(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155312
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】トレー容器用ブランクシート及びトレー容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/24 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B65D5/24 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069940
(22)【出願日】2023-04-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 第57回スーパーマーケット・トレードショー2023 開催日:令和5年2月15日~令和5年2月17日 [刊行物等] https://staatpitch.nikkei.co.jp/archives/04/final/
(71)【出願人】
【識別番号】591275296
【氏名又は名称】株式会社シンメイ
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110003890
【氏名又は名称】弁理士法人SIPPs
(72)【発明者】
【氏名】竹田 規宏
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA07
3E060AB15
3E060BA22
3E060BC04
3E060CG12
3E060DA25
3E060DA26
3E060EA12
3E060EA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】比較的簡単に製造することができ、液漏れが発生しにくいトレー容器用ブランクシート及びトレー容器を提供する。
【解決手段】トレー容器用ブランクシートは、ヒートシール性樹脂層を有する紙製基材で構成され、底面板4、底面板に連接している第1側面板11及び第2側面板21、第1側面板及び第2側面板にそれぞれ連接している第1フランジ板12及び第2フランジ板22、及び第1側面板及び第2側面板にそれぞれ連接し、かつ互いに連接している第1接合板及び第2接合板を有し、第1フランジ板及び第2フランジ板は、第1側面板及び第2側面板と連接している下辺22a,下辺との間でフランジの幅を形成する上辺22b、及び下辺と上辺との間の側辺12cとを有しており、第1フランジ板を上になるように第2フランジ板に重ねてトレー容器としたときに、第1フランジ板の下辺の端部12a’は、第2フランジ板の下辺を超えて上辺には到達しない。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール性樹脂層を有する紙製基材で構成されたトレー容器用ブランクシートであって、
底面板、
底面板に連接している第1側面板及び第2側面板、
第1側面板及び第2側面板にそれぞれ連接している第1フランジ板及び第2フランジ板、及び
第1側面板及び第2側面板にそれぞれ連接し、かつ互いに連接している第1接合板及び第2接合板
を少なくとも有しており、
第1フランジ板及び第2フランジ板は、第1側面板及び第2側面板と連接している下辺、下辺との間でフランジの幅を形成する上辺、及び下辺と上辺との間の側辺とを有しており、
第1フランジ板を上になるように第2フランジ板に重ねてトレー容器としたときに、第1フランジ板の下辺の端部は、第2フランジ板の下辺を超えて上辺には到達しない位置になる、トレー容器用ブランクシート。
【請求項2】
トレー容器としたときに、第1フランジ板の上辺の端部は、第2フランジ板の上辺には到達しない位置になる、請求項1に記載のトレー容器用ブランクシート。
【請求項3】
第1フランジ板の上辺は、第1フランジ板の下辺よりも長い、請求項2に記載のトレー容器用ブランクシート。
【請求項4】
トレー容器としたときに、第1側面板と第2側面板とが接する境界線は、第1フランジ板の下辺と接しており、
第1フランジ板の下辺は、第1フランジ板の側辺と接しており、かつ
前記境界線の延長線が、第1フランジ板の側辺の延長線と交差しない、
請求項1に記載のブランクシート。
【請求項5】
紙製基材が120g/m2~300g/m2の坪量を有している、請求項1に記載のブランクシート。
【請求項6】
紙製基材が140g/m2~180g/m2の坪量を有しており、底面板の面積が、100cm2~500cm2である、請求項5に記載のブランクシート。
【請求項7】
第1フランジ板及び第2フランジ板の平均の幅が、それぞれ5mm~20mmである、請求項6に記載のブランクシート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のブランクシートから形成される、トレー容器。
【請求項9】
食材を含み、フィルムによってトップシールされている、請求項8に記載の食材入りトレー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレー容器用ブランクシート及びトレー容器に関する。特に、本発明は、フィルムでトップシールされるトレー容器用ブランクシート及びトレー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
食品等を収容するトレー容器としては、従来から発泡スチロール等のプラスチック材料が使用されている。しかしながら、二酸化炭素排出量削減等の観点から、プラスチック材料ではなく、植物由来の材料である紙製容器を用いることが求められている。
【0003】
そのような紙製容器として、例えば
図6及び
図7に記載の容器が知られている。この紙製容器は、ヒートシール性樹脂層を両面に有する紙製の一枚のブランクシート100から形成される。ブランクシート100の第1側面板11及び第2側面板21を起立させて、それらの間にある第1接合板31及び第2接合板32を、容器の外側に織り込んで、第1側面板11の裏側にヒートシールして接着させる。また、第1側面板11及び第2側面板21にそれぞれ連接している第1フランジ板12及び第2フランジ板22を、第1フランジ板12が上に重なるようにして、ヒートシールして接着させる。これを四隅で行うことによって、容器が形成される。
【0004】
このような紙製容器は、開口部のみをトップシールすれば、容器全体をラップフィルムで覆う必要がないため、ラップフィルム量の削減が可能である。また、このような紙製容器に入れられた食材は、消費者が、自宅に持ち帰った後に、消費者が
図7に記載のような容器の状態から
図6に記載のようなブランクシートの状態に容易に解体することができ、ブランクシートをまな板のようにしてそのまま利用できるという利点もある。
【0005】
しかし、このような紙製容器には、消費者が、スーパーマーケット等でその食材入り容器を購入してから自宅までに運ぶ間に、紙製容器から液が漏れやすいという課題がある。具体的には、紙製容器で肉、魚等の食材を入れて販売する場合、ラップフィルムで容器の開口をシールして食材を密封するが、組み立てた紙製容器の隙間及び/又は紙製容器とラップフィルムとの隙間から、液体が漏れることがある。
【0006】
それに対して、特許文献1では、2つの側面板の上部の交点において小突起を設けることによって、液が漏れやすい部分を閉じた構造を有する紙製容器を開示している。
【0007】
また、特許文献2では、2つのフランジ板の重なる部分の段差から液が漏れることを防止するために、2つのフランジ板の段差をなくした構造の紙製容器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-255546号公報
【特許文献2】特開2020-152417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
紙製容器は、上記のような利点があるものの、液漏れの課題及びコストの課題があり、スーパーマーケット等で販売される安価なトレーのような食品収納容器としては、殆ど普及していない。
【0010】
特許文献1に記載の紙製容器は、フィルムでトップシールされるトレー容器に関するものではなく、フィルムでトップシールしようとすると、2つのフランジ板の段差から液漏れが生じると考えられる。
【0011】
特許文献2に記載の紙製容器は、2つのフランジ板の段差がないために液漏れは生じにくいが、段差をないように組み立てるには機械化が困難であるため、コストが掛かると考えられる。
【0012】
そこで、本発明は、比較的簡単に製造することができ、液漏れが発生しにくいトレー容器用ブランクシート及びトレー容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、以下の態様を有する本発明により、上記課題を解決できることを見出した。
《態様1》
ヒートシール性樹脂層を有する紙製基材で構成されたトレー容器用ブランクシートであって、
底面板、
底面板に連接している第1側面板及び第2側面板、
第1側面板及び第2側面板にそれぞれ連接している第1フランジ板及び第2フランジ板、及び
第1側面板及び第2側面板にそれぞれ連接し、かつ互いに連接している第1接合板及び第2接合板
を少なくとも有しており、
第1フランジ板及び第2フランジ板は、第1側面板及び第2側面板と連接している下辺、下辺との間でフランジの幅を形成する上辺、及び下辺と上辺との間の側辺とを有しており、
第1フランジ板を上になるように第2フランジ板に重ねてトレー容器としたときに、第1フランジ板の下辺の端部は、第2フランジ板の下辺を超えて上辺には到達しない位置になる、トレー容器用ブランクシート。
《態様2》
トレー容器としたときに、第1フランジ板の上辺の端部は、第2フランジ板の上辺には到達しない位置になる、態様1に記載のトレー容器用ブランクシート。
《態様3》
第1フランジ板の上辺は、第1フランジ板の下辺よりも長い、態様2に記載のトレー容器用ブランクシート。
《態様4》
トレー容器としたときに、第1側面板と第2側面板とが接する境界線は、第1フランジ板の下辺と接しており、
第1フランジ板の下辺は、第1フランジ板の側辺と接しており、かつ
前記境界線の延長線が、第1フランジ板の側辺の延長線と交差しない、
態様1に記載のブランクシート。
《態様5》
紙製基材が120g/m2~300g/m2の坪量を有している、態様1に記載のブランクシート。
《態様6》
紙製基材が140g/m2~180g/m2の坪量を有しており、底面板の面積が、100cm2~500cm2である、態様5に記載のブランクシート。
《態様7》
第1フランジ板及び第2フランジ板の平均の幅が、それぞれ5mm~20mmである、態様6に記載のブランクシート。
《態様8》
態様1~7のいずれか一項に記載のブランクシートから形成される、トレー容器。
《態様9》
食材を含み、フィルムによってトップシールされている、態様8に記載の食材入りトレー容器。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトレー容器用ブランクシートによれば、比較的簡単に製造することができ、液漏れが極めて発生しにくいトレー容器を提供することができる。また、市販の小型の装置を用いて、容器の開口を簡単にトップシールすることができる。その結果、スーパーマーケットにトップシール用の装置を導入すれば、非常に低コストで、トップシールされた食材入りトレー容器を提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明のトレー容器用ブランクシートを表側から見た場合の1つの実施形態を示している。
【
図2】
図2は、本発明のトレー容器の1つの実施形態を容器表側から示している。
【
図3】
図3は、本発明のトレー容器の1つの実施形態を容器裏側から示している。
【
図4】
図4は、本発明のトレー容器の1つの実施形態における、第1フランジ板及び第2フランジ板の構成を拡大して示している。
【
図5】
図5は、本発明のトレー容器の1つの実施形態における、第1フランジ板及び第2フランジ板の重なり部分を示している。
【
図6】
図6は、従来技術のトレー容器用ブランクシートの典型例を示している。
【
図7】
図7は、従来技術のトレー容器の典型例における、第1フランジ板及び第2フランジ板の重なり部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を以下の実施形態を例として具体的に説明をするが、本発明はこれによって限定されるものではない。トレー容器用ブランクシート、トレー容器及びそれらの製造方法について、特に詳細な言及がない場合には、これらについては当業者であれば周知の手段を用いることができる。各実施形態は、当業者が通常の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、各実施形態について特記していない構成については、他の実施形態と同じ構成又はその実施形態に適した構成を有することができる。
【0017】
本発明のトレー容器用ブランクシートは、ヒートシール性樹脂層を有する一枚の紙製基材で構成されている。
【0018】
紙製基材の素材は、一般的に用いられている素材であれば特に限定されず、植物由来のパルプを主成分とする紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。具体的には、クラフト紙、上質紙、板紙、紙器用原紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、ライナ紙、塗工紙、片艶紙、グラシン紙、グラファン紙等を挙げることができる。
【0019】
紙製基材は、ヒートシール性樹脂層を有しており、これにより防水性とトレー容器に組み立てた時の接着性を付与することができる。ヒートシール性樹脂層は、例えば、熱可塑性樹脂を溶融押出し法によって紙製基材の片面又は両面に塗布して形成される。ヒートシール性樹脂層の樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が典型的には用いられるが、これに限定されない。ポリプロピレン系樹脂は、適切なヒートシール性及び電子レンジの加熱に耐える耐熱性の観点から好ましい。
【0020】
ヒートシール性樹脂層が形成されていない状態で、紙製基材の秤量は、組み立てられるトレー容器の大きさにもよるが、トレー容器の強度を保つ観点、及び第1フランジ板と第2フランジ板との重なり部分の段差の大きさを小さくする観点から、100g/m2以上、120g/m2以上、140g/m2以上、150g/m2以上、又は160g/m2以上であってもよく、又は400g/m2以下、350g/m2以下、300g/m2以下、250g/m2以下、220g/m2以下、200g/m2以下、180g/m2以下、又は170g/m2以下であってもよい。
【0021】
ヒートシール性樹脂層の厚さは、適切な防水性及びヒートシール性を付与する観点から、5μm以上、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってもよく、又は50μm以下、40μm以下、30μm以下、25μm以下、又は20μm以下であってもよい。紙の裏表で、ヒートシール性樹脂層の厚みを変更してもよい。
【0022】
紙製基材の秤量の大きさは、組み立てられるトレー容器の大きさに応じて変更することができる。トレー容器が大きければ大きいほど、紙の強度は大きくする必要があり、また第1フランジ板と第2フランジ板との重なり部分の段差が大きくてもヒートシールするにあたって問題が生じにくい。
【0023】
例えば、本発明のブランクシートによれば、底面板の面積が100cm2~500cm2の範囲の場合には、紙製基材の秤量が140g/m2~180g/m2(特に150g/m2~170g/m2)であれば、トレー容器に組み立てられてフィルムでトップシールされた状態において、強い振動を長時間与えても内容物の液漏れが実質的に生じないことがわかった。なお、この場合には、第1及び第2フランジ板の平均の幅が、5mm~12mmであることが好ましい。
【0024】
図1は、本発明のトレー容器用ブランクシートを表側から見た場合の1つの実施形態を示している。
図2及び
図3は、それぞれ本発明のトレー容器の1つの実施形態を容器表側及び容器裏側から示している。
図4は、本発明のトレー容器の1つの実施形態における、第1フランジ板及び第2フランジ板の構成を拡大して示している。
図5は、本発明のトレー容器の1つの実施形態における、第1フランジ板及び第2フランジ板の重なり部分を示している。なお、本明細書において、「表」とは、トレー容器に内容物を入れる内側を構成する側をいい、「裏」とは、トレー容器の外側を構成する側をいう。
【0025】
図1のトレー容器用ブランクシート100は、底面板4、底面板4に連接している第1側面板11及び第2側面板21、第1側面板11及び第2側面板21にそれぞれ連接している第1フランジ板12及び第2フランジ板22、及び第1側面板11及び第2側面板12にそれぞれ連接し、かつ互いに連接している第1接合板31及び第2接合板32を少なくとも有している。
【0026】
図1のトレー容器用ブランクシート100は、底面板4の四隅が実質的に直角である四角形形状を有するが、底面板4は、本発明の有利な効果が得られる範囲で、このような四角形形状に限定されない。底面板4は、トレー容器の底面を構成し、その四辺において側面板と連接している。
図2に示すように、4つの側面板は、底面板4から山折りによって起立して、トレー容器の側面を構成する。
【0027】
底面板4の面積は、30cm2以上、50cm2以上、100cm2以上、150cm2以上、200cm2以上、250cm2以上、又は300cm2以上であってもよく、1000cm2以下、800cm2以下、600cm2以下、500cm2以下、400cm2以下、300cm2以下、又は200cm2以下であってもよい。例えば、底面板4の面積は、50cm2以上300cm2以下とすることができる。
【0028】
容器とした場合の、底面板4からフランジ板12,22までの容器の高さは、10mm以上、15mm以上、20mm以上、25mm以上、又は30mm以上であってもよく、100mm以下、70mm以下、50mm以下、400mm以下、又は30mm以下であってもよい。例えば、容器の高さは、20mm以上50mm以下とすることができる。
【0029】
図1及び
図2の実施形態において、第1側面板11及び第2側面板21は、それぞれ同一の形状のものが2つずつ対向して存在している。また、第1接合板31及び第2接合板32は、第1側面板11及び第2側面板21の間に、同一の形状のものがそれぞれ4つずつ存在している。この実施形態は例示であり、本発明においては、本発明の効果が得られる範囲で、特許請求の範囲に記載された形状の第1側面板11、第2側面板21等が1つずつ存在していればよく、5つ以上存在していてもよい。
【0030】
第1接合板31及び第2接合板32は、トレー容器とされた場合に、織り込まれる部分であり、例えば
図3に示すように、トレー容器の外側に折り込まれる。ただし、第1接合板31及び第2接合板32は、トレー容器の内側に折り込まれてもよい。第1接合板31及び第2接合板32が、
図3に示すようにトレー容器の外側に折り込まれる場合には、
図1のブランクシート100において、第1接合板31は、第1側面板11から谷折りで折られ、第2接合板32は、第2側面板21から山折りで折られる。また、第2接合板32は、第1接合板31から山折りで折られる。
【0031】
図3において、第1接合板31及び第2接合板32は、トレー容器の外側に折り込まれており、第1接合板31は、ヒートシールされることで、第1側面板11の容器外側の面に接着される。第1接合板31の第1側面板11と接着しない側の面は、第2接合板32とヒートシールされる。ここで、
図1に示すように、容器の高さ(深さ)方向において、第1接合板31よりも第2接合板32の高さを大きくすることによって、第2接合板32の、第1接合板31とヒートシールされない部分を、第1側面板11の容器外側の面に接着することができる。
【0032】
第1フランジ板12及び第2フランジ板22は、それぞれ第1側面板11及び第2側面板12と連接しており、第1側面板11及び第2側面板12から谷折りで折られて、トレー容器のフランジ部を構成する。この実施形態において、これらのフランジ板は、容器に形成されたときに、1枚の紙でフランジが構成されるようになっている。特許文献2に記載のように、第1フランジ板12及び第2フランジ板22の外側にさらに折り返し板を連接させてフランジ板を重ねることも可能であるが、この場合、フランジ部分の厚みが大きくなってしまい、フランジ板を重ねた部分で、段差が大きくなってしまう。この実施形態に示すように、第1フランジ板12及び第2フランジ板22を1枚の紙で構成することによって、これらのフランジ板を重ねた部分の段差を小さくすることができる。
【0033】
第1フランジ板12及び第2フランジ板22の平均の幅は、形成するトレー容器の大きさにもよるが、それぞれ、5mm以上、8mm以上、10mm以上、又は15mm以上であってもよく、30mm以下、20mm以下、15mm以下、10mm以下、12mm以下、又は8mm以下であってもよい。例えば、第1フランジ板12及び第2フランジ板22の平均の幅は、それぞれ、5mm以上15mm以下とすることができる。
【0034】
トレー容器を大きくする場合には、紙の秤量を大きくして、強度を保つ必要があるが、紙の秤量を大きくすると、第1フランジ板12と第2フランジ板22との重なり部分の段差の大きさが大きくなる。一方で、フランジ板の幅を大きくするとフィルムによるトップシールの面積が大きくなるため、重なり部分の段差が大きくなっても、内部の液が漏れにくくなる。
【0035】
図4に示すように、第1フランジ板12は、略長方形の形状を有することができ、第1側面板11と連接している下辺12a、下辺12aとの間でフランジの幅を形成する上辺12b、及び下辺12aと上辺12bとの間の側辺12cとを有している。第2フランジ板22も同様にして、下辺22a、上辺22b、及び側辺22cを有している。
【0036】
第1フランジ板12の下辺12aは、第1側面板11と連接している連接部分12Aと、それらに連接していない非連接部分12Bとを有している。第2フランジ板22も同様にして、連接部分22Aと、非連接部分22Bとを有している。第1フランジ板12の非連接部分12Bが上になるように、第2フランジ板22の非連接部分22Bと重ね合わされて、第1フランジ板12の非連接部分12Bの裏面と、第2フランジ板22の非連接部分22Bの表面とがヒートシールされて接着されている。このようにして、第1フランジ板12を上になるように第2フランジ板22に重ねることで、ブランクシート100をトレー容器に形成することができる。
【0037】
図5に示すように、トレー容器としたときには、第1フランジ板12の下辺12aの端部12a’は、第2フランジ板22の下辺22aを超えて上辺22bには到達しない位置になる。また、第1フランジ板12の上辺12bの端部12b’は、第2フランジ板22の下辺22aを超える位置にすることができる。第1フランジ板12の下辺12aの端部12a’及び上辺12bの端部12b’は、第2フランジ板22の非連接部分2B上にあることが好ましい。
【0038】
トレー容器としたときに、第1側面板11と第2側面板12との境界線33が、第1接合板31及び第2接合板32が折り込まれて形成される。境界線33は、第1フランジ板12の下辺12aと、第2フランジ板22の下辺22aとの交点Hを持つことができ、この交点Hは、トレー容器の開口部の角部となる。
【0039】
ここで、第1フランジ板12の下辺12aの端部12a’と上辺12bの端部12b’との間で構成される側辺12cは、境界線33と同一線上にはなっていない。境界線33は、第1フランジ板12の下辺12aと角を形成して接触し、下辺12aは側辺12cと角を形成して接触している。すなわち、境界線33の延長線は、第1フランジ板12の側辺12cの延長線とは交差していない。
【0040】
本発明者らの実験によれば、食材を入れてトップシールされたトレー容器の内部の液体は、境界線33から容器上部に伝わり、交点Hに達するが、そこから第1フランジ板12の下辺12aの端部12a’、側辺12c、そして上辺12bの端部12b’までには、殆ど到達することがないことがわかった。それに対して、
図7に記載のような従来技術の容器の場合、内部の液体は、境界線33から交点Hに達した後に、第1フランジ板12の下辺12aを伝って、容器外部に容易に漏出することが分かった。
【0041】
トレー容器としたときに、第1フランジ板12の上辺12bの端部12b’の位置は、第2フランジ板22の非連接部分22B上にあることが好ましく、例えば第2フランジ板22の上辺22bには到達しない位置にあることが望ましい。また、第1フランジ板12の上辺12bは、その下辺12aよりも長くすることができる。これにより、
図5に示すように、下辺12aの端部12a’から、上辺12bの端部12b’に向かって、下辺12a及び上辺12bに対して斜め方向に側辺12cが延びる。ただし、第1フランジ板12及び第2フランジ板22が接着可能な領域を確保できる範囲で、第1フランジ板12の下辺12aが、上辺12bよりも長くてもよい。
【0042】
第2フランジ板22は、略長方形の形状を有することができ、その連接部分22Aがフランジとして有用な形状で、その非連接部分22Bが、第1フランジ板12の非連接部分12Bを接着できれば特に限定されない。
【0043】
図4に示すように、第2フランジ板22の下辺22a及び上辺22bは実質的に同じ長さであることができる。その下辺22a及び/又は上辺22bの長さは、第2側面板12との連接部分22Aの長さ、及び連接部分22Aの両側にある2つの非連接部分22Bの長さから構成される。非連接部分22Bの長さは、第1フランジ板12のフランジの幅の長さと実質的に同じであることが好ましい。これにより、トレー容器としたときに、第2フランジ板22の下辺22a及び/又は上辺22bの端部が、第1フランジ板12の上辺12bに実質的に重なることになる。すなわち、第2フランジ板22の第1フランジ板12との重なる部分が、第1フランジ板12の幅を超えることがない。そうすると、例えば
図2に示すように、トレー容器のフランジ全体の形状が、フランジ板の下辺で構成される開口の四角形と、フランジ板の上辺で構成されるフランジ外周の四角形とで構成され、意匠性に優れたトレー容器を得ることができる。
【0044】
第2フランジ板22の側辺22cの形状は特に限定されず、
図4に示すように円弧状であってもよく、直線状であってもよく、S字状の不規則形状等であってもよい。
【0045】
本発明を以下の実施例でさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【実施例0046】
秤量160g/cm
2の
図1のようなブランクシートを用意して、底面板の寸法が縦162mmで横102mmであり、底面板からフランジ板までの容器の高さが30mmの実施例1のトレー容器を形成した。この容器のフランジ板の幅は、10mmであった。このブランクシートは、表面に30g/m
2及び裏面20g/m
2にポリプロピレンがコーティングされていた。
【0047】
同じ秤量及びコーティングを有する
図6に記載のようなブランクシートを用意して、同じ大きさの比較例1のトレー容器を形成した。
【0048】
これらの容器に水分を含む食材を入れて、市販の小型トップシール装置(株式会社寺岡精工、SWS-5600e)を用いて、その開口部に対して市販のポリエチレンフィルムでトップシールした。
【0049】
これらのトップシールされた食材入りトレー容器を、手動で何回も振ったところ、比較例1のトレー容器では水分が漏れ出たのに対して、実施例1のトレー容器では全く水分が漏れ出なかった。
【0050】
また、秤量200g/cm2とした以外は、実施例1及び比較例1と同じ、実施例2及び比較例2のトレー容器を作製して同様の実験を行ったところ、実施例2のトレー容器では、わずかに水分が漏れ出した。比較例2のトレー容器は、比較例1のトレー容器よりも多くの水分が漏れ出した。