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特開2024-155305メンテナンスユニット、液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法
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  • 特開-メンテナンスユニット、液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法 図1
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  • 特開-メンテナンスユニット、液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法 図14
  • 特開-メンテナンスユニット、液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法 図15
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155305
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】メンテナンスユニット、液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241024BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B41J2/165 211
B41J2/165 101
B41J2/17 203
B41J2/165 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069928
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 悠
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EC23
2C056EC26
2C056EC54
2C056EC56
2C056FA10
2C056JA13
2C056JB05
2C056JB08
2C056JC13
2C056JC23
2C056JC25
(57)【要約】
【課題】吐出部のノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部と、空間を減圧可能な減圧部と、を備えるメンテナンスユニットを液体吐出装置に据え置きで設けると、液体吐出装置が大型化する虞がある。
【解決手段】メンテナンスユニットMAは、ノズル18から媒体Mに液体を吐出することで印刷を行う吐出部14を備える液体吐出装置11に対して、印刷が行われない時に装着可能に設けられ、ノズル18が開口する空間SCを形成可能なキャップ71と、空間SCを減圧可能なポンプ81と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから媒体に液体を吐出することで印刷を行う吐出部を備える液体吐出装置に対して、前記印刷が行われないときに装着可能なメンテナンスユニットであって、
前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部と、
前記空間を減圧可能な減圧部と、
を備える、
ことを特徴とするメンテナンスユニット。
【請求項2】
前記減圧部による前記空間の減圧によって前記ノズルから排出された廃液としての前記液体を、前記空間を介して受容可能な受容部を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンスユニット。
【請求項3】
前記減圧部を手動で駆動可能な操作部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンスユニット。
【請求項4】
前記減圧部は、シリンジポンプである、
ことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンスユニット。
【請求項5】
前記減圧部は、チューブポンプである、
ことを特徴とする請求項1に記載のメンテナンスユニット。
【請求項6】
前記吐出部と、
請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の前記メンテナンスユニットが着脱可能に装着される装着部と、
を備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
前記吐出部と対向する位置で前記媒体を支持可能な支持部を更に備え、
前記装着部は、前記支持部に設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記吐出部を払拭可能な払拭ユニットが着脱可能に保持される保持部を備え、
前記装着部は、前記払拭ユニットが取り外された前記保持部である、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記吐出部と、
請求項5に記載の前記メンテナンスユニットが着脱可能に装着される装着部と、
を備える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
前記吐出部を払拭可能な払拭ユニットが着脱可能に保持される保持部を備え、
前記装着部は、前記払拭ユニットが取り外された前記保持部であることを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記保持部は駆動部を有し、
前記払拭ユニットは、前記液体を吸収可能な帯状の吸収部材と、前記吸収部材を繰り出す繰出軸と、前記吸収部材を巻き取る巻取軸と、を有し、
前記保持部に前記払拭ユニットが装着された場合、前記駆動部は少なくとも前記巻取軸を駆動し、
前記保持部に前記メンテナンスユニットが装着された場合、前記駆動部は前記減圧部を駆動する、
ことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
媒体に対してノズルから液体を吐出することで印刷を行う吐出部と、前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部と前記空間を減圧可能な減圧部とを備えるメンテナンスユニットと、前記印刷が行われないときに前記メンテナンスユニットを装着可能な装着部と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、
前記メンテナンスユニットを前記装着部に装着するよう報知を行うことと、
前記減圧部による減圧を促す報知を行うことと、
前記メンテナンスユニットを前記装着部から取り外すよう報知を行うことと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メンテナンスユニット、液体吐出装置、及び液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体をノズルから噴射可能な液体噴射部と、液体噴射部のメンテナンスを行う吸引装置と、液体噴射部及び吸引装置が設けられる筐体と、を備える液体噴射装置が開示されている。吸引装置は、吸引キャップと、吸引キャップ内を減圧する減圧機構と、を備える。吸引キャップはキャップの一例である。また、液体噴射装置は、吸引キャップを液体噴射部に接触させることでキャップ内に形成されるノズルが開口する空間を減圧して、ノズルから液体を排出させる吸引クリーニングを行うことが開示されている。また、液体噴射装置は、液体噴射部のメンテナンス動作として加圧した液体をノズルから排出させる加圧クリーニングを行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-59088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される液体噴射装置では、吸引キャップ内に形成される空間を減圧可能な吸引装置が筐体に据え置きで設けられているため、液体噴射装置が大型化する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
メンテナンスユニットは、ノズルから媒体に液体を吐出することで印刷を行う吐出部を備える液体吐出装置に対して、前記印刷が行われないときに装着可能なメンテナンスユニットであって、前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部と、前記空間を減圧可能な減圧部と、を備える。
【0006】
液体吐出装置は、前記吐出部と、前記メンテナンスユニットが着脱可能に装着される装着部と、を備える。
【0007】
液体吐出装置の制御方法は、媒体に対してノズルから液体を吐出することで印刷を行う吐出部と、前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部と前記空間を減圧可能な減圧部とを備えるメンテナンスユニットと、前記印刷が行われないときに前記メンテナンスユニットを装着可能な装着部と、を備える液体吐出装置の制御方法であって、前記メンテナンスユニットを前記装着部に装着するよう報知を行うことと、前記減圧部による減圧を促す報知を行うことと、前記メンテナンスユニットを前記装着部から取り外すよう報知を行うことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る液体吐出装置を示す模式正面図。
図2】支持部が載置位置にある液体吐出装置を示す模式上面図。
図3】払拭ユニットを示す模式側面図。
図4】メンテナンスユニットを示す斜視図。
図5】メンテナンスユニットを示す斜視図。
図6】メンテナンスユニットを示す上面図。
図7】載置位置にある支持部にメンテナンスユニットが装着された液体吐出装置を示す上面図。
図8】液体吐出装置を示す模式上面図。
図9】液体吐出装置を示す模式断面図。
図10】液体吐出装置を示す模式断面図。
図11】液体吐出装置を示す模式断面図。
図12】液体吐出装置を示す模式断面図。
図13】液体充填処理の一例を示すフローチャート。
図14】実施形態2に係る液体吐出装置を示す模式断面図。
図15】実施形態3に係る液体吐出装置を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施形態に基づいて説明する。各図において同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、「同じ」、「同一」、「同時」とは、完全に同じであることを指すのみならず、測定誤差を考慮して同じである場合、部材の製造ばらつきを考慮して同じである場合、および、機能を損なわない範囲で同じである場合を含むものとする。よって、例えば、「両者の寸法が同じである」とは、測定誤差、部材の製造ばらつきを考慮し、両者の寸法差が、一方の寸法の±10パーセント以内、さらに好ましくは±5パーセント以内、特に好ましくは±3パーセント以内であることを指す。
【0010】
また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向とする。向きを特定する場合には、正の方向を「+」、負の方向を「-」として、方向表記に正負の符合を併用し、各図の矢印が向かう向きを+方向、矢印の反対方向を-方向として説明する。
【0011】
また、Z軸方向は、重力方向を示し、+Z方向は鉛直下向き、-Z方向は鉛直上向きを示す。また、X軸,Y軸を含む平面をX-Y面、X軸,Z軸を含む平面をX-Z面、Y軸,Z軸を含む平面をY-Z面として説明する。また、X-Y面は水平面となる。さらに、正方向及び負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
【0012】
尚、各図においてX軸方向は後述する液体吐出装置11における筐体12の幅方向であり、吸収部材25が搬送される送り方向と交差する方向、即ち吸収部材25の幅方向でもある。X軸方向のうち-X方向は筐体12の前面を操作者と対面させた際に操作者から見て右方向となり、また+X方向は同左方向となる。本実施形態において筐体12の周囲を構成する側面のうち払拭ユニット17が着脱される側面(図2参照)が筐体12の前面となる。
【0013】
Y軸方向は筐体12の奥行き方向である。Y軸方向のうち-Y方向は筐体12の前面から筐体12の背面に向かう方向である。またY軸方向のうち+Y方向は筐体12の背面から筐体12の前面に向かう方向である。
【0014】
1.実施形態1
液体吐出装置11は、例えば、用紙、布帛などの媒体Mに液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0015】
図1図2に示すように、液体吐出装置11は、筐体12と、支持部13と、吐出部14と、キャリッジ19と、処理部15と、制御部16と、払拭ユニット17と、を備える。また、液体吐出装置11は、支持部移動機構13Mと、キャリッジ移動機構19Mと、報知部23(図2参照)と、を備える。筐体12は、液体吐出装置11が備える各種構成を収容する。
【0016】
支持部13は、媒体Mを支持するように構成される。支持部13は、媒体Mを支持する。支持部13は、媒体Mを支持する支持面53を有する。支持部13は、筐体12に設けられる支持部移動機構13Mに、Y軸方向、及びZ軸方向に移動可能に支持される。支持部13は、筐体12の+Y方向側となる載置位置Ps(図2参照)と、筐体12内に位置する印刷位置Pr(図8参照)と、の間をY軸方向に沿って移動可能に設けられる。載置位置Psは、媒体Mを載置する位置である。印刷位置Prは、支持部13に支持される媒体Mに対して吐出部14が印刷を行う位置である。
【0017】
液体吐出装置11は、支持部13に、後述するメンテナンスユニットMAを装着可能な装着部SPを備える。装着部SPは、メンテナンスユニットMAを位置決めするための位置決め部59を有する。図2に示すように、位置決め部59は、位置決め穴59Aと、位置決め穴59Bと、を含む。位置決め穴59Aは、支持面53に開口する正円形状の穴である。位置決め穴59Bは、支持面53に開口する長円形状の穴である。尚、メンテナンスユニットMAの装着部SPへの着脱は、図7に示すように、載置位置Psにおいて行われる。
【0018】
図1に示すように、吐出部14は、液体を吐出するように構成される。吐出部14は、液体を吐出するノズル18であって、吐出部14の+Z方向側の面であるノズル面22に開口するノズル18を1つ以上有する。吐出部14は、吐出部14A、及び吐出部14Bを含む。吐出部14Bは、吐出部14Aに対して、+X方向、及び+Y方向(図3参照)に離れた位置に配置される。吐出部14A,14Bは、+Z方向側の面である各ノズル面22A,22Bに開口するノズル18を有する。吐出部14は、印刷位置Prにおいて、支持部13に支持される媒体Mにノズル18から液体を吐出することによって、媒体Mに画像を印刷する。
【0019】
吐出部14は、吐出部14A,14Bに、複数のノズル18によって構成されるノズル群NRを複数有してもよい。吐出部14は、各ノズル群NRから種類の異なる液体を吐出するように構成されてもよい。複数のノズル群NRどうしは、X軸方向に間隔を置いて配置されてもよい。また、ノズル群NRを構成する複数のノズル18は、Y軸方向に間隔を置いて並び、ノズル列を形成してもよい。
【0020】
キャリッジ19は、吐出部14を搭載する。媒体Mに対してキャリッジ19がX軸方向に走査することによって、吐出部14が媒体Mに画像を印刷する。本実施形態では、キャリッジ19は、筐体12に設けられるキャリッジ移動機構19Mに、X軸方向及びY軸方向に移動可能に支持される。すなわち、液体吐出装置11は、所謂ラテラルプリンターである。尚、液体吐出装置11は、媒体Mに対して走査するシリアルプリンターでもよいし、媒体Mの幅に亘って一斉に液体を吐出可能なラインプリンターでもよい。
【0021】
尚、キャリッジ移動機構19Mには、媒体検出センサー19Sが設けられる。例えば、支持部13に載置される媒体MのZ軸方向の位置が想定される位置より吐出部14に近い場合、媒体Mが吐出部14に接触する虞がある。媒体検出センサー19Sは、支持部13に載置される媒体MのZ軸方向の位置が想定される位置より吐出部14に近い場合に、媒体Mを検出する。これにより、支持部13に載置される媒体M、あるいは後述するメンテナンスユニットMAが、吐出部14に接触することを防止できる。
【0022】
また、キャリッジ19は、液体収容部21を着脱可能に搭載する。液体収容部21は、液体を収容するように構成される。液体収容部21は、不図示の供給流路によって吐出部14と接続される。これにより、液体収容部21に収容される液体は吐出部14に供給される。液体収容部21は、筐体12に設けられる着脱部に設けられてもよい。例えば、着脱部は、筐体12の+X方向側の側壁と支持部13との間となる位置に設けられてもよい。
【0023】
処理部15は、液体にエネルギーを与えることによって、その液体を硬化させるように構成される。処理部15は、エネルギーとして、例えば、光エネルギー、熱エネルギー、電気エネルギーなどを放出するように構成される。処理部15は、例えば、電圧が印加されることによって、エネルギーを放出する。液体の性質に合わせたエネルギーを処理部15が液体に与えることによって、液体の硬化が促進される。
【0024】
本実施形態では、処理部15は、光エネルギーの一例として、紫外線、所謂UV光を液体に照射するように構成される。そのため、本実施形態の処理部15は、例えば発光素子を含む。本実施形態において、吐出部14が吐出する液体は、処理として行われる紫外線の照射によって硬化する。本実施形態では、吐出部14が吐出する液体は、例えば、紫外線硬化型インク、所謂UVインクである。紫外線硬化型インクは、インクの一例であり、液体の一例である。
【0025】
吐出部14が吐出する液体は、熱硬化性樹脂を含む液体、例えば、熱硬化型インクであってもよい。熱硬化型インクは、インクの一例であり、液体の一例である。熱硬化型インクは、処理として行われる加熱によって硬化する。この場合、処理部15は、例えば、赤外線を液体に与えてもよいし、輻射熱を液体に与えてもよいし、マイクロ波を液体に与えてもよい。
【0026】
処理部15は、例えば、キャリッジ19に搭載される。処理部15は、吐出部14とX軸方向に並んでキャリッジ19に搭載される。本実施形態では、処理部15は吐出部14の-X方向側に配置される。処理部15は、吐出部14とY軸方向に並んでキャリッジ19に搭載されてもよい。この場合、処理部15は吐出部14の+Y方向側に配置されてもよい。処理部15は、キャリッジ19が移動しながら、媒体Mに吐出された液体にエネルギーを与えることによって、液体を媒体Mに定着させる。
【0027】
図2に示すように、報知部23は、筐体12の前面である+Y方向側の側面を構成する位置に設けられる。報知部23は、モニター、タッチパネル等を有し、メッセージを表示することで操作者等に報知する。
【0028】
図1図2に示すように、払拭ユニット17は、保持部41に対して、筐体12の前面となる+Y方向側から着脱可能に設けられる。保持部41は、筐体12において、支持部13の-X方向側に隣り合う位置に設けられる。保持部41に装着される払拭ユニット17は、支持部13の-X方向側に隣り合う位置に位置する。保持部41は、駆動部45を有する。保持部41に払拭ユニット17が装着された場合、駆動部45は、後述する払拭ユニット17の回転体27を駆動する。
【0029】
払拭ユニット17は、吐出部14から排出される液体を廃液として受容するように構成される。廃液とは、媒体Mに印刷される画像に寄与しない液体である。廃液は、例えば、吐出部14のメンテナンスによって発生する。吐出部14による印刷が行われているとき、払拭ユニット17は、直上に位置する吐出部14A,14Bから排出される廃液を、後述する吸収部材25によって受容する。払拭ユニット17が廃液を収集する吐出部14のメンテナンスとしては、例えば、フラッシング、加圧クリーニング、ワイピングが挙げられる。本実施形態では、払拭ユニット17による吐出部14のメンテナンスは、直上に位置する吐出部14A,14Bのいずれか一方毎に行われる。
【0030】
フラッシングとは、ノズル18の目詰まりを抑制するために液体をノズル18から適宜吐出する動作である。フラッシングは、例えば、印刷前、印刷中、印刷後に実行される。フラッシングが実行される場合、吐出部14は、払拭ユニット17、及び後述するメンテナンスユニットMAのいずれかに向けて液体を吐出する。
【0031】
加圧クリーニングとは、吐出部14に供給される液体の供給方向上流側となる供給流路あるいは液体収容部21を加圧することで、供給流路および吐出部14内の液体をノズル18から強制的に排出する動作である。加圧クリーニングは、吐出部14内及び吐出部14に液体を供給する供給流路内の気泡の排出や液体の増粘抑制等を目的として、行われる。
【0032】
ワイピングとは、吐出部14のノズル面22に付着する液体を除去するために吐出部14を払拭する動作である。ワイピングは、例えば、加圧クリーニング後に実行される。本実施形態では、ワイピングが実行される場合、吐出部14は、払拭ユニット17、及びメンテナンスユニットMAのいずれかによって払拭される。
【0033】
図3に示すように、払拭ユニット17は、ケース24と、液体を吸収可能な吸収部材25と、吸収部材25を保持する回転体26,27と、を有する。また、払拭ユニット17は、吸収部材25を吐出部14に押し付ける押圧部28と、吸収部材25をガイドするガイドローラー37,38,39と、テンションローラー42と、を有する。
【0034】
ケース24は、例えば、吸収部材25、回転体26,27、押圧部28、ガイドローラー37,38,39、テンションローラー42等を収容する。ケース24は、後述する吸収部材25の第1面32を露出させる開口を、-Z方向側の側面である上面に有する。
【0035】
吸収部材25は、吐出部14からの液体を吸収する。吸収部材25は、廃液を吸収する。吸収部材25は、例えば、布でもよいし、スポンジでもよい。吸収部材25は、液体を吸収可能な帯状の長尺部材である。吸収部材25の幅は、吐出部14A,14Bのノズル面22A,22BのX軸方向の寸法と同じかそれ以上の寸法を有する。
【0036】
吸収部材25は、回転体26,27に保持される。吸収部材25は、中間部分を有する。中間部分とは、吸収部材25のうち、回転体26に保持されている部分と回転体27に保持されている部分との間となる部分である。中間部分は、回転体26に巻き付けられている部分と回転体27に巻き付けられている部分との間となる部分である。吸収部材25は、中間部分のうち吐出部14と対向する対向部分31で、フラッシング、加圧クリーニング、ワイピングによる液体を受ける。
【0037】
図3に示すように、吸収部材25は、第1面32と第2面33とを有する。第1面32は、吐出部14からの液体を受ける面である。そのため、第1面32は、対向部分31において、吐出部14と対向する面である。第2面33は、第1面32と反対の面である。
【0038】
回転体26は、未使用の吸収部材25を保持する。すなわち、回転体26は、液体を吸収していない吸収部材25を保持する。そのため、回転体26は、未使用の吸収部材25を供給する供給部としても機能する。回転体26は、ケース24に、回転可能に保持される。回転体26は、吸収部材25を繰り出す繰出軸の一例である。
【0039】
回転体27は、使用済の吸収部材25を保持する。すなわち、回転体27は、液体を吸収した吸収部材25を保持する。そのため、回転体27は、使用済の吸収部材25を収集する収集部としても機能する。回転体27は、ケース24に、回転可能に保持される。回転体27は、吸収部材25を巻き取る巻取軸の一例である。
【0040】
回転体27は、ロール状に巻き重ねられた吸収部材25を保持する。本実施形態では、回転体27は、第1面32が内側となるように吸収部材25を保持する。すなわち、回転体27は、第2面33が外側となるように吸収部材25を保持する。
【0041】
回転体26と回転体27とは、Y軸方向に並ぶように配置される。回転体26,27は、キャリッジ19が走査するX軸方向に、回転体26,27の回転する軸である中心軸が延びるように配置される。
【0042】
保持部41に払拭ユニット17が装着されると、回転体26,27は、駆動部45による駆動が可能となる。回転体26,27は、駆動部45に駆動されることで、回転する。回転体26,27は、回転することで、吸収部材25を繰り出したり、巻き取ったりする。以後、回転体27に吸収部材25を巻き取ることで、吸収部材25が回転体26から回転体27に向かって送られる方向を送り方向と称する。すなわち、吸収部材25は、回転体26,27が回転することによって、送り方向の下流又は上流に向かって送られる。
【0043】
ガイドローラー37は、Z軸方向において、回転体26,27より-Z方向側となる位置に設けられる。ガイドローラー37は、Y軸方向において、ケース24が有する開口の中央より+Y方向側となる位置に設けられる。ガイドローラー37は、X軸方向に中心軸が延びるように配置される。ガイドローラー37は、ケース24に、回転可能に保持される。
【0044】
ガイドローラー38は、Z軸方向において、ガイドローラー37と同じ位置に設けられる。ガイドローラー38は、Y軸方向において、ケース24が有する開口の中央より-Y方向側となる位置に設けられる。ガイドローラー38は、Y軸方向において、ガイドローラー37と間隔を置いて設けられる。ガイドローラー38は、X軸方向に中心軸が延びるように配置される。ガイドローラー38は、ケース24に、回転可能に保持される。
【0045】
ガイドローラー37,38には、吸収部材25が巻き掛けられる。吸収部材25は、ガイドローラー37に対して鋭角に巻き掛けられる。また、吸収部材25は、ガイドローラー38に対して鋭角に巻き掛けられる。ガイドローラー37,38には、吸収部材25の中間部分が巻き掛けられる。ガイドローラー37,38に巻き掛けられた中間部分によって、対向部分31が形成される。対向部分31は、後述する押圧部28に押圧されないとき、X-Y面に沿う。
【0046】
図3に示すように、ガイドローラー39は、Z軸方向において、回転体26とガイドローラー38との間となる位置に設けられる。ガイドローラー38とガイドローラー39との間に巻き掛けられた中間部分は、テンションローラー42によって、+Y方向に向かって押圧される。これにより、吸収部材25の中間部分には、張力が付与される。テンションローラー42は、X軸方向に中心軸が延びるように配置される。テンションローラー42は、ケース24に、回転可能に保持される。
【0047】
ガイドローラー37,38,39は、回転体26から巻き出された吸収部材25を回転体27に向かってガイドする。吸収部材25は、送り方向の上流から順に、ガイドローラー39、テンションローラー42、ガイドローラー38、ガイドローラー37を経て、回転体26から回転体27に送られる。
【0048】
押圧部28は、送り方向において、ガイドローラー37とガイドローラー38との間となる位置に設けられる。押圧部28は、Y軸方向において、ガイドローラー37とガイドローラー38との間に位置する。押圧部28は、Y軸方向において、ガイドローラー37,38のうち、ガイドローラー38寄りに位置する。
【0049】
また、押圧部28は、X軸方向に延びるように設けられる。押圧部28は、例えば、X軸方向に沿う方向から見て、-Z方向に向かって突出する突起部を有する。押圧部28は、対向部分31に沿って、突起部がX軸方向に延びるように、ケース24に保持される。
【0050】
押圧部28は、第2面33に接触する。押圧部28は、移動することによって、対向部分31のうち押圧部28の-Z方向側となる鉛直上方に位置する払拭領域を吐出部14のノズル面22に押し付ける。押圧部28は、押し付け位置と、非接触位置と、の間を、Z軸方向に移動するように構成される。押し付け位置は、押圧部28が、第2面33に接触した状態で、対向部分31の払拭領域を吐出部14のノズル面22に押し付ける位置である。非接触位置は、押し付け位置より+Z方向側の位置であって、押圧部28が第2面33に接触しない位置である。
【0051】
押圧部28が対向部分31を吐出部14のノズル面22に押し付ける状態で、吐出部14と払拭ユニット17とが相対的に移動することによって、ワイピングが実行される。ワイピングにおいて、対向部分31のうち吐出部14のノズル面22に押し付けられる払拭領域は、Y軸方向において、対向部分31の中央よりガイドローラー38側に位置する。また、払拭領域は、送り方向において、対向部分31のうちフラッシング及び加圧クリーニングによる液体を受ける受容領域の上流に位置する。これにより、未使用の吸収部材25によってワイピングが実行できる。
【0052】
本実施形態のワイピングでは、払拭ユニット17に対して吐出部14が移動するが、吐出部14に対して払拭ユニット17が移動してもよいし、吐出部14及び払拭ユニット17の双方が移動してもよい。本実施形態では、ワイピングが実行される際、吐出部14は、吐出部14の-Y方向側の端に、吸収部材25が押し付けられた状態で、払拭ユニット17に対して-Y方向に向かって移動する。これにより、吐出部14のノズル18が開口するノズル面22が、吸収部材25によって、-Y方向側の端から+Y方向側の端に向かって払拭される。
【0053】
図7図8に示すように、メンテナンスユニットMAは、支持部13の装着部SPに装着されることで、吐出部14からの液体を廃液として収集可能となる。このため、メンテナンスユニットMAは、支持部13に媒体Mが載置されていないときに、吐出部14からの液体を廃液として収集可能である。吐出部14による印刷が支持部13に載置される媒体Mに対して行われているとき、メンテナンスユニットMAは、装着部SPから取り外されている。換言すると、メンテナンスユニットMAは、吐出部14による印刷が行われないときに装着部SPに装着される。
【0054】
図4から図6に示すように、メンテナンスユニットMAは、ベース部60と、キャップ部70と、ポンプ部80と、受容部90と、を備える。本実施形態のメンテナンスユニットMAは、キャップ部70、及びポンプ部80による吸引クリーニングが実行可能である。このため、メンテナンスユニットMAは、吐出部14に滞留する気泡の排出を目的とするメンテナンス処理に適用できる。また、本実施形態のメンテナンスユニットMAが備える受容部90が受容可能な液体の量は、払拭ユニット17が受容可能な液体の量より多く設定される。このため、メンテナンスユニットMAは、吐出部14から排出される液体の量が比較的多い吐出部14のメンテナンス処理に適用できる。
【0055】
メンテナンスユニットMAは、吐出部14のメンテナンス全般に使用可能であるが、上述の特徴から、吐出部14に液体を供給する供給流路及び吐出部14に液体を充填する液体充填処理に、主として使用される。メンテナンスユニットMAによる吐出部14及び供給流路への液体充填処理は、吐出部14のメンテナンスの一例である。尚、この液体充填処理は、液体吐出装置11を最初に動作させるときだけでなく、長期保管のために吐出部14及び供給流路から液体を排出させた液体吐出装置11を動作させる場合にも実行される。
【0056】
また、メンテナンスユニットMAは、位置合わせ部63と、被検出部64,65,66と、を備える。図5に示すように、位置合わせ部63は、位置合わせ突起63Aと、位置合わせ突起63Bと、を含む。位置合わせ突起63A,63Bは、+Z方向に突出する円柱状の突起である。図7に示すように、位置合わせ突起63Aが装着部SPの位置決め穴59Aに挿入され、位置合わせ突起63Bが装着部SPの位置決め穴59Bに挿入されることで、支持部13の装着部SPに対して、メンテナンスユニットMAが位置決めされる。
【0057】
図4図6に示すように、被検出部64は、被検出部64Aと、被検出部64Bと、を含む。被検出部64A,64Bは、-Z方向に向かって突出する突起である。例えば、液体吐出装置11は、キャリッジ移動機構19Mに設けられる媒体検出センサー19S(図1参照)によって、被検出部64A,64Bの-Z方向側の面である上面が検出されるか否かを確認する。また、液体吐出装置11は、被検出部65の-X方向側の端の位置、及び被検出部66の-Y方向側の端の位置をセンサー(不図示)によって確認する。
【0058】
これにより、液体吐出装置11は、メンテナンスユニットMAが支持部13に対して正しく装着されているか否かを確認することができる。あるいは、媒体検出センサー19Sによって被検出部64A,64Bの上面が検出される位置を基準として、支持部13をZ軸方向に昇降することで、液体吐出装置11は、メンテナンスユニットMAのZ軸方向の位置を調整してもよい。
【0059】
ベース部60は、キャップ部70を保持する。また、ベース部60には、ポンプ部80、及び受容部90が取り付けられる。図5に示すように、ベース部60の+Z方向側の面である底面には、位置合わせ突起63Bが設けられる。また、図4図6に示すように、ベース部60には、キャップ部70の-Y方向側となる位置に、被検出部64Bが設けられる。また、ベース部60には、キャップ部70の-X方向側となる位置に、被検出部65が設けられる。また、ベース部60には、被検出部64Bの-Y方向側となる位置に、被検出部66が設けられる。
【0060】
図4図6図9図10に示すように、キャップ部70は、キャップ71、キャップホルダー73、及び押圧ばね74を有する。キャップ71は、ノズル18が開口する吐出部14のノズル面22に接触可能に、キャップホルダー73に保持される。図10に示すように、キャップ71は、ノズル面22に接触することで、ノズル18が開口する空間SCを形成可能な凹部72を有する。キャップ71は、ノズル18が開口する空間SCを形成可能な空間形成部の一例である。押圧ばね74は、ノズル面22に向かう方向に、キャップ71を押圧する。
【0061】
図4図6図11図12に示すように、ポンプ部80は、ポンプ81、ホルダー84、及び操作部87を有する。ポンプ部80は、ベース部60、及びキャップ部70の+Y方向側に位置する。図12に示すように、ポンプ81は、空間SCを減圧可能に、第1チューブ75によって、キャップ71と接続される。ポンプ81は、空間SCを減圧可能な減圧部の一例である。尚、第1チューブ75には、キャップ71からポンプ81に向かう流体の流動は許容し、ポンプ81からキャップ71に向かう流体の流動は規制する一方向弁76が設けられる。
【0062】
図11に示すように、ポンプ81は、中心軸がY軸方向に沿う円筒状の外筒82と、外筒82内をY軸方向にスライド可能な円柱状の押し子83と、により構成される所謂シリンジポンプである。ポンプ81は、外筒82と押し子83との間に形成されるポンプ室PC(図12参照)の容積が増える方向に押し子83をスライドさせることで、空間SCを減圧可能である。本実施形態では、ポンプ部80のポンプ81により空間SCを減圧することで、供給流路及び吐出部14内の液体をノズル18から空間SCに排出させる吸引クリーニングを行うことができる。
【0063】
ホルダー84は、ポンプ81を保持する。図4図6に示すように、ホルダー84は、ベース部60に対して、X軸に沿う軸心ARp中心に回動可能に取り付けられる。これにより、ポンプ部80は、ベース部60に対して、X軸に沿う軸心ARp中心に回動可能に取り付けられる。ホルダー84の-Z方向側の面である上面には、Y軸方向に延びるガイドスリット85と、ガイドスリット85の+Y方向側の端から+X方向及び-X方向に延びるガイドスリット86と、が設けられる。
【0064】
図11図12に示すように、操作部87は、ポンプ81の押し子83の+Y方向側の端に取り付けられる。操作部87は、操作者が把持可能な把持部88と、ホルダー84のガイドスリット85,86にガイドされるスライダー89と、を有する。把持部88は、操作部87の+Y方向側の端に設けられる。操作者が把持部88を把持し、Y軸方向に把持部88を移動させることで、ポンプ81の押し子83がY軸方向にスライドする。押し子83がY軸方向に移動することで、ポンプ81におけるポンプ室PCの容積が変化する。換言すると、操作部87を操作者が操作することで、ポンプ81は手動で駆動することが可能である。
【0065】
スライダー89は、操作部87の-Y方向側の端に設けられる。スライダー89は、ホルダー84のガイドスリット85,86に移動を規制される突起である。スライダー89がガイドスリット85内にあるとき、操作部87、及び押し子83はY軸方向に移動可能であるため、ポンプ81におけるポンプ室PCの容積は可変である。
【0066】
一方、ポンプ81の外筒82の中心軸中心に操作部87を回動させることで、スライダー89をガイドスリット86内に位置させるとする。この場合、操作部87、及び押し子83のY軸方向への移動が規制される。例えば、空間SCが減圧された状態では、ポンプ室PCの容積が減少する方向となる-Y方向に、押し子83を移動させる力が作用する。このような場合に、スライダー89をガイドスリット86内に位置させることで、ポンプ室PCの容積が変化することを規制することができる。
【0067】
受容部90は、吐出部14のノズル18から排出される液体を廃液として受容する。図4から図6に示すように、受容部90は、筐体91、第1収集部96、及び第2収集部97を有する。受容部90は、ベース部60、及びキャップ部70の+Y方向側に位置する。受容部90は、ポンプ部80の-X方向側に位置する。
【0068】
図4から図6図9図12に示すように、筐体91は、収容室92、取付け部94A,94B、及び被検出部64Aを備える。図12に示すように、収容室92は、第1収集部96を収容する。収容室92は、第2チューブ77の一端と接続される。第2チューブ77の他端は、第1チューブ75において、一方向弁76よりポンプ部80側となる位置と接続される。これにより、受容部90は、吐出部14のノズル18から排出された廃液としての液体を、空間SC、第1チューブ75、及び第2チューブ77を介して、収容室92に受容可能となる。
【0069】
また、第2チューブ77には、第1チューブ75側から収容室92に向かう流体の流動は許容し、収容室92から第1チューブ75に向かう流体の流動は規制する一方向弁78が設けられる。これにより、収容室92に受容した液体が第2チューブ77に向かって流動することを抑制できる。
【0070】
図4図6図9図12に示すように、取付け部94A,94Bは、収容室92の-Z方向側を画定する側壁である上面91Tに、設けられる。取付け部94A,94Bは、第2収集部97が取り付けられる凹みである。また、筐体91は、上面91Tに、-Z方向となる上方に向かって開口する受容口93A,93Bを備える。また、筐体91の+Z方向側の側壁である底面には、位置合わせ突起63Aが設けられる。
【0071】
受容口93A,93Bは、上面91Tに設けられる矩形の貫通穴である。受容口93Bは、受容口93Aに対して、+X方向、及び+Y方向に離れた位置に配置される。取付け部94Aに取り付けられた第2収集部97は、受容口93Aの-Y方向側に位置する。取付け部94Bに取り付けられた第2収集部97は、受容口93Bの-Y方向側に位置する。
【0072】
受容口93Aは、吐出部14Aのノズル18と対向可能な位置に設けられる。受容口93Aが吐出部14Aのノズル18と対向するとき、受容口93Bは、吐出部14Bのノズル18と対向する。また、このとき、取付け部94Aに取り付けられる第2収集部97は、吐出部14Aにおけるノズル面22Aの-Y方向側に位置する。また、このとき、取付け部94Bに取り付けられる第2収集部97は、吐出部14Bにおけるノズル面22Bの-Y方向側に位置する。
【0073】
これにより、例えば、吐出部14Aのノズル18が筐体91の上面91Tの上方であって受容口93Aと対向する位置に、キャリッジ19が移動する。そして、フラッシング、加圧クリーニング等を行うことで、吐出部14A,14Bのノズル18から排出される液体が、受容口93A,93Bを介して収容室92に受容される。
【0074】
そして、キャリッジ19が-Y方向に移動する。これにより、吐出部14A,14Bのノズル面22A,22B、あるいはノズル面22A,22Bに付着している液体に、取付け部94A,94Bに取り付けられる第2収集部97の上端が接触する。そして、この状態でキャリッジ19が-Y方向に移動することで、ノズル面22A,22Bが払拭される。これにより、ノズル面22A,22Bに付着している液体が第2収集部97に収集される。
【0075】
第1収集部96は、収容室92に廃液として収集される液体を吸収する。第1収集部96は、液体を吸収可能な吸収材によって構成される。第1収集部96は、例えば、収容室92に収容される複数の板状の吸収材によって構成される。板状の吸収材は、例えば、ポリオレフィン系樹脂の不織布やスポンジでもよいし、古紙等の紙を板状に成形したものであってもよい。収容室92に収容される第1収集部96の-Z方向側の面である上面は、受容口93A,93Bによって露出される。
【0076】
第2収集部97は、吐出部14のノズル面22に付着する液体を収集可能に、取付け部94A,94Bに取り付けられる。第2収集部97は、液体を吸収可能な吸収材によって構成される。本実施形態の第2収集部97は、板状の芯材に帯状の吸収材を巻き付けることで形成される。帯状の吸収材には、例えば、ポリオレフィン系樹脂の不織布等が採用できる。
【0077】
板状の芯材は、エラストマー樹脂、ゴム等の弾性部材でもよいし、ポリオレフィン系樹脂の不織布やスポンジ等の吸収材であってもよい。板状の芯材を吸収材で構成する場合、板状の芯材を構成する吸収材の密度は、板状の芯材に巻き付けられる帯状の吸収材の密度より高いことが望ましい。
【0078】
また、第2収集部97は、取付け部94A,94Bを構成する側壁によって、第1収集部96と接触しない状態で、筐体91に設けられるが、第1収集部96と接触した状態で、筐体91に設けられてもよい。この場合、取付け部94A,94Bを構成する側壁の一部を削除することで、収容室92に収容される第1収集部96と第2収集部97とを接触させてもよい。
【0079】
例えば、取付け部94A,94Bの側壁のうち+Z方向側の側壁である底壁に貫通穴を設ける。そして、この貫通穴を介して、収容室92内に延ばした第2収集部97を、第1収集部96と接触させる。これにより、第2収集部97で吸収した液体を第1収集部96に移動させることができるため、第2収集部97の液体の吸収力を維持することができる。尚、第1収集部96を構成する複数の吸収材の内、少なくとも第2収集部97の帯状の吸収材と接触する吸収材の密度は、第2収集部97の帯状の吸収材の密度より高いことが望ましい。
【0080】
被検出部64Aは、筐体91の上面91Tにおいて受容口93Aの+Y方向側となる位置に設けられ、筐体91の上面91Tから-Z方向に向かって突出する。被検出部64Aの-Z方向側の面である上面の位置は、Z軸方向において、被検出部64Bの上面と同じ位置に設定される。Y軸方向において、被検出部64Aと被検出部64Bとの間には、キャップ71、ポンプ81、ホルダー84、受容口93A,93B、及び第2収集部97が位置する。また、被検出部64Aは、X軸方向において、被検出部64Bと同じ位置に配置される。
【0081】
制御部16は、例えば、液体吐出装置11を統括的に制御する。制御部16は、例えば、吐出部14、キャリッジ移動機構19M、払拭ユニット17、駆動部45、及び報知部23を制御する。制御部16は、1つ以上のプロセッサー、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいはそれらの組合せ、を含む回路として構成し得る。
【0082】
プロセッサーは、コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含む。メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0083】
次に、図13に示すフローチャートを参照し、メンテナンスユニットMAによる吐出部14への液体充填処理を行うときに、各ステップにおいて制御部16が実行する制御を順に説明する。本実施形態において、制御部16が、吐出部14への液体充填処理を行うときに実行する処理の流れは、液体吐出装置11の制御方法に該当する。
【0084】
ステップS11において、制御部16は、メンテナンスユニットMAの装着を実行する。まず、制御部16は、支持部移動機構13Mを制御することで、支持部13を載置位置Ps(図2図7参照)に移動する。次に、制御部16は、メンテナンスユニットMAを装着部SPに装着するよう報知を行う。具体的には、制御部16は、報知部23を制御することで、装着部SPへのメンテナンスユニットMAの装着を操作者に促すメッセージを、報知部23のモニターに表示する。
【0085】
装着部SPへのメンテナンスユニットMAの装着が行われたことを、操作者による報知部23のタッチパネル等による入力により確認すると、制御部16は、支持部13を印刷位置Pr(図8参照)に移動する。そして、媒体検出センサー19S等による被検出部64,65,66の検出結果から、制御部16は、メンテナンスユニットMAが支持部13に対して正しく装着されているか否かを確認する。
【0086】
メンテナンスユニットMAが支持部13に対して正しく装着されていない場合、制御部16は、メンテナンスユニットMAが正しく装着されていない旨のメッセージを、報知部23のモニターに表示する。メンテナンスユニットMAが支持部13に対して正しく装着されたことを確認すると、制御部16は、ステップS11の処理を終了する。制御部16は、ステップS11の処理を終えると、処理をステップS12に移行する。
【0087】
ステップS12において、制御部16は、液体充填処理を実行する。まず、制御部16は、キャリッジ移動機構19Mを制御することで、図9に示すように、吐出部14A,14Bのノズル18が受容部90の受容口93A,93Bと対向する位置に、キャリッジ19を移動する。そして、制御部16は、加圧クリーニング、フラッシング等を行うことで、液体収容部21から供給流路及び吐出部14A,14B内に液体を充填する。このとき、吐出部14A,14Bのノズル18から排出される液体は、受容口93A,93Bを介して、収容室92内の第1収集部96に収集される。
【0088】
次に、制御部16は、キャリッジ移動機構19Mを制御することで、キャリッジ19を-Y方向に移動する。これにより、第2収集部97により、吐出部14A,14Bのノズル面22A,22Bの払拭が実行される。ノズル面22A,22Bの払拭により、吐出部14A,14Bのノズル面22A,22Bに付着する液体が、第2収集部97に収集される。
【0089】
次に、制御部16は、キャリッジ移動機構19Mを制御することで、例えば、吐出部14Bのノズル18がキャップ部70のキャップ71と対向する位置に、キャリッジ19を移動する。そして、制御部16は、支持部移動機構13Mを制御することで、支持部13を-Z方向に移動させ、図10に示すように、キャップ71を吐出部14Bのノズル面22Bに接触させる。これにより、吐出部14Bのノズル18が開口する空間SCが形成される。
【0090】
そして、空間SCが形成された状態で、制御部16は、ポンプ部80のポンプ81による空間SCの減圧を促す報知を行う。具体的には、制御部16は、報知部23を制御することで、ポンプ部80の操作部87の+Y方向への移動を操作者に促すメッセージを、報知部23のモニターに表示する。さらに、制御部16は、操作部87のスライダー89のガイドスリット86による規制を操作者に促すメッセージを、報知部23のモニターに表示してもよい。
【0091】
報知部23による報知に従い、操作者が把持部88を把持し、+Y方向に把持部88を移動させることで、ポンプ81の押し子83が+Y方向にスライドする。これにより、空間SCが減圧され、供給流路及び吐出部14A内の液体がノズル18から空間SCに排出される。そして、空間SC内の液体及び空気が、図12に黒塗りの矢印で示すように、キャップ71、第1チューブ75、一方向弁76を介して、ポンプ81に向けて流動し、ポンプ室PCに貯留される。
【0092】
前述の報知部23による報知から所定時間経過後、制御部16は、報知部23を制御することで、ポンプ部80の操作部87の-Y方向への移動を操作者に促すメッセージを、報知部23のモニターに表示する。報知部23による報知に従い、操作者が把持部88を-Y方向に移動させることで、ポンプ81の押し子83が-Y方向にスライドする。
【0093】
これにより、ポンプ室PCに貯留される液体及び空気が、図12に白抜きの矢印で示すように、第1チューブ75、第2チューブ77、一方向弁78を介して、受容部90に向けて流動し、収容室92に収集される。収容室92に流入する液体は、第1収集部96に吸収される。
【0094】
次に、制御部16は、支持部移動機構13M、及びキャリッジ移動機構19Mを制御することで、キャップ71を吐出部14Aのノズル面22Aに接触させる。これにより、吐出部14Aのノズル18が開口する空間SCが形成される。
【0095】
そして、空間SCが形成された状態で、制御部16は、ポンプ部80のポンプ81による空間SCの減圧を促す報知を行う。これにより、上述の吐出部14Bからの液体の排出と同様に、吐出部14Aのノズル18が開口する空間SCのポンプ81による減圧、及び空間SC内の液体及び空気のポンプ室PCへの貯留が行われる。
【0096】
そして、制御部16は、操作部87の-Y方向への移動を操作者に促す報知を、報知部23のモニターに表示する。これにより、ポンプ室PC内の液体及び空気の収容室92への収集が行われる。収容室92に流入する液体は、第1収集部96に吸収される。
【0097】
次に、制御部16は、支持部移動機構13Mを制御することで、支持部13を+Z方向に移動させ、キャップ71を吐出部14Aのノズル面22Aから離隔させる。そして、制御部16は、キャリッジ19を-X方向に移動することで、ノズル面22A,22Bと受容口93A,93BのX軸方向における位置を合わせる。そして、制御部16は、キャリッジ19を+Y方向に移動する。これにより、第2収集部97により、吐出部14A,14Bのノズル面22A,22Bの払拭が実行される。ノズル面22A,22Bの払拭により、吐出部14A,14Bのノズル面22A,22Bに付着する液体が、第2収集部97に収集される。
【0098】
次に、制御部16は、吐出部14A,14Bのノズル18が受容部90の受容口93A,93Bと対向する位置に、キャリッジ19を移動する。そして、制御部16は、吐出部14を制御することでフラッシングを行う。フラッシングにより吐出部14A,14Bのノズル18から受容口93A,93Bに向けて吐出される液体は、受容口93A,93Bを介して、収容室92内の第1収集部96に収集される。
【0099】
ポンプ81による空間SCの減圧を含む吐出部14及び供給流路への液体充填処理を実行することにより、空間SCの減圧を含まない液体充填処理と比較して、供給流路及び吐出部14内における空気の滞留が低減される。ステップS12の処理を終えると、制御部16は処理をステップS13に移行する。
【0100】
ステップS13において、制御部16は、メンテナンスユニットMAの取り外しを実行する。図7に示すように、制御部16は、支持部移動機構13Mを制御することで、支持部13を載置位置Psに移動する。次に、制御部16は、メンテナンスユニットMAを装着部SPから取り外すよう報知を行う。具体的には、制御部16は、報知部23を制御することで、装着部SPからのメンテナンスユニットMAの取り外しを操作者に促すメッセージを、報知部23のモニターに表示する。
【0101】
装着部SPからのメンテナンスユニットMAの取り外しが行われたことを、操作者による報知部23のタッチパネル等による入力により確認すると、制御部16は、支持部13を印刷位置Prに移動する。ステップS13の処理を終えると、制御部16は処理を終了する。
【0102】
以上述べたように、実施形態1に係るメンテナンスユニットMA、液体吐出装置11、及び液体吐出装置11の制御方法によれば、以下の効果を得ることができる。
【0103】
メンテナンスユニットMAは、ノズル18から媒体Mに液体を吐出することで印刷を行う吐出部14を備える液体吐出装置11に対して、印刷が行われないときに装着可能に設けられる。メンテナンスユニットMAは、ノズル18が開口する空間SCを形成可能なキャップ71と、空間SCを減圧可能なポンプ81と、を備える。
【0104】
これによれば、必要なときにだけメンテナンスユニットMAを装着し、それ以外のときは取り外すことができるため、液体吐出装置11の大型化を抑制できる。
【0105】
メンテナンスユニットMAは、ポンプ81による空間SCの減圧によってノズル18から排出された廃液としての液体を、空間SCを介して受容可能な受容部90を更に備える。これによれば、メンテナンスユニットMAは受容部90に廃液としての液体を収容することができるため、廃液処理時に廃液が漏れることを抑制できる。
【0106】
メンテナンスユニットMAは、ポンプ81を手動で駆動可能な操作部87を備える。これによれば、ポンプ81を駆動するモーター等の駆動源が不要なため、装着するだけでメンテナンスユニットMAを使用することができる。
【0107】
ポンプ81は、シリンジポンプである。これによれば、簡易な構成でメンテナンスユニットMAを構成することができる。
【0108】
液体吐出装置11は、吐出部14と、メンテナンスユニットMAが着脱可能に装着される装着部SPと、を備える。これによれば、必要なときにだけメンテナンスユニットMAを装着部SPに装着し、それ以外のときは取り外すことができるため、液体吐出装置11の大型化を抑制できる。
【0109】
液体吐出装置11は、吐出部14と対向する位置で媒体Mを支持可能な支持部13を更に備え、装着部SPは、支持部13に設けられる。これによれば、支持部13に装着部SPが設けられるので、吐出部14のメンテナンスがしやすい。
【0110】
液体吐出装置11は、媒体Mに対してノズル18から液体を吐出することで印刷を行う吐出部14を備える。さらに、液体吐出装置11は、ノズル18が開口する空間SCを形成可能なキャップ71と空間SCを減圧可能なポンプ81とを備えるメンテナンスユニットMAを備える。さらに、液体吐出装置11は、印刷が行われないときにメンテナンスユニットMAを装着可能な装着部SPを備える。そして、液体吐出装置11の制御方法は、メンテナンスユニットMAを装着部SPに装着するよう報知を行うことを含む。さらに、液体吐出装置11の制御方法は、ポンプ81による減圧を促す報知を行うことを含む。さらに、液体吐出装置11の制御方法は、メンテナンスユニットMAを装着部SPから取り外すよう報知を行うこと、を含む。
【0111】
これによれば、必要なときにメンテナンスユニットMAを装着し、ポンプ81による空間SCの減圧を行うことができるので、液体吐出装置11の大型化を抑制できる。
【0112】
2.実施形態2
図14に示すように、実施形態2に係る液体吐出装置11のメンテナンスユニットMAは、キャップ部70のキャップ71とポンプ部80のポンプ81との間に、中間室101を備える。中間室101は、第1チューブ75によってキャップ71と接続される液体室103と、気体室104と、液体室103と気体室104とを区画する区画壁102と、を備える。区画壁102は、気体の通過は許容し、液体の通過は規制する気液分離膜により構成される。
【0113】
また、本実施形態において、ポンプ部80のホルダー84は、中間室101を保持する。本実施形態のポンプ81は、中間室101の気体室104と第3チューブ105によって接続される。このため、本実施形態のポンプ81は、メンテナンスユニットMAが装着された支持部13が印刷位置Prに位置する状態において、筐体12の外側において、手動による駆動が可能である。尚、本実施形態のポンプ81の構成は、実施形態1のポンプ81(図11図12参照)と同じである。本実施形態の液体吐出装置11は、上述の構成が異なる以外は、実施形態1に係る液体吐出装置11と同じである。
【0114】
本実施形態においても、空間SCが形成された状態で、外筒82と押し子83との間に形成されるポンプ室PCの容積が増加する方向にポンプ81の押し子83をスライドすることで、空間SCが減圧される。これにより、供給流路及び吐出部14内の液体がノズル18から空間SCに排出される。そして、空間SC内の液体及び空気が、キャップ71、第1チューブ75、一方向弁76を介して、中間室101に向けて流動し、液体室103に貯留される。
【0115】
そして、ポンプ81の押し子83をポンプ室PCの容積が減少する方向にスライドすることで、液体室103に貯留される液体及び空気が、第1チューブ75、第2チューブ77、一方向弁78を介して、受容部90に向けて流動する。尚、本実施形態では、気体室104、第3チューブ105、及びポンプ81のポンプ室PCに、液体は流入しない。このため、例えば、ポンプ81の外筒82から押し子83が抜けた場合に、ポンプ室PCから液体が漏出する虞が低減できる。
【0116】
3.実施形態3
実施形態3に係る液体吐出装置11が備える装着部SPは、払拭ユニット17が取り外された保持部41である。このため、図15に示すように、本実施形態のメンテナンスユニットMAにおける受容部90の筐体91は、保持部41に対して着脱可能な態様となっている。そして、メンテナンスユニットMAにおけるキャップ部70、及びポンプ部80は、受容部90の筐体91に設けられる。このため、本実施形態では、メンテナンスユニットMAは、ベース部60を備えない。
【0117】
また、本実施形態におけるポンプ部80のポンプ81は、ポンプチューブ106を圧し潰しながらローラー107が軸中心に回転するチューブポンプである。また、メンテナンスユニットMAは、駆動部45に接続されることで、駆動部45の駆動力をポンプ81に伝達する駆動力伝達機構108を備える。これにより、メンテナンスユニットMAが保持部41に装着された状態で、制御部16が駆動部45を制御することで、ポンプ81を駆動することが可能になる。本実施形態の液体吐出装置11は、上述の構成が異なる以外は、実施形態1に係る液体吐出装置11と同じである。
【0118】
そして、例えば、メンテナンスユニットMAによる吐出部14への液体充填処理において、空間SCが形成された状態で、制御部16が駆動部45によりポンプ81を駆動することで、空間SCの減圧が実行される。これにより、供給流路及び吐出部14内の液体がノズル18から空間SCに排出される。そして、空間SC内の液体及び空気が、キャップ71、第1チューブ75、ポンプチューブ106を介して、収容室92に向けて流動し、収容室92に収集される。そして、収容室92に流入する液体は、第1収集部96に吸収される。
【0119】
また、本実施形態において、メンテナンスユニットMAは、キャップ71をZ軸方向に移動可能なキャップ昇降機構を備えてもよい。そして、駆動力伝達機構108が、駆動部45の駆動力をポンプ81及びキャップ昇降機構に伝達可能とする。この場合、制御部16が駆動部45及び駆動力伝達機構108を制御することで、キャップ71を吐出部14のノズル面22に接触させて空間SCを形成してもよい。
【0120】
以上述べたように、実施形態3に係るメンテナンスユニットMA、及び液体吐出装置11によれば、以下の効果を得ることができる。
【0121】
メンテナンスユニットMAが備えるポンプ81は、チューブポンプである。これによれば、簡易な構成でメンテナンスユニットMAを構成することができる。
【0122】
液体吐出装置11は、吐出部14と、ポンプ81がチューブポンプであるメンテナンスユニットMAが着脱可能に装着される装着部SPと、を備える。これによれば、必要なときにだけメンテナンスユニットMAを装着部SPに装着し、それ以外のときは取り外すことができるため、液体吐出装置11の大型化を抑制できる。
【0123】
液体吐出装置11は、吐出部14を払拭可能な払拭ユニット17が着脱可能に保持される保持部41を備え、装着部SPは、払拭ユニット17が取り外された保持部41である。これによれば、払拭ユニット17が保持される保持部41に装着部SPが設けられるので、吐出部14のメンテナンスがしやすい。
【0124】
保持部41は駆動部45を有し、払拭ユニット17は、液体を吸収可能な帯状の吸収部材25と、吸収部材25を繰り出す回転体26と、吸収部材25を巻き取る回転体27と、を有する。そして、保持部41に払拭ユニット17が装着された場合、駆動部45は少なくとも回転体27を駆動し、保持部41にメンテナンスユニットMAが装着された場合、駆動部45はポンプ81を駆動する。これによれば、払拭ユニット17を駆動する場合に使用する駆動部45を、メンテナンスユニットMAのポンプ81の駆動に利用することができる。
【0125】
本開示の上記実施形態に係るメンテナンスユニットMAは、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、本開示の上記実施形態に係る液体吐出装置11は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0126】
また、本開示の上記実施形態に係る液体吐出装置11の制御方法は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。また、上記実施形態および以下に説明する他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以下、他の実施形態について説明する。
【0127】
上記実施形態において、制御部16は、図13に示すフローチャートのステップS12における供給流路及び吐出部14内への液体の充填を、吸引クリーニングによって行ってもよい。この場合、吸引クリーニングは、メンテナンスユニットMAのキャップ部70、及びポンプ部80を用いて行われる。
【0128】
上記実施形態において、キャップ部70は、吐出部14Aのノズル面22Aに接触可能なキャップ71A(不図示)と、吐出部14Bのノズル面22Bに接触可能なキャップ71B(不図示)と、を有してもよい。そして、吐出部14Aのノズル18が開口する空間SCA(不図示)と吐出部14Bのノズル18が開口する空間SCB(不図示)とを、キャップ71A,71Bにより同時に形成可能としてもよい。これにより、ポンプ81を駆動することにより、空間SCA,SCBを同時に減圧することが可能となる。
【0129】
上記実施形態において、第2収集部97は、液体を吸収可能な吸収材によって構成されなくてもよい。例えば、図15に示すように、第2収集部97は、短冊状のゴム部材、エラストマー樹脂等により構成されてもよい。
【0130】
上記実施形態1におけるポンプ部80は、上記実施形態2におけるポンプ部80同様に、操作部87を備えなくてもよい。この場合、実施形態1及び実施形態2におけるポンプ部80は、ポンプ81の押し子83を駆動する駆動機構および駆動モーターを備えてもよい。
【0131】
上記実施形態1、上記実施形態2において、ポンプ部80のポンプ81は、シリンジポンプでなくてもよい。例えば、ポンプ81は、実施形態3と同じように、チューブポンプであってもよい。この場合、チューブポンプのローラー107を軸中心に回転させるハンドルをチューブポンプに設けてもよい。これにより、チューブポンプを手動で駆動することができる。この場合、チューブポンプに設けられるハンドルは、ポンプ81を手動で駆動可能な操作部の一例である。
【0132】
上記実施形態3において、メンテナンスユニットMAは、駆動力伝達機構108を備えなくてもよい。この場合、チューブポンプのローラー107を軸中心に回転させるハンドルをチューブポンプに設けてもよい。これにより、チューブポンプを手動で駆動することができる。この場合、チューブポンプに設けられるハンドルは、ポンプ81を手動で駆動可能な操作部の一例である。
【0133】
上記実施形態3において、ポンプ部80のポンプ81は、チューブポンプでなくてもよい。例えば、ポンプ81は、実施形態1、実施形態2と同じように、シリンジポンプであってもよい。また、この場合、メンテナンスユニットMAは、ポンプ81を手動で駆動する操作部87を備えてもよい。あるいは、メンテナンスユニットMAは、駆動部45の駆動力を駆動力伝達機構108によって伝達することで、ポンプ81の押し子83をスライドさせてもよい。これらによっても、液体吐出装置11は、払拭ユニット17が保持される保持部41に装着部SPが設けられるので、吐出部14のメンテナンスがしやすい。
【0134】
上記実施形態2において、ポンプ部80の中間室101は、気体室104を備えなくてもよい。この場合、中間室101は、区画壁102を備えなくてもよい。
【0135】
上記実施形態において、液体収容部21と吐出部14とを接続する供給流路に、供給流路を開閉可能な開閉弁を設けてもよい。そして、例えば、メンテナンスユニットMAによる吸引クリーニングを行う場合、空間SCをポンプ81により減圧する前に、制御部16は開閉弁を閉じる。そして、空間SCが減圧された状態で、制御部16は開閉弁を開く。これによれば、開閉弁を備えない場合と比較して、開閉弁の吐出部14側となる供給流路、及び吐出部14内に大きな負圧を印加することができる。よって、メンテナンスユニットMAによる吸引クリーニングにおいて、供給流路及び吐出部14内の気泡、異物等が、吐出部14のノズル18から排出されやすくなる。尚、開閉弁が手動で開閉される場合、制御部16が開閉弁の開閉を操作者に促す報知を報知部23のモニターに表示することで、開閉弁の開閉が行われる。
【0136】
上記実施形態1において、装着部SPは、支持部13に設けられなくてもよい。例えば、装着部SPは、筐体12の+X方向側の側壁と支持部13との間となる位置に設けられてもよい。
【0137】
上記実施形態において、制御部16は、液体吐出装置11が備える不図示の通信インターフェイス、通信ケーブルまたは無線通信回線等を通じて、外部機器と接続されてもよい。そして、制御部16は、外部機器によって、液体吐出装置11の状態の報知、操作者に対する液体吐出装置11の操作の要求等の報知を行ってもよい。例えば、吐出部14への液体充填処理において、制御部16は、メンテナンスユニットMAの装着部SPへの着脱、ポンプ81の駆動操作等を促すメッセージを、外部機器の表示部に表示して操作者に報知してもよい。
【0138】
上記実施形態において、メンテナンスユニットMAの受容部90は、メンテナンスユニットMAが装着部SPに装着されて使用されているとき、少なくともその一部が筐体12の外側に位置してもよい。例えば、図15に示すように、受容部90は、受容部90のうちメンテナンスユニットMAの装着方向手前側となる+Y方向側の端が、装着部SPである保持部41から外に突出していてもよい。これによれば、受容部90の収容室92を大きくすることで、収容室92に受容可能な液体の量を増加させることができる。
【0139】
上記実施形態において、メンテナンスユニットMAの受容部90は、メンテナンスユニットMAに対して、交換可能に設けられてもよい。
【0140】
上記実施形態において、メンテナンスユニットMAは、吐出部14のメンテナンス処理を1回だけ実行可能であってもよいし、複数回実行可能であってもよい。また、吐出部14のメンテナンス処理を複数回実行可能である場合、メンテナンスユニットMAは、例えば、受容部90に受容可能な液体の量を記憶可能な記憶素子を備えてもよい。この場合、液体吐出装置11は、記憶素子に記憶される内容を読取可能な読取部を備えてもよい。そして、制御部16は、読取部に読取られる記憶素子の記憶内容に基づいて、メンテナンスユニットMAによる吐出部14のメンテナンス処理の実行が可能か否かを判断してもよい。そして、メンテナンスユニットMAによる吐出部14のメンテナンス処理の実行が不可能な場合、装着部SPに装着されたメンテナンスユニットMAによる吐出部14のメンテナンス処理の実行が不可能であることを報知してもよい。
【0141】
上記実施形態において、吐出部14のメンテナンス処理に使用できなくなったメンテナンスユニットMAに、メンテナンスユニットMAが使用できなくなった旨の印刷を行ってもよい。例えば、メンテナンスユニットMAが受容部90に液体を受容できなくなった場合、液体吐出装置11は、筐体91の上面91Tに「Full」等の印刷を吐出部14により行ってもよい。また、この場合、印刷に使用されるインクは、吐出部14が吐出するインクのうち印刷が視認しやすい色のインクが望ましく、上面91Tが黒色である場合、ホワイトやイエローのインクが望ましい。
【0142】
上記実施形態において、吐出部14が吐出する液体がUVインクである場合、吐出部14のメンテナンス処理に使用できなくなったメンテナンスユニットMAに向けて、処理部15から紫外線を照射してもよい。この場合、メンテナンスユニットMAのうち、受容口93、第2収集部97、キャップ71等に向けて、処理部15から紫外線を照射してもよい。これにより、装着部SPから取り外されたメンテナンスユニットMAによる外部への液体の付着や漏出を抑制できる。
【0143】
上記実施形態3を除く他の実施形態において、メンテナンスユニットMAの装着部SPへの着脱は、支持部13の載置位置Psにおいて行われなくてもよい。例えば、メンテナンスユニットMAの装着部SPへの着脱は、支持部13の印刷位置Prにおいて行われてもよい。この場合、液体吐出装置11は、筐体12のうち印刷位置Prに位置する支持部13の上方となる位置に、支持部13の上方を開閉可能な開閉カバーを備えてもよい。これにより、筐体12の開閉カバーを開くことで、印刷位置Prに位置する支持部13に対して、メンテナンスユニットMAを着脱することが可能となる。
【0144】
上記実施形態3を除く他の実施形態において、メンテナンスユニットMAの受容部90は、受容口93、及び第2収集部97を備えなくてもよい。この場合、吐出部14のメンテナンスにおいて実行される吐出部14のワイピング、フラッシング、及び加圧クリーニングによって発生する廃液としての液体の収集は、払拭ユニット17により行われる。また、この場合、受容部90は、ベース部60に取り付けられなくてもよい。そして、メンテナンスユニットMAが装着部SPに装着されて使用されているとき、受容部90は、第2チューブ77が接続された状態で、筐体12の外側に位置してもよい。
【0145】
上記実施形態3を除く他の実施形態において、メンテナンスユニットMAは、受容部90を備えなくてもよい。この場合、吐出部14のメンテナンスにおいて実行される吐出部14のワイピング、フラッシング、及び加圧クリーニングによって発生する廃液としての液体の収集は、払拭ユニット17により行われる。また、この場合、空間SCの減圧によって、空間SCに排出される供給流路及び吐出部14内の液体及び空気は、実施形態1であればポンプ室PCに収集され、実施形態2であれば液体室103に収集される。また、実施形態1のポンプ室PCに収集された液体、あるいは、実施形態2の液体室103に収集された液体は、メンテナンスユニットMAが装着部SPから取り外された後に廃棄される。
【符号の説明】
【0146】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…支持部、13M…支持部移動機構、14,14A,14B…吐出部、15…処理部、16…制御部、17…払拭ユニット、18…ノズル、19…キャリッジ、19M…キャリッジ移動機構、19S…媒体検出センサー、21…液体収容部、22,22A,22B…ノズル面、23…報知部、24…ケース、25…吸収部材、26,27…回転体、28…押圧部、31…対向部分、32…第1面、33…第2面、37,38,39…ガイドローラー、41…保持部、42…テンションローラー、45…駆動部、53…支持面、59…位置決め部、59A,59B…位置決め穴、60…ベース部、63…位置合わせ部、63A,63B…位置合わせ突起、64,64A,64B,65,66…被検出部、70…キャップ部、71,71A,71B…キャップ、72…凹部、73…キャップホルダー、75…第1チューブ、76,78…一方向弁、77…第2チューブ、80…ポンプ部、81…ポンプ、82…外筒、83…押し子、84…ホルダー、85,86…ガイドスリット、87…操作部、88…把持部、89…スライダー、90…受容部、91…筐体、91T…上面、92…収容室、93,93A,93B…受容口、94A,94B…取付け部、96…第1収集部、97…第2収集部、101…中間室、102…区画壁、103…液体室、104…気体室、105…第3チューブ、106…ポンプチューブ、107…ローラー、108…駆動力伝達機構、M…媒体、MA…メンテナンスユニット、PC…ポンプ室、Pr…印刷位置、Ps…載置位置、S11,S12,S13…ステップ、SC…空間、SP…装着部。
図1
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