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特開2024-155291緩和条件抽出装置、方法およびプログラム
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  • 特開-緩和条件抽出装置、方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155291
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】緩和条件抽出装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 99/00 20190101AFI20241024BHJP
【FI】
G06N99/00 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069902
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人
(72)【発明者】
【氏名】家志 門太
(57)【要約】
【課題】より好ましい最適化結果を得るために緩和すべき条件を抽出できる緩和条件抽出装置を提供する。
【解決手段】入力手段81は、目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける。モデル変更手段82は、最適化問題に対し、その最適化問題と比較して、目的関数および制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に最適化問題を変更する。制約違反抽出手段83は、変更された最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、その結果を最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける入力手段と、
前記最適化問題に対し、当該最適化問題と比較して、前記目的関数および前記制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に前記最適化問題を変更するモデル変更手段と、
変更された前記最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、当該結果を前記最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する制約違反抽出手段とを備えた
ことを特徴とする緩和条件抽出装置。
【請求項2】
入力手段は、最適と想定されるハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける
請求項1記載の緩和条件抽出装置。
【請求項3】
モデル変更手段は、目的関数に設定されるハイパーパラメータの値を増加させる変更を行う
請求項1または請求項2記載の緩和条件抽出装置。
【請求項4】
モデル変更手段は、既に得られた最適解と比較して、さらに好ましい数値を導出することを強制する条件を追加する変更を行う
請求項1または請求項2記載の緩和条件抽出装置。
【請求項5】
最適化処理が量子アニーリングにより実行され、制約違反抽出手段は、最適化処理および違反する制約を抽出する処理を複数回繰り返す
請求項1または請求項2記載の緩和条件抽出装置。
【請求項6】
違反するとして抽出された制約の条件を緩和した緩和条件を最適化問題に設定する緩和条件処理手段を備えた
請求項1または請求項2記載の緩和条件抽出装置。
【請求項7】
目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付け、
前記最適化問題に対し、当該最適化問題と比較して、前記目的関数および前記制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に前記最適化問題を変更し、
変更された前記最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、当該結果を前記最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する
ことを特徴とする緩和条件抽出方法。
【請求項8】
最適と想定されるハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける
請求項7記載の緩和条件抽出方法。
【請求項9】
コンピュータに、
目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける入力処理、
前記最適化問題に対し、当該最適化問題と比較して、前記目的関数および前記制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に前記最適化問題を変更するモデル変更処理、および、
変更された前記最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、当該結果を前記最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する制約違反抽出処理
を実行させるための緩和条件抽出プログラム。
【請求項10】
コンピュータに、
入力処理で、最適と想定されるハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付けさせる
請求項9記載の緩和条件抽出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適化処理で緩和する対象の条件を抽出する緩和条件抽出装置、緩和条件抽出方法および緩和条件抽出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の条件を考慮しながら、各種のスケジュールを作成する業務が日常的に行われている。複数の条件を満たすように好ましいスケジュールを人手によって作成することは難しいため、このような計画をコンピュータを用いて効率的に作成する方法が各種提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数工程からなる業務における各工程の必要人数を効率的に算定する装置が記載されている。特許文献1に記載された装置は、各制約条件が満たされる際に最小となる制約条件用関数を項として含む目的関数に関して、各チームの配置人員数をスピンとしたイジングモデルを演算することで、各工程における時間帯ごとのチームの配置人員数を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-151199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、スケジュールの作成を行う場合、休日や、連勤、スキルなどが条件として考慮される。一般に、条件が厳しいと、好ましいスケジュールが作成できない状況や、全ての条件を満たすスケジュールがそもそも作成できない状況になる可能性がある。この場合、一部の条件を調整して好ましいスケジュールに変更する作業が行われることがある。しかし、より好ましい結果にするために調整すべき条件を抽出することは容易ではない。
【0006】
ここで、条件の中には、一部の条件を緩和することで、より好ましい最適化結果を得ることができる場合がある。特許文献1に記載された装置では、アニーリング法において、制約条件としたい項目も目的関数に入れ込み、制約条件に乗じた定数の比率に応じて、制約条件間での重視度を変更する。しかし、特許文献1に記載された方法では、制約条件間または目的関数と制約条件との間の重視度を相対的に変更するものであるため、多くの制約条件を考慮して好ましい結果に緩和できる条件を抽出することは困難である。
【0007】
そこで、本発明では、より好ましい最適化結果を得るために緩和すべき条件を抽出できる緩和条件抽出装置、緩和条件抽出方法および緩和条件抽出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による緩和条件抽出装置は、目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける入力手段と、最適化問題に対し、その最適化問題と比較して、目的関数および制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に最適化問題を変更するモデル変更手段と、変更された最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、その結果を最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する制約違反抽出手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明による緩和条件抽出方法は、目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付け、最適化問題に対し、その最適化問題と比較して、目的関数および制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に最適化問題を変更するし、変更された最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、その結果を最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出することを特徴とする。
【0010】
本発明による緩和条件抽出プログラムは、コンピュータに、目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける入力処理、最適化問題に対し、その最適化問題と比較して、目的関数および制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に最適化問題を変更するするモデル変更処理、および、変更された最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、その結果を最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する制約違反抽出処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より好ましい最適化結果を得るために緩和すべき条件を抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の緩和条件抽出装置の一実施形態の構成例を示すブロック図である。
図2】緩和条件抽出装置の動作例を示すフローチャートである。
図3】本発明による緩和条件抽出装置の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の緩和条件抽出装置の一実施形態の構成例を示すブロック図である。本実施形態の緩和条件抽出装置100は、記憶部10と、入力部20と、パラメータ設定部30と、モデル変更部40と、制約違反抽出部50と、緩和条件処理部60と、出力部70と、最適化処理実行部110とを備えている。
【0015】
最適化処理実行部110は、与えられた問題を最適化する。具体的には、最適化処理実行部110は、与えられた制約条件の下で、目的関数を最大化(または最小化)する最適化処理を実行する。以下の説明では、目的関数および制約で表わされた最適化問題をモデルと記すこともある。本実施形態では、目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題をモデルとして想定する。
【0016】
最適化処理実行部110の態様は、解くべき最適化問題(モデル)に応じて予め決定される。最適化処理実行部110は、例えば、モデルに応じて選択された最適化ソルバを実行するCPUによって実現されていてもよい。また、最適化処理実行部110は、ハミルトニアンの基底状態の基底エネルギーを求めるイジングマシン(量子アニーリングマシン)によって実現されていてもよい。この場合、最適化処理実行部110が、緩和条件抽出装置100とは別の装置で実現されていてもよい。
【0017】
例えば、イジングマシンにより最適化処理を行う場合、モデルであるハミルトニアンは、以下に例示する式1で表わされる。式1において、第一項は目的関数を表わし、第二項は制約を表わす。また、式1におけるa,bはハイパーパラメータである。
【0018】
【数1】
【0019】
ハミルトニアンが、上記の式1のように表わされている場合、最適化処理実行部110は、Hを最小化するように変数を決定する。これに先立ち、制約(第二項)を満たしながら目的関数(第一項)を最小化できるように、ハイパーパラメータaおよびハイパーパラメータbがチューニングされる。なお、ハイパーパラメータaおよびハイパーパラメータbをチューニングする方法は後述される。
【0020】
本実施形態では、最適化処理に上記式1に例示するハミルトニアンが用いられ、最適化処理実行部110として、イジングマシン(量子アニーリングマシン)が用いられる場合について説明する。ただし、最適化処理に用いられるモデルはハミルトニアンに限定されず、最適化処理を行う装置もイジングマシンに限定されない。例えば、最適化処理実行部110に古典コンピュータが用いられる場合、最適化対象のモデルが、目的関数と制約条件とをハイパーパラメータを用いて線形結合させた態様で表わされていてもよい。
【0021】
なお、最適化ソルバを利用して最適化処理を実行する方法や、イジングマシン(量子アニーリングマシン)を用いてアニーリング処理(最適化処理)を実行する方法は広く知られているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0022】
記憶部10は、本実施形態の緩和条件抽出装置100が各種処理に用いる情報を記憶する。また、本実施形態の記憶部10は、最適化処理実行部110が最適化処理に用いる目的関数や制約条件、後述するパラメータ設定部30が最適化問題に設定するハイパーパラメータを記憶していてもよい。記憶部10は、例えば、磁気ディスク等により実現される。
【0023】
入力部20は、最適化処理に用いる各種情報の入力を受け付け、記憶部10に記憶させる。入力部20は、最適化処理として、スケジュールの最適化を行う場合、入力部20は、配置する作業員の情報や、作業内容の情報、連勤情報、作業員のスキル情報などを受け付けてもよい。また、入力部20は、制約条件として、作業員が要求する休日の情報、連勤条件、作業に要するスキルの情報、などの情報を受け付けてもよい。
【0024】
他にも、入力部20は、最適化処理に用いるモデル(ハミルトニアン)や、設定するパラメータ(ハイパーパラメータ)などの入力を受け付け、記憶部10に記憶させてもよい。
【0025】
出力部70は、緩和条件抽出装置100が行う各種処理結果を出力する。出力部70は、例えば、処理結果をディスプレイなどの表示装置(図示せず)に出力させてもよい。
【0026】
パラメータ設定部30は、最適化処理の対象とするモデルにおいて、最適と想定されるハイパーパラメータを設定する。例えば、上記式1に示すようなハミルトニアンがモデルとして用いられる場合、パラメータ設定部30は、最適と想定されるハイパーパラメータaおよびハイパーパラメータbをハミルトニアンに設定する。
【0027】
なお、ここで設定されるハイパーパラメータが必ずしも最適である必要はない。より最適なハイパーパラメータが設定されることで、後述する緩和条件処理部60が、より効果の高い緩和条件を抽出できるため好ましい。
【0028】
パラメータ設定部30が最適なハイパーパラメータを設定する方法は任意である。パラメータ設定部30は、例えば、Optuna(登録商標)など、既知のフレームワークを用いて最適なハイパーパラメータを導出して設定してもよい。その際、本実施形態の最適化処理実行部110が、各種の最適化処理を実行してもよい。
【0029】
なお、最適と想定されるハイパーパラメータがすでにモデル(ハミルトニアン)に設定されている場合、緩和条件抽出装置100は、パラメータ設定部30を備えていなくてもよい。この場合、例えば、記憶部10が、ハイパーパラメータが設定されたモデルを記憶しておけばよい。
【0030】
モデル変更部40は、最適と想定されるハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題(すなわち、モデル)に対し、そのモデルと比較して、目的関数および制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反を、より生じやすくする態様にモデルを変更する。モデルを変更する態様として、目的関数に設定されるハイパーパラメータの値を増加させる(すなわち、目的関数の影響を制約よりも大きくするようにハイパーパラメータの値を増加させる)方法が挙げられる。値を増加させる方法は任意であり、例えば、予め定めた割合や予め定めた数値分増加させてもよい。
【0031】
他にも、モデルを変更する態様として、既に得られた最適解と比較して、さらに好ましい数値を導出することを強制する条件を追加することが挙げられる。例えば、上記式1のHを最小化する最適化において、既に得られた最適値Vに対し、最適値を(H-最適値V*0.9)まで最小化する最適化を強制する条件などが挙げられる。
【0032】
制約違反抽出部50は、変更後のモデルに対する最適化処理を最適化処理実行部110に実行させる。なお、最適化処理の方法は、変更前のモデルに対する最適化処理と同様である。そして、制約違反抽出部50は、変更されたモデルに対して行われた最適化処理の結果に基づいて、その最適化結果をモデルに適用した場合に違反する制約を抽出する。上記モデル変更部40によるモデルの変更で、最適化結果を得るために制約違反が発生している可能性が高いためである。
【0033】
ここで、最適化処理実行部110がイジングマシンである場合、最適化処理が量子アニーリングにより実行される。この場合、量子アニーリングによる最適化処理で得られる最適化結果は異なる可能性が高くなり、異なる最適化結果をモデルに適用した場合に抽出される制約違反も異なる可能性が高い。そのため、制約違反抽出部50は、最適化処理および違反する制約を抽出する処理を複数回繰り返すことが好ましい。これにより、違反が生じやすい制約の候補を複数抽出する(サンプリングする)ことが可能になる。
【0034】
出力部70は、制約違反抽出部50が抽出した違反する制約を出力してもよい。抽出された違反する制約は、最適化処理の妨げになりやすい制約であり、満たすことが厳しい制約であると言える。そのため、出力部70が抽出された制約を出力することで、ユーザが最適化処理においてネックになっている制約を把握できる。
【0035】
緩和条件処理部60は、違反するとして抽出された制約の条件を緩和した制約(以下、緩和条件と記す。)をモデルに設定する。具体的には、緩和条件処理部60は、ユーザから緩和条件の指定を受け付けて、モデルに設定する。
【0036】
例えば、スケジュール最適化が行われる場合、制約として、作業員の夜勤希望や、要求する休日の日数、休日として要求する日付などが挙げられる。上記式1に示すハミルトニアンが用いられる場合、緩和条件処理部60は、緩和条件として、対応する制約に設定される係数bの値を小さくする設定をハミルトニアンに行えばよい。なお、設定の方法は任意である。例えば、モデルが上記示す式1で表わされている場合、緩和条件処理部60は、予め定めた割合で減少させたハイパーパラメータbの値をモデルに設定してもよい。
【0037】
緩和条件処理部60は、緩和条件が設定されたモデルに対する最適化処理を最適化処理実行部110に実行させる。そして、出力部70は、最適化処理の結果を出力する。以降、ユーザにより最適化処理の結果が確認され、必要に応じて、モデル変更部40、制約違反抽出部50および緩和条件処理部60の処理が繰り返される。
【0038】
例えば、具体例として、夜勤希望の制約が違反として抽出されたとし、提出されている夜勤希望のうち、誰かの予定を1日だけ別日に変更することで全体最適化を検討したいとする。モデルが上記示す式1で表わされている場合、緩和条件処理部60は、夜勤希望を表わす各作業員の制約に対応する係数bの値をそれぞれ変更することで、ユーザは、より好ましい最適化結果が得られるか否か試行してもよい。
【0039】
なお、指定する制約(条件)に対応する係数を特定する方法や、係数を小さくする方法は広く知られているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0040】
入力部20と、パラメータ設定部30と、モデル変更部40と、制約違反抽出部50と、緩和条件処理部60と、出力部70とは、プログラム(緩和条件抽出プログラム)に従って動作するコンピュータのプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit))によって実現される。
【0041】
例えば、プログラムは、緩和条件抽出装置100の記憶部10に記憶され、プロセッサは、そのプログラムを読み込み、プログラムに従って、入力部20、パラメータ設定部30、モデル変更部40、制約違反抽出部50、緩和条件処理部60および出力部70として動作してもよい。また、緩和条件抽出装置100の機能がSaaS(Software as a Service )形式で提供されてもよい。
【0042】
また、入力部20と、パラメータ設定部30と、モデル変更部40と、制約違反抽出部50と、緩和条件処理部60と、出力部70とは、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用又は専用の回路(circuitry )、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。
【0043】
また、緩和条件抽出装置100の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0044】
次に、本実施形態の緩和条件抽出装置の動作を説明する。図2は、本実施形態の緩和条件抽出装置100の動作例を示すフローチャートである。入力部20は、目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合されたモデルの入力を受け付ける(ステップS11)。本動作例では、受け付けたモデルのハイパーパラメータには、最適と想定される値が既に設定されているとする。なお、最適と想定される値がモデルのハイパーパラメータに設定されていないと判断される場合、パラメータ設定部30が最適なハイパーパラメータをモデルに設定すればよい。
【0045】
次に、モデル変更部40は、受け付けたモデルに対し、そのモデルと比較して、目的関数および制約を変更せずに最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様にモデルを変更する(ステップS12)。そして、制約違反抽出部50は、変更されたモデルに対して行われた最適化処理の結果に基づいて、その結果をモデルに適用した場合に違反する制約を抽出する(ステップS13)。
【0046】
以上のように、本実施形態では、入力部20が、目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合されたモデルの入力を受け付け、モデル変更部40が、受け付けたモデルに対し、そのモデルと比較して目的関数および制約を変更せずに最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様にモデルを変更する。そして、制約違反抽出部50が、変更されたモデルに対して行われた最適化処理の結果に基づいて、その結果をモデルに適用した場合に違反する制約を抽出する。よって、より好ましい最適化結果を得るために緩和すべき条件を抽出できる。
【0047】
また、本実施形態では、緩和条件処理部60が、違反するとして抽出された制約の条件を緩和した緩和条件をモデルに設定する。これにより、許容できる制約の優先度を低くして最適化できるため、より好ましい全体最適化結果を得ることが可能になる。
【0048】
次に、本発明の概要を説明する。図3は、本発明による緩和条件抽出装置の概要を示すブロック図である。本発明による緩和条件抽出装置80(例えば、緩和条件抽出装置100)は、目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題(例えば、モデル、上記式1)の入力を受け付ける入力手段81と、最適化問題に対し、その最適化問題と比較して、目的関数および制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に最適化問題を変更するモデル変更手段82(例えば、モデル変更部40)と、変更された最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、その結果を最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する制約違反抽出手段83(例えば、制約違反抽出部50)とを備えている。
【0049】
そのような構成により、より好ましい最適化結果を得るために緩和すべき条件を抽出できる。
【0050】
また、入力手段81は、最適と想定されるハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付けてもよい。
【0051】
また、モデル変更手段82は、目的関数に設定されるハイパーパラメータの値を増加させる変更を行ってもよい。
【0052】
他にも、モデル変更手段82は、既に得られた最適解と比較して、さらに好ましい数値を導出することを強制する条件を追加する変更を行ってもよい。
【0053】
また、最適化処理が量子アニーリングにより実行されてもよい。そして、制約違反抽出手段83は、最適化処理および違反する制約を抽出する処理を複数回繰り返してもよい。
【0054】
また、緩和条件抽出装置80は、違反するとして抽出された制約の条件を緩和した緩和条件を最適化問題に設定する緩和条件処理手段(例えば、緩和条件処理部60)を備えていてもよい。
【0055】
また、緩和条件処理手段は、緩和条件として、最適化問題において対応する制約の係数の値を小さくする設定を行ってもよい。
【0056】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0057】
(付記1)目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける入力手段と、
前記最適化問題に対し、当該最適化問題と比較して、前記目的関数および前記制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に前記最適化問題を変更するモデル変更手段と、
変更された前記最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、当該結果を前記最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する制約違反抽出手段とを備えた
ことを特徴とする緩和条件抽出装置。
【0058】
(付記2)入力手段は、最適と想定されるハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける
付記1記載の緩和条件抽出装置。
【0059】
(付記3)モデル変更手段は、目的関数に設定されるハイパーパラメータの値を増加させる変更を行う
付記1または付記2記載の緩和条件抽出装置。
【0060】
(付記4)モデル変更手段は、既に得られた最適解と比較して、さらに好ましい数値を導出することを強制する条件を追加する変更を行う
付記1から付記3のうちのいずれか1つに記載の緩和条件抽出装置。
【0061】
(付記5)最適化処理が量子アニーリングにより実行され、制約違反抽出手段は、最適化処理および違反する制約を抽出する処理を複数回繰り返す
付記1から付記4のうちのいずれか1つに記載の緩和条件抽出装置。
【0062】
(付記6)違反するとして抽出された制約の条件を緩和した緩和条件を最適化問題に設定する緩和条件処理手段を備えた
付記1から付記5のうちのいずれか1つに記載の緩和条件抽出装置。
【0063】
(付記7)緩和条件処理手段は、緩和条件として、最適化問題において対応する制約の係数の値を小さくする設定を行う
付記6記載の緩和条件抽出装置。
【0064】
(付記8)目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付け、
前記最適化問題に対し、当該最適化問題と比較して、前記目的関数および前記制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に前記最適化問題を変更し、
変更された前記最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、当該結果を前記最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する
ことを特徴とする緩和条件抽出方法。
【0065】
(付記9)最適と想定されるハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける
付記8記載の緩和条件抽出方法。
【0066】
(付記10)コンピュータに、
目的関数および制約がハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付ける入力処理、
前記最適化問題に対し、当該最適化問題と比較して、前記目的関数および前記制約を変更せずに、最適化処理において制約の違反をより生じやすくする態様に前記最適化問題を変更するモデル変更処理、および、
変更された前記最適化問題に対して行われた最適化処理の結果に基づいて、当該結果を前記最適化問題に適用した場合に違反する制約を抽出する制約違反抽出処理
を実行させるための緩和条件抽出プログラム。
【0067】
(付記111)コンピュータに、
入力処理で、最適と想定されるハイパーパラメータを用いて線形結合された最適化問題の入力を受け付けさせる
付記10記載の緩和条件抽出プログラム。
【符号の説明】
【0068】
10 記憶部
20 入力部
30 パラメータ設定部
40 モデル変更部
50 制約違反抽出部
60 緩和条件処理部
70 出力部
100 緩和条件抽出装置
110 最適化処理実行部
図1
図2
図3