(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155296
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】乗り物酔い緩和装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20241024BHJP
B60H 3/00 20060101ALI20241024BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60H1/34 671B
B60H1/34 671A
B60H3/00 Z
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069908
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166833
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 直子
(72)【発明者】
【氏名】森 恵一
(72)【発明者】
【氏名】森 幹太
(72)【発明者】
【氏名】脇 匡史
(72)【発明者】
【氏名】高沢 修
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 渉
【テーマコード(参考)】
2F129
3L211
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB26
2F129BB40
2F129BB49
2F129BB56
2F129BB66
2F129CC16
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD17
2F129DD19
2F129DD39
2F129DD70
2F129EE02
2F129EE34
2F129EE43
2F129EE53
2F129EE59
2F129EE69
2F129EE72
2F129EE73
2F129EE75
2F129EE78
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2F129EE94
2F129FF03
2F129FF08
2F129FF09
2F129FF12
2F129FF13
2F129FF43
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF65
2F129FF67
2F129GG25
2F129HH12
2F129HH20
3L211BA01
3L211EA03
3L211EA22
3L211EA72
3L211EA79
3L211EA90
3L211FB04
3L211GA57
(57)【要約】
【課題】 車両の操縦者に車両の将来の運転状態を確実に認識させることにより、安全性を高め且つ、利便性の高い乗り物酔い緩和装置を提供する。
【解決手段】 乗り物酔い緩和装置は、車両の操縦者以外の乗員Cに対し送風を行う送風手段12と、制御部11と、を有し、制御部11は、車両の将来の走行状態の変化を示す変化予測情報を取得し、変化予測情報が示す変化に基づいて、該変化を報知する送風を行うよう送風手段12を制御するものであり、変化予測情報は、加減速予測情報および、操舵予測情報の少なくとも一方を含む情報である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操縦者以外の乗員に対し送風を行う送風手段と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記車両の将来の走行状態の変化を示す変化予測情報を取得し、
前記変化予測情報が示す前記変化に基づいて、該変化を報知する送風を行うよう前記送風手段を制御するものであり、
前記変化予測情報は、加減速予測情報および、操舵予測情報の少なくとも一方を含む情報である、
ことを特徴とする乗り物酔い緩和装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両における加減速情報および操舵情報の少なくとも何れかを含む車両状態情報を取得可能であり、
前記変化予測情報は、前記車両状態情報および前記車両に設けられたナビゲーション装置から取得される経路情報、の少なくともいずれかに基づく情報である、
ことを特徴とする請求項1に記載の乗り物酔い緩和装置。
【請求項3】
前記送風手段は、前記乗員における第一領域に対して送風する第一送風口と、該乗員における第二領域に対して送風する第二送風口を少なくとも有し、
前記制御部は、前記変化予測情報に基づいて、前記第一送風口および前記第二送風口の少なくとも一方から前記乗員に送風するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の乗り物酔い緩和装置。
【請求項4】
前記第一領域は前記乗員の右側領域であり、前記第二領域は該乗員の左側領域である、
ことを特徴とする請求項3に記載の乗り物酔い緩和装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記変化予測情報が示す前記変化が生じる以前に、該変化に対応する送風を行うよう前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の乗り物酔い緩和装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記変化予測情報が示す前記車両の速度変化および/または操舵変化の大きさに応じて前記送風手段の送風態様を変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の乗り物酔い緩和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物酔い緩和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の状態に基づいて後部座席の乗員に向けて送風を行い、乗り物酔いを緩和する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術は、センサによって取得した車両の運動状態に基づき、ファンを制御して送風を行っている。具体的には、例えば、車両が等速運動状態で前方に移動する場合、また、車両が左折運動状態である場合などに対応してそれぞれファンを制御し送風を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第114312236号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両が実際に運動状態にあることを検知してから、当該運動状態に対応した送風を行うのでは、乗り物酔いを十分に緩和することは難しい。乗り物酔いは内耳の前庭系で感じる感覚と、人の視覚など他の感覚で感じる感覚との不一致によって起こることが知られている。実際、車両(自動車)の操縦者(運転者)は、前方の道路等を常時監視し、視覚的知覚が内耳の感覚に対応するように車両の動きを視覚的に知覚するため、乗り物酔いに苦しむことは無い。これに対し、車両の特に後部座席の乗員の視界範囲は狭く、車外、特に車両の走行状態を予測できるような前方を広く視認することは困難である。また、(前方の視界が狭いが故に)読書など手元に視界を集中させるような作業を行うと、内耳の視覚に対応しない視覚的知覚を有することになるため、物酔いに苦しむことがある。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、車両の操縦者以外の乗員に対して、車両の将来の走行状態の変化を事前に把握しやすくすることで、乗り物酔いの発生を抑制可能な乗り物酔い緩和装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の操縦者以外の乗員に対し送風を行う送風手段と、制御部と、を有し、前記制御部は、前記車両の将来の走行状態の変化を示す変化予測情報を取得し、前記変化予測情報が示す前記変化に基づいて、該変化を報知する送風を行うよう前記送風手段を制御するものであり、前記変化予測情報は、加減速予測情報および、操舵予測情報の少なくとも一方を含む情報である、ことを特徴とする乗り物酔い緩和装置にかかるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の操縦者以外の乗員に対して、車両の将来の走行状態の変化を事前に把握しやすくすることで、乗り物酔いの発生を抑制可能な乗り物酔い緩和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る乗り物酔い緩和装置の概略を示す上面図である。
【
図2】本実施形態に係る乗り物酔い緩和装置の概略を示す正面図である。
【
図3】本実施形態に係る送風手段を示す概要上面図である。
【
図4】本実施形態に係る乗り物酔い緩和装置の概略を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態の乗り物酔い緩和装置における運転支援処理の流れを示すフロー図である。
【
図6】本実施形態の乗り物酔い緩和装置における送風制御処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1~
図6は、発明を実施する形態の一例を示す図であり、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。また各図において、一部の構成を適宜省略して図面を簡略化し、また、各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。また、以下の説明における方向の定義として、左右方向は車両(自動車)のシートに、車両の進行方向を向いて座る乗員C(操縦者(運転者)以外の車両の乗員)から見た場合の左右方向をいい、上下方向は乗員Cから見た場合の上下方向をいう。
【0010】
図1は、本実施形態の乗り物酔い緩和装置10の概略を示す図であり、車両(自動車)内の例えば後部座席35付近の上面概要図であり、
図2は後部座席35に座る乗員Cから見た前方(運転席20あるいは前方座席の背もたれ)付近の正面概要図である。
【0011】
図1を参照して、本実施形態の乗り物酔い緩和装置10は、制御部11と、車両の乗員(操縦者以外の乗員)Cに対し送風を行う送風手段12を有する。制御部11は、車両の将来の走行計画情報を生成し、当該走行計画情報に基づいて送風手段12を制御する。車両には例えば車両用空調装置(HVAC:Heating, Ventilation, and Air Conditioning)27が設けられているが、送風手段12はHVAC27の送風とは別に(HVAC27の送風と区別可能な状態で)、乗員Cに対して送風を行う。
【0012】
送風手段12は、この例では第一送風手段12Rと第二送風手段12Lを含む。第一送風手段12Rは第一送風口121Rを有し、第二送風手段12Lは第二送風口121Lを有する。第一送風口121Rは乗員Cにおける第一領域に対して風(空気)を吹き付ける吹き出し口であり、第二送風口121Lは乗員Cにおける第二領域(第一領域とは異なる領域)に対して風(空気)を吹き付ける吹き出し口である。第一領域は、例えば、乗員Cの右側領域であり、第一送風口121Rは右側送風口121Rである。第二領域は例えば、乗員Cの左側領域であり、第二送風口121Lは左側送風口121Lである。制御部11は、右側送風口121Rと左側送風口121Lのそれぞれからの吹き出しを独立して制御可能であり、将来の走行計画情報に基づいて、右側送風口121Rと左側送風口121Lの少なくとも一方から乗員Cに向かって送風するよう、送風手段12を制御する。
【0013】
図1および
図2を参照して、乗り物酔い緩和装置10の送風手段12は、送風口121と送風ファン122を少なくとも有する。送風口121は例えば、乗員Cの上半身、特に両手(両腕または両肩)付近に対して直接的に風を吹き付け可能な位置に設けられる。具体的に、送風手段12は、車両の前席(運転席20および不図示の助手席)の背もたれの上方後面側(後部座席側)の左右に少なくとも一つずつ設けられる。
図2に示すように例えば前席の後面側に後部座席用のモニター36が設けられている場合はその両側などに設けられる。送風口121は例えば空調用送風口271とは別の吹き出し口である。乗員Cから見て右側に設けられた右側送風手段12Rの右側送風口121Rは例えば、乗員Cの概ね右上半身側、特に右手(右腕)や右肩付近および/または右顔面付近に直接的に送風可能に構成される。乗員Cから見て左側に設けられた左側送風手段12Lの左側送風口121Lは例えば、乗員Cの概ね左上半身側、特に左手(左腕)や左肩付近および/または左顔面付近に直接的に送風可能に構成される。なおこの例では右側送風口121Rおよび左側送風口121Lがそれぞれ1つずつ設けられる構成を示しているが、右側送風口121Rおよび左側送風口121Lはそれぞれ複数設けられてもよい。右側送風口121Rと左側送風口121Lの形状は略同一であり、数も同数が好ましい。
【0014】
制御部11は、例えば、車両用空調装置のECU(Electronic Control Unit)である。制御部(ECU)11の詳細な図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)と、記憶手段(ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部)と、通信制御部を含んでいる。CPU、メモリ、記憶部、および通信制御部は内部バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0015】
図3は、送風手段12の一例を示す概要上面図である。右側送風手段12Rと左側送風手段12Lの構成は同様とする。送風手段12は、空気(風)の流路120と、送風口121(右側送風口121R,左側送風口121L)と、流路120に設けられた送風ファン122(右側送風ファン122R,左側送風ファン122L)と、流路120の下流端部となる送風口121に設けられたルーバー123(右側ルーバー123R,左側ルーバー123L)と、送風ファン122の上流側に設けられた開閉手段124(右側開閉手段124R,左側開閉手段124L)等を有する。ルーバー123は例えば、複数のフィン123Aが支持部123Bにより連結されて左右方向(
図3では上下方向)に揺動自在に構成され、流路120を通過する空気の吹き出し方向を調整可能である。開閉手段124は例えば、2枚の扉部材により流路120を開閉するシャッターであり、2枚の扉部材は左右方向に開閉する構成であってもよいし、上下方向に開閉する構成であってもよい。なお、
図3に示す送風手段12は一例であって図示の構成に限らない。例えば、ルーバー123は、左右方向に揺動するフィン123Aに加えて上下方向に揺動するフィン(不図示)を有してもよい。また、開閉手段124は、ルーバー123のように複数のフィンの揺動により開閉する構成であってもよいし、開口径が拡縮する円形の絞り状シャッターであってもよい。ここでは開閉手段124を有する構成を示しているが開閉手段124は設けなくてもよい。
【0016】
送風手段12は送風ファン122の回転により送風口121を介して車室内に送風する。また開閉手段124を有する場合は送風ファン122の回転に併せて扉部材の開閉を制御することで、車室内への送風量をより細かく調整することができる。
【0017】
送風手段12は車内の空気を吸い込んで車内に吹き出すように構成され、その流路120は例えば、専用の送風用ダクト28であるが、これに限らず、HVAC27と車室内を繋ぐ空調用ダクトを分岐させて流路120としてもよい。つまり、HVAC27と車室内を繋ぐ空調用ダクト内に送風手段12を設けてもよい。この場合は、送風手段12に開閉手段124を設け、開閉手段124によってHVAC27から車室内に吹き出される空調の送風(以下、「空調送風」という。)を制御(抑制)可能にするとよい。
【0018】
図示は省略するが、送風ファン122には送風ファン用モータが接続し、ECU11により自動制御が可能である。また、ルーバー123は、例えば、支持部123B(フィン123A)を駆動する駆動機構が設けられてルーバー用モータと接続し、ECU11により自動制御が可能である。また、開閉手段124はルーバー123から独立して扉部材を駆動する駆動機構が設けられて開閉手段用モータと接続し、ECU11により自動制御が可能である。なお、ルーバー123は駆動機構を有さず、ECU11による自動制御がされない構成であってもよい。以下の説明では、送風手段12が専用の送風用ダクト28内に設けられている(開閉手段124を有さない)構成を例に説明する。
【0019】
図4は、乗り物酔い緩和装置10を機能的に説明するブロック図である。乗り物酔い緩和装置10は、制御部(ECU)11と、送風手段12を有する。ECU11は例えば、酔い緩和制御部110と通信制御部116を含み、送風手段12を制御する。より詳細には、ECU11の通信制御部116は、例えば、車両内のナビゲーション装置25、各種センサ30および送風手段12と、また車両外部情報通信手段40と、通信回線(有線、無線(移動体通信網等を含む))で接続されており、これらとの間で各種情報を送受信できるようになっている。
【0020】
ECU11は、ナビゲーション装置25,各種センサ30,車両外部情報通信手段40の少なくとも何れかから変化予測情報を取得し、また状態取得部115が取得した情報に基づき変化予測情報を取得し、これらにより車両の将来の走行計画情報を生成する。そして走行計画情報に基づき、送風手段12を制御する。すなわち、ECU11は、変化予測情報が示す将来の走行状態の変化を、乗員Cに対して事前に(その走行状態の変化が生じる以前に)報知する送風を行う。以下、この送風を「サポート送風」という。変化予測情報および車両の将来の走行計画情報については後述する。なお、以下の説明において乗り物酔い緩和装置10が取り付けられる自車両は単に「車両」と称し、自車両以外の他の車両を「他車両」と称する。
【0021】
ナビゲーション装置25は既知の構成であるので詳細な説明は省略するが、以下概略について説明する。ナビゲーション装置25は、表示部251,地図情報記憶部252、音声案内部253、通信制御部254、位置取得部255などを有する。地図情報記憶部252には、位置情報を有する地図情報(デジタルデータ)が記憶される。位置取得部255は、GPS(Global Positioning System(Satellite))が発信する電波、および車両(またはナビゲーション装置25)に搭載された各種センサ30(例えば、車速センサ30B、加速度センサ30C、ジャイロセンサ等)からの情報(信号)を受信し、車両の位置情報を取得する。そして、マップマッチング等により地図情報の上で取得した位置情報を最も適切な道路上の位置に補正し、表示部251に地図情報と車両の現在位置を重ねて表示する。
【0022】
ナビゲーション装置25に目的地(行き先)を設定した場合(以下、「ナビ設定時」)には、目的地までの経路情報が生成される。経路情報は例えば、一または複数の、経路案内情報を含む。ここで、経路案内情報とは、目的地までの経路上における一または複数の要所(目標ポイント)とそれぞれの目標ポイントに関する情報(目標ポイントの位置情報や目標ポイントにおける進行方向等)、目標ポイントにおける走行の推奨レーンなどの情報である。ナビゲーション装置25は、それぞれの目標ポイントから所定の範囲に車両が近づくと、音声案内部253により出力される音声と表示部251の表示により走行を案内する。また、目的地に近づくと、残りの道のりと曲がる方向等を音声と表示で案内可能である。ナビゲーション装置25は随時所定の間隔で車両の位置を取得(測位)しており、ナビ設定時の経路情報と異なる経路を車両が走行していると判断した場合には随時、新たな経路情報(経路案内情報)を生成する。ナビゲーション装置25が各目標ポイントについて案内する地点(経路案内地点)は予め所定の距離として設定可能であり、例えば、目標ポイントの700m手前、300m手前の地点や、直前などである。
【0023】
ナビゲーション装置25には更に、カーブ・踏切・一時停止などを目標ポイントとする注意案内情報が登録されている。ナビゲーション装置25目的地(行き先)を設定していない場合(以下、「ナビ非設定時」)およびナビ設定時のいずれであっても、ナビゲーション装置25は注意案内情報に基づき、注意案内を行うことができる。具体的に、注意案内情報の目標ポイントから所定範囲内に車両が近づくと、音声や表示により注意案内を行う。ナビゲーション装置25が各目標ポイントについて注意案内する地点(注意案内地点)も予め所定の距離として設定可能であり、例えば、目標ポイントの100m手前の地点や、直前などである。ナビゲーション装置25はまた、車両の走行履歴を例えば地図情報記憶部252(または他の記憶部)に記憶可能である。
【0024】
ナビゲーション装置25は、通信制御部254を介して、経路情報(経路案内情報)、注意案内情報および走行履歴の少なくとも何れかを変化予測情報としてECU11に送信可能である。
【0025】
なお、ECU11の通信制御部116は、例えばナビゲーション装置25を介することなく)GPS衛星や車外のGPS機器との通信が可能であってもよい。
【0026】
各種センサ30は、車両(あるいはナビゲーション装置25)に設けられたセンサ(ステアリングセンサ30A,車速センサ30B、加速度センサ30C、近接センサ、人感センサ、ジャイロセンサ等)、他車両に設けられたセンサ(近接センサ等)、あるいは道路や信号機に設置したセンサの総称である。各種センサ30は、検知信号(例えば、前方の車両との車間距離、車両の死角となる範囲の対向直進車や歩行者の情報、信号情報、推定自車位置などの情報)を、変化予測情報として、通信制御部301を介してECU11に送信可能である。
【0027】
車両外部情報通信手段40は、車両と情報通信が可能な手段であり、例えば、信号機に設けられた情報通信機器、道路(または建物等の構造物)に設置されている例えば走行支援道路システム(AHS:Advanced Cruise-Assist Highway System)などの情報通信機器、他車両に設けられた情報通信機器などである。車両外部情報通信手段40と車両との情報通信の一例を挙げると、放送利用型無線通信、路車間(V2I(Vehicle-to-roadside-Infrastructure)型無線通信、車車間(V2V(Vehicle-to-Vehicle))型無線通信、携帯電話型無線通信などがある。またこの場合に通信される情報は例えば、道路に設置されている電波ビーコンや光ビーコン等から発信される渋滞情報や所要時間情報、交通事故情報や、信号機から発信される信号の灯色や現示切替りまでの残秒数などの信号情報、他車両から発信される周囲の車両や道路の状況などの情報である。車両外部情報通信手段40は、通信制御部401を介して、変化予測情報としてこれらの情報をECU11に送信可能である。
【0028】
<乗り物酔い緩和制御部>
ECU11の乗り物酔い緩和制御部110は、例えば、車両の将来の走行状態の変化を予測して将来の走行計画情報を生成する走行予測部(変化予測情報取得部111、走行計画情報生成部112、および状態取得部115)と、送風制御情報生成部113と、送風制御部114とを含む。
【0029】
変化予測情報取得部111は、車両の、将来の走行状態の変化を示す変化予測情報を取得する。走行状態の変化とは、例えば、直進からの右左折、車線変更、走行中の加減速(停車、発進)などであり、現状維持(変化なし)も含む。なお、走行中の加減速については例えば、所定の加速度以上(以下)の変化がある場合とする。
【0030】
変化予測情報は、例えば、車両に設けられたナビゲーション装置25から取得される第1経路情報および車両の走行履歴情報、その他走行経路上において走行中に取得可能な第2経路情報、車両から取得される車両状態情報、操縦者の動作に関する情報、の少なくとも何れかに基づく情報であり、詳細にはこれらの情報のうち、将来の走行状態の変化が想定される情報をいう。つまり、変化予測情報は、速度の変化(加減速)があることを想定可能な情報(加減速予測情報)および、操舵の変化があることを想定可能な情報(操舵予測情報)の少なくとも一方を含む情報である。
【0031】
第1経路情報は、車両に設けられたナビゲーション装置25から取得される情報であり、例えば、ナビ設定時における目的地までの経路情報である。第1経路情報は特に、目的地までの経路上における目標ポイント(例えば、交差点、ランドマークや目的地)に関する情報を含み、ナビゲーション装置25の表示部251や音声案内部253によって案内として出力される情報(すなわち経路案内情報)である。第1経路情報は、例えば目標ポイント毎の情報であり、それぞれの目標ポイントまでの距離と当該目標ポイントにおいて進行する方向(右左折)などを示す情報により構成される。
【0032】
また、第1経路情報には、ナビ設定時/ナビ非設定時によらず、進行方向の前方の注意喚起としてナビゲーション装置25の表示部251や音声案内部253によって案内することが予め設定されている所定の情報(注意案内情報)を含む。注意案内情報は、例えば、踏切案内や一時停止案内などの情報である。
【0033】
車両の走行履歴情報は、車両のナビゲーション装置25の例えば地図情報記憶部252などに記憶された走行履歴を示す情報である。走行履歴情報は、例えばECU11等の記憶手段118(記憶部またはROM、RAM、HDD、SSD等、以下同様)に記憶されている情報であってもよい。本実施形態では、ナビゲーション装置25から走行履歴情報を取得する例を説明するが、これに代えてECU11等の記憶手段118から走行履歴を取得するようにしてもよい。走行履歴情報は、車両の走行経路の履歴に限らず、例えば操縦者のステアリング、ブレーキ、アクセル等の操縦(タイミングや操作量)に関する情報(すなわち操縦の癖が把握できる情報)を含むものとする。
【0034】
第2経路情報は、車両外部情報通信手段40との通信により取得される各種情報を含む。この場合の第2経路情報は例えば、道路に設置されている電波ビーコンや光ビーコン等から発信される渋滞情報や所要時間情報、交通事故情報や、信号機から発信される信号の灯色や現示切替りまでの残秒数などの信号情報、他車両から発信される周囲の車両や道路の状況などの情報である。車両外部情報通信手段40(例えば信号機など)も目標ポイントになりうる。
【0035】
さらに第2経路情報は、各種センサ30から取得する各種検知情報(信号)を含む。この場合の第2経路情報は例えば、前方の車両との車間距離や、車両の死角となる範囲の対向直進車や歩行者の情報、信号情報、推定自車位置などの情報である。
【0036】
車両から取得される車両状態情報は、車両における実測の加減速情報および操舵情報の少なくとも何れかを含む情報であり、各種センサ30のうち、ステアリングセンサ(舵角センサ30A)、車速センサ30B、加速度センサ30Cにより取得される情報である。
【0037】
操縦者の動作に関する情報は例えば、操縦者のステアリング操作、ブレーキ操作、アクセル操作およびウィンカー操作に関する情報であり、ステアリング、ブレーキペダル、アクセルペダルおよびウィンカーに設けた接触センサや操縦者の手足の動き、視線の動きを検知するセンサ(いずれも各種センサ30に含まれる)などにより取得される情報である。操縦者の動作に関する情報は走行中(操縦中)においては例えばブレーキペダル(アクセルペダル)を踏む前の動作、ウィンカーを操作する前の操作として検知されるが、操作後は走行経路と共に走行履歴情報としても記憶される。これにより、或る経路上の交差点やカーブなどにおいて操縦者がどのような操縦を行ったか(特にタイミングや操作量)を記録できる。
【0038】
ここでは変化予測情報取得部111が取得する情報とその取得方法の一例について説明するが、使用する通信手段(通信方式)やセンサなどに応じて、重複する(同じ)情報が取得されてもよい。また、異なる手段によって重複する(同じ)情報が取得されてもよい。
【0039】
変化予測情報取得部111は、所定のタイミング又は任意のタイミングで上記した第1経路情報、車両の走行履歴情報、第2経路情報、操縦者の動作に関する情報、車両から取得される車両状態情報の少なくとも何れかに基づく情報を取得し、それらのうち車両の将来の走行状態の変化が想定される情報を、変化予測情報としてECU11の記憶手段118に記憶する(変化予測情報の取得)。「車両の将来の走行状態の変化が想定される情報」とは、車両の操舵に関する変化が想定される情報(操舵予測情報)、および車両の加減速が想定される情報(加減速予測情報)の少なくとも何れかを含む情報である。操舵予測情報は例えば、「直進(現状維持、変化なし)」、「右折」、「左折」、「右車線変更」、「左車線変更」、「カーブ」などが想定される経路上の「交差点」、「分岐」、「合流有り」「カーブ有り」などを示す情報である。加減速予測情報は例えば、「現状維持(変化なし)」、「減速」、「加速」、「停止(停車)」、などが想定される信号情報や渋滞情報、経路上の「高速道路」、「踏切有り」、「一時停止有り」などを示す情報である。
【0040】
具体的に、例えばナビ設定時において、第1経路情報に基づき変化予測情報を取得する場合を説明する。ナビ設定時には、或る目的地までの経路上における一または複数の経路案内情報が生成される。経路案内情報はそれぞれに、目標ポイントと、当該目標ポイントにおける進行方向または走行の推奨レーン等を示す情報で構成されている。変化予測情報取得部111は、この経路案内情報を取得し、目標ポイントと、目標ポイントの前後における車両の走行状態の変化の態様(「変化なし」も含めてどのように変化するか)を予測する。例えば、変化予測情報取得部111は、「交差点Aで右折」という経路案内情報を取得した場合に「交差点Aに至る前後において車両の走行状態が直進から右折に変化する」と予測する。この場合目標ポイントは「交差点A」であり、変化の態様は「交差点Aまで直進し、交差点Aで右折」等である。そして目標ポイントの位置情報と、変化の態様を含む情報を変化予測情報としてECU11の記憶手段118に記憶する。つまり変化予測情報は、走行状態の変化が想定される経路案内情報(目標ポイント)に個々に対応して取得(記憶)される。
【0041】
また、一般的には、ナビゲーション装置25において、或る目的地までの経路上における経路案内情報は複数生成される(例えば、「交差点Aを右折」、「分岐Bを左方向」等)。変化予測情報取得部111は、例えば、ナビゲーション装置25においてナビ設定時に生成される目的地までの経路案内情報が複数あればこれを全て取得可能である。また、変化予測情報取得部111は、ナビゲーション装置25においてナビ設定後新たに生成される目的地までの経路案内情報があればそれらを随時取得可能である。
【0042】
また、例えば信号情報(第2経路情報)に基づき変化予測情報を取得する場合もある。この場合変化予測情報取得部111は、例えば進行方向前方直近の信号機Cが発信する「T1秒後に赤信号になる」ことを示す信号情報を取得し、目標ポイントとして信号機Cの位置情報と、変化の態様を予測する。つまりこの例では、「信号機Cの手前で減速し、停車(停止)する」と予測する。そして目標ポイント(信号機C)の位置情報と、変化の態様(減速から停車)を含む情報を変化予測情報としてECU11の記憶手段118に記憶する。
【0043】
変化予測情報は例えば時系列で記憶される。また、車両の走行に応じて(例えば経路変更をした場合など)、随時、変化予測情報取得部111は、その時点の車両の位置(状態取得部115により取得される)に基づき、既に取得した変化予測情報を常に更新(修正または削除)し、また必要に応じて新たな変化予測情報を取得し、時系列で記憶する。
【0044】
状態取得部115は、車両の状態を示す車両状態情報を取得する。車両状態情報は、車両の操舵情報および加速度情報の少なくとも何れかと、車両の最新の位置情報とを含む情報であり、操舵情報および加速度情報は具体的には例えば、車速、加速度、操舵角などである。車両の位置情報は、例えばナビゲーション装置25を介して、ナビゲーション装置25が保持する地図情報上における車両の位置として取得される。また操舵角はステアリング21に設けられたステアリングセンサ(舵角センサ30A)により取得され、車速は車速センサ30B、加速度は加速度センサ30Cにより取得される。
【0045】
例えば、変化予測情報取得部111は所定のタイミングまたは任意のタイミングで状態取得部115を介して車両状態情報を取得可能であり、車両状態情報は、地図情報と照合するなどして車両の将来の走行状態の変化を予測可能な情報となる。すなわち、車両状態情報も変化予測情報になり得る。具体的には、変化予測情報取得部111は、車両状態情報を取得した時点から所定期間(ΔT)の経過後に(将来の所定の時間までに)車両が到達するであろう位置を予測する。具体的には車両状態情報と地図情報に基づき、車両状態情報を取得した時点から例えば30秒後や60秒後などに、地図情報のどの位置に車両が到達するかを予測する。この所定期間ΔT(ここでは30秒後や60秒後)を走行予測期間ΔTという。そして地図情報の推定した位置付近の道路状況や周囲の種々の情報から走行予測期間ΔT内に走行状態の変化が想定される地点がある場合(例えば、カーブがある、高速道路に進入するなど)には、変化予測情報として取得する。この場合の走行状態の変化が想定される地点も目標ポイントとなる。走行予測期間ΔTは、車両状態情報と地図情報に基づき車両の到達地点が予測可能な範囲が適宜選択される。
【0046】
走行計画情報生成部112は、変化予測情報(状態取得部115が取得した車両状態情報を含む)に基づいて、車両が近い将来どのような走行状態となるか(どのような走行状態になっているべきか)を示す走行計画情報を生成し、ECU11の記憶手段118に記憶する。走行計画情報は、例えば、将来の或る地点(目標ポイント)の位置情報と、当該目標ポイントにおける車両の速度情報(加減速予測情報)および操舵情報(操舵予測情報)の少なくとも一方が含まれる。
【0047】
加減速予測情報は例えば、車速に基づく情報であり「現状維持(変化なし)」、「減速」、「加速」、「停車(停止)」などを示す情報である。操舵予測情報は例えば、操舵角(および速度)に基づく情報であり、「直進(現状維持、変化なし)」、「右折」、「左折」、「右車線変更」、「左車線変更」、「カーブ(旋回)」などを示す情報である。
【0048】
走行計画情報生成部112は、変化予測情報のうち、状態取得部115により取得される現在の車両の位置に対応する(現在の車両の位置から直近の目標ポイントを含む)変化予測情報がある場合には、それに基づき走行計画情報を生成し、順次ECU11の記憶手段118に記憶する。
【0049】
具体的には例えば、現在の車両の位置から直近の変化予測情報として「交差点Aまで直進し、交差点Aで右折」することを示す情報がある場合、走行計画情報生成部112は、その時点の車両の位置に基づき、操舵予測情報を含む走行計画情報として例えば、「(交差点Aがある)X1m先までステアリング21の操舵角を0°に維持(直進)し、その後ステアリング21の操舵角を0°から時計回り(+方向)に大きく増加(右折)、その後再びステアリング21の操舵角を0°に戻す(直進)」等を示す情報を生成する。あるいは、操舵予測情報および加減速予測情報を組み合わせた走行計画情報として、「X1m先まで現状の速度でステアリング21の操舵角を0°に維持し、減速後ステアリング21の操舵角を0°から時計回りに大きく増加し、その後再び加速してステアリング21の操舵角を0°に戻す」等を示す情報(変化予測情報が示す変化が完了した時点で想定される車両の状態の情報を含む)を生成してもよい。なお加減速の程度は加速度(の正負)または実際の速度で与えられ、操舵角の増加量は、例えば地図情報に基づく具体的な数値(180°、215°など)で与えられる。
【0050】
また、例えば、直近の変化予測情報として「交差点Aで右折」することを示す情報があるが、車両が複数車線の道路の左車線を走行しているような場合、走行計画情報生成部112は、「交差点Aで操舵角を0°から時計回りに大きく増加」という変化予測情報に対応する走行計画情報と、それよりも時間的に現在に近い時点の走行計画として「即時、操舵角を0°から時計回りに(進行方向が変わらない程度に)小さく増加(右車線に車線変更)」等に対応する走行計画情報を生成してもよい。走行計画情報の操舵予測情報は、実際には操舵角を示す情報であるが、説明の便宜上、以下では「右(左)折」「右(左)車線変更」「右(左)カーブ」等の文言で説明する。
【0051】
また、直近の変化予測情報として、例えば信号情報に基づく「信号機Cの手前で減速し、停車する」ということを示す情報がある場合、走行計画情報生成部112は、その時点の車両の位置に基づき、操舵予測情報を含む走行計画情報として例えば、「(信号機Cより手前の)X2m先で減速を開始し、停車する」等を示す情報を生成する。
【0052】
また、ナビ設定時/非設定時によらず、走行予測期間ΔTに基づく変化予測情報(例えば、カーブがある、高速道路に進入するなど)がある場合には、その時点の車両状態情報と地図情報に基づき、車両の状態を予測する。具体的には例えば、「現時点(走行計画情報生成時点)から30秒後は現状維持で直進」、「60秒後には右カーブ開始」、「120秒後に(高速道路に進入により)加速」等を示す情報を生成する。
【0053】
送風制御情報生成部113は、走行計画情報生成部112(走行予測部)が生成した走行計画情報に基づき、送風手段12によって送風(サポート送風)を行うための送風制御情報を生成する。この送風制御情報は、変化予測情報が予測した走行状態の変化を乗員Cに事前報知(予告)する送風を行うための制御情報である。
【0054】
送風制御情報は、変化予測情報の内容(将来の走行状態の変化)を乗員Cに認識させるための情報である。具体的には、車両の加減速予測情報や操舵予測情報を送風により体感として伝え、予告するための情報である。従って、変化予測情報の内容を体感で識別できるよう、複数の設定項目を有し、これらを組み合わせた情報として生成される。
【0055】
送風制御情報の設定項目は例えば、「送風口」、「風量(風速)」、「送風開始タイミング」、「送風終了タイミング」である。なお、これらの設定項目は一例であり、一部の設定項目を含まなくてもよいし、これらの設定項目の複数が統合された項目であってもよいし、これ以外の設定項目を含んでもよい。これらの設定項目を組み合わせた送風制御情報に基づき、送風制御部114は、送風手段12を制御する。
【0056】
「送風口」は、右側送風手段12Rと左側送風手段12Lのサポート送風の風量(風速)の大小関係を設定するための項目である。本実施形態では例えば、右側送風手段12Rと左側送風手段12Lの一方を他方に対して大きい風量(風速)にする制御(左右非対称制御)と、両者の風量(風速)を同等にする制御(左右対称制御)を行う。例えば操舵に関する予告の場合は左右非対称制御とし、加減速に関する予告の場合は左右対称制御とする。具体的に、「右折」が予測される場合は右側送風口121Rからの風量(風速)を左側送風口121Lからの風量(風速)よりも大きくし(右>左)、「左折」が予測される場合は左側送風口121Lからの風量(風速)を右側送風口121Rからの風量(風速)よりも大きくする(右<左)左右非対称制御を設定する。また、加減速(「加速」・「減速」・「一定速」)などが予測される場合は両方の送風口121から同等の風量(風速)で送風する(左=右)左右対称制御を設定する。
【0057】
「風量(風速)」は、左側送風口121Lと右側送風口121Rのそれぞれの風量(風速)を個別に制御するための項目である。例えば、サポート送風期間中に風量(風速)が変化しない一定速(一定風)と、例えば低速(弱)から高速(強)あるいは高速(強)から低速(弱)など風量が変化する変速(変速風)が設定可能であり、左右非対称制御の場合は大きい方の風量について、一定風あるいは変速風を設定可能である。
【0058】
なお、上記の設定項目の説明では、車室内に吹き出される送風の状態(強/弱,高速/低速等)で説明しているが、実際には、送風ファン122の回転数、ルーバー123の角度が数値として設定され、これに基づき送風ファン122やルーバー123が自動制御される。また、開閉手段124の自動制御が可能な場合には開閉手段124の開閉の程度が数値として設定され、これに基づき開閉手段124が自動制御される。
【0059】
「送風開始タイミング」は、サポート送風(送風期間)の開始タイミングを制御(判定)するための項目である。走行計画情報に含まれる目標ポイントの位置情報と送風制御情報作成時の車両の状態(位置情報)に基づき、目標ポイントごとにその変化を予告するサポート送風の開始タイミングが設定される。送風制御部114は、随時取得される車両の位置情報に基づき、「送風開始タイミング」に設定された位置に車両が到達した場合、サポート送風を開始する。
【0060】
送風開始タイミングは、操縦者の操縦によって車両の走行状態が変化する以前のタイミングとなるように設定する。操縦者によりステアリング操作、ブレーキ操作およびアクセル操作のタイミングは異なるので、車両の走行状態が変化すると予想されるタイミングから十分遡ったタイミングが設定される。この場合、送風制御情報生成部113は走行履歴情報に含まれる操縦者の操縦の癖に関する情報も加味して送風開始タイミングを設定できる。
【0061】
「送風終了タイミング」は、サポート送風(送風期間)の終了タイミングを制御(判定)するための項目であり、例えば、変化予測情報が示す変化が完了した時点で想定される車両の状態の情報(走行計画情報に設定されている車両の走行状態の変化後の位置情報、操舵角の情報等)である。あるいは、サポート送風の開始により走行状態の変化は乗員Cに認識可能となり、乗員Cは走行状態の変化について対策を講じることができるため、車両の走行状態が実際に変化する以前に送風終了タイミングを設定してもよく、例えば、送風開始タイミングから所定時間後、などであってもよい。送風制御部114は、随時取得される車両状態情報を示す情報に基づき、「送風終了タイミング」に設定された状態になった場合、サポート送風を終了する。
【0062】
送風制御部114は、送風制御情報生成部113が生成した送風制御情報に基づき、送風手段12を制御する。これにより、送風制御部114(ECU11)は、或る変化予測情報が示す変化が生じる以前に、当該変化に対応する送風制御情報に基づいてサポート送風を行う。これにより乗員Cに対して将来の走行状態の変化を予告するサポート送風を行うことができる。
【0063】
送風制御部114は、サポート送風の開始前に送風方向を調整する。サポート送風は乗員Cが認識(体感)できるよう、乗員Cの適切な位置(両腕、両肩など)に向けて送風するようにルーバー123の位置や姿勢を調整する。具体的には、送風制御部114は、送風手段12またはモニター36に設けたセンサ(不図示)により乗員Cの位置(姿勢)を検知し、それに基づき送風方向を調整する。なお、この送風方向の調整は、ルーバー123がモータその他の駆動機構を有し、ECU11により自動制御が可能は場合に限られる。ルーバー123(送風方向)の調整は、ダイヤルなどにより乗員Cが手動で調整できるようにしてもよい。
【0064】
図4に示すように本実施形態のECU11は、乗り物酔い緩和装置10以外の他の装置(例えば、HVAC27の制御手段も兼ね、HVAC27を制御する空調制御部117を含んでいる。また、通信制御部116は、例えばHVAC27が他の装置と通信する際の通信制御も行う。
【0065】
図4に示す例では説明の便宜上、ECU11の乗り物酔い緩和制御部110が変化予測情報取得部111、走行計画情報生成部112、送風制御情報生成部113、送風制御部114および状態取得部115を含む構成として説明しているが、ECU11は、乗り物酔い緩和制御部110の機能をハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実現するものであればよく、乗り物酔い緩和制御部110のうち複数が、ハードウェアおよび/またはソフトウェア的に一体的に構成されていてもよい。
【0066】
また、例えば乗り物酔い緩和制御部110と通信制御部116は、ECU(車両用空調装置用のECU)11とは別の制御部として構成されてもよい。
【0067】
<走行計画情報および送風制御情報の一例>
以下、変化予測情報に基づく走行計画情報と、これらに基づき設定される送風制御情報の一例について説明する。以下の説明において、送風手段12は、
図1~
図3に示す構成である。既に述べているように、走行計画情報は例えば、加減速予測情報として「現状維持(変化なし)」、「減速」、「加速」、「停止(停車)」などを示す情報があり、操舵予測情報は「直進(現状維持、変化なし)」、「右折」、「左折」、「右車線変更」、「左車線変更」、「カーブ(旋回)」などを示す情報がある。サポート送風により、これらの将来の走行状態の変化を事前に、乗員Cに認識させることができる。
【0068】
(1)走行計画情報(操舵予測情報、加減速予測情報のいずれも)が「現状維持」を示す場合の例
本実施形態では一例として、高速道路走行中など、車両が定速で直進走行(つまり走行状態の変化「なし」)すること予測される場合は、風量「中」などの一定風が左側送風口121Lおよび右側送風口121Rから同等の風量で送風される。「車両が定速である」とは例えば、車速の増減が或る所定範囲内(例えば±5km/hなど)に維持される場合をいう。この場合、送風制御情報「送風口」は左右対称制御、「風量(風速)」は「中」の一定風、「送風開始タイミング」は例えば「高速道路合流から30秒後」、「送風終了タイミング」は例えば、「送風開始タイミングから30秒後」などである。
【0069】
(2)走行計画情報が「加速」の場合の例
「加速」が予測される場合は、予測される速度(加速度)に応じて風量が「弱」(サポート送風開始時)から「中」に変化する。この場合、送風制御情報「送風口」は左右対称制御、「風量(風速)」は「弱」から「中」に変化する変速風、「送風開始タイミング」は例えば「高速道路合流の500m手前」、「送風終了タイミング」は例えば、「高速道路合流後即時」などである。加速後に定速の直進進行が予測される場合には、「加速」のサポート送風の終了後に(1)に示す「現状維持」のサポート送風が開始する。
【0070】
(3)走行計画情報が「減速」の場合の例
「減速」が予測される場合は、予測される速度(加速度)に応じて風量が「中」(サポート送風開始時)から「弱」に変化する。この場合、送風制御情報「送風口」は左右対称制御、「風量(風速)」は「中」から「弱」に変化する変速風、「送風開始タイミング」は例えば「直近の信号機の信号情報(灯色:青、残り時間15秒)受信したタイミング」、「送風終了タイミング」は「減速開始から10秒後」などである。加速後に定速の直進進行が予測される場合には、「減速」のサポート送風の終了後に(1)に示す「現状維持」のサポート送風が開始する。
【0071】
(4)ナビ設定がある場合において、直近の変化予測情報として「交差点Aを右折」という情報を取得した場合の例
現在の車両の位置が交差点Aの例えば400m手前である場合、この変化予測情報に基づき生成される走行計画情報は「交差点Aまで(現在位置から400m)直進し、その後右折」となる。この場合の送風制御情報は、乗員Cが「右折」を体感できる送風の設定とする。例えば、「送風口」は右側送風口121Rからの風量が左側送風口121Lからの風量よりも相対的に大きくなる左右非対称制御、「風量(風速)」は交差点Aまでの距離が近づくにつれて右側送風口121Rのみ「中」から「強」に変化し、右折後に「強」から「弱」に変化する変速風、「送風開始タイミング」は例えば、「交差点Aの50m手前」、「送風終了タイミング」は交差点Aの通過(右折の完了)の3秒後、などである。
【0072】
このような設定により、交差点Aの50m手前でまず右側送風口121Rと左側送風口121Lの風量が同等な状態から、右側送風口121Rからの風量が左側送風口121Lからの風量よりも相対的に大きくなるサポート送風が開始し、交差点Aに近づくにつれて右側送風口121Rのみ風量が増加する。そして右折時に右側送風口121Rからの風量が最大(「強」)となる。その後右側送風口121Rの風量が次第に弱くなり、右側送風口121Rと左側送風口121Lの風量が同等な状態に戻り、交差点Aの通過(右折の完了)の3秒後に「右折」のサポート送風が終了する。なお、一般的には例えば右左折の前には減速、右左折後は加速するので、操舵予測情報としての走行計画情報と加減速予測情報としての走行計画情報が重複するが、その場合には例えば操舵予測情報としての走行計画情報が優先される。乗員Cは右左折することが把握できれば同時に加減速があることも把握できる場合が多く、対策は講じることができる。
【0073】
(5)ナビ設定がある場合において、直近の変化予測情報として「右車線に車線変更」という情報を取得した場合の例
現在の車両の位置が車線変更地点の例えば200m手前である場合、この変化予測情報に基づき生成される走行計画情報は「車線変更地点まで(現在位置から200m)直進し、その後右車線に車線変更」となる。この場合の送風制御情報は、例えば、「送風口」は右側送風口121Rからの風量が左側送風口121Lからの風量よりも相対的に大きくなる左右非対称制御、「風量(風速)」は車線変更地点までの距離が近づくにつれて右側送風口121Rの風量のみ「中」から「強」に変化し、車線変更後に「強」から「中」に変化する変速風、「送風開始タイミング」は例えば、「車線変更地点の50m手前」、「送風終了タイミング」は車線変更後即時、などである。
【0074】
このような設定により、車線変更地点の50m手前でまず右側送風口121Rと左側送風口121Lの風量が同等な状態から、右側送風口121Rが左側送風口121Lからの風量よりも相対的に大きくなるサポート送風が開始し、車線変更地点に近づくにつれて右側送風口121Rのみ風量が増加し「強」となる。車線変更後に右側送風口121Rと左側送風口121Lの風量が同等な状態に戻り、「右車線変更」のサポート送風が終了する。
【0075】
なお、上記(1)~(3)の「現状維持」、「加速」、「減速」を予告するサポート送風は、例えばその変化が生じる以前に単発且つ短時間の送風を行うようにしてもよい。
【0076】
<サポート送風例1>
次に、「右折」の場合(例えば、上記の<走行計画情報および送風制御情報の一例>の(4)の設定例)のサポート送風について、専用の送風用ダクト28内に送風手段12が設けられている場合を例に時系列で説明する。送風手段12は
図1~
図3に示す構成と同様である。また、送風手段12のルーバー123はECU11による自動制御が可能とする。
【0077】
まず、サポート送風が行われていない状態では、送風手段12は左右いずれも、送風ファン122は停止しており、ルーバー123は例えば、待機位置(送風口121の開口部(面)に対して垂直位置など)に移動している。
【0078】
その後、車両が交差点Aの50m手前に至ったタイミングでは、右側送風手段12Rは、右側送風口121Rからの風向が乗員Cの右手(右腕)付近に向くように右側ルーバー123Rが調整される。左側送風手段12Lは、停止が維持される。
【0079】
車両が交差点Aの50m手前に至り、サポート送風が開始されたタイミングでは、右側送風手段12Rは、風量「中」となるように(中程度の速度で)右側送風ファン122Rが回転し、右側送風口121Rからサポート送風を開始する。その後、車両が交差点Aに近づくにつれて「強」に変化する。
【0080】
その後、交差点Aを通過(右折が完了)し3秒が経過したタイミングで、サポート送風は終了する。右側ルーバー123Rは待機位置に移動する。このように、操舵に関する予測の場合は、左右どちらかの送風手段12からサポート送風するようにしてもよい。
【0081】
<サポート送風例2>
次に、「右車線に車線変更」の場合(例えば、上記の<走行計画情報および送風制御情報の一例>の(5)の設定例)のサポート送風について、送風用ダクト28内に送風手段12が設けられている場合を例に時系列で説明する。送風手段12は
図1~
図3に示す構成と同様である。サポート送風が行われていない状態はサポート送風例1と同様である。また、左側送風手段12Lは停止が維持される。
【0082】
右車線開始位置の50m手前に至ったタイミングでは、右側送風口121Rからの風向が乗員Cの右手(右腕)付近に向くように右側ルーバー123Rが調整され、送風ファン122が回転し、サポート送風が開始される。
その後、右側ルーバー123Rにより左から右への揺動送風が行われ、右車線への変更が終了したタイミングでサポート送風は終了する。
【0083】
本実施形態では、操舵や加減速を予測し事前に報知(予告)するサポート送風を行う際に、変化予測情報が示す車両の速度変化および/または操舵変化の大きさに応じて、送風手段12の送風態様(具体的には、風量(風速))を変化させる。これにより、走行状態の変化のみならず、変化の程度(予測)も乗員Cに体感として伝えることができ、乗員Cが十分な対策を講じることが可能となる。
【0084】
また、操舵や加減速の予測については、ナビゲーション装置25から取得される情報、車両外部情報通信手段40や各種センサ30から取得可能な情報だけでない。例えば、車両から取得される車両状態情報(車両の現在位置)と地図情報に基づき、走行予測期間ΔT(例えば、現在地から30秒以内)内に走行状態の変化が想定される地点(例えば、カーブ)などが予測できる。カーブを予告するサポート送風は例えば、左右非対称制御とし、風量を変化させる送風口121は、右左折の予告の場合と同様にカーブの出口側が向く方向とする。そして左側送風手段12Lまたは右側送風手段12Rの風量(風速)は、カーブの曲率(予測値)や進入速度(予測値)応じて変化させ、緩やかなカーブでは左側送風手段12Lと右側送風手段12Rの風量の差は小さく、急なカーブでは両者の差が大きくなるようにする。
【0085】
また、ナビ非設定時においても、走行履歴から変更履歴情報を取得できる。例えば、変化予測情報取得部111は、ナビ非設定時にナビゲーション装置25から走行回数の多い走行履歴を取得し(通行時間等も考慮するとよりよい)、過去に同様の経路を複数走行していると判断した場合には、その走行履歴(変化予測情報)に基づいて走行計画情報、および送風制御情報を生成できる。例えば、通勤経路など常用する経路の場合にはナビ非設定で走行する場合が多いが、そのような場合であってもサポート送風を行うことができる。
【0086】
また、操縦者の動作(手足の動きや視線の動き)に関する情報を取得し、これらに基づき操舵や加減速の予測を行ってもよい。
【0087】
なお、上記の例では、送風制御情報は、「送風開始タイミングから送風終了タイミングまでの期間にどのような送風を行うか」を示す情報であるとして説明した。この場合、変速風の設定の場合にはその期間内で風量等が変化するが、実際には送風制御部114は送風制御情報を時間的に細分化した送風制御コマンドにより送風手段12を制御する。また、サポート送風は、或る程度の長い送風期間で送風するパターンに限らず、単発(短時間の1回)の送風であってもよい。
【0088】
このように本実施形態の乗り物酔い緩和装置10では、走行計画情報に基づき、送風手段12を制御し、空調の送風と区別可能な複数の送風パターンで乗員Cに対して送風を行う。走行計画情報は車両の将来の走行状態の変化を示す変化予測情報から生成するものであり、すなわち、車両の将来の走行状態の変化を、その変化が生じる前にサポート送風により予告(報知)することができる。
【0089】
<乗り物酔い緩和処理>
図5および
図6を参照して、乗り物酔い緩和装置10における乗り物酔い緩和処理について説明する。
図5および
図6は乗り物酔い緩和処理の流れの一例を示すフロー図である。乗り物酔い緩和処理は、車両の走行中は常時実行される(操縦者や乗員C等の操作による処理の停止は可能である)。
【0090】
図5を参照して、運転支援処理は、まずステップS01では、変化予測情報取得部111が周期的な割込み処理または随時発生する外部割込み処理により、第1経路情報、走行履歴情報、第2経路情報、車両状態情報、操縦者の動作に関する情報の少なくとも何れかを取得する。第1経路情報および走行履歴情報は車両に設けられたナビゲーション装置25から取得可能であり、第2経路情報、車両状態情報、操縦者の動作に関する情報は、各種センサ30および/又は車両外部情報通信手段40から取得可能である。そしてこれらの情報のうち、将来の走行状態の変化が想定される情報、すなわち、操舵予測情報および加減速予測情報の少なくとも何れかを含む情報を変化予測情報としてECU11の記憶手段118に記憶する。これにより変化予測情報が取得される。
【0091】
ステップS03では状態取得部115が車両状態情報(車両の位置情報、車速、操舵角)を取得する。変化予測情報取得部111は、車両状態情報と地図情報と照合し、所定の走行予測期間ΔTにおける車両の到達地点(目標ポイント)を予測し、将来の走行状態の変化が想定される場合には変化予測情報としてこれを取得する。
【0092】
ステップS05では走行計画情報生成部112が、変化予測情報とステップS03で取得した車両状態情報に基づき走行計画情報を生成し、ECU11の記憶手段118に記憶する。走行計画情報は、例えば、速度情報および操舵情報の少なくとも一方と、変化予測情報に含まれる目標ポイントの位置情報(あるいは目標ポイントまでの距離)を含む。目標ポイントまでの距離は、状態取得部115が取得した現在の車両の位置情報に基づき算出される。
【0093】
ステップS07では、送風制御情報生成部113が走行計画情報に基づき、送風制御情報を生成する。送風制御情報は、送風制御情報は送風手段12を制御するための情報であり、例えば「送風口」、「風量(風速)」、「送風開始タイミング」、「送風終了タイミング」などを示す情報である。
【0094】
送風制御情報生成部113は走行計画情報に基づき、送風制御情報の項目を設定する。なお、操縦者や乗員C等により設定項目の内容、あるいは設定項目と走行計画情報の対応関係を変更することも可能である。「送風開始タイミング」については、走行計画情報と現在の車両の状態(車両の位置など)に基づき、操縦者の操縦によって車両の走行状態が現実に変化する以前のタイミングが設定される。つまり車両の走行状態が変化すると予想されるタイミングから十分遡ったタイミングが設定されると望ましい。この場合、送風制御情報生成部113は走行履歴情報に含まれる操縦者の操縦の癖に関する情報(例えば、ブレーキ操作のタイミングが速い/遅い、ステアリング操作が急激/緩慢などの情報)も加味して送風開始タイミングを設定できる。「送風終了タイミング」は、走行計画情報に含まれる、変化予測情報が予測した変化後の車両の状態に基づき設定される。あるいは、サポート送風の開始により走行状態の変化は乗員Cに認識可能となり、乗員Cは走行状態の変化について対策を講じることができるため、車両の走行状態が実際に変化する以前に送風終了タイミングを設定してもよい。例えば、送風開始タイミングから所定時間後、などであってもよい。ステップS09では送風制御情報に基づき、送風制御部114が送風手段12を制御する。
【0095】
図6は、送風制御処理の流れの一例を示すフロー図である。送風制御部114は送風制御情報に基づき送風手段12を制御する。上記の例では、送風制御情報は、「送風開始タイミングから送風終了タイミングまでの送風期間にどのような送風を行うか」を示す情報であるとして説明した。この場合、その期間内で風量等が変化する(例えば「風量」が「強」から「弱」など)変速風も設定可能であり、実際には送風制御部114は送風制御情報を時間的に細分化した「送風口」、「送風パターン」、「風量(風速)」を含む送風制御コマンドにより送風手段12を制御する。
【0096】
まずステップS11では、状態取得部115が取得した車両状態情報(車両の位置情報)等に基づき、送風制御情報に設定されている送風開始タイミングが到来したか否かを判定する。送風開始タイミングが到来している場合はステップS13に進み、そうでない場合はステップS11に戻る。
ステップS13では送風制御コマンドを設定し、ステップS15では送風手段12の送風ファン122の回転数、ルーバー123の向き(センサにより乗員Cの位置を検知する)及び動作をそれぞれ制御し、サポート送風を開始する。
【0097】
ステップS17では状態取得部115が取得した車両状態情報等に基づき、送風終了タイミングであるか(その条件に達しているか)否かを判定し、送風終了タイミングでない場合にはステップS13に進み、送風終了タイミングの場合には処理を終了する。
なお、サポート送風は、或る程度の長い期間送風を継続するパターンに限らず、単発(短時間の1回)の送風であってもよい。
【0098】
このようにして本実施形態では、走行計画情報に基づいてサポート送風を行う。つまり走行計画情報の基となる車両の将来の走行状態の変化をサポート送風により乗員Cに予告できる。
【0099】
図5~
図6の処理の流れは一例であり、変化予測情報に基づき走行計画情報が生成され、走行計画情報に応じてサポート送風を行うステップを有するものであれば上記の例に限らない。
【0100】
以上説明した本実施形態の乗り物酔い緩和装置10は、変化予測情報に基づいて走行計画情報を生成し、走行計画情報に基づいて送風手段12を複数の送風パターンで制御することで、乗員Cに将来のある時点において走行状態が変化することを報知(予告)する構成であればよい。例えば送風制御情報のデータ構成(設定項目)は上記の例に限らない。
【0101】
また、走行計画情報も上記の例に限らず、変化予測情報の情報源に応じて他の走行状態の変化が予測できる場合もある。以下に変化予測情報の情報源とそれにより予測可能な走行状態の変化の一例について、「・情報源:予測可能な走行状態の変化」の形式で上記した例も含めて列挙するが、これらに限るものではない。
【0102】
<ナビゲーション装置25からの情報>
・信号(交差点)の位置:減速、加速、右左折
・分岐の位置:右左折、減速、加速
・右左折専用レーン:車線変更
・推奨レーン:車線変更
・高速道路情報:加速、減速
・渋滞情報:減速
【0103】
<ナビゲーション装置25の走行履歴(ナビ非設定時)に基づく情報>
・信号(交差点)の位置:減速、加速、右左折
・分岐の位置:右左折、減速、加速
・走行車線:車線変更
【0104】
<各種センサ30(車両の近接センサ、人感センサなど)からの情報>
・先行(前の)車両の有無(車間距離):減速、加速、車線変更
・障害物や歩行者(自転車)の有無:減速、加速、車線変更
【0105】
<車両外部情報通信手段40(信号機)からの情報>
・信号情報:減速、加速、右左折
【0106】
<車両外部情報通信手段40(V2V型通信等による対向車)からの情報>
・渋滞情報:減速
【0107】
なお、サポート送風は、送風期間において断続的(間欠的)な、あるいは強弱の波(揺らぎ)がある送風(リズム送風)やであってもよい。
【0108】
また、送風手段12の複数の送風口121は乗員Cの身体の異なる部分(2か所)に吹き付ける構成であればよい。例えば、後部座席35(
図1参照)のシートの背もたれの右肩部分に、乗員Cの右肩および/または頭部右側面に吹き付け可能な右側送風口121Rを配置し(埋め込み)、後部座席35のシートの左肩部分に、乗員Cの左肩および/または頭部左側面に吹き付け可能な左側送風口121Lを配置する(埋め込む)構成であってもよい。また、例えば後部座席35の天井に、乗員Cの右半身に吹き付け可能な右側送風口121Rと、乗員Cの左半身に吹き付け可能な左側送風口121Lを設けてもよい。
【0109】
尚、本発明の乗り物酔い緩和装置10は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0110】
10 乗り物酔い緩和装置
11 制御部(ECU)
12 送風手段
12L 左側送風手段
12R 右側送風手段
14 送風制御部
25 ナビゲーション装置
28 送風用ダクト
35 後部座席
30 各種センサ
30A ステアリングセンサ
30B 車速センサ
30C 加速度センサ
36 モニター
40 車両外部情報通信手段
110 乗り物酔い緩和制御部
111 変化予測情報取得部
112 走行計画情報生成部
113 送風制御情報生成部
114 送風制御部
115 状態取得部
116 通信制御部
117 空調制御部
120 流路
121 送風口
121L 左側送風口
121R 右側送風口
122 送風ファン
122L 左側送風ファン
122R 右側送風ファン
251 表示部
252 地図情報記憶部
253 音声案内部
254 通信制御部
255 位置取得部
271 空調用送風口
301 通信制御部
401 通信制御部