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特開2024-155237腎臓病悪化予測装置、腎臓病悪化予測方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155237
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】腎臓病悪化予測装置、腎臓病悪化予測方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20241024BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069816
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504013775
【氏名又は名称】学校法人 埼玉医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】相馬 健人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 康
(72)【発明者】
【氏名】小穴 聖子
(72)【発明者】
【氏名】小戸 司
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 元
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 明人
(72)【発明者】
【氏名】小川 公己
(72)【発明者】
【氏名】原 宏明
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】 腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出することにある。
【解決手段】 腎臓病悪化予測装置は、検査情報を用いて所定の統計処理を実行し、統計処理の結果を表す検査統計情報を生成する検査統計情報生成部と、服薬情報を薬効に基づいて分類し、分類した結果を用いて薬効別服薬情報を生成する薬効別服薬情報生成部と、疾病情報を概括する疾病で分類し、疾病分類情報を生成する疾病分類情報生成部と、検査統計情報と、薬効別服薬情報と、疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する入力情報生成部と、入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する受診者を予測する腎臓病悪化予測部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受診者の検査結果を表す検査情報を用いて、所定の統計処理を実行し、前記統計処理の結果を表す検査統計情報を生成する検査統計情報生成手段と、
複数の前記受診者が服用している薬剤を表す服薬情報を、薬効に基づいて分類し、前記分類した結果を用いて前記受診者の服用状況を表す薬効別服薬情報を生成する薬効別服薬情報生成手段と、
複数の前記受診者が罹っている疾病を表す疾病情報を、概括する疾病で分類し、前記分類の結果を表す疾病分類情報を生成する疾病分類情報生成手段と、
前記検査統計情報と、前記薬効別服薬情報と、前記疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する入力情報生成手段と、
前記入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する前記受診者を予測する腎臓病悪化予測手段と、
を有する腎臓病悪化予測装置。
【請求項2】
前記検査統計情報生成手段は、
前記受診者を識別する受診者識別情報と、検査項目を表す検査項目情報と、検査日時を表す検査日時情報と、検査結果を表す検査結果情報と、が関連付けられた前記検査情報に対して前記統計処理を実行し、前記受診者識別情報ごとに、前記検査項目情報それぞれの検査結果情報に対する、前記統計処理の結果を表す統計結果情報を生成し、
前記受診者識別情報と、前記検査項目情報と、前記統計結果情報と、を関連付けて検査統計情報を生成する、
請求項1に記載の腎臓病悪化予測装置。
【請求項3】
前記薬効別服薬情報生成手段は、
前記受診者識別情報と、前記受診者が前記薬剤の投与を開始した時期を表す薬剤投与開始時期情報と、前記受診者が投与している前記薬剤を識別する薬剤識別情報と、が関連付けられた前記服薬情報に含まれる、前記薬剤識別情報を薬効に基づいて分類結果情報に変換し、
前記受診者識別情報ごとに、前記分類結果情報それぞれに対応する、前記受診者に前記薬剤があらかじめ設定された投与期間に投与されたか否かを表す薬剤投与情報を関連付けて前記薬効別服薬情報を生成する、
請求項2に記載の腎臓病悪化予測装置。
【請求項4】
前記疾病分類情報生成手段は、
前記受診者識別情報と、前記疾病を識別する疾病識別情報と、が関連付けた前記疾病情報に含まれる、前記疾病識別情報を概括した疾病で分類し、概括結果情報に変換し、
前記受診者識別情報ごとに、前記概括結果情報それぞれに対応する、前記受診者が疾病であるか否かを表す疾病有無情報を関連付けて前記疾病分類情報を生成する、
請求項3に記載の腎臓病悪化予測装置。
【請求項5】
前記疾病分類情報生成手段は、前記疾病識別情報を、国際疾病分類に基づいて、前記概括結果情報に変換する、
請求項4に記載の腎臓病悪化予測装置。
【請求項6】
前記検査統計情報生成手段は、学習において、過去の複数の受診者の学習用検査情報に対する学習用検査統計情報を生成し、
前記薬効別服薬情報生成手段は、学習において、前記過去の複数の受診者の学習用服薬情報に対する学習用薬効別服薬情報を生成し、
前記疾病分類情報生成手段は、学習において、前記過去の複数の受診者の学習用疾病情報に対する学習用疾病分類情報を生成し、
さらに、前記受診者の腎臓病が悪化するか否かを表す腎臓病悪化情報に、前記学習用検査統計情報と、前記学習用薬効別服薬情報と、前記学習用疾病分類情報と、を関連付け、前記腎臓病悪化予測モデルの学習をするための学習データを生成する学習データ生成手段と、
請求項5に記載の腎臓病悪化予測装置。
【請求項7】
さらに、前記検査統計情報、前記薬効別服薬情報、前記疾病分類情報に、データの欠損がある場合に、データを補完するデータ補完手段を有する、
請求項6に記載の腎臓病悪化予測装置。
【請求項8】
さらに、前記受診者ごとの前記所定期間後の前記腎臓病の悪化予測の結果を、出力装置に出力するための出力情報を生成する出力情報生成手段を有する、
請求項7に記載の腎臓病悪化予測装置。
【請求項9】
情報処理装置が、
複数の受診者の検査結果を表す検査情報を用いて、所定の統計処理を実行し、前記統計処理の結果を表す検査統計情報を生成する検査統計情報生成ステップと、
複数の前記受診者が服用している薬剤を表す服薬情報を、薬効に基づいて分類し、前記分類した結果を用いて前記受診者の服用状況を表す薬効別服薬情報を生成する薬効別服薬情報生成ステップと、
複数の前記受診者が罹っている疾病を表す疾病情報を、概括する疾病で分類し、前記分類の結果を表す疾病分類情報を生成する疾病分類情報生成ステップと、
前記検査統計情報と、前記薬効別服薬情報と、前記疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する入力情報生成ステップと、
前記入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する前記受診者を予測する腎臓病悪化予測ステップと、
を実行する腎臓病悪化予測方法。
【請求項10】
コンピュータに、
複数の受診者の検査結果を表す検査情報を用いて、所定の統計処理を実行し、前記統計処理の結果を表す検査統計情報を生成する検査統計情報生成ステップと、
複数の前記受診者が服用している薬剤を表す服薬情報を、薬効に基づいて分類し、前記分類した結果を用いて前記受診者の服用状況を表す薬効別服薬情報を生成する薬効別服薬情報生成ステップと、
複数の前記受診者が罹っている疾病を表す疾病情報を、概括する疾病で分類し、前記分類の結果を表す疾病分類情報を生成する疾病分類情報生成ステップと、
前記検査統計情報と、前記薬効別服薬情報と、前記疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する入力情報生成ステップと、
前記入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する前記受診者を予測する腎臓病悪化予測ステップと、
を実行させる命令を含むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、腎臓病の悪化を予測する腎臓病悪化予測装置、腎臓病悪化予測方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
慢性腎臓病(以降CKDと呼ぶ)の診断をする場合、医師は、CKD診療ガイドラインに沿って、相当数の受診者のCKDの状態を判断している。なお、CKD診療ガイドラインは、診断の指針を示すもので定期的に改定される。
【0003】
また、受診に際し医師は得られた情報を総合し、CKD進行リスクを高めると予想される因子(血圧異常、糖代謝異常、高尿酸血症や脂質代謝異常などの血液生化学検査異常、体重管理、栄養管理、就労環境、喫煙・飲酒などの生活習慣、など)について評価し、それぞれの有意所見に対する治療介入、生活指導などを実施する。医師は蓄積された従来の医学的知見をもとにリスク評価を行い、それぞれの有意所見に対する治療介入や生活指導などの軽重を判断していくが、こうした作業は各担当医の知識量、経験値、専門性に大きく影響され、客観的なリスク評価は容易ではない。
【0004】
関連する技術として、特許文献1には、多臓器不全の客観的評価に頻用されるSOFAスコアを、機械学習を利用して予測するシステムが開示されている。重症例では一般に時間経過と共に救命率や臓器不全固定化率が増加するが、SOFAによるスコアリングは重症例の予後予測(リスク評価)を可能な限り早い段階で行うことで早期に妥当な治療方針、治療密度を決定する目的で行われる。特許文献1に示された技術は、より早期かつ客観的なリスク予測を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2019-537130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1はSOFAスコアを予測するものであるが、CKDの悪化を予測するものではない。また、特許文献1はCKDの悪化を予測するために用いる学習データを生成するものではない。
【0007】
本開示の目的の一例は、腎臓病の悪化が予測される患者を抽出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の一側面における腎臓病悪化予測装置は、
複数の受診者の検査結果を表す検査情報を用いて、所定の統計処理を実行し、前記統計処理の結果を表す検査統計情報を生成する検査統計情報生成部と、
複数の前記受診者が服用している薬剤を表す服薬情報を、薬効に基づいて分類し、前記分類した結果を用いて前記受診者の服用状況を表す薬効別服薬情報を生成する薬効別服薬情報生成部と、
複数の前記受診者が罹っている疾病を表す疾病情報を、概括する疾病で分類し、前記分類の結果を表す疾病分類情報を生成する疾病分類情報生成部と、
前記検査統計情報と、前記薬効別服薬情報と、前記疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する入力情報生成部と、
前記入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する前記受診者を予測する腎臓病悪化予測部と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本開示の一側面における腎臓病悪化予測方法は、
情報処理装置が、
複数の受診者の検査結果を表す検査情報を用いて、所定の統計処理を実行し、前記統計処理の結果を表す検査統計情報を生成する検査統計情報生成ステップと、
複数の前記受診者が服用している薬剤を表す服薬情報を、薬効に基づいて分類し、前記分類した結果を用いて前記受診者の服用状況を表す薬効別服薬情報を生成する薬効別服薬情報生成ステップと、
複数の前記受診者が罹っている疾病を表す疾病情報を、概括する疾病で分類し、前記分類の結果を表す疾病分類情報を生成する疾病分類情報生成ステップと、
前記検査統計情報と、前記薬効別服薬情報と、前記疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する入力情報生成ステップと、
前記入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する前記受診者を予測する腎臓病悪化予測ステップと、
を実行することを特徴とする。
【0010】
さらに、上記目的を達成するため、本開示の一側面におけるプログラムは、
コンピュータに、
複数の受診者の検査結果を表す検査情報を用いて、所定の統計処理を実行し、前記統計処理の結果を表す検査統計情報を生成する検査統計情報生成ステップと、
複数の前記受診者が服用している薬剤を表す服薬情報を、薬効に基づいて分類し、前記分類した結果を用いて前記受診者の服用状況を表す薬効別服薬情報を生成する薬効別服薬情報生成ステップと、
複数の前記受診者が罹っている疾病を表す疾病情報を、概括する疾病で分類し、前記分類の結果を表す疾病分類情報を生成する疾病分類情報生成ステップと、
前記検査統計情報と、前記薬効別服薬情報と、前記疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する入力情報生成ステップと、
前記入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する前記受診者を予測する腎臓病悪化予測ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本開示によれば、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、腎臓病悪化予測装置の一例を説明するための図である。
図2図2は、腎臓病悪化予測装置を有するシステムの一例を示す図である。
図3図3は、検査情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図4図4は、検査統計情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図5図5は、服薬情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図6図6は、薬効分類情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図7図7は、薬効別服薬情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図8図8は、疾病情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図9図9は、疾病概括情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図10図10は、疾病分類情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図11図11は、入力情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図12図12は、腎臓病悪化予測結果のデータ構造の一例を説明するための図である。
図13図13は、学習データのデータ構造の一例を説明するための図である。
図14図14は、腎臓病悪化予測装置の予測処理の動作の一例を説明するための図である。
図15図15は、腎臓病悪化予測装置の学習処理の動作の一例を説明するための図である。
図16図16は、腎臓病悪化予測装置を実現するコンピュータの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下で説明する図面において、同一の機能又は対応する機能を有する要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0014】
(実施形態)
図1を用いて、実施形態における腎臓病悪化予測装置の構成について説明する。図1は、腎臓病悪化予測装置の一例を説明するための図である。
【0015】
[装置構成]
図1に示す腎臓病悪化予測装置10は、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するための装置である。腎臓病には、例えば、慢性腎臓病(CKD)などを含む。また、図1に示すように、腎臓病悪化予測装置10は、検査統計情報生成部11と、薬効別服薬情報生成部12と、疾病分類情報生成部13と、入力情報生成部14と、腎臓病悪化予測部15とを有する。
【0016】
検査統計情報生成部11は、複数の受診者の検査結果を表す検査情報を用いて、所定の統計処理を実行し、統計処理の結果を表す検査統計情報を生成する。
【0017】
薬効別服薬情報生成部12は、複数の受診者が服用している薬剤を表す服薬情報を、薬効に基づいて分類し、分類した結果を用いて受診者の服用状況を表す薬効別服薬情報を生成する。
【0018】
疾病分類情報生成部13は、複数の受診者が罹っている疾病を表す疾病情報を、概括する疾病で分類し、分類の結果を表す疾病分類情報を生成する。
【0019】
上述した検査情報、服薬情報、疾病情報として、例えば、電子カルテ、健診データなどを活用する。
【0020】
入力情報生成部14は、検査統計情報と、薬効別服薬情報と、疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する。
【0021】
腎臓病悪化予測部15は、入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する受診者を予測する。
【0022】
このように、実施形態においては、まず、複数の受診者の検査情報と、服薬情報と、疾病情報とに対して加工処理を実行し、加工した検査統計情報と、薬効別服薬情報と、疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する。さらに、生成した最適化された入力情報を、腎臓病悪化予測モデルに入力するので、所定期間後における、腎臓病が悪化する受診者を予測できる。したがって、複数の受診者の中から、腎臓病が悪化すると予測される受診者が抽出できる。
【0023】
さらに、複数の受診者の中から、腎臓病が悪化すると予測される受診者が抽出できるので、受診者一般に概ね均質に行われている各種検査、投薬、栄養指導、生活指導を、より重点的に行うことが可能となり、各種医療資源並びにコストの効率的な配分や総額の低減が期待される。
【0024】
[システム構成]
図2を用いて、実施形態における腎臓病悪化予測装置10の構成をより具体的に説明する。図2は、腎臓病悪化予測装置を有するシステムの一例を示す図である。
【0025】
図2に示すように、実施形態におけるシステム100は、腎臓病悪化予測装置10と、記憶装置20と、端末装置30とを有する。
【0026】
腎臓病悪化予測装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラマブルなデバイス、又はGPU(Graphics Processing Unit)、又はそれらのうちのいずれか一つ以上を搭載した回路、サーバコンピュータなどの情報処理装置である。
【0027】
記憶装置20は、データベース、サーバコンピュータ、メモリを有る回路などである。記憶装置20は、少なくとも検査結果情報、服薬情報、疾病情報、検査統計情報、薬効別服薬情報、疾病分類情報、入力情報、腎臓病悪化予測結果などの情報を記憶している。また、図2の例では、記憶装置20は腎臓病悪化予測装置10の外部に設けているが、腎臓病悪化予測装置10の内部に設けてもよい。
【0028】
端末装置30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はそれら両方を搭載したパーソナルコンピュータ、モバイル端末などの情報処理装置である。端末装置30は、入力装置、出力装置なども有している。
【0029】
入力装置は、例えば、タッチパネル、マウス、キーボードなどの装置である。出力装置は、出力可能な形式に変換された出力情報を取得し、その出力情報に基づいて、生成した画像及び音声などを出力する。出力装置は、例えば、液晶、有機EL(Electro Luminescence)、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた画像表示装置などである。さらに、画像表示装置は、スピーカなどの音声出力装置などを備えていてもよい。なお、出力装置は、プリンタなどの印刷装置でもよい。
【0030】
なお、腎臓病悪化予測装置10と、記憶装置20と、端末装置30とは、ネットワークにより接続されている。ネットワークは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用回線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)などの通信回線を用いて構築された一般的な通信ネットワークである。
【0031】
●腎臓病悪化予測装置について詳細に説明する。
腎臓病悪化予測装置10は、加工処理を実行する検査統計情報生成部11と、薬効別服薬情報生成部12と、疾病分類情報生成部13と、データ補完部16とを有する。また、腎臓病悪化予測装置10は、予測処理を実行する入力情報生成部14と、腎臓病悪化予測部15とを有する。さらに、腎臓病悪化予測装置10は、学習処理を実行する学習データ生成部17と、腎臓病悪化予測モデル学習部18とを有する。さらに、腎臓病悪化予測装置10は、出力情報生成部19を有する。
【0032】
●検査情報の加工処理
検査統計情報生成部11は、まず、受診者を識別する受診者識別情報と、検査項目を表す検査項目情報と、検査日時を表す検査日時情報と、検査結果を表す検査結果情報と、が関連付けられた検査情報に対して統計処理を実行し、受診者識別情報ごとに、検査項目情報それぞれの検査結果情報に対する、統計処理の結果を表す統計結果情報を生成する。
【0033】
統計処理は、例えば、過去の所定期間における検査結果の平均値、中央値、分散値などを算出する処理である。具体的には、統計処理では、受診者ごとの、過去二年以内の検査結果の平均値を算出する。ただし、所定期間は過去二年に限定されるものではない。
【0034】
図3は、検査情報のデータ構造の一例を説明するための図である。検査情報は、例えば、記憶装置20に記憶されている。図3の例では、検査情報31は、受診者識別情報「受診者」と、検査日時情報「検査日時」と、検査項目情報「検査項目」と、検査結果情報「検査結果」と、が関連付けられている。
【0035】
図3の例では、「受診者」には、受診者を表す「A」「B」「C」「D」・・・が記憶されている。「検査日時」には、検査日時を表す「2015/1/1」「2015/4/1」・・・が記憶されている。「検査項目」には、検査項目を表す「尿定性半定量_蛋白」「ヘマトクリット」「ヘモグロビン」・・・が記憶されている。「検査結果値」には、検査結果を表す「20」「25」「40」・・・が記憶されている。ただし、検査情報は、上述した検査情報に限定されるものではない。
【0036】
次に、検査統計情報生成部11は、受診者識別情報と、検査項目情報と、統計結果情報と、を関連付けて検査統計情報を生成する。図4を用いて検査統計情報の生成について説明する。
【0037】
図4は、検査統計情報のデータ構造の一例を説明するための図である。検査統計情報は、例えば、記憶装置20に記憶する。図4の例では、検査統計情報41は、受診者識別情報「受診者」と、検査項目情報「検査項目」と、統計結果情報「統計結果」と、が関連付けられている。
【0038】
図4の例では、「受診者」には、受診者を表す「A」「B」「C」「D」・・・が記憶されている。「検査項目」には、検査項目を表す「尿定性半定量_蛋白」「ヘマトクリット」「ヘモグロビン」・・・が記憶されている。「統計結果」には、所定期間における検査結果の平均値が記憶されている。
【0039】
図4の例では、受診者「A」の場合、「尿定性半定量_蛋白」に平均値「22.5」、「ヘマトクリット」に平均値「40」、「ヘモグロビン」に平均値「15」・・・が記憶されている。ただし、検査統計情報は、上述した検査統計情報に限定されるものではない。
【0040】
●服薬情報の加工処理
薬効別服薬情報生成部12は、まず、受診者識別情報と、受診者が薬剤の投与を開始した時期を表す薬剤投与開始時期情報と、受診者が投与している薬剤を識別する薬剤識別情報と、が関連付けられた服薬情報に含まれる、薬剤識別情報を、薬効を表すカテゴリに基づいて分類結果情報に変換する。
【0041】
具体的には、薬効別服薬情報生成部12は、薬剤を分類するための薬効分類情報に基づいて、薬剤識別情報を分類結果情報に変換する。
【0042】
図5は、服薬情報のデータ構造の一例を説明するための図である。服薬情報は、例えば、記憶装置20に記憶されている。図5の例では、服薬情報51は、受診者識別情報「受診者」と、薬剤投与開始時期情報「薬剤投与開始時期」と、薬剤識別情報「薬剤名」と、が関連付けられている。
【0043】
図5の例では、「受診者」には、受診者を表す「A」「B」「C」「D」・・・が記憶されている。「薬剤投与開始時期」には、薬剤投与開始時期を表す「2015/2/1」「2016/5/10」「2018/6/11」「2015/4/21」・・・が記憶されている。「薬剤名」には、薬剤名を表す「フェブリク錠(10mg)」「フェブリク錠(20mg)」「アムロジピンOD錠(5mg)」・・・が記憶されている。ただし、服薬情報は、上述した服薬情報に限定されるものではない。
【0044】
図6は、薬効分類情報のデータ構造の一例を説明するための図である。薬効分類情報は、例えば、記憶装置20に記憶されている。図6の例では、薬効分類情報61は、薬剤識別情報「薬剤名」と、分類結果情報「薬効」と、が関連付けられている。
【0045】
図6の例では、「薬剤名」には、薬剤名を表す「フェブリク錠(10mg)」「フェブリク錠(20mg)」「フェブリク錠(40mg)」「アムロジピンOD錠(2.5mg)」・・・が記憶されている。「薬効」には、薬効カテゴリを表す「高尿酸血症薬」「降圧薬」「ステロイド」・・・が記憶されている。ただし、薬効分類情報は、上述した薬効分類情報に限定されるものではない。
【0046】
次に、薬効別服薬情報生成部12は、受診者識別情報ごとに、分類結果情報それぞれに対応する、受診者に薬剤があらかじめ設定された投与期間に投与されたか否かを表す薬剤投与情報を関連付けて薬効別服薬情報を生成する。図7を用いて薬効別服薬情報の生成について説明する。
【0047】
投与期間は、薬剤を受診者に投与した期間を表し、例えば、過去二年以内などの期間が考えられる。ただし、投与期間は過去二年に限定されるものではない。
【0048】
図7は、薬効別服薬情報のデータ構造の一例を説明するための図である。薬効別服薬情報は、例えば、記憶装置20に記憶する。図7の例では、薬効別服薬情報71は、受診者識別情報「受診者」と、分類結果情報「分類結果」と、薬剤投与情報「薬剤投与有無」と、が関連付けられている。
【0049】
図7の例では、「受診者」には、受診者を表す「A」「B」「C」「D」・・・が記憶されている。「分類結果」には、分類結果を表す「高尿酸血症薬」「降圧薬」「ステロイド」・・・が記憶されている。「薬剤投与有無」には、所定期間に薬剤が投与されたか否かを表す「有」「無」が記憶されている。
【0050】
図7の例では、受診者「A」の場合、「高尿酸血症薬」に効く薬剤が、過去二年以内に受診者「A」に投与されているので、「薬剤投与有無」には「有」(又は「1」)が記憶されている。対して、図7の例では、「高尿酸血症薬」に効く薬剤が、過去二年以内に受診者「B」に投与されていないので、「薬剤投与有無」には「無」(又は「0」)が記憶されている。ただし、薬効別服薬情報は、上述した薬効別服薬情報に限定されるものではない。
【0051】
●疾病情報の加工処理
疾病分類情報生成部13は、まず、受診者識別情報と、罹患時期を表す罹患時期情報と、疾病を識別する疾病識別情報と、が関連付けた疾病情報に含まれる、疾病識別情報を概括した疾病で分類し、概括結果情報に変換する。
【0052】
具体的には、疾病分類情報生成部13は、概括した疾病を分類するための疾病概括情報に基づいて、疾病識別情報を概括結果情報に変換する。
【0053】
図8は、疾病情報のデータ構造の一例を説明するための図である。疾病情報は、例えば、記憶装置20に記憶されている。図8の例では、疾病情報81は、受診者識別情報「受診者」と、罹患時期情報「罹患時期」と、疾病識別情報「病名」と、が関連付けられている。
【0054】
図8の例では、「受診者」には、受診者を表す「A」「B」「C」「D」・・・が記憶されている。「罹患時期」には、罹患時期を表す「2015/1/1」「2018/5/1」・・・が記憶されている。「病名」には、病名を表す「サルモネラ胃腸炎」「結核」「偽膜性腸炎」「口唇ヘルペス」・・・が記憶されている。ただし、疾病情報は、上述した疾病情報に限定されるものではない。
【0055】
概括した疾病の分類は、例えば、国際疾病分類に基づいて、疾病識別情報を概括結果情報に変換する。図9を用いて疾病概括情報の生成について説明する。
【0056】
図9は、疾病概括情報のデータ構造の一例を説明するための図である。疾病概括情報は、例えば、記憶装置20に記憶されている。図9の例では、疾病概括情報91は、疾病識別情報「病名」と、国際疾病分類を表す「ICD10」と、ICD10の上位二桁を表す「概括」と、が関連付けられている。
【0057】
図9の例では、「病名」には、病名を表す「サルモネラ胃腸炎」「サルモネラ腸炎」「偽膜性腸炎」「肺結核」・・・が記憶されている。「ICD10」には、国際疾病分類を表す「A020」「A047」「A162」「B001」・・・が記憶されている。「概括」には、国際疾病分類(ICD10)の上位二桁を表す「A0」「A1」「B0」・・・が記憶されている。ただし、疾病概括情報は、上述した疾病概括情報に限定されるものではない。
【0058】
次に、疾病分類情報生成部13は、受診者識別情報ごとに、概括結果情報それぞれに対応する、受診者が疾病であるか否かを表す疾病有無情報を関連付けて疾病分類情報を生成する。図10を用いて疾病分類情報の生成について説明する。
【0059】
図10は、疾病分類情報のデータ構造の一例を説明するための図である。疾病分類情報は、例えば、記憶装置20に記憶する。図10の例では、疾病分類情報101は、受診者識別情報「受診者」と、概括結果情報「概括」と、疾病有無情報「疾病有無」と、が関連付けられている。
【0060】
図10の例では、「受診者」には、受診者を表す「A」「B」「C」「D」・・・が記憶されている。「概括」には、概括結果を表す「A0」「A1」「B0」・・・が記憶されている。「疾病有無」には、所定期間に罹患したか否かを表す「有」「無」が記憶されている。
【0061】
図10の例では、受診者「A」が、過去二年以内に疾病「A0」に罹患したので、「疾病有無」には「有」(又は「1」)が記憶されている。対して、図10の例では、受診者「B」が、過去二年以内に疾病「A0」に罹患していないので、「疾病有無」には「無」(又は「0」)が記憶されている。ただし、疾病分類情報は、上述した疾病分類情報に限定されるものではない。
【0062】
データ補完部16は、検査統計情報に、データの欠損がある場合に、データを補完する。データ補完部16は、例えば、MICE(multivariate imputation by chained equations)などの多重代入法を用いて複数個の予測モデルを生成し、予測結果を統合することで欠損の補完を行う。
【0063】
●腎臓病悪化予測処理
入力情報生成部14は、検査統計情報と、薬効別服薬情報と、疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する。図11を用いて入力情報の生成について説明する。
【0064】
図11は、入力情報のデータ構造の一例を説明するための図である。入力情報141は、例えば、記憶装置20に記憶する。図11の例では、入力情報141は、受診者識別情報と、検査項目情報ごとの統計結果情報と、分類結果情報ごとの薬剤投与情報と、概括結果情報ごとの疾病有無情報と、が関連付けられている。
【0065】
図11の例では、「受診者」には、受診者を表す「A」「B」「C」「D」・・・が記憶されている。検査項目「尿定性半定量_蛋白」「ヘマトクリット」「ヘモグロビン」・・・には、統計結果が記憶されている。分類結果「高尿酸血症薬」「降圧薬」「ステロイド」・・・には、所定期間における薬剤投与の有無が記憶されている。概括結果「A0」「A1」「B0」・・・には、所定期間における疾病の有無が記憶されている。
【0066】
腎臓病悪化予測部15は、入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する受診者を予測し、腎臓病悪化予測結果を出力する。図12を用いて腎臓病悪化予測結果の生成について説明する。
【0067】
腎臓病悪化予測モデルは、例えば、ランダムフォレスト、ブースティングなどのモデルを用いることが考えられる。
【0068】
所定期間は、例えば、現時点から一年後などの期間である。ただし、所定期間は一年に限定されるものではない。
【0069】
図12は、腎臓病悪化予測結果のデータ構造の一例を説明するための図である。腎臓病悪化予測結果151は、例えば、記憶装置20に記憶する。図12の例では、腎臓病悪化予測結果151は、腎臓病が悪化すると予測した受診者を表す受診者識別情報と、所定期間後に腎臓病が悪化するか否かを表す腎臓病悪化情報と、が関連付けられている。
【0070】
図12の例では、「受診者」には、受診者を表す・・・「A」「B」「C」「D」・・・が記憶されている。「所定期間後の状態」には、所定期間後に腎臓病の状態を表す、所定期間後に腎臓病が悪化する場合には悪化することを表す情報(例えば「悪化」など)と、所定期間後に腎臓病が悪化しない場合には悪化しないことを表す情報(例えば「維持」など)とが記憶されている。
【0071】
●腎臓病悪化予測結果提示処理
出力情報生成部19は、腎臓病悪化予測結果を、端末装置30の出力装置に出力させるために用いる出力情報を生成し、生成した出力情報を、通信部(不図示)を介して端末装置30に送信する。
【0072】
なお、出力情報生成部19は、図2の例では、腎臓病悪化予測装置10の内部に設けられているが、腎臓病悪化予測装置10の外部に設けてもよい。出力情報生成部19を端末装置30(外部)に設ける場合には、腎臓病悪化予測装置10から腎臓病悪化予測結果を送信する。
【0073】
●学習処理
検査統計情報生成部11は、学習において、過去の複数の受診者の学習用検査情報に対する学習用検査統計情報を生成する。学習用検査情報は、例えば、記憶装置20に記憶されている。また、学習用検査統計情報は、例えば、記憶装置20に記憶される。
【0074】
薬効別服薬情報生成部12は、学習において、過去の複数の受診者の学習用服薬情報に対する学習用薬効別服薬情報を生成する。学習用服薬情報は、例えば、記憶装置20に記憶されている。また、学習用薬効別服薬情報は、例えば、記憶装置20に記憶される。
【0075】
疾病分類情報生成部13は、学習において、過去の複数の受診者の学習用疾病情報に対する学習用疾病分類情報を生成する。学習用疾病情報は、例えば、記憶装置20に記憶されている。学習用疾病分類情報は、例えば、記憶装置20に記憶されている。
【0076】
上述した学習用検査情報、学習用服薬情報、学習用疾病情報として、例えば、過去の電子カルテ、健診データなどを活用する。
【0077】
データ補完部16は、学習用検査統計情報、に、データの欠損がある場合、MICEなどの多重代入法を用いて複数個の予測モデルを生成し、予測結果を統合することで欠損の補完を行う。
【0078】
学習データ生成部17は、所定期間後に腎臓病が悪化するか否かを表す腎臓病悪化情報に、学習用検査統計情報と、学習用薬効別服薬情報と、学習用疾病分類情報と、を関連付け、腎臓病悪化予測モデルの学習をするための学習データを生成する。図13を用いて学習データの生成について説明する。
【0079】
図13は、学習データのデータ構造の一例を説明するための図である。図13の例では、学習データ131は、例えば、記憶装置20に記憶する。図13の例では、学習データ131は、腎臓病悪化情報と、学習用検査統計情報と、学習用薬効別服薬情報と、学習用疾病分類情報と、が関連付けられている。
【0080】
図13の例では、「所定期間後の状態」には、所定期間後の受診者の状態を表す「悪化」「維持」が記憶されている。検査項目「尿定性半定量_蛋白」「ヘマトクリット」「ヘモグロビン」・・・には、検査統計結果が記憶されている。分類結果「高尿酸血症薬」「降圧薬」「ステロイド」・・・には、所定期間における薬剤投与の有無が記憶されている。概括結果「A0」「A1」「B0」・・・には、所定期間における疾病の有無が記憶されている。
【0081】
腎臓病悪化予測モデル学習部18は、学習データを、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、腎臓病悪化予測モデルの学習をする。具体的には、腎臓病悪化予測モデル学習部18は、モデルパラメータを生成し、記憶装置20に記憶する。
【0082】
腎臓病悪化予測モデルで用いるモデルパラメータは、例えば、ランダムフォレスト、ブースティングなどのモデルを用いる。
【0083】
[装置動作]
次に、実施形態における腎臓病悪化予測装置の動作について図14、15を用いて説明する。図14は、腎臓病悪化予測装置の予測処理の動作の一例を説明するための図である。図15は、腎臓病悪化予測装置の学習処理の動作の一例を説明するための図である。以下の説明においては、適宜図を参照する。また、実施形態では、腎臓病悪化予測装置を動作させることによって、腎臓病悪化予測方法が実施される。よって、実施形態における腎臓病悪化予測方法の説明は、以下の腎臓病悪化予測装置の動作説明に代える。
【0084】
●予測処理について説明する。
図14に示すように、まず、腎臓病悪化予測装置10は、記憶装置20から、対象の受診者データ(検査情報、服薬情報、疾病情報)を、ネットワークを介して取得する(ステップA1)。
【0085】
次に、検査統計情報生成部11は、検査情報を用いて検査統計情報を生成する(ステップA2)。
【0086】
具体的には、ステップA2において、まず、検査統計情報生成部11は、受診者を識別する受診者識別情報と、検査項目を表す検査項目情報と、検査日時を表す検査日時情報と、検査結果を表す検査結果情報と、が関連付けられた検査情報に対して統計処理を実行し、受診者識別情報ごとに、検査項目情報それぞれの検査結果情報に対する、統計処理の結果を表す統計結果情報を生成する。
【0087】
次に、ステップA2において、検査統計情報生成部11は、受診者識別情報と、検査項目情報と、統計結果情報と、を関連付けて検査統計情報を生成する。
【0088】
次に、薬効別服薬情報生成部12は、服薬情報を用いて薬効別服薬情報を生成する(ステップA3)。
【0089】
具体的には、ステップA3において、まず、薬効別服薬情報生成部12は、受診者識別情報と、受診者が薬剤の投与を開始した時期を表す薬剤投与開始時期情報と、受診者が投与している薬剤を識別する薬剤識別情報と、が関連付けられた服薬情報に含まれる、薬剤識別情報を、薬効を表すカテゴリに基づいて分類結果情報に変換する。
【0090】
次に、ステップA3において、薬効別服薬情報生成部12は、受診者識別情報ごとに、分類結果情報それぞれに対応する、受診者に薬剤があらかじめ設定された投与期間に投与されたか否かを表す薬剤投与情報を関連付けて薬効別服薬情報を生成する。
【0091】
次に、疾病分類情報生成部13は、疾病情報を用いて疾病分類情報を生成する(ステップA4)。
【0092】
具体的には、ステップA4において、まず、疾病分類情報生成部13は、受診者識別情報と、罹患時期を表す罹患時期情報と、疾病を識別する疾病識別情報と、が関連付けた疾病情報に含まれる、疾病識別情報を概括した疾病で分類し、概括結果情報に変換する。例えば、疾病分類情報生成部13は、概括した疾病を分類するための疾病概括情報に基づいて、疾病識別情報を概括結果情報に変換する。
【0093】
次に、ステップA4において、疾病分類情報生成部13は、受診者識別情報ごとに、概括結果情報それぞれに対応する、受診者が疾病であるか否かを表す疾病有無情報を関連付けて疾病分類情報を生成する。
【0094】
なお、ステップA2からA4の処理の順番は、上述した順番に限定されるものではない。
【0095】
次に、データ補完部16は、検査統計情報に、データの欠損がある場合に、データを補完する(ステップA5)。
【0096】
具体的には、ステップA5において、データ補完部16は、MICEなどの多重代入法を用いて複数個の予測モデルを生成し、予測結果を統合することで欠損の補完を行う。
【0097】
次に、入力情報生成部14は、検査統計情報と、薬効別服薬情報と、疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する(ステップA6)。
【0098】
次に、腎臓病悪化予測部15は、入力情報を、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、あらかじめ設定された所定期間後に、腎臓病が悪化する受診者を予測し、腎臓病悪化予測結果を出力する(ステップA7)。
【0099】
次に、出力情報生成部19は、腎臓病悪化予測結果を、端末装置30の出力装置に出力させるために用いる出力情報を生成し(ステップA8)、生成した出力情報を、通信部(不図示)を介して端末装置30に送信する(ステップA9)。その後、腎臓病悪化予測結果が、端末装置30の出力装置に出力される。
【0100】
●学習処理について説明する。
図15に示すように、まず、腎臓病悪化予測装置10は、記憶装置20から、学習用の受診者データ(学習用検査情報、学習用服薬情報、学習用疾病情報)を、ネットワークを介して取得する(ステップB1)。
【0101】
次に、検査統計情報生成部11は、学習用検査情報を用いて学習用検査統計情報を生成する(ステップB2)。
【0102】
具体的には、ステップB2において、まず、検査統計情報生成部11は、受診者を識別する受診者識別情報と、検査項目を表す検査項目情報と、検査日時を表す検査日時情報と、検査結果を表す検査結果情報と、が関連付けられた学習用検査情報に対して統計処理を実行し、受診者識別情報ごとに、検査項目情報それぞれの検査結果情報に対する、統計処理の結果を表す統計結果情報を生成する。
【0103】
次に、ステップB2において、検査統計情報生成部11は、受診者識別情報と、検査項目情報と、統計結果情報と、を関連付けて学習用検査統計情報を生成する。
【0104】
次に、薬効別服薬情報生成部12は、学習用服薬情報を用いて学習用薬効別服薬情報を生成する(ステップB3)。
【0105】
具体的には、ステップB3において、まず、薬効別服薬情報生成部12は、受診者識別情報と、受診者が薬剤の投与を開始した時期を表す薬剤投与開始時期情報と、受診者が投与している薬剤を識別する薬剤識別情報と、が関連付けられた学習用服薬情報に含まれる、薬剤識別情報を、薬効を表すカテゴリに基づいて分類結果情報に変換する。
【0106】
次に、ステップB3において、薬効別服薬情報生成部12は、受診者識別情報ごとに、分類結果情報それぞれに対応する、受診者に薬剤があらかじめ設定された投与期間に投与されたか否かを表す薬剤投与情報を関連付けて学習用薬効別服薬情報を生成する。
【0107】
次に、疾病分類情報生成部13は、学習用疾病情報を用いて学習用疾病分類情報を生成する(ステップB4)。
【0108】
具体的には、ステップB4において、まず、疾病分類情報生成部13は、受診者識別情報と、罹患時期を表す罹患時期情報と、疾病を識別する疾病識別情報と、が関連付けた学習用疾病情報に含まれる、疾病識別情報を概括した疾病で分類し、概括結果情報に変換する。例えば、疾病分類情報生成部13は、概括した疾病を分類するための疾病概括情報に基づいて、疾病識別情報を概括結果情報に変換する。
【0109】
次に、ステップB4において、疾病分類情報生成部13は、受診者識別情報ごとに、概括結果情報それぞれに対応する、受診者が疾病であるか否かを表す疾病有無情報を関連付けて学習用疾病分類情報を生成する。
【0110】
なお、ステップB2からB4の処理の順番は、上述した順番に限定されるものではない。
【0111】
次に、データ補完部16は、学習用検査統計情報に、データの欠損がある場合に、MICEなどの多重代入法を用いて複数個の予測モデルを生成し、予測結果を統合することで欠損の補完を行う。(ステップB5)。
【0112】
次に、学習データ生成部17は、所定期間後に腎臓病が悪化するか否かを表す腎臓病悪化情報に、学習用検査統計情報と、学習用薬効別服薬情報と、学習用疾病分類情報と、を関連付け、腎臓病悪化予測モデルの学習をするための学習データを生成する(ステップB6)。学習データには、受診者識別情報を基本的には必要としないが利用してもよい。
【0113】
次に、腎臓病悪化予測モデル学習部18は、学習データを、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出するために用いる腎臓病悪化予測モデルに入力し、腎臓病悪化予測モデルの学習をする(ステップB7)。具体的には、ステップB4において、腎臓病悪化予測モデル学習部18は、モデルパラメータを生成し、記憶装置20に記憶する(ステップB8)。
【0114】
[実施形態の効果]
以上のように実施形態によれば、まず、複数の受診者の検査情報と、服薬情報と、疾病情報とに対して加工処理を実行し、加工した検査統計情報と、薬効別服薬情報と、疾病分類情報とを関連付けて入力情報を生成する。さらに、生成した最適化された入力情報を、腎臓病悪化予測モデルに入力するので、所定期間後における、腎臓病が悪化する受診者を予測できる。したがって、複数の受診者の中から、腎臓病が悪化すると予測される受診者が抽出できる。
【0115】
さらに、複数の受診者の中から、腎臓病の悪化が予測される受診者が抽出できるので、受診者一般に概ね均質に行われている各種検査、投薬、栄養指導、生活指導を、より重点的に行うことが可能となり、各種医療資源並びにコストの効率的な配分や総額の低減が期待される。
【0116】
[プログラム]
実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、図14に示すステップA1からA9、図15に示すステップB1からB8を実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、実施形態における腎臓病悪化予測装置と腎臓病悪化予測方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、検査統計情報生成部11、薬効別服薬情報生成部12、疾病分類情報生成部13、入力情報生成部14、腎臓病悪化予測部15、データ補完部16、学習データ生成部17、腎臓病悪化予測モデル学習部18、出力情報生成部19として機能し、処理を行なう。
【0117】
また、実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、検査統計情報生成部11、薬効別服薬情報生成部12、疾病分類情報生成部13、入力情報生成部14、腎臓病悪化予測部15、データ補完部16、学習データ生成部17、腎臓病悪化予測モデル学習部18、出力情報生成部19のいずれかとして機能してもよい。
【0118】
[物理構成]
ここで、実施形態におけるプログラムを実行することによって、腎臓病悪化予測装置を実現するコンピュータについて図16を用いて説明する。図16は、腎臓病悪化予測装置を実現するコンピュータの一例を説明するための図である。
【0119】
図16に示すように、コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、又はCPU111に代えて、GPU、又はFPGAを備えていてもよい。
【0120】
CPU111は、記憶装置113に格納された、実施形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、コードを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置である。また、実施形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。なお、記録媒体120は、不揮発性記録媒体である。
【0121】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置があげられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0122】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0123】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体があげられる。
【0124】
なお、実施形態における腎臓病悪化予測装置10は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェア、例えば、電子回路を用いることによっても実現可能である。さらに、腎臓病悪化予測装置10は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。ただし、実施形態において、コンピュータは、図16に示すコンピュータに限定されることはない。
【0125】
以上、実施形態を参照して発明を説明したが、発明は上述した実施形態に限定されるものではない。発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
上述した記載によれば、腎臓病の悪化が予測される受診者を抽出することができる。また、腎臓病の悪化の予測が必要な分野において有用である。
【符号の説明】
【0127】
10 腎臓病悪化予測装置
11 検査統計情報生成部
12 薬効別服薬情報生成部
13 疾病分類情報生成部
14 入力情報生成部
15 腎臓病悪化予測部
16 データ補完部
17 学習データ生成部
18 腎臓病悪化予測モデル学習部
19 出力情報生成部
20 記憶装置
30 端末装置
100 システム
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16