が接続されている。排気管77は、排気口75から上方に延びてから90°曲がって、衣類乾燥機1の後面側の壁よりも後方に延びている。
【0039】
通気部83、排気ダクト76、排気口75及び排気管77によって、乾燥室81から筐体8の外部に衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を排出する排気経路が構成されている。
【0040】
排気ファン78は、排気ダクト76内に設けられている。排気ファン78は、奥壁部82の通気部83に対向する状態で、ドラム支持軸80Sに外挿された円筒状のファン支持体78Sに一体回転可能に固定されている。これにより、排気ファン78は、回転軸心X80周りに回転可能となっている。
【0041】
モータ60の第2駆動軸62には、第2プーリ62Pが一体回転可能に固定されている。そして、第2伝達ベルト62Bが第2プーリ62Pと、ファン支持体78Sとに巻き掛けられている。
【0042】
モータ60が作動して駆動力を発生すると、第2駆動軸62、第2プーリ62P及び第2伝達ベルト62Bを経由してファン支持体78Sに駆動力が伝達され、排気ファン78が回転軸心X80周りに回転する。排気ファン78の回転により、筐体8の外部の空気が給気口71、給気ダクト72及び連通孔87Aを経由して乾燥室81内に供給され、乾燥室81内で流通した後、通気部83、排気ダクト76、排気口75及び排気管77を経由して筐体8の外部、すなわち衣類乾燥機1の機外に排出される。
【0043】
加熱源5は、ガスバーナ50、ガス供給弁装置53及びガス噴射ノズル51を有している。
【0044】
ガスバーナ50は、給気ダクト72の導入口72Aの真下に配置されている。ガス供給弁装置53は、図示しないガス供給源からガス噴射ノズル51に燃料ガスを供給する。ガス噴射ノズル51は、燃料ガスをガスバーナ50のガス入口50Aに向けて噴射する。これにより、燃料ガスがガス入口50A周辺の空気と共にガスバーナ50に導かれて燃焼する。その結果、排気ファン78の回転によって給気口71から筐体8内に取り込まれた空気は、ガスバーナ50で生成される燃料排ガスによって加熱され、給気ダクト72の導入口72A等を経由して乾燥室81内に温風として供給される。そして、その温風は、乾燥室81内で流通して衣類C1の湿気を吸収した後、通気部83、排気ダクト76、排気口75及び排気管77を経由して筐体8の外部に排出される。
【0045】
衣類乾燥機1は、制御部3を有している。制御部3は、筐体8の前面における扉89よりも下方の位置に収容されている。制御部3は、図示しないCPU、ROM、RAM及びインターフェース回路等により構成された電子回路ユニットである。ROMには、衣類乾燥機1の各種動作を実行するためのプログラム等が格納されている。RAMは、CPUがプログラムを実行する際に用いるデータや信号を一時的に記録する記憶領域、又はデータ処理の作業領域として使用される。制御部3は、プログラムを実行することにより、送風手段7及び加熱源5を構成するモータ60及びガス供給弁装置53等を制御して、乾燥室81に収容された衣類C1を乾燥させる乾燥運転を実行するようになっている。
【0046】
ここに、
図1及び
図2に示すように、衣類乾燥機1において、前側面1a、後側面1b、左側面1c、右側面1d、上面1e及び下面1fを規定する。前側面1a、後側面1b、左側面1c及び右側面1dは、本発明における「側面」の一例である。衣類乾燥機1の下面1fの四隅には、この衣類乾燥機1が設置されるベランダの床面や地面からの高さを保つための脚部2が設けられている。脚部2は、図示しないネジ機構により、脚部2自体の高さが可変とされている。
【0047】
外装カバー10は、ステンレス鋼板よりなり、衣類乾燥機1の外形状に対応した矩形箱状をなしている。外装カバー10は、衣類乾燥機1の上面1eと、前側面1aと、後側面1bと、左側面1cと、右側面1dと、下面1fの一部と、を覆っている。外装カバー10は、カバー本体11と、カバー蓋体12と、排出通路形成体13とを有している。
【0048】
カバー本体11は、前面開口11aを有する矩形箱状をなしている。カバー本体11は、カバー後側面11b、カバー左側面11c、カバー右側面11d、カバー上面11e及びカバー下面11fを有している。
【0049】
排出通路形成体13は、カバー本体11のカバー後側面11bにおける右上部に設けられている。具体的には、排出通路形成体13は、排気管77の出口に対応する位置に設けられている。排出通路形成体13は、前方及び下方が開口した矩形箱状をなしている。排出通路形成体13は、カバー後側面11bの上端から下方に向かって、断面コの字状で上下方向(鉛直方向)に延びている。排出通路形成体13の上下方向の長さは、外装カバー10の高さの30~50%程度とされている。
【0050】
これにより、排出通路形成体13内に、排出通路形成体13の内面とカバー後側面11bとによって区画された排出通路20が形成されている。排出通路20は、カバー後側面11bに沿って設けられている。排出通路20は、カバー後側面11bの上端から下方に向かって鉛直方向に延びている。そして、排出通路20の下端である排出口21は鉛直方向の下向きに開口している。排出通路20における通路断面積は、排気口75の開口面積や排気管77内に通路断面積と同等以上とされている。この実施例の排出通路20の通路断面積は排気口75の開口面積の3倍程度とされている。
【0051】
また、カバー後側面11bには、排気管77の出口に対応する位置に、カバー本体11の後壁を貫通する通孔22が形成されている。通孔22は、排出通路20内に開口している。そして、この通孔22に排気管77の出口側の端部が接続されている。これにより、排気管77の出口が排出通路20に連通している。
【0052】
さらに、カバー後側面11bには、排出通路形成体13の下端の直ぐ下の位置、すなわち排出通路20の排出口21の近傍に、案内板23が固定されている。案内板23は、本発明における「案内部」の一例である。案内板23は、カバー後側面11bに固定された固定部23aと、固定部23aから下方に向かうに連れてカバー後側面11bから離れる方向に傾斜した傾斜部23bとを有している。
【0053】
傾斜部23bは、排出通路20の排出口21の真下に位置している。傾斜部23bの左右方向の幅は、排出口21の左右方向の幅と略同等である。傾斜部23bの鉛直方向に対する傾斜角度は、特に限定されないが、30~50°程度とすることができる。傾斜部23bの先端部23cは、排出通路形成体13の後面13aよりも、カバー後側面11bから離れている。これにより、排出口21から排出された排気の全てが傾斜部23bに当接する。その結果、排出口21から排出された排気は、傾斜部23bに案内されて、外装カバー10のカバー後側面11bから離隔する斜め下方向に流れる。
【0054】
カバー本体11のカバー下面11fには、カバー本体11の底壁を貫通する矩形状の吸気用開口14が形成されている。また、カバー下面11fの四隅には、この衣類乾燥機1が設置されるベランダの床面や地面からの高さを保つためのカバー脚部15が設けられている。カバー脚部15は、図示しないネジ機構により、カバー脚部15自体の高さが可変とされている。カバー本体11のカバー下面11fによって、衣類乾燥機1の4個の脚部2が支持されている。
【0055】
カバー蓋体12は、カバー本体11の前面開口11aを塞ぐようにカバー本体11に固定されている。なお、衣類乾燥機1に対する外装カバー10の取り付けは、前面開口11aから衣類乾燥機1をカバー本体11内に挿入してから、前面開口11aをカバー蓋体12で塞ぐことによって、行なうことができる。
【0056】
カバー蓋体12は、衣類乾燥機1の扉89と対応する位置に、扉89よりも若干大きい円形の扉用開口12aを有している。この扉用開口12aには、扉用開口12aを開閉するカバー扉16が設けられている。カバー扉16は、片開き式の円形扉であり、閉鎖位置と開放位置との間で揺動可能にカバー蓋体12に支持されている。カバー扉16は、閉鎖位置にある状態で、扉用開口12aを塞ぐ。その一方、カバー扉16は、開放位置にある状態で、扉用開口12aを開放する。
【0057】
この外装カバー10における衣類乾燥機1の外面に対向するカバー内面10aの全体、及び、排出通路20を形成する通路内面20aの全体に、グラスウール製の防音部材40が付着されている。
【0058】
この外装カバー10では、乾燥室81内で衣類C1を乾燥して湿気を含んだ排気が排気管77から排出されると、その排気は排出通路20内に導入される。排出通路20に導入された排気は、排出通路20内を通って排出口21から外装カバー10の外に排出される。このため、外装カバー10内に湿気が充満することがない。
【0059】
また、この排出通路20はカバー後側面11bに沿って鉛直方向の下向きに延びるとともに、排出口21が鉛直方向の下向きに開口している。このため、排出口21から排出通路20内に雨水が浸入し難く、ひいては排気口75から衣類乾燥機1内に雨水が浸入し難い。また、排出口21からの排気が突風によって妨げられることを抑制できる。
【0060】
したがって、この外装カバー10によれば、衣類乾燥機1の排気口75から排出された衣類乾燥後の湿気を含んだ排気を外装カバー10の外に排出できるようにしつつ、衣類乾燥機1を屋外に設置しても、雨水が排気口75から衣類乾燥機1内に浸入しないようにすることができる。
【0061】
また、この外装カバー10では、排出口21から鉛直方向の下向きに排出された排気が、排出口21の真下に位置する案内板23の傾斜部23bに当接する。これにより、排出口21から排出された排気は、傾斜部23bで案内されて、カバー後側面11bから離隔する斜め下方向に流れる。このため、排出口21から排出された誇り等を含む排気がカバー後側面11bに直接当たることを抑制でき、カバー後側面11bが汚れることを抑制できる。
【0062】
さらに、この外装カバー10では、衣類乾燥機1の外面に対向するカバー内面10aの全体、及び、排出通路20を形成する通路内面20aの全体に、防音部材40が設けられている。このため、衣類乾燥機1から発生する騒音や、排出通路20内を通過する排気の風切り音などを効果的に抑えることができる。その結果、衣類乾燥機1を屋外に設置した際に懸念される騒音トラブルを回避することができる。
【0063】
(実施例2)
図3に示すように、実施例2の外装カバー10Aでは、排出通路形成体13Aがカバー後側面11bの下端部まで延びており、排出通路20Aがカバー後側面11bの下端部まで延びている。
【0064】
すなわち、排出通路形成体13A及び排出通路20Aは、カバー後側面11bの上端から下端まで、カバー後側面11bの全体に鉛直方向に延びている。これにより、排出通路20Aの排出口21Aは、カバー後側面11bの下端の位置で、鉛直方向の下向きに開口している。
【0065】
この外装カバー10Aでは、排出口21Aから排出された排気がカバー後側面11bに直接当たることがない。このため、排出口21Aから排出された排気によってカバー後側面11bが汚れることを効果的に抑制できる。
【0066】
その他の構成及び作用効果は実施例1と同様である。
【0067】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0068】
実施例1、2の外装カバー10、10Aでは、カバー本体11のカバー後側面11bから排出通路形成体13、13Aが後方に部分的に突出しているが、本発明はこれに限られない。例えば、排出通路形成体13の後面13aの面積がカバー後側面11bの面積と同一となるように構成したり、排出通路形成体13の左右方向の幅がカバー後側面11bの左右方向の幅と同一となるように構成したりして、外装カバー10、10Aの背面における意匠性を向上させてもよい。この場合、排出通路形成体13の内部全体に排出通路20、20Aを形成してもよいし、排出通路形成体13の内部に部分的に排出通路20、20Aを形成してもよい。
【0069】
実施例1、2では、排出通路20、20Aが鉛直方向に延びているが、本発明はこれに限られない。例えば、水平方向を0°とし、鉛直方向を90°としたとき、排出通路20、20Aは、45°程度以上の角度で、カバー後側面11bに沿って斜め方向に延びていてもよい。この場合、実施例2の外装カバー10Aにおいては、排出通路20Aの下端が、カバー後側面11bの下端部まで延びていてもよいし、カバー後側面11bの左端部まで延びていてもよい。
【0070】
実施例1、2では、防音部材40としてグラスウール製のものを用いたが、本発明はこれに限らず、例えば発泡ポリウレタン等の発泡部材としてもよい。発泡ポリウレタンであれば、防振性能も期待できる。
【0071】
実施例1、2では、カバー脚部15として、ネジ機構により高さ調整ができるものを採用するが、高さが一定のカバー脚部であってもよい。
【0072】
実施例1、2では、本発明の外装カバーを適用する衣類乾燥機における加熱源をガス燃焼式としているが、温水循環式であってもよい。
【0073】
実施例1において、案内板23を省略し、排出通路形成体13の下端の開口を塞いで底壁を設けるとともに、排出通路形成体13の後面13aの下端部に開口を設けて、この開口を排出通路20の排出口21にしてもよい。この場合、排出通路20内を鉛直方向の下向きに流れた排気は排出口21から排出され、その排気の大部分はカバー後側面11bから離隔する斜め下方向に流れる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は例えば、ベランダ等の屋外に設置される衣類乾燥機に利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…衣類乾燥機
1a…前側面(側面)
1b…後側面(側面)
1c…左側面(側面)
1d…右側面(側面)
1e…上面
10、10A…外装カバー
10a…カバー内面
20、20A…排出通路
20a…通路内面
21、21A…排出口
23…案内板(案内部)
40…防音部材
75…排気口