IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電磁継電器 図1
  • 特開-電磁継電器 図2
  • 特開-電磁継電器 図3
  • 特開-電磁継電器 図4
  • 特開-電磁継電器 図5
  • 特開-電磁継電器 図6
  • 特開-電磁継電器 図7
  • 特開-電磁継電器 図8
  • 特開-電磁継電器 図9
  • 特開-電磁継電器 図10
  • 特開-電磁継電器 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155266
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/24 20060101AFI20241024BHJP
   H01H 50/04 20060101ALI20241024BHJP
   H01H 50/34 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01H50/24 Y
H01H50/04 N
H01H50/34 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069857
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】西田 剛
(72)【発明者】
【氏名】三宅 彩加
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘泰
(57)【要約】
【課題】電磁継電器において、ヒンジばねを容易にヨークに固定する。
【解決手段】電磁継電器は、固定端子と、可動接触片と、電磁石ブロックと、カバーとを備える。可動接触片は、固定端子と向かい合って配置される。電磁石ブロックは、可動接触片を移動させる。電磁石ブロックは、コイルと、ヨークと、ヒンジばねとを含む。ヨークは、コイルの上方に配置される。ヒンジばねは、板状であり、少なくとも一部がヨーク上に配置される。ヒンジばねは、ヨークに接続される。可動鉄片は、ヒンジばねを介してヨークに接続される。カバーは、電磁石ブロックを上方から覆う。カバーは、天面と第1突起とを含む。天面は、電磁石ブロックの上方に位置する。第1突起は、ヒンジばねに対向して天面から突出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端子と、
前記固定端子と向かい合って配置される可動接触片と、
コイルと、前記コイルの上方に配置されるヨークと、少なくとも一部が前記ヨーク上に配置され前記ヨークに接続される板状のヒンジばねと、前記ヒンジばねを介して前記ヨークに接続される可動鉄片と、を含み、前記可動接触片を、前記固定端子に向かう接触方向と、前記固定端子から離れる開離方向とに移動させる電磁石ブロックと、
前記電磁石ブロックの上方に位置する天面と、前記ヒンジばねに対向して前記天面から突出する第1突起を含み、前記電磁石ブロックを上方から覆うカバーと、
を備える電磁継電器。
【請求項2】
前記カバーは、前記ヨークに接触して前記ヨークを押圧するように前記天面から突出する第2突起をさらに含む、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記カバーは、
前記天面から下方に延びる第1側面と、
前記天面から下方に延び、前記第1側面の反対に位置する第2側面と、
前記天面から突出し、前記第1側面から前記第2側面まで延びる連結凸部と、
を含み、
前記第1突起と前記第2突起とは、前記第1凸壁によって互いに連結されている、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記カバーは、
前記天面から下方に延びる第3側面と、
前記天面から下方に延び、前記第3側面の反対に位置する第4側面と、
前記天面から突出し、前記第3側面から前記第4側面まで延びる補強凸部と、
を含み、
前記第1突起は、前記補強凸部に接続されている、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記第1突起は、先細りの形状を有する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記第1突起は、前記ヒンジばねに接触して前記ヒンジばねを前記ヨークに向けて押圧するように前記天面から突出する、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記ヒンジばねは、孔を含み、
前記ヨークは、上方に突出する係止突起を含み、
前記係止突起は、前記孔内に配置され、前記ヒンジばねに係止している、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記孔は、前記係止突起よりも大きい、
請求項7に記載の電磁継電器。
【請求項9】
前記第1突起は、前記ヒンジばねから間隔をおいて配置される、
請求項7に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器には、磁力により可動接触片を動作させる電磁石ブロックを備えるものがある。例えば、特許文献1の電磁継電器では、電磁石ブロックは、コイルと、ヨークと、可動鉄片と、ヒンジばねとを備えている。ヨークは、コイルの上方に配置されている。可動鉄片は、コイルの側方に配置されている。ヒンジばねは、ヨークと可動鉄片とに接続されている。ヒンジばねは、コイルから離れる方向に可動鉄片を付勢している。コイルは、通電されることで、可動鉄片を吸着する方向への磁力を発生させる。コイルへの通電が停止されることで、可動鉄片は、ヒンジばねの付勢力により、コイルから離れる方向へ移動する。この可動鉄片の動作に応じて可動接触片が動作することで、電磁継電器の接点が開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3357922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ヒンジばねは、カシメによってヨークに固定されている。しかし、その場合、電磁継電器の製造工程が煩雑となる。本発明の目的は、電磁継電器において、ヒンジばねを容易にヨークに固定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様にかかる電磁継電器は、固定端子と、可動接触片と、電磁石ブロックと、カバーとを備える。可動接触片は、固定端子と向かい合って配置される。電磁石ブロックは、可動接触片を、固定端子に向かう接触方向と、固定端子から離れる開離方向とに移動させる。電磁石ブロックは、コイルと、ヨークと、ヒンジばねとを含む。ヨークは、コイルの上方に配置される。ヒンジばねは、板状であり、少なくとも一部がヨーク上に配置される。ヒンジばねは、ヨークに接続される。可動鉄片は、ヒンジばねを介してヨークに接続される。カバーは、電磁石ブロックを上方から覆う。カバーは、天面と第1突起とを含む。天面は、電磁石ブロックの上方に位置する。第1突起は、ヒンジばねに対向して天面から突出する。
【0006】
本態様に係る電磁継電器では、ヒンジばねは、ヨークにカシメられなくても、第1突起によって容易にヨークに固定される。
【0007】
カバーは、第2突起をさらに含んでもよい。第2突起は、ヨークに接触してヨークを押圧するように天面から突出していてもよい。この場合、第2突起がヨークを介して電磁石ブロックを押圧する。それにより、電磁継電器において、電磁石ブロックが安定的に固定される。
【0008】
カバーは、第1側面と、第2側面と、連結凸部とを含んでもよい。第1側面は、天面から下方に延びていてもよい。第2側面は、天面から下方に延びていてもよい。第2側面は、第1側面の反対に位置してもよい。連結凸部は、天面から突出していてもよい。連結凸部は、第1側面から第2側面まで延びていてもよい。第1突起と第2突起とは、第1凸壁によって互いに連結されていてもよい。この場合、連結凸部によって、第1突起と第2突起との変位が抑えられる。それにより、電磁継電器において、電磁石ブロックとヒンジばねとがさらに安定的に固定される。
【0009】
カバーは、第3側面と、第4側面と、補強凸部とを含んでもよい。第3側面は、天面から下方に延びていてもよい。第4側面は、天面から下方に延びていてもよい。第4側面は、第3側面の反対に位置してもよい。補強凸部は、天面から突出していてもよい。補強凸部は、第3側面から第4側面まで延びていてもよい。第1突起は、補強凸部に接続されていてもよい。この場合、補強凸部によって、第1突起の変位が抑えられる。それにより、電磁継電器において、電磁石ブロックとヒンジばねとがさらに安定的に固定される。
【0010】
第1突起は、先細りの形状を有してもよい。この場合、第1突起の根本が大きいことで、第1突起の剛性が向上する。また、第1突起の先端が小さいことで、第1突起はヒンジばねに安定的に接触することができる。
【0011】
第1突起は、ヒンジばねに接触してヒンジばねをヨークに向けて押圧するように天面から突出する。この場合、電磁石ブロックとヒンジばねとがさらに安定的に固定される。
【0012】
ヒンジばねは、ヨーク上に位置する孔を含んでもよい。ヨークは、上方に突出する係止突起を含んでもよい。係止突起は、孔内に配置され、ヒンジばねに係止していてもよい。この場合、ヒンジばねのヨークへの取付が容易である。孔は、係止突起よりも大きくてもよい。この場合、ヒンジばねのヨークへの取付が容易である。第1突起は、ヒンジばねから間隔をおいて配置されてもよい。この場合、ヒンジばねが上方に移動しても、第1突起がヒンジばねに接触することで、係止突起の孔からの脱落が防止される。それによい、ヒンジばねがさらに安定的に固定される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電磁継電器において、ヒンジばねが容易にヨークに固定される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電磁継電器の斜視図である。
図2】ケースが省略された電磁継電器の斜視図である。
図3】電磁継電器の断面図である。
図4】接点装置及び可動部材の斜視図である。
図5】ケースが省略された電磁継電器の上面図である。
図6】電磁石ブロックの一部の拡大上面図である。
図7】電磁石ブロックの一部の拡大上面図である。
図8】第1カバーの斜視図である。
図9】第1カバーの底面図である。
図10】第1突起の拡大断面図である。
図11】変形例に係る第1突起の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一態様に係る電磁継電器1の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面を参照するときにおいて、矢印X1,X2が示す方向を前後方向、矢印Y1,Y2が示す方向を左右方向、矢印Z1,Z2が示す方向を上下方向として説明する。また、矢印X1が示す方向を前方、矢印X2が示す方向を後方、矢印Y1が示す方向を左方、矢印Y2が示す方向を右方、矢印Z1が示す方向を上方、矢印Z2が示す方向を下方として説明する。これらの方向は、説明の便宜上、定義されるものであって、電磁継電器1の配置方向を限定するものではない。
【0016】
図1から図4に示すように、電磁継電器1は、ケース2と、絶縁部材3と、接点装置4と、電磁石ブロック5と、可動部材6と、復帰ばね7とを備えている。ケース2は、例えば樹脂などの絶縁材で形成されている。ケース2は、第1カバー21と、第2カバー22とを含む。第1カバー21は、略四角形の箱型であり下方に向かって開口している。第1カバー21は、絶縁部材3の上方に配置されている。第1カバー21は、電磁石ブロック5を上方から覆う。
【0017】
第1カバー21は、例えば、スナップフィットにより絶縁部材3に結合されている。図1及び図2に示すように、第1カバー21は、固定孔23,24を含む。絶縁部材3は、固定突起25,26を含む。固定突起25,26が固定孔23,24に係止することで、第1カバー21は、絶縁部材3に固定される。なお、図2において、第2カバー21は、図示が省略されている。
【0018】
第2カバー22は、略四角形の箱型であり上方に向かって開口している。第2カバー22は、絶縁部材3の下方に配置されている。第2カバー22は、例えば、スナップフィットにより絶縁部材3に結合されている。
【0019】
絶縁部材3は、例えば樹脂などの絶縁材で形成されている。絶縁部材3は、接点装置4と電磁石ブロック5とを隔てる。絶縁部材3は、接点装置4と電磁石ブロック5との間に配置されている。絶縁部材3は、接点装置4と電磁石ブロック5との間を絶縁する。絶縁部材3は、ケース2内において、接点装置4が配置される空間と電磁石ブロック5が配置される空間とを区画する。
【0020】
接点装置4は、第2カバー22と絶縁部材3とによって形成される内部空間に配置されている。接点装置4は、複数の接点組10を含む。本実施形態では、接点装置4は、第1~第4接点組10a~10dの4つの接点組10を含む。第1~第4接点組10a~10dは、前後方向に互いに並んで配置されている。
【0021】
第1~第4接点組10a~10dは、互いに同様に構成を有している。第1~第4接点組10a~10dのそれぞれは、第1固定端子11と、第2固定端子12と、可動接触片13と接点ばね14とを含む。ここでは、第1接点組10aの第1固定端子11、第2固定端子12、可動接触片13及び接点ばね14の詳細についてのみ説明する。また、図4において、第2~第4接点組10b~10dにおける第1接点組10aと同じ構成要素の符号は省略する。
【0022】
第1固定端子11は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第1固定端子11は、絶縁部材3に支持されている。第1固定端子11は、例えば、絶縁部材3に圧入固定されている。
【0023】
第1固定端子11は、第1固定接点11aと、第1外部接続部11bを含む。第1固定接点11aは、第1固定端子11の前面に配置されている。第1外部接続部11bは、第2カバー22から下方に突出する。
【0024】
第2固定端子12は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。第2固定端子12は、絶縁部材3に支持されている。第2固定端子12は、例えば、絶縁部材3に圧入固定されている。第2固定端子12は、第1固定端子11と左右方向に離れて配置されている。
【0025】
第2固定端子12は、第2固定接点12aと、第2外部接続部12bを含む。第2固定接点12aは、第2固定端子12の前面に配置されている。第2外部接続部12bは、第2カバー22から下方に突出する。
【0026】
可動接触片13は、板状の端子であり、導電性を有する材料で形成されている。可動接触片13は、左右方向に延びている。可動接触片13は、第1固定端子11と第2固定端子12とに向かい合って配置される。可動接触片13は、第1固定接点11a及び第2固定接点12aの前方に配置されており、第1固定接点11a及び第2固定接点12aと前後方向に対向する。可動接触片13は、前後方向において、接点ばね14を介して可動部材6に接続されている。可動接触片13は、可動部材6に対して前後方向に相対移動可能に配置されている。
【0027】
可動接触片13は、前後方向に移動可能に構成される。可動接触片13は、第1可動接点13aから第1固定接点11aに向かう接触方向と、接触方向と反対の開離方向とに移動可能に構成される。本実施形態において、接触方向は、後方に対応し、開離方向は、前方に対応する。
【0028】
可動接触片13は、第1可動接点13aと第2可動接点13bとを含む。第1可動接点13aは、第1固定接点11aと前後方向に対向する。第1可動接点13aは、可動部材6の移動に応じて、第1固定接点11aに接触又は第1固定接点11aから開離する。第2可動接点13bは、第2固定接点12aと前後方向に対向する。第2可動接点13bは、可動部材6の移動に応じて、第2固定接点12aに接触又は第2固定接点12aから開離する。接点ばね14は、可動接触片13を接触方向に付勢する。
【0029】
電磁石ブロック5は、絶縁部材3と第1カバー21とによって形成される内部空間に配置されている。電磁石ブロック5は、接点装置4及び可動部材6の上方に配置されている。電磁石ブロック5は、絶縁部材3の上部に載置されている。電磁石ブロック5は、可動部材6を介して第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片13を前後方向に移動させる。本実施形態では、電磁石ブロック5は、可動部材6を接触方向に移動させる電磁力を発生させる。
【0030】
電磁石ブロック5は、図2及び図3に示すように、コイル51と、ボビン52と、固定鉄心53と、ヨーク54と、可動鉄片55と、ヒンジばね56とを含む。コイル51は、ボビン52に巻回されている。ボビン52の軸線は、前後方向に延びている。固定鉄心53は、ボビン52内に配置されている。固定鉄心53の前後方向の両端は、ボビン52から突出している。
【0031】
ヨーク54は、L字状に屈曲した形状を有している。ヨーク54は、第1ヨーク部57と第2ヨーク部58とを含む。ヨーク54は、第1ヨーク部57と第2ヨーク部58との間で屈曲している。第1ヨーク部57は、コイル51の上方に配置されている。第2ヨーク部58は、コイル51の後方に配置されている。第2ヨーク部58は、固定鉄心53の後端に接続されている。
【0032】
可動鉄片55は、ヨーク54の前端に連結されている。可動鉄片55は、ヒンジばね56を介してヨーク54に回動可能に接続されている。可動鉄片55は、ヨーク54の前端を支点として回動する。可動鉄片55は、固定鉄心53の前方に配置されている。可動鉄片55の下端は、可動部材6に連結されている。
【0033】
ヒンジばね56は、ヨーク54と可動鉄片55とに接続される。ヒンジばね56は、屈曲した板状の形状を有する。ヒンジばね56は、可動鉄片55を、固定鉄心53から離れる方向に付勢する。図5に示すように、ヒンジばね56は、鉄片固定部65と、連結部66と、ヨーク係止部67とを含む。鉄片固定部65は、可動鉄片55に固定される。例えば、鉄片固定部65は、カシメにより、可動鉄片55に固定される。連結部66は、第1ヨーク部57上に配置されている。連結部66は、鉄片固定部65とヨーク係止部67との間に位置しており、鉄片固定部65とヨーク係止部67とを連結している。
【0034】
ヨーク係止部67は、第1ヨーク部57上に配置されている。ヨーク係止部67は、第1ヨーク部57に係止する。ヨーク係止部67は、第1孔68と第2孔69とを含む。第1孔68と第2孔69とは、左右方向に互いに離れて配置されている。第1ヨーク部57は、第1係止突起71と第2係止突起72とを含む。第1係止突起71と第2係止突起72とは、上方に向かって突出している。第1係止突起71は、第1孔68内に配置され、ヒンジばね56に係止している。第2係止突起72は、第2孔69内に配置され、ヒンジばね56に係止している。図6に示すように、第1孔68は、第1係止突起71よりも大きい。第1孔68は、第1係止突起71よりも大きい直径を有する。図7に示すように、第2孔69は、第2係止突起72よりも大きい。第2孔69は、第2係止突起72よりも大きい直径を有する。
【0035】
可動部材6は、樹脂などの絶縁材で形成されている。図3及び図4に示すように、可動部材6は、前後方向に延びている。可動部材6は、第2カバー22と絶縁部材3とによって形成される内部空間に配置されている。可動部材6は、絶縁部材3の下方に配置されている。可動部材6は、第2カバー22の上部に載置されている。可動部材6は、第1固定端子11と第2固定端子12の間に配置されている。可動部材6は、可動接触片13を押圧可能である。可動部材6は、可動鉄片55の回動に伴い、可動鉄片55に押圧される。これにより、可動部材6は、前後方向に移動する。
【0036】
可動部材6は、本体部61と、カバー部62と、挿入孔63と、第1接触部64とを含む。本体部61は、第1~第4接点組10a-10dの可動接触片13及び接点ばね14がそれぞれ収容される4つの空間を有する。4つの空間は、前後方向に並んでいる。図3に示すように、カバー部62は、4つの空間の下方を塞ぐ。カバー部62は、例えば、スナップフィットにより本体部61に結合されている。挿入孔63は、本体部61の前端上部に形成されている。挿入孔63は、上下方向に延びている。挿入孔63は、上方に向かって開口しており、可動鉄片55の下端が挿入される。挿入孔63は、絶縁部材3に形成される開口に配置されている。
【0037】
第1接触部64は、本体部61の上部に形成されている。第1接触部64は、本体部61の上面から上方に突出している。第1接触部64は、復帰ばね7の第1端が接触する。本実施形態では、第1接触部64は、復帰ばね7の前端が接触する。
【0038】
絶縁部材3は、区画壁31と、開口部37と、第2接触部38とを含む。区画壁31は、接点装置4と電磁石ブロック5とを隔てる。区画壁31は、ケース2内において、接点装置4が配置される空間と電磁石ブロック5が配置される空間とを区画する。区画壁31は、上下方向と交差する方向に延びている。開口部37は、上方に向かって開口する。開口部37には、復帰ばね7が挿入される。
【0039】
第2接触部38は、区画壁31の下面から下方に突出している。第2接触部38は、前後方向と交差する方向に延びている。第2接触部38は、第1接触部64の後方に配置され、第1接触部64と前後方向に対向する。第2接触部38は、復帰ばね7の第2端が接触する。本実施形態では、第2接触部38は、復帰ばね7の後端が接触する。
【0040】
復帰ばね7は、可動部材6を開離方向に付勢する。復帰ばね7は、例えばコイルばねであり、上下方向において電磁石ブロック5と可動部材6の間に配置される。復帰ばね7は、第1接触部64と第2接触部38の間に配置される。
【0041】
次に、接点装置4、電磁石ブロック5及び可動部材6の動作について説明する。コイル51に電圧が印加されていない状態では、ヒンジばね56及び復帰ばね7の弾性力によって可動部材6が開離方向に押圧されており、可動部材6は、図3に示す復帰位置に位置している。このとき、第1接点組10a~第4接点組10dのそれぞれにおいて、第1可動接点13aは、第1固定接点11aから開離しており、第2可動接点13bは、第2固定接点12aから開離している。
【0042】
コイル51に電圧が印加されて電磁石ブロック5が励磁されると、可動鉄片55が固定鉄心53に吸引されて回動し、可動部材6が接触方向に押圧される。これにより、可動部材6が復帰ばね7の弾性力に抗して接触方向に移動する。可動部材6の接触方向の移動に伴い、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれの可動接触片13が接触方向に移動する。これにより、第1~第4接点組10a~10dのそれぞれにおいて、第1可動接点13aは、第1固定接点11aに接触し、第2可動接点13bは、第2固定接点12aに接触する。コイル51の電圧の印加が停止されると、可動部材6は、ヒンジばね56及び復帰ばね7の弾性力によって開離方向に移動して復帰位置に戻る。
【0043】
次に、電磁継電器1における電磁石ブロック5の固定構造について説明する。図8に示すように、第1カバー21は、天面32と、第1側面33と、第2側面34と、第3側面35と、第4側面36とを含む。第1~第4側面32-36は、天面32から下方に延びている。第1側面33と第2側面34とは、前後方向に互いに配置されて配置されている。第3側面35と第4側面36とは、左右方向に互いに離れて配置されている。図3に示すように、天面32は、電磁石ブロック5の上方に配置される。
【0044】
図8及び図9に示すように、第1カバー21は、第1突起41と、第2突起42と、第3突起43と、第4突起44とを含む。第1突起41と、第2突起42と、第3突起43と、第4突起44とは、天面32から下方に突出している。図5において、二点鎖線は、第1~第4突起41-44の位置を示している。図5に示すように、第1突起41は、ヒンジばね56の上方に配置される。上面視で、第1突起41は、ヒンジばね56と重なる。第1突起41は、ヒンジばね56に接触してヒンジばね56をヨーク54に向けて押圧する。詳細には、第1突起41は、ヨーク係止部67に接触して、ヨーク係止部67を押圧する。
【0045】
第2突起42は、第1突起41から前後方向に離れて配置される。第2突起42は、ヒンジばね56から前後方向に離れて配置される。第2突起42は、第1ヨーク部57において、ヒンジばね56が配置されていない部分の上方に配置される。第2突起42は、第1ヨーク部57に接触して第1ヨーク部57を押圧する。
【0046】
第3突起43と第4突起44とは、第1ヨーク部57において、ヒンジばね56が配置されていない部分の上方に配置される。第3突起43と第4突起44とは、第1突起41から前後方向に離れて配置される。第3突起43と第4突起44とは、第1突起41から左右方向に離れて配置される。第3突起43と第4突起44とは、ヒンジばね56から左右方向に離れて配置される。第3突起43と第4突起44は、第1ヨーク部57に接触して第1ヨーク部57を押圧する。
【0047】
図10に示すように、第1突起41は、基部45と先端部46とを含む。基部45は、天面32に接続されている。先端部46は、基部45から下方に突出している。先端部46は、基部45よりも小さな外径を有する。先端部46は、先細りの形状を有する。第2~第4突起42-44は、第1突起41と同様の形状を有する。
【0048】
図8及び図9に示すように、第1カバー21は、第1連結凸部73と第2連結凸部74とを含む。第1連結凸部73と第2連結凸部74とは、天面32から下方に突出している。第1連結凸部73は、第1側面33から第2側面34まで延びている。第2連結凸部74は、第3側面35から第4側面36まで延びている。第1連結凸部73と第2連結凸部74とは、互いに交差している。第1突起41と第2突起42とは、第1連結凸部73によって互いに連結されている。第3突起43と第4突起44とは、第2連結凸部74によって互いに連結されている。
【0049】
第1カバー21は、第1補強凸部75と第2補強凸部76とを含む。第1補強凸部75と第2補強凸部76とは、天面32から下方に突出している。第1補強凸部75と第2補強凸部76とは、それぞれ第3側面35から第4側面36まで延びている。第1補強凸部75と第2補強凸部76とは、第1連結凸部73に交差している。第1補強凸部75と第2補強凸部76とは、前後方向に互いに離れて配置されている。第1突起41は、第1補強凸部75に接続されている。第2突起42は、第2補強凸部76に接続されている。
【0050】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1では、第1突起41が、ヒンジばね56に接触してヒンジばね56をヨーク54に向けて押圧する。従って、ヒンジばね56は、ヨーク54にカシメられることなく、容易にヨーク54に固定される。また、第1突起41は、ヒンジばね56を介して電磁石ブロック5を区画壁31に向かって押圧する。第2~第4突起42-44は、ヨーク54を介して電磁石ブロック5を区画壁31に向かって押圧する。それにより、電磁継電器1において、電磁石ブロック5が安定的に固定される。
【0051】
以上、本発明の一態様に係る電磁継電器の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0052】
接点装置4の構成は変更されてもよい。接点装置4は、少なくとも1つの接点組を含んでいればよい。例えば、第2~第4接点組10b~10dは省略されてもよい。接点装置4は、b接点の接点組を含んでもよい。第1固定端子11及び第2固定端子12は、第2カバー22に圧入固定されてもよい。
【0053】
電磁石ブロック5の構成は変更されてもよい。電磁石ブロック5は、接点装置4の前後方向、或いは左右方向に配置されてもよい。ヒンジばね56の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、ヨーク固定部と連結部66とは、直線状の形状を有してもよい。第1~第4突起41-44の配置は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。突起の数は、4つより少なくてもよく、或いは4つより多くてもよい。
【0054】
図11は、変形例に係る第1突起41の拡大断面図である。第1突起41は、ヒンジばね56から微小な間隔をおいて配置されてもよい。第1突起41とヒンジばね56との間の距離D1は、例えば、ヒンジばね56の板厚より小さくてもよい。それにより、ヒンジばね56が上方に移動しても、係止突起71の孔68からの脱落が防止される。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、電磁継電器において、ヒンジばねが容易にヨークに固定される。
【符号の説明】
【0056】
5:電磁石ブロック
11:固定端子
13:可動接触片
21:第1カバー
32:天面
33:第1側面
34:第2側面
35:第3側面
36:第4側面
41:第1突起
42:第2突起
51:コイル
54:ヨーク
55:可動鉄片
56:ヒンジばね
68:孔
71:係止突起
73:連結凸部
75:補強凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11