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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155297
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G01C21/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069909
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100166833
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 直子
(72)【発明者】
【氏名】森 恵一
(72)【発明者】
【氏名】森 幹太
(72)【発明者】
【氏名】脇 匡史
(72)【発明者】
【氏名】高沢 修
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 渉
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB26
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD21
2F129DD70
2F129EE02
2F129EE21
2F129EE35
2F129EE43
2F129EE53
2F129EE59
2F129EE75
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE80
2F129EE81
2F129EE83
2F129EE94
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF08
2F129FF09
2F129FF20
2F129FF43
2F129FF67
2F129GG25
2F129HH20
(57)【要約】
【課題】 車両の操縦者に目的地の経路までの音声案内を行う利便性の高い運転支援を行うとともに、音声案内を確実に認識させることで安全性を高めることが可能な運転支援装置を提供する。
【解決手段】 運転支援装置10は、車両の操縦者Dに対し、送風を行う送風手段12と、地図情報を記憶する記憶部252と、ユーザが設定した目的地までの経路情報に基づき、該経路情報上における案内地点を音声により案内する音声案内部257と、音声案内部257の案内に連動して送風手段12を制御する制御部11と、を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操縦者に対し、送風を行う送風手段と、
地図情報を記憶する記憶部と、
ユーザが設定した目的地までの経路情報に基づき、該経路情報上における案内地点を音声により案内する音声案内部と、
前記音声案内部の案内に連動して前記送風手段を制御する制御部と、を有する、
ことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記音声案内部により前記案内地点が案内される以前に、前記送風手段から送風するよう制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両の室内の空調を行う空調装置による送風とは異なる態様で送風を行うように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記音声案内部により前記案内地点が案内される以前の報知期間に断続的に送風を行うように前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記音声案内部による案内に関する情報を取得し、該情報に基づき前記送風手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項6】
車両の操縦者に対し、視覚および聴覚以外の方法で報知を行う報知手段と、
地図情報を記憶する記憶部と、
ユーザが設定した目的地までの経路情報に基づき、該経路情報上における案内地点を音声により案内する音声案内部と、
前記音声案内部の案内に先立って前記報知手段を制御する制御部と、を有する、
ことを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転を支援する装置の一つとして、目的地までの経路を視覚情報および聴覚情報で案内する車載用ナビゲーション装置が知られている。ナビゲーション装置は表示手段に目的地までの経路を表示するとともに、経路上に設定される目標ポイント(例えば交差点など)が近づいたことを音声により報知する音声案内を行う(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-059958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、音声案内の場合、車室内の話し声や車外の環境音等に紛れて聞き取りにくい、あるいは操縦者(運転者)が運転に集中していて聞き逃すなど、操縦者が確実に認識できない問題があった。操縦者は、音声案内を認識できなかった場合にはナビゲーション装置の表示部の表示を視認する時間が増え、結果として車外の状況を正確に把握することができず、交通事故に発展する恐れがある。このため、操縦者に音声案内を確実に認識させる技術の開発が望まれている。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、車両の操縦者に目的地の経路までの音声案内を行う利便性の高い運転支援を行うとともに、音声案内を確実に認識させることで安全性を高めることが可能な運転支援装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の操縦者に対し、送風を行う送風手段と、地図情報を記憶する記憶部と、ユーザが設定した目的地までの経路情報に基づき、該経路情報上における案内地点を音声により案内する音声案内部と、前記音声案内部の案内に連動して前記送風手段を制御する制御部と、を有する、ことを特徴とする運転支援装置にかかるものである。
【0007】
また、本発明は、車両の操縦者に対し、視覚および聴覚以外の方法で報知を行う報知手段と、地図情報を記憶する記憶部と、ユーザが設定した目的地までの経路情報に基づき、該経路情報上における案内地点を音声により案内する音声案内部と、前記音声案内部の案内に先立って前記報知手段を制御する制御部と、を有する、ことを特徴とする運転支援装置にかかるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の操縦者に目的地の経路までの音声案内を行う利便性の高い運転支援を行うとともに、音声案内を確実に認識させることで安全性を高めることが可能な運転支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る運転支援装置の概略を示す上面図である。
図2】本実施形態に係る運転支援装置の概略を示す正面図である。
図3】本実施形態に係る送風手段を示す概要上面図である。
図4】本実施形態に係る運転支援装置の概略を示すブロック図である。
図5】本実施形態の運転支援装置における運転支援処理の流れを示すフロー図である。
図6】本実施形態の運転支援装置における送風制御処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1図6は、発明を実施する形態の一例を示す図であり、図中、同一の符号を付した部分は同一物を表わす。また各図において、一部の構成を適宜省略して図面を簡略化し、また、各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。また、以下の説明における方向の定義として、左右方向は車両(自動車)の運転席20に座る操縦者(運転者)Dから見た場合の左右方向をいい、上下方向は操縦者Dから見た場合の上下方向をいう。
【0011】
<運転支援装置>
図1は、本実施形態の運転支援装置10の概略を示す図であり、車両内の運転席20付近の上面概要図であり、図2は車両の操縦者Dから見たダッシュボード22付近の正面概要図である。
【0012】
図1を参照して、本実施形態の運転支援装置10は、制御部11と、車両の操縦者Dに対し送風を行う送風手段12を有する。制御部11は、走行経路における音声案内を行う音声案内部に連動し、送風手段12を制御する。音声案内部は例えば、車両に設けられたナビゲーション装置25の音声案内部である。車両には例えば車両用空調装置(HVAC:Heating, Ventilation, and Air Conditioning)27が設けられているが、送風手段12はHVAC27の送風とは別に(HVAC27の送風と区別可能な状態で)、あるいは送風手段12からの送風であることが認識され得る状態で、操縦者Dに対して送風を行う。
【0013】
図1および図2を参照して、運転支援装置10の送風手段12は、送風口121と送風ファン122を少なくとも有する。送風口121は例えば、操縦者Dの上半身、特にステアリング21を握る両手(両腕または両肩)付近に対して直接的に風を吹き付け可能な位置に設けられる。具体的に、車両のダッシュボード22には例えば、インストルメントパネル(計器盤)23やナビゲーション装置25の表示部251、HVAC27の送風口(空調用送風口)271等が設けられている。運転席20のダッシュボード22の前面には、ステアリング21が設けられる。
【0014】
送風手段12は、この例では第一送風手段12Rと第二送風手段12Lを含む。第一送風手段12Rは第一送風口121Rを有し、第二送風手段12Lは第二送風口121Lを有する。第一送風口121Rは操縦者Dにおける第一領域に対して風(空気)を吹き付ける吹き出し口であり、第二送風口121Lは操縦者Dにおける第二領域(第一領域とは異なる領域)に対して風(空気)を吹き付ける吹き出し口である。第一領域は、例えば、操縦者Dの右側領域であり、第二領域は例えば、操縦者Dの左側領域である。
【0015】
送風手段12は例えば、ステアリング21(インストルメントパネル23)を挟んでその左右に少なくとも一つずつ設けられる。送風口121は例えば空調用送風口271とは別の吹き出し口である。操縦者Dから見てステアリング21の右側に設けられた右側送風手段12Rの右側送風口(第一送風口)121Rは例えば、操縦者Dの概ね右上半身側、特に右手(右腕)や右肩付近および/または右顔面付近に直接的に送風可能に構成される。操縦者Dから見てステアリング21の左側に設けられた左側送風手段12Lの左側送風口(第二送風口)121Lは例えば、操縦者Dの概ね左上半身側、特に左手(左腕)や左肩付近および/または左顔面付近に直接的に送風可能に構成される。なおこの例では右側送風口121Rおよび左側送風口121Lがそれぞれ1つずつ設けられる構成を示しているが、右側送風口121Rおよび左側送風口121Lはそれぞれ複数設けられてもよい。右側送風口121Rと左側送風口121Lの形状は略同一であり、数も同数が好ましい。
【0016】
制御部11は、例えば、HVAC27のECU(Electronic Control Unit)である。制御部(ECU)11の詳細な図示は省略するが、CPU(Central Processing Unit)と、記憶手段(ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部)と、通信制御部を含んでいる。CPU、メモリ、記憶部、および通信制御部は内部バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0017】
制御部11は、右側送風口121Rと左側送風口121Lのそれぞれからの吹き出しを独立して制御可能であり、ナビゲーション装置25の音声案内部によって案内地点が案内される以前に、送風手段12から送風するよう制御する。
【0018】
図3は、送風手段12の一例を示す概要上面図である。右側送風手段12Rと左側送風手段12Lの構成は同様とする。送風手段12は、空気(風)の流路120と、送風口121(右側送風口121R,左側送風口121L)と、流路120に設けられた送風ファン122(右側送風ファン122R,左側送風ファン122L)と、流路120の下流端部となる送風口121に設けられたルーバー123(右側ルーバー123R,左側ルーバー123L)と、送風ファン122の上流側に設けられた開閉手段124(右側開閉手段124R,左側開閉手段124L)等を有する。ルーバー123は例えば、複数のフィン123Aが支持部123Bにより連結されて左右方向に揺動自在に構成され、流路120を通過する空気の吹き出し方向を調整可能である。開閉手段124は例えば、2枚の扉部材により流路120を開閉するシャッターであり、2枚の扉部材は左右方向に開閉する構成であってもよいし、上下方向に開閉する構成であってもよい。なお、図3に示す送風手段12は一例であって図示の構成に限らない。例えば、ルーバー123は、左右方向に揺動するフィン123Aに加えて上下方向に揺動するフィン(不図示)を有してもよい。また、開閉手段124は、ルーバー123のように複数のフィンの揺動により開閉する構成であってもよいし、開口径が拡縮する円形の絞り状シャッターであってもよい。ここでは開閉手段124を有する構成を示しているが開閉手段124は設けなくてもよい。
【0019】
送風手段12の流路120は例えば、車外と車室内を繋ぐ専用の送風用ダクト28であるが、これに限らず、例えば、車室内に設けられ、車室内の空気を吸い込んで車室内に吹き出す送風機のダクトを流路120としてもよい。また、HVAC27と車室内を繋ぐ空調用ダクトを分岐させて流路120としてもよい。つまり、HVAC27と車室内を繋ぐ空調用ダクト内に送風手段12を設けてもよい。この場合は、送風手段12に開閉手段124を設け、開閉手段124によってHVAC27から車室内に吹き出される空調の送風(以下、「空調送風」という。)を制御(抑制)可能にするとよい。
【0020】
図示は省略するが、送風ファン122には送風ファン用モータが接続し、ECU11による自動制御が可能である。また、ルーバー123は、例えば、支持部123B(フィン123A)を駆動する駆動機構が設けられてルーバー用モータと接続し、ECU11による自動制御が可能である。また、開閉手段124はルーバー123から独立して扉部材を駆動する駆動機構が設けられて開閉手段用モータと接続し、ECU11による自動制御が可能である。なお、ルーバー123は駆動機構を有さず、ECU11による自動制御がされない構成であってもよい。
【0021】
送風手段12は送風ファン122の回転により送風口121を介して車室内に送風する。また開閉手段124を有する場合は送風ファン122の回転に併せて扉部材の開閉を制御することで、車室内への送風量をより細かく調整することができる。
【0022】
図4は、運転支援装置10を機能的に説明するブロック図である。運転支援装置10は、制御部(ECU)11と、送風手段12を有する。ECU11は例えば、運転支援制御部110と通信制御部116を含み、送風手段12を制御する。より詳細には、ECU11の通信制御部116は、例えば、車両内のナビゲーション装置25、各種センサ30および送風手段12と、通信回線(有線、無線(移動体通信網等を含む))で接続されており、これらとの間で各種情報を送受信できるようになっている。以下の説明において運転支援装置10が取り付けられる自車両を単に「車両」と称する。
【0023】
ナビゲーション装置25は例えば、表示部251,地図情報記憶部252、位置取得部253,経路情報生成部254,タイミング判定部255、案内情報生成部256、音声案内部257、通信制御部258、などを有する。
【0024】
地図情報記憶部252には、位置情報を有する地図情報(デジタルデータ)や、経路情報生成部254による経路探索や位置取得部253による位置取得に用いる道路網データ、音声案内部257による経路その他の音声案内の際に用いる音声データ等が記憶される。
【0025】
位置取得部253は、GPS(Global Positioning System(Satellite))が発信する電波、および車両(またはナビゲーション装置25)に搭載された各種センサ30(例えば、車速センサ30B、加速度センサ30C、ジャイロセンサ等)からの情報(信号)を受信し、車両の現在地(位置情報)を取得する。そして、マップマッチング等により地図情報の上で取得した位置情報を最も適切な道路上の位置に補正し、表示部251に地図情報と車両の現在位置を重ねて表示する。
【0026】
経路情報生成部254は、ユーザ(操縦者Dやその他の乗員など)により目的地が設定された場合(以下、「ナビ設定時」という。)、位置取得部253により取得した現在地を出発地、入力された地点を目的地として地点間の最適経路をダイクストラ法などの公知のアルゴリズムを用いて算出し、目的地までの経路情報を生成する。経路情報は例えば、一または複数の経路案内情報を含む。ここで、経路案内情報とは、目的地までの経路上における一または複数の要所(目標ポイント)とそれぞれの目標ポイントに関する情報(目標ポイントの位置情報や目標ポイントにおける進行方向等)、目標ポイントにおける走行の推奨レーンなどの情報である。目標ポイントは例えば、目的地、交差点、分岐、建物や地点(ランドマーク)や道路の名称などである。目標ポイントについては予め、案内の要否がユーザにより設定可能となっており、それぞれの目標ポイントのうち、案内することが予め登録されている目標ポイントを含む経路案内情報は、音声案内部257による音声出力や表示部251による表示により案内される。以下、目標ポイントおよびそれを含む経路案内情報については全て案内することが予め登録されているものとして説明する。
【0027】
ナビゲーション装置25(音声案内部257や表示部251)が各目標ポイントについて案内を開始する地点(経路案内地点)は各目標ポイントの手前の(現在地に近い)地点であり、予め、各目標ポイントから所定の距離の地点として設定される。所定の距離(閾値となる)は、目標ポイントの種類やカテゴリに応じて700m、300m、10mなどである。
【0028】
ナビゲーション装置25には更に、カーブ・踏切・一時停止などの注意地点を目標ポイントとする経路案内情報も登録されている。ナビゲーション装置25目的地(行き先)を設定していない場合(以下、「ナビ非設定時」)およびナビ設定時のいずれであっても、ナビゲーション装置25は注意地点について案内(注意案内)を行うことができる。
【0029】
ナビゲーション装置25が各注意地点(目標ポイント)について注意案内を開始する地点(注意案内地点)も各目標ポイントの手前の(現在地に近い)地点であり、予め、各目標ポイントから所定の距離の地点として設定される。所定の距離(閾値となる)は例えば、100m、10mなどである。経路案内地点と注意案内地点を合わせて以下、「案内地点」という。
【0030】
つまり、経路案内情報は、一つの目標ポイント(交差点、ランドマーク等)と、その目標ポイントに関する情報(位置情報、目標ポイントにおける進行方向、名称等)およびその目標ポイントについての案内地点の位置情報(目標ポイントから案内地点までの距離(閾値))がそれぞれ紐づけられた情報であり、一つの経路情報には一または複数の経路案内情報が含まれる。
【0031】
ナビゲーション装置25は位置取得部253により随時所定の間隔で車両の位置を取得(測位)しており、ナビ設定時の経路情報と異なる経路を車両が走行していると判断した場合には随時、新たな経路情報(経路案内情報)を生成する。
【0032】
タイミング判定部255は、位置取得部253により随時取得される車両の位置に基づき、それぞれの目標ポイントの案内地点に車両が到達したか否か、すなわち案内を開始するタイミングを判定する。
【0033】
案内情報生成部256は、タイミング判定部255により案内地点に車両が到達したと判定された場合に案内情報を生成する。案内情報は、表示部251により表示される表示案内情報、及び音声案内部257から出力される音声案内情報を含む。案内情報(表示案内情報および音声案内情報)としては、少なくとも目標ポイントの名称と目標ポイントまでの距離および目標ポイントでの進行方向等を含む。
【0034】
音声案内部257は例えばスピーカであり、地図情報記憶部252に保持される音声データにより、生成された案内情報、例えば、「300m先の交差点Aを右折です」等の音声案内を出力する。また画像制御により表示部251にも同様の内容が文字や矢印等の画像(表示案内)により表示される。
【0035】
ナビゲーション装置25は、通信制御部258を介して、経路情報(経路案内情報)をECU11に送信可能である。なお、ナビゲーション装置25は、上記した以外にも既知の構成を有している。
【0036】
各種センサ30は、車両(あるいはナビゲーション装置25)に設けられたセンサ(ステアリングセンサ30A,車速センサ30B、加速度センサ30C、近接センサ、人感センサ、ジャイロセンサ等)の総称である。各種センサ30は、検知信号を、通信制御部301を介してECU11に送信可能である。
【0037】
ECU11の運転支援制御部110は、例えば、予告開始地点決定部111と、予告開始判定部112と、送風制御情報生成部113と、送風制御部114と、状態取得部115を含む。
【0038】
運転支援制御部110は、ナビゲーション装置25の経路情報生成部254が生成した経路情報(経路案内情報)を取得し、音声案内部257によって案内地点が案内される以前に、送風手段12から送風するよう制御する。具体的には例えば、経路案内情報には、目標ポイント毎に案内地点の位置情報(目標ポイントから案内地点までの距離)が紐づけられており、運転支援制御部110は車両の位置を取得し、案内地点に到達する以前に、送風を行う。この送風は、「近い将来、音声案内が出力される」ことを操縦者Dに報知(予告)する送風であり、以下この送風を「予告送風」という。
【0039】
状態取得部115は、所定のタイミングまたは任意のタイミングで車両の状態を取得する。車両の状態は例えば、車両の最新の位置情報、車速、加速度、操舵角などである。車両の位置情報は、例えばナビゲーション装置25を介して、ナビゲーション装置25が保持する地図情報上における車両の位置として取得される。また操舵角はステアリング21に設けられた不図示のステアリングセンサ(舵角センサ)により取得され、車速は車速センサ、加速度は加速度センサにより取得される。舵角センサ、車速センサ、および加速度センサは各種センサ30に含まれる。
【0040】
予告開始地点決定部111は、通信制御部116を介して、ナビゲーション装置25の経路情報生成部254が生成した経路情報(経路案内情報)を取得し、ECU11の記憶手段118(記憶部またはROM、RAM、HDD、SSD等、以下同様)に記憶する。予告開始地点決定部111は、例えば、ナビゲーション装置25においてナビ設定時に生成される目的地までの経路案内情報が複数あればこれを全て取得可能である。また、予告開始地点決定部111は、ナビゲーション装置25においてナビ設定後新たに生成される目的地までの経路案内情報があればそれらを随時取得し、ECU11の記憶手段118に記憶可能である。経路案内情報は時系列で記憶される。また、車両の走行に応じて(例えば経路変更をした場合など)、随時、予告開始地点決定部111は、その時点の車両の位置(状態取得部115により取得される)に基づき、既に取得した経路案内情報を常に更新(修正または削除)し、また必要に応じて新たな経路案内情報を取得し、時系列で記憶する。
【0041】
予告開始地点決定部111は、また、経路案内情報のそれぞれについて予告送風の開始地点(予告開始地点)を決定する。予告開始地点は、経路案内情報に含まれる案内地点より手前の(現在地に近い)地点であり、案内地点から予告開始地点までの距離は予め所定の距離(閾値となる)として設定され、ECU11の記憶手段118に保持されている。所定の距離は、例えば、100m、50m、30mなどである。これにより、経路情報案内(すなわち目標ポイント)の夫々に予告送風の開始地点が紐づけられる。
【0042】
予告開始判定部112は、経路案内情報のそれぞれについて予告送風を開始するタイミングを判定する。予告開始判定部112は、随時、状態取得部115が取得する車両の位置に基づき、直近の経路案内情報に対応する(紐づけられている)予告開始地点に車両が到達したか否かを判定する。
【0043】
送風制御情報生成部113は、予告開始判定部112により、予告開始地点に車両が到達したと判定された場合に、送風手段12によって送風を行うための送風制御情報を生成する。この送風制御情報は、近い将来、ナビゲーション装置25の音声案内部257によって案内地点が案内されることを事前に操縦者Dに知らせる予告送風を行うための制御情報である。
【0044】
ここで、HVAC27が運転中の場合、車室内には温度に応じた空調送風が吹き出されている。つまり予告送風と空調送風が混在する可能性があるので、本実施形態では両者を操縦者Dが誤認しないよう、予告送風と空調送風の態様(送風パターンや風量(風速))を異ならせる。例えば、空調送風は、設定温度により強弱(高速/低速)に変化するものの、意図して間欠的、または断続的に風量を異ならせていない連続送風である。このような空調送風と区別できるようにするために(予告送風であることを認識させるため)、予告送風は、例えば意図して間欠的、または断続的に風量を異ならせる(所定のタイミングで強弱の波を生じさせる)リズム送風とする。リズム送風は、送風ファン122の回転と停止の繰り返し、回転数の大小の繰り返し、あるいは開閉手段124の開閉の繰り返し、又はこれらの組み合わせなどの制御で風量を意図的に所定のタイミングで強弱させ波のような風を生じさせる。
【0045】
送風制御情報生成部113はこのようなリズム送風で予告送風をするよう、送風手段12の送風制御情報を生成する。また、本実施形態では例えば、予告開始地点に車両が到達したと判定された後に即時予告送風を開始するが、予告送風の送風終了タイミングは送風制御情報として生成される。送風終了タイミングは例えば「送風開始タイミングから10秒後」などである。
【0046】
送風制御部114は、予告送風の開始前に送風方向を調整する。予告送風は操縦者Dが認識(体感)できるよう、予め定めた目標位置(例えばステアリング21を握る操縦者Dの手(腕または肩、以下同様)またはその周囲として想定される位置)に向かって送風せる。このようにすることで送風方向によってもHVAC27の空調送風との違いを操縦者Dに認識させやすくすることができる。
【0047】
目標位置は、操縦者Dの体格や走行時の姿勢により実際の操縦者Dの手などからずれる場合がある。そこで送風制御部114は、操縦者Dの適切な位置に向けて送風するようにルーバー123および/または開閉手段124の位置や姿勢を調整する。具体的には、送風制御部114は、例えばステアリング21やインストルメントパネル23等に設けられたセンサ(不図示)により操縦者Dの位置(姿勢)を検知し、それに基づき目標位置を調整し、送風方向を決定する。
【0048】
なお、この送風方向の調整は、ルーバー123および/または開閉手段124がモータその他の駆動機構を有し、ECU11により自動制御が可能は場合に限られる。ルーバー123(送風方向)の調整は、ダイヤルなどにより操縦者Dが手動で調整できるようにしてもよい。
【0049】
送風方向を調整した後、送風制御部114は、送風制御情報生成部113が生成した送風制御情報に基づき、送風手段12(送風ファン122、ルーバー123、および開閉手段124)を制御する。なお開閉手段124の制御は、送風手段12が開閉手段124を有している場合に限る。また、ルーバー123の制御は、送風手段12が、支持部123Bやフィン123Aを可動する駆動機構およびルーバー用モータを有し、ECU11による制御が可能な場合に限る。
【0050】
このようにして、本実施形態の運転支援装置10は、車両が予告開始地点に到達した場合、予告送風を行う。既に述べているが予告開始地点は、経路案内情報に含まれる目標ポイントの案内地点から所定の距離、遡った(現在地に近い)地点である。つまり、或る目標ポイントについてナビゲーション装置25による音声案内が出力される以前に、送風手段12による予告送風を行うことができる。予告送風は操縦者Dの上半身(両手(腕)、両肩など)に直接吹き付けられるので、操縦者Dは予告送風によりその後にナビゲーション装置25による音声案内があることを体感として認識できる。従って、音声案内の聞き逃し等がないよう対策を講じることができ、音声案内を確実に聞くことができる。結果として音声案内の聞き逃し等によりナビゲーション装置25の表示部251を確認する機会が減り、安全性が高まる。
【0051】
ここで、送風制御部114は、HVAC27が動作している場合にはHVAC27のブロワと連携し、これも制御するとよい。すなわち、送風制御部114は、HVAC27が運転中の場合に予告送風を行う場合には、例えば、HVAC27の空調送風の風量(風速)を一時的に抑制し、空調送風の風量(風速)を相対的に予告送風の風量(風速)より低下させる。具体的に、例えばHVAC27のブロワの回転数を一時的に低下させ風量を抑制する。あるいは、HVAC27と車室内を繋ぐ空調用ダクトにシャッター等を設けておき、HVAC27のブロワの回転数は維持したままこのシャッターを閉じることにより空調用送風口271から車室内に吐出する空調送風の風量を一時的に抑制する。あるいはHVAC27の運転を一時的に停止してもよい。
【0052】
そして、送風制御部114は、空調送風が抑制された後、短時間(例えば、1~3秒等)間隔をあけて予告送風を開始する。空調送風が抑制され、またその状態が短時間維持された後に予告送風が開始されるようにすることで、操縦者Dに予告送風であることをより認識させやすくすることができる。
【0053】
なお、図4に示すように本実施形態のECU11は、運転支援装置10以外の他の装置(例えば、HVAC27の制御手段も兼ね、HVAC27を制御する空調制御部117を含んでいる。また、通信制御部116は、例えばHVAC27が他の装置と通信する際の通信制御も行う。
【0054】
図4に示す例では説明の便宜上、ECU11の運転支援制御部110が予告開始地点決定部111、予告開始判定部112、送風制御情報生成部113、送風制御部114および状態取得部115を含む構成として説明しているが、ECU11は、運転支援制御部110の機能をハードウェアおよび/またはソフトウェアにより実現するものであればよく、運転支援制御部110のうち複数が、ハードウェアおよび/またはソフトウェア的に一体的に構成されていてもよい。また例えば、図4ではナビゲーション装置25に含まれている地図情報記憶252や案内情報生成部257などはECU11に含まれていてもよい。また、例えば運転支援制御部110と通信制御部116は、ECU(車両用空調装置用のECU)11とは別の制御部として構成されてもよい。
【0055】
<予告送風例>
以下、予告送風の一例について時系列で説明する。以下の説明における送風手段12は、図1図3に示す構成と同様である。
<a 予告送風例1>
予告送風例1では、左側送風手段12Lは右側送風手段12Rと左右対称で、同様の動作を行う。また、この例では車外と車室内を繋ぐ送風用ダクト28内に送風手段12が設けられているとする。送風手段12のルーバー123はECU11による自動制御が可能である。またHVAC27は運転中である。
【0056】
(a1)予告送風が行われていない状態では、送風手段12は左右いずれも、送風ファン122は停止する。ルーバー123は例えば、待機位置(操縦者Dに向かわない正面位置など)に移動する。一方、空調用送風口271からは、HVAC27の設定温度に応じた適宜の空調送風が行われる。
【0057】
(a2)車両が予告開始地点に到達したと判定されたタイミングで、例えば、運転支援制御部100は、直近の経路案内情報として「直近の交差点A(目標ポイント)を右折」、「案内地点は目標ポイントの300m手前」という情報を取得したとする。この情報に基づき、運転支援制御部110では、案内地点の例えば50m手前に予告開始地点が決定され、送風制御情報が生成される。
【0058】
この場合、予告開始判定部112により車両が予告開始地点に到達したと判定されると、まずHVAC27から車室内に吹き出す空調送風の風量が(予告送風の風量よりも)抑制される。HVAC27は例えばブロワの風量(回転数)は抑えず、HVAC27と車室内をつなぐ空調用ダクト29内部に設けた開閉手段(例えば、シャッター291)を一部または全部閉止して車室内に吹き出す風量を抑える。あるいは、HVAC27のブロワの風量を抑えてもよいし、一時的にHVAC27の運転を停止してもよい。なお、空調送風の風量の抑制は例えば運転席のみとし、助手席前方や後部座席用の空調送風口からの風量は抑制しないようにすると好ましい。
【0059】
右側送風手段12Rでは、右側送風口121Rからの風向が操縦者Dの右手(右腕)付近に向くように右側ルーバー123Rが調整される。左側送風手段12Lでは、左側送風口121Lからの風向が操縦者Dの左手(左腕)付近に向くように左側ルーバー123Lが調整される。
【0060】
(a3)(a2)の直後に予告送風が開始されると、右側送風口121Rおよび左側送風口121Lから、例えば操縦者Dに対しリズム送風が吹き出す。予告送風は、(a2)のタイミングで空調送風の風量を抑えた後に(好適には短時間(例えば、1~2秒)の間隔をあけて)、予告送風を開始する。空調送風の風量が抑えられたことにより予告送風が開始することを操縦者Dに認識させやすくすることができる。また予告送風は空調送風とは異なる送風パターン(リズム送風)で送風されるので、これによっても予告送風であることを操縦者Dに認識させやすくすることができる。空調送風は抑制されたままである。
【0061】
(a4)予告送風に続き、車両が案内地点に到達すると(ナビゲーション装置25によりそのように判定されると)、ナビゲーション装置25の音声案内部257から音声案内(例えば、「300m先の交差点を右折です。」という音声案内が行われる。音声案内の開始は、予告送風の開始後のタイミングである。
【0062】
(a5)予告送風の送風終了タイミングが到来すると、予告送風は終了し、ルーバー123は待機位置に移動する。また、抑制されていたHVAC27からの空調送風の吹き出しが予告送風前の状態に戻る。なお、予告送風は、(a4)の音声案内が開始する以前に終了するようにしてもよい。
【0063】
<b 予告送風例2>
HVAC27と車室内を繋ぐ空調用ダクト29内に送風手段12(右側送風手段12R,左側送風手段12L)が設けられている構成の例である。
【0064】
送風手段12は、空調用ダクト29内に設けてもよい。この場合、空調用ダクト29は車室内に向かう途中で、HVAC27の空調用送風口271に至る流路と、右側送風手段12Rの右側送風口121Rに至る流路と、左側送風手段12Lの左側送風口121Lに至る流路に分岐する。左側送風手段12Lは右側送風手段12Rと左右対称の動作を行う。
【0065】
(b1)予告送風が行われていない場合には、空調用送風口271と、送風手段12の送風口121を利用してHVAC27の設定温度に応じた適宜の空調送風が行われる。つまり送風手段12の送風口121は空調送風と予告送風の吹き出し口として共用される。送風手段12は予告送風停止時には、送風ファン122は停止し、ルーバー123は待機位置に移動する。
【0066】
(b2)予告送風開始直前には例えばHVAC27のブロワの回転数は維持しつつ、右側送風手段12Rの右側開閉手段(シャッター)124Rを少なくとも一部閉鎖することにより、右側送風口121Rからの空調送風の風量を抑える。左側送風手段12Lにおいても同様に左側開閉手段(シャッター)124Lを少なくとも一部閉鎖することにより、左側送風口121Lからの空調送風の風量を抑える。この時点で予告送風は開始されていないため、送風口121からの風量は一時的に弱まる。
【0067】
また、空調用送風口271につながる空調用ダクト29内においてもシャッター291を少なくとも一部閉鎖し、空調用送風口271からの空調送風の風量も抑えるとよい。なお、この場合もHVAC27のブロワの回転数を抑えてもよいし、HVAC27を一時的に停止してもよい。そして右側送風手段12Rの右側ルーバー123Rの向きを、操縦者Dに向けて送風されるよう調整する。
【0068】
(b3)その後、例えば空調送風の抑制から短時間の間をおいて、右側送風ファン122Rおよび左側送風ファン122Lを駆動する。これにより左右の送風口121から予告送風が開始する。この例ではHVAC27の風量は右側開閉手段124で規制され、HVAC24のブロワの回転数は抑えていないが、ブロワの回転数を抑えてもよい。この状態では右側送風口121Rからは空調送風と予告送風とが行われるが、操縦者Dに向かう送風に代わること、また予告送風はリズム送風であることにより、送風口121がHVAC27と共用される場合であっても、予告送風がされていることを認識できる。
【0069】
(b4)予告送風に続き、車両が案内地点に到達すると(ナビゲーション装置25によりそのように判定されると)、ナビゲーション装置25の音声案内部257から音声案内(例えば、「300m先の交差点を右折です。」という音声案内)が行われる。音声案内の開始は、予告送風の開始後のタイミングである。
【0070】
(b5)予告送風の送風終了タイミングが到来すると、予告送風は終了し、右側ルーバー123Rおよび左側ルーバー123Lは待機位置に移動する。また、抑制されていたHVAC27からの空調送風の吹き出しが予告送風前の状態に戻る。
【0071】
予告送風例1および予告送風例2では、ルーバー123の自動制御が可能である場合を説明したが、自動制御が不可(操縦者D等による手動の位置調整は可能)であってもよい。この場合操縦者Dの手や腕等に直接、予告送風が当たらない場合もあるが、空調送風とは異なる態様の送風(例えば、リズム送風)が行われることによる周辺空気の流動等から予告送風が行われていることは体感できる。この場合、ルーバー123の自動調整ステップは省略される。
【0072】
また上記の例ではHVAC27が運転中である場合を例に説明したが、HVAC27が停止中の場合も予告送風例1および予告送風例2と同様に実施できる。またHVAC27が停止中の場合には、シャッター124の制御を行なわなくてもよい。
【0073】
なお、予告送風例1および予告送風例2では左側送風手段12Lと右側送風手段12Rは同様の予告送風を行う場合を説明した。しかしこれに限らず、例えば目標ポイントや目標ポイントにおいて想定される車両の走行状態に応じて、予告送風の態様を異ならせてもよい。
【0074】
具体的には、例えば「目標ポイント(例えば、交差点A)で右折」という経路案内情報がある場合、その予告送風は、右側送風口121Rのみから送風を行ってもよい。
【0075】
また例えば「目標ポイント(例えば、右折専用レーンの開始地点)で右車線に車線変更」という経路案内情報がある場合、その予告送風は例えば、右側送風口121Rのみを使用し、右側ルーバー123Rを左右に揺動させ、左(ステアリング側)から右への揺動する送風を行うようにしてもよい。
【0076】
なお、予告送風は空調送風と区別可能とするために(予告送風であることを操縦者Dに認識させるために)、或る程度(例えば、数秒~30秒等)の送風期間(報知期間)を確保し、その中で例えばリズム送風(断続的、間欠的な送風)行うようにしている。つまり、送風期間(報知期間)内で風量(あるいは揺動する送風の場合は風向)等が変化することになり、実際には送風制御部114は送風制御情報を時間的に細分化した送風制御コマンドにより送風手段12を制御する。また、予告送風は、或る程度の長い送風期間で送風するパターンに限らず、単発(短時間の1回)の送風であってもよい。
【0077】
このように本実施形態の運転支援装置10では、ナビゲーション装置25の音声案内部257から音声案内が出力される以前に、予告送風を行い、その直後に音声案内部257から音声案内が出力されることを、操縦者Dに予告(報知)することができる。
【0078】
これにより操縦者Dは、ナビゲーション装置25の表示部251を確認する等、運転に対する注意力が低下するような行動をとることなく、走行計画情報(将来の車両の走行状態の変化)を直感的に(体感として)把握することができる。
【0079】
なお、送風パターン(連続送風、リズム送風、揺動する送風等)、予告送風の開始タイミングや送風期間はECU11の記憶手段118に記憶されているが、もユーザによる設定の変更も可能である。
【0080】
<運転支援処理>
図5および図6を参照して、運転支援装置10における運転支援処理について説明する。図5および図6は運転支援処理の流れの一例を示すフロー図である。運転支援処理は、車両の走行中は常時実行される(操縦者D等の操作による処理の停止は可能である)。
【0081】
図5を参照して、運転支援処理は、まずステップS01では、予告開始地点決定部111が周期的な割込み処理または随時発生する外部割込み処理により、例えばナビゲーション装置25から経路情報(経路案内情報)を取得し、ECU11の記憶手段118に記憶する。
【0082】
ステップS03では状態取得部115が車両の状態(車両の位置情報、車速、操舵角)を取得し、ステップS05に進む。ステップS05では予告開始地点決定部111が、経路案内情報とステップS03で取得した車両の状態に基づき予告開始地点を決定し、ECU11の記憶手段118に記憶する。
【0083】
ステップS07では、予告開始判定部112が、随時状態取得部115が取得する車両の位置と、予告開始地点決定部111が決定した直近の経路案内情報に対応する(紐づく)予告開始地点とに基づき、予告送風を開始するタイミングを判定する。予告開始判定部112は直近の経路案内情報(目標ポイント)毎に予告開始地点に車両が到達したか否かを判定し、到達している場合はステップS09に進み、そうでない場合はステップS07を繰り返す。
【0084】
ステップS09では、送風制御情報生成部113が送風制御情報を生成し、ステップS11では送風制御情報に基づき、送風制御部114が送風手段12を制御する。
【0085】
図6は、送風制御処理の流れの一例を示すフロー図である。送風制御部114は送風制御情報に基づき送風手段12を制御する。
【0086】
まずステップS21では送風制御コマンド(予告送風の初期値)を設定し、ステップS23では送風手段12の送風ファン122の回転数、ルーバー123の向き(センサにより操縦者Dの位置を検知する)及び動作、開閉手段124の状態、更にHVAC27の風量(の抑制)をそれぞれ制御し、予告送風を開始する。
【0087】
ステップS25では状態取得部115が取得した車両の状態(車両の位置情報、車速、操舵角)等に基づき、送風終了タイミングであるか(その条件に達しているか)否かを判定し、送風終了タイミングでない場合にはステップS21に進み、送風終了タイミングの場合には処理を終了する。なお、予告送風は、或る程度の長い期間送風を継続するパターンに限らず、単発(短時間の1回)の送風であってもよい。
【0088】
図6図10の処理の流れは一例であり、経路案内情報に基づき走行計画情報が生成され、走行計画情報に応じて予告送風を行うステップを有するものであれば上記の例に限らない。
【0089】
以上説明した本実施形態の運転支援装置10は、ナビゲーション装置25の音声案内が出力される以前に、操縦者Dに対して予告送風を行う構成であれば上記の例に限らない。
【0090】
例えば、送風手段12の複数の送風口121は操縦者Dの身体の異なる部分(2か所)に吹き付ける構成であれば、ダッシュボード22に設ける構成に限らず、例えば運転席20付近の他の場所に設けてもよい。例えば、運転席シート26(図1参照)の右肩部分に、操縦者Dの右肩および/または頭部右側面に吹き付け可能な右側送風口121Rを配置し(埋め込み)、運転席シート26の左肩部分に、操縦者Dの左肩および/または頭部左側面に吹き付け可能な左側送風口121Lを配置する(埋め込む)構成であってもよい。また、例えば運転席20の天井に、操縦者Dの右半身に吹き付け可能な右側送風口121Rと、操縦者Dの左半身に吹き付け可能な左側送風口121Lを設けてもよい。また例えば、操縦者Dの頭部と足部などにそれぞれ吹き付け可能としてもよいが、右左折等を体感させることから操縦者Dの左右に分けて吹き付け可能とする方が望ましい。
【0091】
また、送風手段12の送風口121は、操縦者Dに向けて送風可能であれば1か所であってもよい。1か所からの予告送風でも操縦者Dは認識可能である。
【0092】
また、地図情報を記憶する記憶部および/または音声案内部は、ナビゲーション装置25とは別に車両(例えば、上記のECU(空調制御用ECU)11や、運転支援装置10専用のECU)に設けられる構成であってもよい。
【0093】
<他の実施形態>
上記の実施形態の予告送風を行う送風手段12に代えて、車両の操縦者Dに対し、視覚および聴覚以外の方法で報知を行う報知手段を設けてもよい。報知手段は例えば、ステアリング21を操縦者Dに認識可能な範囲で僅かに振動(微小振動)させる駆動機構およびモータ等である。この場合も、経路案内情報のそれぞれについて予告開始地点決定部111が予告開始地点を決定する。そして予告開始判定部112は直近の経路案内情報(目標ポイント)毎に予告開始地点に車両が到達したか否かを判定し、予告開始地点に車両が到達している場合には報知手段を制御し、ナビゲーション装置25の音声案内に先立って、操縦者Dに対してステアリングの微小振動による報知を行う。報知手段はまた、送風手段12とその上流に設けた香り発生手段で構成され、香りによって音声案内がされることを予告する構成でであってもよい。
【0094】
尚、本発明の運転支援装置10は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0095】
10 運転支援装置
11 制御部(ECU)
12 送風手段
12L 左側送風手段
12R 右側送風手段
20 運転席
21 ステアリング
22 ダッシュボード
23 インストルメントパネル(計器盤)
25 ナビゲーション装置
26 運転席シート
27 HVAC
28 送風用ダクト
29 空調用ダクト
30 各種センサ
30A ステアリングセンサ
30B 車速センサ
30C 加速度センサ
100 運転支援制御部
110 運転支援制御部
111 予告開始地点決定部
112 予告開始判定部
113 送風制御情報生成部
114 送風制御部
115 状態取得部
116 通信制御部
117 空調制御部
120 流路
121 送風口
121L 左側送風口
121R 右側送風口
122 送風ファン
122L 左側送風ファン
122R 右側送風ファン
123 ルーバー
123A フィン
123B 支持部
123L 左側ルーバー
123R 右側ルーバー
124 開閉手段
124 右側開閉手段
124L 左側開閉手段
251 表示部
252 地図情報記憶部
253 位置取得部
254 経路情報生成部
255 タイミング判定部
256 案内情報生成部
257 音声案内部
258 通信制御部
271 送風口(空調用送風口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6