(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155284
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】モータ及びそれを備えた電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/52 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02K3/52 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069889
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098361
【弁理士】
【氏名又は名称】雨笠 敬
(72)【発明者】
【氏名】本間 郁人
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604DA14
5H604DB03
5H604PB03
5H604PC01
5H604PC03
5H604QB04
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】細い径のマグネットワイヤでも容易且つ安定的にバスバーユニットをステータに固定することができるモータを提供する。
【解決手段】モータのステータ21を構成するインシュレータ27は、外面に形成された軸方向に伸びる複数の溝31と、複数の凹部を有し、バスバーユニット26は、インシュレータ27の各溝31に進入してバスバーユニット26とステータ21との位置決めを行う複数の位置決め部47と、インシュレータ27の各凹部に嵌合してバスバーユニット26をステータ21に固定する複数の固定部を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと当該コアに設けられてマグネットワイヤが巻回されるインシュレータを備えたステータと、該ステータの各スロットから出る前記マグネットワイヤと三相端子を電気的に接続するバスバーを樹脂モールドして成るバスバーユニットを備えたモータにおいて、
前記インシュレータは、外面に形成された軸方向に伸びる複数の溝と、複数の凹部を有し、
前記バスバーユニットは、前記インシュレータの各溝に進入して前記バスバーユニットと前記ステータとの位置決めを行う複数の位置決め部と、前記インシュレータの各凹部に嵌合して前記バスバーユニットを前記ステータに固定する複数の固定部を備えたことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記インシュレータの凹部は、前記複数の溝内にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記バスバーユニットは、円環部と、該円環部から放射状に延びる複数の脚部を有し、
各脚部の先端に前記位置決め部が形成され、各位置決め部に前記固定部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記バスバーユニットの各脚部には、前記ステータの各スロットから出る前記マグネットワイヤに対応する前記バスバーの脚部がそれぞれ埋設されており、
バスバーの各脚部先端には、前記樹脂から突出した溶接接続部が形成され、
前記ステータの各スロットから出る前記マグネットワイヤは前記溶接接続部に溶接され、電気的に接続されることを特徴とする請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
前記バスバーの溶接接続部を被覆するカバーを備えたことを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のうちの何れかに記載のモータと圧縮要素を容器内に収納して成ることを特徴とする電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータの各スロットから出るマグネットワイヤを、樹脂モールドされたバスバーユニットにて三相端子に接続するモータ及びそれを備えた電動圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より電動圧縮機の圧縮要素を駆動するためのモータは、ステータとこのステータの内側で回転するロータにより構成されている。このうちステータは、電磁鋼板を積層してなるコアと、このコアから径方向に突出する複数のティースと、各ティースに巻装されたマグネットワイヤから構成されるが、コアとマグネットワイヤは絶縁する必要があることから、コアの端部には絶縁性の樹脂から構成されたインシュレータが設けられ、マグネットワイヤをこのインシュレータに巻回することで、コアとマグネットワイヤの絶縁が図られていた。
【0003】
また、ステータの端部(リード側)には金属製のバスバーを樹脂モールドしたバスバーユニットが設けられ、ステータの各スロットから出るマグネットワイヤと三相端子(インバータに接続される端子)とを電気的に接続していた。この場合、従来ではマグネットワイヤとバスバーとの溶接による固定力でバスバーユニットをステータに固定していたが、それでは太い径のマグネットワイヤでしか保持することができず、細い径のマグネットワイヤでは保持力が低下する問題があった。
【0004】
そこで、バスバーユニット(下記特許文献1では接続要素)をステータのインシュレータに係合させて取り付ける構造も提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1ではバスバーユニットの内側に形成した複数の止め具要素をステータに形成された複数の止め具要素に係合させる構成であったため、組立作業性が極めて悪いものであった。また、ステータに対するバスバーユニットの位置決めも難しく、各スロットから出る複数のマグネットワイヤとバスバーとの実際の接続作業も困難となっていた。
【0007】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、細い径のマグネットワイヤでも容易且つ安定的にバスバーユニットをステータに固定することができるモータ及びそれを備えた電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のモータは、コアと当該コアに設けられてマグネットワイヤが巻回されるインシュレータを備えたステータと、このステータの各スロットから出るマグネットワイヤと三相端子を電気的に接続するバスバーを樹脂モールドして成るバスバーユニットを備えたものにおいて、インシュレータは、外面に形成された軸方向に伸びる複数の溝と、複数の凹部を有し、バスバーユニットは、インシュレータの各溝に進入してバスバーユニットとステータとの位置決めを行う複数の位置決め部と、インシュレータの各凹部に嵌合してバスバーユニットをステータに固定する複数の固定部を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明のモータは、上記発明においてインシュレータの凹部は、複数の溝内にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明のモータは、上記発明においてバスバーユニットは、円環部と、この円環部から放射状に延びる複数の脚部を有し、各脚部の先端に位置決め部が形成され、各位置決め部に固定部がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明のモータは、上記発明においてバスバーユニットの各脚部には、ステータの各スロットから出るマグネットワイヤに対応するバスバーの脚部がそれぞれ埋設されており、バスバーの各脚部先端には、樹脂から突出した溶接接続部が形成され、ステータの各スロットから出るマグネットワイヤは溶接接続部に溶接され、電気的に接続されることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明のモータは、上記発明においてバスバーの溶接接続部を被覆するカバーを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の電動圧縮機は、上記各発明のモータと圧縮要素を容器内に収納して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コアと当該コアに設けられてマグネットワイヤが巻回されるインシュレータを備えたステータと、このステータの各スロットから出るマグネットワイヤと三相端子を電気的に接続するバスバーを樹脂モールドして成るバスバーユニットを備えたモータにおいて、インシュレータの外面に軸方向に伸びる複数の溝を形成すると共に、複数の凹部を形成し、バスバーユニットには、インシュレータの各溝に進入してバスバーユニットとステータとの位置決めを行う複数の位置決め部と、インシュレータの各凹部に嵌合してバスバーユニットをステータに固定する複数の固定部を設けたので、インシュレータの各凹部とバスバーユニットの各固定部との嵌合によって、マグネットワイヤに荷重をかけること無く、バスバーユニットをステータに固定することができるようになる。これにより、細い径のマグネットワイヤを使用することが可能となり、請求項6の発明の如き電動圧縮機に極めて有効なものとなる。
【0015】
特に、インシュレータの外面に軸方向に延びる溝を複数形成し、バスバーユニットの複数の位置決め部をインシュレータの各溝に進入させるようにしたので、バスバーユニットの位置決め部を軸方向からインシュレータの溝に進入させることでステータに対するバスバーユニットの位置決めを行うことができるようになり、組立作業性も改善される。
【0016】
この場合、請求項2の発明の如くインシュレータの凹部を、複数の溝内にそれぞれ形成すれば、位置決め部によるバスバーユニットの位置決めと、固定部によるステータへの固定を一連の動作のなかで同時に行うことが可能となり、更なる組立作業性の改善を図ることができるようになる。
【0017】
また、請求項3の発明の如くバスバーユニットを、円環部と、この円環部から放射状に延びる複数の脚部から構成し、各脚部の先端に位置決め部を形成すると共に、各位置決め部に固定部をそれぞれ形成することで、位置決め部に位置決めと固定の二つの機能を持たせることができるようになり、バスバーユニットの形状を簡素化しながら、請求項2の発明による組立作業性の更なる改善を効果的に実現することができるようになる。
【0018】
更に、請求項4の発明の如くバスバーユニットの各脚部に、ステータの各スロットから出るマグネットワイヤに対応するバスバーの脚部をそれぞれ埋設し、バスバーの各脚部先端には、樹脂から突出した溶接接続部を形成し、ステータの各スロットから出るマグネットワイヤを溶接接続部に溶接して、電気的に接続するようにすれば、マグネットワイヤとバスバーの電気的接続も容易に行うことができるようになる。
【0019】
更にまた、請求項5の発明の如くバスバーの溶接接続部を被覆するカバーを設ければ、マグネットワイヤとバスバーの接続部分の絶縁性能の向上を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のモータを搭載した一実施形態の電動圧縮機の概略縦断側面図である。
【
図2】
図1のモータを構成するステータ及びバスバーユニットの斜視図である。
【
図3】
図2のステータ及びバスバーユニットの分解斜視図である(実施例1、実施例2)。
【
図4】
図2のバスバーユニットのバスバーを除くモールド樹脂部分のみの斜視図である。
【
図5】
図4のバスバーユニットの位置決め部の拡大断面図である。
【
図6】
図4のバスバーユニットのバスバーの一例の斜視図である。
【
図7】
図4のバスバーユニットのバスバーの他の例の斜視図である。
【
図9】
図8のバスバーユニットの溶接接続部の拡大斜視図である。
【
図10】
図2のステータとバスバーユニットの位置決め部における拡大断面図である。
【
図11】
図2のステータとバスバーユニットの位置決め部における拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明のモータ4を搭載した実施例の電動圧縮機1の概略縦断側面図、
図2はモータ4のステータ21とバスバーユニット26の斜視図、
図3は
図2の分解斜視図をそれぞれ示している。
【0022】
図1において、実施例の電動圧縮機1は、容器2内にスクロール圧縮要素3と本発明のモータ4を収納してなるインバータ一体型スクロール式電動圧縮機である。圧縮要素の実施例としてのスクロール圧縮要素3は、容器2に固定された固定スクロール6と、モータ4の回転軸8により、固定スクロール6に対して回転せずに公転運動される可動スクロール7とから成り、固定スクロール6に形成された渦巻き状のラップ11と可動スクロール7に形成された渦巻き状のラップ12とが噛み合うように配置されている。
【0023】
容器2内には図示しない冷媒導入通路から冷媒が導入され、両ラップ11、12間に構成される圧縮室に外側から吸い込まれる。この圧縮室は可動スクロール7の公転運動により中心に向けて狭くなるため、吸い込まれた冷媒は圧縮され、中心部から吐出室14、図示しない冷媒吐出通路を経て吐出されることになる。また、容器2内は低圧となるため、モータ4の周囲にも冷媒が通過することになり、この冷媒でモータ4は冷却されるかたちとなる。
【0024】
次に、本発明のモータ4について説明する。実施例のモータ4は永久磁石同期モータであり、複数枚の電磁鋼板を積層して成るコア22と細い径のマグネットワイヤ23(巻線)とインシュレータ27から成るステータ21と、回転軸8に固定されてステータ21の内側で回転する磁石内蔵型のロータ24(これも複数枚の電磁鋼板を積層して成る)等から構成されている。
【0025】
ステータ21のコア22は、
図3に示されるように複数(極数に応じた数。実施例では12個)のティース28を有しており、各ティース28間のスロット29は、中心方向に向けて開放した形状とされている。インシュレータ27はコア22の端部に取り付けられ、マグネットワイヤ23はこのインシュレータ27に巻回される。これにより、インシュレータ27はコア22に固定され、コア22とマグネットワイヤ23の間にインシュレータ27が位置して絶縁されることになる。尚、インシュレータ27は、実施例ではLCP、PPS、又は、PBT等の絶縁性の合成樹脂の射出成型により環状に形成されている。
【0026】
コア22の各ティース28に対応する位置におけるインシュレータ27の外面には、ステータ21の軸方向に延びる溝31が複数(実施例では計12箇所)形成されている。更に、各溝31内のコア22とは反対側の位置には、凹部32がそれぞれ形成されている。尚、実施例では凹部32を貫通した矩形状の孔から構成しているが、底を有する矩形状の凹みで構成してもよい。
【0027】
尚、容器2の端部には、
図1に示す如くモータ4を駆動するためのインバータ34を収容するインバータ室40が形成されており、このインバータ室40の底壁を貫通するように三相端子33が取り付けられ、この三相端子33の一端は、インバータ34に接続されている。
【0028】
次に、上記ステータ21に固定されるバスバーユニット26とカバー30について説明する。バスバーユニット26は、ステータ21のコア22の各スロット29から出るマグネットワイヤ23と、上記三相端子33の他端を集約して電気的に接続するための接続部材であり、
図6や
図7に示す如き形状の金属製(導電性部材)のバスバー36を、
図4に示す如き形状となる樹脂37(絶縁性の硬質樹脂)でモールドしたものである。尚、
図6はマグネットワイヤ23が直列配線である場合のバスバー、
図7は並列配線の場合のバスバーの例を示している。
【0029】
実施例の場合、バスバー36は円環部38と、この円環部38から放射状に延びる複数の脚部39と、各脚部39の先端を直角に曲げて形成された溶接接続部41を一体に備えている。脚部39は実施例の各スロット29から出るマグネットワイヤ23の本数24に対応して24本形成されると共に、各脚部39は二本ずつ一組(計12組)とされ、各組の脚部39の先端が、それぞれ離間する方向に直角に曲げられて溶接接続部41(計24箇所)が形成されている。
【0030】
そして、このバスバー36は樹脂37によりモールドされ(インサータ成形)、バスバー36と樹脂37とが一体化されたバスバーユニット26とされている。この場合、バスバー36の円環部38はバスバーユニット26の円環部42内に埋設され、各脚部39はバスバーユニット26の円環部42から放射状に延びる12個の脚部43内に埋設されたかたちとなる。但し、各溶接接続部41はバスバーユニット26の各脚部43の先端より少許手前において、樹脂37から両側方に突出している。
【0031】
また、バスバーユニット26の円環部42の所定の位置には、端子接続部44が三箇所形成されており、この端子接続部43には三相端子33の他端が差し込まれてバスバー36と電気的に接続される。
【0032】
更に、バスバーユニット26の各脚部43の先端には、位置決め部47がそれぞれ形成されている。この位置決め部47の詳細形状は
図5、
図8~
図11に示される。位置決め部47は、インシュレータ27の溝31と略同等の幅を有して当該溝31内に進入可能な係合部51と、この係合部51の先端内側に突出形成された爪状の固定部52と、係合部51の基部から幅が拡開した拡幅部53から構成されている。
【0033】
そして、バスバーユニット26の各位置決め部47の係合部51をインシュレータ27の各溝31内に軸方向から進入させると、やがて固定部52が凹部32内に嵌合する。このとき、溝31はインシュレータ27の外面に軸方向に伸びるかたちで形成されているので、各位置決め部47を各溝31に軸方向から容易に進入させることができる。
【0034】
固定部52が凹部32内に嵌合した状態で、拡幅部53はインシュレータ27のコア22とは反対側の面に当接する。この係合部51と溝31との係合により、バスバーユニット26の周方向への移動が阻止されると共に、固定部52と凹部32との嵌合、及び、拡幅部53とインシュレータ27との当接により、バスバーユニット26の軸方向への移動も阻止され、バスバーユニット26のステータ21に対する位置決めと固定が同時に成されることになる。
【0035】
このようにバスバーユニット26をインシュレータ27に位置決めして固定した後、
図9に示す如く各スロット29から出るマグネットワイヤ23をバスバー36の溶接接続部41に溶接する。その際、マグネットワイヤ23は
図9に右側に示す如く溶接接続部41に巻回するか、左側に示す如く溶接接続部41を折り曲げてマグネットワイヤ23を挟み込むことで、マグネットワイヤ23を溶接接続部41に仮止めする。
【0036】
このようにマグネットワイヤ23を溶接接続部41に溶接接続した後、カバー30にて溶接接続部41を被覆する。このカバー30は絶縁性の硬質樹脂から成形され、
図3に示されるような円環状を呈している。このカバー30で溶接接続部41を被覆することで絶縁が図られるが、内側に樹脂(図示せず)を充填してモールドしてもよい。
【0037】
以上詳述した如く本発明では、インシュレータ27の外面に軸方向に伸びる複数の溝31を形成すると共に、複数の凹部32を形成し、バスバーユニット26には、インシュレータ27の各溝31に進入してバスバーユニット26とステータ21との位置決めを行う複数の位置決め部47と、インシュレータ27の各凹部32に嵌合してバスバーユニット26をステータ21に固定する複数の固定部52を設けたので、インシュレータ27の各凹部32とバスバーユニット26の各固定部52との嵌合によって、マグネットワイヤ23に荷重をかけること無く、バスバーユニット26をステータ21に固定することができるようになる。これにより、実施例の如く細い径のマグネットワイヤ23を使用することが可能となり、実施例の如き電動圧縮機1に極めて有効なものとなる。
【0038】
特に、インシュレータ27の外面に軸方向に延びる溝31を複数形成し、バスバーユニット26の複数の位置決め部47をインシュレータ27の各溝31に進入させるようにしたので、バスバーユニット26の位置決め部47を軸方向からインシュレータ27の溝31に進入させることでステータ21に対するバスバーユニット26の位置決めを行うことができるようになり、組立作業性も改善される。
【0039】
この場合、実施例ではインシュレータ27の凹部32を、複数の溝31内にそれぞれ形成しているので、位置決め部47によるバスバーユニット26の位置決めと、固定部52によるステータ21への固定を一連の動作のなかで同時に行うことが可能となり、更なる組立作業性の改善を図ることができるようになる。
【0040】
また、実施例ではバスバーユニット26を、円環部42と、この円環部42から放射状に延びる複数の脚部43から構成し、各脚部43の先端に位置決め部47を形成すると共に、各位置決め部47に固定部52をそれぞれ形成しているので、位置決め部47に位置決めと固定の二つの機能を持たせることができるようになり、バスバーユニット26の形状を簡素化しながら、組立作業性の更なる改善を効果的に実現することができるようになる。
【0041】
更に、実施例ではバスバーユニット26の各脚部43に、ステータ21の各スロット29から出るマグネットワイヤ23に対応するバスバー36の脚部39をそれぞれ埋設し、バスバー36の各脚部39の先端には、樹脂37から突出した溶接接続部41を形成し、ステータ21の各スロット29から出るマグネットワイヤ23を溶接接続部41に溶接して、電気的に接続するようにしたので、マグネットワイヤ23とバスバー36の電気的接続も容易に行うことができるようになる。
【0042】
更にまた、実施例ではバスバー36の溶接接続部41を被覆するカバー30を設けているので、マグネットワイヤ23とバスバー36の接続部分の絶縁性能の向上を図ることができるようになる。
【0043】
尚、実施例では本発明を電動圧縮機1のモータ4に適用したが、請求項6以外の発明ではそれに限らず、バスバーユニットを備えた各種モータに本発明は有効である。
【符号の説明】
【0044】
1 電動圧縮機
2 容器
3 スクロール圧縮要素
4 モータ
8 回転軸
21 ステータ
22 コア
23 マグネットワイヤ
24 ロータ
26 バスバーユニット
27 インシュレータ
29 スロット
30 カバー
31 溝
32 凹部
33 三相端子
36 バスバー
37 樹脂
41 溶接接続部
47 位置決め部
52 固定部