IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝エレベータ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-エレベータ制御システム 図1
  • 特開-エレベータ制御システム 図2
  • 特開-エレベータ制御システム 図3
  • 特開-エレベータ制御システム 図4
  • 特開-エレベータ制御システム 図5
  • 特開-エレベータ制御システム 図6
  • 特開-エレベータ制御システム 図7
  • 特開-エレベータ制御システム 図8
  • 特開-エレベータ制御システム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015534
(43)【公開日】2024-02-06
(54)【発明の名称】エレベータ制御システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/02 20060101AFI20240130BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20240130BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B66B5/02 S
B66B5/00 G
B66B3/00 R
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022115027
(22)【出願日】2022-07-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 康伸
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303AA05
3F303CB42
3F303EA03
3F303FA01
3F304CA11
3F304EA29
3F304ED16
(57)【要約】
【課題】利用者の利便性を損なわないようにすること。
【解決手段】実施形態にかかるエレベータ制御システムは、複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を前記遠隔サービスシステムに送信する制御部、を備え、前記遠隔サービスシステムは、前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外の前記エレベータ制御装置である第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、前記第2のエレベータ制御装置の前記制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置と、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれにネットワークで接続される遠隔サービスシステムと、を備えるエレベータ制御システムであって、
前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、
一または複数の機能部を有し、前記エレベータ制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を前記遠隔サービスシステムに送信する制御部、を備え、
前記遠隔サービスシステムは、
前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、
前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外の前記エレベータ制御装置である第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、
前記第2のエレベータ制御装置の前記制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行する、
エレベータ制御システム。
【請求項2】
前記遠隔サービスシステムは、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置が制御するエレベータに隣接するエレベータを制御する前記エレベータ制御装置を、前記第2のエレベータ制御装置として選定する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項3】
前記遠隔サービスシステムは、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外であって、プロセッサの処理負荷が所定量未満の前記エレベータ制御装置を、前記第2のエレベータ制御装置として選定する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項4】
前記遠隔サービスシステムは、前記第1のエレベータ制御装置が制御するエレベータが配置される建物または敷地と同一の建物または敷地に配置されるエレベータを制御する前記エレベータ制御装置を、前記第2のエレベータ制御装置として選定する、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の機能部として、
前記エレベータの基本的な制御を行う基本機能制御部と、
前記エレベータに関するオプション機能の制御を行うオプション機能制御部と、
前記基本機能制御部または前記オプション機能制御部を監視し、前記オプション機能制御部が故障した場合に、前記オプション機能制御部が故障した旨を前記遠隔サービスシステムに通知する遠隔監視部と、を備える、
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項6】
前記第2のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部の機能のすべての代行する処理を実行する、
請求項5に記載のエレベータ制御システム。
【請求項7】
前記第2のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部の機能のうち不足機能の有無を判断し、不足機能が存在する場合には、前記遠隔サービスシステムから前記不足機能をダウンロードしてインストールする、
請求項6に記載のエレベータ制御システム。
【請求項8】
前記第2のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部の機能のうち、利用頻度が所定数以上の機能を代行し、利用頻度が所定数未満の機能は代行しない処理を実行する、
請求項5に記載のエレベータ制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記複数の機能部として、
前記エレベータの基本的な制御を行う基本機能制御部と、
前記エレベータに関するオプション機能の制御を行うオプション機能制御部と、
前記基本機能制御部または前記オプション機能制御部を監視する監視部と、を備え、
前記オプション機能制御部は、前記遠隔監視部が故障した場合に、前記遠隔監視部が故障した旨を前記遠隔サービスシステムに通知する
請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項10】
複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置と、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれにネットワークで接続される遠隔サービスシステムと、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれに対応して接続され、複数のエレベータの呼びを統合的に制御する複数の群管理制御装置と、を備えるエレベータ制御システムであって、
前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、
一または複数の機能部を有し、前記エレベータを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を前記遠隔サービスシステムに送信する制御部、を備え、
前記遠隔サービスシステムは、
前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、
前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数の群管理制御装置の中から、マスターとなる前記群管理制御装置を選定し、選定された前記群管理制御装置または選定された前記群管理制御装置に対応して接続される前記エレベータ制御装置、に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、
選定された前記群管理制御装置は、前記遠隔サービスシステムから前記代行指示を直接または前記エレベータ制御装置を経由して受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行する、
エレベータ制御システム。
【請求項11】
前記遠隔サービスシステムは、
前記第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信する監視装置と、
前記監視装置が、前記第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信する管理装置と、
を備える請求項1に記載のエレベータ制御システム。
【請求項12】
複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置を備えるエレベータ制御システムであって、
前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、
一または複数の機能部を有し、前記エレベータを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を他のエレベータ制御装置に送信する制御部、を備え、
前記他のエレベータ制御装置は、
前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、
前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外の前記エレベータ制御装置である第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、
前記第2のエレベータ制御装置の前記制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行する、
エレベータ制御システム。
【請求項13】
複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置と、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれに対応して接続され、複数のエレベータの呼びを統合的に制御する複数の群管理制御装置を備えるエレベータ制御システムであって、
前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、
一または複数の機能部を有し、前記エレベータを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨をマスターとなる群管理制御装置に送信する制御部、を備え、
前記マスターとなる群管理制御装置は、
前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、
前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外の前記エレベータ制御装置である第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、
前記第2のエレベータ制御装置の前記制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行する、
エレベータ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベータの運行制御を行うエレベータ制御装置には、エレベータの運行制御として基本的な制御を行う基本機能の他に、例えば、携帯端末からの呼びの応答による制御等のオプション機能や、基本機能制御やオプション機能制御の監視を行ってネットワークを介して遠隔サービスシステム等の通知する遠隔監視機能が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-158578号公報
【特許文献2】特許第6994792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベータ制御装置において、このような基本機能以外の種々の機能のうちの一部の機能の制御を行う制御部分が故障すると、エレベータ制御装置に搭載されるすべての機能を利用することが困難になってしまう。このため、従来技術では、このような問題を回避するため、エレベータ制御装置は、一部の機能に故障が生じた場合でも、基本制御だけは実行するようにしている。
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、一部の機能に故障が生じた場合には、エレベータは基本機能だけの運行となってしまい、利用者の利便性が著しく低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態にかかるエレベータ制御システムは、複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置と、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれにネットワークで接続される遠隔サービスシステムと、を備えるエレベータ制御システムであって、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、一または複数の機能部を有し、前記エレベータを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を前記遠隔サービスシステムに送信する制御部、を備え、前記遠隔サービスシステムは、前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外の前記エレベータ制御装置である第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、前記第2のエレベータ制御装置の前記制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係るエレベータ制御システムの構成図である。
図2図2は、第1の実施形態にかかるエレベータ制御処理の流れを示すシーケンス図である。
図3図3は、第1の実施形態にかかるオプション機能制御部による代行開始処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、第2の実施形態に係るエレベータ制御システムの構成図である。
図5図5は、第2の実施形態にかかるエレベータ制御処理の流れを示すシーケンス図である。
図6図6は、第3の実施形態に係るエレベータ制御システムの構成図である。
図7図7は、第3の実施形態にかかるエレベータ制御処理の流れを示すシーケンス図である。
図8図8は、第4の実施形態に係るエレベータ制御システムの構成図である。
図9図9は、第4の実施形態にかかるエレベータ制御処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
[第1の実施形態」
図1は、第1の実施形態に係るエレベータ制御システム1の構成図である。本実施形態に係るエレベータ制御システム1は少なくとも2台のエレベータ10A,10Bと、遠隔サービスシステム200と、を備えている。エレベータ10A,10Bのそれぞれと、遠隔サービスシステム200は公衆回線50A,50Bで接続されている。エレベータ10AをA号機、エレベータ10BをB号機と称する場合もある。
【0010】
エレベータ10Aは、昇降路を上下移動する不図示の乗りかごに設けられたエレベータ制御装置100Aと外部通信インタフェイス(外部通信IFと称する)110Aと、を主に備えている。
【0011】
エレベータ制御装置100Aは、乗りかごの移動制御を行い、また遠隔サービスシステム200と各種通信を行う。本実施形態では、エレベータ制御装置100Aは、エレベータ10Aの乗りかごを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を遠隔サービスシステムに送信する制御部として機能する。
【0012】
外部通信IF110Aは、公衆回線網50A等のネットワークを介して遠隔サービスシステム200と各種通信のインタフェイスとなる。
【0013】
エレベータ制御装置100Aは、図1に示すように、基本機能制御部101Aと、遠隔監視部103Aと、オプション機能制御部105Aと、を主に備えている。
【0014】
ここで、エレベータ10B(B号機)もエレベータ10Aと同じ構成をしており、不図示の乗りかごに設けられたエレベータ制御装置100Bと外部通信IF110Bとを備えている。エレベータ制御装置100Bは、エレベータ制御装置100Aと同様の機能、構成であり、基本機能制御部101Bと、遠隔監視部103Bと、オプション機能制御部105Bと、を主に備えている。外部通信IF110Bも、外部通信IF110Aと同様である。
【0015】
ここで、エレベータ10A、エレベータ10Bを区別しない場合にはエレベータ10と称する。エレベータ制御装置100A,エレベータ制御装置100Bを区別しない場合には、エレベータ制御装置100と称する。外部通信IF110A,外部通信IF110Bを区別しない場合には、外部通信IF110と称する。基本機能制御部101A、基本機能制御部101Bを区別しない場合には基本機能制御部101と称する。遠隔監視部103A,遠隔監視部103Bを区別しない場合には遠隔監視部103と称する。オプション機能制御部105A、オプション機能制御部105Bを区別しない場合にはオプション機能制御部105と称する。公衆回線50A,公衆回線50Bを区別しない場合には、公衆回線50と称する。なお、これ以降の実施形態においても、同様の構成の場合には、総称についての説明を省略する。さらに、例えば、これ以降の実施形態において、エレベータ10C等のように3台目が登場する場合においても、特に区別しない場合には、エレベータ10等で総称し、総称についての説明を省略する。
【0016】
基本機能制御部101は、エレベータ10の基本的な制御を行う。具体的には、基本機能制御部101は、乗りかごからの利用者による行き先階呼びや乗り場からの利用者による乗り場呼びを受信して、乗りかごの移動制御を行う等のエレベータに関する基本的な制御を実行する。
【0017】
ここで、行き先階呼びとは、乗りかご内の利用者が、その乗りかごを所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかごをその乗り場に到着させるために行う操作である。乗り場呼びは、かご呼びと称される場合もある。
【0018】
オプション機能制御部105は、エレベータの制御のうち基本制御以外のオプション機能を制御する。オプション機能は、顧客によって異なってくる仕様の付加的な機能である。オプション機能としては、例えば、スマートフォン等の携帯端末からの呼びを受けて乗りかごの移動を制御する機能、ロボットと連動する機能、エレベータ制御装置100の制御基板のソフトウェアバージョンアップ等の機能が該当するが、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、オプション機能制御部105は、遠隔サービスシステム200の管理装置220から、オプション機能制御部105が故障している他のエレベータ制御装置100の代行指示を受信した場合には、他のエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105で実行すべき処理を代行して実行する。
【0020】
オプション機能制御部105は、他のエレベータ制御装置100の代行指示を受信した場合に、当該他のエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105の機能のすべての代行する処理を実行する。
【0021】
ここで、オプション機能制御部105は、代行の対象である他のエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105の機能のうち、自身のオプション機能制御部105の機能で不足している機能の有無を判断する。そして、オプション機能制御部105は、不足機能が存在する場合には、遠隔サービスシステム200から不足機能のソフトウェアをダウンロードしてインストールする。これにより、オプション機能制御部105は、自身のオプション機能制御部105の機能に不足の機能があった場合でも、故障した他のエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105を代行して実行可能となる。
【0022】
遠隔監視部103は、基本機能制御部101やオプション機能制御部105を監視する。オプション機能制御部105が故障した場合に、遠隔監視部103は、この故障を検知し、オプション機能制御部105が故障したことを、基本機能制御部101に通知する。基本機能制御部101は、遠隔監視部103、外部通信IF110を介して、一部の機能部としてオプション機能制御部105が故障した旨を、遠隔サービスシステム200に通知する。
【0023】
次に、遠隔サービスシステム200について説明する。遠隔サービスシステム200は、図1に示すように、監視装置210と、管理装置220とを主に備えている。監視装置210と管理装置220とは、有線または無線のネットワークで接続されている。
【0024】
監視装置210は、エレベータ制御装置100から、一部の機能部としてのオプション機能制御部105が故障した旨の通知を受信し、その旨の通知をエレベータ制御装置100の識別情報とともに管理装置220に送信する。
【0025】
管理装置220は、監視装置210からエレベータ制御装置100においてオプション機能制御部105が故障した旨の通知を受信した場合に、他のエレベータ制御装置100の中から故障したエレベータ制御装置100を代行するエレベータ制御装置100を選定する。本実施形態では、管理装置220は、故障したエレベータ制御装置100が設けられたエレベータ10と隣接するエレベータ10のエレベータ制御装置100を、代行処理を実行させるエレベータ制御装置100として選定する。そして、管理装置220は、選定されたエレベータ10のエレベータ制御装置100に対して、故障したエレベータ制御装置100の代行指示を送信する。
【0026】
次に、以上のように構成された本実施形態にかかるエレベータ制御システムによるエレベータ制御処理について説明する。
図2は、第1の実施形態にかかるエレベータ制御処理の流れを示すシーケンス図である。この例では、エレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aが故障し、隣のエレベータ10のエレベータ制御装置100Bのオプション機能制御部105Bが、エレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aを代行する場合を例にあげて説明する。
【0027】
エレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aにおいて故障が発生したものとする(S11)。エレベータ制御装置100Aの遠隔監視部103Aは、定期的にオプション機能制御部105Aにおける故障の発生状況を確認しており(S13)、オプション機能制御部105Aで故障が発生したことを、遠隔監視部103Aが検知する(S15)。
【0028】
遠隔監視部103Aは、オプション機能制御部105Aで故障の発生を検知すると、その旨を基本機能制御部101Aに通知する(S16)。基本機能制御部101Aは、当該通知を受けると、オプション機能制御部105Aで故障の発生の旨を、遠隔監視部103Aを介して(S17)、遠隔サービスシステム200の監視装置210に通知する(S19)。
【0029】
遠隔サービスシステム200の監視装置210は、エレベータ制御装置100Aからオプション機能制御部105Aで故障の発生の旨の通知を受信すると、当該通知を、管理装置220に送信する(S21)。
【0030】
管理装置220は、エレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aにおける故障発生の旨の通知を受信すると、エレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aを代行するエレベータ制御装置100として、エレベータ10Aに隣接するエレベータ10Bのエレベータ制御装置100Bを選定する(S23)。そして、監視装置210は、選定したエレベータ制御装置100Bのオプション機能制御部105Bに対して、故障したエレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aの代行開始指示を送信する(S25)。
【0031】
エレベータ制御装置100Bのオプション機能制御部105Bは、管理装置220から故障したエレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aの代行指示を受信すると、代行開始処理を実行する(S27)。
【0032】
図3は、第1の実施形態にかかるオプション機能制御部110Bによる代行開始処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0033】
オプション機能制御部105Bは、管理装置220からの代行指示開始待ち状態にある(S61,S61:No)。オプション機能制御部105Bが、S27のように管理装置220からのエレベータA号機の代行指示開始を受信すると(S61:Yes)、代行対象のエレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aの機能を全て実装しているか否かを判断する(S63)。
【0034】
ここで、エレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aの機能は、予め、オプション機能制御部105Bがエレベータ制御装置100Aから取得しておく他、代行開始指示とともに管理装置220から受信するように構成してもよい。
【0035】
オプション機能制御部105Bが、代行対象のエレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aの機能のいずれかを実装していない場合には(S63:No)、不足するオプション機能を管理装置220に対して要求する(S65)。この要求に対して管理装置220が不足しているオプション機能のソフトウェアパッケージを送信してくるので、オプション機能制御部105Bは、不足しているオプション機能のソフトウェアパッケージの受信待ちとなる(S67、S67:No)。すなわち、オプション機能制御部105Bが不足しているオプション機能のソフトウェアパッケージを受信していない場合には(S67:No)、処理はS65へ戻る。
【0036】
オプション機能制御部105Bは、管理装置220から、不足しているオプション機能のソフトウェアパッケージを受信した場合には(S67:Yes)、受信したオプション機能のソフトウェアパッケージをインストールする(S69)。これにより、オプション機能制御部105Bは、エレベータ制御装置100Aのオプション機能のすべての機能を代行することが可能となる。
【0037】
S63において、オプション機能制御部105Bが、代行対象のエレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aの機能のすべての機能を実装している場合には(S63:Yes)、処理は終了する。
【0038】
図2に戻り、次に、管理装置220がエレベータA号機のオプション機能実行指示を、代行するエレベータ制御装置100Bに送信してきた場合(S29)、エレベータ制御装置100Bのオプション機能制御部105Bが当該オプション機能実行指示を受信する。そして、オプション機能制御部105Bは、エレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aのオプション機能を代行で実行する(S31)。
【0039】
管理装置220がエレベータB号機のオプション機能実行指示を、通常どおり、エレベータ制御装置100Bに送信してきた場合(S33)、エレベータ制御装置100Bのオプション機能制御部105Bが当該オプション機能実行指示を受信する。そして、オプション機能制御部105Bは、自身のオプション機能を実行する(S35)。
【0040】
次に、エレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aにおいて故障から復帰したとする(S37)。エレベータ制御装置100Aの遠隔監視部103Aは、定期的にオプション機能制御部105Aにおける故障の発生状況を確認しており(S39)、オプション機能制御部105Aで故障から復帰したことを、遠隔監視部103Aが検知する(S41)。
【0041】
遠隔監視部103Aは、オプション機能制御部105Aでの故障からの復帰を検知すると、その旨を基本機能制御部101Aに通知する(S42)。基本機能制御部101Aは、当該通知を受けると、さらに、オプション機能制御部105Aが故障から復帰した旨を、遠隔監視部103Aを介して(S43)、遠隔サービスシステム200の監視装置210に通知する(S45)。
【0042】
遠隔サービスシステム200の監視装置210は、エレベータ制御装置100Aからオプション機能制御部105Aで故障からの復帰の旨の通知を受信すると、当該通知を、管理装置220に送信する(S47)。
【0043】
当該通知を受信した管理装置220は、今まで代行処理を行っていたエレベータ制御装置100Bのオプション機能制御部105Bに対して、代行終了指示を送信する(S49)。オプション機能制御部105Bが代行終了指示を受信すると、所定の代行終了処理を実行する(S51)。これにより、代行処理は終了する。
【0044】
このように本実施形態では、エレベータ制御装置100のオプション機能制御部105が故障した場合に、遠隔監視部103が故障の旨を遠隔サービスシステム200に送信し、遠隔サービスシステム200の管理装置210が、複数のエレベータ制御装置100の中から、故障したエレベータ制御装置100以外のエレベータ制御装置100を選定し、選定されたエレベータ制御装置100に対して、故障したエレベータ制御装置100の代行指示を送信し、選定されたエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105が当該代行指示を受信した場合に、故障したエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105を代行する処理を実行する。
【0045】
具体的には、管理装置220は、複数のエレベータ制御装置100の中から、故障したエレベータ制御装置100が制御するエレベータ10に隣接するエレベータ10を制御するエレベータ制御装置100を、代行処理を実行させるエレベータ制御装置100として選定する。
【0046】
従って、本実施形態によれば、オプション機能制御部105が故障した場合でも、他のエレベータ制御装置100でオプション機能の代行により、利用者は基本機能の他にオプション機能の利用が可能となり、利用者の利便性を損なわないようにすることができる。
【0047】
また、本実施形態では、オプション機能制御部105は、故障したエレベータ制御装置100の代行指示を受信した場合に、故障したエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105の機能のすべての代行する処理を実行する。このため、いずれのオプション機能が故障した場合でも、利用者は、利用者は基本機能の他にすべてのオプション機能の利用が可能となり、利用者の利便性を損なわないようにすることができる。
【0048】
オプション機能制御部105は、故障したエレベータ制御装置の代行指示を受信した場合に、故障したエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105の機能のうち不足機能の有無を判断し、不足機能が存在する場合には、遠隔サービスシステム200から不足機能をダウンロードしてインストールする。このため、利用者が利用するエレベータにおいて、代行するエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105に存在しないオプション機能が故障した場合でも、当該オプション機能が補填されるので、利用者は、利用者はすべてのオプション機能の利用が可能となり、利用者の利便性を損なわないようにすることができる。
【0049】
(変形例)
上記実施形態では、選定されたエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105は、故障したエレベータ制御装置110のオプション機能制御部105のすべてのオプション機能を代行していたが、これに限定されるものではない。例えば、故障したエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105の機能のうち、利用頻度が所定数以上の機能を代行し、利用頻度が所定数未満の機能は代行しない処理を実行するようにオプション機能制御部105を構成してもよい。この場合には、利用頻度の低いオプション機能の代行の可能性は低いため、エレベータ制御装置100の代行処理の負担を軽減することが可能となる。
【0050】
[第2の実施形態]
第1の実施形態は、故障したエレベータ制御装置100のオプション機能制御部を、他のエレベータ制御装置100のオプション機能制御部105が代行するものであったが、この第2の実施形態では、マスターとなっている群管理制御装置が代行する。
【0051】
図4は、第2の実施形態に係るエレベータ制御システム1001の構成図である。本実施形態に係るエレベータ制御システム1001は3台のエレベータ10A,10B、10Cと、遠隔サービスシステム1200と、を備えている。エレベータ10A,10B、10Cのそれぞれと、遠隔サービスシステム1200は公衆回線50A,50B,50Cで接続されている。エレベータ10AをA号機、エレベータ10BをB号機、エレベータ10CをC号機と称する場合もある。なお、エレベータは3台に限定されるものではなく、4台以上有しても良い。また、第1の実施形態と同一の機能を有する構成には第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
エレベータ10は、昇降路を上下移動する不図示の乗りかごに設けられたエレベータ制御装置1100と、群管理制御装置150と、外部通信IF110と、を主に備えている。ここで、エレベータ制御装置1100A,1100B,1100Cを区別しないときは、エレベータ制御装置1100と称する。群管理制御装置150A,150B,150Cを区別しない場合には群管理制御装置150と称する。
【0053】
エレベータ制御装置1100は、乗りかごの移動制御を行い、また遠隔サービスシステム1200と各種通信を行う。本実施形態では、エレベータ制御装置1100は、第1の実施形態と同様に、エレベータ10の乗りかごを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を遠隔サービスシステムに送信する制御部として機能する。外部通信IF110は、第1の実施形態と同様である。
【0054】
エレベータ制御装置1100は、図4に示すように、基本機能制御部101と、遠隔監視部103と、オプション機能制御部1105と、を主に備えている。ここで、基本機能制御部101と、遠隔監視部103は、第1の実施形態と同様である。
【0055】
オプション機能制御部1105は、代行処理を実行しない点で、第1の実施形態のオプション機能制御部105と異なっている。その他の機能は、第1の実施形態のオプション機能制御部105と同様である。なお、管理装置1220からの代行指示を受信した場合に、第1の実施形態と同様に、故障したエレベータ制御装置1100の代行処理を実行するようにオプション機能制御部1105を構成してもよい。
【0056】
なお、本実施形態において、オプション機能制御部1105A,1105B、1105Cを区別しないときは、オプション機能制御部1105と称する。
【0057】
群管理制御装置150A,150B,150Cのそれぞれは互いに有線または無線のネットワークで接続されいる。群管理制御装置150A,150B,150Cのそれぞれは、互いに連携して、エレベータ10A,10B,10Cの乗りかごの呼び等を統合的に制御する。具体的には、群管理制御装置150A,150B,150Cは、いずれかのエレベータ10で呼びがあった場合に、互いに連携して最適な乗りかごを選定して移動制御する。群管理制御装置150には、マスターとなる1台の群管理制御装置と、マスターの群管理制御装置150からの指令で動作するスレーブとなる一または複数の群管理制御装置150がある。
【0058】
群管理制御装置150は、マスターとなっている場合には遠隔サービスシステム1200に対して、自身が群管理のマスター号機であることを送信する。
【0059】
群管理制御装置150は、さらに、マスターとなっている場合には、遠隔サービスシステム1200の管理装置1220から、故障したエレベータ制御装置1100の代行指示を受信した場合に、故障したエレベータ制御装置1100の一部の機能としてのオプション機能制御部1105の機能を代行する処理を実行する。
【0060】
遠隔サービスシステム1200は、監視装置210と、管理装置1220と、を主に備えている。監視装置210と管理装置1220とは、有線または無線のネットワークで接続されている。監視装置210の機能および構成は第1の実施形態と同様である。
【0061】
管理装置1220は、監視装置210からエレベータ制御装置1100においてオプション機能制御部105が故障した旨の通知を受信した場合に、マスターとなっている群管理制御装置150を、故障したエレベータ制御装置1100を代行する群管理制御装置として選定する。そして、管理装置1220は、選定されたマスターの群管理制御装置150に対して、故障したエレベータ制御装置1100の代行指示を送信する。
【0062】
次に、以上のように構成された本実施形態にかかるエレベータ制御システムによるエレベータ制御処理について説明する。
【0063】
図5は、第2の実施形態にかかるエレベータ制御処理の流れを示すシーケンス図である。この例では、エレベータ制御装置1100Aのオプション機能制御部1105Aが故障し、隣のエレベータのエレベータ制御装置1100Bのオプション機能制御部1105Bが、エレベータ制御装置1100Aのオプション機能制御部1105Aを代行する場合を例にあげて説明する。また、この例では、群管理制御装置150Bがマスターであることを前提とする。
【0064】
エレベータ制御装置1100Aのオプション機能制御部1105Aが故障してから管理装置1220に故障の旨が通知されるまでの処理(S11~S21)までの処理については第1の実施形態と同様に行われる。
【0065】
次に、監視装置210は、故障したエレベータ制御装置1100Aのオプション機能制御部1105Aを代行するエレベータの群管理制御装置150として、マスターとなっている群管理制御装置150Bを選定する(S123)。そして、管理装置1220は、選定された群管理制御装置150Bに、故障したエレベータ制御装置1100Aのオプション機能制御部1105Aの代行開始指示を送信する(S125)。
【0066】
群管理制御装置150Bは、故障したエレベータ制御装置1100Aのオプション機能制御部1105Aの代行開始指示を受信すると、代行開始処理を実行する(S27)。ここで、代行開始処理は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0067】
次に、管理装置1220がエレベータA号機のオプション機能実行指示を、代行する群管理制御装置150Bに送信してきた場合(S129)、群管理制御装置150Bが当該オプション機能実行指示を受信する。そして、群管理制御装置150Bは、エレベータ制御装置1100Aのオプション機能制御部1105Aのオプション機能を代行で実行する(S131)。
【0068】
管理装置1220がエレベータB号機のオプション機能実行指示を、通常どおり、エレベータ制御装置1100Bに送信してきた場合(S33)、エレベータ制御装置1100Bのオプション機能制御部1105Bが当該オプション機能実行指示を受信する。そして、オプション機能制御部1105Bは、自身のオプション機能を実行する(S35)。
【0069】
次に、エレベータ制御装置100Aのオプション機能制御部105Aにおいて故障から復帰したとする(S37)。この場合、第1の実施形態と同様に、S39からS47までの処理で管理装置1220に、故障復帰の旨が通知される。
【0070】
当該通知を受信した管理装置1220は、今まで代行処理を行っていた群管理制御装置150Bに対して、代行終了指示を送信する(S149)。群管理制御装置150Bが代行終了指示を受信すると、所定の代行終了処理を実行する(S51)。これにより代行処理は終了する。
【0071】
このように本実施形態では、エレベータ制御装置1100のオプション機能制御部1105が故障した場合に、遠隔監視部103が故障の旨を遠隔サービスシステム1200に送信し、遠隔サービスシステム1200の管理装置1220が、マスターとなっている群管理制御装置150を選定し、選定された群管理制御装置150に対して、故障したエレベータ制御装置1100の代行指示を送信し、選定された群管理制御装置150が当該代行指示を受信した場合に、故障したエレベータ制御装置1100のオプション機能制御部1105を代行する処理を実行する。
【0072】
従って、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、マスターとなる群管理制御装置150が代行処理を実行させるエレベータ制御装置1100を選定するので、より円滑に選定処理を行うことができ、利用者の利便性を損なわないようにすることができる。
【0073】
(変形例)
第2の実施形態では、故障したエレベータ制御装置1100の代行開始指示を、選定された群管理制御装置150に直接送信していたが、これに限定されるものではない。例えば、当該代行指示を、選定された群管理制御装置150に対応して接続されたエレベータ制御装置1100に送信し、代行開始指示を受信したエレベータ制御装置1100が代行指示を、対応して接続される群管理制御装置150に転送するように、エレベータ制御装置1100、管理装置1220を構成してもよい。
【0074】
また、マスターとなる群管理制御装置150は、選定したエレベータ制御装置1100に代行指示を送信する代わりに、選定したエレベータ制御装置1100に対応して接続された、スレーブとなる群管理制御装置150に代行開始指示を送信するように構成してもよい。これにより、より円滑に代行開始を指示することが可能となるとともに、利用者の利便性を損なわないようにすることができる。
【0075】
第1の実施形態、第2の実施形態において、エレベータ10と遠隔サービスシステム200、1200との間の公衆回線50A,50B,50Cのそれぞれは特にキャリアを特定していなかったが、これに限定されるものではない。エレベータ10と遠隔サービスシステム200、1200との間の公衆回線50A,50B,50Cのそれぞれのキャリアまたは一部のキャリアを異なるように構成することもできる。これによりいずれかのキャリアに障害が生じた場合でも本実施形態の処理が全部停止することを防止することが可能となる。
【0076】
第1の実施形態、第2の実施形態において、一部の機能部としてオプション機能制御部105、1105が故障した例をあげて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、一部の機能部として、遠隔監視部103が故障した場合に、他のエレベータ制御装置100,1100の遠隔監視部103または他のエレベータ制御装置100,1100に接続された群管理制御装置150が、故障したエレベータ制御装置100,1100の遠隔監視部103の機能を代行して実行するように構成してもよい。
【0077】
[第3の実施形態]
第1、第2の実施形態では、故障したエレベータ制御装置100,1100を代行するエレベータ制御装置100、1100、群管理制御装置150の選定を、遠隔サービスシステム200,1200側で行っていたが、この第3の実施形態では、遠隔サービスシステムを設けずに、エレベータ制御装置側で選定を実行する。
【0078】
図6は、第3の実施形態に係るエレベータ制御システム3001の構成図である。本実施形態に係るエレベータ制御システム3001は3台のエレベータ10A,10B、10Cを備えている。本実施形態のエレベータ制御システム3001は、遠隔サービスシステムを備えていない。なお、エレベータは3台に限定されるものではなく、4台以上有しても良い。
【0079】
エレベータ10は、昇降路を上下移動する不図示の乗りかごに設けられたエレベータ制御装置3100と、外部通信IF110と、を主に備えている。ここで、エレベータ制御装置3100A,3100B,3100Cを区別しないときは、エレベータ制御装置3100と称する。
【0080】
エレベータ制御装置3100は、乗りかごの移動制御を行い、またエレベータ制御装置3100間で各種通信を行う。本実施形態では、エレベータ制御装置3100は、エレベータ10の乗りかごを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を他のエレベータ制御装置3100に送信する制御部として機能する。外部通信IF110は、他のエレベータ制御装置3100との間の通信を担うインタフェイスである。
【0081】
エレベータ制御装置3100は、図6に示すように、基本機能制御部101と、遠隔監視部3103と、オプション機能制御部105と、を主に備えている。ここで、基本機能制御部101、オプション機能制御部105は、第1の実施形態と同様である。遠隔監視部3103A,遠隔監視部3103B,遠隔監視部3103Cを区別しない場合には遠隔監視部3103と称する。
【0082】
遠隔監視部3103は、オプション機能制御部105が故障した場合に、故障した旨を他のエレベータ制御装置3100の遠隔監視部3103に通知する。本実施形態では、遠隔監視部3103は、エレベータ制御装置3100に故障の旨を通知している。
【0083】
また、エレベータ制御装置3100の故障の旨の通知を受信した遠隔監視部3103は、複数のエレベータ制御装置3100の中から、故障したエレベータ制御装置3100以外のエレベータ制御装置3100を選定し、選定されたエレベータ制御装置3100に対して、エレベータ制御装置3100の代行指示を送信する。本実施形態では、遠隔監視部3103は、故障したエレベータ制御装置3100のエレベータ10の隣接するエレベータ10のエレベータ制御装置3100を選定する。
【0084】
次に、以上のように構成された本実施形態にかかるエレベータ制御システムによるエレベータ制御処理について説明する。
【0085】
図7は、第3の実施形態にかかるエレベータ制御処理の流れを示すシーケンス図である。この例では、エレベータ10A(A号機)のエレベータ制御装置3100Aのオプション機能制御部105Aが故障し、隣接するエレベータ10B(B号機)のエレベータ制御装置3100Bのオプション機能制御部105Bが、エレベータ制御装置3100Aのオプション機能制御部105Aを代行する場合を例にあげて説明する。また、この例では、エレベータ10C(C号機)のエレベータ制御装置3100Cの遠隔監視部3103Cが代行するエレベータ制御装置の選定を行うものとする。
【0086】
エレベータ制御装置3100Aのオプション機能制御部105Aの故障から遠隔監視部3103Aまでの通知の処理(S11~S17)は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0087】
遠隔監視部3103Aは、当該通知を受けると、さらに、オプション機能制御部105Aで故障の発生の旨を、エレベータ10C(C号機)のエレベータ制御装置3100Cの遠隔監視部3103Cに通知する(S419)。
【0088】
エレベータ制御装置3100Cの遠隔監視部3103Cは、エレベータ制御装置3100Aからオプション機能制御部105Aで故障の発生の旨の通知を受信すると、エレベータ制御装置3100Aのオプション機能制御部105Aを代行するエレベータ制御装置3100として、エレベータ10Aに隣接するエレベータ10Bのエレベータ制御装置3100Bを選定する(S423)。そして、遠隔監視部3103Cは、選定したエレベータ制御装置3100Bのオプション機能制御部105Bに対して、故障したエレベータ制御装置3100Aのオプション機能制御部105Aの代行開始指示を送信する(S425)。
【0089】
エレベータ制御装置3100Bのオプション機能制御部105Bは、遠隔監視部3103Cから故障したエレベータ制御装置3100Aのオプション機能制御部105Aの代行指示を受信すると、代行開始処理を実行する(S27)。代行開始処理は第1の実施形態と同様に行われる。
【0090】
次に、エレベータ制御装置3100Cの遠隔監視部3103CがエレベータA号機のオプション機能実行指示を、代行するエレベータ制御装置3100Bに送信してきた場合(S429)、エレベータ制御装置3100Bのオプション機能制御部105Bが当該オプション機能実行指示を受信する。そして、オプション機能制御部105Bは、エレベータ制御装置3100Aのオプション機能制御部105Aのオプション機能を代行で実行する(S31)。
【0091】
エレベータ制御装置3100Cの遠隔監視部3103CがエレベータB号機のオプション機能実行指示を、通常どおり、エレベータ制御装置3100Bに送信してきた場合(S433)、エレベータ制御装置3100Bのオプション機能制御部105Bが当該オプション機能実行指示を受信する。そして、オプション機能制御部105Bは、自身のオプション機能を実行する(S35)。
【0092】
次に、エレベータ制御装置3100Aのオプション機能制御部105Aにおいて故障から復帰したとする(S37)。この場合において、エレベータ制御装置3100Aの遠隔監視部3103Aへの通知までの処理(S38~S43)は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0093】
遠隔監視部3103Aは、当該通知を受けると、さらに、オプション機能制御部105Aで故障から復帰の旨を、エレベータ制御装置3100Cの遠隔監視部3103Cに通知する(S445)。
【0094】
エレベータ制御装置3100Cの遠隔監視部3103Cは、エレベータ制御装置3100Aからオプション機能制御部105Aで故障からの復帰の旨の通知を受信すると、今まで代行処理を行っていたエレベータ制御装置3100Bのオプション機能制御部105Bに対して、代行終了指示を送信する(S449)。オプション機能制御部105Bが代行終了指示を受信すると、所定の代行終了処理を実行する(S51)。これにより代行処理は終了する。
【0095】
このように本実施形態では、エレベータ制御装置3100のオプション機能制御部105が故障した場合に、遠隔監視部3103が故障の旨を他のエレベータ制御装置3100の遠隔監視部3103に送信し、他のエレベータ制御装置3100の遠隔監視部3103が、複数のエレベータ制御装置100の中から、故障したエレベータ制御装置3100以外のエレベータ制御装置3100を選定し、選定されたエレベータ制御装置3100に対して、故障したエレベータ制御装置3100の代行指示を送信し、選定されたエレベータ制御装置3100のオプション機能制御部105が当該代行指示を受信した場合に、故障したエレベータ制御装置3100のオプション機能制御部105を代行する処理を実行する。
【0096】
従って、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、遠隔サービスシステムを経由しないので、エレベータ制御装置3100間のネットワークの負荷による遅延が生じにくく、代行処理開始までの時間を短縮化することができるとともに、利用者の利便性を損なわないようにすることができる。
【0097】
(変形例)
本実施形態では、エレベータ制御装置3100の遠隔監視部3103が、故障したエレベータ制御装置3100のオプション機能制御部105を代行するエレベータ制御装置3100を、他のエレベータ制御装置3100の遠隔監視部3103が選定していたが、これに限定されるものではない。例えば、他のエレベータ制御装置3100のオプション機能制御部105が選定するように構成しても良い。
【0098】
[第4の実施形態]
第3の実施形態では、遠隔サービスシステムを有さない構成において、故障したエレベータ制御装置3100を代行するエレベータ制御装置3100の選定を、エレベータ制御装置3100の遠隔監視部3103で行っていたが、この第4の実施形態では、群管理制御装置が選定を実行する。
【0099】
図8は、第4の実施形態に係るエレベータ制御システム4001の構成図である。本実施形態に係るエレベータ制御システム4001は3台のエレベータ10A,10B、10Cを備えている。本実施形態のエレベータ制御システム4001は、遠隔サービスシステムを備えていない。なお、エレベータは3台に限定されるものではなく、4台以上有しても良い。
【0100】
エレベータ10は、昇降路を上下移動する不図示の乗りかごに設けられたエレベータ制御装置4100と、外部通信IF110と、エレベータ制御装置4100に対応して接続される群管理制御装置4150と、を主に備えている。ここで、エレベータ制御装置4100A,4100B,4100Cを区別しないときは、エレベータ制御装置4100と称する。群管理制御装置4150A,4150B,4150Cを区別しないときは、群管理制御装置4150と称する。
【0101】
エレベータ制御装置4100は、乗りかごの移動制御を行い、またエレベータ制御装置4100間で各種通信を行う。本実施形態では、エレベータ制御装置4100は、エレベータ10の乗りかごを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨をマスターとなる群管理制御装置4150に送信する制御部として機能する。外部通信IF110は、他のエレベータ制御装置4100に対応して接続される群管理制御装置4150との間の通信を担うインタフェイスである。
【0102】
エレベータ制御装置4100は、図8に示すように、基本機能制御部101と、遠隔監視部4103と、オプション機能制御部105と、を主に備えている。ここで、基本機能制御部101、オプション機能制御部105は、第1の実施形態と同様である。遠隔監視部4103A,4103B,4103Cを区別しない場合には遠隔監視部4103と称する。
【0103】
遠隔監視部4103は、オプション機能制御部105が故障した場合に、故障した旨をマスターとなる群管理制御装置4150に通知する。
【0104】
群管理制御装置4150A,4150B,4150Cのそれぞれは互いに有線または無線のネットワークで接続されいる。群管理制御装置4150A,4150B,4150Cのそれぞれは、第2の実施形態と同様に、互いに連携して、エレベータ10A,10B,10Cの乗りかごの呼び等を統合的に制御する。群管理制御装置4150には、マスターとなる1台の群管理制御装置と、マスターの群管理制御装置4150からの指令で動作するスレーブとなる一または複数の群管理制御装置4150がある。ここで、群管理制御装置4150A,4150B,4150Cを区別しない場合には、群管理制御装置4150と称する。
【0105】
群管理制御装置4150は、マスターとなっている場合において、エレベータ制御装置4100の故障の旨の通知を受信した場合、複数のエレベータ制御装置4100の中から、故障したエレベータ制御装置4100以外のエレベータ制御装置4100を選定し、選定されたエレベータ制御装置4100に対して、エレベータ制御装置4100の代行指示を送信する。本実施形態では、マスターとなる群管理制御装置4150は、故障したエレベータ制御装置4100のエレベータ10の隣接するエレベータ10のエレベータ制御装置4100を選定する。
【0106】
次に、以上のように構成された本実施形態にかかるエレベータ制御システムによるエレベータ制御処理について説明する。
【0107】
図9は、第4の実施形態にかかるエレベータ制御処理の流れを示すシーケンス図である。この例では、エレベータ10A(A号機)のエレベータ制御装置4100Aのオプション機能制御部105Aが故障し、隣接するエレベータ10B(B号機)のエレベータ制御装置4100Bのオプション機能制御部105Bが、エレベータ制御装置4100Aのオプション機能制御部105Aを代行する場合を例にあげて説明する。また、この例では、群管理制御装置4150Cがマスターであることを前提とする。
【0108】
エレベータ制御装置4100Aのオプション機能制御部105Aの故障から遠隔監視部3103に故障の旨が通知されるまでの処理(S11~S17)までの処理については第3の実施形態と同様に行われる。
【0109】
遠隔監視部4103Aは、当該通知を受けると、さらに、オプション機能制御部105Aで故障の発生の旨を、マスターとなるエレベータ10C(C号機)の群管理制御装置4150Cに通知する(S519)。
【0110】
群管理制御装置4150Cは、エレベータ制御装置4100Aからオプション機能制御部105Aで故障の発生の旨の通知を受信すると、エレベータ制御装置4100Aのオプション機能制御部105Aを代行するエレベータ制御装置4100として、エレベータ10Aに隣接するエレベータ10Bのエレベータ制御装置4100Bを選定する(S523)。そして、群管理制御装置4150Cは、選定したエレベータ制御装置4100Bのオプション機能制御部105Bに対して、故障したエレベータ制御装置4100Aのオプション機能制御部105Aの代行開始指示を送信する(S525)。
【0111】
エレベータ制御装置4100Bのオプション機能制御部105Bは、群管理制御装置4150Cから故障したエレベータ制御装置4100Aのオプション機能制御部105Aの代行指示を受信すると、代行開始処理を実行する(S27)。代行開始処理は第1の実施形態と同様に行われる。
【0112】
次に、群管理制御装置4150CがエレベータA号機のオプション機能実行指示を、代行するエレベータ制御装置4100Bに送信してきた場合(S529)、エレベータ制御装置4100Bのオプション機能制御部105Bが当該オプション機能実行指示を受信する。そして、オプション機能制御部105Bは、エレベータ制御装置4100Aのオプション機能制御部105Aのオプション機能を代行で実行する(S31)。
【0113】
群管理制御装置4150CがエレベータB号機のオプション機能実行指示を、通常どおり、エレベータ制御装置4100Bに送信してきた場合(S533)、エレベータ制御装置4100Bのオプション機能制御部105Bが当該オプション機能実行指示を受信する。そして、オプション機能制御部105Bは、自身のオプション機能を実行する(S35)。
【0114】
次に、エレベータ制御装置4100Aのオプション機能制御部105Aにおいて故障から復帰したとする(S37)。この場合において、エレベータ制御装置3100Aの遠隔監視部3103Aへの通知までの処理(S38~S43)は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0115】
遠隔監視部4103Aは、当該通知を受けると、さらに、オプション機能制御部105Aで故障から復帰の旨を、群管理制御装置4150Cに通知する(S545)。
【0116】
群管理制御装置4150Cは、エレベータ制御装置4100Aからオプション機能制御部105Aで故障からの復帰の旨の通知を受信すると、今まで代行処理を行っていたエレベータ制御装置4100Bのオプション機能制御部105Bに対して、代行終了指示を送信する(S549)。オプション機能制御部105Bが代行終了指示を受信すると、所定の代行終了処理を国交する(S51).これにより代行処理は終了する。
【0117】
このように本実施形態では、エレベータ制御装置4100のオプション機能制御部105が故障した場合に、遠隔監視部4103が故障の旨をマスターとなる群管理制御装置4150に送信し、マスターとなる群管理制御装置4150が、複数のエレベータ制御装置4100の中から、故障したエレベータ制御装置4100以外のエレベータ制御装置4100を選定し、選定されたエレベータ制御装置4100に対して、故障したエレベータ制御装置4100の代行指示を送信し、選定されたエレベータ制御装置4100のオプション機能制御部105が当該代行指示を受信した場合に、故障したエレベータ制御装置3100のオプション機能制御部105を代行する処理を実行する。
【0118】
従って、本実施形態によれば、第3の実施形態と同様の効果を奏する他、群管理制御装置4150が代行処理を実行させるエレベータ制御装置4100を選定するので、より円滑に選定処理を行うことができるとともに、利用者の利便性を損なわないようにすることができる。
【0119】
(変形例)
上記第4の実施形態では、マスターの群管理制御装置4150が、故障したエレベータ制御装置4100を代行するエレベータ制御装置として、他のエレベータ制御装置4100を選定し、当該エレベータ制御装置4100のオプション機能制御部105が代行処理を実行していたが、これに限定されるものではない。例えば、マスターの群管理制御装置4150が、故障したエレベータ制御装置4100を代行するエレベータ制御装置として、スレーブとなる群管理制御装置4150を選定し、当該スレーブとなる群管理制御装置4150が故障したエレベータ制御装置4100のオプション機能制御部105の代行処理を実行するように構成してもよい。
【0120】
上記第1~4の実施形態では、管理装置220,1220、群管理制御装置150,4150、遠隔監視部3103は、複数のエレベータ制御装置の中から、故障したエレベータ制御装置100,1100,3100、4100のエレベータ10に隣接するエレベータのエレベータ制御装置、またはマスターとなる群管理制御装置150を、代行処理を実行させる装置として選定していたが、これに限定されるものではない。
【0121】
例えば、故障したエレベータ制御装置以外であって、プロセッサの処理負荷が所定量未満、すなわち、プロセッサの処理負荷が低いエレベータ制御装置を、代行処理を実行させるエレベータ制御装置として選定するように、監視装置、群管理制御装置、遠隔監視部を構成してもよい。この場合には、代行するエレベータ制御装置の処理効率を向上させることができ、オプション機能の実行処理も速くなるため、利用者の利便性をより向上させることができる。
【0122】
また、例えば、故障したエレベータ制御装置が制御するエレベータが配置される建物または敷地と同一の建物または敷地に配置されるエレベータを制御するエレベータ制御装置を、代行処理を実行させるエレベータ制御装置として選定するように、監視装置、群管理制御装置、遠隔監視部を構成してもよい。この場合には、代行可能なエレベータ制御装置の範囲を拡大することができ、利用者の利便性を損なわないようにすることができる。
【0123】
上記実施形態のエレベータ制御装置、群管理制御装置、監視装置、管理装置は、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0124】
上記実施形態のエレベータ制御装置、群管理制御装置、監視装置、管理装置で実行されるエレベータ制御プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0125】
上記実施形態のエレベータ制御装置、群管理制御装置、監視装置、管理装置で実行されるエレベータ制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0126】
さらに、上記実施形態のエレベータ制御装置、群管理制御装置、監視装置、管理装置で実行されるエレベータ制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施形態のエレベータ制御装置、群管理制御装置、監視装置、管理装置で実行されるエレベータ制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0127】
上記実施形態のエレベータ制御装置で実行されるエレベータ制御プログラムは、上述した各部(基本機能制御部、オプション機能制御部、遠隔監視部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからエレベータ制御プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、基本機能制御部、オプション機能制御部、遠隔監視部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
1,1001,3001,4001…エレベータ制御システム、10,10A,10B,10C…エレベータ、100,100A,100B,1100,1100A,1100B,1100C,3100,3100A,3100B,3100C,4100,4100A,4100B,4100C…エレベータ制御装置、150,150A,150B,150C,4150,4150A,4150B,4150C…群管理制御装置、101,101A,101B,101C…基本機能制御部、105,105A,105B,1105,1105A,1105B,1105C…オプション機能制御部、103,103A,103B,3103,3103A,3103B,3103C,4103,4103A,4103B,4103C…遠隔監視部、110,110A,110B,110C…外部通信IF、50,50A,50B,50C…公衆回線、200,1200…遠隔サービスシステム、210,1210…監視装置、220,1220…管理装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置と、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれにネットワークで接続される遠隔サービスシステムと、を備えるエレベータ制御システムであって、
前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、
一または複数の機能部を有し、前記エレベータ制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を前記遠隔サービスシステムに送信する制御部、を備え、
前記遠隔サービスシステムは、
前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、
前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外の前記エレベータ制御装置である第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、
前記第2のエレベータ制御装置の前記制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行し、
前記遠隔サービスシステムは、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外であって、プロセッサの処理負荷が所定量未満の前記エレベータ制御装置を、前記第2のエレベータ制御装置として選定する、
エレベータ制御システム。
【請求項2】
複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置と、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれにネットワークで接続される遠隔サービスシステムと、を備えるエレベータ制御システムであって、
前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、
一または複数の機能部を有し、前記エレベータを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を前記遠隔サービスシステムに送信する制御部、を備え、
前記遠隔サービスシステムは、
前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、
前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外の前記エレベータ制御装置である第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、
前記第2のエレベータ制御装置の前記制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行し、
前記制御部は、前記複数の機能部として、
前記エレベータの基本的な制御を行う基本機能制御部と、
前記エレベータに関するオプション機能の制御を行うオプション機能制御部と、
前記基本機能制御部または前記オプション機能制御部を監視し、前記オプション機能制御部が故障した場合に、前記オプション機能制御部が故障した旨を前記遠隔サービスシステムに通知する遠隔監視部と、を備える、
レベータ制御システム。
【請求項3】
前記第2のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部の機能のすべての代行する処理を実行する、
請求項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項4】
前記第2のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部の機能のうち不足機能の有無を判断し、不足機能が存在する場合には、前記遠隔サービスシステムから前記不足機能をダウンロードしてインストールする、
請求項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項5】
前記第2のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記オプション機能制御部の機能のうち、利用頻度が所定数以上の機能を代行し、利用頻度が所定数未満の機能は代行しない処理を実行する、
請求項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数の機能部として、
前記エレベータの基本的な制御を行う基本機能制御部と、
前記エレベータに関するオプション機能の制御を行うオプション機能制御部と、
前記基本機能制御部または前記オプション機能制御部を監視する監視部と、を備え、
前記オプション機能制御部は、前記遠隔監視部が故障した場合に、前記遠隔監視部が故障した旨を前記遠隔サービスシステムに通知する
請求項に記載のエレベータ制御システム。
【請求項7】
複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置と、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれにネットワークで接続される遠隔サービスシステムと、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれに対応して接続され、複数のエレベータの呼びを統合的に制御する複数の群管理制御装置と、を備えるエレベータ制御システムであって、
前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、
一または複数の機能部を有し、前記エレベータを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を前記遠隔サービスシステムに送信する制御部、を備え、
前記遠隔サービスシステムは、
前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、
前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数の群管理制御装置の中から、マスターとなる前記群管理制御装置を選定し、選定された前記群管理制御装置または選定された前記群管理制御装置に対応して接続される前記エレベータ制御装置、に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、
選定された前記群管理制御装置は、前記遠隔サービスシステムから前記代行指示を直接または前記エレベータ制御装置を経由して受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行する、
エレベータ制御システム。
【請求項8】
前記遠隔サービスシステムは、
前記第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信する監視装置と、
前記監視装置が、前記第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信する管理装置と、
を備える請求項1または2に記載のエレベータ制御システム。
【請求項9】
複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置と、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれに対応して接続され、複数のエレベータの呼びを統合的に制御する複数の群管理制御装置を備えるエレベータ制御システムであって、
前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、
一または複数の機能部を有し、前記エレベータを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨をマスターとなる群管理制御装置に送信する制御部、を備え、
前記マスターとなる群管理制御装置は、
前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、
前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外の前記エレベータ制御装置である第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、
前記第2のエレベータ制御装置の前記制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行する、
エレベータ制御システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
実施形態にかかるエレベータ制御システムは、複数のエレベータをそれぞれ制御する複数のエレベータ制御装置と、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれにネットワークで接続される遠隔サービスシステムと、を備えるエレベータ制御システムであって、前記複数のエレベータ制御装置のそれぞれは、一または複数の機能部を有し、前記エレベータを制御するとともに、一部の機能部が故障した場合に、故障した旨を前記遠隔サービスシステムに送信する制御部、を備え、前記遠隔サービスシステムは、前記エレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信し、前記複数のエレベータ制御装置のうち第1のエレベータ制御装置から、前記一部の機能部が故障した旨を受信した場合に、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外の前記エレベータ制御装置である第2のエレベータ制御装置を選定し、選定された前記第2のエレベータ制御装置に対して、前記第1のエレベータ制御装置の代行指示を送信し、前記第2のエレベータ制御装置の前記制御部は、前記第1のエレベータ制御装置の前記代行指示を受信した場合に、前記第1のエレベータ制御装置の前記一部の機能部を代行する処理を実行し、前記遠隔サービスシステムは、前記複数のエレベータ制御装置の中から、前記第1のエレベータ制御装置以外であって、プロセッサの処理負荷が所定量未満の前記エレベータ制御装置を、前記第2のエレベータ制御装置として選定する