(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155276
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】扉体の組立方法及びフレーム構造
(51)【国際特許分類】
E06B 3/82 20060101AFI20241024BHJP
E06B 3/72 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E06B3/82
E06B3/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069879
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】持田 典之
(72)【発明者】
【氏名】山本 航平
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016JA11
2E016KA02
2E016LA01
2E016LC02
2E016MA11
2E016MA14
(57)【要約】
【課題】
接着を用いた扉体フレームの組み立て作業性を向上させる。
【解決手段】
対向状に位置する上下骨材1、2と左右の縦骨材3と、上下骨材1、2あるいは左右の縦骨材3間に設けられた中骨4とからなる扉体のフレーム構造において、各骨材は、見込辺と一対の見付辺と、を備え、中骨4の長さ方向両端には係止片43が突成されており、中骨4が取り付けられる対向状の骨材1、2には、一方の見付辺12、22から見込辺10、20に亘って係止溝7が連続して形成されており、中骨4の係止片43が対向状の骨材1、2の係止溝7に係止するようになっている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見込辺と、一対の見付辺と、からなる骨材の一方の見付辺に接着剤を塗布して、前記一方の見付辺を一方の表面材に接着することで、少なくとも一対の対向する第1組の骨材を前記一方の表面材に載置する第1工程と、
見込辺と、一対の見付辺と、からなる中骨を、前記第1組の骨材間に取り付け、前記中骨の一方の見付辺を前記一方の表面材に接着する第2工程と、
他方の表面材を接着する第3工程と、
を備え、
前記第1工程あるいは前記第2工程において、前記第1組の骨材に対して垂直に延びる一対の対向する第2組の骨材の一方の見付辺を前記一方の表面に接着することで、前記第1組及び前記第2組の骨材が方形状に組まれた状態で前記一方の表面材に載置され、
前記第3工程では、前記骨材及び前記中骨の他方の見付辺に接着剤を塗布して、他方の表面材を前記他方の見付辺に接着するようになっており、
前記中骨の長さ方向両端には、係止片が突成されており、
前記第1組の骨材には、他方の見付辺から当該骨材の見込辺に亘って係止溝が連続して形成されており、
前記第2工程において、前記中骨の前記係止片を前記第1組の骨材の前記係止溝に挿入させることで、前記中骨が前記第1組の骨材間に取り付けられ、前記中骨が前記一方の表面材に載置された状態で、前記見込辺が前記一方の表面材に対して垂直となる垂直姿勢にある、
扉体の組立方法。
【請求項2】
前記垂直姿勢において、前記係止片が前記係止溝の縁に近接ないし当接することで、前記中骨の少なくとも一方の方向への倒れが規制されている、
請求項1に記載の扉体の組立方法。
【請求項3】
前記係止片は、前記中骨の前記見込辺の長さ方向両端に突成されており、
前記係止溝は、前記他方の見付辺に形成された第1部分と、前記見込辺に形成された第2部分と、からなり、前記第2部分は、前記一方の見付辺に向かって傾斜状に延びており、
前記第2工程は、
前記中骨を、前記係止片を前記第1部分から差し入れ、前記第2部分に沿って傾斜状に挿入させて傾斜姿勢で保持させる仮置きステップと、
前記中骨を、傾斜姿勢から回転させて垂直姿勢とする回転ステップと、
を含んでいる、
請求項1に記載の扉体の組立方法。
【請求項4】
前記係止溝の第2部分は、前記第1部分から連続する細幅の傾斜溝と、前記傾斜溝の奥側に位置する幅広開口と、からなり、
前記傾斜溝は前記係止片の厚さよりも大きい溝幅を備え、前記係止片を傾斜姿勢で挿入可能となっており、
前記幅広開口は、前記係止片の傾斜姿勢から垂直姿勢への回動を許容する寸法を備えている、
請求項3に記載の扉体の組立方法。
【請求項5】
前記垂直姿勢において、前記中骨の前記一対の見付辺は、前記見込辺の上下端から前記係止溝の第1部分側に延びている、
請求項3に記載の扉体の組立方法。
【請求項6】
前記中骨が仮置き状態にある時に、傾斜姿勢にある中骨の前記一方の見付辺は前記一方の表面材から離間しており、
前記仮置きステップと前記回転ステップの間に、前記中骨の前記一方の見付辺に接着剤を塗布するステップを含む、
請求項3に記載の扉体の組立方法。
【請求項7】
前記係止片は、前記中骨の前記見込辺の長さ方向両端に突成され、前記見込辺の長さ方向端縁の幅寸法よりも幅狭の幅狭部と、
前記幅狭部の先端側に形成されており、前記幅狭部よりも幅広で、前記見込辺の長さ方向端縁の幅寸法よりも幅狭の幅広部と、からなり、
前記第2工程において、前記係止片が前記係止溝の第1部分から挿入され、前記係止片の前記幅狭部が前記係止溝の第2部分を移動し、前記中骨の垂直姿勢において、前記係止片の前記幅狭部が前記係止溝の第2部分の奥側の縁に近接ないし当接している、
請求項1~6いずれか1項に記載の扉体の組立方法。
【請求項8】
対向状に位置する上下骨材と左右の縦骨材と、上下骨材あるいは左右の縦骨材間に設けられた中骨とからなる扉体のフレーム構造において、
各骨材は、見込辺と、対向状の第1見付辺及び第2見付辺と、を備え、
前記中骨の長さ方向両端には係止片が突成されており、
前記中骨が取り付けられる対向状の骨材には、第2見付辺から見込辺に亘って係止溝が連続して形成されており、
前記中骨の前記係止片が前記対向状の骨材の前記係止溝に係止するようになっている、
扉体のフレーム構造。
【請求項9】
前記係止溝は、前記第2見付辺に形成された第1部分と、前記見込辺に形成された第2部分と、からなり、
前記第2部分は、前記第1見付辺に向かって傾斜状に延びており、
前記第2部分の奥側は、前記係止片の回転を許容する寸法を備えた幅広開口となっている、
請求項8に記載の扉体のフレーム構造。
【請求項10】
前記係止片は、前記中骨の前記見込辺の長さ方向両端に突成され、前記見込辺の長さ方向端縁の幅寸法よりも幅狭の幅狭部と、
前記幅狭部の先端側に形成されており、前記幅狭部よりも幅広で、前記見込辺の長さ方向端縁の幅寸法よりも幅狭の幅広部と、からなり、
前記幅広開口は、前記係止片の前記幅狭部の回転を許容する寸法となっており、
前記係止片の前記幅狭部が前記係止溝の第2部分の奥側の縁に近接ないし当接している、
請求項9に記載の扉体のフレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉体の組立方法及びフレーム構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の出入り口等に設けられる重量ドアに代表される鋼製ドアでは、骨材(力骨、中骨)と表面材を溶接や接着剤(特許文献1参照)で組み立てる方法が一般に知られている。溶接作業には熟練の技術が必要であり、熱歪みや仕上げの問題もあり、製作に時間と労力が必要な作業となっている。
【0003】
溶接作業を行わずに接着剤を用いた扉体の組立方法においては、一方の表面材と各骨材を接着する接着剤が硬化するまでの乾燥時間が必要となり、接着剤が初期接着力を発揮するまでの間、骨材(力骨、中骨)が倒れたり、位置ズレしないように圧締する必要があることから作業性が悪いものとなっていた。
【特許文献1】特開平6-66072
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、接着剤を用いた扉体フレームの組み立て作業性を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、
見込辺と、一対の見付辺と、からなる骨材の一方の見付辺に接着剤を塗布して、前記一方の見付辺を一方の表面材に接着することで、少なくとも一対の対向する第1組の骨材を前記一方の表面材に載置する第1工程と、
見込辺と、一対の見付辺と、からなる中骨を、前記第1組の骨材間に取り付け、前記中骨の一方の見付辺を前記一方の表面材に接着する第2工程と、
他方の表面材を接着する第3工程と、
を備え、
前記第1工程あるいは前記第2工程において、前記第1組の骨材に対して垂直に延びる一対の対向する第2組の骨材の一方の見付辺を前記一方の表面に接着することで、前記第1組及び前記第2組の骨材が方形状に組まれた状態で前記一方の表面材に載置され、
前記第3工程では、前記骨材及び前記中骨の他方の見付辺に接着剤を塗布して、他方の表面材を前記他方の見付辺に接着するようになっており、
前記中骨の長さ方向両端には、係止片が突成されており、
前記第1組の骨材には、他方の見付辺から当該骨材の見込辺に亘って係止溝が連続して形成されており、
前記第2工程において、前記中骨の前記係止片を前記第1組の骨材の前記係止溝に挿入させることで、前記中骨が前記第1組の骨材間に取り付けられ、前記中骨が前記一方の表面材に載置された状態で、前記見込辺が前記一方の表面材に対して垂直となる垂直姿勢にある、
扉体の組立方法、である。
【0006】
1つの態様では、第1工程では、前記第1組及び前記第2組の骨材が方形状に組まれた状態で前記一方の表面材に載置され、
第2工程では、前記中骨を、平行する第1組の骨材間に、平行する第2組の骨材に平行するように中骨を取り付け、前記中骨の一方の見付辺を前記一方の表面材に接着する。
典型的には、前記第1組は、上フレームと下フレームであり、前記中骨は中間縦フレームである。
【0007】
1つの態様では、前記垂直姿勢において、前記係止片が前記係止溝の縁に近接ないし当接することで、前記中骨の少なくとも一方の方向への倒れが規制されている。
1つの態様では、前記垂直姿勢において、前記中骨の前記一対の見付辺は、前記見込辺の上下端から前記係止溝の第1部分側に延びている。
【0008】
1つの態様では、前記係止片は、前記中骨の前記見込辺の長さ方向両端に突成されており、
前記係止溝は、前記他方の見付辺に形成された第1部分と、前記見込辺に形成された第2部分と、からなり、前記第2部分は、前記一方の見付辺に向かって傾斜状に延びており、
前記第2工程は、
前記中骨を、前記係止片を前記第1部分から差し入れ、前記第2部分に沿って傾斜状に挿入させて傾斜姿勢で保持させる仮置きステップと、
前記中骨を、傾斜姿勢から回転させて垂直姿勢とする回転ステップと、
を含んでいる。
【0009】
1つの態様では、前記係止溝の第2部分は、前記第1部分から連続する細幅の傾斜溝部と、前記傾斜溝の奥側に位置する幅広開口と、からなり、
前記傾斜溝部は前記係止片の厚さよりも大きい溝幅を備え、前記係止片を傾斜姿勢で挿入可能となっており、
前記幅広開口は、前記係止片の傾斜姿勢から垂直姿勢への回動を許容する溝幅を備えている。
【0010】
1つの態様では、前記中骨が仮置き状態にある時に、傾斜姿勢にある中骨の前記一方の見付辺は前記一方の表面材から離間しており、
前記仮置きステップと前記回転ステップの間に、前記中骨の前記一方の見付辺に接着剤を塗布するステップを含む。
あるいは、前記中骨を、前記第1組の骨材間に取り付けることに先立って、前記一方の見付辺に接着剤を塗布してもよい。
【0011】
1つの態様では、前記係止片は、前記中骨の前記見込辺の長さ方向両端に突成され、前記見込辺の長さ方向端縁の幅寸法よりも幅狭の幅狭部と、
前記幅狭部の先端側に形成されており、前記幅狭部よりも幅広で、前記見込辺の長さ方向端縁の幅寸法よりも幅狭の幅広部と、からなり、
前記第2工程において、前記係止片が前記係止溝の第1部分から挿入され、前記係止片の前記幅狭部が前記係止溝の第2部分を移動し、前記中骨の垂直姿勢において、前記係止片の前記幅狭部が前記係止溝の第2部分の奥側の縁に近接ないし当接している。
【0012】
本発明は、対向状に位置する上下骨材と左右の縦骨材と、上下骨材あるいは左右の縦骨材間に設けられた中骨とからなる扉体のフレーム構造において、
各骨材は、見込辺と、対向状の第1見付辺及び第2見付辺と、を備え、
前記中骨の長さ方向両端には係止片が突成されており、
前記中骨が取り付けられる対向状の骨材には、第2見付辺から見込辺に亘って係止溝が連続して形成されており、
前記中骨の前記係止片が前記対向状の骨材の前記係止溝に係止するようになっている、
扉体のフレーム構造、に係るものである。
【0013】
1つの態様では、前記係止溝は、前記第2見付辺に形成された第1部分と、前記見込辺に形成された第2部分と、からなり、
前記第2部分は、前記第1見付辺に向かって傾斜状に延びており、
前記第2部分の奥側は、前記係止片の回転を許容する寸法を備えた幅広開口となっている。
【0014】
1つの態様では、前記係止片は、前記中骨の前記見込辺の長さ方向両端に突成され、前記見込辺の長さ方向端縁の幅寸法よりも幅狭の幅狭部と、
前記幅狭部の先端側に形成されており、前記幅狭部よりも幅広で、前記見込辺の長さ方向端縁の幅寸法よりも幅狭の幅広部と、からなり、
前記幅広開口は、前記係止片の前記幅狭部の回転を許容する寸法となっており、
前記係止片の前記幅狭部が前記係止溝の第2部分の奥側の縁に近接ないし当接している。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、接着剤を用いた扉体フレームの組み立てにおいて、中骨の倒れや位置ズレを防止し、もって、接着を用いた扉体フレームの組み立て作業性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本実施形態に係る扉体の中間縦フレームを示す図である。
【
図3】本実施形態に係る扉体の一組の対向するフレーム(上フレームの第1部材、下フレーム)を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る扉体の組立方法の第2工程を説明する図である。
【
図5】本実施形態に係る扉体の組立方法の第2工程を説明する図である。
【
図6】本実施形態に係る扉体の組立方法の第3工程を説明する図である。
【
図9】本実施形態に係る第2工程における中間縦フレームの傾斜姿勢でのスライド挿入を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る第2工程における中間縦フレームの仮保持姿勢(傾斜姿勢)を示す図である。
【
図11】本実施形態に係る第2工程における中間縦フレームの垂直姿勢を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[A]扉体の構成
図1に示すように、扉体Dのフレームすなわち骨材は、4本の力骨、すなわち、上フレーム1と、下フレーム2と、左右の縦フレーム3と、を四周状に組み合わせることで四周枠状のフレームとして形成されており、かつ、上フレーム1と下フレーム2の間には、左右の縦フレーム3に平行して複数本の中間縦フレームないし中骨4が設けられている。これらのフレームに、第1表面材5及び第2表面材6が接着されて扉体Dが形成される。
図1では、第1表面材5のみが示されている。
【0018】
[A-1]上フレーム
上フレーム1は、扉体の幅方向に延びる長尺部材であって、扉幅(見付幅)に略対応する長さ(見付寸法)と、扉体の厚さ(見込幅)に略対応する幅(見込寸法)と、を備えている。
図4に示すように、上フレーム1は、下面(見込辺)10と、下面10の幅方向(見込方向)の一端から垂直に立ち上がる第1見付辺11と、下面10の幅方向(見込方向)の他端から垂直に立ち上がる第2見付辺12と、から断面視コ字形状に形成された第1部材1´と、第1部材1´の第1見付辺11と第2見付辺12間に設けられ上面13を形成する断面視コ字形状の第2部材1´´と、から断面視方形状に形成されている。
【0019】
[A-2]下フレーム
下フレーム2は、扉体の幅方向に延びる長尺部材であって、扉幅(見付幅)に略対応する長さ(見付寸法)と、扉体の厚さ(見込幅)に略対応する幅(見込寸法)と、を備えている。
図4に示すように、下フレーム2は、上面(見込辺)20と、上面20の幅方向(見込方向)の一端から垂下する第1見付辺21と、上面20の幅方向(見込方向)の他端から垂下する第2見付辺22と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0020】
[A-3]縦フレーム
縦フレーム3は、扉体の高さ方向に延びる長尺部材であって、扉高に略対応する長さ(高さ)と、扉体の厚さ(見込幅)に略対応する幅(見込寸法)と、を備えている。
図1に示すように、縦フレーム3の高さは、扉体の全高よりも僅かに低く、縦フレーム3の上端が上フレーム1に近接ないし当接し、縦フレーム3の下端が下フレーム2に近接ないし当接するようになっている。
【0021】
縦フレーム3は、例えば、見込面と、見込辺の幅方向(見込方向)の一端から見付方向に延びる第1見付辺と、見込辺の幅方向(見込方向)の他端から見付方向に延びる第2見付辺と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0022】
[A-4]中間縦フレーム
中間縦フレーム4は、扉体の高さ方向に延びる長尺部材であって、扉高に略対応する長さ(高さ)と、扉体の厚さ(見込幅)に略対応する幅(見込寸法)と、を備えている。本実施形態では、
図1に示すように、中間縦フレーム4の高さ(上端400から下端401までの高さ)は、扉体の全高よりも僅かに低く、中間縦フレーム4の上端400が上フレーム1に近接ないし当接し、中間縦フレーム4の下端401が下フレーム2に近接ないし当接するようになっている。
【0023】
図2に示すように、中間縦フレーム4は、見込辺40と、見込辺40の幅方向(見込方向)の一端から見付方向に延びる第1見付辺41と、見込辺40の幅方向(見込方向)の他端から見付方向に延びる第2見付辺42と、から断面視コ字形状に形成されている。
【0024】
見込辺40の上端400及び下端401には、それぞれ係止片43が突成されている。本実施形態では、係止片43は、見込辺40の上端400及び下端401の幅寸法よりも小さい幅狭部430と、幅狭部430よりも幅広の幅広部431と、からT形状に形成されている。幅広部431の幅寸法は、見込辺40の上端400及び下端401の幅寸法よりも小さい。幅狭部430の幅方向の両端を端縁4300とする。幅広部431において、幅狭部430よりもはみ出した部位を両端部位4310とする。幅広部431の両端部位4310と見込辺40の上端400との隙間は、上フレーム1の下面10の板厚よりも僅かに大きく、幅広部431の両端部位4310と見込辺40の下端401との隙間は、下フレーム2の上面20の板厚よりも僅かに大きい。
【0025】
[A-5]上フレーム及び下フレームの係止溝
本実施形態において、上フレーム1の第1部材1´と下フレーム2は、実質的に同じ形状を備えており、
図3に示す共通の図面に基づいて、上フレーム1の係止溝7及び下フレーム2の係止溝7について説明する。
図3に示すように、上フレーム1(1´)の下面10、及び、下フレーム2の上面20には、係止溝7が形成されている。
【0026】
上フレーム1において、係止溝7は、上フレーム1の第2見付辺12に形成された第1部分70と、下面10に形成され、第1部分70と連続する第2部分71と、からなる。第1部分70は、第2見付辺12の高さ方向中間部位から下面10に達するまで垂直に延びている。第1部分70の高さ寸法は、係止片43(幅狭部430、幅広部431)の高さ寸法と略同じであり、係止片43を上フレーム1の係止溝7に挿入する際に、幅広部431が第1部分70に差し入れられるようになっている。
【0027】
係止溝7の第2部分71は、全体として、第1見付辺11に向かって傾斜状に延びている。係止溝7の第2部分71は、上フレーム1(1´)の第2見付辺12の下端から傾斜状に延びる傾斜溝710と、傾斜溝710の先端(奥側)に形成された幅広開口711と、からなる。第2部分71の傾斜溝710の基端は第1部分70の下端と連続している。
【0028】
下フレーム2において、係止溝7は、下フレーム2の第2見付辺22に形成された第1部分70と、上面20に形成され、第1部分70と連続する第2部分71と、からなる。第1部分70は、第2見付辺22の高さ方向中間部位から上面20に達するまで垂直に延びている。第1部分70の高さ寸法は、係止片43(幅狭部430、幅広部431)の高さ寸法と略同じであり、係止片43を下フレーム2の係止溝7に挿入する際に、幅広部431が第1部分70に差し入れられるようになっている。
【0029】
係止溝7の第2部分71は、下フレーム2の第2見付辺22の上端から傾斜状に延びる傾斜溝710と、傾斜溝710の先端に形成された幅広開口711と、からなる。第2部分71の傾斜溝710の基端は第1部分70の下端と連続している。
【0030】
係止溝7の第2部分71の傾斜溝710の溝幅は、中間縦フレーム4の係止片43の幅狭部430の厚さ(板厚)よりも大きい。傾斜溝710は、第2見付辺12、22側の第1傾斜縁7100と、第1見付辺11、21側の第2傾斜縁7101と、を備え、第2傾斜縁7101は、第1傾斜縁7100よりも長く、第2傾斜縁7101の先端の延出縁7102は、幅広開口711の縁を形成している。
【0031】
第2部分71の幅広開口711は、緩やかに湾曲する対向状の第1弧状縁7110、第2弧状縁7111と、先端(奥側)の被当接縁7112と、からなる。第1弧状縁7110は、傾斜溝710の第1傾斜縁7100の先端から連続状に延びており、第2弧状縁7111は、傾斜溝710の第2傾斜縁7101の先端から連続状に延びている。被当接縁7112は、第1弧状縁7110、第2弧状縁7111の先端間を接続するように延びている。第1弧状縁7110の先端(奥側)は、被当接縁7112の上端と角部7110aを形成しており、第2弧状縁7111の先端(奥側)は、水平部7111aを形成している(
図9参照)。被当接縁7112は、中間縦フレーム4の見込辺40の幅方向(長手方向に直交する方向)に延びている。幅広開口711の被当接縁7112は幅狭部430の幅寸法と略同じであるが、僅かに小さくてもよい。対向状の第1弧状縁7110、第2弧状縁7111間の寸法は、中間縦フレーム4の係止片43の幅狭部430の移動を許容できる寸法となっており、第1弧状縁7110、第2弧状縁7111は、係止片43の幅狭部430の端縁4300の移動軌跡に沿って湾曲状に延びている。
【0032】
[A-6]表面材
第1表面材5は、見付面部50と、見付面部50の幅方向両端に直角に折り曲げ形成された左右の見込辺(図示せず)と、見付面部50の上端に直角に折り曲げ形成された上辺51と、を備えており、図示の態様では、見付面部50の下端に折り曲げ辺は形成されていない。
【0033】
第2表面材6は、見付面部60と、見付面部60の幅方向両端に直角に折り曲げ形成された左右の見込辺(図示せず)と、見付面部60の上端に直角に折り曲げ形成された上辺61と、を備えており、図示の態様では、見付面部60の下端に折り曲げ辺は形成されていない。
【0034】
[B]扉体の組立
[B-1] 扉体の組立の概要
扉体の組立は、水平状に置かれた第1表面材5上に四周状に組まれた骨材(上フレーム1、下フレーム2、左右の縦フレーム3)を接着する第1工程と、第1表面材5上に複数本の中間縦フレーム4を接着する第2工程と、第1表面材5に接着された骨材(上フレーム1、下フレーム2、左右の縦フレーム3、複数本の中間縦フレーム4)に第2表面材6を被せて接着する第3工程と、からなる。
【0035】
第1工程では、第1表面材5を床面に水平姿勢で載置して、上フレーム1、下フレーム2、左右の縦フレーム3を四周枠状に位置させて、上フレーム1の第1見付辺11、下フレーム2の第1見付辺21、左右の縦フレーム3の第1見付辺を、第1表面材5の見付面部50に接着させる。
【0036】
第2工程では、複数本の中間縦フレーム4を平行状に上フレーム1と下フレーム2間に組み込んで、中間縦フレーム4の第1見付辺41を、第1表面材5の見付面部50に接着させる。
【0037】
第3工程では、上フレーム1の第2見付辺12、下フレーム2の第2見付辺22、左右の縦フレーム3の第2見付辺、複数本の中間縦フレーム4の第2見付辺42に、第2表面材6の見付面部60を被せて接着することで扉体を形成する。
【0038】
典型的には、中間縦フレーム4は、第1表面材5の見付面部50上に四枠状に組まれた力骨(上フレーム1、下フレーム2、左右の縦フレーム3)に対して、上フレーム1と下フレーム2の間に取り付けられるが、中間縦フレーム4を上フレーム1と下フレーム2間に取り付けるタイミング(中間縦フレーム4の第1見付辺41を第1表面材5の見付面部50の内面に接着するタイミング)は、このものに限定されない。中間縦フレーム4は、第1表面材5の見付面部50上に上フレーム1、下フレーム2を載置した状態で、第2工程において、左右の縦フレーム3よりも先に、上フレーム1と下フレーム2間に取り付けるものでもよい。
【0039】
[B-2]第2工程の詳細
本実施形態に係る扉体の組立方法の第2工程について説明する。
図4(A)、(B)に示すように、中間縦フレーム4を、第1見付辺41を下辺、第2見付辺42を上辺、見込辺40を垂直辺とした姿勢から、上フレーム1及び下フレーム2に形成した係止溝7の切り込み方向に合わせるよう傾けた傾斜姿勢(第1見付辺41の先端が最下位にあり、第2見付辺42の基端の角部が最上位にあり、見込辺40が傾斜姿勢)とする。
【0040】
図4(B)、(C)、
図9に示すように、傾斜姿勢にある係止片43を、上フレーム1の係止溝7の第1部分70、下フレーム2の係止溝7の第1部分70から差し入れ、係止片43の幅狭部430を係止溝7の第2部分71の傾斜溝710に沿ってスライド移動させる。この時、係止片43の幅広部431は、上フレーム1の内部(上フレーム1の下面10の上側、但し上フレーム1は水平姿勢)、下フレーム2の内部(下フレーム2の上面20の下側、但し下フレーム2は水平姿勢)に位置している。
【0041】
図4(C)、
図5(D)、
図7上図、
図10に示すように、中間縦フレーム4は傾斜姿勢で上フレーム1、下フレーム2に対して挿入され、第1見付辺41の先端が第1表面材5の見付面部50の内面に当接して傾斜姿勢で仮保持される。中間縦フレーム4の仮保持姿勢において、係止片43の幅狭部430は、傾斜溝710の第2傾斜縁7101の先端側の延出縁7102に当接ないし近接している。
【0042】
仮保持姿勢において、中間縦フレーム4の第1見付辺41と第1表面材5の見付面部50の内面は離間しており、この状態で第1見付辺41の外面に接着剤αを塗布することが可能となっている。なお、第1見付辺41の外面への接着剤αの塗布のタイミングは限定されず、中間縦フレーム4を上フレーム1、下フレーム2に挿入する前に、
図4(A)の状態において、第1見付辺41の外面に接着剤αを塗布してもよい。
【0043】
図5(E)、
図7下図、
図11に示すように、傾斜姿勢(仮保持姿勢)にある中間縦フレーム4を回転させて、第1見付辺41を第1表面材5の見付面部50の内面に当接させて接着し、見込辺40が垂直辺、第2見付辺42が水平辺となる垂直姿勢とする。中間縦フレーム4の垂直姿勢にある時に、幅狭部430が被当接縁7112に近接ないし当接している。
【0044】
中間縦フレーム4の回転時に、幅狭部430が係止溝7の第2部分71の幅広開口711内を移動する。中間縦フレーム4の回転時に、幅狭部430のそれぞれの端縁4300が、第1弧状縁7110、第2弧状縁7111に近接した状態で第1弧状縁7110、第2弧状縁7111に沿って移動する。1つの態様では、中間縦フレーム4は、第1見付辺41の先端を支点として回転するが、中間縦フレーム4は、端縁4300が第2弧状縁7111上を滑りながら回転してもよい。
【0045】
図5(E)、
図7下図、
図11に示す中間縦フレーム4の姿勢について、中間縦フレーム4は、水平姿勢にある第1表面材5の見付面部50上に載置された水平姿勢にあるが、中間縦フレーム4は、第1見付辺41が、接着剤αによって第1表面材5の見付面部50に接着した状態で、第1見付辺41を底辺として第1表面材5の見付面部50に対して見込辺40が垂直に立った姿勢にあることから、本明細書では、この姿勢を「垂直姿勢」と呼ぶ。
【0046】
中間縦フレーム4は、第1見付辺41を底辺とした垂直姿勢において、係止片43は垂直姿勢にあり、係止片43の幅狭部430が係止溝7の第2部分71の幅広開口711の被当接縁7112に位置しており、垂直姿勢の幅広部431は、見込辺40の内面に近接ないし当接している。この状態から、中間縦フレーム4が図中で左側(
図11におけるR1方向)に倒れようとした場合には、係止片43の幅狭部430が係止溝7の第2部分71の幅広開口711の被当接縁7112に当接することで、倒れが防止される。
【0047】
より具体的に説明すると、中間縦フレーム4は断面視コ字形状であり、断面視において、見込辺40の幅寸法(垂直姿勢における高さ寸法)は、第1見付辺41及び第2見付辺42の幅寸法(垂直姿勢における水平寸法)よりも大きく、第1見付辺41を底辺として立てた状態で不安定である。
図11に示すように、中間縦フレーム4の垂直姿勢において、上側の第2見付辺42、下側の第1見付辺41は、垂直姿勢の見込辺40の上下端から係止溝7の第1部分70側に延びている。垂直姿勢における中間縦フレーム4の重心を考慮すると、R1方向に倒れやすく、R2方向に倒れににくくなっていると考えられる。本実施形態では、係止片43の幅狭部430が係止溝7の第2部分71の幅広開口711の被当接縁7112に当接することで、第1表面材5の見付面部50に垂直姿勢で載置された中間縦フレーム4のR1方向への倒れが防止される。なお、中間縦フレーム4の垂直姿勢において、垂直姿勢の幅狭部430が、角部7110aと水平部7111aとの間に嵌るようにして、中間縦フレーム4のR2方向への倒れを抑制するようにしてもよい。
【0048】
図5(E)の状態において、中間縦フレーム4が上フレーム1、下フレーム2に対して、中間縦フレーム4が長さ方向にズレるような力が作用した場合には、係止片43の幅広部431の両端部位4310が、上フレーム1、下フレーム2の見込辺(下面10、上面20)の内面に当接係止することでズレが防止される。また、本実施形態では、第1表面材5、第2表面材6の下端には折り曲げ辺(見込辺)が無いが、接着剤硬化前における、下フレーム2が上フレーム1から離間する方向へのズレは、下フレーム2の上面20が係止片43の幅広部431の両端部位4310に当接係止することで防止される。
【0049】
[B-3]第3工程の詳細
図6、
図8を参照しつつ、本実施形態に係る扉体の組立方法の第3工程について説明する。第1表面材5の見付面部50に接着されて載置された上フレーム1の第2見付辺12、下フレーム2の第2見付辺22、左右の縦フレーム3の第2見付辺、複数本の中間縦フレーム4の第2見付辺42に、接着剤αを塗布し、上から第2表面材6を被せて、第2表面材6の見付面部60を上フレーム1の第2見付辺12、下フレーム2の第2見付辺22、左右の縦フレーム3の第2見付辺、複数本の中間縦フレーム4の第2見付辺42に接着することで扉体を形成する。
【符号の説明】
【0050】
1 上フレーム(骨材、扉体フレーム)
10 下面(見込辺)
11 第1見付辺
12 第2見付辺
2 下フレーム(骨材、扉体フレーム)
20 上面(見込辺)
21 第1見付辺
22 第2見付辺
3 縦フレーム(骨材、扉体フレーム)
4 中間縦フレーム(中骨、扉体フレーム)
40 見込辺
41 第1見付辺
42 第2見付辺
43 係止片
430 幅狭部
431 幅広部
5 第1表面材
6 第2表面材
7 係止溝
70 第1部分
71 第2部分
710 傾斜溝
711 幅広開口
7112 被当接縁(縁)
α 接着剤
D 扉体