(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155300
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】作業車用保護部材、及び作業車用保護ユニット
(51)【国際特許分類】
B66F 9/075 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B66F9/075 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069915
(22)【出願日】2023-04-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2023年1月19日、「アラオ株式会社メールマガジン配信第57号」にて公開 2023年1月30日、「Instagram(arao_tokyo アラオ(株)東京支店)」にて公開 2023年2月27日、「『名古屋ものづくりワールド』展示会ホームページ」にて公開 2023年4月10日~12日、「『名古屋ものづくりワールド』展示会(ポートメッセなごや)」にてカタログを配布 2023年1月26日~4月14日、各得意先事業所等において販売
(71)【出願人】
【識別番号】390010478
【氏名又は名称】アラオ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 裕貴
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333CA26
3F333CA30
3F333DA01
3F333DA03
3F333DA08
3F333DB08
3F333FA11
(57)【要約】
【課題】十分な保護機能を確保しつつ、優れた汎用性が得られる作業車用保護部材、及び作業車用保護ユニットを提供する。
【解決手段】作業車用保護部材1は、表面側11と裏面側12とを有するとともに長手方向13と短手方向14とを有する矩形板状に形成され、裏面側12が作業車の磁性体面に取り付けられ、可撓性を有する素材からなるシート材2と、シート材2の裏面側12に設けられ、弾力性を有する素材からなる複数個のブロック材3と、シート材2の表面側11とブロック材3の裏面側12とを被覆する被覆シート4と、ブロック材3の裏面側12で被覆シート4に覆われた箇所に設けられる複数個の磁石体5と、を備え、ブロック材3は、短手方向14の中央部に、長手方向13に沿った長手間隙35を設けて配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面側と裏面側とを有するとともに長手方向と短手方向とを有する矩形板状に形成され、前記裏面側が作業車の磁性体面に取り付けられる作業車用保護部材であって、
可撓性を有する素材からなるシート材と、
前記シート材の裏面側に設けられ、弾力性を有する素材からなる複数個のブロック材と、
前記シート材の表面側と前記ブロック材の裏面側とを被覆する被覆シートと、
前記ブロック材の裏面側で前記被覆シートに覆われた箇所に設けられる複数個の磁石体と、を備え、
複数個の前記ブロック材は、前記短手方向の中央部に、前記長手方向に沿った長手間隙を設けて配置される、作業車用保護部材。
【請求項2】
前記被覆シートは、前記ブロック材の裏面側のうち、前記長手間隙が形成されていない部分を被覆する、請求項1に記載の作業車用保護部材。
【請求項3】
複数個の前記ブロック材は、前記短手方向に沿った短手間隙を少なくとも一箇所に設けて配置される、請求項2に記載の作業車用保護部材。
【請求項4】
前記長手間隙と前記短手間隙のそれぞれは、裏面側に向かうに従って幅寸法が大きくなるテーパ形状に形成されている、請求項3に記載の作業車用保護部材。
【請求項5】
前記被覆シートの表面側に、危険性を表示するデザインが施される、請求項4に記載の作業車用保護部材。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の作業車用保護部材を長手方向に複数個連結するとともに、互いの連結部で折り曲げ可能に構成した、作業車用保護ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フォークリフト等からなる作業車に取り付けられる作業車用保護部材、及び作業車用保護ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフトが工場や倉庫内を走行する際、フォークリフトが棚や物品等に接触することによる車体の損傷を防止するとともに、工場や倉庫内の作業者に対する安全性を向上させることを目的として、フォークリフトに着脱可能に取り付けられるフォークリフト用バンパーが知られている(例えば、特許文献1を参照)。このようなフォークリフト用バンパーは、フォークリフトの被取付部に適した平面形状で所定厚みを有する緩衝板材と、緩衝板材の全面を覆うシート部材と、緩衝板材の取付側面に設けられた複数の磁石部材とからなる。そして、緩衝板材が、磁石部材の位置を調整するために緩衝板材と同一材料のスペーサー部を備え、磁石部材の取付側面が緩衝板材の取付側面と略面一となって、磁石部材を介してフォークリフトに取り付けられるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたフォークリフト用バンパーでは、緩衝板材の取付側面にV字の切込部(特許文献1の
図3(a)参照)が設けられることにより、フォークリフトの湾曲面に対してフォークリフト用バンパーをフィットさせた状態で取り付け得るように構成されている。しかし、前記V字の切込部は、緩衝板材の厚み方向の一部にしか形成されていないので、例えば直角に交差する角部等に沿って取り付ける際には、緩衝板材の厚み方向の大部分を無理やり折り曲げる必要がある。このため、フォークリフト用バンパーを前記角部等に取り付け可能にして汎用性を持たせるには、緩衝板材を極めて柔軟な素材で形成しなければならず、フォークリフト用バンパーを設けることによる保護機能を十分に得ることが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、十分な保護機能を確保しつつ、優れた汎用性が得られる作業車用保護部材、及び作業車用保護ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の発明を包含する。
【0007】
(1) 表面側と裏面側とを有するとともに長手方向と短手方向とを有する矩形板状に形成され、前記裏面側が作業車の磁性体面に取り付けられる作業車用保護部材であって、可撓性を有する素材からなるシート材と、前記シート材の裏面側に設けられ、弾力性を有する素材からなる複数個のブロック材と、前記シート材の表面側と前記ブロック材の裏面側とを被覆する被覆シートと、前記ブロック材の裏面側で前記被覆シートに覆われた箇所に設けられる複数個の磁石体と、を備え、複数個の前記ブロック材は、前記短手方向の中央部に、前記長手方向に沿った長手間隙を設けて配置される、作業車用保護部材。
【0008】
(2) 前記被覆シートは、前記ブロック材の裏面側のうち、前記長手間隙が形成されていない部分を被覆する、(1)に記載の作業車用保護部材。
【0009】
(3) 複数個の前記ブロック材は、前記短手方向に沿った短手間隙を少なくとも一箇所に設けて配置される、(2)に記載の作業車用保護部材。
【0010】
(4) 前記長手間隙と前記短手間隙のそれぞれは、裏面側に向かうに従って幅寸法が大きくなるテーパ形状に形成されている、(3)に記載の作業車用保護部材。
【0011】
(5) 前記被覆シートの表面側に、危険性を表示するデザインが施される、(4)に記載の作業車用保護部材。
【0012】
(6) (1)から(5)の何れか一に記載の作業車用保護部材を長手方向に複数個連結するとともに、互いの連結部で折り曲げ可能に構成した、作業車用保護ユニット。
【発明の効果】
【0013】
以上の構成を有する本願発明の作業車用保護部材によれば、シート材の裏面側に配設された複数個のブロック材間に長手間隙が設けられているので、各ブロック材を無理やり変形させるという操作を要することなく、前記長手間隙を中心として作業車用保護部材を急角度で折り曲げることが可能である。したがって、適度の弾力性と所定の厚みとを有するブロック材を用いることにより作業車用保護部材の保護機能を十分に確保しつつ、作業車用保護部材を被取付部に対応した形状に任意に変形させることができるために、優れた汎用性が得られるという利点がある。しかも、磁石体を各ブロック材の裏面側で被覆シートに覆われた箇所に設けることにより、各ブロック材内に磁石体を安定して保持させることができるとともに、その磁力を利用して作業車用保護部材を作業車の磁性体面に容易に取り付けることができる。
【0014】
ここで、前記被覆シートが、前記ブロック材の裏面側のうち、前記長手間隙が形成されていない部分を被覆する裏面側被覆部を有したものでは、これにより各ブロック材を安定して保持させることができる。また、被覆シートの裏面側には、前記長手間隙に対応した離間部が形成されるため、長手方向の中央部に位置する両ブロック材の傾斜面を接近させるように折り曲げる際に、前記裏面側被覆部が邪魔になるのを防止することができる。さらに、前記裏面側被覆部の離間部を利用して被覆シート内にシート材及びブロック材を容易に挿入できるという利点もある。
【0015】
また、複数個の前記ブロック材が、前記短手方向に沿った短手間隙を少なくとも一箇所に設けて配置されるものでは、各ブロック材を無理やり変形させるという操作を要することなく、前記短手間隙を中心として作業車用保護部材を任意の角度に折り曲げることが可能であるために、作業車用保護部材の汎用性をさらに向上させることができる。
【0016】
また、前記長手間隙と前記短手間隙のそれぞれは、裏面側に向かうに従って幅寸法が大きくなるテーパ形状に形成されてなる構成によれば、作業車用保護部材を急角度で折り曲げた場合においても、長手間隙内、及び短手間隙内においてブロック材の傾斜面同士が接触するのを効果的に抑制することにより、作業車用保護部材を被取付部に対応させて変形させる操作を容易に行うことができる。
【0017】
また、被覆シートの表面側に、危険性を表示するデザインが施されたものでは、作業車の存在を周囲の作業者等に明確に認識させることができるために、安全性をより向上させることができる。
【0018】
また、作業車用保護部材を長手方向に複数個連結するとともに、互いの連結部で折り曲げ可能に構成したものでは、各作業車用保護部材に個別に折り曲げる作用と、前記連結部において作業車用保護ユニットを折り曲げる作用との両方が得られるので、様々な形状を有する被取付部に対して作業車用保護ユニットを適合させた状態で取り付けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の作業車用保護部材の表面側の斜視図である。
【
図2】本発明の作業車用保護部材の裏面側の斜視図である。
【
図3】本発明の作業車用保護部材を分解した状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の作業車用保護ユニットの正面図である。
【
図8】本発明の作業車用保護ユニットの平面図である。
【
図9】本発明の作業車用保護ユニットの使用状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の作業車用保護ユニットの取付け状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から
図3は、本発明に係る作業車用保護部材1の一実施形態を示す斜視図である。この作業車用保護部材1は、表面側11と裏面側12とを有するとともに、長手方向13と短手方向14とを有する矩形板状に形成されている。
【0021】
当実施形態に係る作業車用保護部材1は、軟質プラスチック等の可撓性を有する素材からなるシート材2と、その裏面側12に設けられた発泡プラスチック等の弾力性を有する素材からなる四個のブロック材3と、シート材2の表面側11及びブロック材3の裏面側12を被覆する被覆シート4と、各ブロック材3の裏面側12で被覆シート4に覆われた箇所に設けられる磁石体5と、を備えている。
【0022】
被覆シート4は、シート材2の表面側11を被覆する表面側被覆部41と、ブロック材3の外周部を被覆する周面側被覆部42と、この周面側被覆部42の下辺に沿って延びるフランジ部43と、ブロック材3の裏面側12を被覆する裏面側被覆部44と、を有している。
【0023】
被覆シート4を成形するには、例えばポリ塩化ビニール材等からなる適度の可撓性、及び優れた耐久性等を有する素材を用いて表面側被覆部41と周面側被覆部42とフランジ部43とを一体に成形する等により、裏面側12が開口した空間部を有する矩形板状の被覆シート体40を成形する(
図3参照)。また、被覆シート体40と同様の素材からなる一対の裏面側被覆部44を、
図2に示すように、被覆シート体40の裏面側において、後述の長手間隙35が形成されていない部分を覆うように配置する。
【0024】
そして、裏面側被覆部44の一側辺部、及び長手方向13の両端部を、フランジ部43に裏面に接着または融着する等により、表面側被覆部41、周面側被覆部42、フランジ部43、及び裏面側被覆部44が一体となった被覆シート4を成形する。なお、被覆シート4を形成する際には、シート材2、ブロック材3、磁石体5等を被覆シート体40に配置した状態で、フランジ部43と裏面側被覆部44とを接着または融着させる。
【0025】
シート材2は、例えば数mm程度の厚さと、被覆シート4の表面側被覆部41に対応した大きさの平面視形状と、を有し、表面側被覆部41の裏面に沿って被覆シート4内に配設されるように構成されている。
【0026】
ブロック材3は、例えば15mm程度の厚さと、被覆シート4内の四箇所に収容可能な大きさと、を有する略直方体状に形成されている。また、各ブロック材3の短手方向14の互いに対向する側に位置する端部には、45度程度の角度で先上がりに傾斜した傾斜面31が形成されている(
図4参照)。同様に、各ブロック材3の長手方向13の互いに対向する側に位置する端部には、例えば45度程度の角度で先上がりに傾斜した傾斜面32が形成されている(
図5参照)。なお、傾斜面31,32の角度は、45度に限られず、被取付部の形状、及び相隣接するブロック材3,3間の離間距離等に応じ、適宜に変更可能である。
【0027】
図4および
図6に示すように、一対のブロック材3,3を、その一端部に設けられた傾斜面31,31同士を相対向させた状態で、短手方向14に一定間隔を置いて配置する。そして、両ブロック材3の表面をシート材2の裏面に接着または融着する等により、これらを一体化する。この結果、両ブロック材3,3の短手方向14の中央部には、その裏面側12に向かうに従って幅寸法が大きくなるテーパ形状を有し、かつ長手方向13に沿って延びる長手間隙35が形成されることになる。
【0028】
また、
図5および
図6に示すように、一対のブロック材3,3を、その一端部に設けられた傾斜面32,32同士を相対向させた状態で、長手方向13に一定間隔を置いて配置する。そして、両ブロック材3,3の表面をシート材2の裏面に接着または融着する等により、これらを一体化する。この結果、両ブロック材3,3の長手方向13の中央部には、その裏面側12に向かうに従って幅寸法が大きくなるテーパ形状を有し、かつ短手方向14に沿って延びる短手間隙36が形成されることになる。
【0029】
ブロック材3,3の裏面側12において、被覆シート4の裏面側被覆部44に覆われた箇所には、
図4等に示すように、円盤状のネオジム磁石等からなる磁石体5を収容するための凹部50が形成されている。そして、表面側11に接着剤51が塗布された磁石体5を凹部50内に収容するとともに、その裏面側12を両面粘着テープ52、及び適度の保形性を有する透明な保護シート53で覆うことにより、磁石体5が凹部50内に保持されるようになっている。なお、保護シート53と裏面側被覆部44とを、接着剤又は両面粘着テープ等を用いて一体的に接合するようにしてもよい。
【0030】
また、被覆シート4の表面には、
図1及び
図3に示すように、危険性を表示するデザイン6が施されている。この危険性表示用のデザイン6は、特に限定されるものではないが、例えば被覆シート4の表面側被覆部41を黒色に着色するとともに、その表面に光反射率の高い素材からなる黄色又はオレンジ色のひし形状シートをデザイン6として一定間隔で貼付する等により形成される。
【0031】
図7および
図8は、上述の構成を有する三個の作業車用保護部材1が長手方向13に連結されるとともに、互いの連結部70で折り曲げ可能に構成されてなる作業車用保護ユニット7を示している。具体的には、各作業車用保護部材1の長手方向13の端部に位置するフランジ部43が上下に重ね合わされた状態で融着又は接着される等により、折り曲げ可能な連結部70が形成されている。
【0032】
なお、作業車用保護ユニット7を構成する作業車用保護部材1の個数は、三個に限られず、二個であってもよく、また四個以上であってもよい。また、複数個の作業車用保護部材1を、その長手方向13に連結してなる上述の実施形態に代え、あるいはこの構成とともに、複数個の作業車用保護部材1を、その短手方向14に連結した構成としてもよい。
【0033】
上述の構成を有する作業車用保護ユニット7は、例えば
図9に示すように、フォークリフト等からなる作業車8の側方下部に位置するストラドルアーム81の上面および側面等からなる磁性体面に沿って設置されることにより、磁石体5の磁力に応じて着脱可能に取り付けられる。この場合、
図10に示すように、各作業車用保護部材1の短手方向14の中央部に位置する両ブロック材3,3の傾斜面31,31を、長手間隙35内において互いに接近させるように変形させることにより、各作業車用保護部材1を直角に近い角度で折り曲げることができる。したがって、適度の弾力性と所定の厚みとを有するブロック材3を無理やり変形させることなく、直角に交差するストラドルアーム81の上面および側面からなる角部等に、作業車用保護ユニット7の裏面をぴったりと沿わせた状態で容易かつ適正に取り付けることができる。
【0034】
また、作業車8の側面82及び後面83に沿って作業車用保護ユニット7を設置する際には、各作業車用保護部材1の長手方向13の中央部に位置する両ブロック材3,3の傾斜面32,32を、短手間隙36内において互いに接近させるように変形させることにより、各作業車用保護部材1を所定角度に折り曲げることができる。したがって、作業車8の側面82及び後面83に作業車用保護ユニット7の裏面をぴったりと沿わせた状態で取り付けることができる。なお、作業車用保護ユニット7を構成する各作業車用保護部材1の連結部70において作業車用保護ユニット7を折り曲げることも可能であるため、複雑な被取付部に対しても適正に対応させることができる。
【0035】
上述のように構成された作業車用保護部材1を単体で使用できることは勿論である。この場合においても、作業車用保護部材1の短手方向14の中央部に位置する両ブロック材3,3の傾斜面31,31を、長手間隙35内において互いに接近させるようにして、被覆シート4の表面側被覆部41及びシート材2を所定角度に折り曲げることができる(
図10参照)。また、作業車用保護部材1の長手方向13の中央部に位置する両ブロック材3,3の傾斜面32,32を、短手間隙36内において互いに接近させるようにして、被覆シート4の表面側被覆部41及びシート材2を所定角度に折り曲げることも可能である。
【0036】
このように本発明に係る作業車用保護部材1は、可撓性を有する素材からなるシート材2と、このシート材2の裏面側に設けられ、弾力性を有する素材からなる複数個のブロック材3,3と、シート材2の表面側とブロック材3,3の裏面側とを被覆する被覆シート4と、ブロック材3,3の裏面側で被覆シートに覆われた箇所に設けられる複数個の磁石体5と、を備え、ブロック材3,3が短手方向14の中央部において長手方向13に沿った長手間隙35を設けて配置されているため、十分な保護機能を確保しつつ、優れた汎用性が得られる等の利点がある。
【0037】
すなわち、シート材2の裏面側に配設されたブロック材3,3の間に長手間隙35を設けた構成としたため、各ブロック材3,3を無理やり変形させるという操作を要することなく、長手間隙35を中心として作業車用保護部材1を急角度で折り曲げることが可能である。したがって、適度の弾力性と所定の厚みとを有するブロック材3,3を用いることにより作業車用保護部材1の保護機能、具体的には作業車8が障害物や作業者に接触した際における衝撃を緩和する機能を十分に確保することができる。そして、作業車用保護部材1を被取付部に対応した形状に任意に変形させることができるために、優れた汎用性が得られるという利点がある。しかも、磁石体5を各ブロック材3,3の裏面側12で被覆シートに覆われた箇所に設けることにより、各ブロック材3,3内に磁石体5を安定して保持させることができるとともに、その磁力を利用して作業車用保護部材1を作業車8の磁性体面に容易に取り付けることができる。
【0038】
また、上述の実施形態では、ブロック材3,3の裏面側12のうち、長手間隙35が形成されていない部分を、被覆シート4、具体的には一対の裏面側被覆部44,44により被覆するように構成したため、被覆シート4内に配設された各ブロック材3,3の短手方向14の両側辺部を安定して保持することができる。また、裏面側被覆部44,44の間には、長手間隙35に対応した離間部が形成されるため、
図10に示すように、作業車用保護部材1の中央部に位置する両ブロック材3,3の傾斜面31,31を接近させるように折り曲げる際に、裏面側被覆部44,44が邪魔になるのを防止することができる。さらに、裏面側被覆部44,44の離間部を利用して被覆シート4内にシート材2及びブロック材3,3を容易に挿入できるという利点もある。
【0039】
図5に示すように、作業車用保護部材1の長手方向13に沿って配設されたブロック材3,3の間に、短手方向14に沿った短手間隙36を設けた構成によれば、各ブロック材3,3を無理やり変形させるという操作を要することなく、短手間隙36を中心として作業車用保護部材1を任意の角度に折り曲げることが可能であるために、作業車用保護部材1の汎用性をさらに向上させることができる。
【0040】
なお、長手方向13の中央部において短手方向14に沿った方向に延びる短手間隙36をブロック材3,3間に設けてなる上述の実施形態に代え、短手間隙36を省略し、長手方向13内に一列のブロック材3を配設した構造とすることも可能である。また、長手方向13の複数箇所に短手方向14に沿った短手間隙36を設けることにより、作業車用保護部材1の長手方向13に三列以上のブロック材3を配置した構造としてもよい。
【0041】
上述の実施形態では、ブロック材3,3の間に設けられた長手間隙35と短手間隙36とのそれぞれを、裏面側に向かうに従って幅寸法が大きくなるテーパ形状に形成したため、作業車用保護部材1を急角度で折り曲げた場合においても、ブロック材3,3の傾斜面31,31が長手間隙35内において接触し、あるいはブロック材3,3の傾斜面32,32が短手間隙36内において接触するのを効果的に抑制することができる。したがって、作業車用保護部材1を被取付部に対応させて変形させる操作を容易に行うことができる。
【0042】
また、
図1及び
図3に示すように、被覆シート4の表面側11に危険性を表示するデザイン6が施されたものでは、作業車8の存在を周囲の作業者等に明確に認識させることができるために、安全性をより向上させることができる。
【0043】
図7及び
図8に示すように、複数個の作業車用保護部材1を長手方向13に連結するとともに、互いの連結部70で折り曲げ可能に構成してなる本発明の作業車用保護ユニット7によれば、上述のように各作業車用保護部材1に個別に折り曲げる作用と、連結部70において作業車用保護ユニット7を折り曲げる作用との両方により、様々な形状を有する被取付部に対して作業車用保護ユニット7を適合させた状態で取り付けることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 作業車用保護部材 2 シート材
3 ブロック材 4 被覆シート
5 磁石体 6 危険性表示用のデザイン
7 作業車用保護ユニット 8 作業車
11 表面側 12 裏面側
13 長手方向 14 短手方向
31,32 傾斜面 35 長手間隙
36 短手間隙 41 表面側被覆部
42 周面側被覆部 43 フランジ部
44 裏面側被覆部 50 凹部
51 接着剤 52 両面粘着テープ
53 保護シート 70 連結部