(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155275
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ハンマーグラブ用ソケット
(51)【国際特許分類】
E21B 11/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
E21B11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069877
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】502347146
【氏名又は名称】株式会社郡産業
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】郡 修三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義孝
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 元二
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB16
2D129BA03
2D129BB03
2D129EB14
2D129HB12
(57)【要約】
【課題】ソケット本体部とピンとを備えて構成されているハンマーグラブ用ソケットにおいて、ピンの交換が容易であるとともに、安価に制作することができるものを提供することを目的とする。
【解決手段】ハンマーグラブ303に使用されるハンマーグラブ用ソケット1であって、凹部7と凹部7を間にした一方の側の部位13に設けられている第1の孔9と凹部7を間にした他方の側の部位15に設けられている第2の孔11とが設けられているソケット本体部3と、ソケット本体部3から離れソケット本体部3に対して所定の姿勢および所定の位置になっている設置前の準備完了状態から、第1の孔9の中心軸の延伸方向に直線的に移動するだけで第1の孔9と第2の孔11とに嵌合されるピン5とを有するハンマーグラブ用ソケット1である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削で用いられるハンマーグラブに使用されるハンマーグラブ用ソケットであって、
凹部と、この凹部を間にした一方の側の部位に設けられている第1の孔と、前記凹部を間にした他方の側の部位に設けられている第2の孔とが設けられているソケット本体部と、
前記ソケット本体部から離れ前記ソケット本体部に対して所定の姿勢および所定の位置になっている設置前の準備完了状態から、前記第1の孔の中心軸の延伸方向に直線的に移動するだけで前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合されるピンと、
を有するハンマーグラブ用ソケット。
【請求項2】
前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合されている状態で、前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とから抜け出てしまうことを止める抜け止め部を有する請求項1に記載のハンマーグラブ用ソケット。
【請求項3】
前記第1の孔は、貫通孔になっており、
前記第2の孔は、前記凹部側が開口している止まり孔となっており、
前記抜け止め部は、抜け止め材を備えて構成されており、
前記ソケット本体部の一方の側の部位の、前記凹部とは反対側の箇所には、前記抜け止め材が嵌まり込む凹部である抜け止め材用凹部が設けられており、
前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合され、前記抜け止め材が前記抜け止め材用凹部に嵌まり込んでいる状態で、前記ピンが前記抜け止め材に係合している請求項2に記載のハンマーグラブ用ソケット。
【請求項4】
前記ソケット本体部の第1の孔は貫通孔であり、
前記ソケット本体部の第2の孔も貫通孔であり、
前記抜け止め部は、第1の抜け止め材と第2の抜け止め材とを備えて構成されており、
前記ソケット本体部の一方の側の部位の、前記凹部とは反対側の箇所には、前記第1の抜け止め材が嵌まり込む凹部である第1の抜け止め材用凹部が設けられており、
前記ソケット本体部の他方の側の部位の、前記凹部とは反対側の箇所には、前記第2の抜け止め材が嵌まり込む凹部である第2の抜け止め材用凹部が設けられており、
前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合され、前記第1の抜け止め材が前記第1の抜け止め材用凹部に嵌まり込んでおり、前記第2の抜け止め材が前記第2の抜け止め材用凹部に嵌まり込んでいる状態で、前記ピンが前記第1の抜け止め材と前記第2の抜け止め材とに係合している請求項2に記載のハンマーグラブ用ソケット。
【請求項5】
前記抜け止め部は、前記ソケット本体部にくっついており、前記ソケット本体部に対して移動できる態様、前記ソケット本体部にくっついており、前記ソケット本体部に対して回動することができる態様の少なくともいずれかの態様で、前記ソケット本体部に支持されている抜け止め材を備えて構成されており、
前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合されている状態で、前記ソケット本体部に対して前記抜け止め材が、前記移動、前記回動の少なくともいずれかをすることで、前記ピンが前記抜け止め材に係合するように構成されている請求項2に記載のハンマーグラブ用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンマーグラブ用ソケットに係り、特に、ハンマーグラブの吊り下げに使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図12、13で示すようなハンマーグラブ用ソケット301が知られている。ハンマーグラブ303は、ハンマーグラブ用ソケット301と鎖305とを用いて、クレーン(図示せず)で吊り下げられ、使用されるようになっている。
【0003】
図12を参照しつつさらに説明すると、従来のハンマーグラブ用ソケット301は、ソケット本体部307とネジ式ピン309とを備えて構成されている。ソケット本体部307にネジ式ピン309が設置されたことで、ソケット本体部307の中央に設けられている凹部311で、ネジ式ピン309が露出している。鎖305は、ネジ式ピン309の、凹部311で露出している部位にかけられている。ここで、従来の技術に関する文献として特許文献1を掲げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のハンマーグラブ用ソケット301では、ネジ式ピン309が採用されている。このために、ネジ式ピン309を交換する場合に手数がかかってしまい、また、ハンマーグラブ用ソケット301の制作費が高くなってしまう。
【0006】
本発明は、ソケット本体部とピンとを備えて構成されているハンマーグラブ用ソケットにおいて、ピンの交換が容易であるとともに、安価に制作することができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係るハンマーグラブ用ソケットは、掘削で用いられるハンマーグラブに使用されるハンマーグラブ用ソケットであって、凹部とこの凹部を間にした一方の側の部位に設けられている第1の孔と前記凹部を間にした他方の側の部位に設けられている第2の孔とが設けられているソケット本体部と、前記ソケット本体部から離れ前記ソケット本体部に対して所定の姿勢および所定の位置になっている設置前の準備完了状態から前記第1の孔の中心軸の延伸方向に直線的に移動するだけで前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合されるピンとを有するハンマーグラブ用ソケットである。
【0008】
また、本発明の態様に係るハンマーグラブ用ソケットは、前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合されている状態で、前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とから抜け出てしまうことを止める抜け止め部を有する。
【0009】
また、本発明の態様に係るハンマーグラブ用ソケットでは、前記第1の孔が、貫通孔になっており、前記第2の孔が、前記凹部側が開口している止まり孔となっており、前記抜け止め部が、抜け止め材を備えて構成されており、前記ソケット本体部の一方の側の部位の、前記凹部とは反対側の箇所には、前記抜け止め材が嵌まり込む凹部である抜け止め材用凹部が設けられており、前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合され、前記抜け止め材が前記抜け止め材用凹部に嵌まり込んでいる状態で、前記ピンが前記抜け止め材に係合している。
【0010】
また、本発明の態様に係るハンマーグラブ用ソケットでは、前記ソケット本体部の第1の孔が貫通孔であり、前記ソケット本体部の第2の孔も貫通孔であり、前記抜け止め部が、第1の抜け止め材と第2の抜け止め材とを備えて構成されており、前記ソケット本体部の一方の側の部位の、前記凹部とは反対側の箇所に、前記抜け止め材が嵌まり込む凹部である第1の抜け止め材用凹部が設けられており、前記ソケット本体部の他方の側の部位の、前記凹部とは反対側の箇所に前記抜け止め材が嵌まり込む凹部である第2の抜け止め材用凹部が設けられており、前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合され、前記第1の抜け止め材が前記第1の前記第1の抜け止め材用凹部に嵌まり込んでおり、前記第2の抜け止め材が前記第2の前記第1の抜け止め材用凹部に嵌まり込んでいる状態で、前記ピンが前記第1の抜け止め材と前記第2の抜け止め材とに係合している。
【0011】
また、本発明の態様に係るハンマーグラブ用ソケットは、前記抜け止め部が、前記ソケット本体部に対して移動できる態様、前記ソケット本体部に対して回動することができる態様の少なくともいずれかの態様で、前記ソケット本体部に支持されている抜け止め材を備えて構成されており、前記ピンが前記第1の孔と前記第2の孔とに嵌合されている状態で、前記ソケット本体部に対して前記抜け止め材が、前記移動、前記回動の少なくともいずれかをすることで、前記ピンが前記抜け止め材に係合するように構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ソケット本体部とピンとを備えて構成されているハンマーグラブ用ソケットにおいて、ピンの交換が容易であるとともに、安価に制作することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係るハンマーグラブ用ソケットを示す図であって、
図12(b)に相当する図である。
【
図2】
図1におけるII矢視図であって、
図12(a)に相当する図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るハンマーグラブ用ソケットのソケット本体部を示す図であって、(b)は(a)におけるIIIB矢視図であり、(c)は(a)におけるIIIC矢視図であり、(d)は(a)におけるIIID矢視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るハンマーグラブ用ソケットのピンを示す図であって、(b)は(a)におけるIVB矢視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るハンマーグラブ用ソケットの抜け止め材を示す図であって、(b)は(a)におけるVB矢視図である。
【
図6】1つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケットを示す図であって、(b)は(a)におけるVIB矢視図であり、(c)は(a)におけるVIC矢視図である。
【
図7】1つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケットのピンを示す図であって、(b)は(a)におけるVIIB矢視図である。
【
図8】1つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケットのソケット本体部を示す図であって、(b)は(a)におけるVIIIB矢視図であり、(c)は(a)におけるVIIIC矢視図である。
【
図9】1つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケットの抜け止め材を示す図であって、(b)は(a)におけるIXB矢視図である。
【
図10】2つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケットを示す図あって、
図1に相当する図である。
【
図11】3つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケットを示す図あって、
図2に相当する図である。
【
図12】従来のハンマーグラブ用ソケットを示す図であって、(a)は
図13におけるXIIA部の拡大図であり、(b)は(a)におけるXIIB矢視図である。
【
図13】従来のハンマーグラブ用ソケットの使用態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明実施形態に係るハンマーグラブ用ソケット(ハンマーグラブ吊り下げ用ソケット)1は、従来のハンマーグラブ用ソケット301と同じようにして、掘削で用いられるハンマーグラブ303に使用されるものである。さらに具体的は、ハンマーグラブ用ソケット1は、全周回転オールケーシング工法での掘削で用いられるハンマーグラブ303の吊り下げに使用されるものである。ハンマーグラブ用ソケット1は、たとえば、鋼等の金属で構成されている。
【0015】
ここで説明の便宜のために、水平な所定の一方向をX方向(左右方向)とし、水平な所定の他の一方向であってX方向に対して直交する方向をY方向(前後方向)とし、X方向とY方向とに対して直交する方向をZ方向(上下方向)とする。
【0016】
ハンマーグラブ用ソケット1は、
図1~
図5で示すように、ソケット本体部3とピン5とを備えて構成されている。ソケット本体部3には、凹部7と第1の孔9と第2の孔11とが設けられている。
【0017】
第1の孔9は、凹部7を間にした一方の側(
図2で左側)の部位13に設けられている。第2の孔11は、凹部7を間にした他方の側(
図2で右側)の部位15に設けられている。
【0018】
第1の孔9、第2の孔11について、例を掲げ
図2を参照しつつ詳しく説明する。第1の孔9は、円柱状に形成されており、ソケット本体部3の一方の側の部位13を貫通しており、中心軸が左右方向に延びている。第2の孔11も、円柱状に形成されており、中心軸が左右方向に延びている。第2の孔11は、他方の側の部位15で、凹部7側が開口している止まり孔となっている。第1の孔9の中心軸と第2の孔11の中心軸とは、互いに一致しており、第1の孔9の内径の値と第2の孔11の内径の値とは、互いが等しくなっている。
【0019】
ピン5は、設置前の準備完了状態から第1の孔9の中心軸の延伸方向および第2の孔11の中心軸の延伸方向に直線的に移動するだけで第1の孔9と第2の孔11とに嵌合されソケット本体部3に設置されるようになっている。設置前の準備完了状態では、ピン5が、ソケット本体部3から離れており、ソケット本体部3に対して所定の姿勢および所定の位置になっている。
【0020】
ここで、例を掲げてさらに詳しく説明する。ピン5は円柱状に形成されており、ピン5の外径の値は、第1の孔9の内径の値および第2の孔の内径の値よりもごく僅かに小さくなっている。
【0021】
また、設置前の準備完了状態では、第1の孔9の中心軸および第2の孔11の中心軸と、ピン5の中心軸とが互いに一致している。また、設置前の準備完了状態では、ピン5がソケット本体部3から離れ、ソケット本体部3の左側に位置している。
【0022】
設置前の準備完了状態から、ソケット本体部3に対して、ピン5を直線的に右側に移動するだけで、ピン5が第1の孔9と第2の孔11とに嵌合されるようになっている。ピン5が、ソケット本体部3に嵌合されている状態では、ピン5の左側部位17が第1の孔9内に収まっており、ピン5の右側部位19が第2の孔11内に収まっており、ピン5の中間部位21が凹部7のところで露出している。これにより、ソケット本体部3とピン5とによって、ハンマーグラブ用ソケット1が環状になっている。
【0023】
また、ハンマーグラブ用ソケット1には、抜け止め部23が設けられている。抜け止め部23は、ピン5が第1の孔9と第2の孔11とに嵌合されている状態で、ピン5が第1の孔9と第2の孔11とから抜け出てしまうことを止めるようになっている。
【0024】
第1の孔9は、上述したように貫通孔になっており、第2の孔11は、上述したように、凹部7側が開口している止まり孔となっている。また、抜け止め部23は、ソケット本体部3およびピン5とは別体である抜け止め材25を備えて構成されている。
【0025】
ソケット本体部3の凹部7を間にした一方の側の部位13の、凹部7とは反対側(
図2では左側)の箇所には、抜け止め材25が嵌まり込む凹部である抜け止め材用凹部27が設けられている。
【0026】
図2で示すように、ピン5が第1の孔9と第2の孔11とに嵌合され抜け止め材25が抜け止め材用凹部27に嵌まり込んでいる状態では、ピン5が抜け止め材25に係合している。たとえば、ピン5の一端部(左端部)が抜け止め材25に当接しており、ピン5の他端部(右端部)が第2の孔11の底面33に当接している。
【0027】
また、抜け止め部23は、ボルト28を備えて構成されている。さらに説明すると、抜け止め材25が抜け止め材用凹部27に嵌まり込んでいる状態では、抜け止め材25がピン5よりも小径のボルト(たとえば六角穴付皿ボルト)28でソケット本体部3に固定されている。ここで、小径のボルト28の中心軸はピン5の中心軸と平行に延びている。
【0028】
ここで、ハンマーグラブ用ソケット1についてさらに説明する。ソケット本体部3は、概ね円柱状に形成されている上側部位29と概ね円柱状に形成されている下側部位31とを備え、全体として概ね円柱状に形成されている。
【0029】
凹部7と第1の孔9と第2の孔11とは、上側部位29、下側部位31のそれぞれに設けられている。そして、上側部位29、下側部位31に設けられている第1の孔9と第2の孔11のそれぞれに、ピン5が挿入されて設置され、抜け止め部23でピン5それぞれの抜け止めがされるようになっている。
【0030】
ここで、上側部位29の凹部7と第1の孔9と第2の孔11とについて
図2等を参照しつつさらに詳しく説明する。
【0031】
凹部7は、上下方向では上側部位29の上端から下端部にかけて設けられており、左右方向では上側部位29の中央部に設けられており、前後方向では、上側部位29を貫通している。凹部7を前後方向で見ると、
図2で示すように、「U」字状になっている。
【0032】
第1の孔9は、上下方向では、上側部位29の中間部に設けられており、前後方向では、
図1で示すように、上側部位29の中央部に設けられている。また、上述したように、第1の孔9は、左右方向では、
図2で示すように、上側部位29の一方の側の部位(左側の部位)13を貫通している。
【0033】
第2の孔11は、上下方向では、上側部位29の中間部であって第1の孔9と同じところに設けられており、前後方向では、第1の孔9と同じところ(上側部位29の中央部)に設けられている。また、第2の孔11は、左右方向では、
図2で示すように、ソケット本体部3の他方の側の部位(右側の部位)15に設けられており、他方の側の部位15の左端(凹部7側の端面)から所定の深さで設けられている。第2の孔11の底面33は、左右方向で、ソケット本体部3の他方の側の部位(右側の部位)15の中間部に位置している。
【0034】
抜け止め材用凹部27は、左右方向では、
図2で示すように、一方の側の部位(左側の部位)13の左端から右側に僅かに凹んだ態様で、ソケット本体部3の上側部位29の一方の側の部位13に設けられている。抜け止め材用凹部27は、上下方向では、
図1等で示すように、一方の側の部位13の中間部に設けられている。抜け止め材用凹部27は、前後方向では、
図1で示すように、一方の側の部位13の中央部に設けられている。
【0035】
左右方向で見ると、抜け止め材用凹部27は、所定の幅寸法W1になっている(前後方向における寸法が「W1」になっている)。抜け止め材用凹部27の底面35は、平面になっており、
図2で示すように、一方の側の部位13の左端の近くに位置している。また、底面35は、左右方向に対して直交している。さらに、左右方向で見ると、第1の孔9(第2の孔11)は、底面35の内側に位置している。
【0036】
ソケット本体部3の下側部位31にも、上側部位29の場合と同様にして、凹部7、第1の孔9、第2の孔11、抜け止め材用凹部27が設けられている。ただし、下側部位31の凹部7、第1の孔9、第2の孔11、抜け止め材用凹部27は、上下方向で見て、上側部位29の凹部7等に対して90°回動したところに位置している。すなわち、下側部位31の凹部7は、左右方向で下側部位31を貫通しており、下側部位31の第1の孔9、第2の孔11の中心軸は前後方向に延びている。
【0037】
ピン5は、上述したように円柱状に形成されている。ただし、
図2で示すように、ピン5の左端部には、背が低く小径の円柱状部位37が形成されている。ピン5がソケット本体部3に設置された状態では、円柱状部位37の肩部(段差部)39と、抜け止め材用凹部27底面35とが、左右方向に対して直交している1つの平面内に存在している。
【0038】
抜け止め材25は、所定の厚さT1で所定の幅寸法W2の平板状に形成されている。幅寸法W2の値は、抜け止め材用凹部27の幅寸法の値W1よりもごく僅かに小さくなっている。抜け止め材25には、円柱状部位37が嵌合する貫通孔41とボルト28が貫通する貫通孔43とが設けられている。
【0039】
ピン5が設置されているソケット本体部3に抜け止め材25が設置され、ピン5が設置されているソケット本体部3に抜け止め材25が設置された状態では、抜け止め材25が抜け止め材用凹部27嵌まり込んでいる。また、抜け止め材25の厚さ方向の一方の面(
図2では右端の面)が、抜け止め材用凹部27の底面35とピン5の肩部39とに接している。さらに、ピン5が設置されているソケット本体部3に、抜け止め材25が設置された状態では、抜け止め材25の貫通孔41にピン5の円柱状部位37が嵌合している。
【0040】
なお、ピン5が設置されているソケット本体部3に抜け止め材25が設置された状態での、抜け止め材25のソケット本体部3からの円柱側面からの突出量は、抜け止め材25の厚さT1を適宜設定することでほぼ「0」になっている。また、ピン5が設置されているソケット本体部3に抜け止め材25が設置された状態で、ボルト28によって抜け止め材25がソケット本体部3に確実に固定されるようになっている。
【0041】
図2で示すように、ソケット本体部3にピン5等が設置されている状態で、鎖45の最も下側の環状の部品47が、凹部7に入り込んでおり、ピン5が最も下側の環状の部品47を貫通している。これにより、鎖45を用いてのハンマーグラブ用ソケット1の吊り下げができるようになっている、なお、
図2等では、ソケット本体部3の下側部位31のピン5には、鎖45と同様にして、ワイヤーロープ49が設置されている。
【0042】
ここで、ハンマーグラブ用ソケット1での鎖45等の取り外し動作について説明する。まず、鎖45等に荷重等が加わっていない状態にする。続いてボルト28をソケット本体部3や抜け止め材25から取り外し、抜け止め材25をソケット本体部3から取り外し、ピン5をソケット本体部3から取り外す。これにより、鎖45をハンマーグラブ用ソケット1から離すことができる。
【0043】
次に、ハンマーグラブ用ソケット1での鎖45等の設置動作について説明する。まず、鎖45の最も下側の環状の部品47を凹部7内に適宜位置させ、ソケット本体部3にピン5を設置して、ピン5を、最も下側の環状の部品47に貫通させる。続いて、抜け止め材25を設置し、ボルト28を設置する。
【0044】
ハンマーグラブ用ソケット1は、凹部7と第1の孔9と第2の孔11とが設けられているソケット本体部3と、第1の孔9の中心軸の延伸方向に直線的に移動するだけで第1の孔9と第2の孔11とに嵌合されるピン5とを備えて構成されている。
【0045】
これにより、ネジ式ピン309(
図12参照)を用いている場合に比べて、ピン5の交換が容易になっている。また、ネジ加工が不要になるので、安価に制作することができる。さらに、ネジが設けられていないので、土砂等の異物がソケット本体部3とピン5との係合部に入り込み、ピン5がソケット本体部3から抜けにくくなるという事態等の不具合の発生を防止することができる。
【0046】
また、ハンマーグラブ用ソケット1には、抜け止め部23が設けられている。これにより、ネジを用いることなくピン5がソケット本体部3から抜け出てしまうことが防止され、ハンマーグラブ吊り下げ時等の安全を確保することができる。
【0047】
また、ハンマーグラブ用ソケット1では、第1の孔9が貫通孔になっており、第2の孔11が止まり孔となっている。これにより、ピン5がソケット本体部3に設置されている状態で、ピン5とソケット本体部3との係合部に土砂等の異物が入り込むおそれを少なくすることができる。また、ピン5がソケット本体部3に設置されている状態で、ピン5がソケット本体部3に対して一方向(
図2の左方向)にしか移動することができないので、抜け止め部23の構成を簡素化することができる。
【0048】
次に、1つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケット1aについて、
図6~
図9を参照しつつ説明する。
【0049】
1つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケット1aは、抜け止め部23の構成が、本発明の実施形態に係るハンマーグラブ用ソケット1と異なり、その他の点は、ハンマーグラブ用ソケット1と同様に構成されている。
【0050】
すなわち、1つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケット1aの抜け止め部23は、抜け止め材25を備えて構成されている。抜け止め材25は、次に説明する第1の態様、第2の態様の少なくともいずれかの態様で、ソケット本体部3に支持されている。
【0051】
第1の態様では、抜け止め材25が、ソケット本体部3にくっつき支持されておりソケット本体部3に対して所定の範囲内で移動(姿勢を変えることに無い平行移動)できるように構成されている。第2の態様では、抜け止め材25が、ソケット本体部3にくっつき支持されておりソケット本体部3に対して所定の範囲内で回動(姿勢を変える回動)することができるように構成されている。
【0052】
そして、ソケット本体部3に抜け止め材25がくっつき支持されていることで、抜け止め材25は、ソケット本体部3から離れないようになっている。また、ピン5が第1の孔9と第2の孔11とに嵌合されている状態で、ソケット本体部3に対して抜け止め材25が、移動、回動の少なくともいずれかをすることで、抜け止め材25にピン5が係合するように構成されている。
【0053】
1つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケット1aについてさらに詳しく説明する。
図8で示すように、ソケット本体部3の左右方向の両端部は、平面状に形成されている。これにより、一方の側の部位(左側の部位)13、他方の側の部位(右側の部位)15のそれぞれは、所定の厚さで平板状に形成されている。第1の孔9、第2の孔11のそれぞれは貫通孔になっている。
【0054】
ピン5は、
図7で示すように、円柱状に形成されており、右端部に円板状の鍔部51が設けられ、左端部には弓形状の切り欠き53が設けられている。抜け止め材25は平板状に形成されている。抜け止め材25をこの厚さ方向で見ると、
図9(a)で示すように、「コ」字状に形成されている。
【0055】
抜け止め材25は、X方向延びている所定の回動中心軸を回動中心にして、ソケット本体部3に対して回動するようになっている。すなわち、
図6(a)で示すように、回動位置P1と回動位置P2との間で回動するようになっている。
【0056】
ピン5が、ソケット本体部3の第1の孔9、第2の孔11に嵌合されている状態で、抜け止め材25が回動位置P2から回動位置P1に回動することで、抜け止め材25の一部がピン5の切り欠き53に入り込む。これにより、ピン5のソケット本体部3からの抜け止めがされるようになっている。
【0057】
ハンマーグラブ用ソケット1aでは、抜け止め部23が、ソケット本体部3に対して回動等することができる態様で、ソケット本体部3に支持されている抜け止め材25を備えて構成されている。これにより、抜け止め材25の紛失等を防止することができ、安全性を一層確保することができる。
【0058】
次に、2つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケット1bについて、
図10を参照しつつ説明する。
【0059】
2つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケット1bは、第1の孔9だけでなく第2の孔11も貫通孔で形成されており、抜け止め材25が、一対で設けられている点が、本発明の実施形態に係るハンマーグラブ用ソケット1と異なる。その他の点は、ハンマーグラブ用ソケット1と同様に構成されている。
【0060】
すなわち、ハンマーグラブ用ソケット1bでは、ソケット本体部3の第1の孔9が貫通孔になっており、第2の孔11も貫通孔になっている。抜け止め部23は、第1の抜け止め材25(25A)と第2の抜け止め材25(25B)とを備えて構成されている。
【0061】
ソケット本体部3の凹部7を間にした一方の側の部位13の、凹部7とは反対側の箇所には、第1の抜け止め材25(25A)が嵌まり込む凹部である第1の抜け止め材用凹部27(27A)が設けられている。ソケット本体部3の凹部7を間にした他方の側の部位15の、凹部7とは反対側の箇所には、第2の抜け止め材25(25B)が嵌まり込む凹部である第2の抜け止め材用凹部27(27B)が設けられている。
【0062】
そして、所定の状態で、ピン5が第1の抜け止め材25(25A)と第2の抜け止め材25(25B)とに係合するようになっている。上記所定の状態では、ピン5が第1の孔9と第2の孔11とに嵌合され、第1の抜け止め材25(25A)が第1の抜け止め材用凹部27(27A)に嵌まり込んでいる。さらに、上記所定の状態では、第2の抜け止め材25(25B)が第2の前記第1の抜け止め材用凹部27(27B)に嵌まり込んでいる。
【0063】
ハンマーグラブ用ソケット1bでは、ソケット本体部3の第1の孔9および第2の孔11が貫通孔で形成されているので、ソケット本体部3を加工して第1の孔9および第2の孔11を設けることが容易になっている。
【0064】
次に、3つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケット1cについて、
図11を参照しつつ説明する。
【0065】
3つ目の変形例に係るハンマーグラブ用ソケット1cは、ピン5の中間部位21の外径の値がピン5の両端部(右側部位、左側部位)17、19の外径の値より、僅かに小さくなっている点が、上述したハンマーグラブ用ソケット1、1a、1bと異なっている。ハンマーグラブ用ソケット1cのその他の点は、上述したハンマーグラブ用ソケット1、1a、1bと同様に構成されている。
【0066】
すなわち、ハンマーグラブ用ソケット1cのピン5では、長手方向の両端部17、19の外径の値が、第1の孔9の内径や第2の孔11の内径の値よりもごく僅かに小さくなっている。ハンマーグラブ用ソケット1cのピン5では、長手方向の中間部21の外径の値が、両端部17、19の外径の値よりも小さくなっている。そして、ピン5がソケット本体部3に設置された状態では、端部17が第1の孔9に嵌まり、端部19が第2の孔11に嵌まり、中間部21が凹部7で露出している。さらに、中間部21の長手方向の両端部のそれぞれが、第1の孔9、第2の孔11に入り込んでいる(たとえば僅かに入り込んでいる)。
【0067】
これにより、中間部21が鎖45等で若干傷ついた場合でも、ピン5の交換等を容易にすることができる。
【0068】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1、1a、1b、1c ハンマーグラブ用ソケット
3 ソケット本体部
5 ピン
7 凹部
9 第1の孔
11 第2の孔
13 一方の側の部位
15 他方の側の部位
23 抜け止め部
25、25A、25B 抜け止め材
27、27A、27B 抜け止め材用凹部
303 ハンマーグラブ