(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155289
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】経路予測装置、経路予測方法および経路予測プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20241024BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241024BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/00 A
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069900
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】家志 門太
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA01
2F129DD26
2F129DD39
2F129DD65
2F129EE02
2F129EE55
2F129EE57
2F129EE80
2F129EE81
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF41
2F129FF64
2F129FF65
2F129FF71
2F129HH12
5H181AA01
5H181BB04
5H181DD04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF33
5H181MA48
5H181MC12
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】移動体の移動経路を予測できる経路予測装置を提供する。
【解決手段】経路候補作成手段81は、一の時刻において移動体が位置すると仮定する地点である対象地点を選択し、一の時刻を基準として、前後の時刻で移動体が移動可能な範囲にある地点である移動候補地点を選択し、選択された対象地点および移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成する。経路候補選択手段82は、作成された経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の時刻において移動体が位置すると仮定する地点である対象地点を選択し、前記一の時刻を基準として、前後の時刻で前記移動体が移動可能な範囲にある地点である移動候補地点を選択し、選択された前記対象地点および前記移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成する経路候補作成手段と、
作成された前記経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択する経路候補選択手段とを備えた
ことを特徴とする経路予測装置。
【請求項2】
経路候補選択手段は、移動体が移動する経路で重複する部分と、計測された対応する部分のトラフィックとの差分を最小化するように、経路候補を選択する
請求項1記載の経路予測装置。
【請求項3】
経路候補選択手段は、計測された移動体のトラフィックと、同時刻の同地点を経由する経路候補を選択した移動体の合計との差分の合計を最小化する最適化問題を解くことにより、経路候補を選択する
請求項1または請求項2記載の経路予測装置。
【請求項4】
経路候補作成手段は、対象地点として、トラフィックの多い地点を優先的に選択する
請求項1または請求項2記載の経路予測装置。
【請求項5】
経路候補作成手段は、既知の混雑要因を回避する迂回経路を一部に含む経路候補を作成する
請求項1または請求項2記載の経路予測装置。
【請求項6】
一の時刻において移動体が位置すると仮定する地点である対象地点を選択し、
前記一の時刻を基準として、前後の時刻で前記移動体が移動可能な範囲にある地点である移動候補地点を選択し、
選択された前記対象地点および前記移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成し、
作成された前記経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択する
ことを特徴とする経路予測方法。
【請求項7】
移動体が移動する経路で重複する部分と、計測された対応する部分のトラフィックとの差分を最小化するように、経路候補を選択する
請求項6記載の経路予測方法。
【請求項8】
コンピュータに、
一の時刻において移動体が位置すると仮定する地点である対象地点を選択し、前記一の時刻を基準として、前後の時刻で前記移動体が移動可能な範囲にある地点である移動候補地点を選択し、選択された前記対象地点および前記移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成する経路候補作成処理、および、
作成された前記経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択する経路候補選択処理
を実行させるための経路予測プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
経路候補選択処理で、移動体が移動する経路で重複する部分と、計測された対応する部分のトラフィックとの差分を最小化するように、経路候補を選択させる
請求項8記載の経路予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の経路を予測する経路予測装置、経路予測方法および経路予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の移動が集中する交通渋滞や、多くの人が訪れるイベントでの人混みは、車両や人の移動が妨げられるだけでなく、交通事故や群衆事故を引き起こす可能性のある事象である。そのため、これらの交通渋滞や人混みを軽減させることは、重要な課題と言える。
【0003】
例えば、非特許文献1には、量子アニーリングを使用したトラフィックフローの最適化について記載されている。非特許文献1に記載された方法では、市街地を出発地、空港を目的地とする経路が混雑する場合に、車1台ごとに複数の経路を作成し、なるべく重複しない経路の組み合わせを選択する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Florian Neukart, et al., "Traffic flow optimization using a quantum annealer", Front. ICT, Sec. Quantum Engineering and Technology, Volume 4 - 2017, 20 December 2017
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
観測情報や過去の渋滞情報などから、各地点の混雑状況を計測することや予測することは可能である。そのため、非特許文献1に記載されているような出発地と目的地が決まっている状況であれば、最適な経路の組み合わせを導出することは可能と言える。
【0006】
しかし、混雑状況が把握できる状態であっても、一般に、交通渋滞を引き起こしている車両が、どこからどこへ向かうのかは不明である。
図6は、混雑状況の例を示す説明図である。
図6に示す例では、時刻tにおいて、地点P1には車両が5台存在し、地点P2には車両が2台存在していることを示す。
【0007】
例えば、地点P2に存在する車両のうち、1台は、経路R1を移動することが想定されていたとする。しかし、非特許文献1に記載された方法では、行先が不明な車両が移動する経路を推定することは考慮されていない。
【0008】
そこで、本発明では、移動体の移動経路を予測できる経路予測装置、経路予測方法および経路予測プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による経路予測装置は、一の時刻において移動体が位置すると仮定する地点である対象地点を選択し、一の時刻を基準として、前後の時刻で移動体が移動可能な範囲にある地点である移動候補地点を選択し、選択された対象地点および移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成する経路候補作成手段と、作成された経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択する経路候補選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明による経路予測方法は、一の時刻において移動体が位置すると仮定する地点である対象地点を選択し、一の時刻を基準として、前後の時刻で移動体が移動可能な範囲にある地点である移動候補地点を選択し、選択された対象地点および移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成し、作成された経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択することを特徴とする。
【0011】
本発明による経路予測プログラムは、コンピュータに、一の時刻において移動体が位置すると仮定する地点である対象地点を選択し、一の時刻を基準として、前後の時刻で移動体が移動可能な範囲にある地点である移動候補地点を選択し、選択された対象地点および移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成する経路候補作成処理、および、作成された経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択する経路候補選択処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、移動体の移動経路を予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の経路予測装置の一実施形態の構成例を示すブロック図である。
【
図2】経路候補を作成する処理の例を示す説明図である。
【
図3】経路候補を選択する処理の例を示す説明図である。
【
図4】経路予測装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明による経路予測装置の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。本発明の経路予測装置は、出発地および目的地が必ずしも明確でない移動体が移動する経路を予測する装置であり、多くの移動体が移動する経路の傾向を予測するものである。
【0015】
図1は、本発明の経路予測装置の一実施形態の構成例を示すブロック図である。本実施形態の経路予測装置100は、記憶部10と、経路候補作成部20と、経路候補選択部30と、出力部40とを備えている。
【0016】
記憶部10は、過去に計測された各地点のトラフィックを時刻ごとに記憶する。各地点のトラフィックとは、移動体が移動する経路上の各地点における移動量を示す情報である。なお、本実施形態で想定する移動体は任意であり、車両、人間、通信パケットなどが挙げられる。例えば、移動体が車両の場合、各地点のトラフィックは、道路上の各地点における交通量を示す。また、例えば、移動体が人の場合、各地点のトラフィックは、通路上の各地点における通行量を意味する。また、例えば、移動体が通信パケットである場合、各地点のトラフィックは、ルータなどの中継機器を経由するパケット数を意味する。
【0017】
経路候補作成部20は、記憶部10に記憶されたトラフィックに基づいて、移動体の経路の候補を作成する。具体的には、経路候補作成部20は、まず、ある時刻tにおいて、移動体が位置すると仮定する任意の地点(以下、対象地点と記す。)を選択する。例えば、移動体が車両の場合、経路候補作成部20は、地図上で道路が通っている任意の地点を対象地点として選択してもよい。
【0018】
なお、対象地点を選択する方法は任意である。経路候補作成部20は、例えば、確率的に対象地点を選択してもよく、網羅的に対象地点を選択してもよい。また、経路候補作成部20は、トラフィックの多い地点を優先的に選択してもよい。
【0019】
次に、経路候補作成部20は、ある時刻tを基準として、前後の時刻t±αで移動可能な範囲にある任意の地点(以下、移動候補地点と記す。)を選択する。例えば、移動体が車両の場合、経路候補作成部20は、地図上で道路が通っている地点を移動候補地点として選択してもよい。
【0020】
なお、移動候補地点を選択する方法も任意である。経路候補作成部20は、例えば、確率的に移動候補地点を選択してもよく、網羅的に移動候補地点を選択してもよい。また、前後の時刻は、前の時刻のみ、または、後の時刻のみであってもよい。
【0021】
また、移動可能な範囲とは、想定される速度および距離に応じて移動体が移動可能な地点の集合であり、例えば、最短経路や、一部の制約を想定した準最短経路などで特定される地点の集合である。なお、移動可能な範囲を特定する方法は広く知られており、ここでは詳細な説明は省略する。
【0022】
対象地点および移動候補地点が選択された後、経路候補作成部20は、これらの地点を経由する合理的な複数の経路候補を作成する。合理的な経路候補とは、無駄な逆走や極端な迂回経路、移動不可の範囲など、移動体が通常選択しないと想定される経路を除外した経路候補を意味する。
【0023】
すなわち、経路候補作成部20は、対象地点および移動候補地点を経由する経路候補を複数作成する。経路候補作成部20は、例えば、対象地点および移動候補地点を経路に含む最短の経路候補を作成してもよいし、既知の混雑要因を回避するような迂回経路を一部に含む準最短と言える経路候補を作成してもよい。このように、複数のタイプの候補経路を作成することで、偏った経路候補が選択されることを抑制できる。なお、各地点を経由させた経路候補を作成する方法も広く知られており、ここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
図2は、経路候補を作成する処理の例を示す説明図である。
図2では、移動体として車両を例示する。まず、経路候補作成部20は、ある時刻tの交通量に応じて、確率的に車両の位置を選択する(ステップS101)。
図2に示す例では、時刻tにおいて、2台の車両が観測された地点が対象地点として選択されたとする。
【0025】
次に、経路候補作成部20は、前後の時刻の移動可能な範囲で、車両の任意の位置を選択する(ステップS102)。
図2に示す例では、時刻t-1において、3つの移動候補地点が選択されたものとする。
【0026】
経路候補作成部20は、時刻tを中心として、対象地点および移動候補地点を経由するそれらしい経路(すなわち、経路候補)を作成する(ステップS103)。
図2に示す例では、経路候補作成部20が、選択された移動候補地点ごとに3つの経路候補を作成したことを示す。
【0027】
経路候補作成部20は、上記対象地点の選択処理および移動候補地点の選択処理、並びに、経路候補の作成処理を繰り返し、予め定めた一定数以上の経路候補を作成する。経路候補作成部20は、作成した経路候補を記憶部10に記憶させてもよい。
【0028】
経路候補選択部30は、作成された経路候補の中から、計測されたトラフィックを最もよく表わす経路候補(すなわち、最も近似する経路候補)を選択する。具体的には、経路候補選択部30は、移動体が移動する経路で重複する部分と、過去に計測された対応する部分のトラフィックとの差分を最小化するように、経路候補を選択する。なお、経路候補選択部30は、特定の車両の移動経路を特定する必要はない。
【0029】
このような経路候補を選択する問題は、上記差分を最小化する最適化問題として扱うことができる。ここで、ある地点pの時刻tにおけるトラフィックをT(t,p)とし、ある時刻tにおいて地点pを通過する移動体の経路(経路候補)の集合をR(t,p)とする。経路候補rを採用するか否かを表わす変数をxとすると、上記差分を表わす目的関数は、例えば、以下に例示する式1で表わされる。
【0030】
【0031】
なお、式1に例示するxについて、ルートrを採用する場合にxr=1、ルートrを採用しない場合にxr=0になる。経路候補選択部30は、例えば、上記式1に例示する目的関数を最小化する最適化問題を解くことにより、経路候補を選択してもよい。
【0032】
また、経路候補選択部30は、自身が最適化処理を行う代わりに、量子コンピュータ(図示せず)に最適化処理を実行させてもよい。量子コンピュータに最適化処理をさせる際に用いられるハミルトニアンは、例えば、以下に例示する式2で表わされる。なお、変数の内容は、上記式1についての変数と同様である。
【0033】
【0034】
なお、上記に示す式1および式2は、最適化処理に用いる目的関数の例示であり、計測された移動体のトラフィック(すなわち、T(t,p))と、同時刻の同地点を経由する経路候補を選択した移動体の合計(すなわち、Σxr)との差分の合計を最小化する最適化問題として表わされていれば、目的関数の内容は任意である。
【0035】
図3は、経路候補を選択する処理の例を示す説明図である。
図3に示す例では、
図2に例示する経路候補が作成されているものとする。経路候補選択部30は、作成された経路候補のうち、対象とする期間(時刻t-1から時刻t+1)において、計測された台数と最も一致する経路候補を選択する。
【0036】
図3に示す例では、2台の車両が、それぞれ経路候補C1および経路候補C2を選択した場合に、過去に計測された交通量と差分が最小になる。そこで、経路候補選択部30は、この経路候補C1および経路候補C2を選択すればよい。
【0037】
出力部40は、経路候補選択部30により選択された経路候補を出力する。出力部40は、特定された経路候補を、例えば、地図やネットワーク図に重畳させて出力してもよい。
【0038】
経路候補作成部20と、経路候補選択部30と、出力部40とは、プログラム(経路予測プログラム)に従って動作するコンピュータのプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit))によって実現される。また、記憶部10は、磁気ディスク等により実現される。
【0039】
例えば、プログラムは、経路予測装置100の記憶部10に記憶され、プロセッサは、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、経路候補作成部20、経路候補選択部30、および、出力部40として動作してもよい。また、経路予測装置100の機能がSaaS(Software as a Service )形式で提供されてもよい。
【0040】
また、経路候補作成部20と、経路候補選択部30と、出力部40とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用又は専用の回路(circuitry )、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。
【0041】
また、経路予測装置100の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0042】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図4は、本実施形態の経路予測装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0043】
経路候補作成部20は、時刻tにおける対象地点を選択する(ステップS11)。次に、経路候補作成部20は、時刻t±αで移動可能な範囲の移動候補地点を選択する(ステップS12)。そして、経路候補作成部20は、選択された対象地点および移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成する(ステップS13)。
【0044】
経路候補選択部30は、作成された経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択する(ステップS14)。経路候補選択部30は、例えば、上記に示す式1を用いた最適化処理により、経路候補を選択してもよい。そして、出力部40は、選択された経路候補を出力する(ステップS15)。
【0045】
以上のように、本実施形態では、経路候補作成部20が対象地点および前後の時刻で移動可能な移動候補地点を選択し、選択された対象地点および移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成する。そして、経路候補選択部30は、作成された経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択する。よって、移動体の移動経路を予測できる。
【0046】
すなわち、本実施形態では、経路候補作成部20が計測されたトラフィックを元に複数の経路(最適な経路、妥当な経路、遠回りの経路など)を作成し、経路候補選択部30が、これらを組み合わせて重複させた経路が過去に計測されたトラフィックに近くなるように経路候補の組み合わせを選択する。それにより、例えば、出発地や目的地の傾向を予測することが可能になる。
【0047】
次に、本発明の概要を説明する。
図5は、本発明による経路予測装置の概要を示すブロック図である。本発明による経路予測装置80(例えば、経路予測装置100)は、一の時刻(例えば、時刻t)において移動体(例えば、車両、人、通信パケットなど)が位置すると仮定する地点である対象地点を選択し、一の時刻を基準として、前後の時刻(例えば、時刻±α)で移動体が移動可能な範囲にある地点である移動候補地点を選択し、選択された対象地点および移動候補地点を経由する複数の経路候補を作成する経路候補作成手段81(例えば、経路候補作成部20)と、作成された経路候補の中から、過去に計測された各地点のトラフィックに最も近似する経路候補を選択する経路候補選択手段82(例えば、経路候補選択部30)とを備えている。
【0048】
そのような構成により、移動体の移動経路を予測できる。
【0049】
また、経路候補選択手段82は、移動体が移動する経路で重複する部分と、計測された対応する部分のトラフィックとの差分を最小化するように、経路候補を選択してもよい。
【0050】
具体的には、経路候補選択手段82は、計測された移動体のトラフィックと、同時刻の同地点を経由する経路候補を選択した移動体の合計との差分の合計を最小化する最適化問題(例えば、上記式1または式2に示す目的関数の最小化)を解くことにより、経路候補を選択してもよい。
【0051】
また、経路候補作成手段81は、対象地点として、トラフィックの多い地点を優先的に選択してもよい。
【0052】
また、経路候補作成手段81は、既知の混雑要因を回避する迂回経路を一部に含む経路候補を作成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 記憶部
20 経路候補作成部
30 経路候補選択部
40 出力部
100 経路予測装置