(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155238
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】乾燥食品製造方法
(51)【国際特許分類】
A23G 1/50 20060101AFI20241024BHJP
A23G 1/32 20060101ALI20241024BHJP
A23L 3/44 20060101ALI20241024BHJP
A23D 7/04 20060101ALI20241024BHJP
A23L 19/00 20160101ALI20241024BHJP
【FI】
A23G1/50
A23G1/32
A23L3/44
A23D7/04
A23L19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069822
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】391063075
【氏名又は名称】アスザックフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】早川 菜保美
(72)【発明者】
【氏名】野口 春奈
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 陸央
【テーマコード(参考)】
4B014
4B016
4B022
4B026
【Fターム(参考)】
4B014GB01
4B014GB04
4B014GG05
4B014GG06
4B014GG09
4B014GG17
4B014GK08
4B014GL11
4B014GP01
4B014GP12
4B014GP23
4B014GQ12
4B014GY04
4B016LE03
4B016LG01
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4B016LK06
4B016LK11
4B016LP04
4B016LP08
4B016LP11
4B022LA03
4B022LB06
4B022LJ04
4B022LJ05
4B022LR06
4B026DC02
4B026DC06
4B026DG01
(57)【要約】
【課題】単に美観や食感に優れるというだけでなく、その商品価値を十分に向上させ得る乾燥食品製造方法を提供する。
【解決手段】液状原料にチョコレートを混合してチョコレート水溶液を生成する水溶液生成工程S1と、チョコレート水溶液を容器に充填する充填工程S2と、チョコレート水溶液を容器内において凍結させる凍結工程S3と、チョコレート水溶液の凍結物を乾燥させる乾燥工程S4とをこの順で実行して、乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品を製造する際に、水溶液生成工程S1において、チョコレートに対する液状原料の重量比が2倍から3倍の範囲内となるようにチョコレート水溶液を生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状原料にチョコレートを混合してチョコレート水溶液を生成する水溶液生成工程と、
前記チョコレート水溶液を容器に充填する充填工程と、
前記チョコレート水溶液を前記容器内において凍結させる凍結工程と、
前記チョコレート水溶液の凍結物を乾燥させる乾燥工程とをこの順で実行して、乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品を製造する際に、
前記水溶液生成工程において、前記チョコレートに対する前記液状原料の重量比が2倍から3倍の範囲内となるように前記チョコレート水溶液を生成する乾燥食品製造方法。
【請求項2】
前記水溶液生成工程において、前記液状原料および前記チョコレートと共にデキストリンを混合して前記チョコレート水溶液を生成する請求項1記載の乾燥食品製造方法。
【請求項3】
少なくとも前記凍結工程を開始する前に前記チョコレート水溶液に増粘剤を添加する請求項1記載の乾燥食品製造方法。
【請求項4】
前記充填工程において、果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材と前記チョコレート水溶液とを前記容器にそれぞれ充填し、
前記凍結工程において、前記チョコレート水溶液および前記具材の混合物を前記容器内において凍結させる請求項1から3のいずれかに記載の乾燥食品製造方法。
【請求項5】
少なくとも前記充填工程を開始する前に、果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材と前記チョコレート水溶液とを混合し、
前記充填工程において、前記チョコレート水溶液および前記具材の混合物を前記容器に充填し、
前記凍結工程において、前記混合物を前記容器内において凍結させる請求項1から3のいずれかに記載の乾燥食品製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状原料にチョコレートを混合したチョコレート水溶液を凍結乾燥させることで、乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品を製造する乾燥食品製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献には、食感や美観を損ねる原因の1つであるブルーミングの発生を回避可能な「ブロック状チョコレートの製造方法」が開示されている。この製造方法では、一例として、35℃程度に加熱したチョコレート生地にBOBシード剤を5%程度添加し、このチョコレート生地を型に流し込んだ状態で撹拌棒を用いて十分に攪拌する。この後、5℃程度の冷蔵庫にて6時間程度冷却した後に型から剥離することによってチョコレートが完成する。
【0003】
この場合、BOBシード剤の添加量が少な過ぎると、製造されたチョコレートにブルーミングが発生し、BOBシード剤の添加量が多過ぎると、ブルーミングの発生は抑制されるものの、口溶けが悪く、食感が低下したり、綺麗に成型するのが困難となったりすることが確認されている。したがって、BOBシード剤の添加量については、チョコレート生地に対し1%以上5%以下の範囲内とすることで、ブルーミングの発生を抑制し、かつ良好な艶と口溶けとを有するチョコレートを製造することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-080597号公報(第3-5頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献に開示の製造方法には、以下のような改善すべき課題が存在する。
【0006】
具体的には、上記特許文献に開示の製造方法では、チョコレート生地に対してBOBシード剤を適量添加することでブルーミングの発生を抑制することが可能となっている。しかしながら、この製造方法に従って製造されたチョコレートは、ブルーミングが発生していない極く一般的なチョコレートである。この場合、ブルーミングが発生しているチョコレートについては、その美観や食感が悪いと評価されるものの、ブルーミングが発生していないチョコレートについては、ブルーミングが発生しているチョコレートと対比されない限り、その美観や食感が良いと評価されることはない。このため、単にブルーミングが発生していないというだけでは、製造したチョコレートの商品価値を向上させるのが困難となっている。
【0007】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、単に美観や食感に優れるというだけでなく、その商品価値を十分に向上させ得る乾燥食品製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の乾燥食品製造方法は、液状原料にチョコレートを混合してチョコレート水溶液を生成する水溶液生成工程と、前記チョコレート水溶液を容器に充填する充填工程と、前記チョコレート水溶液を前記容器内において凍結させる凍結工程と、前記チョコレート水溶液の凍結物を乾燥させる乾燥工程とをこの順で実行して、乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品を製造する際に、前記水溶液生成工程において、前記チョコレートに対する前記液状原料の重量比が2倍から3倍の範囲内となるように前記チョコレート水溶液を生成する。
【0009】
また、請求項2記載の乾燥食品製造方法は、請求項1記載の乾燥食品製造方法において、前記水溶液生成工程において、前記液状原料および前記チョコレートと共にデキストリンを混合して前記チョコレート水溶液を生成する。
【0010】
また、請求項3記載の乾燥食品製造方法は、請求項1記載の乾燥食品製造方法において、少なくとも前記凍結工程を開始する前に前記チョコレート水溶液に増粘剤を添加する。
【0011】
また、請求項4記載の乾燥食品製造方法は、請求項1から3のいずれかに記載の乾燥食品製造方法において、前記充填工程において、果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材と前記チョコレート水溶液とを前記容器にそれぞれ充填し、前記凍結工程において、前記チョコレート水溶液および前記具材の混合物を前記容器内において凍結させる。
【0012】
また、請求項5記載の乾燥食品製造方法は、請求項1から3のいずれかに記載の乾燥食品製造方法において、少なくとも前記充填工程を開始する前に、果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材と前記チョコレート水溶液とを混合し、前記充填工程において、前記チョコレート水溶液および前記具材の混合物を前記容器に充填し、前記凍結工程において、前記混合物を前記容器内において凍結させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の乾燥食品製造方法では、水溶液生成工程、充填工程、凍結工程および乾燥工程をこの順で実行して、乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品を製造する際に、水溶液生成工程において、チョコレートに対する液状原料の重量比が2倍から3倍の範囲内となるようにチョコレート水溶液を生成する。この場合、チョコレートに対する液状原料の重量比が2倍を下回るチョコレート水溶液を使用したときには、飴化や発泡が生じて乾燥食品の美観が損なわれ、かつ硬いとの食感を覚える乾燥食品が製造されると共に、チョコレートに対する液状原料の重量比が3倍を超えるチョコレート水溶液を使用したときには、分離や欠けが生じて乾燥食品の美観が損なわれ、かつ食品が歯に付くといった食感の低下を招くこととなる。したがって、チョコレートに対する液状原料の重量比が2倍から3倍の範囲内となるように生成したチョコレート水溶液を使用するこの乾燥食品製造方法によれば、美観や食感に優れ、さらに、既存の他の食品にはない新しい外観および食感の乾燥食品を提供することができるため、乾燥食品の商品価値を十分に向上させることができる。
【0014】
請求項2記載の乾燥食品製造方法によれば、水溶液生成工程において、液状原料およびチョコレートと共にデキストリンを混合してチョコレート水溶液を生成することにより、保形性が良好で、製造直後の形状が崩れ難い乾燥食品を提供することができる。したがって、乾燥食品の商品価値を一層向上させることができる。
【0015】
請求項3記載の乾燥食品製造方法によれば、少なくとも凍結工程を開始する前にチョコレート水溶液に増粘剤を添加することにより、チョコレート水溶液におけるチョコレートと液状原料との分離や、チョコレート水溶液と具材との分離を回避することができるため、乾燥食品の全体に亘ってこれらが均一に分散した状態で凍結乾燥させられた乾燥食品を提供することができる。したがって、乾燥食品の商品価値を一層向上させることができる。
【0016】
請求項4記載の乾燥食品製造方法では、充填工程において、果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材とチョコレート水溶液とを容器にそれぞれ充填し、凍結工程において、チョコレート水溶液および具材の混合物を容器内において凍結させる。したがって、請求項4記載の乾燥食品製造方法によれば、具材およびチョコレート水溶液を容器に充填するときに、具材については手作業で充填し、かつチョコレート水溶液については充填機を使用して充填したり、具材を充填するための充填機とチョコレート水溶液を充填するための充填機とを別個に用意してそれぞれ充填したりすることで、ある程度大きな具材を使用する場合であっても、この大きな具材の充填機における詰まりの発生を好適に回避することができる。これにより、具材が変形した状態となったり、製造される乾燥食品に具材の含有量のバラ付きが生じたりするのを好適に回避することができるため、乾燥食品の商品価値を一層向上させることができる。
【0017】
請求項5記載の乾燥食品製造方法では、少なくとも充填工程を開始する前に、果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材とチョコレート水溶液とを混合し、充填工程において、チョコレート水溶液および具材の混合物を容器に充填し、凍結工程において、混合物を容器内において凍結させる。したがって、請求項5記載の乾燥食品製造方法によれば、チョコレート水溶液の各部に具材を均一に分散させた状態でこれを容器に充填することができるため、製造される乾燥食品に具材の含有量のバラ付きが生じるのを好適に回避することができる結果、乾燥食品の商品価値を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】乾燥食品製造処理1のフローチャートである。
【
図2】乾燥食品製造処理1Aのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、「乾燥食品製造方法」の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0020】
本発明に係る「乾燥食品製造方法」では、一例として、
図1に示す乾燥食品製造処理1によって「乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品」を製造する。なお、「乾燥状態において喫食可能な乾燥食品」とは、「喫食に先立って水などの液体を浸透させることを要件としない食品」を意図しており、「液体を浸透させない状態で喫食することを想定して製造した食品」だけでなく、「液体を浸透させない状態、および液体を浸透させた状態のいずれの状態でも喫食できるように製造した食品」を含んでいる。
【0021】
この乾燥食品製造処理1では、液状原料にチョコレートを混合してチョコレート水溶液を生成する水溶液生成工程S1と、チョコレート水溶液を容器に充填する(チョコレート水溶液と具材とを容器にそれぞれ充填する)充填工程S2と、チョコレート水溶液を容器内において凍結させる凍結工程S3と、チョコレート水溶液の凍結物を乾燥させる乾燥工程S4とをこの順で実行して乾燥食品を製造した後に、製造した乾燥食品を包装容器に収容して容器を封止する包装工程S5を実行する。この場合、果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材をチョコレートと混合した乾燥食品を製造するときには、上記の水溶液生成工程S1と並行して具材を調理する調理工程S1aを実行し、充填工程S2において、水溶液生成工程S1によって生成したチョコレート水溶液と、調理工程S1aによって調理した具材とを容器にそれぞれ充填する。
【0022】
この乾燥食品製造処理1では、上記の水溶液生成工程S1において、チョコレートに対する液状原料の重量比が2倍から3倍の範囲内となるようにチョコレート水溶液を生成することを特徴とする。これにより、後述するように、見た目や食感が既存の食品とは異なる趣向性が高い食品を製造することが可能となっている。
【0023】
なお、「乾燥食品製造方法」および製造された「乾燥食品」について以下に具体な例を挙げて説明するが、各工程において公知の手法に準じて行う処理については、詳細な説明を省略する。
【0024】
1-1:食品名:いちご・ホワイトチョコレート
いちご・ホワイトチョコレート(いちごの果肉入りのホワイトチョコレート)は、「乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品」の一例である「チョコレート菓子」である。このいちご・ホワイトチョコレートは、「チョコレート」の一例である「ホワイトチョコレート(準チョコレートの一例)」と、「果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材」の一例である「いちご」とを混合して凍結乾燥させることで製造される。このいちご・ホワイトチョコレートに関し、「チョコレート水溶液」における「チョコレート」に対する「液状原料」の重量比を0.5倍から5倍の範囲内で異ならせた6種類のチョコレート菓子を製造し、その外観や食感についてそれぞれ評価を行った。なお、評価を目的とする以下の製造例においては、乾燥食品製造処理1における包装工程S5を実施しない。
【0025】
【0026】
1-2.使用する原料
・いちご(43%)
・ホワイトチョコ(17%)
・水(36%)
・その他:デキストリン、乳化剤および増粘剤(合計4%)
(丸括弧内は、「食品1C」の製造時における充填工程S2の開始直前の各原料の重量の比率を示す)
【0027】
1-3.水溶液生成工程S1
1).水(ぬるま湯:「液状原料」の一例)に、デキストリン、乳化剤および増粘剤を投入して溶解させ、75℃程度まで加熱しつつ攪拌する。
2).ホワイトチョコレートを湯煎にて溶解させる。
3).デキストリン、乳化剤および増粘剤の水溶液を60℃程度まで温度低下させた後に、溶解させたホワイトチョコレートを投入して混合する。
以上により、ホワイトチョコレートのチョコレート水溶液が生成される。
【0028】
1-4.調理工程S1a
本例では、一例として、「冷凍いちご」を解凍して「具材」として使用する。(実質的な「調理」を行わない例)
【0029】
1-5.充填工程S2
1).解凍したいちごをトレイ(「容器」の一例)に充填する。
2).チョコレート水溶液をトレイに流し込む。
以上により、トレイ内において、チョコレート水溶液中にいちごの果肉が分散した状態となる。
【0030】
1-6.凍結工程S3
チョコレート水溶液およびいちごが充填されたトレイを冷凍庫内に収容して凍結させる。
【0031】
1-7.乾燥工程S4
チョコレート水溶液およびいちごの凍結物を所望の大きさ(例えば、一口大)に細断した後に乾燥装置にセットして乾燥させる。
以上により、原料としてのチョコレート水溶液におけるホワイトチョコレートの希釈率が相違する食品1A~1Fの6種類のチョコレート菓子が完成する。
【0032】
「表1」に示すように、ホワイトチョコレートに対する水の重量比が「2:1」(ホワイトチョコレートの希釈率が0.5倍)の食品1A、およびホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:1」(ホワイトチョコレートの希釈率が等倍)の食品1Bでは、完成したいちご・ホワイトチョコレートにおいて「飴化」が生じて美観が損なわれると共に、食品1Aにおいては、水分不足に起因する「発泡」の存在も確認された。一方、ホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:4」(ホワイトチョコレートの希釈率が4倍)の食品1E、およびホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:5」(ホワイトチョコレートの希釈率が5倍等倍)の食品1Fでは、完成したいちご・ホワイトチョコレートにおいて「分離」が生じて美観が損なわれた。
【0033】
これに対して、ホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:2」(ホワイトチョコレートの希釈率が2倍)の食品1C、およびホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:3」(ホワイトチョコレートの希釈率が3倍)の食品1Dでは、完成したいちご・ホワイトチョコレートにおいて「飴化」、「発泡」および「分離」が発生しなかった。したがって、いちご・ホワイトチョコレートについては、ホワイトチョコレートに対する水の重量比を「1:2」~「1:3」の範囲内とする(ホワイトチョコレートの希釈率を2倍から3倍の範囲内とする)ことで、その美観が優れた商品価値の高い製品を製造することが理解できる。
【0034】
また、食品1A,1Bは、「硬い」や「やや硬い」との食感を覚える状態(歯応えが大き過ぎる状態)であり、食品1E,1Fは、「硬い」との食感を覚えることはないものの、食品が歯に付くことで食感が低下している。これに対して、食品1C,1Dでは、硬過ぎず、不快となるようなレベルで食品が歯に付くこともないため、良好な食感を得ることができた。したがって、いちご・ホワイトチョコレートについては、ホワイトチョコレートに対する水の重量比を「1:2」~「1:3」の範囲内とする(ホワイトチョコレートの希釈率を2倍から3倍の範囲内とする)ことで、その食感が良好な商品価値の高い製品を製造することが理解できる。
【0035】
2-1:食品名:みかん・ミルクチョコレート
みかん・ミルクチョコレート(みかんの果肉入りのミルクチョコレート)は、「乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品」の他の一例である「チョコレート菓子」である。このみかん・ミルクチョコレートは、「チョコレート」の他の一例である「ミルクチョコレート(準チョコレートの他の一例)」と、「果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材」の一例である「みかん」とを混合して凍結乾燥させることで製造される。このみかん・ミルクチョコレートに関し、「チョコレート水溶液」における「チョコレート」に対する「液状原料」の重量比を0.5倍から5倍の範囲内で異ならせた6種類のチョコレート菓子を製造し、その外観や食感についてそれぞれ評価を行った。なお、評価を目的とする以下の製造例においては、乾燥食品製造処理1における包装工程S5を実施しない。
【0036】
【0037】
2-2.使用する原料
・みかん(33%)
・ミルクチョコ(22%)
・水(43%)
・その他:デキストリン、乳化剤および増粘剤(合計2%)
(丸括弧内は、「食品2C」の製造時における充填工程S2の開始直前の各原料の重量の比率を示す)
【0038】
2-3.水溶液生成工程S1
1).水(ぬるま湯:「液状原料」の一例)に、デキストリン、乳化剤および増粘剤を投入して溶解させ、75℃程度まで加熱しつつ攪拌する。
2).ミルクチョコレートを湯煎にて溶解させる。
3).デキストリン、乳化剤および増粘剤の水溶液を60℃程度まで温度低下させた後に、溶解させたミルクチョコレートを投入して混合する。
以上により、ミルクチョコレートのチョコレート水溶液が生成される。
【0039】
2-4.調理工程S1a
本例では、一例として、「冷凍みかん」を解凍して「具材」として使用する。(実質的な「調理」を行わない例)
【0040】
2-5.充填工程S2
1).解凍したみかんをトレイ(「容器」の一例)に充填する。
2).チョコレート水溶液をトレイに流し込む。
以上により、トレイ内において、チョコレート水溶液中にみかんの果肉が分散した状態となる。
【0041】
2-6.凍結工程S3
チョコレート水溶液およびみかんが充填されたトレイを冷凍庫内に収容して凍結させる。
【0042】
2-7.乾燥工程S4
チョコレート水溶液およびみかんの凍結物を所望の大きさ(例えば、一口大)に細断した後に乾燥装置にセットして乾燥させる。
以上により、原料としてのチョコレート水溶液におけるミルクチョコレートの希釈率が相違する食品2A~2Fの6種類のチョコレート菓子が完成する。
【0043】
「表2」に示すように、ミルクチョコレートに対する水の重量比が「2:1」(ミルクチョコレートの希釈率が0.5倍)の食品2A、およびミルクチョコレートに対する水の重量比が「1:1」(ミルクチョコレートの希釈率が等倍)の食品2Bでは、完成したみかん・ミルクチョコレートにおいて「飴化」が生じて美観が損なわれると共に、食品2Aにおいては、水分不足に起因する「発泡」の存在も確認された。一方、ミルクチョコレートに対する水の重量比が「1:4」(ミルクチョコレートの希釈率が4倍)の食品2E、およびミルクチョコレートに対する水の重量比が「1:5」(ミルクチョコレートの希釈率が5倍等倍)の食品2Fでは、完成したみかん・ミルクチョコレートにおいて「分離」が生じて美観が損なわれた。
【0044】
これに対して、ミルクチョコレートに対する水の重量比が「1:2」(ミルクチョコレートの希釈率が2倍)の食品2C、およびミルクチョコレートに対する水の重量比が「1:3」(ミルクチョコレートの希釈率が3倍)の食品2Dでは、完成したみかん・ミルクチョコレートにおいて「飴化」、「発泡」および「分離」が発生しなかった。したがって、みかん・ミルクチョコレートについては、ミルクチョコレートに対する水の重量比を「1:2」~「1:3」の範囲内とする(ミルクチョコレートの希釈率を2倍から3倍の範囲内とする)ことで、その美観が優れた商品価値の高い製品を製造することが理解できる。
【0045】
また、食品2A,2Bは、「硬い」や「やや硬い」との食感を覚える状態(歯応えが大き過ぎる状態)であり、食品2E,2Fは、「硬い」との食感を覚えることはないものの、食品が歯に付くことで食感が低下している。これに対して、食品2C,2Dでは、硬過ぎず、不快となるようなレベルで食品が歯に付くこともないため、良好な食感を得ることができた。したがって、みかん・ミルクチョコレートについては、ミルクチョコレートに対する水の重量比を「1:2」~「1:3」の範囲内とする(ミルクチョコレートの希釈率を2倍から3倍の範囲内とする)ことで、その食感が良好な商品価値の高い製品を製造することが理解できる。
【0046】
3-1:食品名:いちご・抹茶チョコレート
いちご・抹茶チョコレート(いちごの果肉入りの抹茶チョコレート)は、「乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品」のさらに他の一例である「チョコレート菓子」である。このいちご・抹茶チョコレートは、「チョコレート」の一例である「抹茶チョコレート(チョコレート利用食品の一例)」と、「果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材」の一例である「いちご」とを混合して凍結乾燥させることで製造される。このいちご・抹茶チョコレートに関し、「チョコレート水溶液」における「チョコレート」に対する「液状原料」の重量比を0.5倍から5倍の範囲内で異ならせた6種類のチョコレート菓子を製造し、その外観や食感についてそれぞれ評価を行った。なお、評価を目的とする以下の製造例においては、乾燥食品製造処理1における包装工程S5を実施しない。
【0047】
【0048】
3-2.使用する原料
・いちご(41%)
・水(40%)
・抹茶チョコ(16%)
・その他:デキストリン、乳化剤および増粘剤(合計3.0%)
(丸括弧内は、「食品3C」の製造時における充填工程S2の開始直前の各原料の重量の比率を示す)
【0049】
3-3.水溶液生成工程S1
1).水(ぬるま湯:「液状原料」の一例)に、デキストリン、乳化剤および増粘剤を投入して溶解させ、75℃程度まで加熱しつつ攪拌する。
2).抹茶チョコレートを湯煎にて溶解させる。
3).デキストリン、乳化剤および増粘剤の水溶液を60℃程度まで温度低下させた後に、溶解させた抹茶チョコレートを投入して混合する。
以上により、抹茶チョコレートのチョコレート水溶液が生成される。
【0050】
3-4.調理工程S1a
本例では、一例として、「冷凍いちご」を解凍して「具材」として使用する。(実質的な「調理」を行わない例)
【0051】
3-5.充填工程S2
1).解凍したいちごをトレイ(「容器」の一例)に充填する。
2).チョコレート水溶液をトレイに流し込む。
以上により、トレイ内において、チョコレート水溶液中にいちごの果肉が分散した状態となる。
【0052】
3-6.凍結工程S3
チョコレート水溶液およびいちごが充填されたトレイを冷凍庫内に収容して凍結させる。
【0053】
3-7.乾燥工程S4
チョコレート水溶液およびいちごの凍結物を所望の大きさ(例えば、一口大)に細断した後に乾燥装置にセットして乾燥させる。
以上により、原料としてのチョコレート水溶液における抹茶チョコレートの希釈率が相違する食品3A~3Fの6種類のチョコレート菓子が完成する。
【0054】
「表3」に示すように、抹茶チョコレートに対する水の重量比が「2:1」(抹茶チョコレートの希釈率が0.5倍)の食品3A、および抹茶チョコレートに対する水の重量比が「1:1」(抹茶チョコレートの希釈率が等倍)の食品3Bでは、完成したいちご・抹茶チョコレートにおいて「飴化」が生じて美観が損なわれると共に、食品3Aにおいては、水分不足に起因する「発泡」の存在も確認された。一方、抹茶チョコレートに対する水の重量比が「1:4」(抹茶チョコレートの希釈率が4倍)の食品3E、および抹茶チョコレートに対する水の重量比が「1:5」(抹茶チョコレートの希釈率が5倍等倍)の食品3Fでは、完成したいちご・抹茶チョコレートにおいて「分離」が生じて美観が損なわれた。
【0055】
これに対して、抹茶チョコレートに対する水の重量比が「1:2」(抹茶チョコレートの希釈率が2倍)の食品3C、および抹茶チョコレートに対する水の重量比が「1:3」(抹茶チョコレートの希釈率が3倍)の食品3Dでは、完成したいちご・抹茶チョコレートにおいて「飴化」、「発泡」および「分離」が発生しなかった。したがって、いちご・抹茶チョコレートについては、抹茶チョコレートに対する水の重量比を「1:2」~「1:3」の範囲内とする(抹茶チョコレートの希釈率を2倍から3倍の範囲内とする)ことで、その美観が優れた商品価値の高い製品を製造することが理解できる。
【0056】
また、食品3A,3Bは、「硬い」や「やや硬い」との食感を覚える状態(歯応えが大き過ぎる状態)であり、食品3E,3Fは、「硬い」との食感を覚えることはないものの、食品が歯に付くことで食感が低下している。これに対して、食品3C,3Dでは、硬過ぎず、不快となるようなレベルで食品が歯に付くこともないため、良好な食感を得ることができた。したがって、いちご・抹茶チョコレートについては、抹茶チョコレートに対する水の重量比を「1:2」~「1:3」の範囲内とする(抹茶チョコレートの希釈率を2倍から3倍の範囲内とする)ことで、その食感が良好な商品価値の高い製品を製造することが理解できる。
【0057】
4-1:食品名:ホワイトチョコレート
ホワイトチョコレート(具材を含有しないホワイトチョコレート)は、「乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品」のさらに他の一例である「チョコレート菓子」である。このホワイトチョコレートは、「チョコレート」の一例である「ホワイトチョコレート(チョコレート利用食品の一例)」を「チョコレート水溶液」の形態で凍結乾燥させることで製造される。このホワイトチョコレートに関し、「チョコレート水溶液」における「チョコレート」に対する「液状原料」の重量比を0.5倍から5倍の範囲内で異ならせた6種類のチョコレート菓子を製造し、その外観や食感についてそれぞれ評価を行った。なお、「具材」を含有しないこの例においては、調理工程S1aを実施しない。また、評価を目的とする以下の製造例においては、乾燥食品製造処理1における包装工程S5を実施しない。
【0058】
【0059】
4-2.使用する原料
・ホワイトチョコ(31%)
・水(62%)
・その他:デキストリン、乳化剤および増粘剤(合計7%)
(丸括弧内は、「食品4C」の製造時における充填工程S2の開始直前の各原料の重量の比率を示す)
【0060】
4-3.水溶液生成工程S1
1).水(ぬるま湯:「液状原料」の一例)に、デキストリン、乳化剤および増粘剤を投入して溶解させ、75℃程度まで加熱しつつ攪拌する。
2).ホワイトチョコレートを湯煎にて溶解させる。
3).デキストリン、乳化剤および増粘剤の水溶液を60℃程度まで温度低下させた後に、溶解させたホワイトチョコレートを投入して混合する。
以上により、ホワイトチョコレートのチョコレート水溶液が生成される。
【0061】
4-4.充填工程S2
チョコレート水溶液をトレイに流し込む。
【0062】
4-5.凍結工程S3
チョコレート水溶液が充填されたトレイを冷凍庫内に収容して凍結させる。
【0063】
4-6.乾燥工程S4
チョコレート水溶液の凍結物を所望の大きさ(例えば、一口大)に細断した後に乾燥装置にセットして乾燥させる。
以上により、原料としてのチョコレート水溶液におけるホワイトチョコレートの希釈率が相違する食品4A~4Fの6種類のチョコレート菓子が完成する。
【0064】
「表4」に示すように、ホワイトチョコレートに対する水の重量比が「2:1」(ホワイトチョコレートの希釈率が0.5倍)の食品4A、およびホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:1」(ホワイトチョコレートの希釈率が等倍)の食品4Bでは、完成したホワイトチョコレートにおいて「飴化」が生じて美観が損なわれると共に、食品4Aにおいては、水分不足に起因する「発泡」の存在も確認された。一方、ホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:4」(ホワイトチョコレートの希釈率が4倍)の食品4E、およびホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:5」(ホワイトチョコレートの希釈率が5倍等倍)の食品4Fでは、完成したホワイトチョコレートにおいて「欠け(分離)」が生じて美観が損なわれた。
【0065】
これに対して、ホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:2」(ホワイトチョコレートの希釈率が2倍)の食品4C、およびホワイトチョコレートに対する水の重量比が「1:3」(ホワイトチョコレートの希釈率が3倍)の食品4Dでは、完成したホワイトチョコレートにおいて「飴化」、「発泡」および「欠け(分離)」が発生しなかった。したがって、ホワイトチョコレートについては、ホワイトチョコレートに対する水の重量比を「1:2」~「1:3」の範囲内とする(ホワイトチョコレートの希釈率を2倍から3倍の範囲内とする)ことで、その美観が優れた商品価値の高い製品を製造することが理解できる。
【0066】
また、食品4A,4Bは、「硬い」や「やや硬い」との食感を覚える状態(歯応えが大き過ぎる状態)であり、食品4E,4Fは、「硬い」との食感を覚えることはないものの、食品が歯に付くことで食感が低下している。これに対して、食品4C,4Dでは、硬過ぎず、不快となるようなレベルで食品が歯に付くこともないため、良好な食感を得ることができた。したがって、ホワイトチョコレートについては、ホワイトチョコレートに対する水の重量比を「1:2」~「1:3」の範囲内とする(ホワイトチョコレートの希釈率を2倍から3倍の範囲内とする)ことで、その食感が良好な商品価値の高い製品を製造することが理解できる。
【0067】
なお、上記の「食品1C~4C,1D~4D」について、デキストリンの添加量が少な過ぎるとき、或いは、デキストリンを添加しなかったときには、製造された乾燥食品の保形性が低下し、製造直後の形状を維持するのが困難となることがある。また、上記の「食品1C~4C,1D~4D」について、増粘剤の添加量が少な過ぎるとき、或いは、増粘剤を添加しなかったときには、充填工程S2の完了後から、凍結工程S3においてトレイ内の原料が凍結するまでの間に、チョコレート水溶液において「液状原料」と「チョコレート」とが分離したり、トレイ内において「具材」が沈殿したり浮上したりする結果、チョコレートと具材とが分離した状態となることがあった。
【0068】
この場合、上記の各例における「いちご・ホワイトチョコレート」、「みかん・ミルクチョコレート」、「いちご・抹茶チョコレート」および「ホワイトチョコレート」などの「チョコレート菓子」は、同様の「チョコレート」および「具材」を用いて製造される既存の「チョコレート菓子」とは、その見た目や食感が大きく相違する。このため、「食品1C~4C,1D~4D」と同様の製造方法で製造された乾燥食品(チョコレート菓子)は、喫食者が経験したことのない外観および食感の食品として認識されるため、その商品価値を大きく向上させることが可能となっている。
【0069】
このように、この「乾燥食品製造方法」では、水溶液生成工程S1、充填工程S2、凍結工程S3および乾燥工程S4をこの順で実行して、乾燥状態において喫食可能なブロック状の乾燥食品を製造する際に、水溶液生成工程S1において、チョコレートに対する液状原料(例えば、水)の重量比が2倍から3倍の範囲内となるようにチョコレート水溶液を生成する。この場合、チョコレートに対する液状原料の重量比が2倍を下回るチョコレート水溶液を使用したときには、「飴化」や「発泡」が生じて乾燥食品の美観が損なわれ、かつ「硬い」との食感を覚える乾燥食品が製造されると共に、チョコレートに対する液状原料の重量比が3倍を超えるチョコレート水溶液を使用したときには、「分離」や「欠け」が生じて乾燥食品の美観が損なわれ、かつ食品が歯に付くといった食感の低下を招くこととなる。したがって、チョコレートに対する液状原料の重量比が2倍から3倍の範囲内となるように生成したチョコレート水溶液を使用するこの「乾燥食品製造方法」によれば、美観や食感に優れ、さらに、既存の他の食品にはない新しい外観および食感の乾燥食品を提供することができるため、乾燥食品の商品価値を十分に向上させることができる。
【0070】
また、この「乾燥食品製造方法」によれば、水溶液生成工程S1において、液状原料およびチョコレートと共にデキストリンを混合してチョコレート水溶液を生成することにより、保形性が良好で、製造直後の形状が崩れ難い乾燥食品を提供することができる。したがって、乾燥食品の商品価値を一層向上させることができる。
【0071】
また、この「乾燥食品製造方法」によれば、少なくとも凍結工程S3を開始する前にチョコレート水溶液に増粘剤を添加することにより、「チョコレート水溶液」における「チョコレート」と「液状原料」との分離や、「チョコレート水溶液」と「具材」との分離を回避することができるため、乾燥食品の全体に亘ってこれらが均一に分散した状態で凍結乾燥させられた乾燥食品を提供することができる。したがって、乾燥食品の商品価値を一層向上させることができる。
【0072】
また、この「乾燥食品製造方法」では、充填工程S2において、果物および野菜の少なくとも一方(本例では、いちごや、みかん)を主原料とする「具材」と「チョコレート水溶液」とを容器にそれぞれ充填し、凍結工程S3において、「チョコレート水溶液」および「具材」の混合物を容器内において凍結させる。したがって、この「乾燥食品製造方法」によれば、「具材」および「チョコレート水溶液」を「容器」に充填するときに、「具材」については手作業で充填し、かつ「チョコレート水溶液」については充填機を使用して充填したり、「具材」を充填するための充填機と「チョコレート水溶液」を充填するための充填機とを別個に用意してそれぞれ充填したりすることで、ある程度大きな「具材」を使用する場合であっても、この大きな「具材」の充填機における「詰まり」の発生を好適に回避することができる。これにより、「具材」が変形した状態となったり、製造される乾燥食品に「具材」の含有量のバラ付きが生じたりするのを好適に回避することができるため、乾燥食品の商品価値を一層向上させることができる。
【0073】
次に、「乾燥食品製造方法」の他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0074】
図2に示す乾燥食品製造処理1Aは、「乾燥食品製造方法」の他の一例であって、前述の乾燥食品製造処理1における水溶液生成工程S1(および調理工程S1a)の完了後に混合工程S10を実行すると共に、乾燥食品製造処理1における充填工程S2代えて充填工程S2aを実行する点を除き、乾燥食品製造処理1における各工程の処理と同様の処理を行って「乾燥食品」としての「具材入りのチョコレート菓子(食品1C~3C,1D~3Dと同様のチョコレート菓子)」を製造することができる。なお、この乾燥食品製造処理1Aにおいて前述の乾燥食品製造処理1の各工程の処理と同様の処理については重複する説明を省略する。
【0075】
この乾燥食品製造処理1Aでは、液状原料にチョコレートを混合してチョコレート水溶液を生成する水溶液生成工程S1と、具材を調理する調理工程S1aと、チョコレート水溶液および具材を混合する混合工程S10と、チョコレート水溶液および具材の混合物を容器に充填する充填工程S2aと、充填した混合物を容器内において凍結させる凍結工程S3と、凍結物を乾燥させる乾燥工程S4とをこの順で実行して乾燥食品を製造した後に、製造した乾燥食品を包装容器に収容して容器を封止する包装工程S5を実行する。
【0076】
この乾燥食品製造処理1Aでは、前述した乾燥食品製造処理1における水溶液生成工程S1と同様にして、チョコレートに対する液状原料の重量比が2倍から3倍の範囲内となるようにチョコレート水溶液を生成することを特徴とする。これにより、見た目や食感が既存の食品とは異なる趣向性が高い食品を製造することが可能となっている。
【0077】
このように、この「乾燥食品製造方法」では、少なくとも充填工程S2aを開始する前に、果物および野菜の少なくとも一方を主原料とする具材とチョコレート水溶液とを混合する混合工程S10を実行し、充填工程S2aにおいて、チョコレート水溶液および具材の混合物を容器に充填し、凍結工程S3において、混合物を容器内において凍結させる。したがって、この「乾燥食品製造方法」によれば、「チョコレート水溶液」の各部に「具材」を均一に分散させた状態でこれを「容器」に充填することができるため、製造される乾燥食品に「具材」の含有量のバラ付きが生じるのを好適に回避することができる結果、乾燥食品の商品価値を一層向上させることができる。
【0078】
なお、「乾燥食品製造方法」は、上記した各製造方法の例に限定されない。
【0079】
例えば、「液状原料」として「水(湯)」を使用して乾燥食品を製造する例について説明したが、「水」に代えて(または、「水」に加えて)、「ミルク(牛乳)」、「豆乳」、「果汁」、「コーヒー」および「紅茶」などの各種の液体を「液状原料」として使用して「チョコレート水溶液」を製作することができる。また、「具材」として「いちご」や「みかん」を使用して「乾燥食品」を製造する例について説明したが、これらに代えて(または、これらに加えて)、「オレンジ」、「レモン」、「ゆず」、「りんご」、「梨」、「桃」、「ブドウ」および「西瓜」などの各種の「果物」や、「トマト」、「人参」、「南瓜」および「芋類(さつま芋など)」などの各種の「野菜」、または「豆類(あずきなど)」、「栗」、「胡桃」および「きのこ」などを「具材」として使用して「乾燥食品」を製造することができる。
【0080】
また、「冷凍いちご」や「冷凍みかん」などの「冷凍された食材」に代えて「青果物(生の果物や野菜)」を「具材」として使用することもできる。このような「具材」を使用するときには、製造する食品に応じて、「洗浄」、「細断」「味付け」および「加温」などの作業を調理工程S1aにおいて実施することとなる。また、主材としての果物や野菜の他に、「ナッツ」や「ドライフルーツ」などの固形物を添加して製造することもできる。さらに、水溶液生成工程S1において、デキストリンや増粘剤と共に乳化剤を加えてチョコレート水溶液を生成する製造方法を例に挙げて説明したが、使用する液状原料やチョコレートの組合せにより、液状原料に対してチョコレートを好適に分散させることができるときには、乳化剤を加えずにチョコレート水溶液を製作することもできる。
【0081】
加えて、凍結工程および乾燥工程をこの順で別個に実行する製造方法(凍結工程後に凍結物を細断し、その後に細断物を乾燥させる製造方法)について説明したが、充填工程においてチョコレート水溶液等を充填した容器内でチョコレート水溶液等を凍結させ、その容器内で凍結物を乾燥させる製造方法(凍結工程および乾燥工程をこの順で連続して実行する製造方法)を採用することもできる。
【符号の説明】
【0082】
1,1A 乾燥食品製造処理
S1 水溶液生成工程
S1a 調理工程
S2,S2a 充填工程
S3 凍結工程
S4 乾燥工程
S5 包装工程
S10 混合工程