(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155304
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/22 20060101AFI20241024BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20241024BHJP
B65D 5/481 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B65D5/22 Z
B65D5/42 L
B65D5/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069924
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛央
(72)【発明者】
【氏名】春田 俊宏
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB19
3E060AC02
3E060BB01
3E060BC02
3E060CC03
3E060CC05
3E060CC33
3E060CC43
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060DA25
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】簡単かつ円滑に筒体を形成することができる包装容器を提供する。
【解決手段】
トレイ1(包装容器)は、底壁10、側壁11および筒壁12を備え、筒壁12は、底壁10に連設される第1周面壁40と、第1周面壁40に連設される一対の第1折込壁42と、第1周面壁40に分断線を挟んで隣接する第2周面壁41と、一対の第1折込壁42に分断線を挟んで隣接する一対の第2折込壁43と、一対の第1折込壁42、且つ、一対の第2折込壁43に連設される一対の連結壁44と、を有し、第2周面壁41等が折り返されて第1周面壁40等に重ねられ、第2周面壁41が第1周面壁40から引き離されることに伴って、第1~第2折込壁42~43が、連結壁44を折り返しながら折り曲げられることで、筒壁12が筒体13に変形され、筒体13は底壁10上に配置され、第1~第2折込壁42~43は側壁11に固定される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状に形成される底壁(10)と、
前記底壁の第1方向の両端に立設される一対の側壁(11)と、
前記底壁の第1方向に直交する第2方向の両側の少なくとも一方に設けられる少なくとも1つの筒壁(12)と、を備え、
前記筒壁は、
前記底壁の第2方向の端部に連設される第1周面壁(40)と、
前記第1周面壁の第1方向の両端に連設される一対の第1折込壁(42)と、
前記第1周面壁の第2方向の先端との間に分断線(45)を挟んで隣接する第2周面壁(41)と、
前記第2周面壁の第1方向の両端に連設され、一対の前記第1折込壁との間に前記分断線を挟んで隣接する一対の第2折込壁(43)と、
一対の前記第1折込壁と一対の前記第2折込壁の何れか一方の第1方向の両端に前記分断線に直交する第1折返線(L6)を介して連設され、且つ、一対の前記第1折込壁と一対の前記第2折込壁の何れか他方に前記分断線の延長線上に形成された第2折返線(L7)を介して連設される一対の連結壁(44)と、を有し、
前記第2周面壁および前記第2折込壁が前記分断線および前記第2折返線で折り返されて前記第1周面壁および前記第1折込壁に重ねられ、前記第2周面壁が前記第1周面壁から引き離されることに伴って、前記第1折込壁および前記第2折込壁が、前記連結壁を前記第1折返線で折り返しながら、前記第1周面壁および前記第2周面壁に対して折り曲げられることで、前記筒壁が角筒状の筒体(13)に変形され、
前記筒体は、前記第1周面壁を前記底壁に対して立設させた状態で、前記底壁上に配置され、前記第1折込壁および前記第2折込壁は、前記側壁に固定されることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記側壁は、外側壁(20)と内側壁(21)とを対向させた二重壁であり、
前記筒体が形成された状態で、前記第1折込壁および前記第2折込壁は、前記内側壁と前記外側壁との間に挟み込まれることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記筒体は、包装容器の内部を複数の収容室(15)に区画することを特徴とする請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記筒壁は、前記底壁の第2方向の両側に一対設けられ、
一対の前記筒体が形成された状態で、一対の前記第2周面壁は、互いに重なり合って二重壁を構成することを特徴とする請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記底壁および前記側壁に形成され、前記包装容器を前記筒体毎に分割する分割線(30)を更に備えていることを特徴とする請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
前記分割線は、
前記底壁を第1方向に横断する底切断線(31)と、
前記側壁において第2方向に延びる横向きのV字状に形成される側切断線(32)と、を有していることを特徴とする請求項5に記載の包装容器。
【請求項7】
一対の前記筒体が形成された状態で、第2方向に隣接する一対の前記第2折込壁のうち一方には凹部(46)が凹設され、他方には前記凹部に噛み合う凸部(47)が突設されていることを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の包装容器。
【請求項8】
前記筒壁は、前記底壁の第2方向の両側または片側において複数並設され、
第2方向の先端側に位置する前記筒壁の前記第1周面壁は、逆折線(L8)を介して第2方向の基端側に位置する前記筒壁の前記第2周面壁に連設され、
前記先端側に位置する前記筒壁の前記第1折込壁は、第2の分断線(49)を挟んで前記基端側に位置する前記筒壁の前記第2折込壁に隣接し、
複数の前記筒体が形成された状態で、前記基端側に位置する前記筒壁の前記第2周面壁と前記先端側に位置する前記筒壁の前記第1周面壁とは、互いに重なり合って二重壁を構成することを特徴とする請求項3に記載の包装容器。
【請求項9】
前記底壁および前記側壁に形成される分割線(30)を更に備え、
前記分割線および前記逆折線は、前記包装容器を前記筒体毎に分割する機能を有することを特徴とする請求項8に記載の包装容器。
【請求項10】
前記分割線は、
前記底壁を第1方向に横断する底切断線(31)と、
前記側壁において第2方向に延びる横向きのV字状に形成される側切断線(32)と、を有していることを特徴とする請求項9に記載の包装容器。
【請求項11】
複数の前記筒体が形成された状態で、第2方向に隣接する前記第1折込壁と前記第2折込壁とのうち一方には凹部(46)が凹設され、他方には前記凹部に噛み合う凸部(47)が突設されていることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
矩形底板の左右に外側板と内側板をそれぞれ連設し、底板の前後にスリーブ用パネルを連設したトレイが知られている(特許文献1)。このスリーブ用パネルには、中央長手方向に切れ目(以下、「長切目」と呼ぶ。)が形成され、両端寄りに長切目に直交する折線(以下、「片折線」と呼ぶ。)が形成され、更に長切目の両端に長切目とT字形に交わる切れ目(以下、「短切目」と呼ぶ。)が形成され、その外側に略直角に屈折する折線(以下、「V字折線」と呼ぶ。)が形成されている。スリーブ用パネルは、長切目の開口を広げつつ四角いスリーブを形成し、底板上に折り返され、スリーブの両側部は、外側板と内側板とで挟み込まれて固定される。スリーブを形成した状態で、側部を構成する片折線で区切られた側片は、その先端同士を突き合わせ、短切目とV字折線とで囲まれる略直角三角形の領域は、V字折線に沿って内側に折り返されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したトレイでは、V字折線が長切目と交差する向きであるため、スリーブ用パネルを長切目に沿って折り返すことができなかった。このため、スリーブ用パネルを長切目で開く、側片の先端同士を突き合わせる、直角三角形の領域をV字折線で折り返す、という3つの作業を略同時に行わなければスリーブを形成することができず、トレイを組み立て難いという問題があった。また、直角三角形の領域をV字折線で折り返すと同時に、長切目で分割された板同士を捩りながら引き離さなければならないため、スリーブの形成時に力の入れ方が複雑になり、円滑にスリーブを形成することができなかった。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、簡単かつ円滑に筒体を形成することができる包装容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る包装容器は、四角形状に形成される底壁と、前記底壁の第1方向の両端に立設される一対の側壁と、前記底壁の第1方向に直交する第2方向の両側の少なくとも一方に設けられる少なくとも1つの筒壁と、を備え、前記筒壁は、前記底壁の第2方向の端部に連設される第1周面壁と、前記第1周面壁の第1方向の両端に連設される一対の第1折込壁と、前記第1周面壁の第2方向の先端との間に分断線を挟んで隣接する第2周面壁と、前記第2周面壁の第1方向の両端に連設され、一対の前記第1折込壁との間に前記分断線を挟んで隣接する一対の第2折込壁と、一対の前記第1折込壁と一対の前記第2折込壁の何れか一方の第1方向の両端に前記分断線に直交する第1折返線を介して連設され、且つ、一対の前記第1折込壁と一対の前記第2折込壁の何れか他方に前記分断線の延長線上に形成された第2折返線を介して連設される一対の連結壁と、を有し、前記第2周面壁および前記第2折込壁が前記分断線および前記第2折返線で折り返されて前記第1周面壁および前記第1折込壁に重ねられ、前記第2周面壁が前記第1周面壁から引き離されることに伴って、前記第1折込壁および前記第2折込壁が、前記連結壁を前記第1折返線で折り返しながら、前記第1周面壁および前記第2周面壁に対して折り曲げられることで、前記筒壁が角筒状の筒体に変形され、前記筒体は、前記第1周面壁を前記底壁に対して立設させた状態で、前記底壁上に配置され、前記第1折込壁および前記第2折込壁は、前記側壁に固定される。
【0007】
この場合、前記側壁は、外側壁と内側壁とを対向させた二重壁であり、前記筒体が形成された状態で、前記第1折込壁および前記第2折込壁は、前記内側壁と前記外側壁との間に挟み込まれるとよい。
【0008】
この場合、前記筒体は、包装容器の内部を複数の収容室区画するとよい。
【0009】
この場合、前記筒壁は、前記底壁の第2方向の両側に一対設けられ、一対の前記筒体が形成された状態で、一対の前記第2周面壁は、互いに重なり合って二重壁を構成するとよい。
【0010】
他の場合、前記底壁および前記側壁に形成され、前記包装容器を前記筒体毎に分割する分割線を更に備えているとよい。
【0011】
他の場合、前記分割線は、前記底壁を第1方向に横断する底切断線と、前記側壁において第2方向に延びる横向きのV字状に形成される側切断線と、を有しているとよい。
【0012】
この場合、一対の前記筒体が形成された状態で、第2方向に隣接する一対の前記第2折込壁のうち一方には凹部が凹設され、他方には前記凹部に噛み合う凸部が突設されているとよい。
【0013】
この場合、前記筒壁は、前記底壁の第2方向の両側または片側において複数並設され、第2方向の先端側に位置する前記筒壁の前記第1周面壁は、逆折線を介して第2方向の基端側に位置する前記筒壁の前記第2周面壁に連設され、前記先端側に位置する前記筒壁の前記第1折込壁は、第2の分断線を挟んで前記基端側に位置する前記筒壁の前記第2折込壁に隣接し、複数の前記筒体が形成された状態で、前記基端側に位置する前記筒壁の前記第2周面壁と前記先端側に位置する前記筒壁の前記第1周面壁とは、互いに重なり合って二重壁を構成するとよい。
【0014】
また、この場合、前記底壁および前記側壁に形成される分割線を更に備え、前記分割線および前記逆折線は、前記包装容器を前記筒体毎に分割する機能を有するとよい。
【0015】
他の場合、前記分割線は、前記底壁を第1方向に横断する底切断線と、前記側壁において第2方向に延びる横向きのV字状に形成される側切断線と、を有しているとよい。
【0016】
また、他の場合、複数の前記筒体が形成された状態で、第2方向に隣接する前記第1折込壁と前記第2折込壁とのうち一方には凹部が凹設され、他方には前記凹部に噛み合う凸部が突設されているとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡単かつ円滑に筒体を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るトレイを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るトレイのブランクを示す平面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るトレイの第2周面壁等を折り返した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るトレイの筒体を形成した状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係るトレイの筒体を底壁上に配置した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係るトレイを小分けトレイに分割した状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の第1変形例に係るトレイのブランクを示す平面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の第2変形例に係るトレイのブランクを示す平面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係るトレイを示す斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るトレイのブランクを示す平面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るトレイの筒体を底壁上に配置した状態を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係るトレイを示す斜視図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係るトレイの筒体を形成した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向(第1方向)、左右方向(第2方向)および上下方向は互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装容器を組み立てた状態における方向や位置を基準にしている。
【0020】
[第1実施形態]
図1および
図2を参照して、第1実施形態に係る包装容器の一例としてのトレイ1について説明する。
図1はトレイ1を示す斜視図である。
図2はトレイ1のブランク1Aを示す平面図である。
【0021】
図1に示すように、トレイ1は、上面を開口させた略直方体状に形成されている。トレイ1の内部は、2つの収容室15に仕切られている。詳細は後述するが、トレイ1は、各収容室15に商品(図示せず)を収容した状態で、収容室15毎に分割可能に構成されている。なお、トレイ1は、商品を収容した状態で上下に複数積層可能とされている(図示せず)。また、トレイ1の上面開口は、蓋体90によって覆われてもよい。
【0022】
トレイ1は、
図2に示すブランク1Aを組み立てることで形成されている。ブランク1Aは、1枚の紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aに表ライナ9Bと裏ライナ9C(
図1も参照)とを貼り合せた両面段ボールシートである。なお、
図2は、表ライナ9B側を示している。本明細書では、段ボールシートの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0023】
[ブランク]
図2に示すように、ブランク1Aは、底壁10と、一対の側壁11と、一対の筒壁12と、を備えている。なお、
図2において、一対の側壁11は、左右対称となる形状であるため、本明細書では、主に、1つの側壁11について説明する。また、一対の筒壁12は、上下対称となる形状であるため、本明細書では、主に、1つの筒壁12について説明する。
【0024】
<底壁、側壁>
底壁10は、流れ方向を長辺とする長い略長方形状(四角形状)に形成されている。一対の側壁11は、底壁10の段方向(第1方向)の両側に設けられている。側壁11は、外側壁20と、内側壁21と、を有している。外側壁20は、底壁10の流れ方向の寸法と略同等の長辺を有する略長方形状に形成され、第1折曲線L1を介して底壁10の段方向の端部に連設されている。内側壁21は、外側壁20の段方向の先端側に設けられている。外側壁20と内側壁21との段方向の寸法(高さ)は、互いに略同等であり、底壁10の段方向の寸法よりも十分に短く設定されている。
【0025】
(内側片、額縁部)
内側壁21は、その流れ方向の略中央に溝切りすることで一対の内側片22に分割されている。各々の内側片22は、額縁部23を介して外側壁20の段方向の先端に連設されている。額縁部23は、段ボールシートの厚みよりも僅かに広い幅(段方向の寸法)に形成され、一対の第2折曲線L2を介して外側壁20と内側片22とに連設されている。
【0026】
(係合穴、積層凸部)
底壁10および一対の外側壁20には、各々の第1折曲線L1を分断するように合計4つの係合穴24が穿設されている。各々の内側片22の先端には、係合凸部25が突設されている。また、各々の額縁部23の流れ方向の中間部には略U字状の切目が入れられ、外側壁20から額縁部23を分断するように積層凸部26が形成されている。4つの係合穴24、4つの係合凸部25および4つの積層凸部26は、格子状に配置されている。なお、積層凸部26には、第2折曲線L2が形成されていない。
【0027】
なお、第1折曲線L1および第2折曲線L2は、段ボールシートを裏ライナ9Cから直線状に凹ませた汎用罫線であって、流れ方向に沿って伸長している。汎用罫線は、主に、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有している。第1折曲線L1および第2折曲線L2は、汎用罫線に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。また、一対の第2折曲線L2は、平行ではなく、内側片22の流れ方向の外端から積層凸部26に向かって互いに離れるように僅かに傾斜している。つまり、額縁部23は、流れ方向の両端から中央に向かって徐々に幅広くなるように形成されている。
【0028】
(分割線)
底壁10および一対の側壁11には、トレイ1を二分割にするための分割線30が形成されている。分割線30は、底壁10に形成される底切断線31と、一対の側壁11(一対の外側壁20)に形成される一対の側切断線32と、を有している。
【0029】
底切断線31は、例えば、刃物を段ボールシートの厚み方向に貫通させることで形成される全切線である。底切断線31は、底壁10の流れ方向の略中央において、底壁10を段方向(第1方向)に横断するように一直線に形成されている。側切断線32は、外側壁20において流れ方向(第2方向)に延びる横向きの略V字状に形成されている(
図1も参照)。一対の側切断線32は、互いに異なる向きに延びるV字状を成している。側切断線32は、例えば、略L字状の切目と継目とを交互に連続させた所謂ジッパーである。外側壁20において、側切断線32のV字の先端部に対応する位置には、略半円形状の開封開始穴33が穿設されている。側切断線32は、底切断線31の端部と一対の内側片22の間の溝切り部とから開封開始穴33に向かって斜めに形成されている。側切断線32と開封開始穴33とで囲まれた範囲には、開封開始片34が形成されている。
【0030】
なお、底切断線31は全切線であったが、これに限らず、例えば、段ボールシートの裏側から厚みの半分程度を切断した半切線であってもよいし、切目と継目とを交互に連続させたミシン目線であってもよい(図示せず)。また、底切断線31が開封帯を挟んで2本形成され、開封帯が2本の底切断線31に沿って底壁10から分離されてもよい(図示せず)。また、側切断線32がジッパーであったが、これに限らず、半切線であってもよいし、ミシン目線であってもよい(図示せず)。また、側切断線32が、横向きの略V字状に形成されていたが、これに限らず、底切断線31を延長するように一直線状に形成されてもよい(図示せず)。また、段方向(上下方向)に延びる側切断線32が、開封帯を挟んで2本形成され、開封帯が2本の側切断線32に沿って外側壁20から分離されてもよい(図示せず)。
【0031】
<筒壁>
一対の筒壁12は、底壁10の流れ方向(第2方向)の両側に設けられている。筒壁12は、第1周面壁40と、第2周面壁41と、一対の第1折込壁42と、一対の第2折込壁43と、一対の連結壁44と、を有している。なお、
図2において、一対の第1折込壁42、一対の第2折込壁43および一対の連結壁44は、概ね左右対称となる形状であるため、本明細書では、主に、1つの部位について説明する。
【0032】
(第1周面壁、第2周面壁)
第1周面壁40と第2周面壁41とは、底壁10の段方向の寸法と略同等の長辺を有する略長方形状に形成されている。第1周面壁40と第2周面壁41との流れ方向の寸法(高さ)は、互いに略同等であり、外側壁20の段方向の寸法(高さ)よりも僅かに短く(低く)設定されている。一対の第1周面壁40は、第3折曲線L3を介して底壁10の流れ方向(第2方向)の両端に連設されている。各々の第2周面壁41は、第1周面壁40の流れ方向(第2方向)の先端との間に分断線45を挟んで隣接している。分断線45は、例えば全切線であり、第1周面壁40と第2周面壁41とは、互いに分断されている。
【0033】
(第1折込壁、第2折込壁)
一対の第1折込壁42は、第4折曲線L4を介して第1周面壁40の段方向(第1方向)の両端に連設されている。第1折込壁42は第1周面壁40と同一高さとなる略長方形状に形成され、第1折込壁42の段方向の寸法(延出寸法)は内側片22の流れ方向の寸法の略半分に設定されている。一対の第2折込壁43は、第5折曲線L5を介して第2周面壁41の段方向(第1方向)の両端に連設されている。また、上記した分断線45は、段方向の両側に延長されており、一対の第2折込壁43は、一対の第1折込壁42との間に分断線45を挟んで隣接している。第2折込壁43は第2周面壁41と同一高さとなる略長方形状に形成され、第2折込壁43の段方向の寸法(延出寸法)は第1折込壁42の延出寸法よりも長くなっている。
【0034】
第1折込壁42には、分断線45から流れ方向の中央側(下方)に向かって略半円形状の指穴421が穿設(凹設)されている。
図2において、左上と右下とに位置する一対の第2折込壁43には、それぞれ、第5折曲線L5から第2折込壁43に食い込むように凹部46が穿設(凹設)されている。凹部46は、第5折曲線L5から段方向の外側に向かって徐々に流れ方向(上下方向)に幅広くなる略台形状の穴である。また、
図2において、右上と左下とに位置する一対の第2折込壁43には、それぞれ、第5折曲線L5から第2周面壁41に食い込むように凸部47が突設されている。凸部47は、第5折曲線L5から段方向の中央(内側)に向かって徐々に流れ方向(上下方向)に幅広くなる略台形状の突起である。第2周面壁41には、凸部47の先端から更に段方向の中央に向かって延びるように退避穴48が穿設されている。詳細は後述するが、流れ方向に並ぶ凹部46と凸部47とがセットで使用され、凸部47は凹部46に嵌合(噛合)可能に形成されている。なお、詳細は後述するが、凸部47は、トレイ1を組み立てた状態で、外側壁20の開封開始片34の裏面に対向(接触)する位置に形成されている。また、凸部47には、第5折曲線L5が形成されていない。
【0035】
なお、第3~第5折曲線L3~L5は汎用罫線であって、第3折曲線L3は段方向に沿って伸長し、第4折曲線L4および第5折曲線L5は流れ方向に沿って伸長している。第4折曲線L4には、折れ易くするために1つの切目が入れられている。第3~第5折曲線L3~L5は、汎用罫線に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0036】
(連結壁)
一対の連結壁44は、一対の第1折込壁42の段方向(第1方向)の両端に第1折返線L6を介して連設され、且つ、一対の第2折込壁43に第2折返線L7を介して連設されている。連結壁44は第1折込壁42と同一高さとなる略長方形状に形成され、連結壁44の段方向の寸法(延出寸法)は、第2折込壁43と第1折込壁42との差分となっている。つまり、第2折込壁43の延出寸法は、第1折込壁42と連結壁44とを合わせた延出寸法と同一となっている。連結壁44は、中しん9Aを押し潰す加工(段潰し)を施して第1折込壁42等よりも厚みを薄くされている(
図2の斜線参照)。上記した第2折込壁43は、連結壁44によって第1折込壁42と繋がっている。
【0037】
なお、第1折返線L6は、段ボールシートの裏側から厚みの半分程度を切断した半切線であって、流れ方向に沿って(分断線45に直交する向きに)伸長している。第2折返線L7は、汎用罫線上に複数の切目を入れたリード罫であって、分断線45の延長線上に形成されている。半切線は、主に、表ライナ9Bを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(逆折りする)機能を有している。リード罫は、主に、段ボールシートを正折りする機能を有している。第1折返線L6および第2折返線L7は、半切線やリード罫に限らず、段ボールシートを所望の向きに折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0038】
[トレイの組立]
次に、
図1、
図3ないし
図5を参照して、トレイ1の組立手順の一例について説明する。
図3はトレイ1の第2周面壁41等を折り返した状態を示す斜視図である。
図4は筒体13を形成した状態を示す斜視図である。
図5は筒体13を底壁10上に配置した状態を示す斜視図である。なお、トレイ1は、裏ライナ9Cを上方に向けたブランク1Aを適宜折り曲げることで組み立てられる。ここでは、一例として、作業者がトレイ1を組み立てる場合について説明する。また、引き続き、主に、1つの側壁11および1つの筒壁12に着目して説明する。
【0039】
作業者は、例えば、筒壁12の第2周面壁41を掴み、第2周面壁41および第2折込壁43を分断線45および第2折返線L7で折り返す(正折りする)。
図3に示すように、第2周面壁41および第2折込壁43は、約180度折り返されて、第1周面壁40および第1折込壁42に重ねられる。正確には、第2周面壁41は第1周面壁40の裏面に積層され、第2折込壁43は第1折込壁42と連結壁44との裏面に積層される。
【0040】
次に、作業者は、第2周面壁41を掴み、第2周面壁41を第1周面壁40から引き離す。
図4に示すように、第2周面壁41が第1周面壁40から引き離されることに伴って、第1折込壁42および第2折込壁43は、連結壁44を第1折返線L6で折り返しながら、第1周面壁40および第2周面壁41に対して折り曲げられる。なお、第1折込壁42に重なった第2折込壁43を開く際、作業者は、指穴421を通じて第2折込壁43を開く方向に移動させてもよい。
【0041】
第2周面壁41は、第1周面壁40に略平行に対向した姿勢で離間方向(
図4では上方)に移動する。第1折込壁42は、第1周面壁40に対して第4折曲線L4で略直角に正折りされ、第2折込壁43は、第2周面壁41に対して第5折曲線L5で略直角に正折りされる。第1折込壁42と第2折込壁43とは、第1折返線L6を支点にして開かれ、離間方向に略一列に並べられる。連結壁44は、第1折返線L6で略180度逆折りされて第1折込壁42の表面に積層され、第1折込壁42と第2折込壁43との間に挟まれる。換言すれば、第2折込壁43の一部は、連結壁44を挟んで第1折込壁42の一部の表面に重なる。第1折込壁42、第2折込壁43および連結壁44は、略Z字形状を形成し、第1周面壁40と第2周面壁41との両端間に架設される周側面壁14を構成する。以上によって、筒壁12は、二重に折り畳まれた後に角筒状の筒体13に変形される。なお、第2折込壁43を第5折曲線L5で折り曲げる過程で、凸部47は第2周面壁41から抜き出され、相対的に第2折込壁43から突き出す。
【0042】
次に、作業者は、第1周面壁40を第3折曲線L3で略直角に正折りして、底壁10に対して立設させる。
図5に示すように、第1周面壁40を底壁10に対して立設させた状態で、筒体13は底壁10上に配置される。作業者は、一対の筒体13を底壁10上に配置し、左右方向(第2方向)に隣接する一対の第2折込壁43において凸部47を凹部46に噛み合わせる。一対の筒壁12によって一対の筒体13が形成された状態で、一対の第1周面壁40は、底壁10の左右両端に立設されて、トレイ1の左右両側面となる。一対の第2周面壁41は、互いに重なり合って(突き合わされて)二重壁を構成する。一対の第2周面壁41の境界面(当接面)は、平面から見て、底壁10に形成された底切断線31に略一致している。一対の筒体13は、略同一の大きさに形成され、トレイ1の内部を2つの収容室15に区画する。二重壁を構成した一対の第2周面壁41は、底壁10の左右方向の略中央に立設され、2つの収容室15を仕切る壁となる。
【0043】
なお、上記した組立手順では、折り畳まれた筒壁12が筒体13に広げられた(変形された)後に、第1周面壁40が底壁10に対して立設(正折り)されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1周面壁40が底壁10に対して立設された後に、折り畳まれた筒壁12が筒体13に広げられてもよいし、折り畳まれた筒壁12を筒体13に広げる工程と、第1周面壁40を立設させる工程とが略同時に行われてもよい。
【0044】
次に、作業者は、外側壁20を第1折曲線L1で略直角に正折りし、各額縁部23および各内側片22を一対の第2折曲線L2で略直角に正折りし、各内側片22の係合凸部25を底壁10の係合穴24に係合させる。これにより、
図1に示すように一対の側壁11が、底壁10の前後方向(第1方向)の両端に立設される。一対の外側壁20は、底壁10の前後両端に立設され、周側面壁14の表面に重なっている(対向している)。各額縁部23は、外側壁20の上端から筒体13の内側に延設され、周側面壁14の上端面に重なっている(対向している)。各内側片22は、額縁部23の先端から下方に延設され、周側面壁14の裏面に重なっている(対向している)。側壁11は、周側面壁14を挟んで外側壁20と内側壁21(一対の内側片22)とを対向させた二重壁となる。周側面壁14(第1~第2折込壁42~43)は、内側壁21(一対の内側片22)と外側壁20との間に挟み込まれることで、側壁11に固定される。なお、詳細には、側壁11は周側面壁14を挟んで三重壁となる。さらに詳細には、周側面壁14において、第1~第2折込壁42~43および連結壁44は重なり合っているため、側壁11の一部は五重壁となっている。また、第1~第2折込壁42~43および連結壁44が重なり合って分厚くなっているため、額縁部23の中央付近が幅広く形成されている。また、各額縁部23の折り曲げに伴って、各積層凸部26が相対的に上方に突出する。また、外側壁20の開封開始片34は、凹部46に噛合した凸部47に対向(接触)している。
【0045】
以上によって、トレイ1の組立が完了する(
図1参照)。作業者は、一対の筒体13によって区画された2つの収容室15に商品を収容する。トレイ1を複数積層する場合、下方のトレイ1の積層凸部26が上方のトレイ1の外側壁20に形成された係合穴24に嵌合する(図示せず)。なお、額縁部23の中央付近は第1~第2折込壁42~43および連結壁44を挟むことができるように分厚くなっているため、上方に載せるトレイ1を確りと支持することができ、圧縮強度も向上している。
【0046】
また、
図1に示すように、トレイ1には、収容された商品を保護する蓋体90が取り付けられてもよい。蓋体90は、上面開口を覆う蓋本体91と、蓋本体91の前後両端に垂設され、一対の外側壁20の表面に重なる一対の固定片92と、を有している。蓋本体91には、トレイ1に取り付けた際に4つの積層凸部26を貫通させる積層穴93が穿設されている。
【0047】
以上説明した第1実施形態に係るトレイ1(包装容器)では、第2周面壁41および第2折込壁43が、第1周面壁40および第1折込壁42との間に分断線45を挟んで隣接し、連結壁44が、第1折込壁42と横並びに連設され、分断線45と同一直線を成す第2折返線L7を介して第2折込壁43に連設されていた(
図2参照)。この構成によれば、第2折返線L7と分断線45とが一直線状に形成されているため、第2周面壁41および第2折込壁43を、分断線45および第2折返線L7に沿って折り返すことができる(
図3参照)。これにより、第2周面壁41および第2折込壁43を第1周面壁40および第1折込壁42に重ねた後に、第2周面壁41を第1周面壁40から引き離すことができる(
図4参照)。また、第2周面壁41の引き離しに伴って、分断線45に直交する第1折返線L6を支点にして、連結壁44を折り返しながら第1折込壁42および第2折込壁43を開くことができる。この際、第1折返線L6がヒンジの軸のように機能するため、第2周面壁41を第1周面壁40から引き離すだけで、重なり合った(閉じられた)第1折込壁42と第2折込壁43とを円滑に開くことができる。これらの結果、簡単かつ円滑に筒体13を形成することができる。また、各筒体13は4つの側面を連続させた構造であることから、各筒体13を底壁10上に配置することで、トレイ1の圧縮強度を向上させることができる。
【0048】
ところで、仮に、トレイ本体(図示せず)の内部を仕切るための仕切部材(図示せず)がトレイ本体とは別部品である場合、仕切部材とトレイ本体との2種類の部品を製造、輸送、保管等することが求められ、無駄なコストや手間が発生することがある。これに対し、第1実施形態に係るトレイ1では、筒壁12が底壁10に連設されており、筒体13が底壁10上に配置されることで複数の収容室15を区画する仕切りとされていた。この構成によれば、筒壁12(筒体13)が底壁10と一体であるため、1種類の部品(ブランク1A)を製造、輸送、保管等すればよいため、様々なコストや手間を削減することができる。
【0049】
また、第1実施形態に係るトレイ1によれば、筒壁12が底壁10の左右両側に一対設けられ、一対の筒体13の第2周面壁41が突き合わされて二重壁とされるため(
図1参照)、トレイ1の圧縮強度を更に向上させることができる。また、一対の第2周面壁41を突き合せた二重壁によって2つの収容室15を仕切ることで、2つの収容室15に収容された商品同士の干渉を確りと防ぐことができる。これにより、商品を適正に保護することができる。
【0050】
また、第1実施形態に係るトレイ1では、一対の筒体13が形成された状態で、左右方向(第2方向)に隣接する一対の第2折込壁43の一方には凹部46が凹設され、他方には凹部46に噛み合う凸部47が突設されていた(
図5参照)。この構成によれば、凹部46に凸部47を噛み合わせることで、筒体13の角筒形状を仮保持することができる。これにより、例えば、第3折曲線L3まわりの復元力によって一対の筒体13が互いに離れるように開いたり、第4および第5折曲線L4,L5や第1折返線L6まわりの復元力によって筒体13の角筒形状が潰れたりすることを抑制することができる。その結果、筒体13の周側面壁14を側壁11に固定する作業を円滑に行うことができる。
【0051】
また、第1実施形態に係るトレイ1によれば、筒体13の第1~第2折込壁42~43が内側壁21と外側壁20との間に挟み込まれるため、接着剤等を用いることなく、第1~第2折込壁42~43を側壁11に固定することができる。また、第1~第2折込壁42~43が内側壁21と外側壁20とに挟み込まれることで、側壁11が三重壁構造になるため、圧縮強度を更に向上させることができる。
【0052】
[トレイの分割]
次に、
図6を参照して、トレイ1を分割する手順について説明する。
図6はトレイ1を小分けトレイ16に分割した状態を示す斜視図である。
【0053】
トレイ1は、収容室15毎(または筒体13毎)に分割して使用することができる。作業者は、分割線30を利用してトレイ1を筒体13毎に分割する。具体的には、作業者は、外側壁20に形成された開封開始穴33に指を入れ、その指で開封開始片34を外側に引っ張る。すると、開封開始片34は、側切断線32に沿って切断される。一対の側切断線32で切断した後、作業者は、一対の筒体13を把持して、左右両側に引っ張る。すると、底壁10は底切断線31に沿って切断される。これにより、トレイ1は、一対の第2周面壁41の境界面に沿って分断され、2つの小分けトレイ16に分割される(
図6参照)。
【0054】
小分けトレイ16では、第1周面壁40と第2周面壁41とが左右両側面となる。また、小分けトレイ16では、開封開始片34と凸部47とが、第2周面壁41から外側に突き出した状態となる(
図6参照)。さらに、小分けトレイ16の第2周面壁41には、凸部47を抜き出した後の抜出穴と退避穴48とが一体となって開口している。作業者は、開封開始片34と凸部47とを第2周面壁41側に折り曲げ、凸部47を抜出穴に戻し、開封開始片34の先端側を退避穴48に差し込む(図示せず)。開封開始片34の先端側が退避穴48の内縁部に係合することで、開封開始片34が第2周面壁41の表面に重ねられた状態に保持される。これにより、トレイ1を2つの小分けトレイ16に分割した状態で、突き出した開封開始片34と凸部47が邪魔になることが防止される。なお、開封開始片34等を折り曲げない状態で小分けトレイ16を使用してもよい。
【0055】
以上のように、分割線30によって、1つのトレイ1を筒体13で区画した収容室15毎に分割することができる。これにより、例えば、複数の収容室15に商品を収容したトレイ1を店頭に配達し、店頭での販売時にトレイ1を複数の小分けトレイ16に分割して陳列する等、多様な使用形態をとることができる。
【0056】
ところで、仮に、外側壁20の側切断線が上下方向に延びている場合(図示せず)、左右両側への張力によって破断し易いという問題がある。つまり、上下方向に延びた側切断線では、隣り合う小分けトレイ16の連結強度を高く(強く)することができない。これに対し、第1実施形態に係るトレイ1によれば、外側壁20に形成された側切断線32が横向きのV字状にされているため、左右両外側への張力によって破断し難く、隣り合う小分けトレイ16の連結強度を高く(強く)することができる。これにより、例えば、運搬中の意図しないトレイ1の分割を抑制することができる。
【0057】
なお、第1実施形態に係るトレイ1では、一対の筒壁12が底壁10の流れ方向(左右方向)の両側に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、1つの筒壁12が、底壁10の流れ方向の一方のみに設けられてもよい(第1実施形態の第1変型例)。この場合、底壁10の流れ方向の他方には、第1周面壁40と一対の第1折込壁42とが連設されていればよい。また、第1実施形態に係るトレイ1では、筒壁12が、トレイ1の内部の略半分の大きさとなる筒体13を構成していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、1つの筒壁12が、トレイ1の内部の略全部に相当する筒体13を構成してもよい(第1実施形態の第2変型例)。なお、第1実施形態の第1変型例や第2変形例に係るトレイ1では、分割線30は省略されるとよい。
【0058】
また、第1実施形態に係るトレイ1では、一対の筒体13が略同一の大きさに形成され、2つの収容室15が略同一の容積とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1折込壁42と第2折込壁43との延出寸法を調節し、一対の筒体13が互いに異なる大きさになるように構成されてもよい(後述する第2実施形態も参照)。
【0059】
また、第1実施形態に係るトレイ1では、凹部46や凸部47(退避穴48)が設けられていたが、これらは省略されてもよい。また、凹部46と凸部47との形成位置は、入れ替えられてもよいが、小分けトレイ16にした状態で開封開始片34と凸部47を折り曲げることを考慮すると、凸部47は開封開始片34の裏面に対向(接触)する位置に形成されることが好ましい。
【0060】
[第2実施形態]
次に、
図9ないし
図11を参照して、第2実施形態に係る包装容器の一例としてのトレイ2について説明する。
図9はトレイ2を示す斜視図である。
図10はトレイ2のブランク2Aを示す平面図である。
図11は筒体13S,13L(13)を底壁10上に配置した状態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係るトレイ1と同一または対応する構成には同一の符号を付し、トレイ1と同一または対応する説明は省略する。
【0061】
第1実施形態に係るトレイ1では、一対の第2周面壁41が突き合わされて二重壁を構成し、一対の筒体13(2つの収容室15)が略同一の大きさに形成されていた。これに対し、第2実施形態に係るトレイ2では、
図9に示すように、一対の第2周面壁41(一対の筒体13)が離間して配置され、2つの筒体13S,13Lが互いに異なる大きさ(左右方向の幅)に形成され、トレイ2の内部が異なる容積となる3つの収容室15S,15M,15Lに区画される点で、第1実施形態に係るトレイ1と相違する。なお、本明細書では、説明の便宜のため、最小幅(左右方向の寸法)となる収容室15Sに関係する部分には、符号に「S」を付加し、最大幅となる収容室15Lに関係する部分には、符号に「L」を付加し、中間の収容室15Mに関係する部分には、符号に「M」を付加する。また、符号に「S、M、L」を付加した部分において共通する説明では、符号に算用数字のみを付す。
【0062】
図10に示すように、第2実施形態に係るトレイ2の底壁10は、第1実施形態に係るトレイ1の底壁10よりも流れ方向に延長されている。トレイ2のブランク2Aでは、側壁11の内側壁21が、2箇所に溝切りすることで3つの内側片22S,22M,22L(3つの額縁部23S,23M,23L)に分割されている。3つの内側片22S,22M,22L(3つの額縁部23S,23M,23L)は、この順に
図10の上方から下方に向かって並設され、この順に流れ方向(左右方向)の幅が広くなるように形成されている。積層凸部26は、最小幅の額縁部23Sと最大幅の額縁部23Lに形成されている。4つの積層凸部26に対応する4つの係合穴24は、底壁10と外側壁20とを横断するように穿設され、残りの2つの係合穴24は、底壁10のみに穿設されている。なお、第2実施形態に係るトレイ2では、分割線30が省略されている。
【0063】
また、ブランク2Aでは、
図10の下方に設けられる筒壁12Lの第1~第2折込壁42L,43Lは、
図10の上方に設けられる筒壁12Sの第1~第2折込壁42S,43Sよりも段方向に長く形成されている。第1折込壁42Sの段方向の寸法(延出寸法)は内側片22Sの流れ方向の寸法の略半分に設定され、第1折込壁42Lの段方向の寸法(延出寸法)は内側片22Lの流れ方向の寸法の略半分に設定されている。なお、第2実施形態に係るトレイ2では、凹部46や凸部47(退避穴48)が省略されている。
【0064】
第2実施形態に係るトレイ2は、第1実施形態に係るトレイ1と略同一の手順で組み立てられる。
図11に示すように、筒壁12Sは最小幅となる筒体13Sを構成し、筒壁12Lは最大幅となる筒体13Lを構成する。2つの筒体13S,13Lは、底壁10上において左右方向に離れて配置され、トレイ2の内部を3つの収容室15S,15M,15Lに仕切る(
図9も参照)。筒体13Lで区画された収容室15Lは、筒体13Sで区画された収容室15Sよりも幅広く構成されている。2つの筒体13S,13L(一対の第2周面壁41)の間に区画された収容室15M(
図9参照)は、収容室15Sよりも幅広く、収容室15Mよりも幅狭く構成されている。
【0065】
筒体13S,13Lの周側面壁14S,14Lは、外側壁20と内側片22S,22Lとの間に挟み込まれて固定される(
図9参照)。内側片22Mは、外側壁20に対向して二重壁となる。
【0066】
以上によって、トレイ2の組立が完了する(
図9参照)。このトレイ2(包装容器)によれば、簡単かつ円滑に筒体13S,13Lを形成することができる等、第1実施形態に係るトレイ1と同様の効果を得ることができる。
【0067】
なお、第2実施形態に係るトレイ2では、2つの筒体13S,13Lが互いに異なる大きさに形成され、3つの収容室15S,15M,15Lが互いに異なる容積とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1折込壁42と第2折込壁43との延出寸法を調節し、第1実施形態に係るトレイ1のように、2つの筒体13が同一の大きさになるように構成されてもよい(図示せず)。この場合、3つの収容室15S,15M,15Lは、全て同一容積とされてもよいし、2つの収容室15S,15Lが同一容積で、中間の収容室15Mが異なる容積(大きいまたは小さい)とされてもよい(図示せず)。
【0068】
[第3実施形態]
次に、
図12および
図13を参照して、第3実施形態に係る包装容器の一例としてのトレイ3について説明する。
図2はトレイ3のブランク3Aを示す平面図である。
図13は筒体13A,13B(13)を形成した状態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係るトレイ1と同一または対応する構成には同一の符号を付し、トレイ1と同一または対応する説明は省略する。
【0069】
第1実施形態に係るトレイ1(ブランク1A)では、一対の筒壁12が底壁10の左右両端に連設されていたが、第3実施形態に係るトレイ3(ブランク3A)では、2つの筒壁12A,12Bが底壁10の流れ方向の一方(例えば、左側)において並設されている点で相違する(
図12参照)。なお、説明の便宜のため、流れ方向(第2方向)の基端側に位置する筒壁12Aを構成する各部には、符号に「A」を付加し、流れ方向(第2方向)の先端側に位置する筒壁12Bを構成する各部には、符号に「B」を付加する。また、符号に「A、B」を付加した部分において共通する説明では、符号に算用数字のみを付す。
【0070】
図12に示すように、先端側に位置する筒壁12Bの第1周面壁40Bは、逆折線L8を介して基端側に位置する筒壁12Aの第2周面壁41Aに連設されている。先端側に位置する筒壁12Bの第1折込壁42Bは、第2の分断線49を挟んで基端側に位置する筒壁12Aの第2折込壁43Aに隣接している。なお、逆折線L8は、例えばミシン目線であって、主に段ボールシートを逆折りする機能と、トレイ3を筒体13A,13B毎に分割(第1周面壁40Bと第2周面壁41Aとを切断)する機能と、を有している。第2の分断線49は、例えば全切線である。
【0071】
図12において、右方の第2折込壁43Aおよび左方の第1折込壁42Bには、それぞれ、凹部46が穿設(凹設)されている。
図12において、左方の第2折込壁43Aおよび右方の第1折込壁42Bには、それぞれ、凸部47が突設されている。すなわち、2つの筒体13が形成された状態で、左右方向(第2方向)に隣接する第1折込壁42と第2折込壁43とのうち一方には凹部46が凹設され、他方には凹部46に噛み合う凸部47が突設されている。
【0072】
第3実施形態に係るトレイ3を組み立てる場合、作業者は、例えば、第2周面壁41Aおよび第2折込壁43Aを分断線45Aおよび第2折返線L7Aで折り返し(正折りし)、第1周面壁40Bおよび第1折込壁42Bを逆折線L8および第2の分断線49で折り返し(逆折りし)、第2周面壁41Bおよび第2折込壁43Bを分断線45Bおよび第2折返線L7Bで折り返す(正折りする)。これにより、第1周面壁40A、第2周面壁41A、第1周面壁40Bおよび第2周面壁41Bは蛇腹状に折り返される(図示せず)。作業者は、蛇腹状に折り返された筒壁12A,12Bを角筒状に広げる(
図13参照)。作業者は、底壁10に対して第1周面壁40A,40Bを立設させ、凸部47を凹部46に噛み合わせる。これにより、2つの筒体13A,13Bが底壁10上に配置される(第1実施形態に係るトレイ1と略同様であるため
図5を参照。)。2つの筒体13A,13Bが形成された状態で、基端側に位置する筒壁12Aの第2周面壁41Aと先端側に位置する筒壁12Bの第1周面壁40Bとは、互いに重なり合って二重壁を構成する。作業者は、底壁10に対して外側壁20を立設させ、各内側片22等を内側に折り返し、外側壁20と各内側片22(内側壁21)と間に各筒体13A,13Bの周側面壁14A,14Bを挟み込む。
【0073】
以上によって、トレイ3の組立が完了する(第1実施形態に係るトレイ1と略同様であるため
図1を参照。)。なお、トレイ3は、分割線30および逆折線L8に沿って切断され、筒体13A,13B毎に分割される(図示せず)。
【0074】
以上説明した第3実施形態に係るトレイ3(包装容器)によれば、簡単かつ円滑に筒体13A,13Bを形成することができる等、第1実施形態に係るトレイ1と同様の効果を得ることができる。
【0075】
なお、第3実施形態に係るトレイ3では、2つの筒壁12A,12Bが底壁10の左側に並設されていたが、これに限らず、底壁10の右側に並設されてもよいし、底壁10の左右両側に並設されてもよい(いずれも図示せず)。また、3つ以上の筒壁12が底壁10の流れ方向の両端の少なくとも何れか一方に並設されてもよい(図示せず)。また、底壁10の左右方向の何れか一方に、2つ以上の筒壁12が並設され、他方に1つの筒壁12が設けられてもよい(図示せず)。また、複数の筒体13は、同一の大きさに形成されてもよいし、異なる大きさに形成されてもよい(図示せず)。
【0076】
なお、第1~第3実施形態(各変形例を含む。以下同じ。)に係るトレイ1~3では、側壁11が二重壁とされ、周側面壁14が側壁11の中に挟み込まれることで固定されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、側壁11は、外側壁20のみで構成され、周側面壁14(第1~第2折込壁42~43)は、外側壁20の裏面に接着される等して固定されてもよい(図示せず)。この場合、係合穴24、係合凸部25および積層凸部26が省略されてもよい(図示せず)。また、側壁11は、外側壁20、内側壁21および額縁部23を有していたが、これに限らず、例えば、額縁部23を省略し、内側壁21を外側壁20に直接連設してもよい(図示せず)。この場合、積層凸部26が省略されてもよい(図示せず)。
【0077】
また、第1~第3実施形態に係るトレイ1~3では、連結壁44が、第1折返線L6を介して第1折込壁42に連設され、且つ、第2折返線L7を介して第2折込壁43に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。連結壁44は、第1折返線L6を介して第2折込壁43に連設され、且つ、第2折返線L7を介して第1折込壁42に連設されてもよい(図示せず)。この場合には、第2折込壁43の延出寸法を、連結壁44の分だけ第1折込壁42の延出寸法よりも短くするとよい。すなわち、一対の連結壁44は、一対の第1折込壁42と一対の第2折込壁43の何れか一方の前後方向(第1方向)の両端に第1折返線L6を介して連設され、且つ、一対の第1折込壁42と一対の第2折込壁43の何れか他方に第2折返線L7を介して連設されていればよい。
【0078】
また、第1~第3実施形態に係るトレイ1~3では、積層凸部26や指穴421が形成されていたが、これらは省略されてもよい(図示せず)。また、連結壁44には段潰し加工が施されていたが、例えば、段ボールシートの厚みが薄い場合等、段潰し加工されなくてもよい(図示せず)。
【0079】
また、第1~第3実施形態に係るトレイ1~3は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、片面段ボールシートや複両面段ボールシート、または厚紙、若しくは樹脂製の板(シート)等で形成されていてもよい。また、第1~第3実施形態では、上面を開口させたトレイ1~3を、包装容器の一例として説明したが、包装容器の形式はトレイ1~3に限定されない。例えば、一方の側壁11において内側壁21を省略し、外側壁20の上端に上面開口を閉じる蓋壁が連設されてもよい(図示せず)。
【0080】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装容器の一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0081】
1,2,3 トレイ(包装容器)
10 底壁
11 側壁
12 筒壁
13 筒体
15 収容室
20 外側壁
21 内側壁
30 分割線
31 底切断線
32 側切断線
40 第1周面壁
41 第2周面壁
42 第1折込壁
43 第2折込壁
44 連結壁
45 分断線
46 凹部
47 凸部
49 第2の分断線
L6 第1折返線
L7 第2折返線
L8 逆折線