(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155314
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】半導体装置、半導体装置の製造方法及びX線コンピュータ断層撮像装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20241024BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20241024BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L21/90 M
G01T1/20 E
A61B6/03 320R
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069942
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 信彦
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
5F033
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB02
2G188CC21
2G188CC22
2G188CC24
2G188DD05
2G188DD16
2G188DD30
2G188DD42
2G188DD44
2G188EE32
2G188EE36
2G188EE37
2G188FF12
2G188FF20
4C093AA22
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB20
5F033GG01
5F033GG02
5F033GG03
5F033HH08
5F033HH09
5F033HH11
5F033HH12
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033JJ33
5F033KK08
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5F033KK12
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033RR09
5F033RR15
5F033SS11
5F033SS15
5F033TT02
5F033XX17
5F033XX18
(57)【要約】
【課題】保護膜クラックによる配線層の腐食を抑制することである。
【解決手段】本実施形態の半導体装置は、基板と、基板上に形成された最上層の配線層と、配線層を被覆するように形成された第1の保護膜と、第1の保護膜上に形成された平坦化膜と、平坦化膜上に形成された第2の保護膜と、を備え、第1の保護膜と第2の保護膜は、平坦化膜より厚いことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された最上層の配線層と、
前記配線層を被覆するように形成された第1の保護膜と、
前記第1の保護膜上に形成された平坦化膜と、
前記平坦化膜上に形成された第2の保護膜と、を備え、
前記第1の保護膜と前記第2の保護膜は、前記平坦化膜より厚いことを特徴とする、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1の保護膜と前記第2の保護膜は、シリコン酸窒化膜又はシリコン窒化膜であり、
前記第1の保護膜と前記第2の保護膜の厚みは、420nmから700nmの範囲であることを特徴とする、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記平坦化膜は、シリコン酸化膜であり、
前記平坦化膜の厚みは、100nmから400nmの範囲であることを特徴とする、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の保護膜上に、有機膜が形成されることを特徴とする、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記有機膜の厚みは、1μmから3μmの範囲であることを特徴とする、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の保護膜又は前記有機膜上に、光学透明粘着シートが設けられ、前記光学透明粘着シート上にシンチレータが設けられることを特徴とする、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体基板上に配線層を形成する工程と、
最上層の前記配線層上に第1の保護膜を形成する工程と、
前記第1の保護膜上に平坦化膜を形成する工程と、
前記平坦化膜上に第2の保護膜を形成する工程を有し、
前記第1の保護膜と前記第2の保護膜は420nmから700nmの範囲の厚みに形成されたシリコン窒化膜又はシリコン酸窒化膜であり、
前記平坦化膜は100nmから400nmの範囲の厚みに形成されたシリコン酸化膜であることを特徴とする、
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第2の保護膜の上に有機膜を形成する工程を有し、
前記有機膜は1μmから3μmの範囲の厚みに形成されたことを特徴とする、
請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2の保護膜、又は前記第2の保護膜の上に形成された有機膜の上に、
光学透明粘着シートとシンチレータを備える工程を有することを特徴とする、
請求項7又は請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記光学透明粘着シートと前記シンチレータを備える工程の前に、前記第2の保護膜又は前記有機膜に圧力がかかることを特徴とする、
請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
X線を照射するX線管と、前記X線管により照射されたX線を検出するX線検出器と、を備えるX線コンピュータ断層撮像装置であって、
前記X線検出器は、
基板と、
前記基板上に形成された最上層の配線層と、
前記配線層を被覆するように形成された第1の保護膜と、
前記第1の保護膜上に形成された平坦化膜と、
前記平坦化膜上に形成された第2の保護膜と、を備え、
前記第1の保護膜と前記第2の保護膜は、前記平坦化膜より厚いことを特徴とする、
X線コンピュータ断層撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、半導体装置、半導体装置の製造方法及びX線コンピュータ断層撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に設けられた配線層と、その配線層を保護するために設けられた保護膜とを有する半導体装置が知られている。
【0003】
実装工程において、圧力が配線層上の保護膜に集中することや、異物を挟み込んだ時の圧力によって保護膜にクラックが生じることがある。クラックが配線層まで到達してしまう場合、使用環境により配線層の腐食を促進してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、保護膜クラックによる配線層の腐食を抑制することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の半導体装置は、基板と、基板上に形成された最上層の配線層と、配線層を被覆するように形成された第1の保護膜と、第1の保護膜上に形成された平坦化膜と、平坦化膜上に形成された第2の保護膜と、を備え、第1の保護膜と第2の保護膜は、平坦化膜より厚いことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、比較例の半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る保護膜の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【
図12】
図12は、X線コンピュータ断層撮像装置に用いる半導体装置の一例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明及び図面において、複数の図面を相互に参照する場合がある。複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付しており、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0009】
また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。また、例えば、図面の視認性を確保する観点から、各図面の説明において主要又は代表的な構成要素だけに参照符号を付し、同一又は略同一の機能を有する構成要素であっても参照符号を付していない場合もある。
【0010】
図1は、比較例の半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
図1に示される半導体装置は、MOSトランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor-Field-Efect-Transistor)102や層間絶縁膜103が設けられた半導体基板であるシリコン基板101と、層間絶縁膜103を介してシリコン基板上に設けられた配線層108とを備えている。配線層108は、層間絶縁膜103や保護膜109によって被覆されている。
【0011】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。半導体装置は、シリコン基板101、MOSトランジスタ102、層間絶縁膜103、コンタクト104、配線層105、層間絶縁膜106、ビア107、配線層108、保護膜109(第1の保護膜1091及び第2の保護膜1092)及び平坦化膜110を備える。なお、半導体基板としてはシリコン基板の他に、GaP(リン化ガリウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)、InP(リン化インジウム)、GaN(窒化ガリウム)などの化合物半導体基板であっても良く、さらには、SiC(シリコンカーバイド)基板、サファイア基板であっても良い。
【0012】
MOSトランジスタ102、層間絶縁膜103及びコンタクト104は、シリコン基板101に形成されている。配線層105、層間絶縁膜106及びビア107は、層間絶縁膜103上に形成されている。配線層108は、シリコン基板101上に形成されている。また、配線層108は、層間絶縁膜106上に形成されている。第1の保護膜1091は、配線層108を被覆するように形成されている。平坦化膜110は、第1の保護膜1091上に形成されている。第2の保護膜1092は、平坦化膜110上に形成されている。
【0013】
図3は、本実施形態の第1の保護膜1091、第2の保護膜1092のそれぞれの構成例である。本実施形態の第1の保護膜1091、第2の保護膜1092は同じ構造とすることができる。よって、
図3では、第1の保護膜1091、第2の保護膜1092が同じ構造を持つものとして説明している。本実施形態の第1の保護膜1091、第2の保護膜1092のそれぞれは3層構造となっている。
【0014】
第1の保護膜1091、第2の保護膜1092のそれぞれは、例えば、シリコン酸窒化膜201、シリコン窒化膜202及びシリコン酸窒化膜203を有する。シリコン酸窒化膜201及びシリコン酸窒化膜203は反射防止膜として用いられる。このような反射防止構造を採ることにより、入射光の透過率を向上させ、ひいては感度を向上させることができる。このように、第1の保護膜1091、第2の保護膜1092のそれぞれの構成により、外部からの水分、不純物などの浸入を防ぎ、半導体装置の信頼性を確保している。
【0015】
図4は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。また、
図5から
図11は、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0016】
ステップS301では、
図5から
図8に示されるように、半導体装置のシリコン基板101にはMOSトランジスタ102、層間絶縁膜103、コンタクト104が形成される。また、層間絶縁膜103上には、配線層105、層間絶縁膜106、ビア107を形成させる。さらに、層間絶縁膜106上には、配線層108を形成させる。
【0017】
配線層105及び配線層108としては、例えば、アルミニウム、銅又はそれらの合金膜を用いる。コンタクト104、ビア107、としては、例えば、タングステン、窒化チタン、チタン等の金属膜やその積層を用いる。層間絶縁膜103は、例えば、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によるNSG(Non-Doped Silicate Glass)、BPSG(Boron-Phospho Silicate Glass)により形成されたシリコン酸化膜を用いるとする。層間絶縁膜106は、例えば、プラズマCVD法により形成されたシリコン酸化膜を用いるものとする。
【0018】
ステップS302では、
図9に示されるように、第1の保護膜1091は、配線層108を被覆するように形成させる。保護膜109(第1の保護膜1091、後述する第2の保護膜1092)は使用環境から内部素子を保護するための絶縁膜であり、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜からなる保護膜(パッシベーション膜)等の膜が用いられる。
【0019】
これらのシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜は、プラズマCVD法により形成される。これらの膜によって形成される第1の保護膜1091及び第2の保護膜1092のそれぞれの膜の厚みは、例えば、420nmから700nmである。
【0020】
ステップS303では、
図10に示されるように、平坦化膜110は、第1の保護膜1091上に形成させる。平坦化膜110は、第1の保護膜1091上に形成された凹凸を平坦化させるように設けられている。平坦化膜110は、プラズマCVD法により形成された膜で、本実施形態では、例えば、シリコン酸化膜を用いる。配線層108上の第1の保護膜1091から後述する第2の保護膜1092までの平坦化膜110の厚みは100nmから400nmである。
【0021】
ステップ304では、
図11に示されるように、第2の保護膜1092は、平坦化膜110上に形成させる。第2の保護膜1092は、第1の保護膜1091と同様、プラズマCVD法によって形成された膜で、本実施形態では、例えば、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜からなる保護膜(パッシベーション膜)を用いる。第2の保護膜1092の厚みは420nmから700nmである。つまり、第1の保護膜1091と第2の保護膜1092は、平坦化膜110より厚い。
【0022】
また、
図11では、複数の膜の厚さをt1からt4として示している。厚みt1は、第1の保護膜1091の厚みであり、420nmから700nmである。厚みt2は、第2の保護膜1092の厚みであり、420nmから700nmである。厚みt3は、平坦化膜110のうち、配線層108の上部に位置する部分の厚みであり、100nmから400nmである。厚みt4は、平坦化膜110のうち、シリコン基板101を上面視した場合に配線層108とは重ならない部分の厚みである。
【0023】
この部分の厚みt4は、第1の保護膜1091、第2の保護膜1092よりも厚くなり得るが、厚みt1及び厚みt2が厚みt4よりも厚く構成されても良い。平坦化膜110を形成した後の平坦化の工程において、平坦化膜110のうち、配線層108の上部に位置する部分は、シリコン基板101を上面視した場合に配線層108とは重ならない部分よりも多く削られる。
【0024】
これにより、平坦化膜110のうち、配線層108の上部に位置する部分と、シリコン基板101を上面視した場合に配線層108とは重ならない部分とが連続的に平坦な面として形成される。本実施形態では、平坦化膜110のうち、配線層108の上部に位置する部分の厚みt3よりも、第1の保護膜1091の厚みt1及び第2の保護膜1092の厚みt2を大きくしている。また、厚みt3に対して、厚みt1、厚みt2のそれぞれを50nm以上大きくすることにより、配線層108に対する保護をより強固なものとすることができる。
【0025】
以上のステップS301~ステップS304の工程により、本実施形態の半導体装置(ICチップ)が製造される。
【0026】
続いて、本実施形態の作用について説明する。一般的に、配線層上に形成される保護膜は、配線層が熱処理により溶解しないように、400℃以下という低温でのプラズマCVD法により形成される。そのため、高温の熱処理をした場合に比べ保護膜の強度は低くなる。
【0027】
半導体装置(ICチップ:Integrated Circuit)をセラミック基板などに圧着する実装工程において、実装工程で使用する装置(例えば、バックグラインド工程やダイシング工程、ダイボンディング工程等)の半導体装置への圧力が配線層上の保護膜に荷重集中する場合や、実装工程で使用する装置と半導体装置の間に異物などが挟まり、挟み込んだ異物による圧力が半導体装置にかかった場合、半導体装置の上層の保護膜にクラックが生じ、半導体装置の長期信頼性を落とすことになる。
【0028】
例えば、バックグラインド工程では、
図1に示した構成の場合、保護膜109の上部に貼り付けた接着テープによって、バックグラインド工程を行う装置の基台に固定する。そして、シリコン基板101の裏面側を研磨することで、シリコン基板101の厚みを低減させる。このシリコン基板101を研磨する際に、接着テープが貼り付けられた保護膜109に荷重集中が生じ得る。この結果、保護膜109にクラックが生じ、配線層108の保護が不十分になる。
【0029】
これに対して、本実施形態では、最上層の配線層を被覆するように形成された第1の保護膜1091と、第1の保護膜上に形成された平坦化膜110と、平坦化膜110上に形成された第2の保護膜1092を形成している。保護膜109は防水性に優れたシリコン窒化膜であり、平坦化膜110より十分に厚い420nmから700nmで配置しているため、第2の保護膜1092にクラックが生じた場合にも、保護膜109でクラックを止め、配線層108まで到達することなく配線層の腐食を防止することができる。
【0030】
また、ナノインデンテーションによる押し込み硬さ評価において、保護膜が1層で十分に厚い場合よりも、平坦化膜と保護膜の組み合わせにより絶縁膜に界面がある方が、同じ厚さでも押し込み荷重に対して効果があることを確認した。
【0031】
また、本実施形態の半導体装置において、
図12のように半導体装置と光学透明粘着シート(OCA:Optical Clear Adhesive)111とシンチレータ112と、を用いた構成にすることで、X線コンピュータ断層撮像装置に使用されるX線CT用検出器に用いる、放射線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。この時、半導体装置にかかる圧力は光学透明粘着シート111とシンチレータ112を用いる前のタイミングとなる。
【0032】
このように、基板上に形成された最上層の配線層に対し、配線層を被覆するように第1の保護膜1091を形成し、第1の保護膜1091上に平坦化膜110、平坦化膜上に第2の保護膜1092を形成し、第1の保護膜1091及び第2の保護膜1092のそれぞれを平坦化膜より厚い半導体装置にすることで、クラックに対する耐性が向上し、配線層の腐食を防止することができる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の半導体装置は、基板と、基板上に形成された最上層の配線層と、配線層を被覆するように形成された第1の保護膜と、第1の保護膜上に形成された平坦化膜と、平坦化膜上に形成された第2の保護膜と、を備え、第1の保護膜と第2の保護膜は、平坦化膜より厚いことを特徴とする。
【0034】
これにより、本実施形態によれば、基板上に形成された最上層の配線層と、配線層を被覆するように形成された第1の保護膜と、第1の保護膜上に形成された平坦化膜と、平坦化膜上に形成された第2の保護膜を備えることで、配線層の腐食を防止することができる。
【0035】
なお、本実施形態は、X線CT用検出器に搭載される半導体装置のように、フォトダイオードの面積が大きく半導体装置の配線密度が低いものにおいてより効果的である。
【0036】
なお、上述した実施形態は、半導体装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については同一の符号を付与しえ詳細な説明を省略する。また、以下で説明する他の実施形態は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0037】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、
図13を用いて説明する。
図13は、第2の実施形に係る半導体装置の構成を示す断面図である。第2実施形態では、上述した第1実施形態に係る半導体装置と概ね同様の構成を備えており、共通する部分は共通の符号を付与し説明は省略する。第2実施形態の半導体装置において、
図13のように第2の保護膜1092上の上に有機膜211を用いてもよい。
【0038】
図14は、第2実施形態の半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
図14に示すステップS301からS304は、
図4に示すステップS301からステップS304まで共通であるため、詳細の説明は省略する。
【0039】
ステップS305では、
図13に示されるように、第2の保護膜1092上に有機膜211を形成させる。有機膜211は、有機系材料を用いた有機系材料膜であり、本実施形態では少なくとも1層の有機系材料膜が1μmから3μm程度の厚みで形成される。
【0040】
また、上記第1の実施形態の
図12のように、有機膜211の上に光学透明粘着シート111が設けられ、光学透明粘着シート111上にシンチレータ112を設けられる構成にすることで、X線検出器に用いるX線コンピュータ断層撮像装置とすることができる。この時、半導体装置にかかる圧力は、第1の実施形態同様に光学透明粘着シート111とシンチレータ112を用いる前のタイミングとなる。
【0041】
このように、基板上に形成された最上層の配線層に対し、配線層を被覆するように第1の保護膜を形成し、第1の保護膜上に平坦化膜、平坦化膜上に第2の保護膜を形成し、第2の保護膜上に有機膜を形成し、保護膜と有機膜を平坦化膜より十分厚い半導体装置にすることで、クラックに対する耐性が向上し、半導体装置と光学透明粘着シート111とシンチレータ112を用いた構成にする場合には光学透明粘着シート111との密着性も向上することができる。
【0042】
(第3実施形態)
続いて、第1実施形態及び第2実施形態の半導体装置をX線コンピュータ断層撮像装置が備えるX線検出器に適用する形態について説明する。
【0043】
図15は、X線コンピュータ断層撮像装置1の構成の一例を示す図である。
図15に示すように、X線コンピュータ断層撮像装置1は、架台10、寝台30及びコンソール40を有する。なお、
図15では説明の都合上、架台10が複数描画されている。架台10は、被検体PをX線CT撮像するための構成を有するスキャン装置である。寝台30は、X線CT撮像の対象となる被検体Pを載置し、被検体Pを位置決めするための搬送装置である。
【0044】
コンソール40は、架台10、寝台30を制御するコンピュータである。例えば、架台10及び寝台30はCT検査室に設置され、コンソール40はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10、寝台30及びコンソール40は、互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。
【0045】
なお、コンソール40は、必ずしも制御室に設置されなくてもよい。例えば、コンソール40は、架台10及び寝台30と共に同一の部屋に設置されてもよい。また、コンソール40が架台10に組み込まれてもよい。
【0046】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0047】
図15に示すように、架台10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路(Data Acquisition System:DAS)18を有する。
【0048】
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、被検体Pに対してX線を照射する。
【0049】
なお、X線を発生させるハードウェアはX線管11に限られない。例えば、X線管11に代えて、第5世代方式を用いてX線を発生させることにしても構わない。第5世代方式は、電子銃から発生した電子ビームを集束させるフォーカスコイルと、電磁偏向させる偏向コイルと、被検体Pの半周を囲い偏向した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングとを含む。
【0050】
X線検出器12は、X線管11から照射され被検体Pを通過したX線を検出し、検出されたX線の線量に対応した電気信号をデータ収集回路18に出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列を有する。
【0051】
X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子がスライス方向(列方向,row方向)に複数配列された構造を有する。また、X線検出器12は、例えば、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射面側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。
【0052】
X線検出器12は、上述した第1実施形態及び第2実施形態の半導体装置をX線検出素子に適用する。例えば、X線検出器12は、基板と、基板上に形成された配線層105と、配線層105を被覆するように形成された第1の保護膜1091と、第1の保護膜上に形成された平坦化膜110と、平坦化膜上に形成された第2の保護膜1092と、を備え、第1の保護膜1091と第2の保護膜1092は、平坦化膜110より厚い。
【0053】
なお、グリッドは、コリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光の光量に応じた電気信号に変換する機能を有する。光センサとしては、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプアイヤー:PMT)等が用いられる。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。ここで、X線検出器12は、検出部の一例である。
【0054】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13の開口部19には、画像視野(FOV)が設定される。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。
【0055】
なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路18等をさらに支持することもできる。また、回転フレーム13は、
図15において図示しない種々の構成をさらに支持することもできる。
【0056】
X線高電圧装置14は、高電圧発生装置及びX線制御装置を有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御装置は、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行う。
【0057】
高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置14は、架台10内の回転フレーム13に設けられてもよいし、架台10内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0058】
制御装置15は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構と、この駆動機構を制御するプロセッサ及びメモリ等を有する処理回路とを含む。制御装置15は、入力インターフェース43や架台10に設けられた入力インターフェース等からの入力信号を受けて、架台10及び寝台30の動作制御を行う。
【0059】
制御装置15による動作制御としては、例えば、回転フレーム13を回転させる制御、架台10をチルトさせる制御及び寝台30を動作させる制御等がある。なお、架台10をチルトさせる制御は、架台10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。
【0060】
なお、制御装置15は架台10に設けられてもよいし、コンソール40に設けられてもよい。ここで、制御装置15は、医用寝台制御装置の一例であり得る。
【0061】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。
【0062】
例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工して構成される。
【0063】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ17は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0064】
データ収集回路18は、X線検出器12により検出されたX線の線量に応じた電気信号をX線検出器12から読み出す。データ収集回路18は、読み出した電気信号を増幅し、ビュー期間に亘り電気信号を積分(加算)することにより当該ビュー期間に亘るX線の線量に応じたデジタル値を有する検出データを収集する。検出データは、投影データと呼ばれる。
【0065】
データ収集回路18は、例えば、投影データを生成可能な回路素子を搭載した特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)により実現される。投影データは、非接触データ伝送装置等を介してコンソール40に伝送される。ここで、データ収集回路18は、検出部の一例である。
【0066】
なお、データ収集回路18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から光通信によって架台10の非回転部分(例えば、固定フレーム。
図15での図示は省略している。)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール40へと転送される。なお、回転部分の回転フレーム13から架台10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ転送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
【0067】
寝台30は、スキャン対象の被検体Pを載置、架台10の中空へ天板33を移動させる装置である。寝台30は、基台31、寝台駆動装置32、天板33及び支持フレーム34を有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長手方向に移動する駆動機構である。寝台駆動装置32は、モータ及びアクチュエータ等を含む。
【0068】
天板33は、被検体Pを載置する板である。天板33は、支持フレーム34の上面に設けられる。天板33は、被検体Pの全身が撮像可能となるように、寝台30から架台10側へ突出する(長手方向に移動可能である)ことが可能である。天板33は、例えば、X線の透過性と、剛性及び強度等の物理特性とが良好な炭素繊維強化樹脂(Carbon Fiber Reinforced Plastic;CFRP)により形成される。また、例えば、天板33の内部は、空洞である。
【0069】
支持フレーム34は、天板33を、天板33の長手方向に移動可能に支持する。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長手方向に移動させてもよい。なお、寝台30は、医用寝台装置の一例である。
【0070】
コンソール40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を有する。メモリ41とディスプレイ42と入力インターフェース43と処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール40は架台10とは別体として説明するが、架台10にコンソール40又はコンソール40の各構成要素の一部が含まれてもよい。ここで、コンソール40は、医用寝台制御装置の一例である。
【0071】
メモリ41は、例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。また、例えば、メモリ41は、各種のプログラムを記憶する。なお、メモリ41の保存領域は、X線コンピュータ断層撮像装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。ここで、メモリ41は、記憶部の一例である。
【0072】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。ディスプレイ42に表示される情報は、実施形態に係る寝台制御における通知情報を含む。ディスプレイ42としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。
【0073】
例えば、ディスプレイ42として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイが使用可能である。
【0074】
なお、ディスプレイ42は、制御室の如何なる場所に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、架台10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール40の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ42として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。ここで、ディスプレイ42は、表示部の一例である。
【0075】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、撮像条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像データに対する画像処理条件等を操作者から受け付ける。
【0076】
入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
【0077】
なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、これらの物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。
【0078】
また、入力インターフェース43は、架台10及び/又は寝台30に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ここで、入力インターフェース43は、入力部の一例である。
【0079】
処理回路44は、X線コンピュータ断層撮像装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、ハードウェア資源として、プロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリにロードされたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、画像生成機能442、画像処理機能443及び表示制御機能444等を実行する。ここで、処理回路44は、処理部の一例である。
【0080】
システム制御機能441において処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。例えば、処理回路44は、寝台30の天板33の位置を制御する。処理回路44は、架台10で行われるCTスキャンを制御する。また、処理回路44は、CTスキャンで得られた検出データを取得する。なお、処理回路44は、X線コンピュータ断層撮像装置1の外部から被検体Pに関する検出データを取得してもよい。
【0081】
画像生成機能442において処理回路44は、データ収集回路18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。処理回路44は、生成されたデータをメモリ41に格納する。
【0082】
なお、前処理前のデータ(検出データ)及び前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。処理回路44は、生成された投影データ(前処理後の投影データ)に対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、機械学習等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。処理回路44は、生成されたCT画像データをメモリ41に格納する。
【0083】
画像処理機能443において処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、画像生成機能442によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。例えば、処理回路44は、当該CT画像データにボリュームレンダリングや、サーフェスレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planar Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して、任意視点方向のレンダリング画像データを生成する。
【0084】
なお、任意視点方向のレンダリング画像データ等の3次元画像データ、すなわちボリュームデータの生成は、画像生成機能442が直接行っても構わない。処理回路44は、断層像データや3次元画像データをメモリ41に格納する。
【0085】
表示制御機能444において処理回路44は、画像処理機能443により生成された各種画像データに基づいて、画像をディスプレイ42に表示させる。また、ディスプレイ42に表示させる画像は、CT画像データに基づくCT画像、任意断面の断面画像データに基づく断面画像、任意視点方向のレンダリング画像データに基づく任意視点方向のレンダリング画像等を含む。また、ディスプレイ42に表示させる画像は、操作画面を表示するための画像や操作者への通知及び警告を表示するための画像を含む。ここで、表示制御機能444を実現する処理回路44は、表示制御部の一例である。
【0086】
なお、各機能441~444は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各機能441~444を実現するものとしても構わない。ここで、各機能441~444は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0087】
なお、コンソール40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明したが、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。例えば、画像生成機能442及び画像処理機能443等の処理回路44の機能を分散して有しても構わない。
【0088】
なお、処理回路44の一部又は全部は、コンソール40に含まれる場合に限らず、複数の医用画像診断装置にて取得された検出データに対する処理を一括して行う統合サーバに含まれてもよい。
【0089】
なお、後処理及び表示処理のうちの少なくとも1の処理は、コンソール40又は外部のワークステーションのどちらで実施することにしても構わない。また、コンソール40とワークステーションの両方で同時に処理することにしても構わない。ワークステーションとしては、例えば、各処理に対応する機能を実現するプロセッサと、ROMやRAM等のメモリとをハードウェア資源として有するコンピュータ等が適宜利用可能である。
【0090】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)等の回路を意味する。PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムが保存された記憶回路は、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体である。
【0091】
なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組み合わせにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図15における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0092】
なお、X線CT画像データの再構成においては、フルスキャン再構成方式及びハーフスキャン再構成方式のいずれの再構成方式が適用されてもよい。例えば、画像生成機能442において処理回路44は、フルスキャン再構成方式では、被検体Pの周囲一周、360度分の投影データを用いる。また、処理回路44は、ハーフスキャン再構成方式では、180度+ファン角度分の投影データを用いる。以下では、説明の簡単のため、処理回路44は、被検体Pの周囲一周、360度分の投影データを用いて再構成するフルスキャン再構成方式を用いるものとする。
【0093】
なお、本実施形態に係る技術は、一管球型のX線コンピュータ断層撮像装置にも、X線管と検出器との複数のペアを回転リングに搭載した、いわゆる多管球型のX線コンピュータ断層撮像装置にも適用可能である。
【0094】
なお、本実施形態に係る技術は、デュアルエネルギー方式で撮像できるように構成されたX線コンピュータ断層撮像装置1にも適用可能である。このとき、X線高電圧装置14は、例えば2種の電圧値の高速スイッチングにより、X線管11から射出されるX線のエネルギースペクトルを交互に切り替えることができる。つまり、X線コンピュータ断層撮像装置1は、管電圧変調の制御信号に従うタイミングで管電圧を変調しながら各収集ビューで投影データを収集できるように構成されている。被検体Pを異なる管電圧で撮像することにより、X線のエネルギースペクトルごとの物質のエネルギー透過性に基づいて、CT画像における濃淡のコントラストを向上させることができる。
【0095】
なお、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1は、逐次読み出し方式でX線検出器12から電気信号を読み出すように構成されているとする。
【0096】
なお、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮像装置1は、架台10及び寝台30が移動可能な移動型CTとして構成されていても構わない。
【0097】
なお、実施形態に係る寝台制御は、例えば、X線コンピュータ断層撮像装置1のコンソール40により実現されるが、制御装置15により実現されてもよいし、架台10又は寝台30に搭載されたコンピュータにより実現されても構わない。
【0098】
例えば、X線コンピュータ断層撮像装置には、第3世代CT(Computed Tomography)、第4世代CT等様々なタイプがあるが、いずれのタイプでも各実施形態へ適用可能である。ここで、第3世代CTは、X線管と検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Typeである。第4世代CTは、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Typeである。
【0099】
いくつかの実施形態を参照して本開示を説明したが、これらの実施形態は、本開示の原理と用途の例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
1 X線コンピュータ断層撮像装置
12 X線検出器
101 シリコン基板(基板)
102 MOSトランジスタ
103 層間絶縁膜
104 コンタクト
105 配線層
106 層間絶縁膜
107 ビア
108 配線層
109 保護膜
110 平坦化膜
111 光学透明粘着シート(OCA)
112 シンチレータ
211 有機膜
1091 第1の保護膜
1092 第2の保護膜