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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155265
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/02 20060101AFI20241024BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20241024BHJP
   H01H 50/16 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01H50/02 T
H01H50/54 R
H01H50/16 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069856
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】西田 剛
(72)【発明者】
【氏名】三宅 彩加
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘泰
(57)【要約】
【課題】接点装置に対して駆動装置を安定して組み付けることができる電磁継電器の提供。
【解決手段】電磁継電器は、接点装置と、駆動装置と、絶縁部材と、カバーとを備える。接点装置は、第1固定接点を含む第1固定端子と、第2固定接点を含む第2固定端子と、第1固定接点及び第2固定接点と対向する可動接触片とを含む。駆動装置は、接点装置に対して第1方向の一方側に配置され、可動接触片を移動させる電磁力を発生させる。絶縁部材は、駆動装置に固着され、接点装置と駆動装置とを隔てる。カバーは、絶縁部材に固定され、絶縁部材とともに接点装置を収容する収容空間を形成する。絶縁部材及びカバーの一方は、絶縁部材及びカバーの他方に向かって突出する複数の凸部を含む。絶縁部材及びカバーの他方は、複数の凸部に固定される複数の凹部を含む。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定接点を含む第1固定端子と、第2固定接点を含む第2固定端子と、前記第1固定接点及び前記第2固定接点と対向する可動接触片とを含む接点装置と、
前記接点装置に対して第1方向の一方側に配置され、前記可動接触片を移動させる電磁力を発生させる駆動装置と、
前記駆動装置に固着され、前記接点装置と前記駆動装置とを隔てる絶縁部材と、
前記絶縁部材に固定され、前記絶縁部材とともに前記接点装置を収容する収容空間を形成するカバーと、
を備え、
前記絶縁部材及び前記カバーの一方は、前記絶縁部材及び前記カバーの他方に向かって突出する複数の凸部を含み、
前記絶縁部材及び前記カバーの他方は、前記複数の凸部に固定される複数の凹部を含む、
電磁継電器。
【請求項2】
前記複数の凸部は、前記第1方向に沿って突出する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記複数の凸部は、前記複数の凹部に圧入固定されている、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記絶縁部材は、前記複数の凸部を含み、
前記カバーは、前記複数の凹部を含み、
前記複数の凹部は、前記カバーを前記第1方向に貫通し、
前記複数の凸部及び前記複数の凹部は、接着剤を介して互いに固定されている、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記複数の凸部及び前記複数の凹部は、錐台形状を有する、
請求項4に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記絶縁部材及び前記カバーの一方は、前記可動接触片の移動方向に突出する押圧突起を含み、
前記絶縁部材及び前記カバーの他方は、前記可動接触片の移動方向において、前記押圧突起によって前記絶縁部材及び前記カバーの一方に押し付けられて位置決めされる、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記第1固定端子及び前記第2固定端子は、前記カバーに圧入固定されている、
請求項1又は2記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記絶縁部材及び前記カバーの一方は、前記可動接触片の移動方向と交差する方向に延びる絶縁壁を含み、
前記複数の凸部及び前記複数の凹部の一方は、前記絶縁壁に配置されている、
請求項1又は2に記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記絶縁部材及び前記カバーの一方は、前記第1固定端子が固定される第1端子固定部を含み、
前記第1端子固定部は、前記絶縁壁に接続されている、
請求項8に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電磁継電器は、ベースと、ベースに重ねて配置される絶縁部材と、ベースと絶縁部材の間に配置される接点装置と、接点装置を動作させる駆動装置とを備えている。駆動装置は、絶縁部材に固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-012956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電磁継電器では、絶縁部材は、ベースに重ねて配置されており、ベースに対して強固に固定されていない。このため、接点装置に対して駆動装置を安定して組み付けることが難しい。
【0005】
本発明の課題は、接点装置に対して駆動装置を安定して組み付けることができる電磁継電器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、接点装置と、駆動装置と、絶縁部材と、カバーとを備える。接点装置は、第1固定接点を含む第1固定端子と、第2固定接点を含む第2固定端子と、第1固定接点及び第2固定接点と対向する可動接触片とを含む。駆動装置は、接点装置に対して第1方向の一方側に配置され、可動接触片を移動させる電磁力を発生させる。絶縁部材は、駆動装置に固着され、接点装置と駆動装置とを隔てる。カバーは、絶縁部材に固定され、絶縁部材とともに接点装置を収容する収容空間を形成する。絶縁部材及びカバーの一方は、絶縁部材及びカバーの他方に向かって突出する複数の凸部を含む。絶縁部材及びカバーの他方は、複数の凸部に固定される複数の凹部を含む。
【0007】
この電磁継電器では、駆動装置に固着される絶縁部材は、複数の凸部と複数の凹部とによってカバーに固定される。これにより、接点装置に対して駆動装置を安定して組み付けることができるので、電磁継電器の動作特性が安定する。また、絶縁部材とカバーとを強固に固定できるので、電磁継電器の耐衝撃性や振動特性が向上する。
【0008】
複数の凸部は、第1方向に沿って突出してもよい。この場合は、絶縁部材とカバーとの組み付けが容易になる。
【0009】
複数の凸部は、複数の凹部に圧入固定されてもよい。この場合は、絶縁部材とカバーとを強固に固定できる。
【0010】
絶縁部材は、複数の凸部を含んでもよい。カバーは、複数の凹部を含んでもよい。複数の凹部は、カバーを第1方向に貫通してもよい。複数の凸部及び複数の凹部は、接着剤を介して互いに固定されてもよい。この場合は、カバーに絶縁部材を組付けた後で、複数の凹部に接着剤を充填することができる。また、接着剤によって絶縁部材とカバーとを強固に固定できる。
【0011】
複数の凸部及び複数の凹部は、錐台形状を有してもよい。この場合は、接着剤がカバーの内部に流れ込むことを抑制できる。
【0012】
絶縁部材及びカバーの一方は、可動接触片の移動方向に突出する押圧突起を含んでもよい。絶縁部材及びカバーの他方は、可動接触片の移動方向において、押圧突起によって絶縁部材及びカバーの一方に押し付けられて位置決めされてもよい。この場合は、簡単な構成で、カバー部材に対して絶縁部材を可動接触片の移動方向に位置決めできる。
【0013】
第1固定端子及び第2固定端子は、カバーに圧入固定されてもよい。この場合は、第1固定端子及び第2固定端子と絶縁部材とを同じ方向からカバーに組み付けることができるので、電磁継電器の組立性が向上する。
【0014】
絶縁縁部材及びカバーの一方は、可動接触片の移動方向と交差する方向に延びる絶縁壁を含んでもよい。複数の凸部及び複数の凹部の一方は、絶縁壁に配置されてもよい。この場合は、複数の凸部を簡単な構成で実現できる。
【0015】
絶縁部材及びカバーの一方は、第1固定端子が固定される第1端子固定部を含んでもよい。第1端子固定部は、絶縁壁に接続されてもよい。この場合は、第1固定端子が固定される第1端子固定部に複数の凸部及び複数の凹部の一方が配置される絶縁壁が接続されるので、接点装置に対して駆動装置をさらに安定して組み付けることができる。
【0016】
本発明によれば、接点装置に対して駆動装置を安定して組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】電磁継電器の斜視図である。
図2】電磁継電器の底面図である。
図3】電磁継電器の断面図である。
図4図1に示す電磁継電器から駆動装置及び絶縁部材を取り除いた斜視図である。
図5図1に示す電磁継電器から駆動装置を取り除いた斜視図である。
図6】絶縁部材を斜め下方から見た図である。
図7】第2カバーの斜視図である。
図8】電磁継電器の部分断面図である。
図9】変形例に係る第2カバーの斜視図である。
図10】変形例に係る第2カバー及び絶縁部材の断面斜視図である。
図11】変形例に係る電磁継電器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器1の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照するときにおいて、矢印X1,X2が示す方向(第1方向の一例)を前後方向、矢印Y1,Y2が示す方向を左右方向、矢印Z1,Z2が示す方向を上下方向として説明する。また、矢印X1が示す方向を前方、矢印X2が示す方向を後方、矢印Y1が示す方向を左方、矢印Y2が示す方向を右方、矢印Z1が示す方向を上方、矢印Z2が示す方向を下方として説明する。これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0019】
図1から図4に示すように、電磁継電器1は、ケース2と、絶縁部材3と、接点装置4と、駆動装置5と、可動部材6と、復帰ばね7とを備えている。
【0020】
ケース2は、例えば樹脂などの絶縁材で形成されている。ケース2は、第1カバー21と、第2カバー22(カバーの一例)とを含む。第1カバー21は、略四角形の箱型であり下方に向かって開口している。第1カバー21は、絶縁部材3の上方に配置されている。第1カバー21は、例えば、スナップフィットにより絶縁部材3に対して上方に抜け止めされている。なお、図1において、第1カバー21は、図示が省略されている。
【0021】
第2カバー22は、略四角形の箱型であり上方に向かって開口している。第2カバー22は、絶縁部材3の下方に配置されている。第2カバー22は、絶縁部材3に固定され、絶縁部材3とともに接点装置4を収容する収容空間を形成する。第2カバー22は、例えば、スナップフィットにより絶縁部材3に対して下方に抜け止めされている。
【0022】
第2カバー22は、底部22aと、複数の端子挿入孔22bと、接着剤収容部22cとを含む。底部22aは、上下方向と交差する方向に延びる底部22aは、絶縁部材3と上下方向に対向する。複数の端子挿入孔22bは、底部22aを上下方向に貫通する貫通孔である。接着剤収容部22cは、溝形状を有する。接着剤収容部22cは、底部22aの下面において、下方から上方に向かって凹む形状を有する。接着剤収容部22cは、端子挿入孔22bの周囲に配置されている。接着剤収容部22cは、端子挿入孔22bに接続されている。接着剤収容部22cの一部は、端子挿入孔22bの内周部に配置されている。接着剤収容部22cは、接着剤24が充填されている。
【0023】
絶縁部材3は、例えば樹脂などの絶縁材で形成されている。絶縁部材3は、接点装置4と駆動装置5とを隔てる。絶縁部材3は、接点装置4と駆動装置5との間に配置されている。絶縁部材3は、接点装置4と駆動装置5との間を絶縁する。絶縁部材3は、ケース2内において、接点装置4が配置される空間と駆動装置5が配置される空間とを区画する。絶縁部材3は、駆動装置5に固着されている。絶縁部材3の詳細な説明は後述する。
【0024】
接点装置4は、第2カバー22と絶縁部材3とによって形成される収容空間に配置されている。接点装置4は、複数の接点組10を含む。本実施形態では、接点装置4は、第1~第4接点組10a~10dの4つの接点組10を含む。第1~第4接点組10a~10dは、前後方向に互いに並んで配置されている。
【0025】
第1~第4接点組10a~10dは、互いに同様に構成を有している。第1~第4接点組10a~10dのそれぞれは、第1固定端子11と、第2固定端子12と、可動接触片13と接点ばね14とを含む。ここでは、第1接点組10aの第1固定端子11、第2固定端子12、可動接触片13及び接点ばね14の詳細についてのみ説明する。また、図4において、第2~第4接点組10b~10dにおける第1接点組10aと同じ構成要素の符号は省略する。
【0026】
第1固定端子11は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子11は、絶縁部材3に支持されている。第1固定端子11は、例えば、絶縁部材3に圧入固定されている。
【0027】
第1固定端子11は、第1固定接点11aと、第1外部接続部11bを含む。第1固定接点11aは、第1固定端子11の前面に配置されている。第1外部接続部11bは、第2カバー22の端子挿入孔22bから下方に突出する。
【0028】
第2固定端子12は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第2固定端子12は、絶縁部材3に支持されている。第2固定端子12は、例えば、絶縁部材3に圧入固定されている。第2固定端子12は、第1固定端子11と左右方向に離れて配置されている。
【0029】
第2固定端子12は、第2固定接点12aと、第2外部接続部12bを含む。第2固定接点12aは、第2固定端子12の前面に配置されている。第2外部接続部12bは、第2カバー22の端子挿入孔22bから下方に突出する。
【0030】
可動接触片13は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。可動接触片13は、左右方向に延びている。可動接触片13は、第1固定接点11a及び第2固定接点12aの前方に配置されており、第1固定接点11a及び第2固定接点12aと前後方向に対向する。可動接触片13は、前後方向において、接点ばね14を介して可動部材6に接続されている。可動接触片13は、可動部材6に対して前後方向に相対移動可能に配置されている。
【0031】
可動接触片13は、前後方向に移動可能に構成される。可動接触片13は、第1可動接点13aから第1固定接点11aに向かう接触方向と、接触方向と反対の開離方向とに移動可能に構成される。本実施形態において、接触方向は、後方に対応し、開離方向は、前方に対応する。
【0032】
可動接触片13は、第1可動接点13aと、第2可動接点13bと、位置決め部13cを含む。第1可動接点13aは、第1固定接点11aと前後方向に対向する。第1可動接点13aは、可動部材6の移動に応じて、第1固定接点11aに接触又は第1固定接点11aから開離する。第2可動接点13bは、第2固定接点12aと前後方向に対向する。第2可動接点13bは、可動部材6の移動に応じて、第2固定接点12aに接触又は第2固定接点12aから開離する。位置決め部13cは、左右方向における可動接触片13の中央に配置されている。位置決め部13cは、可動接触片13の前面から前方に突出する突起形状を有する。
【0033】
接点ばね14は、可動接触片13を接触方向に付勢する。接点ばね14は、位置決め部13cに位置決めされる。
【0034】
駆動装置5は、絶縁部材3と第1カバー21とによって形成される内部空間に配置されている。駆動装置5は、接点装置4及び可動部材6の上方に配置されている。駆動装置5は、絶縁部材3の上部に固着されている。駆動装置5は、可動部材6を介して第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片13を前後方向に移動させる。本実施形態では、駆動装置5は、可動部材6を接触方向に移動させる電磁力を発生させる。
【0035】
駆動装置5は、図1及び図3に示すように、コイル51と、ボビン52と、固定鉄心53と、ヨーク54と、可動鉄片55と、ヒンジばね56とを含む。コイル51は、ボビン52に巻回されている。ボビン52の軸線は、前後方向に延びている。固定鉄心53は、ボビン52内に配置されている。固定鉄心53の前後方向の両端は、ボビン52から突出している。ヨーク54は、L字状に屈曲した形状を有している。ヨーク54は、コイル51の上方とボビン52の後方とに配置されている。ヨーク54は、固定鉄心53の後端に接続されている。
【0036】
可動鉄片55は、ヨーク54の前端に連結されている。可動鉄片55は、ヒンジばね56を介してヨーク54に回動可能に支持されている。可動鉄片55は、ヨーク54の前端を支点として回動する。可動鉄片55は、固定鉄心53の前方に配置されている。可動鉄片55の下端は、可動部材6に連結されている。ヒンジばね56は、可動鉄片55を固定鉄心53から離れる方向に付勢する。
【0037】
可動部材6は、樹脂などの絶縁材で形成されている。可動部材6は、前後方向に延びている。可動部材6は、絶縁部材3の下方に配置されている。可動部材6は、第2カバー22の上部に載置されている。可動部材6は、第1固定端子11と第2固定端子12の間に配置されている。可動部材6は、可動接触片13を押圧可能である。可動部材6は、可動鉄片55の回動に伴い、可動鉄片55に押圧される。これにより、可動部材6は、前後方向に移動する
【0038】
図3及び図4に示すように、可動部材6は、本体部61と、カバー部62と、挿入孔63と、第1接触部64と、位置決め部65と、絶縁壁66とを含む。本体部61は、第1~第4接点組10dの可動接触片13及び接点ばね14がそれぞれ収容される4つの空間を有する。4つの空間は、前後方向に並んでいる。図3に示すように、カバー部62は、4つの空間の下方を塞ぐ。カバー部62は、例えば、スナップフィットにより本体部61に結合されている。挿入孔63、本体部61の前端上部に形成されている。挿入孔63は、上下方向に延びている。挿入孔63は、上方に向かって開口しており、可動鉄片55の下端が挿入される。挿入孔63は、絶縁部材3に形成される開口に配置されている。
【0039】
第1接触部64は、前後方向と交差する方向に延びている。第1接触部64は、復帰ばね7の前端が接触する。
【0040】
位置決め部65は、復帰ばね7の前端を位置決めする。位置決め部65は、第1接触部64の後面から後方に突出する突起形状を有する。
【0041】
絶縁壁66は、本体部61の上面から上方に突出している。絶縁壁66は、左右方向と交差する方向に延びている。絶縁壁66は、復帰ばね7の左右の側方を囲むように配置されている。絶縁壁66は、復帰ばね7と接点装置4との間を絶縁する。
【0042】
ここで、図3から図5に示すように、絶縁部材3は、区画壁31と、複数の位置決め凹部32と、第1端子固定部33と、第2端子固定部34と、第1絶縁壁35a~35dと、第2絶縁壁36a~36dと、開口部37と、第2接触部38、ガイド部39とを含む。
【0043】
区画壁31は、接点装置4と駆動装置5とを隔てる。区画壁31は、ケース2内において、接点装置4が配置される空間と駆動装置5が配置される空間とを区画する。区画壁31は、上下方向と交差する方向に延びている。
【0044】
図5に示すように、複数の位置決め凹部32は、区画壁31の上面に配置されている。複数の位置決め凹部32は、下方に凹む形状を有する。複数の位置決め凹部32は、ボビン52及びヨーク54を位置決めする。ボビン52及びヨーク54は、区画壁31に例えば、圧入固定されている。これにより、駆動装置5は、絶縁部材3に固着される。
【0045】
図6に示すように、第1端子固定部33及び第2端子固定部34は、区画壁31の下面から下方に延びている。第1端子固定部33及び第2端子固定部34は、上方に凹む形状を有する。第1端子固定部33は、第2端子固定部34と左右方向に離れている。第1固定端子11は、第1端子固定部33に圧入固定される。第2固定端子12は、第2端子固定部34に圧入固定される。第1端子固定部33及び第2端子固定部34は、複数の接点組10の数に対応して設けられる。
【0046】
第1絶縁壁35a~35d及び第2絶縁壁36a~36dは、区画壁31の下面から下方に延びている。第1絶縁壁35a~35d及び第2絶縁壁36a~36dは、前後方向と交差する方向に延びている。第1絶縁壁35a~35dは、第1端子固定部33に接続されている。第1絶縁壁35a~35dは、第1端子固定部33から下方に延びている。第1絶縁壁35a~35dは、第2絶縁壁36a~36dと左右方向に離れている。第2絶縁壁36a~36dは、第2端子固定部34に接続されている。第2絶縁壁36a~36dは、第2端子固定部34から下方に延びている可動部材6は、第1絶縁壁35a~35dと第2絶縁壁36a~36dの間に配置されている。
【0047】
第1絶縁壁35a~35c及び第2絶縁壁36a~36cは、複数の接点組10の間を絶縁する。第1絶縁壁35a及び第2絶縁壁36aは、第1接点組10aと第2接点組10bの間に配置される。第1絶縁壁35a及び第2絶縁壁36aは、第1接点組10aと第2接点組10bとの間を絶縁する。第1絶縁壁35b及び第2絶縁壁36bは、第2接点組10bと第3接点組10cの間に配置される。第1絶縁壁35b及び第2絶縁壁36bは、第2接点組10bと第3接点組10cとの間を絶縁する。第3絶縁壁35c及び第3絶縁壁36cは、第3接点組10cと第4接点組10dとの間に配置される。第3絶縁壁35c及び第3絶縁壁36cは、第3接点組10cと第4接点組10dとの間を絶縁する。第1絶縁壁35d及び第2絶縁壁36dは、第4接点組10dと後述する補助接点装置80の間に配置される。第1絶縁壁35d及び第2絶縁壁36dは、第4接点組10dと補助接点装置80の間を絶縁する。
【0048】
開口部37は、上方に向かって開口する。開口部37は、復帰ばね7が挿入される。開口部37は、区画壁31を上下方向に貫通して形成されている。
【0049】
第2接触部38は、区画壁31の下面から下方に突出している。第2接触部38は、前後方向と交差する方向に延びている。第2接触部38は、復帰ばね7の後端が接触する。
【0050】
ガイド部39は、可動部材6の前後方向の移動をガイドする。ガイド部39は、可動部材6の絶縁壁66の前後方向の移動をガイドする。ガイド部39は、区画壁31の下面に形成されている。ガイド部39は、前後方向に延びている。ガイド部39は、溝形状を有する。絶縁壁66は、ガイド部39の溝内に配置され、ガイド部39に対して摺動可能である。
【0051】
復帰ばね7は、可動部材6を開離方向に付勢する。復帰ばね7は、例えばコイルばねであり、上下方向において駆動装置5と可動部材6の間に配置される。復帰ばね7は、第1接触部64と第2接触部38の間に配置される。
【0052】
図2及び図3に示すように、電磁継電器1は、補助接点装置80をさらに備える。補助接点装置80は、接点装置4と前後方向に並ぶ。補助接点装置80は、接点装置4の後方に配置されている。補助接点装置80は、第1補助固定端子81と、第2補助固定端子82と、補助可動接触片83とを含む。
【0053】
第1補助固定端子81及び第2補助固定端子82は、絶縁部材3に支持されている。第1補助固定端子81は、第2補助固定端子82と左右方向に離れている。第2補助固定端子82は、補助固定接点82aを含む。補助固定接点82aは、第1補助固定端子81の前面に配置されている。
【0054】
補助可動接触片83は、板ばねで構成されている。補助可動接触片83は、左右方向に延びている。補助可動接触片83の一端は、第1補助固定端子81に固定されている。補助可動接触片83の他端は、自由端であり、補助固定接点82aの後方に配置されている。補助可動接触片83の他端は、補助固定接点82aと前後方向に対向する。
【0055】
補助可動接触片83は、補助可動接点83aを含む。補助可動接点83aは、補助可動接触片83の自由端に配置されている。補助可動接触片83の自由端は、可動部材6の移動に応じて可動部材6の押圧突起67に押圧される。これにより、補助可動接点83aは、補助固定接点82aに接触又は補助固定接点82aから開離する。
【0056】
本実施形態では、補助可動接点83aは、補助可動接触片83の自由端が押圧突起67に押圧されていない状態において、補助固定接点82aと接触する。一方、補助可動接点83aは、補助可動接触片83の自由端が押圧突起67に押圧された状態において、補助固定接点82aから開離する。
【0057】
図6から図8に示すように、絶縁部材3及び第2カバー22の一方は、絶縁部材3及び第2カバー22の他方に向かって突出する複数の凸部90を含む。絶縁部材3及び第2カバー22の他方は、複数の凸部90に固定される複数の凹部92を含む。本実施形態では、絶縁部材3は、複数の凸部90を含み、第2カバー22は、複数の凹部92を含む。
【0058】
複数の凸部90は、上下方向に延びている。複数の凸部90は、下方に向かって外径が小さくなる円錐台形状を有する。複数の凸部90は、第1絶縁壁35b,35c及び第2絶縁壁36b,36cのそれぞれに配置されている。複数の凸部90は、第1絶縁壁35b,35c及び第2絶縁壁36b,36cのそれぞれの下部から第2カバー22の底部22aに向かって上下方向に沿って突出する。複数の凸部90は、複数の凹部92に収容されている。本実施形態では、複数の凸部90は、複数の凹部92に圧入固定されている。複数の凸部90は、複数の凹部92の上方から複数の凹部92に挿入される。これにより、第2カバー22は、絶縁部材3に固定される。複数の凸部90の先端は、複数の凹部92から突出してもよい。複数の凸部90の先端は、接着剤収容部22c内に配置されてもよい。
【0059】
複数の凹部92は、複数の凸部90に対応して設けられる。複数の凹部92は、第2カバー22の底部22aを上下方向に貫通する貫通孔である。本実施形態では、複数の凹部92は、接着剤収容部22cを上下方向に貫通している。複数の凹部92は、下方に向かって外径が小さくなる円錐台形状を有する。
【0060】
次に、接点装置4、駆動装置5及び可動部材6の動作について説明する。コイル51に電圧が印加されていない状態では、ヒンジばね56及び復帰ばね7の弾性力によって可動部材6が開離方向に押圧されており、可動部材6は、図3に示す復帰位置に位置している。このとき、第1接点組10a~第4接点組10dのそれぞれにおいて、第1可動接点13aは、第1固定接点11aから開離しており、第2可動接点13bは、第2固定接点12aから開離している。
【0061】
コイル51に電圧が印加されて駆動装置5が励磁されると、可動鉄片55が固定鉄心53に吸引されて回動し、可動部材6が接触方向に押圧される。これにより、可動部材6が復帰ばね7の弾性力に抗して接触方向に移動する。可動部材6の接触方向の移動に伴い、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片13が接触方向に移動する。これにより、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれにおいて、第1可動接点13aは、第1固定接点11aに接触し、第2可動接点13bは、第2固定接点12aに接触する。コイル51の電圧の印加が停止されると、可動部材6は、ヒンジばね56及び復帰ばね7の弾性力によって開離方向に移動して復帰位置に戻る。
【0062】
この電磁継電器1では、駆動装置5に固着される絶縁部材3は、複数の凸部90と複数の凹部92とによって第2カバー22に固定される。これにより、接点装置4に対して駆動装置5を安定して組み付けることができるので、電磁継電器1の動作特性が安定する。また、絶縁部材3と第2カバー22とを強固に固定できるので、電磁継電器1の耐衝撃性や振動特性が向上する。
【0063】
複数の凸部90は、第1端子固定部33に接続される第1絶縁壁35b,35cと、第2端子固定部34に接続される及び第2絶縁壁36b,36cのそれぞれに配置されているので、接点装置4に対して駆動装置5をさらに安定して組み付けることができる。
【0064】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0065】
接点装置4の構成は変更されてもよい。接点装置4は、少なくとも1つの接点組を含んでいればよい。例えば、第2~第4接点組10b~10dは省略されてもよい。補助接点装置80は、省略されてもよい。接点装置4は、b接点の接点組を含んでもよい。第1固定端子11及び第2固定端子12は、第2カバー22に圧入固定されてもよい。可動接触片13が第1固定端子11及び第2固定端子12の後方に配置される電磁継電器に、本発明を適用してもよい
【0066】
複数の凸部90及び複数の凹部92の構成は、変更されてもよい。複数の凸部90及び複数の凹部92は、円柱形状、或いは、角柱形状であってもよい。複数の凸部90と複数の凹部92とがスナップフィット結合によって互いに固定される構成であってもよい。複数の凸部90及び複数の凹部92の配置は、変更されてもよい。複数の凸部90は、絶縁部材3において、第1絶縁壁35a~35d及び第2絶縁壁36a~36d以外の場所に配置されてもよい。
【0067】
複数の凹部92は、貫通孔でなくてもよい。複数の凸部90と複数の凹部92の配置が入れ替わってもよい。すなわち、絶縁部材3は、複数の凹部92を含み、第2カバー22は、複数の凸部90を含む構成であってもよい。例えば、前記実施形態において、第1絶縁壁35a~35d及び第2絶縁壁36a~36dに相当する構成を第2カバー22に配置して、第1絶縁壁35a~35d及び第2絶縁壁36a~36dに相当する第2カバー22の複数の絶縁壁に複数の凸部90を配置して、絶縁部材3の区画壁31に複数の凹部92を配置してもよい。
【0068】
絶縁部材3の第1端子固定部33及び第2端子固定部34は、省略されてもよい。この場合、図9に示すように、第1固定端子11は、第2カバー22の第1端子固定部25に圧入固定され、第2固定端子12は、第2カバー22の第2端子固定部26に圧入固定されてもよい。
【0069】
図9及び図10に示すように、絶縁部材3及び第2カバー22の一方は、可動接触片13の移動方向に突出する少なくとも1つの押圧突起94を含んでもよい。絶縁部材3及び第2カバー22の他方は、可動接触片13の移動方向(ここでは前後方向)において、少なくとも1つの押圧突起94によって絶縁部材3及び第2カバー22の一方に押し付けられて位置決めされる。図9及び図10に示す例では、第2カバー22は、第1押圧突起94aと第2押圧突起94bとを含む。少なくとも1つの押圧突起94は、リブ形状を有している。第1押圧突起94aと第2押圧突起94bは、第2カバー22の前壁内側から後方に突出している。第1押圧突起94a及び第2押圧突起94bは、第2カバー22の前壁と対向する絶縁部材3の第1対向部40aを後方に押圧する。これにより、第2カバー22の後壁と対向する絶縁部材3の第2対向部40bが第2カバー22の後壁に押し付けられて、前後方向において絶縁部材3が位置決めされる。第1押圧突起94aは、前後方向から見て、第1固定端子11と重なる。第2押圧突起94bは、前後方向から見て、第2固定端子12と重なる。なお、図9及び図10では、接点装置4の図示を省略している。
【0070】
絶縁部材3及び第2カバー22の一方が少なくとも1つの押圧突起94を含む場合は、図11に示すように、複数の凸部90及び複数の凹部92は、接着剤24を介して互いに固定されることが好ましい。図11に示す例では、複数の凸部90と複数の凹部92の間に接着剤24が充填されている。
【符号の説明】
【0071】
1 電磁継電器
22 第2カバー(カバーの一例)
3 絶縁部材
4 接点装置
5 駆動装置
90 複数の凸部
92 複数の凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11