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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155295
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20241024BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60H1/34 671B
G01C21/36
B60H1/34 671A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069907
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166833
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 直子
(72)【発明者】
【氏名】森 恵一
(72)【発明者】
【氏名】森 幹太
(72)【発明者】
【氏名】脇 匡史
(72)【発明者】
【氏名】高沢 修
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 渉
【テーマコード(参考)】
2F129
3L211
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB26
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD21
2F129DD70
2F129EE02
2F129EE21
2F129EE35
2F129EE43
2F129EE53
2F129EE59
2F129EE75
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE81
2F129EE83
2F129EE94
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF08
2F129FF09
2F129FF20
2F129FF43
2F129FF67
2F129GG25
2F129HH20
3L211BA41
3L211DA06
3L211DA57
3L211EA72
3L211EA73
3L211EA79
3L211FA06
3L211FB16
3L211GA57
(57)【要約】
【課題】 車両の操縦者に車両の将来の運転状態を確実に認識させることにより、安全性を高め且つ、利便性の高い運転支援装置を提供する。
【解決手段】 運転支援装置10は、車両の操縦者Dに対し送風を行う送風ファン122を有する送風手段12と、車両の将来の走行計画情報を記憶する記憶手段118と、走行計画情報に基づいて送風手段12を制御する制御部11と、を有し、送風ファン122は、車両の空調装置27のブロワ272とは別体に設けられる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操縦者に対し送風を行う送風ファンを有する送風手段と、
前記車両の将来の走行計画情報を記憶する記憶手段と、
前記走行計画情報に基づいて前記送風手段を制御する制御部と、を有し、
前記送風ファンは、車両の空調装置のブロワとは別体に設けられる、
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記送風手段を、前記空調装置と車室内とを繋ぐ送風ダクト内に設け、
前記送風ファンを前記送風ダクトの送風口付近に配置する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記空調装置のブロワの風量に応じて前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記送風ファンの上流の風速よりも下流の風速が速くなるように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記送風手段は、前記送風手段の上流側に配置される開閉手段を有し、
前記制御部は、前記ブロワの風量に応じて前記開閉手段を制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記送風口は、前記操縦者における第一領域に吹き出す第一送風口と、該操縦者における第二領域に噴き出す第二送風口を含み、
前記第一領域は前記操縦者の右側領域であり、前記第二領域は該操縦者の左側領域であり、
前記制御部は、前記走行計画情報に基づいて、前記第一送風口および前記第二送風口の少なくとも一方から前記操縦者に送風するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記空調装置による送風とは異なる態様で送風を行うように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記送風手段は、前記空調装置の前記送風口とは異なる他の送風口を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転を支援する装置の一つとして、目的地までの経路を視覚情報および聴覚情報で案内する車載用ナビゲーション装置が知られている。ナビゲーション装置は表示手段に目的地までの経路を表示するとともに、経路上に設定される目標ポイント(例えば交差点など)が近づいたことを音声により報知する。
【0003】
ナビゲーション装置の場合、視覚情報による経路の案内は、運転者の視線が前方から外れ、注意力が低下することから安全性の問題が指摘されている。また、聴覚情報による案内は、車室内の話し声や車外の環境音などに紛れて聞き取りにくい、あるいは運転に集中して聞き逃す、など運転者が確実に認識できない場合も多い。
【0004】
これらの問題を解決する技術として、香りにより利用者に認識可能な案内を実現する車載用案内装置も知られている。特許文献1に記載の技術は、ナビゲーション装置に経路が設定され、その目的地や経路途中の通過地点に到達した場合、それらに対応づけた香りを発生させるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-349739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両の運転を支援する装置(運転支援装置)としては、特許文献1に記載の技術を以てしても、十分とは言えない問題があった。具体的に、通過地点が香りで認識できたとしても、それが例えば交差点である場合には、進むべき方向までは判断することができない。
【0007】
そうなると結局、表示手段に表示される地図(視覚情報)や音声案内(聴覚情報)を頼ることとなるが、これらには上記の通り安全性の低下や情報伝達が不確実になるといった問題がある。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、車両の操縦者に車両の将来の運転状態を確実に認識させることにより、安全性を高め、且つ、利便性の高い運転支援装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、車両の操縦者に対し送風を行う送風ファンを有する送風手段と、前記車両の将来の走行計画情報を記憶する記憶手段と、前記走行計画情報に基づいて前記送風手段を制御する制御部と、を有し、前記送風ファンは、車両の空調装置のブロワとは別体に設けられる、ことを特徴とする運転支援装置にかかるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の操縦者に車両の将来の運転状態を確実に認識させることにより、安全性を高め且つ、利便性の高い運転支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る運転支援装置の概略を示す上面図である。
図2】本実施形態に係る運転支援装置の概略を示す正面図である。
図3】本実施形態に係る送風手段を示す概要上面図である。
図4】本実施形態に係る運転支援装置の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1図4は、発明を実施する形態の一例を示す図であり、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。また各図において、一部の構成を適宜省略して図面を簡略化し、また、各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。また、以下の説明における方向の定義として、左右方向は車両(自動車)の運転席20に座る操縦者(運転者)Dから見た場合の左右方向をいい、上下方向は操縦者Dから見た場合の上下方向をいう。
【0013】
図1は、本実施形態の運転支援装置10の概略を示す図であり、車両内の運転席20付近の上面概要図であり、図2は車両の操縦者Dから見たダッシュボード22付近の正面概要図である。
【0014】
図1および図2を参照して、本実施形態の運転支援装置10は、制御部11と、車両の操縦者Dに対し送風を行う送風手段12を有する。制御部11は、車両の将来の走行計画情報に基づいて送風手段12を制御する。走行計画情報とは例えば、車両のナビゲーション装置25に設定された目的地までの経路情報などに基づき生成される情報である。本実施形態の送風手段12は、走行計画情報に基づく送風を行うことで、車両の(近い)将来の走行状態を操縦者Dに事前に報知(予告)し、運転支援を行うものである。以下、送風手段12からの送風を「サポート送風」と称する。
【0015】
車両には例えば車両用空調装置(HVAC:Heating, Ventilation, and Air Conditioning)27が設けられている。HVAC27は送風ダクト(図1,2では不図示)を介して車両の室内(車室)と繋がっている。送風ダクトのHVAC27側を上流、車室側を下流とすると、送風ダクトの下流端部には送風口271が設けられている。送風口271は、少なくとも運転席20に向けて吹き出し可能な位置と、図示を省略しているが助手席に向けて吹き出し可能な位置の複数個所に設けられる。また後部座席に向けて吹き出し可能な位置に設けられる場合もある。
【0016】
HVAC27からは、送風ダクトと送風口271を介して温度に応じた送風が車室に向けて吹き出される。以下、HVAC27の送風ダクトを空調用ダクト、送風口271を空調用送風口271、HVAC27からの送風を空調送風という。
【0017】
送風手段12は、送風ファン122と送風口121を少なくとも有し、送風ファン122は、HVAC27の空調用ダクト内に設けられる。一方、送風ファン122は、HVAC27のブロワ272とは別体に設けられる。
【0018】
送風手段12は、第一送風手段12Rと第二送風手段12Lを含む。第一送風手段12Rは第一送風口121Rを有し、第二送風手段12Lは第二送風口121Lを有する。第一送風口121Rは操縦者Dにおける第一領域に対して空気を吹き付ける吹き出し口であり、第二送風口121Lは操縦者Dにおける第二領域(第一領域とは異なる領域)に対して空気を吹き付ける吹き出し口であり、この例ではいずれも、HVAC27の、運転席に向けて吹き出し可能な位置に設けられた空調用送風口271と共用される。以下の説明における空調用送風口271はいずれも、「運転席に向けて吹き出し可能な位置に設けられた送風口」とする。第一領域は、例えば、操縦者Dの右側領域であり、第一送風口121Rは右側送風口121Rである。第二領域は例えば、操縦者Dの左側領域であり、第二送風口121Lは左側送風口121Lである。
【0019】
送風手段12の送風口121(空調用送風口271)は例えば、操縦者Dの上半身、特にステアリング21を握る両手(両腕または両肩)付近に対して直接的に風を吹き付け可能な位置に設けられる。具体的に、車両のダッシュボード22には例えば、インストルメントパネル(計器盤)23やナビゲーション装置25の表示部251等が設けられている。運転席20のダッシュボード22の前面には、ステアリング21が設けられる。
【0020】
送風手段12は例えば、ステアリング21(インストルメントパネル23)を挟んでその左右に少なくとも一つずつ設けられる。操縦者Dから見てステアリング21の右側に設けられた右側送風手段12Rの右側送風口121Rは例えば、操縦者Dの概ね右上半身側、特に右手(右腕)や右肩付近および/または右顔面付近に直接的に送風可能に構成される。操縦者Dから見てステアリング21の左側に設けられた左側送風手段12Lの左側送風口121Lは例えば、操縦者Dの概ね左上半身側、特に左手(左腕)や左肩付近および/または左顔面付近に直接的に送風可能に構成される。なおこの例では右側送風口121Rおよび左側送風口121Lがそれぞれ1つずつ設けられる構成を示しているが、右側送風口121Rおよび左側送風口121Lはそれぞれ複数設けられてもよい。右側送風口121Rと左側送風口121Lの形状は略同一であり、数も同数が好ましい。
【0021】
制御部11は、例えば、車両用空調装置のECU(Electronic Control Unit)である。制御部(ECU)11の詳細な図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)と、記憶手段(ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部)と、通信制御部を含んでいる。CPU、メモリ、記憶部、および通信制御部は内部バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0022】
制御部11は、送風手段12の右側送風口121Rと左側送風口121Lのそれぞれからの吹き出しを独立して制御可能であり、将来の走行計画情報に基づいて、右側送風口121Rと左側送風口121Lの少なくとも一方から操縦者Dに向かって空気を吹き付けるよう、送風手段12を制御する。
【0023】
送風手段12からのサポート送風は、車室内の温度によらず、操縦者Dに対して送風し、運転支援を行うものである。従って制御部11は、操縦者Dが空調送風と区別(識別)可能となるように、送風手段12を制御し、操縦者Dに対してサポート送風を行う。
【0024】
<送風手段>
図3は、送風手段12の一例を示す概要上面図である。送風手段12(右側送風手段12Rおよび左側送風手段12L)は一例として空調用ダクト270内に設けられる。右側送風手段12Rと左側送風手段12Lの構成は同様とする。送風手段12は、空気(風)の流路120と、HVAC27側を上流、車室内側を下流とする空調用ダクト270の下流端部に設けられた送風口121(右側送風口121R,左側送風口121L)と、送風口121近傍に設けられた送風ファン122(右側送風ファン122R,左側送風ファン122L)と、送風口121に設けられたルーバー123(右側ルーバー123R,左側ルーバー123L)と、送風ファン122の上流側に設けられた開閉手段124(右側開閉手段124R,左側開閉手段124L)と、送風ファン122の上流側に設けられた上流風速センサ125と送風ファン122の下流側に設けられた下流風速センサ126等を有する。
【0025】
流路120は空調用ダクト270により構成され、送風口121は空調用送風内271を兼ねる。送風ファン122は送風口121(ルーバー123)の近傍であってその上流側に設けられる。送風ファン122は送風ファン用モータ122Mにより回転駆動される。
【0026】
ルーバー123は例えば、複数のフィン123Aが支持部123Bにより連結されて左右方向に揺動自在に構成され、流路120を通過する空気の吹き出し方向を調整可能である。ルーバー123はこれを揺動させる駆動機構123Dを介してルーバー用モータ123Mに接続する。なお、ルーバー123は、左右方向に揺動するフィン123Aに加えて、例えばその上流側などに設けられて上下方向に揺動するフィン(不図示)を有してもよい。
【0027】
開閉手段124は例えば、2枚の扉部材により流路120を開閉するシャッターである。開閉手段124はこれを開閉する駆動機構124Dを介して開閉手段用モータ124Mに接続する。2枚の扉部材は左右方向に開閉する構成であってもよいし、上下方向に開閉する構成であってもよい。また、開閉手段124は、ルーバー123のように複数のフィンの揺動により開閉する構成であってもよいし、開口径が拡縮する円形の絞り状シャッターであってもよい。送風手段12は一例であって図示の構成に限らない。
【0028】
送風ファン122および送風ファン用モータ122Mはそれぞれ、HVAC27のブロワ272およびこれを回転駆動するモータ272Mとは別体に設けられる。送風手段12は、送風ファン122,ルーバー123、開閉手段124がそれぞれ、制御部11により自動制御される。制御部11は、走行計画情報に基づき、送風ファン用モータ122M、ルーバー用モータ123M、開閉手段用モータ124Mをそれぞれ個別に駆動可能であり、送風ファン122の回転により送風口121を介して車室内にサポート送風を行う。
【0029】
制御部11は、上流風速センサ125と下流風速センサ126により送風ファン122の上流および下流の風量を検知可能であり、検知結果に基づき送風ファン122の上流の風速よりも下流の風速が速くなるように送風手段12を制御する。また、制御部11は、HVAC27のブロワ272の風量に応じて、送風手段12(送風ファン122の回転数および/または開閉手段124の開閉状態を制御する。これらの制御により、HVAC27からの空調送風と区別(識別)可能な態様で、車室内(操縦者D)に向けたサポート送風が行われる。
【0030】
図4は、運転支援装置10を機能的に説明するブロック図である。運転支援装置10は、制御部(ECU)11と、送風手段12を有する。ECU11は例えば、運転支援制御部110と通信制御部116を含み、送風手段12を制御する。より詳細には、ECU11の通信制御部116は、例えば、車両内のナビゲーション装置25、各種センサ30および送風手段12と、また車両外部情報通信手段40と、通信回線(有線、無線(移動体通信網等を含む))で接続されており、これらとの間で各種情報を送受信できるようになっている。
【0031】
ECU11は、ナビゲーション装置25,各種センサ30,車両外部情報通信手段40の少なくとも何れかから変化予測情報を取得し、これらにより車両の将来の走行計画情報を生成し、これに基づき、送風手段12を制御する。変化予測情報および車両の将来の走行計画情報については後述する。なお、以下の説明において運転支援装置10が取り付けられる自車両は単に「車両」と称し、自車両以外の他の車両を「他車両」と称する。
【0032】
ナビゲーション装置25は既知の構成であるので詳細な説明は省略するが、以下概略について説明する。ナビゲーション装置25は、表示部251,地図情報記憶部252、音声案内部253、通信制御部254、位置取得部255などを有する。地図情報記憶部252には、位置情報を有する地図情報(デジタルデータ)が記憶される。位置取得部255は、GPS(Global Positioning System(Satellite))が発信する電波、および車両(またはナビゲーション装置25)に搭載された各種センサ30(例えば、車速センサ30B、加速度センサ30C、ジャイロセンサ等)からの情報(信号)を受信し、車両の位置情報を取得する。そして、マップマッチング等により地図情報の上で取得した位置情報を最も適切な道路上の位置に補正し、表示部251に地図情報と車両の現在位置を重ねて表示する。
【0033】
ナビゲーション装置25に目的地(行き先)を設定した場合(以下、「ナビ設定時」)には、目的地までの経路情報が生成される。経路情報は例えば、一または複数の、経路案内情報を含む。ここで、経路案内情報とは、目的地までの経路上における一または複数の要所(目標ポイント)とそれぞれの目標ポイントに関する情報(目標ポイントの位置情報や目標ポイントにおける進行方向等)、目標ポイントにおける走行の推奨レーンなどの情報である。ナビゲーション装置25は、それぞれの目標ポイントから所定の範囲に車両が近づくと、音声案内部253により出力される音声と表示部251の表示により走行を案内する。また、目的地に近づくと、残りの道のりと曲がる方向等を音声と表示で案内可能である。ナビゲーション装置25は随時所定の間隔で車両の位置を取得(測位)しており、ナビ設定時の経路情報と異なる経路を車両が走行していると判断した場合には随時、新たな経路情報(経路案内情報)を生成する。ナビゲーション装置25が各目標ポイントについて案内する地点(経路案内地点)は予め所定の距離として設定可能であり、例えば、目標ポイントの700m手前、300m手前の地点や、直前などである。
【0034】
ナビゲーション装置25には更に、カーブ・踏切・一時停止などを目標ポイントとする注意案内情報が登録されている。ナビゲーション装置25目的地(行き先)を設定していない場合(以下、「ナビ非設定時」)およびナビ設定時のいずれであっても、ナビゲーション装置25は注意案内情報に基づき、注意案内を行うことができる。具体的に、注意案内情報の目標ポイントから所定範囲内に車両が近づくと、音声や表示により注意案内を行う。ナビゲーション装置25が各目標ポイントについて注意案内する地点(注意案内地点)も予め所定の距離として設定可能であり、例えば、目標ポイントの100m手前の地点や、直前などである。ナビゲーション装置25はまた、車両の走行履歴を例えば地図情報記憶部252(または他の記憶部)に記憶可能である。
【0035】
ナビゲーション装置25は、通信制御部254を介して、経路情報(経路案内情報)、注意案内情報および走行履歴の少なくとも何れかを変化予測情報としてECU11に送信可能である。
【0036】
なお、ECU11の通信制御部116は、例えばナビゲーション装置25を介することなく)GPS衛星や車外のGPS機器との通信が可能であってもよい。
【0037】
各種センサ30は、車両(あるいはナビゲーション装置25)に設けられたセンサ(ステアリングセンサ30A,車速センサ30B、加速度センサ30C、近接センサ、人感センサ、ジャイロセンサ等)、他車両に設けられたセンサ(近接センサ等)、あるいは道路や信号機に設置したセンサの総称である。各種センサ30は、検知信号(例えば、前方の車両との車間距離、車両の死角となる範囲の対向直進車や歩行者の情報、信号情報、推定自車位置などの情報)を、変化予測情報として、通信制御部301を介してECU11に送信可能である。
【0038】
車両外部情報通信手段40は、車両と情報通信が可能な手段であり、例えば、信号機に設けられた情報通信機器、道路(または建物等の構造物)に設置されている例えば走行支援道路システム(AHS:Advanced Cruise-Assist Highway System)などの情報通信機器、他車両に設けられた情報通信機器などである。車両外部情報通信手段40と車両との情報通信の一例を挙げると、放送利用型無線通信、路車間(V2I(Vehicle-to-roadside-Infrastructure)型無線通信、車車間(V2V(Vehicle-to-Vehicle))型無線通信、携帯電話型無線通信などがある。またこの場合に通信される情報は例えば、道路に設置されている電波ビーコンや光ビーコン等から発信される渋滞情報や所要時間情報、交通事故情報や、信号機から発信される信号の灯色や現示切替りまでの残秒数などの信号情報、他車両から発信される周囲の車両や道路の状況などの情報である。車両外部情報通信手段40は、通信制御部401を介して、変化予測情報としてこれらの情報をECU11に送信可能である。
【0039】
<運転支援制御部>
ECU11の運転支援制御部110は、例えば、変化予測情報取得部111と、走行計画情報生成部112と、送風制御情報生成部113と、送風制御部114と、状態取得部115を含む。
【0040】
変化予測情報取得部111は、車両の、将来の走行状態の変化を示す変化予測情報を取得する。走行状態の変化とは、例えば、直進からの右左折、走行中の加減速、走行から停車、停車から発進などであり、現状維持(変化なし)も含む。なお、走行中の加減速については例えば、所定の加速度以上(以下)の変化がある場合とする。
【0041】
変化予測情報は、例えば、車両に設けられたナビゲーション装置25から取得される第1経路情報および車両の走行履歴情報、走行経路上において走行中に取得可能な第2経路情報、の少なくとも何れかに基づく情報であり、詳細にはこれらの情報のうち、将来の走行状態の変化が想定される情報をいう。
【0042】
第1経路情報は、ナビゲーション装置から取得される情報であり、例えばナビ設定時における目的地までの経路情報である。第1経路情報は特に、目的地までの経路上における目標ポイント(例えば、交差点、ランドマークや目的地)に関する情報を含み、ナビゲーション装置25の表示部251や音声案内部253によって案内として出力される情報(すなわち経路案内情報)である。第1経路情報は、例えば目標ポイント毎の情報であり、それぞれの目標ポイントまでの距離と当該目標ポイントにおいて進行する方向(右左折)などを示す情報により構成される。
【0043】
また、第1経路情報には、ナビ設定時/ナビ非設定時によらず、進行方向の前方の注意喚起としてナビゲーション装置25の表示部251や音声案内部253によって案内することが予め設定されている所定の情報(注意案内情報)を含む。注意案内情報は、例えば、踏切案内や一時停止案内などの情報である。
【0044】
車両の走行履歴情報は、車両のナビゲーション装置25の例えば地図情報記憶部252などに記憶された走行履歴を示す情報である。走行履歴情報は、例えばECU11等の記憶手段118(記憶部またはROM、RAM、HDD、SSD等、以下同様)に記憶されている情報であってもよい。本実施形態では、ナビゲーション装置25から走行履歴情報を取得する例を説明するが、これに代えてECU11等の記憶手段118から走行履歴を取得するようにしてもよい。
【0045】
第2経路情報は、車両外部情報通信手段40との通信により取得される各種情報を含む。この場合の第2経路情報は例えば、道路に設置されている電波ビーコンや光ビーコン等から発信される渋滞情報や所要時間情報、交通事故情報や、信号機から発信される信号の灯色や現示切替りまでの残秒数などの信号情報、他車両から発信される周囲の車両や道路の状況などの情報である。車両外部情報通信手段40(例えば信号機など)も目標ポイントになりうる。
【0046】
さらに第2経路情報は、各種センサ30から取得する各種検知情報(信号)を含む。この場合の第2経路情報は例えば、前方の車両との車間距離や、車両の死角となる範囲の対向直進車や歩行者の情報、信号情報、推定自車位置などの情報である。また第2経路情報は各種センサ30により取得される車両状態情報(車両の位置情報、車速、加速度、操舵角加速度や操舵角等の情報)も含む。
【0047】
ここでは第1経路情報、第2経路情報および走行履歴情報とその取得方法の一例について説明するが、使用する通信手段(通信方式)やセンサなどに応じて、重複する(同じ)情報が取得されてもよい。また、第1経路情報、第2経路情報および走行履歴情報の少なくとも一部は同じ情報であってもよい。
【0048】
変化予測情報取得部111は、所定のタイミング又は任意のタイミングで上記した第1経路情報、第2経路情報および走行履歴情報の少なくとも何れかを取得し、それらのうち車両の将来の走行状態の変化が想定される情報を、変化予測情報としてECU11の記憶手段118に記憶する(変化予測情報の取得)。「車両の将来の走行状態の変化が想定される情報」とは、車両の操舵に関する変化が想定される情報(操舵予測情報)、および車両の加減速が想定される情報(加減速予測情報)の少なくとも何れかを含む情報である。操舵予測情報は例えば、「直進(変化なし)」、「右折」、「左折」、「右車線変更」、「左車線変更」などが想定される経路上の「交差点」、「分岐」、「合流有り」などを示す情報である。加減速予測情報は例えば、「現状速度維持(変化なし)」、「減速」、「加速」、「停止(停車)」、「発進」、などが想定される信号情報や渋滞情報、経路上の「踏切有り」、「一時停止有り」などを示す情報である。
【0049】
具体的に、例えばナビ設定時において、第1経路情報に基づき変化予測情報を取得する場合を説明する。ナビ設定時には、或る目的地までの経路上における一または複数の経路案内情報が生成される。経路案内情報はそれぞれに、目標ポイントと、当該目標ポイントにおける進行方向または走行の推奨レーン等を示す情報で構成されている。変化予測情報取得部111は、この経路案内情報を取得し、目標ポイントと、目標ポイントの前後における車両の走行状態の変化の態様(「変化なし」も含めてどのように変化するか)を予測する。例えば、変化予測情報取得部111は、「交差点Aで右折」という経路案内情報を取得した場合に「交差点Aに至る前後において車両の走行状態が直進から右折に変化する」と予測する。この場合目標ポイントは「交差点A」であり、変化の態様は「交差点Aまで直進し、交差点Aで右折」等である。そして目標ポイントの位置情報と、変化の態様を含む情報を変化予測情報としてECU11の記憶手段118に記憶する。つまり変化予測情報は、走行状態の変化が想定される経路案内情報(目標ポイント)に個々に対応して取得(記憶)される。
【0050】
また、一般的には、ナビゲーション装置25において、或る目的地までの経路上における経路案内情報は複数生成される(例えば、「交差点Aを右折」、「分岐Bを左方向」等)。変化予測情報取得部111は、例えば、ナビゲーション装置25においてナビ設定時に生成される目的地までの経路案内情報が複数あればこれを全て取得可能である。また、変化予測情報取得部111は、ナビゲーション装置25においてナビ設定後新たに生成される目的地までの経路案内情報があればそれらを随時取得可能である。
【0051】
また、例えば信号情報(第2経路情報)に基づき変化予測情報を取得する場合もある。この場合変化予測情報取得部111は、例えば進行方向前方直近の信号機Cが発信する「T1秒後に赤信号になる」ことを示す信号情報を取得し、目標ポイントとして信号機Cの位置情報と、変化の態様を予測する。つまりこの例では、「信号機Cの手前で減速し、停車(停止)する」と予測する。そして目標ポイント(信号機C)の位置情報と、変化の態様(減速から停車)を含む情報を変化予測情報としてECU11の記憶手段118に記憶する。
【0052】
変化予測情報は例えば時系列で記憶される。また、車両の走行に応じて(例えば経路変更をした場合など)、随時、変化予測情報取得部111は、その時点の車両の位置(状態取得部115により取得される)に基づき、既に取得した変化予測情報を常に更新(修正または削除)し、また必要に応じて新たな変化予測情報を取得し、時系列で記憶する。
【0053】
状態取得部115は、所定のタイミングまたは任意のタイミングで車両の状態を取得する。車両の状態は例えば、車両の最新の位置情報、車速、加速度、操舵角などである。車両の位置情報は、例えばナビゲーション装置25を介して、ナビゲーション装置25が保持する地図情報上における車両の位置として取得される。また操舵角はステアリング21に設けられた不図示のステアリングセンサ(舵角センサ)により取得され、車速は車速センサ、加速度は加速度センサにより取得される。舵角センサ、車速センサ、および加速度センサは各種センサ30に含まれ、状態取得部115が取得した情報は車両状態情報である。
【0054】
走行計画情報生成部112は、変化予測情報取得部111が取得した変化予測情報、おおび状態取得部115が取得した車両の状態に基づいて、車両が近い将来どのような走行状態となるか(どのような走行状態になっているべきか)を示す走行計画情報を生成し、ECU11の記憶手段118に記憶する。走行計画情報は、例えば、速度情報および操舵情報の少なくとも一方と、変化予測情報に含まれる目標ポイントの位置情報(あるいは状態取得部115が取得した現在の車両の位置情報に基づき算出される目標ポイントのまでの距離)、変化予測情報が予測した変化後の車両の状態(位置情報や操舵角等)を含む。
【0055】
速度情報は例えば、車速に基づく情報であり「現状維持(変化なし)」、「減速」、「加速」、「停車」、「発進」などを示す情報である。操舵情報は例えば、操舵角(および速度)に基づく情報であり、「直進」、「右折」、「左折」、「右車線変更」、「左車線変更」などを示す情報である。
【0056】
走行計画情報生成部112は、変化予測情報のうち、状態取得部115により取得される現在の車両の位置に対応する(現在の車両の位置から直近の目標ポイントを含む)変化予測情報がある場合には、それに基づき走行計画情報を生成し、順次ECU11の記憶手段118に記憶する。
【0057】
具体的には例えば、現在の車両の位置から直近の変化予測情報として「交差点Aまで直進し、交差点Aで右折」することを示す情報がある場合、走行計画情報生成部112は、その時点の車両の位置に基づき、操舵予測情報を含む走行計画情報として例えば、「(交差点Aがある)X1m先までステアリング21の操舵角を0°に維持(直進)し、その後ステアリング21の操舵角を0°から時計回り(+方向)に大きく増加(右折)、その後再びステアリング21の操舵角を0°に戻す(直進)」等を示す情報を生成する。あるいは、操舵予測情報および加減速予測情報を組み合わせた走行計画情報として、「X1m先まで現状の速度でステアリング21の操舵角を0°に維持し、減速後ステアリング21の操舵角を0°から時計回りに大きく増加し、その後再び加速してステアリング21の操舵角を0°に戻す」等を示す情報(変化予測情報が示す変化が完了した時点で想定される車両の状態の情報を含む)を生成してもよい。なお加減速の程度は加速度(の正負)または実際の速度で与えられ、操舵角の増加量は、例えば地図情報に基づく具体的な数値(180°、215°など)で与えられる。
【0058】
また、例えば、直近の変化予測情報として「交差点Aで右折」することを示す情報があるが、車両が複数車線の道路の左車線を走行しているような場合、走行計画情報生成部112は、「交差点Aで操舵角を0°から時計回りに大きく増加」という変化予測情報に対応する走行計画情報と、それよりも時間的に現在に近い時点の走行計画として「即時、操舵角を0°から時計回りに小さく増加)右車線に車線変更する」等に対応する走行計画情報を生成してもよい。走行計画情報の操舵予測情報は、実際には操舵角を示す情報であるが、説明の便宜上、以下では「右(左)折」「右(左)車線変更」「右(左)カーブ」等の文言で説明する。
【0059】
また、直近の変化予測情報として、例えば信号情報に基づく「信号機Cの手前で減速し、停車する」ということを示す情報がある場合、走行計画情報生成部112は、その時点の車両の位置に基づき、操舵情報を含む走行計画情報として例えば、「(信号機Cより手前の)X2m先で減速を開始し、停車する」等を示す情報を生成する。
【0060】
なお、本実施形態では、変化予測情報取得部111と走行計画情報生成部112を独立した構成として説明しているが、変化予測情報取得部111と走行計画情報生成部112を統合して、車両の将来の走行状態の変化を予測して将来の走行計画情報を生成する走行予測部ということもできる。
【0061】
送風制御情報生成部113は、走行計画情報生成部112(走行予測部)が生成した走行計画情報に基づき、送風手段12によって送風を行うための送風制御情報を生成する。この送風制御情報は、変化予測情報が予測した走行状態の変化を操縦者Dに報知(予告)する送風を行うための制御情報である。
【0062】
本実施形態では、経路上における変化予測情報の夫々に対応して走行計画情報が生成され、その走行計画情報の夫々に対応して送風制御情報が生成される。送風制御情報は、対応する(基となる)変化予測情報が予測した変化を操縦者Dに予告する送風を行うための制御情報である。送風制御情報は、変化予測情報に基づいて生成される情報ともいえる。
【0063】
このように本実施形態の運転支援装置10は、送風手段12からの送風(サポート送風)によって、操縦者Dに対して経路上における走行状態の変化(例えば右左折や、減速が必要であることなど)を予告し、操縦者Dの運転を支援する。
【0064】
送風制御情報は、変化予測情報の内容(将来の走行状態の変化)を操縦者Dに認識させるための情報である。具体的には、車両の右左折やカーブ等のステアリング操作、一時停止や信号、高速道路等の加減速情報などを送風により体感として伝え、予告するための情報である。従って、変化予測情報の内容を体感で識別できるよう、複数の設定項目を有し、これらを組み合わせた情報として生成される。
【0065】
送風制御情報の設定項目は例えば、「(使用する)送風口」、「送風パターン」、「風量(風速)」、「送風開始タイミング」、「送風終了タイミング」である。なお、これらの設定項目は一例であり、一部の設定項目を含まなくてもよいし、これらの設定項目の複数が統合された項目であってもよいし、これ以外の設定項目を含んでもよい。これらの設定項目を組み合わせた送風制御情報に基づき、送風制御部114は、送風手段12(送風ファン122、ルーバー123、および開閉手段124)を制御する。なお開閉手段124の制御は、送風手段12が開閉手段124を有している場合に限る。また、ルーバー123の制御は、送風手段12が、支持部123Bやフィン123Aを可動する駆動機構およびルーバー用モータを有し、ECU11による制御が可能な場合に限る。
【0066】
「送風口」は、走行計画情報(操舵情報、速度情報等)に基づき、サポート送風に使用する送風口121を選択するための項目である。具体的には右側送風口121Rのみ,左側送風口121Lのみ、両方、をそれぞれ示す情報のいずれかが設定される。例えば走行計画情報(基となる変化予測情報、以下同様)が「右折」の場合は右側送風口121Rのみから送風するか、相対的に右側送風口121Rからの風量(風速)を大きくすることを示す「右側送風口121R」を設定する。また、「左折」の場合は左側送風口121Lのみから送風するか、相対的に左側送風口121Lからの風量(風速)を大きくすることを示す「左側送風口121L」を設定する。また、「直進」・「停止」・「発進」などの場合は両方の送風口121から同等に送風することを示す「両送風口」を設定する。
【0067】
「送風パターン」は、走行計画情報に対応させて複数種類の異なるパターンで送風するよう送風ファン122等を制御するための項目である。本実施形態では、走行状態が変化することの予告開始から、実際の変化が完了するまでの期間においてサポート送風を行う。「送風パターン」ではその期間(送風期間)内においてどのような送風をするか、具体的には例えば、送風期間内において連続する送風(連続送風)、送風期間内において断続的(間欠的)な送風、送風期間内における揺動する送風等が設定される。「送風のパターン」は、HVAC27からの空調送風と誤認しないよう、ECU11の制御により、空調送風と区別可能なパターンが設定される。あるいはECU11の制御により、空調送風と区別可能なサポート送風が行われる。
【0068】
空調送風は設定温度に応じて強弱(または停止)の変化はあるものの、一般的には、複数の空調用送付口271からの風量は概ね均等に吹き出す風であり、またある設定温度にした場合、短時間(例えば30秒以内など)で強弱が何度も繰り返すことは想定されない送風である。従ってサポート送風は、例えば、送風期間において連続する送風(連続送風)の場合には左右の送風口121からの風量を相対的に異ならせる。あるいは、送風期間において断続的(間欠的)に吹き出される送風や送風期間において強弱の波(揺らぎ)がある送風(以下これらを「リズム送風」という。)等にする。また、瞬発的に(短時間の)強い風が出るようにしてもよい。
【0069】
具体的には、走行計画情報の操舵情報や速度情報に対応させて、例えば「右折」および「左折」の場合は、連続送風(曲がる方向は「送風口」で設定する)、「直進」・「停止」・「発進」の場合は送風期間において断続的(間欠的)な、あるいは強弱の波(揺らぎ)がある送風(リズム送風)、「右車線変更」および「左車線変更」の場合は送風期間において揺動する送風(揺動送風)、などと設定される。
【0070】
リズム送風は、送風ファン122の回転と停止の繰り返し、回転数の大小の繰り返し、あるいは開閉手段124の開閉の繰り返し、又はこれらの組み合わせなどの制御で風量を強弱させ波のような風を生じさせる。揺動送風は、ルーバー123および/または開閉手段124がECU11により自動制御可能な場合に限られる。
【0071】
「風量(風速)」は、上記の「送風パターン」の風量(風速)を制御するための項目であり、例えば、サポート送風期間中に風量(風速)が変化しない一定速(一定風)や、例えば低速(弱)から高速(強)あるいは高速(強)から低速(弱)など風量が変化する変速(変速風)等が設定される。具体的には、走行計画情報の操舵情報、速度情報、目標ポイントの位置情報(あるいはそれに基づいて算出される車両と目標ポイントまでの距離)に対応させて、操舵情報や速度情報を「現状維持」する場合は一定速(一定風)、目標ポイントに近づく場合や「加速」の場合は低速から高速の変速風、「減速」の場合は高速から低速の変速風、などと設定される。
【0072】
なお、上記の設定項目の説明では、車室内に吹き出される送風の状態(強/弱,高速/低速等)で説明しているが、実際には、送風ファン122の回転数、ルーバー123の角度、開閉手段124の開閉の程度、が数値として設定され、これに基づき送風ファン122、ルーバー123,開閉手段124が自動制御される。
【0073】
「送風開始タイミング」は、サポート送風(送風期間)の開始タイミングを制御(判定)するための項目である。走行計画情報に含まれる目標ポイントの位置情報と送風制御情報作成時の車両の状態(位置情報)に基づき、目標ポイントごとにその変化を予告するサポート送風の開始タイミングが設定される。送風制御部114は、随時取得される車両の位置情報に基づき、「送風開始タイミング」に設定された位置に車両が到達した場合、サポート送風を開始する。
【0074】
送風開始タイミングは、ナビゲーション装置25の経路案内地点や、注意案内地点に到達するタイミングと同じ(音声案内部253(および表示部251)による案内開始と略同じタイミング)であってもよいし、経路案内地点や、注意案内地点に到達するタイミングより早いタイミングであってもよいし遅いタイミングであってもよい。
【0075】
「送風終了タイミング」は、サポート送風(送風期間)の終了タイミングを制御(判定)するための項目であり、例えば、変化予測情報が示す変化が完了した時点で想定される車両の状態の情報(走行計画情報に設定されている車両の走行状態の変化後の位置情報、操舵角の情報等)である。送風制御部114は、随時取得される車両の状態(位置情報および操舵角)を示す情報に基づき、「送風終了タイミング」に設定された状態になった場合、サポート送風を終了する。
【0076】
送風制御部114は、送風制御情報生成部113が生成した送風制御情報に基づき、送風手段12を制御する。これにより、送風制御部114(ECU11)は、或る変化予測情報が示す変化が生じる以前に、当該変化に対応する走行計画情報に基づいてサポート送風を行う。走行計画情報は変化予測情報に基づき生成されるものであるので、結果として、送風制御部114(ECU11)は、変化予測情報が予測した変化に対応した複数の異なるパターンで操縦者Dに将来の走行状態の変化を予告するサポート送風を行うことができる。
【0077】
ここで、送風制御部114は、HVAC27が動作している場合にはHVAC27のブロワ272と連携し、送風制御情報に応じて、HVAC27の空調送風と区別可能となるようにサポート送風を行う。例えば、送風制御部114は、HVAC27の運転中にサポート送風を行う場合には、車室内に吹き出されるHVAC27の空調送風の風量(風速)を一時的に抑制し、空調送風の風量(風速)を相対的にサポート送風の風量(風速)より低下させる。具体的に、ECU11(送風制御部114)は、HVAC27の(例えばブロワ272等の)制御情報を取得し、また、上流風速センサ125と下流風速センサ126によって風速を検知する。そしてこれらの少なくとも何れかの情報に基づき、空調送風として車室内に吹き出される風量を抑制する制御(風量抑制制御)を行い、送風ファン122の上流側が送風ファン122の下流側よりも相対的に風速(風量)が小さくなるようにして送風ファン122によるサポート送風を行う。
【0078】
風量抑制制御は、例えばHVAC27のブロワ272の回転数は維持したまま、開閉手段124の開閉状態と送風ファン122の回転数により制御する。例えば、右左折時などに左右の送風口121からの風量(風速)を異ならせる場合も、開閉手段124の開閉状態と送風ファン122の回転数をそれぞれ適宜調整する。このとき、HVAC27のブロワ272の回転数を下げてもよいが、ブロワ272の回転数の抑制は車室内の全体に影響するため、操縦者D以外に同乗者がいる場合には、同乗者の快適性を損ねる可能性がある。従って、HVAC27のブロワ272の回転数は維持したまま、運転席20に送風を行う送風手段12によって風量抑制制御をすることが望ましい。
【0079】
そして、送風制御部114は、空調送風の抑制後、短時間(例えば、1~3秒等)間隔をあけてサポート送風を開始する。空調送風が抑制され、またその状態が短時間維持された後にサポート送風が開始されるようにすることで、サポート送風の送風パターンが連続送風であっても操縦者Dにサポート送風であることを認識させやすくすることができる。
【0080】
また、例えばサポート送風のパターンを断続的(間欠的)にしたり、意図的に強弱の波(揺らぎ)が生じるリズム送風にしたりすると、HVAC27の空調送風との違いを操縦者Dに認識させることができる。
【0081】
また、送風制御部114は、サポート送風の開始前に送風方向を調整する。サポート送風は操縦者Dが認識(体感)できるよう、予め定めた目標位置(例えばステアリング21を握る操縦者Dの手(腕または肩、以下同様)またはその周囲として想定される位置)に向かって送風されるので、これによってもHVAC27の空調送風との違いを操縦者Dに認識させやすくすることができる。
【0082】
目標位置は、操縦者Dの体格や走行時の姿勢により実際の操縦者Dの手などからずれる場合がある。そこで送風制御部114は、操縦者Dの適切な位置に向けて送風するようにルーバー123および/または開閉手段124の位置や姿勢を調整する。具体的には、送風制御部114は、例えばステアリング21やインストルメントパネル23等に設けられたセンサ(不図示)により操縦者Dの位置(姿勢)を検知し、それに基づき目標位置を調整し、送風方向を決定する。
【0083】
図4に示すように本実施形態のECU11は、運転支援装置10以外の他の装置(例えば、HVAC27の制御部も兼ね、HVAC27を制御する空調制御部117を含んでいる。また、通信制御部116は、例えばHVAC27が他の装置と通信する際の通信制御も行う。
【0084】
図4に示す例では説明の便宜上、ECU11の運転支援制御部110が変化予測情報取得部111、走行計画情報生成部112、送風制御情報生成部113、送風制御部114および状態取得部115を含む構成として説明しているが、ECU11は、運転支援制御部110の機能をハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実現するものであればよく、運転支援制御部110のうち複数が、ハードウェアおよび/またはソフトウェア的に一体的に構成されていてもよい。
【0085】
また、例えば運転支援制御部110と通信制御部116は、ECU(車両用空調装置用のECU)11とは別の制御部として構成されてもよい。
【0086】
<サポート送風例>
以下、走行計画情報(基となる変化予測情報)に応じた、複数のサポート送風例について説明する。以下の説明における送風手段12は図1図3に示す構成と同様である。
<a サポート送風例1>
ナビ設定がある場合において、直近の変化予測情報として「交差点Aを右折」という情報を取得した場合の例である。現在の車両の位置が交差点Aの400m手前である場合、この変化予測情報に基づき生成される走行計画情報は「交差点Aまで(現在位置から400m)直進し、その後右折」となる。また送風制御情報は、操縦者Dが「右折」を体感できる送風の設定とする。例えば、「送風口」は右側送風口121Rのみ、「送風パターン」は例えば連続送風、「風量(風速)」は交差点Aまでの距離が近づくにつれて「中」から「強」に変化する変速風(サポート送風の開始時の風量は「中」)、「送風開始タイミング」は例えば、「交差点Aの50m手前」、「送風終了タイミング」は交差点Aの通過(右折の完了)の3秒後、などである。この送風制御情報の場合、ナビゲーション装置25による目標ポイントの案内地点(経路案内地点)が、「目標ポイントの300m手前」に設定されていたとすると、サポート送風はナビゲーション装置25による「交差点Aを右折」の音声案内よりも後に開始することになる。
【0087】
上記のサポート送風例1について、HVAC27は運転中であり、或る程度大きい風量の空調送風を行っている場合を例に、時系列で説明する。
【0088】
(a1)サポート送風が行われていない状態では、送風手段12は左右いずれも、送風ファン122は停止する。開閉手段124は例えば全開状態であり、ルーバー123は例えば、送風口121(の面)に対して垂直な待機位置に移動する。また送風手段12の送風口121(空調用送風口271を兼ねる)からHVAC27の設定温度に応じた適宜の空調送風が行われる。
【0089】
(a2)車両が交差点Aの50m手前に至ったタイミングで、サポート送風開始直前の状態となる。このタイミングで送風制御部114(ECU11)は、HVAC27の制御情報および/または上流風速センサ135と下流風速センサ126の検出値(この場合同等の値となる)に基づき、HVAC27が或る程度大きい風量で空調送風を行っていると判断する。そして操縦者Dにサポート送風を認識させやすくするため、まず車室内に吹き出される風量を抑制する風量抑制制御を実行する。風量抑制制御は、例えばHVAC27のブロワ272の回転数は維持したまま、開閉手段124の開閉状態により制御する。
【0090】
例えば、サポート送風例1では、右折を予告するサポート送風を行うため、曲がる方向の送風口(ここでは右側送風口121R)から吹き出す風量を左側送風口121Lの風量よりも相対的に大きくする必要がある。ところで、HVAC27のブロワ272の能力は一般的に比較的大きいものであり、仮に運転中のブロワ272の風量が相当程度大きい場合には、送風ファン122のみで左右の風量の差を生じさせたり、あるいは次第に風量を変化させる変速風を生じさせたりすることが困難になる場合がある。またHVAC27の運転中に連続送風のサポート送風が開始すると、空調送風との区別がつきにくい。
【0091】
更にサポート送風例1では、右側送風口121Rから吹き出す風量を左側送風口121Lの風量よりも相対的に大きくするとともに、右折の地点に近づくにつれて右側送風口121Rの風量を「中」から次第に大きくする。つまり右側送風口121Rはサポート送風の開始時点(初期値)の風量を「中」にする必要がある。
【0092】
そこで、送風制御部114は、例えば、HVAC27のブロワの回転数は維持しつつ右側送風手段12Rの開閉手段124Rの開閉状態を狭める(あるいは閉止する)。また左側送風手段12Lの開閉手段124Lの開閉状態も右側開閉手段124Rと同様とする。これにより、送風口121からの空調送風の風量を抑える。サポート送風は開始されていないため、送風口121からの風量は一時的に弱まる。その後、不図示のセンサにより操縦者Dの位置や姿勢を検知し、右側送風手段12Rの右側ルーバー123Rの向きを、操縦者Dの右手(右腕)付近に向けて送風されるよう調整する。この時左側ルーバー123Lは移動させない。
【0093】
(a3)(a2)の空調送風の抑制から短時間の間をおいてサポート送風が開始されたタイミングで、送風制御部114は、送風制御情報に基づき連続送風で風量「中」となるように(中程度の速度で)右側送風ファン122Rを回転駆動する。これにより右側送風ファン122Rが回転し、右側送風口121Rからサポート送風が開始する。サポート送風は、(a2)のタイミングで空調送風の風量を抑えた後に(好適には短時間(例えば、1~2秒)の間隔をあけて)開始されるため、空調送風の風量が抑えられたことによりサポート送風が開始することを操縦者Dに認識させやすくすることができる。空調送風は抑制されたままである。
【0094】
(a4)操縦者Dの操縦により車両が交差点Aに近づくに従い、例えば右側送風ファン122Rの回転数を上げて風量「強」に変化させる。空調送風は抑制されたままである。なお、(a3)から(a4)の状態において、例えば右側送風ファン122Rは一定速で回転させ、(a3)のタイミングでは右側開閉手段124Rの開放状態を小さく(狭く)して中程度の風量とし、(a4)のタイミングまでに右側開閉手段124Rの開放状態を徐々に大きく(広く)して強い風量としてもよい。その後、交差点Aを通過したときに右側送風手段12R風量は「強」から「弱」に変化する。この場合の風量の変化も、右側送風ファン122R,右側開閉手段124Rの少なくとも何れかの制御により行う。
【0095】
(a5)操縦者Dの操縦により交差点Aを通過(右折が完了)し3秒が経過したタイミングでサポート送風は終了する。右側ルーバー123Rは待機位置に移動する。また、右側送風ファン122Rは停止し、左右の開閉手段124は開放されてHVAC27からの空調送風の吹き出しがサポート送風前の状態に戻る。
【0096】
なお、空調風量の抑制(風量抑制制御)方法、および送風手段12の制御方法は、上記の例に限らない。風量抑制制御の目的は、サポート送風が実行されること、およびサポート送風の内容(左右の送風手段12の風量の差や、サポート送風が一定風や変速風であること)を操縦者Dに認識させることにある。従って、空調風量が少なく(HVAC27の停止時も含む)、空調風量を維持した状態でも(送風ファン122の駆動を追加するのみで)サポート送風が実行されること、およびその内容を操縦者Dに認識させることができる場合には、空調風量の抑制を行わず、送風ファン122の制御のみでサポート送風を行ってもよい。
【0097】
また例えば、「交差点Aを右折する」という走行計画情報の場合には、単に「右側送風手段12Rからの風量を左側送風手段12Lからの風量より大きくする」というサポート送風としてもよい。この場合の送風制御情報は例えば、「送風口」が右側送風口121R,「風量」が「強」、「送風パターン」は例えば連続送風、「風量(風速)」は送風期間中「強」の一定風、「送風開始タイミング」は例えば、「交差点Aの50m手前」、「送風終了タイミング」は交差点Aの通過(右折の完了)の3秒後、などである。
【0098】
この場合はHVAC27の運転中において左右の送風手段12の風量の差を生じさせるのみでよいので、左側開閉手段124Lの開閉状態を狭め(または閉止)、右側送風手段12Rは風向(右側ルーバー123R)のみの調整(右側開閉手段124Rは移動させない)としてもよい。右側送風手段12Rの風量はサポート送風の開始前と変わらないが、風向が操縦者Dに向くことでサポート送風が開始されることを認識させることができる。また、これに加えて、左右の送風ファン122を適宜の量で回転させてもよい。
【0099】
すなわち、HVAC27の運転中にサポート送風を行う場合は、サポート送風の開始時に、HVAC27(ブロワ272)の運転状態は維持したまま、ブロワ272の風量に応じて、左右の送風手段12の送風ファン122,開閉手段124をそれぞれ適宜に制御することで、送風口121から吹き出される風量を制御する。また左右の送風手段12からの風量を異ならせるサポート送風を行う場合には、相対的に差異が生じればよいので、少なくともいずれかの送風手段12を適宜制御する。なお、HVAC27の停止時には、送風ファン122の駆動のみで風量を調整する。
【0100】
<b サポート送風例2>
次に、サポート送風例2について説明する。サポート送風例2は、ナビ設定がある場合において、直近の変化予測情報として「右車線を走行」という情報を取得した場合の例である。進行方向の前方に例えば右折専用の右車線が設けられている場合などにおいて、現在の車両の位置が右車線開始位置の500m手前である場合、この変化予測情報に基づき生成される走行計画情報は「右車線開始位置まで(現在位置から500m)直進以降、右車線に車線変更」となる。また送風制御情報は、操縦者Dが「右車線への車線変更」を体感できる送風の設定とする。例えば、「送風口」は右側送風口121Rのみ、「送風パターン」は例えば右方向への揺動送風、「風量(風速)」は一定風、「送風開始タイミング」は例えば右車線開始位置の手前200mで開始、「送風終了タイミング」は車線変更完了後即時、などである。
【0101】
上記のサポート送風例2について、HVAC27は運転中であり、或る程度大きい風量の空調送風を行っている場合を例に、時系列で説明する。サポート送風が行われていない状態はサポート送風例1(a1)と同様である。
【0102】
(b1)右車線開始位置の200m手前に至ったタイミングで、送風制御部114は、HVAC27が或る程度大きい風量で空調送風を行っていると判断し、風量抑制制御を行う。風量抑制制御については例えば、サポート送風例1と同様に左右の開閉手段124の開閉状態を狭める(または閉止する)ことにより行う。
【0103】
その後、例えば短期間の時間をおいて、右側送風口121Rからの風向が操縦者Dの右手(右腕)付近に向くように右側ルーバー123Rが調整される。その後送風制御情報に基づき、送風ファン122が回転し、サポート送風が開始される。左側送風手段12Lの状態についてはサポート送風例1と同様であるが、右側送風手段12Rからの風量と比較して相対的に小さい風量となっていればよい。
【0104】
(b2)右側ルーバー123Rによる左(ステアリング側)から右への揺動送風では、送風制御部114は、右側送風口121Rの右側ルーバー123Rを左(ステアリング側)と右の間で揺動させることになる。この場合、吹き出しをしながら左(ステアリング側)から右に揺動させた後、右から左に戻る期間には、左から右に揺動する期間よりも、車室内への吹き出し(風量)を抑制する(例えば右側送風ファン122Rの回転数を下げる)。これにより、操縦者Dは「右方向への揺動」送風を認識しやすくなる。この場合も左側送風手段12Lの状態についてはサポート送風例1と同様であるが、右側送風手段12Rからの風量と比較して相対的に小さい風量となっていればよい。
【0105】
(b3)操縦者Dの操縦(ステアリング操作)により右車線への変更が終了したタイミングでサポート送風は終了する。また、抑制されていたHVAC27からの空調送風の吹き出しがサポート送風前の状態に戻る。
【0106】
以上、サポート送風の一例を説明したが、上記に限らず例えば、ナビゲーション装置25に目的地を設定していない場合(ナビ非設定時)であっても走行計画情報を生成し、これに基づきサポート送風を行うことができる。例えば、走行履歴に基づき、走行頻度が高い分岐Bが近づいた場合に「分岐Bを左方向に進行」を予告するサポート送風を行うことができる。この場合の送風制御情報は、例えば、「送風口」は左側送風口121Lのみ、「送風パターン」は例えばリズム送風、「風量(風速)」は分岐Bまで低速のリズム(長時間(例えば3秒間隔)の間欠)から高速のリズム(短時間(例えば、1秒間隔)の間欠)に変化する変速風、「送風開始タイミング」は分岐Bの100m手前、「送風終了タイミング」は分岐Bを通過した3秒後、などである。
【0107】
また、ナビ設定の有無によらず、ナビゲーション装置25の踏切案内を取得した場合に、「踏切前で停止」というサポート送風を行うことができる。「停止」を予告するサポート送風を行う送風制御情報は例えば、「送風口」は右側送風口121Rと左側送風口121Lの両方を使用し、「送風パターン」は例えばリズム送風、「風量(風速)」は低速のリズム(長時間の間欠)から高速のリズム(短時間の間欠)に変化する変速風、「送風開始タイミング」は踏切の100m手前、「送風終了タイミング」は踏切直前で停止後即時、などである。
【0108】
また、直近の信号機Cに設けた情報通信機器(車両外部情報通信手段40)が発進する信号情報(例えば、「現在の信号の灯色が「赤」で3秒後に「青」に変化する」ことを示す情報)を取得した場合に「発進」を予告するサポート送風を行うことができる。「発進」を予告するサポート送風を行う送風制御情報は例えば、「送風口」は右側送風口121Rと左側送風口121Lの両方を使用し、「送風パターン」は例えば連続送風、「風量(風速)」は「強」、「送風開始タイミング」は送風制御情報を取得後即時(信号情報を取得した直後)、「送風終了タイミング」は発進後即時、などである。
【0109】
なお、上記の例では、送風制御情報は、「送風開始タイミングから送風終了タイミングまでの期間にどのような送風を行うか」を示す情報であるとして説明した。この場合、その期間内で風量等が変化する場合もあり(例えば「風量」が「強」から「弱」など)、実際には送風制御部114は送風制御情報を時間的に細分化した送風制御コマンドにより送風手段12を制御する。
【0110】
また、サポート送風は、或る程度の長い送風期間で送風するパターンに限らず、単発(短時間の1回)の送風であってもよい。
【0111】
このように本実施形態の運転支援装置10では、走行計画情報に基づき、送風手段12を制御し、空調の送風と区別可能な複数の送風パターンで操縦者Dに対して送風を行う。走行計画情報は車両の将来の走行状態の変化を示す変化予測情報から生成するものであり、すなわち、車両の将来の走行状態の変化を、その変化が生じる前にサポート送風により予告(報知)することができる。
【0112】
これにより操縦者Dは、ナビゲーション装置25の表示部251を確認する等、運転に対する注意力が低下するような行動をとることなく、走行計画情報(車両の将来の走行状態の変化)を直感的に(体感として)把握することができる。
【0113】
また、操縦者Dは例えば赤信号や一時停止線等を見落とすことを抑制できるため、交通事故の発生も抑制することができる。
【0114】
また、送風手段12は、操縦者Dの右側(右手(右腕)周辺)に吹き出す右側送風口121Rと操縦者Dの左側(左手(左腕)周辺)に吹き出す左側送風口121Lを備え(本実施形態では空調送風口271を兼用する)、走行計画情報に基づき、右側送風口121Rと左側送風口121Lの少なくとも何れかを介してサポート送風を行う。このため、複数の送風パターンを設定でき、操縦者Dは走行計画情報(特に、将来の右左折等の操舵、信号や一時停止等による加減速)を直感的(体感として把握することができる。
【0115】
また、送風手段12の送風口121をHVAC27の空調送風口271と兼用することで、ダッシュボード22等におけるレイアウトを変更することなく(あるいはレイアウト変更を最小限に抑えて)、運転支援装置10を車両に組み込むことができる。
【0116】
また、送風ファン122は空調用ダクト270内に配置するため比較的小さいファンとなるが、送風口121の近傍に設けるため、風量や送風パターンの異なる複数種類のサポート送風を、確実に操縦者Dに伝達することができる。
【0117】
なお、送風パターンは任意に設定できるが、右左折など方向に関する予告の場合には対応する一方の送風口121を用い、それ以外の停止・発進(直進の減速、加速)などの場合には両方の送風口121を用いる、あるいは近い/早い場合は風量を「強」、遠い/遅い場合には風量を「弱」など概念的に揃えることが望ましい。
【0118】
また本実施形態の走行計画情報は、加速度情報および、操舵情報の少なくとも一方を含んで構成される。加速度情報および操舵情報は車両の走行における主要な情報であり、将来の走行状態の変化としてこれらの情報をサポート送風によって操縦者Dに予告することができるので、車両を運転する上での安全性を高めることができる。
【0119】
また、走行計画情報の基となる変化予測情報は、ナビゲーション装置25からの情報に限らず、経路上において走行中に取得可能な、車両外部情報通信手段40や各種センサ30が発信する情報も含まれるため、サポート送風によって将来の走行状態の変化を操縦者Dに多面的に予告することができ、これによっても車両を運転する上での安全性を高めることができる。
【0120】
また、変化予測情報が示す変化に対応した異なる複数の送風パターンで送風できるので、より多くの情報を操縦者Dに伝えることができる。さらに、走行状態の変化を報知する送風を開始してから該変化が生じるまでの距離に応じて送風態様を変化させる。具体的に送風開始タイミングから送風終了タイミングまでの期間に、風量(風速)を次第に早く(強く)、次第に遅く(弱く)する等に変化させた送風を行うので、操縦者Dは体感として認識しやすくなり、ナビゲーション装置25の表示部251を視認する機会を低減させることができる。
【0121】
更に、サポート送風は、車両空調装置(HVAC27)による空調送風とは区別可能な送風であるため、空調の送風と誤認することなく、確実に将来の走行状態を予告できる。
【0122】
以上説明した本実施形態の運転支援装置10は、変化予測情報に基づいて走行計画情報を生成し、走行計画情報に基づいて送風手段12を複数の送風パターンで制御することで、操縦者Dに将来のある時点において走行状態が変化することを報知(予告)する構成であればよい。例えば送風制御情報のデータ構成(設定項目)は上記の例に限らない。
【0123】
また、上記の実施形態では、送風手段12の開閉手段124は、空調送風の風量抑制(およびサポート送風の風量の増減)として使用し、送風ファン122
はサポート送風(その風量の増減)として使用する例を説明した。しかしこれに限らず、送風手段12は、開閉手段124を有さない構成であってもよい。この場合は、例えば送風ファン122を逆回転(車室内の空気を吸い込む方向の回転)可能とし、空調送風の風量抑制制御を行う場合は、送風ファン122を逆回転させるとよい。送風ファン122を逆回転の回転数は、HVAC27のブロワ272から車室内に吹き出される空気の抵抗になる程度でもよく、具体的には、送風ファン122の上流側と下流側の風量(風速)が同等になる程度(上流風速センサ125と下流風速センサ126の検出値が同等となる程度)、の回転数でもよい。
【0124】
また、ルーバー123についてはECU11による自動制御が不可(操縦者D等による手動の位置調整は可能)であってもよい。この場合操縦者Dの手や腕等に直接、サポート送風が当たらない場合もあるが、左側送風口121Lと右側送風口121Rの風量の差異(上記の例では右側送風口121Rの方が大きい)による周辺空気の流動等から右側送風口121Rの風量が大きいことは体感できる。
【0125】
また、送風手段12の送風口121は、HVAC27の空調送風口271との兼用とせず、空調送風口271とは異なる(別の)、送風手段12専用の送風口121を設けてもよい。この場合、空調用ダクト270を空調送風口271に至る前に分岐させ、その分岐部分を流路120とするように送風手段12を設ける。分岐部分の下流端部が送風手段12専用の送風口121となる。送風手段12に専用の送風口121を設ける場合、複数の送風口121は操縦者Dの身体の異なる部分(2か所)に吹き付ける構成であれば、ダッシュボード22に設ける構成に限らず、例えば運転席20付近の他の場所に設けてもよい。例えば、運転席シート26(図1参照)の右肩部分に、操縦者Dの右肩および/または頭部右側面に吹き付け可能な右側送風口121Rを配置し(埋め込み)、運転席シート26の左肩部分に、操縦者Dの左肩および/または頭部左側面に吹き付け可能な左側送風口121Lを配置する(埋め込む)構成であってもよい。また、例えば運転席20の天井に、操縦者Dの右半身に吹き付け可能な右側送風口121Rと、操縦者Dの左半身に吹き付け可能な左側送風口121Lを設けてもよい。また例えば、操縦者Dの頭部と足部などにそれぞれ吹き付け可能としてもよいが、右左折等を体感させることから操縦者Dの左右に分けて吹き付け可能とする方が望ましい。
【0126】
尚、本発明の運転支援装置10は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0127】
10 運転支援装置
11 制御部(ECU)
12 送風手段
12L 左側送風手段
12R 右側送風手段
20 運転席
21 ステアリング
22 ダッシュボード
23 インストルメントパネル(計器盤)
25 ナビゲーション装置
26 運転席シート
27 車両用空調装置(HVAC)
29 空調用ダクト
30 各種センサ
30A ステアリングセンサ
30B 車速センサ
30C 加速度センサ
40 車両外部情報通信手段
110 運転支援制御部
111 変化予測情報取得部
112 走行計画情報生成部
113 送風制御情報生成部
114 送風制御部
115 状態取得部
116 通信制御部
117 空調制御部
120 流路
121 送風口
121 送風ファン
121L 左側送風口
121R 第一送風口
121R 右側送風口
121R 送風口121(右側送風口
122 送風ファン
122L 左側送風ファン
122R 右側送風ファン
123 ルーバー
123L 左側ルーバー
123R 右側ルーバー
124 開閉手段
124 右側開閉手段
124L 左側開閉手段
124R 右側開閉手段
124M 開閉手段用モータ
125 上流風速センサ
126 下流風速センサ
251 表示部
252 地図情報記憶部
253 音声案内部
254 通信制御部
255 位置取得部
271 送風口(空調用送風口)
271 空調用送風内
272 ブロワ
272M モータ

図1
図2
図3
図4