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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155235
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電装部品支持部材
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/00 20200101AFI20241024BHJP
   B62J 11/19 20200101ALI20241024BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20241024BHJP
   B62K 19/30 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B62J11/00
B62J11/19
B62J45/00
B62K19/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069812
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 伸享
(72)【発明者】
【氏名】本橋 昌弘
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BH06
3D212BH08
(57)【要約】
【課題】部品点数を増加させずに、電装部品とコネクタとを一部品で固定できる電装部品支持部材を提供する。
【解決手段】電装部品支持部材は、電装部品(35)を、本体(10)に固定するための電装部品支持部材であって、前記電装部品(35)の周囲を囲む収納部分(50)と、前記本体(10)に設けられた支持部材(33g、33h)を挿入することで前記本体(10)に固定可能な開口部分(57a、58a)と、を有し、前記本体(10)から延伸するコネクタ(46)を支持するコネクタ支持部(60)を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装部品(35)を、本体(10)に固定するための電装部品支持部材であって、
前記電装部品(35)の周囲を囲む収納部分(50)と、前記本体(10)に設けられた支持部材(33g、33h)を挿入することで前記本体(10)に固定可能な開口部分(57a、58a)と、を有し、
前記本体(10)から延伸するコネクタ(46)を支持するコネクタ支持部(60)を有することを特徴とする電装部品支持部材。
【請求項2】
前記収納部分(50)と前記コネクタ支持部(60)との間に前記開口部分(57a、58a)があることを特徴とする請求項1に記載の電装部品支持部材。
【請求項3】
前記開口部分(57a、58a)は長孔形状を有し、前記開口部分(57a、58a)の長辺の延伸方向と前記コネクタ(46)の挿入方向が同じであることを特徴とする請求項1または2に記載の電装部品支持部材。
【請求項4】
前記コネクタ支持部(60)の前記コネクタ(46)の挿入方向における長さ(L3)は、前記長辺の長さ(L1)よりも短いことを特徴とする請求項3に記載の電装部品支持部材。
【請求項5】
前記長辺の途中に前記コネクタ(46)の挿入口(S2a)の端部が位置することを特徴とする請求項3に記載の電装部品支持部材。
【請求項6】
前記本体は車両(10)であり、前記コネクタ支持部(60)は、前記車両(10)の進行方向後方から前記コネクタ(46)を挿入可能な構造であり、前記車両(10)の進行方向前方は塞がれていることを特徴とする請求項1または2に記載の電装部品支持部材。
【請求項7】
前記開口部分(57a、58a)の下に前記コネクタ支持部(60)が位置することを特徴とする請求項2に記載の電装部品支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装部品支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電装部品を、鞍乗り型車両などの本体に固定するための電装部品支持部材が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、電装部品としての盗難防止装置を電装品取付け装置によりシートフレームに取り付ける構成が記載されている。特許文献1の電装品取付け装置は、盗難防止装置を包む弾性部材で構成された電装品カバーと、電装品カバーを車両に取り付けるための取付け部と、を有し、盗難防止装置のみが収納可能に構成されている。よって、特許文献1に記載の技術では、盗難防止装置のみが電装部品取付装置によりシートフレームに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5341659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電装部品が固定される本体には、所定の状況でしか使用されないコネクタを備える場合がある。このようなコネクタは、固定しようとすると部品点数が増えるため、常時は使用されないために、特段の手当てをすることなく、そのままの固定されない状態で配置され易いという課題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、部品点数を増加させずに、電装部品とコネクタとを一部品で固定できる電装部品支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電装部品支持部材は、電装部品を、本体に固定するための電装部品支持部材であって、前記電装部品の周囲を囲む収納部分と、前記本体に設けられた支持部材を挿入することで前記本体に固定可能な開口部分と、を有し、前記本体から延伸するコネクタを支持するコネクタ支持部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
部品点数を増加させずに、電装部品とコネクタとを一部品で固定できる電装部品支持部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】サイドカバーが取り外された鞍乗り型車両の要部の左側面図である。
図3】サイドカバーが取り外された鞍乗り型車両の要部の左後方からの斜視図である。
図4】電装支持ラバーの斜視図である。
図5】電装支持ラバーの左側面図である。
図6】電装支持ラバーの正面図である。
図7】電装支持ラバーの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下方に延びる左右一対のメインフレーム19aと、メインフレーム19aの後端部から下方に延びる左右一対のピボットフレーム19bと、メインフレーム19aの前部から後下方に延びるダウンフレーム19cとを備える。
リアフレーム20は、メインフレーム19aから後方に延びるシートフレーム20aと、ピボットフレーム19bの上部から後上方に延びるサブフレーム20bとを備える。
【0016】
パワーユニット12は、メインフレーム19aの下方において、車両前後方向でダウンフレーム19cとピボットフレーム19bとの間に支持される。
【0017】
パワーユニット12の上方には、燃料タンク29が配置される。燃料タンク29は、車両前後方向で、ヘッドパイプ18とシート17との間に配置される。燃料タンク29は、メインフレーム19aの上方に配置され、メインフレーム19aによって支持される。
【0018】
パワーユニット12のシリンダー部24には、後方から前方に延びる吸気通路31が接続される。吸気通路31は後方のエアクリーナボックス32に接続される。エアクリーナボックス32は、シート17の下方に配置されている。エアクリーナボックス32は、フロントフレーム19およびリアフレーム20に支持される。エアクリーナボックス32は、左右一対のサイドカバー30で車幅方向外側から覆われる。サイドカバー30は、メインフレーム19aと、シートフレーム20aと、サブフレーム20bとで囲まれる側面視で三角状の空間を閉塞するように左右に配置される。
【0019】
図2は、サイドカバー30が取り外された鞍乗り型車両10の要部の左側面図である。図3は、サイドカバー30が取り外された鞍乗り型車両10の要部の左後方からの斜視図である。なお、図2図3では、電装支持ラバー40を網点を付して示す。
サイドカバー30が取り外されると、メインフレーム19aと、シートフレーム20aと、サブフレーム20bと、で囲まれる位置から、エアクリーナボックス32が車幅方向外側に露出する。
【0020】
本実施の形態のエアクリーナボックス32は、下方に凹んだ容器状のボックス本体33と、ボックス本体33の上端の開口を覆うボックスリッド34と、を備える。本実施の形態では、ボックス本体33と、ボックスリッド34とは、樹脂で製造される。
ボックス本体33は、吸気通路31が接続される前面33aと、前面33aの左右外端から後方に延びる左右一対の側面33bと、左右一対の側面33bの間に形成されて後輪15に対向して設けられる後面33cと、前面33aと左右一対の側面33bと後面33cとのそれぞれの下端を閉塞する下面33dと、を有する。前面33aと左右一対の側面33bと後面33cとのそれぞれの上端部の囲み形状により、ボックスリッド34で閉塞される上端開口が形成される。
【0021】
エアクリーナボックス32には、鞍乗り型車両10の各部を電子的に制御するECU(Electronic Control Unit)35が取り付けられる。本実施の形態のECU35は、車幅方向に厚みを有する板状に形成される。本実施の形態では、ECU35は、エアクリーナボックス32のボックス本体33の側面33bに取り付けられる。ECU(電装部品)35は、電装支持ラバー(電装部品支持部材)40を介して、ボックス本体33の側面33bに取り付けられる。
【0022】
図3に示すように、側面33bには、車幅方向外側に突出する台座状の上下一対の座面33e、33fが形成される。座面33e、33fには、車幅方向外側に延出する長板状のステー部(支持部材)33g、33hがそれぞれ形成される。上側のステー部33gと下側のステー部33hとは、同一の形状である。ステー部33g、33hは、上下方向に厚みを有する長板状である。ステー部33g、33hは、車幅方向外側に延出する本体部33g1、33h1と、本体部33g1、33h1の先端に設けられた先端部33g2、33h2と、を有する。先端部33g2、33h2は、本体部33g1、33h1よりも前後幅が大きく形成されている。すなわち、ステー部33h、33gには、いわゆる、返しが形成されている。ステー部33g、33hは、電装支持ラバー40に挿入され、電装支持ラバー40を支持する。これにより、ECU35がエアクリーナボックス32に取り付けられる。
【0023】
図2に示すように、ECU35のコネクタ部37は、上下方向に長い。コネクタ部37には、上下方向に長いコネクタ38が接続される。コネクタ38には、下方に延びるハーネス39が接続される。ハーネス39は、前方に配索される。
【0024】
ボックス本体33の側面33bにおいて、ECU35の本体部36の下方には、センサ41が取り付けられている。センサ41には、前方に延びるハーネス42が接続される。また、ボックス本体33の側面33bにおいて、ECU35の本体部36の上部後方には、センサ43が取り付けられている。センサ43には、前方に延びるハーネス44が接続される。このように、ボックス本体33の側面33bには、種々のセンサ41、43やハーネス42、44等が配置される。これらセンサ41、43等の信号は、ハーネス42、44等を介して、ECU35等と送信や受信が可能に構成される。
【0025】
ボックス本体33の側面33bにおいて、ECU35の本体部36の後部下方には、前方に曲がって前方に延びるハーネス45が配置される。ハーネス45の先端には、コネクタ46が接続される。コネクタ46は、電装支持ラバー40に支持される。本実施の形態のコネクタ46は、サービスチェックコネクタである。コネクタ46には、メンテナンス時などに検査用端末(不図示)が接続される。これにより、検査用端末には、コネクタ46を介して車体の各部の状態を示すデータが転送される。
【0026】
図4は、電装支持ラバー40の斜視図である。図5は、電装支持ラバー40の左側面図である。図6は、電装支持ラバー40の正面図である。図7は、電装支持ラバー40の背面図である。
本実施の形態では、電装支持ラバー40は、図2に示すように、車体の前後、上下に対してやや傾斜した状態でエアクリーナボックス32に取り付けられる。よって、電装支持ラバー40の前後、上下については、車体の前後、上下と略一致している。そこで、電装支持ラバー40の説明においては、電装支持ラバー40の前後、上下、左右は、車体の前後、上下、左右に一致するものとして説明し、図4図7に示すように、符号FR、UP、LHを用いて、前後方向、上下方向、左右方向を示す。
【0027】
電装支持ラバー40は、弾性部材であるラバーにより製造された一体品である。電装支持ラバー40は、上下方向に延びる箱状の電装収納部(収納部分)50を備える。電装収納部50には、前後方向に貫通する中空状の収納スペースS1が形成される。詳細には、電装収納部50は、エアクリーナボックス32の側面33bに対向して配置される矩形板状の内壁部(底壁部)51を有する。内壁部51の上部には、車幅方向外側に突出る上側側壁部(側壁部)52が形成される。内壁部51の下部には、車幅方向外側に突出る下側側壁部(側壁部)53が形成される。上側側壁部52と下側側壁部53との間には、車幅方向外端において、内壁部51に対向して設けられる外壁部(頂壁部)54が形成される。内壁部51と、上側側壁部52と、下側側壁部53と、外壁部54と、の囲み形状により、収納スペースS1が構成される。
【0028】
内壁部51の前端には、車幅方向に突出する上前壁部55と下前壁部56とが形成される。上前壁部55は、側面視では、上側側壁部52の前端から下方に延びる。下前壁部56は、側面視では、下側側壁部53の前端から上方に延びる。上前壁部55と下前壁部56との上下方向内端部には、切り欠き55a、56aが形成されている(図6参照)。上前壁部55と下前壁部56とは、上下方向に所定の距離だけ離間する。上前壁部55と下前壁部56との間の空間により、コネクタ導出部S1aが形成される(図5参照)。
【0029】
外壁部54は、上前壁部55および下前壁部56よりも後方に形成される。すなわち、外壁部54と、上前壁部55および下前壁部56とは、前後方向で離間している。外壁部54は、前端から後方に進むに連れて車幅方向内側に段階的に凹む形状をしている。外壁部54は、前端部54aと、前端部54aの後端に形成され前端部54aよりも車幅方向内側に段差状に凹んだ形状の後部54bと、後部54bの後端に形成され後部54bよりも車幅方向内側に段差状に凹んだ形状の後端部54cと、を有する、外壁部54の厚みは、前端部54aと後部54bと後端部54cとで略同一である。よって、内壁部51と外壁部54との間では、収納スペースS1の容積は、前端から後方に進むに連れて段階的に狭まる。
【0030】
外壁部54の前端には、収納スペースS1に向かって突出する突出片54dが形成される(図6参照)。
外壁部54と、上前壁部55および下前壁部56と、の間には前後方向に離間した空間が形成される。内壁部51と、上側側壁部52と、下側側壁部53と、外壁部54と、上前壁部55と、下前壁部56と、の囲み形状により、ECU35の着脱スペースS1bが形成される。
【0031】
図7に示すように、内壁部51と、上側側壁部52と、下側側壁部53と、外壁部54とのそれぞれの後端の囲み形状により、収納スペースS1の後端開口S1cが形成される。後端開口S1cは、上下方向に延びる長孔状である。後端開口S1cの上下端部の車幅方向内端部には、傾斜面が形成される。よって、後端開口S1cの開口形状は左右方向で異なっている。
【0032】
電装収納部50の上下には、ブロック状の上側の固定部57と下側の固定部58とが形成される。固定部57、58は、前後方向に延びる角柱状である。上側の固定部57と下側の固定部58とは上下対称に形成される。上側の固定部57は、電装収納部50の上側側壁部52の後端上面に形成される。下側の固定部58は、電装収納部50の下側側壁部53の後端下面に形成される。固定部57、58は、内壁部51の外表面(右面)と面一状に形成される。固定部57、58は、外壁部54の前端よりも後方に形成される。固定部57、58は、外壁部54の後部54bよりも前方から形成される。
【0033】
固定部57、58には、車幅方向に貫通する固定孔(開口部分)57a、58aが形成される。固定孔57a、58aは、前後方向に延びるスリット状の長孔である。固定孔57a、58aは、ブロック状の固定部57、58の中央部分にバランスよく形成される。固定孔57a、58aには、エアクリーナボックス32のステー部33g、33hが挿入される。ここで、図5に示すように、それぞれの固定孔57a、58aにおいて、固定孔57a、58aの前端と後端との間の長さを長辺の長さL1とし、固定孔57a、58aの長辺に直交した方向の長さであって且つ固定孔57a、58aの上端と下端との間の長さを短辺の長さL2とする。
【0034】
この場合に、長辺の長さL1は、ステー部33g、33hの本体部33g1、33h1の前後幅L11よりも大きく、且つ、先端部33g2、33h2の前後幅L12よりも小さく形成される。また、短辺の長さL2は、ステー部33g、33hの上下方向の厚みL21よりも大きくて、上下方向の厚みL21と同程度の長さに形成される。なお、本体部33g1、33h1の延出方向の長さは、固定部57、58の厚み(左右幅)よりもやや大きく形成されている。これらにより、電装支持ラバー40の固定孔57a、58aでは、常時は、ステー部33g、33hによる変形が抑制された状態で支持される。
【0035】
下側の固定部58の下端には、外観ブロック状のコネクタ支持部60が形成される。コネクタ支持部60は、下側の固定部58の前端側に形成される。換言すれば、下側の固定部58と、コネクタ支持部60とは、側面視で、略L字形状を形成する。コネクタ支持部60は、前後方向に延びる略有底筒状である。詳細には、コネクタ支持部60は、筒状を形成する上壁(有底筒状の側壁部)61と、下壁(有底筒状の側壁部)62と、左壁(有底筒状の側壁部)63と、右壁(有底筒状の側壁部)64と、を有する。また、コネクタ支持部60は、上壁61、下壁62、左壁63、右壁64の前端を閉塞するように形成された前壁(有底筒状の底壁部)65を有する。ここで、左壁63は、固定部58の左面(外表面)から面一状に下方に延びる(図6図7参照)。一方、右壁64は、固定部58の右面(外表面)よりも、右側(車幅方向内側)に突出している(図6図7参照)。
【0036】
上壁61、下壁62、左壁63、右壁64、前壁65により囲まれた空間により、コネクタ支持スペースS2が形成される。コネクタ支持スペースS2は、コネクタ46の外周形状に対応する内周形状を有する。コネクタ支持スペースS2には、コネクタ46が前後方向に挿入、引抜き可能に構成される。上壁61、下壁62、左壁63、右壁64のそれぞれの後端部の囲み形状により、コネクタ支持スペースS2の挿入口S2aが形成される。
【0037】
挿入口S2aの位置は、側面視で、固定部58の固定孔58aが形成される前後方向の領域と重複して形成される。すなわち、コネクタ支持部60の後端に位置する挿入口S2aは、固定孔58aの前端よりも後方であって、且つ、固定孔58aの後端よりも前方に形成される。特に、本実施の形態では、挿入口S2aは、固定孔58aにステー部33hが挿入された状態においては、前後方向において、ステー部33hの本体部33h1の前後幅L11内に位置するように形成される。コネクタ支持部60の前後方向(挿入方向)の長さL3は、ステー部33hの本体部33h1の前後幅L11よりも短く形成される。
【0038】
下壁62には、コネクタ支持スペースS2に突出する突出部62a(図4図7参照)が形成される。突出部62aは、前壁65に対して離間する。前壁65には、突出部62aの形成位置に対応して長孔65a(図6参照)が形成される。突出部52aの前方には段差状に凹んだ、コネクタ46の引っ掛け部(不図示)が形成される。長孔65aを介してコネクタ支持スペースS2が前方に連通する。
【0039】
図2図3に示すように、ECU35は、回路基板等が収納された略矩形状の本体部36と、本体部36の前端から前方に突出するコネクタ部37と、を備える。
本体部36は、前後方向で厚み(左右幅)が異なる。本体部36は、最大厚みを有する前端部36aと、前端部36aの後方の中間部36bと、中間部36bよりも厚みが薄い後部36cとを有する。前端部36a、中間部36b、後部36cは、車幅方向内側では面一状に形成される。
【0040】
ECU35は、電装支持ラバー40に収納されてエアクリーナボックス32に支持される。詳細には、ECU35は、電装支持ラバー40の上前壁部55や下前壁部56を前方に曲げるなどして着脱スペースS1bが拡げられながら、ECU35が、着脱スペースS1bから収納スペースS1に差し込まれる。これにより、ECU35が電装支持ラバー40の収納スペースS1に収納可能である。
【0041】
ECU35が収納スペースS1に収納された状態では、ECU35は、内壁部51、上側側壁部52、下側側壁部53、外壁部54で囲まれた状態で支持される。ECU35の本体部36では、前端部36a、中間部36b、後部36cのそれぞれは、外壁部54の前端部54a、後部54b、後端部54cのそれぞれと当接して覆われ、後端開口S1cから、ECU35の後部36cが後方に突出する。ECU35のコネクタ部37は、コネクタ導出部S1aを介して、電装支持ラバー40の上前壁部55および下前壁部56よりも前方に突出する。
【0042】
この状態で、電装支持ラバー40がエアクリーナボックス32のステー部33g、33hに装着される。すなわち、電装支持ラバー40の固定孔57a、58aに、ステー部33g、33hが、内壁部51側から挿入される。このとき、例えば、電装支持ラバー40の固定部57、58をボックス本体33の座面33e、33fに押し当てることにより、先端部33g2、33h2が固定孔57a、58aよりも車幅方向に突き出し可能である。これにより、ステー部33g、33hが固定孔57a、58aを貫通した状態となり、固定部57、58が、エアクリーナボックス32の側面33bに固定される。
【0043】
電装支持ラバー40を介して支持されたECU35のコネクタ部37には、車体から延伸するコネクタ38が接続される。
また、電装支持ラバー40のコネクタ支持部60には、車体から延伸するコネクタ46が収納される。
【0044】
ここで、コネクタ46は、サービスチェックコネクタである。従来、サービスチェックコネクタは、特段の手当てをすることなく、ハーネスの先端に接続されたそのままの状態で配置され易かった。しかしながら、そのままの状態にすると、コネクタの使用時に、そのコネクタを探す必要などが生じ易い。これに対して、本実施の形態では、ECU35を収納する電装支持ラバー40にコネクタ支持部60を一体に設け、このコネクタ支持部60に、コネクタ46を収納可能である。よって、部品点数を増加させずに、ECU35とコネクタ46とを一部品で固定できる。また、コネクタ46が、所定の位置に収納されるため、コネクタ46の使用時にはコネクタ46を容易に見つけ易くできる。
【0045】
また、コネクタ支持部60は、固定部58の下方に配置される。このため、固定部58を貫通するステー部33hによって電装支持ラバー40の剛性が高まった状態で、コネクタ46をコネクタ支持部60に着脱可能である。特に、ステー部33hの前後方向中途部(長手方向中途部)に挿入口S2aの開口端が位置する。また、車幅方向では、その左壁63が、固定部58の左面から面一状に下方に延びる形状であるため、ステー部33hによってコネクタ支持部60の全体が支持された状態である。このため、コネクタ支持部60の接続部には、着脱時に変形する力が集中し易いが、ステー部33hによりコネクタ支持部60の剛性が確保され易く、コネクタ支持部60が変形し難い状態で挿入口S2aにコネクタ46を着脱可能である。よって、容易にコネクタ46をコネクタ支持スペースS2に収納させ易くなっている。
【0046】
さらに、本実施の形態では、エアクリーナボックス32の側面に電装支持ラバー40が配置されており、走行時には、前方からの異物が電装支持ラバー40に向かう可能性もある。ここで、コネクタ支持部60は有底筒状であるため、コネクタ46に異物が進入することが防止され易くなっている。
【0047】
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態によれば、ECU35を、鞍乗り型車両(本体)10に固定するための電装支持ラバー40であって、ECU35の周囲を囲む電装収納部50と、鞍乗り型車両(本体)10のエアクリーナボックス32に設けられたステー部33g、33hを挿入することで鞍乗り型車両(本体)10に固定可能な固定孔57a、58aと、を有し、鞍乗り型車両(本体)10から延伸するコネクタ46を支持するコネクタ支持部60を有する。
この構成によれば、部品点数を増加させずに、ECU35とコネクタ46とを一部品で固定できる電装支持ラバー40を提供することができる。
【0048】
本実施の形態では、電装収納部50とコネクタ支持部60との間に固定孔57a、58aがある。
この構成によれば、ECU35の電装収納部50とコネクタ支持部60との間に固定孔57a、58aがあることで、コネクタ支持部60が一体化されることにより電装支持ラバー40が大型化した場合であっても、固定孔57a、58aの変形によりECU35に伝わる振動を抑制し易くできる。
【0049】
また、本実施の形態では、固定孔57a、58aは長孔形状を有し、固定孔57a、58aの長辺の延伸方向とコネクタ46の挿入方向が同じである。
この構成によれば、固定孔57a、58aの長手方向に交差するようにコネクタ46が挿入される場合に比べて、コネクタ支持部60を小型化し易くできる。また、コネクタ支持部60の挿入方向が、長孔形状の固定孔57a、58aに挿入される形状のステー部33g、33hと並行に配置されるので、コネクタ支持部60の剛性を確保することができる。
【0050】
また、本実施の形態では、コネクタ支持部60のコネクタ46の挿入方向における長さ、すなわち、コネクタ支持部60の前後方向の長さL3は、長辺の長さL1よりも短い。
この構成によれば、コネクタ支持部60について、ステー部33hが延在する範囲に配置される部分の比率を大きくし易いため、コネクタ支持部60の剛性を確保し易くできる。
【0051】
また、本実施の形態では、固定孔57a、58aの長辺の途中にコネクタ46の挿入口S2aの端部が位置する。
この構成によれば、コネクタ支持部60の剛性を確保することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、本体は鞍乗り型車両10であり、コネクタ支持部60は、鞍乗り型車両10の進行方向後方からコネクタ46を挿入可能な構造であり、鞍乗り型車両10の進行方向前方は塞がれている。
この構成によれば、コネクタ支持部60に支持されたコネクタ46に、走行時に、前方から異物が侵入することを防止できる。
【0053】
また、本実施の形態では、固定孔57a、58aの下にコネクタ支持部60が位置する。
この構成によれば、コネクタ支持部60が固定孔57a、58aの上方にある場合に比べてコネクタ支持部60の重心を低くし易いため、コネクタ支持部60によるコネクタ46の支持を安定させ易くできる。
【0054】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0055】
上記実施の形態では、電装支持ラバー40に取り付けられる電装部品として、ECU35を例示したがこれに限定されず、任意の電装部品でよい。例えば、通信装置などの電装部品でもよい。
【0056】
上記実施の形態では、電装支持ラバー40が取付けられる本体として、鞍乗り型車両10を例示し、鞍乗り型車両10のエアクリーナボックス32に取り付けられる構成を説明したが、電装支持ラバー40が取付けられる位置は、エアクリーナボックス32に限定されない。すなわち、任意の部材に電装支持ラバー40を介して電装部品を取り付ける構成が可能である。よって、例えば、車体フレーム11に設けたステーや、ラゲッジボックスに設けたステーなどに、電装支持ラバー40を介して電装部品を取り付けてもよい。また、鞍乗り型車両は、内燃機関を有する車両でなくても当然によく、例えば、電動車両における駆動用のバッテリのケースにステーを設けて、電装支持ラバー40を介して電装部品を取り付けてもよい。
【0057】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として前輪13と後輪15とを有する自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0058】
上記実施の形態では、電装支持ラバー40が取付けられる本体として、鞍乗り型車両10を例示したが、電装支持ラバー40が取付けられる本体としては、鞍乗り型車両に限定されない。すなわち、電装支持ラバー40などの電装部品支持部材が固定される本体としては、所定の状況でのみ使用されるコネクタを備えると共に電装部品を取り付ける必要のある装置等であれば、任意の装置等を、電装部品支持部材が取付けられる本体としてもよい。
【0059】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0060】
(構成1)電装部品を、本体に固定するための電装部品支持部材であって、前記電装部品の周囲を囲む収納部分と、前記本体に設けられた支持部材を挿入することで前記本体に固定可能な開口部分と、を有し、前記本体から延伸するコネクタを支持するコネクタ支持部を有することを特徴とする電装部品支持部材。
この構成によれば、部品点数を増加させずに、電装部品とコネクタとを一部品で固定できる電装部品支持部材を提供することができる。
【0061】
(構成2)前記収納部分と前記コネクタ支持部との間に前記開口部分があることを特徴とする構成1に記載の電装部品支持部材。
この構成によれば、電装部品の収納部分とコネクタ支持部との間に開口部分があることで、コネクタ支持部が一体化して電動部品支持部材が大型化した場合でも開口部分の変形により電装部品に伝わる振動を抑制し易くできる。
【0062】
(構成3)前記開口部分は長孔形状を有し、前記開口部分の長辺の延伸方向と前記コネクタの挿入方向が同じであることを特徴とする構成1または2に記載の電装部品支持部材。
この構成によれば、開口部分の長手方向に交差するようにコネクタが挿入される場合に比べて、コネクタ支持部を小型化し易くできる。また、コネクタ支持部の挿入方向が、長孔形状の開口部分に挿入される形状の支持部材と並行に配置されるので、コネクタ支持部の剛性を確保することができる。
【0063】
(構成4)前記コネクタ支持部の前記コネクタの挿入方向における長さは、前記長辺の長さよりも短いことを特徴とする構成3に記載の電装部品支持部材。
この構成によれば、コネクタ支持部の剛性を確保することができる。
【0064】
(構成5)前記長辺の途中に前記コネクタの挿入口の端部が位置することを特徴とする構成3または4に記載の電装部品支持部材。
この構成によれば、コネクタ支持部の剛性を確保することができる。
【0065】
(構成6)前記本体は車両であり、前記コネクタ支持部は、前記車両の進行方向後方から前記コネクタを挿入可能な構造であり、前記車両の進行方向前方は塞がれていることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の電装部品支持部材。
この構成によれば、コネクタ支持部に支持されたコネクタに、走行時に、前方から異物が侵入することを防止することができる。
【0066】
(構成7)前記開口部分の下に前記コネクタ支持部が位置することを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の電装部品支持部材。
この構成によれば、コネクタ支持部が開口部分の上方にある場合に比べてコネクタ支持部の重心を低くし易いため、コネクタ支持部によるコネクタの支持を安定させ易くできる。
【符号の説明】
【0067】
10 鞍乗り型車両(車両、本体)
33g ステー部(支持部材)
33h ステー部(支持部材)
35 ECU(電装部品)
40 電装支持ラバー(電装部品支持部材)
46 コネクタ
50 電装収納部(収納部分)
57a 固定孔(開口部分)
58a 固定孔(開口部分)
60 コネクタ支持部
L1 長辺の長さ
L3 コネクタ支持部の長さは、
S2a 挿入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7