(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155313
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】アラーム制御システム、アラーム制御方法、およびアラーム制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61B5/00 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069941
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】寺井 久珠
(72)【発明者】
【氏名】関口 優太
(72)【発明者】
【氏名】清水 大輔
(72)【発明者】
【氏名】奥 知子
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA07
4C117XB04
4C117XC02
4C117XE13
4C117XE17
4C117XE24
4C117XE37
4C117XJ45
4C117XJ46
4C117XJ47
4C117XJ48
(57)【要約】
【課題】対処不要なアラームを削減しつつ、適切にアラーム報知が可能なアラーム制御システムを提供する。
【解決手段】生体情報の計測に関するメッセージ信号と、生体情報の出力値とを取得する取得部と、計測に関するメッセージ信号に基づいて、第1アラーム信号を生成する第1アラーム信号生成部と、計測に関するメッセージ信号、および、前記生体情報の出力値に基づいて算出した、計測値が無効の期間の少なくともいずれか一方に基づいて、第2アラーム信号を生成する第2アラーム信号生成部と、第1アラーム信号と第2アラーム信号とを出力させる制御をする出力制御部と、を含むアラーム制御システム。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報の計測に関するメッセージ信号と、前記生体情報の出力値とを取得する取得部と、
前記計測に関するメッセージ信号に基づいて、第1アラーム信号を生成する第1アラーム信号生成部と、
前記計測に関するメッセージ信号、および、前記生体情報の出力値に基づいて算出した、計測値が無効の期間の少なくともいずれか一方に基づいて、第2アラーム信号を生成する第2アラーム信号生成部と、
前記第1アラーム信号と前記第2アラーム信号とを出力させる制御をする出力制御部と、
を有するアラーム制御システム。
【請求項2】
前記第2アラーム信号生成部は、前記計測に関するメッセージの発生頻度が所定の第1閾値以上という第1条件、および前記計測値が無効の期間が所定の第2閾値以上という第2条件の少なくともいずれかの条件を満たすときに、前記第2アラーム信号におけるアラームを開始し、前記第1条件および前記第2条件のいずれも満たさないときは、前記第2アラーム信号におけるアラームを開始しない、請求項1に記載のアラーム制御システム。
【請求項3】
前記第2アラーム信号生成部は、前記第2アラーム信号においてアラームを開始したときは、前記計測値の無効の期間以外の期間である、前記計測値の有効の期間が所定の第3閾値以上継続するまで、前記第2アラーム信号におけるアラームを継続する、請求項1に記載のアラーム制御システム。
【請求項4】
前記第2アラーム信号生成部は、前記第2アラーム信号においてアラームを開始した後、前記計測値の有効の期間が前記第3閾値以上継続したときに、前記第2アラーム信号におけるアラームを終了する、請求項3に記載のアラーム制御システム。
【請求項5】
前記計測に関するメッセージ信号は、前記生体情報を計測するためのセンサの被計測者への装着に関するセンサ確認のメッセージ信号である、請求項1に記載のアラーム制御システム。
【請求項6】
前記第1アラーム信号生成部は、前記電極確認のメッセージ信号に対し、前記電極確認の発生から、前記電極確認を所定時間マスクすることにより、前記第1アラーム信号を生成する、請求項5に記載のアラーム制御システム。
【請求項7】
前記出力制御部は、前記第1アラーム信号と前記第2アラーム信号とを、前記第1アラーム信号と前記第2アラーム信号とをマージした統合アラーム信号として出力させる制御をする、請求項1に記載のアラーム制御システム。
【請求項8】
前記計測に関するメッセージ信号を出力させるための第1モードと、前記統合アラーム信号を出力させるための第2モードとを切り換える切換部を有し、
前記出力制御部は、前記切換部により前記第1モードに切り換えられたときは、前記計測に関するメッセージ信号を出力させる制御をし、前記第2モードに切り換えられたときは、前記統合アラーム信号を出力させる制御をする、請求項7に記載のアラーム制御システム。
【請求項9】
前記生体情報は心拍数、心電図、SpO2、呼吸数、ST値、VPC数、脈拍数、CCO値、または容体を示すスコアである、請求項1に記載のアラーム制御システム。
【請求項10】
前記第1アラーム信号および前記第2アラーム信号は、前記電極確認のアラーム信号である、請求項5に記載のアラーム制御システム。
【請求項11】
前記計測に関するメッセージ信号は、電極確認のメッセージ信号であり、前記生体情報の出力値は、心拍数の出力値である、請求項1に記載のアラーム制御システム。
【請求項12】
アラーム制御システムにより実行される方法であって、
生体情報の計測に関するメッセージ信号と、前記生体情報の出力値とを取得する取得ステップと、
前記計測に関するメッセージ信号に基づいて、第1アラーム信号を生成する第1アラーム信号生成ステップと、
前記計測に関するメッセージ信号、および、前記生体情報の出力値に基づいて算出した、前記計測値が無効の期間の少なくともいずれか一方に基づいて、第2アラーム信号を生成する第2アラーム信号生成ステップと、
前記第1アラーム信号と前記第2アラーム信号とを出力させる制御をする出力制御ステップと、
を有するアラーム制御方法。
【請求項13】
生体情報の計測に関するメッセージ信号と、前記生体情報の出力値とを取得する取得ステップと、
前記計測に関するメッセージ信号に基づいて、第1アラーム信号を生成する第1アラーム信号生成ステップと、
前記計測に関するメッセージ信号、および、前記生体情報の出力値に基づいて算出した、前記計測値が無効の期間の少なくともいずれか一方に基づいて、第2アラーム信号を生成する第2アラーム信号生成ステップと、
前記第1アラーム信号と前記第2アラーム信号とを出力させる制御をする出力制御ステップと、
をコンピューターに実行させるためのアラーム制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラーム制御システム、アラーム制御方法、およびアラーム制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者等の生体情報を表示する生体情報モニタにおいて、生体情報に異常が検出されたときに異常を報知する生理アラーム(バイタルアラーム)や、生体情報を測定する医療機器やシステムの状態に関する異常を報知する機器アラーム(テクニカルアラーム)を出力する技術が知られている。
【0003】
アラームが報知されたときは、医療スタッフ等は、アラームの内容を確認して対処する。例えば、生理アラームが報知された場合には患者等の様子を確認する。患者等に装着したセンサが外れて、機器アラームが報知された場合は、センサを患者等に装着し直す。
【0004】
しかし、患者等に装着されるセンサや、医療機器が増加するに伴い、報知されるアラームの種類や回数が多くなり、医療スタッフ等がアラーム疲労を起こしたり、アラームに対処しきれず無視につながったりする場合がある。
【0005】
一方、報知されるアラームの中には、医療スタッフによる対処が不要なアラームも比較的多く含まれている。例えば、患者等の動作等に伴うノイズがセンサの検出信号に重畳することでアラームが発生したが、医療スタッフ等が対処しようとする間に自然解消するようなアラームがある。
【0006】
このような対処不要なアラームを削減するための周知技術として、アラームの発生から、当該アラームを所定時間マスクする、アラーム遅延処理が知られている。
【0007】
また、下記特許文献1には次の先行技術が開示されている。各患者の生理学的パラメーターがアラーム条件を満たすことに応じてそれぞれ生成される複数のアラームに関連するデータを受信する。ユーザーにより入力された、妥当性のあるアラームに関する情報に基づいて、妥当性を示す複数の妥当性インジケータを、複数のアラームのそれぞれについて生成する。当該複数のアラームに関連するデータと、当該複数の妥当性インジケータとを解析する。そして、解析に基づいて、少なくとも1つのアラーム条件を修正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0093205号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述のアラーム遅延処理は、比較的短時間のアラームが頻繁に発生している場合に、実際は医療スタッフ等による患者等の確認や、センサの調整等の対処が必要であるにもかかわらず、アラームが報知されない可能性があるという問題がある。
【0010】
上記特許文献1に開示された先行技術も、比較的短時間のアラームが頻繁に発生している場合に、対処不要なアラームを削減しつつ、適切にアラーム報知ができるとは限らないという問題がある。さらに、特許文献1に開示された先行技術は、アラーム条件を修正するために、ユーザーにより妥当性のあるアラームに関する情報が入力される必要があり煩雑であるという問題もある。
【0011】
本発明は上述の問題を解決するためになされたものである。すなわち、対処不要なアラームを削減しつつ、適切にアラーム報知が可能な、アラーム制御システム、アラーム制御方法、およびアラーム制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0013】
(1)生体情報の計測に関するメッセージ信号と、前記生体情報の出力値とを取得する取得部と、前記計測に関するメッセージ信号に基づいて、第1アラーム信号を生成する第1アラーム信号生成部と、前記計測に関するメッセージ信号、および、前記生体情報の出力値に基づいて算出した、前記計測値が無効の期間の少なくともいずれか一方に基づいて、第2アラーム信号を生成する第2アラーム信号生成部と、前記第1アラーム信号と前記第2アラーム信号とを出力させる制御をする出力制御部と、を含むアラーム制御システム。
【0014】
(2)アラーム制御システムにより実行される方法であって、生体情報の計測に関するメッセージ信号と、前記生体情報の出力値とを取得する取得ステップと、前記計測に関するメッセージ信号に基づいて、第1アラーム信号を生成する第1アラーム信号生成ステップと、前記計測に関するメッセージ信号、および、前記生体情報の出力値に基づいて算出した、前記計測値が無効の期間の少なくともいずれか一方に基づいて、第2アラーム信号を生成する第2アラーム信号生成ステップと、前記第1アラーム信号と前記第2アラーム信号とを出力させる制御をする出力制御ステップと、を有するアラーム制御方法。
【0015】
(3)生体情報の計測に関するメッセージ信号と、前記生体情報の出力値とを取得する取得ステップと、前記計測に関するメッセージ信号に基づいて、第1アラーム信号を生成する第1アラーム信号生成ステップと、前記計測に関するメッセージ信号、および、前記生体情報の出力値に基づいて算出した、前記計測値が無効の期間の少なくともいずれか一方に基づいて、第2アラーム信号を生成する第2アラーム信号生成ステップと、前記第1アラーム信号と前記第2アラーム信号とを出力させる制御をする出力制御ステップと、をコンピューターに実行させるためのアラーム制御プログラム。
【発明の効果】
【0016】
生体情報の計測に関するメッセージ信号に基づいて生成した第1アラーム信号、および、当該生体情報の出力値に基づいて算出した、生体情報の計測値が無効の期間の少なくともいずれか一方に基づいて第2アラーム信号を生成し、第1アラーム信号と第2アラーム信号とを出力させる。これにより、対処不要なアラームを削減しつつ、適切にアラーム報知ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】ベッドサイドモニタのハードウェア構成のブロック図である。
【
図3】心電図解析処理部および電極確認抑制処理部の機能を説明するためのブロック図である。
【
図4】アラーム遅延処理について説明するための説明図である。
【
図5】電極確認の頻度に基づく、電極確認アラーム信号におけるアラームの開始について説明するための説明図である。
【
図6】計測値の無効期間に基づく、電極確認アラーム信号におけるアラームの開始について説明するための説明図である。
【
図7】計測値の有効期間に基づく、電極確認アラーム信号におけるアラームの終了について説明するための説明図である。
【
図8】電極確認抑制処理を実施した場合の、心電図、HR出力値、および電極確認アラーム信号を、電極確認抑制処理非実施の場合と比較して示す説明図である。
【
図9】セントラルモニタのハードウェア構成のブロック図である。
【
図10】生体情報および各種アラームの表示画面を示す図である。
【
図11】医療用システムの動作を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態の変形例に係る心電図解析処理部および電極確認抑制処理部の機能を説明するためのブロック図である。
【
図13】医療用システムの変形例の概略構成図である。
【
図14】送信機のハードウェア構成のブロック図である。
【
図15】セントラルモニタのハードウェア構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るアラーム制御システム、アラーム制御方法、およびアラーム制御プログラムについて詳細に説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
(医療用システム10)
図1は、医療用システム10の概略構成図である。医療用システム10は、セントラルモニタ100、およびベッドサイドモニタ110を備える。ベッドサイドモニタ110は、1つまたは複数備えられ得る。ベッドサイドモニタ110にはセンサ114(
図2参照)が含まれるが、センサ114は、ベッドサイドモニタ110とは別の装置として構成されてもよい。例えば、センサ114は、ベッドサイドモニタ110と無線により相互に通信可能な送信機により構成されてもよい。
【0020】
医療用システム10には、セントラルモニタ100と通信可能に接続される集中型受信機と、集中型受信機と無線により相互に通信可能な複数の送信機が含まれてもよい。複数のベッドサイドモニタ110の一部または全部は、当該集中型受信機および複数の送信機により代替されてもよい。
【0021】
セントラルモニタ100とベッドサイドモニタ110は、有線または無線のネットワークにより相互に通信可能に接続される。ネットワークは、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。ネットワークの通信規格として、例えば、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または5Gを利用し得る。
【0022】
(ベッドサイドモニタ110)
図2は、ベッドサイドモニタ110のハードウェア構成のブロック図である。ベッドサイドモニタ110は、制御部111、記憶部112、通信部113、センサ114、出力部115、心電図解析処理部116、および電極確認抑制処理部117を備える。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。心電図解析処理部116、および電極確認抑制処理部117は、ベッドサイドモニタ110とは別の装置として構成されてもよい。この場合、心電図解析処理部116、および電極確認抑制処理部117は、それぞれベッドサイドモニタ110とネットワーク等により相互に通信可能に接続され得る。心電図解析処理部116および電極確認抑制処理部117は、それぞれ演算装置(コンピューター)を含んで構成され得る。ベッドサイドモニタ110は、例えば、患者のベッドごと、または患者の部屋ごとに設けられる。制御部111は切換部を構成する。
【0023】
制御部111は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)により構成され、ベッドサイドモニタ110の各構成要素を制御するとともに、各種演算を行う。
【0024】
制御部111は、センサ114により検出された生体情報を、セントラルモニタ100へ通信部113により生体情報の検出信号として送信する。制御部111は、生体情報に基づいて生体情報の異常を検出し、異常が検出されたときは、生体情報の異常を報知するための生理アラーム(バイタルアラーム)の信号を、生体情報とともにセントラルモニタ100へ通信部113により送信する。生体情報には、例えば、心電図(ECG)、心拍数(HR)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、血圧、呼吸(RESP)、呼気および吸気の二酸化炭素(CO2)が含まれる。生体情報の異常は、例えば、生体情報について設定された上限値、下限値、または上下限値を超えたことにより検出され得る。
【0025】
制御部111は、電極確認抑制処理部117により生成され出力される機器アラーム(テクニカルアラーム)をセントラルモニタ100へ通信部113により送信する。後述するように、機器アラーム信号には、電極確認アラーム信号が含まれる(
図3参照)。機器アラームが報知する異常には、例えば、センサ114を構成する測定機器(デバイスや素子)を含む装置等の異常、患者に装着されたセンサ114が外れた等の装着状態の異常やノイズ混入等の測定環境の異常等が含まれる。具体的には、機器アラームとして、例えば、「電極確認」、および「プローブ確認」が挙げられる。「電極確認」は、生体情報を計測するための電極の被計測者(患者)への装着に関する機器アラームであり、患者に装着された心電図電極から電極リードが外れる、身体から心電図電極が浮いている、および電極リードの断線等で発生するアラームである。「プローブ確認」は、患者に装着された、生体情報を測定または送信するためのプローブが身体から外れる、プローブが中継コードや測定機器から外れる、プローブの断線/ショート等で発生するアラームである。以下、説明を簡単にするために、機器アラームは、「電極確認」である場合を例に説明する。また、セントラルモニタ100へ送信される「電極確認」の機器アラームを報知する信号を、「電極確認アラーム信号」と称する。
【0026】
制御部111は、生体情報の被検者(患者等)およびアラームの種別を特定する特定情報と関連付けて、特定情報とともに生体情報および各アラームをセントラルモニタ100へ送信し得る。生体情報の被検者を特定する特定情報には、例えば患者のベッド番号、患者のID、およびベッドサイドモニタ110のIPアドレス等が含まれる。アラームの種別を特定する特定情報には、例えば、「電極確認」の機器アラームであることを示す情報、「心拍数」の生理アラームであることを示す情報、および「不整脈」の生理アラームであることを示す情報等が含まれる。
【0027】
記憶部112は、例えばSSD(Solid State Drive)により構成され、各種データおよび各種プログラムを記憶する。
【0028】
通信部113は、ベッドサイドモニタ110とセントラルモニタ100とを通信可能に接続するためのインターフェースである。通信部113は、例えば入力端子、アンテナ、およびフロントエンド回路等により構成され得る。通信部113は、アラーム出力部113aを含む。アラーム出力部113aは、各アラームを特定情報とともにセントラルモニタ100へ送信(出力)する。具体的には、アラーム出力部113aは、例えば、電極確認アラーム信号を、「電極確認」の機器アラームであることを示す特定情報と対応付けてセントラルモニタ100へ送信する。
【0029】
センサ114は、生体情報を検出するデバイスまたは素子である。センサ114には、例えば、心電図測定用電極、およびSpO2プローブ、血圧センサ、脈圧センサ、温度センサ、CO2センサ、ガスセンサ、呼吸センサ、接触センサ、その他生体情報を検出可能な計測センサ等が含まれる。センサ114は、生体情報の検出結果を、生体情報の検出信号として出力し得る。
【0030】
出力部115は、生体情報、および各アラームを視覚により認識可能に表示(出力)する。出力部115は、例えば液晶ディスプレイ等により構成され得る。出力部115は、アンプおよびスピーカーを備えることにより、各アラームを聴覚により認識可能に出力してもよい。出力部115は、生体情報、および各アラームをデータとして他の装置へ送信(出力)してもよい。出力部115を、プリンターにより構成し、生体情報、および各アラームを用紙に画像形成して出力してもよい。
【0031】
図3は、心電図解析処理部116および電極確認抑制処理部117の機能を説明するためのブロック図である。
【0032】
心電図解析処理部116は、センサ114により検出される、生体情報の検出信号を受信し、受信した検出信号を解析することにより、生体情報の計測に関するメッセージ信号と、生体情報の出力値とを算出する。生体情報の検出信号には、例えば、心電図(心電図の検出信号)が含まれる。生体情報の計測に関するメッセージ信号は、機器アラームの発生および非発生のいずれかを示すデジタル信号であるメッセージ信号である。具体的には、生体情報の計測に関するメッセージ信号には、例えば、「電極確認」の発生および非発生を示す電極確認メッセージ信号が含まれる。電極確認メッセージ信号は、センサ114の被検者への装着に関するセンサ確認のメッセージ信号の一例である。センサ確認のメッセージ信号には、電極確認メッセージ信号の他、プローブ確認メッセージ等が含まれる。生体情報の出力値は、センサ114により検出された検出信号から算出される生体情報の計測値、および生体情報の無効値(例えば、生体情報の計測(算出)が不能であることを示す値)のいずれかの値である。具体的には、生体情報の出力値には、例えば、心拍数の出力値(以下、「HR出力値」と称する)が含まれる。HR出力値は、心拍数の計測値、および心拍数の無効値のいずれかの値である。心電図から心拍数の算出が不能である場合等に、HR出力値は無効値となる。
【0033】
以下、説明を簡単にするために、生体情報の検出信号は心電図である場合を例に説明する。生体情報の計測に関するメッセージ信号は、心電図のセンサ信号より判定される電極確認メッセージ信号である場合を例に説明する。また、生体情報の出力値は、心電図を解析することにより算出されるHR出力値である場合を例に説明する。
【0034】
電極確認メッセージ信号における電極確認は、心電図において波形がクリッピングした場合に発生させる。当該クリッピングは、心電図の波形が、心電図解析処理部116の電子回路の入力ダイナミックレンジを超える電力となることで生じ得る。心電図から心拍数を算出することにより、HR出力値における心拍数の計測値が算出される。心電図から心拍数を算出する方法は公知であるため説明を省略する。心電図の波形にノイズが重畳すること等により心電図の波形が乱れることで心拍数の算出が不能である場合や心電図の入力信号が出力されず心拍数の算出が不能である場合に、HR出力値は無効値とされる。
【0035】
心電図解析処理部116における処理は、心電図解析処理部116が備えるCPU(図示せず)により実行され得る。心電図解析処理部116における処理の一部または全部は、制御部111により実行されてもよい。
【0036】
電極確認抑制処理部117は、電極確認メッセージ信号、およびHR出力値の少なくともいずれか一方に基づいて、電極確認アラーム信号を生成して出力する。以下、電極確認抑制処理部117による、電極確認メッセージ信号、およびHR出力値の少なくともいずれか一方に基づいて、電極確認アラーム信号を生成する処理を、「電極確認抑制処理」と称する。具体的には、電極確認抑制処理部117は、電極確認メッセージ信号に対し、アラーム遅延処理をすることにより第1アラーム信号を生成する。電極確認抑制処理部117は、電極確認メッセージ信号に基づいて電極確認の頻度を算出する。電極確認抑制処理部117は、HR出力値に基づいて、心拍数の計測値が無効値の期間(生体情報の計測値が無効の期間、以下、「計測値の無効期間」と称する)を算出する。計測値の無効期間以外の期間を、計測値の有効期間と称する。電極確認抑制処理部117は、電極確認の頻度、および計測値の無効期間の少なくともいずれか一方に基づいて、第2アラーム信号を生成する。そして、電極確認抑制処理部117は、第1アラーム信号と第2アラーム信号を出力する。電極確認抑制処理部117は、第1アラーム信号と第2アラーム信号とをマージした統合アラーム信号を、電極確認アラーム信号として出力し得る。すなわち、電極確認抑制処理部117は、第1アラーム信号と第2アラーム信号との論理和(OR)を、電極確認アラーム信号として出力し得る。電極確認抑制処理部117は、第1アラーム信号と第2アラーム信号とをそれぞれ電極確認アラーム信号として特定情報と対応付けること等により区別可能に出力してもよい。以下、説明を簡単にするために、電極確認アラーム信号は、第1アラーム信号と第2アラーム信号とがマージされた統合アラーム信号である場合を例に説明する。
【0037】
図4は、アラーム遅延処理について説明するための説明図である。
図5は、電極確認の頻度に基づく、電極確認アラーム信号におけるアラームの開始について説明するための説明図である。
図6は、計測値の無効期間に基づく、電極確認アラーム信号におけるアラームの開始について説明するための説明図である。
図7は、計測値の有効期間に基づく、電極確認アラーム信号におけるアラームの終了について説明するための説明図である。
【0038】
図4を参照すると、電極確認メッセージ信号に対し、電極確認の発生から、当該メッセージをアラーム遅延時間(所定時間)マスクするアラーム遅延処理がされることにより、電極確認メッセージ信号における所定時間以下の電極確認が、電極確認アラーム信号において消去されている。アラーム遅延時間は、電極確認のアラーム精度の観点から、実験等により適当な値に設定され得る。アラーム遅延時間は、患者の種類や状態によって決定したり変化させてもよい。例えば、患者が重症な場合には、アラーム遅延時間を比較的短くして直ちに知らせるようにしてもよい。アラーム遅延時間はスタッフの業務負荷を加味して決定したり変化させてもよい。例えば、アラーム遅延時間を日中と夜間で変えてもよい。アラーム遅延時間は、使用環境を考慮してユーザ自身が決定してもよい。
【0039】
アラーム遅延時間は、実際に使用する環境もしくは類似の環境での電極確認アラーム発生状況とその対応状況などを元に次のような方法で決定してもよい。例えば、(1)データ分析、(2)AIを含む機械学習、(3)自動学習、(4)実験的な方法(試行錯誤、アンケート等)により試した結果、電極確認による心電図モニタリングの中断が最も短くなるようなアラーム遅延時間を決定してよい。
【0040】
アラーム遅延時間は、例えば、5秒とされ得る。比較的短時間の電極確認は、基本的に対処不要の機器アラームである可能性が高いため、アラーム遅延処理により、電極確認アラーム信号において、対処が不要な機器アラームが含まれることを抑止できる。
【0041】
図5を参照すると、電極確認メッセージ信号に基づいて算出される電極確認の頻度が、第1閾値以上となったときに、電極確認アラーム信号において、電極確認を開始させる。第1閾値は、電極確認のアラーム精度の観点から、実験等により適当な値に設定され得る。第1閾値は、患者の種類や状態によって決定したり変化させてもよい。例えば、患者が重症な場合には、第1閾値を比較的小さくして直ちに知らせるようにしてもよい。第1閾値は、スタッフの業務負荷を加味して決定したり変化させてもよい。例えば、第1閾値を日中と夜間で変えてもよい。第1閾値は、使用環境を考慮してユーザ自身が決定してもよい。
【0042】
第1閾値は、実際に使用する環境もしくは類似の環境での電極確認アラーム発生状況とその対応状況などを元に次のような方法で決定してもよい。例えば、(1)データ分析、(2)AIを含む機械学習、(3)自動学習、(4)実験的な方法(試行錯誤、アンケート等)により試した結果、電極確認による心電図モニタリングの中断が最も短くなるよう第1閾値を決定してよい。
【0043】
電極確認の頻度は、先に発生した電極確認が終了してから30秒以下で発生する電極確認が連続した場合に、連続した電極確認の累積数とされ得る。この場合、第1閾値は3回とされ得る。第1閾値は、例えば、30秒間に3回とされ得る。上述したように、電極確認アラーム信号は、第1アラーム信号と第2アラーム信号とがマージされた統合アラーム信号であるため、
図5の電極確認アラーム信号においてアラーム遅延処理の結果が反映されている。比較的短時間の電極確認が頻繁に発生することで、電極確認の頻度が比較的増大した場合、そのような電極確認は対処が必要な機器アラームである可能性が比較的高い。しかし、アラーム遅延処理により、頻度が比較的高い、比較的短時間の電極確認は消去され得る。電極確認の頻度が第1閾値以上となったときに、電極確認アラーム信号において電極確認を開始させることにより、適切に電極確認の機器アラームを報知できる。
【0044】
図6のHR出力値において、グレー色で示す期間は、計測値の有効期間を示している(
図7において同様)。
図6を参照すると、HR出力値に基づいて決定される、計測値の無効期間(グレー色で示す計測値の有効期間以外の期間)が、第2閾値以上となったときに、電極確認アラーム信号において、電極確認を開始させる。第2閾値は、電極確認のアラーム精度の観点から、実験等により適当な値に設定され得る。第2閾値は、患者の種類や状態によって決定したり変化させてもよい。例えば、患者が重症な場合には、第2閾値を比較的小さくして直ちに知らせるようにしてもよい。第2閾値は、スタッフの業務負荷を加味して決定したり変化させてもよい。例えば、第2閾値を日中と夜間で変えてもよい。第2閾値は、使用環境を考慮してユーザ自身が決定してもよい。
【0045】
第2閾値は、実際に使用する環境もしくは類似の環境での電極確認アラーム発生状況とその対応状況などを元に次のような方法で決定してもよい。例えば、(1)データ分析、(2)AIを含む機械学習、(3)自動学習、(4)実験的な方法(試行錯誤、アンケート等)により試した結果、電極確認による心電図モニタリングの中断が最も短くなるよう第2閾値を決定してよい。
【0046】
第2閾値は、例えば、30秒とされ得る。上述したように、電極確認アラーム信号は、第1アラーム信号と第2アラーム信号とがマージされた統合アラーム信号であるため、
図6の電極確認アラーム信号においてアラーム遅延処理の結果が反映されている。計測値の無効期間が比較的長い場合、電極確認メッセージ信号において電極確認が発生していなくても、心拍数を算出できないほど心電図が乱れていると考えられ、対処が必要になっている可能性が高い。このため、計測値の無効期間が比較的長くなった場合に、電極確認アラーム信号において、電極確認を開始させる。
【0047】
図7を参照すると、HR出力値に基づいて算出される、計測値の無効期間以外の有効期間が、第3閾値以上となったときに、電極確認アラーム信号において、電極確認を終了させる。第3閾値は、電極確認のアラーム精度の観点から、実験等により適当な値に設定され得る。第3閾値は、患者の種類や状態によって決定したり変化させてもよい。例えば、患者が重症な場合には、第3閾値を比較的大きくして電極確認を終了されにくくしてもよい。第3閾値は、スタッフの業務負荷を加味して決定したり変化させてもよい。例えば、第3閾値を日中と夜間で変えてもよい。第3閾値は、使用環境を考慮してユーザ自身が決定してもよい。
【0048】
第3閾値は、実際に使用する環境もしくは類似の環境での電極確認アラーム発生状況とその対応状況などを元に次のような方法で決定してもよい。例えば、(1)データ分析、(2)AIを含む機械学習、(3)自動学習、(4)実験的な方法(試行錯誤、アンケート等)により試した結果、電極確認による心電図モニタリングの中断が適切な時間になるよう第3閾値を決定してよい。
第3閾値は、例えば、5秒とされ得る。上述したように、電極確認アラーム信号は、第1アラーム信号と第2アラーム信号とがマージされた統合アラーム信号であるため、
図7の電極確認アラーム信号においてアラーム遅延処理の結果が反映されている。計測値の有効期間が比較的長くなった場合、心電図の乱れがなくなり安定していると考えられ、対処が不要になっている可能性が高い。このため、計測値の有効期間が比較的長くなった場合に、電極確認アラーム信号において、電極確認を終了させる。
【0049】
電極確認抑制処理部117における電極確認抑制処理は、電極確認抑制処理部117が備えるCPU(図示せず)により実行され得る。電極確認抑制処理部117における電極確認抑制処理の一部または全部は、制御部111により実行されてもよい。電極確認抑制処理部117は、取得部、第1アラーム信号生成部、算出部、第2アラーム信号生成部、および出力制御部を構成する。
【0050】
図8は、電極確認抑制処理を実施した場合の、心電図、HR出力値、および電極確認アラーム信号を、電極確認抑制処理非実施の場合と比較して示す説明図である。
【0051】
図8の例においては、HR出力値において、心拍数の計測値が「80」と表示されており、無効値が「---」と表示されている。また、電極確認アラーム信号において、電極確認を発生させている期間がグレー色で示されている。
【0052】
電極確認抑制処理非実施の場合である比較例においては、心電図において波形が上限値にクリッピングしたすべてのタイミングで、電極確認アラーム信号において電極確認が発生している。このため、頻発するクリッピングに対応してそれぞれ電極確認を発生させており、発生させた電極確認の中には対処が不要な電極確認も含まれている可能性が高い。
【0053】
電極確認抑制処理実施を実施した実施例においては、アラーム遅延処理を行うとともに、電極確認メッセージ信号における電極確認の頻度が第1閾値以上となったとき、またはHR出力値に基づいて算出される計測値の無効期間が第2閾値以上となったときに、電極確認アラーム信号において電極確認を開始させる。そして、HR出力値に基づいて算出される計測値の有効期間が第3閾値以上となったときに、電極確認アラーム信号において電極確認を終了させる。これにより、対処不要な電極確認を削減しつつ、適切に電極確認を報知できる。
【0054】
(セントラルモニタ100)
図9は、セントラルモニタ100のハードウェア構成のブロック図である。セントラルモニタ100は、制御部101、記憶部102、通信部103、出力部104、およびアラーム発生部105を含む。これらの構成要素はバスにより相互に接続されている。これらのセントラルモニタ100の構成要素のうち、ベッドサイドモニタ110の構成要素に対応する構成要素の基本構成は、ベッドサイドモニタ110と同様であるため重複する説明は省略する。
【0055】
制御部101は、各ベッドサイドモニタ110から、心電図、不整脈等の生理アラーム信号、および機器アラーム信号である電極確認アラーム信号を通信部103により受信する。
【0056】
記憶部102は、心電図、生理アラーム信号、および電極確認アラーム信号を、時間と対応付けて記憶する。心電図、生理アラーム信号、および電極確認アラーム信号は、特定情報と対応付けて記憶され得る。
【0057】
出力部104は、心電図、生理アラーム信号における生理アラームの発生、および電極確認アラーム信号における電極確認の発生を表示(出力)する。出力部104は、アンプおよびスピーカーを備えることにより、各アラームを聴覚により認識可能に出力してもよい。出力部104は、心電図、生理アラーム信号における生理アラームの発生、および電極確認アラーム信号における電極確認の発生をデータとして他の装置へ送信(出力)してもよい。出力部104を、プリンターにより構成し、心電図、生理アラーム信号における生理アラームの発生、および電極確認アラーム信号における電極確認の発生を用紙に画像形成して出力してもよい。
【0058】
アラーム発生部105は、生理アラーム信号に含まれる生理アラームの発生を、音声、光、画像等により出力することにより報知する。アラーム発生部105は、電極確認アラーム信号に含まれる電極確認の発生を、音声、光、画像、振動、およびインジケーター等により出力することにより報知する。アラーム発生部105は、各アラームをアラームの種類ごとに、例えば、音色、光の色、画像の区別等により識別可能に出力し得る。
【0059】
図10は、出力部104に表示される、生体情報および各種アラームの表示画面を示す図である。
【0060】
図10の例においては、患者等の氏名ごとに、生体情報および各種アラームの発生が表示されている。生体情報として、心電図、心拍数、血圧、およびSpO2等が表示されている。「光電 花子」という氏名の患者について、生理アラームであるSpO2アラームの発生が表示されている。「光電 桜花」という氏名の患者について、機器アラームである電極確認の発生が表示されている。
【0061】
本実施形態においては、電極確認アラーム信号の生成と、生理アラームの信号の生成とは独立に実行し得る。ただし、電極確認アラーム信号と生理アラームの信号は、同じ入力信号を用いて生成されてもよい。従って、電極確認アラーム信号において電極確認を発生させている期間中であっても、生理アラームの信号における生理アラームを発生させ得る。すなわち、例えば、電極確認アラーム信号において電極確認を発生させているときに、同時に心電図に基づいて不整脈を検出することができ、不整脈が検出されたときは、電極確認アラーム信号における電極確認と、生理アラームの信号における不整脈の生理アラームとを次のように発生させ得る。例えば、(1)電極確認と生理アラームとを同時に発生させ、(2)生理アラームを電極確認に優先させて発生させ、または(3)電極確認を生理アラームに優先させて発生させ得る。
【0062】
医療用システム10の動作について説明する。
【0063】
図11は、医療用システム10の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、ベッドサイドモニタ110の電極確認抑制処理部117により、プログラムに従い実行され得る。
【0064】
電極確認抑制処理部117は、電極確認メッセージ信号と、HR出力値とを心電図解析処理部116から取得する(S101)。
【0065】
電極確認抑制処理部117は、電極確認メッセージ信号に対しアラーム遅延処理をして、第1アラーム信号を生成する(S102)。第1アラーム信号は、以下説明するステップで生成される第2アラーム信号と時間ごとにマージされて電極確認アラーム信号としてセントラルモニタ100へ送信(出力)される。
【0066】
電極確認抑制処理部117は、電極確認メッセージ信号に基づいて電極確認の頻度を算出する(S103)。
【0067】
電極確認抑制処理部117は、HR出力値に基づいて、計測値の無効期間を算出する(S104)。
【0068】
電極確認抑制処理部117は、電極確認の頻度が第1閾値以上かどうか判断する(S105)。電極確認抑制処理部117は、電極確認の頻度が第1閾値以上であると判断した場合は(S105:YES)、生成する第2アラーム信号において電極確認を開始する(S107)。
【0069】
電極確認抑制処理部117は、電極確認の頻度が第1閾値以上でないと判断した場合は(S105:NO)、計測値の無効期間が第2閾値以上かどうか判断する(S106)。電極確認抑制処理部117は、計測値の無効期間が第2閾値以上でないと判断した場合は(S106:NO)、ステップS103に戻り、処理を継続する。
【0070】
電極確認抑制処理部117は、計測値の無効期間が第2閾値以上であると判断した場合は(S106:YES)、第2アラーム信号において電極確認を開始させる(S107)。
【0071】
電極確認抑制処理部117は、HR出力値に基づいて、計測値の有効期間を算出する(S108)。
【0072】
電極確認抑制処理部117は、計測値の有効期間が第3閾値以上かどうか判断する(S109)。電極確認抑制処理部117は、計測値の有効期間が第3閾値以上でないと判断した場合は(S109:NO)、ステップS108に戻り、処理を継続する。
【0073】
電極確認抑制処理部117は、計測値の有効期間が第3閾値以上であると判断した場合は(S109:YES)、第2アラーム信号において電極確認を終了させる(S110)。
【0074】
(変形例1)
図12は、実施形態の変形例に係る心電図解析処理部116および電極確認抑制処理部117の機能を説明するためのブロック図である。
【0075】
上述した実施形態においては、センサ114により検出される、生体情報の検出信号が心電図である場合を例に説明した。
【0076】
しかし、センサ114により検出される、生体情報の検出信号は、動脈血酸素飽和度、血圧、呼吸、呼気、吸気の二酸化炭素(CO2)、ST値、VPC数、脈拍数、CCO値、および(容体を示す)スコア等であってもよい。
【0077】
心電図解析処理部116は、生体情報の検出信号を解析することにより、生体情報の計測に関するメッセージ信号と、生体情報の出力値とを算出する。心電図解析処理部116は、複数の、生体情報の計測に関するメッセージ信号を算出してもよい。心電図解析処理部116は、複数の、生体情報の出力値を算出してもよい。生体情報の計測に関するメッセージ信号には、生体情報の計測に関するあらゆるメッセージの信号が含まれる。生体情報の計測に関するメッセージ信号は、「電波切れ」の発生および非発生を示すメッセージ信号であってもよく、「プローブ確認」の発生および非発生を示すメッセージ信号であってもよい。その他、生体情報の計測に関するメッセージ信号は、電磁干渉の発生および非発生、ラインまたはフローの閉塞の発生および非発生、または、機器の故障の発生および非発生を示すメッセージ信号であってもよい。生体情報の出力値は、QT時間の出力値、R-R時間の出力値、P-P時間の出力値、血圧の出力値等であってもよい。
【0078】
電極確認抑制処理部117は、生体情報の計測に関するメッセージ信号、および生体情報の出力値の少なくともいずれか一方に基づいて、計測関連アラーム信号を生成して出力する。電極確認抑制処理部117は、複数の生体情報の計測に関するメッセージ信号、および複数の生体情報の出力値に基づいて、計測関連アラーム信号を生成して出力してもよい。計測関連アラーム信号には、生体情報の計測に関するあらゆるアラームの信号が含まれる。計測関連アラーム信号は、電極確認アラーム信号に限定されず、「電波切れ」のアラームを報知するための信号であってもよく、「プローブ確認」のアラームを報知するための信号であってもよい。その他、計測関連アラーム信号は、電磁干渉のアラームを報知するための信号、ラインまたはフローの閉塞のアラームを報知するための信号、または、機器の故障のアラームを報知するための信号であってもよい。
【0079】
(変形例2)
ベッドサイドモニタ110には、生体情報の計測に関するメッセージ信号を電極確認アラーム信号に代替して出力させるための第1モードと、電極確認アラーム信号(すなわち、第1アラーム信号と第2アラーム信号とがマージされた統合アラーム信号)を出力させるための第2モードとを切り換える切換部をさらに含んでもよい。切換部は、制御部111により構成されてもよい。制御部111は、例えば、ユーザー端末(図示せず)においてユーザーにより入力される切換入力に基づく切換制御信号を、当該ユーザー端末から通信部113により受信し、切換制御信号に基づいて、第1モードと第2モードとの相互の切り替えを行ってもよい。
【0080】
(変形例3)
図13は、医療用システム10の変形例3の概略構成図である。
図14は、送信機210のハードウェア構成のブロック図である。
図15は、セントラルモニタ100のハードウェア構成のブロック図である。
図13に示すように、医療用システム10は、セントラルモニタ100、および送信機210を備えてもよい。本変形例においては、送信機210は、制御部111、記憶部112、通信部113、センサ114、および出力部115を備える。セントラルモニタ100は、制御部101、記憶部102、通信部103、出力部104、アラーム発生部105、心電図解析処理部116、および電極確認抑制処理部117を備える。
図14および
図15において、上述した実施形態の説明において参照した
図2および
図9における構成要素と同じ符号が付された構成要素は、基本的に同じ構成および機能をもつため、重複する説明は省略する。
【0081】
本変形例においては、心電図解析処理部116、および電極確認抑制処理部117を、送信機210が備えるのではなく、セントラルモニタ100が備える。従って、各送信機210からセントラルモニタ100へ生体情報の検出信号が、通信部113によって無線通信により送信される。セントラルモニタ100が備える心電図解析処理部116は、受信した検出信号を解析することにより、生体情報の計測に関するメッセージ信号と、生体情報の出力値とを算出する。セントラルモニタ100が備える電極確認抑制処理部117は、生体情報の計測に関するメッセージ信号、および生体情報の出力値の少なくともいずれか一方に基づいて、機器アラーム信号を生成して出力する。機器アラーム信号には、電極確認アラーム信号が含まれる(
図3参照)。機器アラーム信号が報知する異常には、例えば、センサ114を構成する測定機器(デバイスや素子)を含む装置等の異常、患者に装着されたセンサ114が外れた等の装着状態の異常、および電波切れやノイズ混入等の測定環境の異常等が含まれる。具体的には、機器アラームとして、例えば、「電極確認」、「電波切れ」、および「プローブ確認」が挙げられる。「電波切れ」は、電波の受信状態が悪い、混信している、情報が受信できない等のアラームである。
【0082】
実施形態は以下の効果を奏する。
【0083】
生体情報の計測に関するメッセージ信号に基づいて生成した第1アラーム信号、および、当該生体情報の出力値に基づいて算出した、生体情報の計測値が無効の期間の少なくともいずれか一方に基づいて第2アラーム信号を生成し、第1アラーム信号と第2アラーム信号とを出力させる。これにより、対処不要なアラームを削減しつつ、適切にアラーム報知ができる。
【0084】
さらに、計測に関するメッセージの発生頻度が所定の第1閾値以上という第1条件、および計測値の無効の期間が所定の第2閾値以上という第2条件の少なくともいずれかの条件を満たすときに、第2アラーム信号におけるアラームを開始し、第1条件および第2条件のいずれも満たさないときは、第2アラーム信号におけるアラームを開始しない。これにより、これにより、簡単かつ適切に、対処不要なアラームを削減しつつ、対応が必要な可能性が高いアラームの報知ができる。
【0085】
さらに、第2アラーム信号においてアラームを開始したときは、計測値の有効の期間が所定の第3閾値以上継続するまで、第2アラーム信号におけるアラームを継続する。これにより、アラームの発生回数を適切に削減できるとともに、アラームの継続時間が比較的長くなることで対処が必要な場合にアラームへの注意を喚起できる。
【0086】
第2アラーム信号においてアラームを開始した後、計測値の有効の期間が第3閾値以上継続したときに、第2アラーム信号におけるアラームを終了する。これにより、アラームの発生回数を適切に削減できるとともに、アラームを適切な時間継続することでアラームへの注意を喚起できる。
【0087】
さらに、計測に関するメッセージ信号を、生体情報を計測するためのセンサの被計測者への装着に関するセンサ確認のメッセージ信号とする。これにより、簡単かつより適切に、対処不要なセンサ確認のメッセージを削減しつつ、対応が必要な可能性が高いセンサ確認のメッセージの報知ができる。
【0088】
さらに、電極確認のメッセージ信号に対し、電極確認の発生から、電極確認を所定時間マスクすることにより、第1アラーム信号を生成する。これにより、適切に対処不要な電極確認を削減できる。
【0089】
さらに、第1アラーム信号と第2アラーム信号とを、第1アラーム信号と第2アラーム信号とをマージした統合アラーム信号として出力させる制御をする。これにより、対処不要なアラームを削減しつつ、報知するアラームの種類を減少させた、適切なアラーム報知ができる。
【0090】
さらに、計測に関するメッセージ信号を出力させるための第1モードと、統合アラーム信号を出力させるための第2モードとを切り換える切換部により、第1モードに切り換えられたときは、計測に関するメッセージ信号を出力させる制御をし、第2モードに切り換えられたときは、統合アラーム信号を出力させる制御をする。これにより、ユーザーの意向に応じて、柔軟に、対処不要なアラームを削減しつつ、適切にアラーム報知ができる。
【0091】
さらに、生体情報を心拍数、心電図、SpO2、呼吸数、ST値、VPC数、脈拍数、CCO値、または容体を示すスコアとする。これにより、生体情報の計測において、対処不要なアラームを削減しつつ、適切にアラーム報知ができる生体情報の範囲を拡大できる。
【0092】
さらに、第1アラーム信号および第2アラーム信号を、電極確認のアラーム信号とする。これにより、より簡単かつ適切に、対処不要な電極確認を削減しつつ、対応が必要な可能性が高い電極確認の報知ができる。
【0093】
さらに、計測に関するメッセージ信号を、電極確認のメッセージ信号とし、生体情報の出力値を、心拍数の出力値とする。これにより、より簡単かつ適切に、対処不要な電極確認を削減しつつ、対応が必要な可能性が高い電極確認の報知ができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【0095】
例えば、ベッドサイドモニタ110の機能および構成の一部または全部を、セントラルモニタ100の機能および構成に含めてもよい。また、セントラルモニタ100の機能および構成の一部または全部をベッドサイドモニタ110の機能および構成に含めてもよい。例えば、ベッドサイドモニタ110も、セントラルモニタ100が備えるアラーム発生部105に相当する要素を備えてもよい。
【0096】
例えば、上述した実施形態においてプログラムにより実現される機能の一部または全部を回路等のハードウェアにより実現してもよい。
【0097】
また、上述したフローチャートは、一部のステップを省略してもよく、他のステップが追加されてもよい。また各ステップの一部は同時に実行されてもよく、一つのステップが複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 医療用システム、
100 セントラルモニタ、
101 制御部、
102 記憶部、
103 通信部、
104 出力部、
105 アラーム発生部、
110 ベッドサイドモニタ、
111 制御部、
112 記憶部、
113 通信部、
113a アラーム出力部、
114 センサ、
115 出力部、
116 心電図解析処理部、
117 電極確認抑制処理部。