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特開2024-155357カーボンデータ管理方法、カーボンデータ管理システム、及びカーボンデータ管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155357
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】カーボンデータ管理方法、カーボンデータ管理システム、及びカーボンデータ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20241024BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070013
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭志
(72)【発明者】
【氏名】新熊 章浩
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】より精度の高い温室効果ガスの吸収量を決定する。
【解決手段】カーボンデータ管理方法は、圃場500において作業を行う農業機械30の位置情報に基づき、圃場500における農業機械30による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定することを含む。また、カーボンデータ管理方法は、圃場吸収量に基づき、圃場500の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力することを含む。圃場吸収量を決定することは、圃場500において温室効果ガスを吸収する第1吸収方法において吸収される部分吸収量を決定することと、圃場500において、第1吸収方法により影響をうける作業を行う農業機械30の位置情報に基づき、圃場500において農業機械30が温室効果ガスを排出する部分排出量を決定することとを含んでもよい。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場において作業を行う農業機械の位置情報に基づき、前記圃場における前記農業機械による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定することと、
前記圃場吸収量に基づき、前記圃場の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力することと、
を含むカーボンデータ管理方法。
【請求項2】
前記圃場吸収量を決定することは、
前記圃場において温室効果ガスを吸収する第1吸収方法において吸収される部分吸収量を決定することと、
前記圃場において、前記第1吸収方法により影響をうける作業を行う前記農業機械の位置情報に基づき、前記圃場において前記農業機械が温室効果ガスを排出する部分排出量を決定することと、
前記部分吸収量と、前記部分排出量とに基づき、前記圃場吸収量を決定することと、
を含む請求項1に記載のカーボンデータ管理方法。
【請求項3】
前記第1吸収方法は、前記圃場における前記作物の光合成により温室効果ガスを吸収することを含み、
前記部分吸収量を決定することは、
前記圃場において前記作物が植え付けられた作付面積と、前記作物の種類とに基づき、前記作物の光合成により吸収される温室効果ガスの前記部分吸収量を決定すること
を含み、
前記部分排出量を決定することは、
前記作付面積と、前記作物の種類とに基づき、前記作物の呼吸により排出される温室効果ガスの前記部分排出量を決定することと、
前記圃場において前記作物を栽培するために作業を行う前記農業機械の位置情報に基づき、前記部分排出量を決定することと、
を含む請求項2に記載のカーボンデータ管理方法。
【請求項4】
前記部分排出量を決定することは、
前記位置情報に基づき、前記圃場において前記農業機械が移動した移動軌跡を決定することと、
前記移動軌跡と、前記圃場における前記農業機械の速度とに基づき、前記部分排出量を決定することと、
を含む請求項2または3に記載のカーボンデータ管理方法。
【請求項5】
前記第1吸収方法は、前記圃場に設置された微生物燃料電池により発電することを含み、
前記部分排出量を決定することは、
前記微生物燃料電池により発電された発電量に基づき、前記微生物燃料電池の発電により排出される温室効果ガスの前記部分排出量を決定すること
を含む請求項2または3に記載のカーボンデータ管理方法。
【請求項6】
複数のデータベースノードにおいて、同じ前記部分吸収量と、前記部分排出量とを記憶すること
を含む請求項2または3に記載のカーボンデータ管理方法。
【請求項7】
前記圃場吸収量を決定することは、
複数のデータベースノードにおいて、同じ前記圃場吸収量を記憶すること
を含む請求項1から3のいずれか1項に記載のカーボンデータ管理方法。
【請求項8】
複数のデータベースノードにおいて、同じ前記圃場吸収量を記憶することは、
前記複数のデータベースノードにより形成されたブロックチェーンに、前記圃場吸収量を記憶すること
を含む請求項7に記載のカーボンデータ管理方法。
【請求項9】
前記圃場吸収量を決定することは、
前記圃場吸収量を決定する前記圃場を、温室効果ガスを管理する圃場として新たに登録すること
を含む請求項1から3のいずれか1項に記載のカーボンデータ管理方法。
【請求項10】
圃場において作業を行う農業機械の位置情報に基づき、前記圃場における前記農業機械による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定する圃場吸収量決定部と、
前記圃場吸収量に基づき、前記圃場の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力する出力部と、
を備えるカーボンデータ管理システム。
【請求項11】
圃場において作業を行う農業機械の位置情報に基づき、前記圃場における前記農業機械による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定することと、
前記圃場吸収量に基づき、前記圃場の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力することと、
を演算装置に実行させるカーボンデータ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンデータ管理方法、カーボンデータ管理システム、及びカーボンデータ管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、メタンや二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を削減する努力が行われている。この活動において、温室効果ガスの削減が困難な部分について、他の場所で温室効果ガスの排出削減や吸収を実現することも行われている。さらに、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減量や吸収量を表すカーボンクレジットを購入することで、温室効果ガスの排出量の削減を達成することも行われている。
【0003】
圃場において、カーボンクレジットを創出することが考えられている。例えば、圃場に、生物物質を材料とした炭化物であるバイオ炭、例えば木炭、竹炭などを長期間土壌中に貯留することにより、カーボンクレジットを創出することが認められている。また、圃場の作物の光合成により、空気中の炭素が作物に固定されるため、圃場における作物の栽培により、空気中の温室効果ガスが吸収される。
【0004】
例えば、特許文献1には、カーボンクレジットを創出する方法、例えば圃場へのバイオ炭の貯留、暖房機の切替、太陽光パネルの設置、作物による温室効果ガスの吸収などが挙げられている。
【0005】
また、特許文献2には、水田から発生するメタンガスを抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第7138390号公報
【特許文献2】特開2014-139703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1、2には、それぞれの方法を個別に扱い、圃場におけるカーボンクレジットを創出する1つの方法が、圃場における他の作業への影響が考慮されていない。例えば、圃場に植え付ける作物の量を増やした場合、収穫作業の時間が増加し、これにより、収穫作業において農業機械が排出する温室効果ガスの排出量が影響する場合がある。
【0008】
上記の状況に鑑み、本開示は、圃場において、1つの方法により温室効果ガスを吸収する吸収量と、その方法により影響する栽培活動による温室効果ガスの排出量とを決定することで、より精度の高い温室効果ガスの吸収量を決定することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態によるカーボンデータ管理方法は、圃場(500)において作業を行う農業機械(30)の位置情報に基づき、圃場(500)における農業機械(30)による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定することを含む。また、カーボンデータ管理方法は、圃場吸収量に基づき、圃場(500)の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力することを含む。
【0011】
上記目的を達成するための一実施の形態によるカーボンデータ管理システム(1000)は、圃場吸収量決定部(160)と、出力部(180)とを備える。圃場吸収量決定部(160)は、圃場(500)において作業を行う農業機械(30)位置情報に基づき、圃場(500)における農業機械(30)による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定する。出力部(180)は、圃場吸収量に基づき、圃場(500)の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力する。
【0012】
上記目的を達成するための一実施の形態によるカーボンデータ管理プログラム(420)は、圃場(500)において作業を行う農業機械(30)の位置情報に基づき、圃場(500)における農業機械(30)による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定することを演算装置(120、320)に実行させる。また、カーボンデータ管理プログラム(420)は、圃場吸収量に基づき、圃場(500)の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力することを演算装置(120、320)に実行させる。
【発明の効果】
【0013】
上記の形態によれば、より精度の高い温室効果ガスの吸収量を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施の形態におけるカーボンデータ管理システムの概略図である。
図2】一実施の形態における農業機械の移動軌跡を表す図である。
図3】一実施の形態における微生物燃料電池を説明するための図である。
図4】一実施の形態におけるカーボンデータ管理装置の構成を表す図である。
図5】一実施の形態におけるカーボンデータ管理システムが実行する機能ブロックを表す図である。
図6】一実施の形態における分散型データベースの構成を表す図である。
図7】一実施の形態におけるカーボンデータの構成を表す図である。
図8】一実施の形態における端末の構成を説明するための図である。
図9】一実施の形態におけるカーボンデータ管理システムが圃場を登録するための処理を表すフローチャートである。
図10】一実施の形態におけるカーボンデータ管理システムが農業機械から排出される温室効果ガスの排出量を決定するための処理を表すフローチャートである。
図11】一実施の形態におけるカーボンデータ管理システムがバイオ炭の貯留に基づき吸収される温室効果ガスの吸収量を決定するための処理を表すフローチャートである。
図12】一実施の形態におけるカーボンデータ管理システムが圃場において栽培される作物による温室効果ガスの吸収量と排出量とを決定するための処理を表すフローチャートである。
図13】一実施の形態におけるカーボンデータ管理システムが微生物燃料電池により排出される温室効果ガスの排出量を決定するための処理を表すフローチャートである。
図14】一実施の形態におけるカーボンデータ管理システムが証明データを表示するための処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
本発明の本実施の形態によるカーボンデータ管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、カーボンデータ管理システム1000は、カーボンデータ管理装置100と、分散型データベース200と、端末300とを備える。カーボンデータ管理装置100は、圃場500において作業を行う1つ以上の農業機械30と、分散型データベース200と、端末300とにネットワーク20、例えばインターネットを介して接続されている。また、カーボンデータ管理装置100は、ネットワーク20を介して、微生物燃料電池40と、気象サーバ50とに接続されていてもよい。微生物燃料電池40は、例えば、圃場500における微生物の活動により発電する。気象サーバ50は、圃場500の地域における気象情報、例えば気温、日照時間などをカーボンデータ管理装置100に提供する。
【0016】
圃場500において栽培される作物は、光合成により空気中の温室効果ガスを吸収する。この作物により吸収される温室効果ガス、例えば気体に含まれる炭素の吸収量に基づき、カーボンクレジットが創出される場合がある。ここで、圃場500において栽培する作物を増やすことで、温室効果ガスの吸収量が増加する場合がある。しかし、作物が増えることで、単位面積あたりの収穫量が増加し、作物を収穫する農業機械30の速度が小さくなる。このため、農業機械30による作業時間が増加し、農業機械30が排出する温室効果ガスが増加する場合がある。このように、温室効果ガスを吸収する吸収方法は、圃場500における作業による温室効果ガスの排出量に影響を与える場合がある。このため、カーボンデータ管理システム1000は、吸収方法による温室効果ガスの吸収量と、その吸収方法により影響する栽培活動による温室効果ガスの排出量とを決定する。これにより、カーボンデータ管理システム1000は、より精度の高い温室効果ガスの吸収量を決定する。また、カーボンクレジットは、温室効果ガスの排出量が従来より削減されるときに創出される場合がある。このため、農業機械30における作業による排出される温室効果ガスの排出量に基づき、カーボンクレジットは創出される場合がある。ここでは、温室効果ガスを吸収する吸収量は負数であってもよく、吸収量が負数であるとき、温室効果ガスが排出されたことを表す。
【0017】
例えば、農業機械30は、測位装置、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機、量子コンパスなどを備え、図2に示すように、各時刻における農業機械30の位置、例えば10秒ごとの位置を測定する。測定された測位位置610は、農業機械30が移動した移動軌跡600に沿った位置を表す。農業機械30は、圃場500において移動しながら作業を行う任意の装置、例えばトラクター、田植え機、コンバイン、農薬散布用ドローンなどを含む。
【0018】
また、農業機械30は、各時刻における農業機械30の状態を表す状態情報を取得してもよい。状態情報は、例えば農業機械30の速度、操舵角、エンジン回転数、各種クラッチのON/OFF状況などを表す。また、農業機械30が作業機械を牽引する車両であるとき、状態情報は、作業機械に動力を伝達するときのPTO(power take-off)回転数、作業機械の姿勢を示すヒッチ高さやリフトアーム角度などの情報を含んでもよい。
【0019】
図1に示すカーボンデータ管理装置100は、農業機械30から稼働情報を取得し、取得した稼働情報に基づき、圃場500において農業機械30が排出した温室効果ガスの排出量を決定する。圃場500において温室効果ガスが吸収された吸収量と、農業機械30により排出された排出量とに基づき、カーボンデータ管理装置100は、圃場500において温室効果ガスが吸収された吸収量を決定する。このように、カーボンデータ管理システム1000は、圃場500における温室効果ガスの吸収方法による吸収量と、その吸収方法により影響を受ける栽培活動による温室効果ガスの排出量とに基づき、圃場500において吸収される吸収量を精度よく決定する。
【0020】
例えば、カーボンデータ管理装置100は、圃場500において行われた温室効果ガスの吸収方法により吸収された吸収量を決定する。例えば、カーボンデータ管理装置100は、圃場500において栽培される作物により温室効果ガスが吸収された吸収量を決定する。
【0021】
例えば、カーボンデータ管理装置100は、栽培活動の各作業における温室効果ガスの排出量を決定する。例えば、カーボンデータ管理装置100は、圃場500において作物を植え付ける第1農業機械30-1、例えば田植え機と、作物を収穫する第2農業機械30-2、例えばコンバインとから、各農業機械30の稼働情報を取得する。この場合、カーボンデータ管理装置100は、植付け作業において第1農業機械30-1が排出する温室効果ガスの排出量と、収穫作業において第2農業機械30-2が排出する温室効果ガスの排出量とを決定する。
【0022】
このように、カーボンデータ管理システム1000は、圃場500における作物の栽培において吸収する温室効果ガスの部分吸収量と、温室効果ガスの吸収方法により影響する温室効果ガスの部分排出量とに基づき、圃場500における圃場吸収量を決定する。
【0023】
また、圃場500には、微生物燃料電池40が設けられていてもよい。微生物燃料電池40の設置により、圃場500における作物の栽培に影響を与える場合がある。例えば、圃場500が水田であるとき、微生物燃料電池40による発電により、水田土壌から水田の水への肥料溶出が抑制される場合がある。これにより、施肥作業が低減する場合がある。また、微生物燃料電池40の設置位置によっては、農業機械30の移動経路に影響を与える場合もある。
【0024】
例えば、微生物燃料電池40は、図3に示すように、水田である圃場500に設置されている。微生物燃料電池40は、アノード電極41と、カソード電極42とを備え、アノード電極41とカソード電極42とは電気的に接続されている。アノード電極41は、水田に張られた水501の下にある泥502に配置される。アノード電極41は、泥502の微生物503が有機物504を分解するときに、微生物503から電子45を取り出す。取り出された電子45は、アノード電極41からカソード電極42に流れ、カソード電極42において酸素を還元して消費される。これにより、微生物燃料電池40は、カソード電極42からアノード電極41に流れる電流を発生する。また、微生物503は、有機物504を分解するときに温室効果ガス、例えば二酸化炭素を排出する。
【0025】
カーボンデータ管理装置100は、微生物燃料電池40の発電により微生物503が排出する温室効果ガスの排出量を決定する。例えば、カーボンデータ管理装置100は、微生物燃料電池40により発電された電力量に基づき、排出された温室効果ガスの排出量を決定する。
【0026】
さらに、圃場500には、バイオ炭が貯留されてもよい。バイオ炭の貯留においても、圃場500における作物の栽培に影響を与える場合がある。例えば、バイオ炭を圃場500に貯留することで、圃場500の保肥性が改善される場合がある。これにより、施肥作業が低減する場合がある。また、バイオ炭の貯留により、圃場500の保水性が改善される場合もある。
【0027】
このように、カーボンデータ管理システム1000は、圃場500における作物の栽培に影響する作業に関して、温室効果ガスの吸収量と排出量とを決定する。これにより、カーボンデータ管理システム1000は、圃場500における作業について、より精度の高い温室効果ガスの吸収量を決定することができる。
【0028】
また、図1に示す分散型データベース200は、圃場500における吸収量を記憶する。例えば、分散型データベース200は、セキュリティの高い構造を有する。例えば、分散型データベース200は、改ざんの困難な構造を有する。例えば、分散型データベース200は、ネットワーク20に接続された複数のノード、例えばコンピュータを有し、吸収量を表す同じ情報を各ノードにおいて記憶する。このように、カーボンデータ管理システム1000に記憶された吸収量は、改ざんが困難であるため、信頼性の高い情報として保持される。
【0029】
(カーボンデータ管理システムの構成)
図1に示すカーボンデータ管理装置100の構成を説明する。カーボンデータ管理装置100は、図4に示すように、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。カーボンデータ管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0030】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。例えば、通信装置130は、農業機械30から取得する情報を演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を分散型データベース200に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0031】
記憶装置140は、圃場500における作業において温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定するための様々なデータ、例えば圃場データ410と、カーボンデータ管理プログラム420とを格納する。記憶装置140は、カーボンデータ管理プログラム420を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。カーボンデータ管理プログラム420は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0032】
圃場データ410は、圃場500に関する情報を格納する。例えば、圃場データ410は、圃場500の領域と、位置とを表す情報を格納する。また、圃場データ410は、圃場500において栽培される作物と、その作物が栽培されている作付面積とを表す情報を格納してもよい。
【0033】
演算装置120は、カーボンデータ管理プログラム420を記憶装置140から読み出し実行して、圃場500において吸収される温室効果ガスの圃場吸収量を決定するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0034】
演算装置120は、カーボンデータ管理プログラム420を読み出し実行することで、図5に示すように、圃場登録部150と、圃場吸収量決定部160と、データ登録部170と、出力部180とを実現する。圃場登録部150は、温室効果ガスの吸収量を決定する圃場500に関する情報の記憶を分散型データベース200に指示する。圃場吸収量決定部160は、圃場500において吸収される温室効果ガスの圃場吸収量を決定する。データ登録部170は、決定された圃場吸収量に関する情報の記憶を分散型データベース200に指示する。出力部180は、圃場500の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データ、例えば圃場吸収量を表す情報を端末300に出力する。
【0035】
次に、図1に示す分散型データベース200の構成を説明する。分散型データベース200は、図6に示すように、複数のデータベースノード201を有する。分散型データベース200は、ネットワーク20を介して接続された複数のデータベースノード201に、圃場吸収量に関する情報を分散的に記憶する。例えば、複数のデータベースノード201は、圃場吸収量に関する同じ情報を記憶する。複数のデータベースノード201は、暗号化技術を用いて、圃場吸収量に関する情報を記憶してもよい。例えば、複数のデータベースノード201は、電子署名とハッシュポインタとを用いて改ざん検出の容易なデータ構造で、圃場吸収量に関する情報を記憶する。それぞれのデータベースノード201は、入出力装置210と、演算装置220と、通信装置230と、記憶装置240とを備える。データベースノード201は、例えば、コンピュータである。
【0036】
入出力装置210には、演算装置220が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置210は、演算装置220が処理を実行した結果を出力する。入出力装置210は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置210は省略されてもよい。
【0037】
通信装置230は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。例えば、通信装置230は、カーボンデータ管理装置100から取得する情報を演算装置220に転送する。また、通信装置230は、演算装置220が生成した信号をカーボンデータ管理装置100に転送する。さらに、通信装置230は、演算装置220が生成した信号を他のデータベースノード201に転送する。通信装置230は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0038】
記憶装置240は、圃場500において吸収された温室効果ガスの圃場吸収量に関する情報を記憶するための様々なデータ、例えばカーボンデータ430と、分散型データベースプログラム440とを格納する。記憶装置240は、分散型データベースプログラム440を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。分散型データベースプログラム440は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体2に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0039】
カーボンデータ430は、圃場吸収量に関する情報を格納する。例えば、カーボンデータ430は、圃場500において行われた作業ごとに吸収された温室効果ガスの吸収量を示す部分吸収量を表す情報を格納する。また、カーボンデータ430は、圃場500において行われた作業ごとに排出された温室効果ガスの排出量を示す部分排出量を表す情報を格納する。
【0040】
例えば、カーボンデータ430は、図7に示すように、ブロックチェーンのデータ構造で、圃場吸収量に関する情報を格納する。カーボンデータ430は、例えば、圃場500の情報、圃場500で行われた各作業に関する情報を、1つ以上のブロック431に格納する。例えば、ブロック431は、所定の時間ごとに新たなブロック431が接続される。例えば、第1ブロック431-1が作成されてから所定の時間経過すると、第1ブロック431-1に接続される第2ブロック431-2が作成される。所定の時間は、例えば予め決められた固定値、例えば1日を表す。また、所定の時間は、時期、例えば月に応じて変化してもよい。また、ブロック431は、イベント、例えばカーボンデータ管理装置100からの指示に基づき、生成されてもよい。
【0041】
例えば、各ブロック431は、ハッシュポインタ432と、データ433とを有する。ハッシュポインタ432は、対応するブロック431が接続される前のブロック431を表す。例えば、ハッシュポインタ432は、前のブロック431のハッシュ値を表す。
【0042】
例えば、第1ブロック431-1の第1ハッシュポインタ432-1は、第1ブロック431-1が接続される前のブロック431を表す。例えば、第1ハッシュポインタ432-1は、第1ブロック431-1が接続される前のブロック431のハッシュ値を表す。また、第1ブロック431-1の次に接続される第2ブロック431-2の第2ハッシュポインタ432-2は、第1ブロック431-1を表す。例えば、第2ハッシュポインタ432-2は、第1ブロック431-1、例えば第1ハッシュポインタ432-1と第1データ433-1とのハッシュ値を表す。第2ブロック431-2の次に接続される第3ブロック431-3の第3ハッシュポインタ432-3は、第2ブロック431-2を表す。例えば、第3ハッシュポインタ432-3は、第2ブロック431-2、例えば第2ハッシュポインタ432-2と第2データ433-2とのハッシュ値を表す。例えば、前のブロック431が存在しない最初のブロック431のハッシュポインタ432は、省略される。
【0043】
データ433は、対応するブロック431に格納される情報を表す。例えば、データ433は、直前のブロック431が生成されてから対応するブロック431が作成されるまでの期間にカーボンデータ430に記憶される情報を表す。
【0044】
例えば、第1ブロック431-1の第1データ433-1は、第1ブロック431-1が接続される前のブロック431が生成されてから、第1ブロック431-1が生成されるまでに記憶された情報を表す。例えば、直前のブロック431が生成されてから第1ブロック431-1が生成されるまでに温室効果ガスの吸収量を管理する圃場500が登録されると、第1データ433-1は、登録された圃場500に関する情報を表す。例えば、第1データ433-1は、登録された圃場500を表す第1トークン435-1を格納する。第1トークン435-1は、例えば、第1トークン435-1を識別するためのトークンIDと、登録された圃場500を識別するための圃場識別子と、圃場500の領域を表す圃場領域とを表す。
【0045】
第2ブロック431-2の第2データ433-2は、第1ブロック431-1の生成から第2ブロック431-2の生成までの期間に記憶された情報を表す。例えば、その期間に圃場500において農業機械30が作業、例えば植付けを行うと、第2データ433-2は、対象の作業に関する情報を表す。例えば、第2データ433-2は、農業機械30の作業により排出された温室効果ガスの部分排出量を表す第2トークン435-2と、農業機械30により作物が植付けられた作付領域を表す第3トークン435-3とを表す。例えば、第2トークン435-2は、第2トークン435-2を表すトークンIDと、作業が行われた圃場500を表す圃場識別子と、部分排出量に関する情報とを表す。例えば、第2トークン435-2の部分排出量に関する情報は、農業機械30が温室効果ガスを排出する作業に関する情報、例えば作業が行われた日時、農業機械30の移動軌跡600、速度などを表す。第3トークン435-3は、例えば、第3トークン435-3のトークンIDと、対象の圃場500の圃場識別子と、作物が植付けられた領域を表す作付領域に関する情報とを表す。作付領域に関する情報は、例えば、作付領域を識別するための作付識別子、作物が植付けられた日時、植付けられた作物の種類、植付けられた面積を表す作付面積などを表す。
【0046】
第3ブロック431-3の第3データ433-3は、第2ブロック431-2の生成から第3ブロック431-3の生成までの期間に記憶された情報を表す。例えば、第3データ433-3は、その期間に圃場500の作付領域で栽培されている作物により吸収される温室効果ガスの部分吸収量と、排出される部分排出量とを表す。例えば、第3データ433-3は、圃場500の作付領域で栽培されている作物による温室効果ガスの部分吸収量と部分排出量とを表す第4トークン435-4を格納する。例えば、第4トークン435-4は、第4トークン435-4のトークンIDと、対象の圃場500の圃場識別子と、対象の作付領域の作付識別子と、部分吸収量と部分排出量とに関する情報とを表す。部分吸収量と部分排出量とに関する情報は、例えばその作物が栽培されている期間を表す栽培期間、栽培期間における日照時間、栽培期間における気温を積算した積算温度などを表す。
【0047】
このように、カーボンデータ430は、圃場500で行われた作業に対する温室効果ガスの吸収量と排出量とを表す情報を格納する。
【0048】
図6に示す演算装置220は、分散型データベースプログラム440を記憶装置240から読み出し実行して、圃場500における温室効果ガスの圃場吸収量に関する情報を記憶するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置220は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0049】
演算装置220は、分散型データベースプログラム440を読み出し実行することで、図5に示すように、データ記憶部250を実現する。データ記憶部250は、カーボンデータ管理装置100から取得する情報、例えば発行するトークン435の情報を検証し、検証されたトークン435をカーボンデータ430に記憶する。また、データ記憶部250は、他のデータベースノード201から生成されたブロック431に関する情報を取得し、情報に表されたブロック431を検証し、検証されたブロック431をカーボンデータ430に格納する。
【0050】
次に、図1に示す端末300の構成を説明する。端末300は、図8に示すように、入出力装置310と、演算装置320と、通信装置330と、記憶装置340とを備える。端末300は、例えば、コンピュータ、タブレット、携帯電話などを含む。入出力装置310には、演算装置320が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置310は、演算装置320が処理を実行した結果を出力する。入出力装置310は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。
【0051】
通信装置330は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置330は、カーボンデータ管理装置100から取得する信号を演算装置320に転送する。また、通信装置330は、演算装置320が生成した信号をカーボンデータ管理装置100に転送する。通信装置330は、例えば、無線LAN(Local Area Network)やセルラーネットワークなどの無線通信に用いられる送受信機、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0052】
記憶装置340は、圃場500における作業に関するカーボンクレジットを証明する証明データを表示するための様々なデータ、例えば表示プログラム450を格納する。記憶装置340は、表示プログラム450を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。表示プログラム450は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体3に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0053】
演算装置320は、表示プログラム450を記憶装置340から読み出し実行して、証明データを表示するための様々なデータ処理を行う。例えば、演算装置320は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0054】
演算装置320は、表示プログラム450を読み出し実行することで、図5に示すように、入出力装置310と協働して表示部350を実現する。表示部350は、カーボンデータ管理装置100から取得する証明データを表示する。また、表示部350は、圃場500に関する情報など、例えば圃場500の領域を表す情報を受け付ける。受け付けた圃場500に関する情報は、表示部350によりカーボンデータ管理装置100に出力される。
【0055】
(圃場の登録動作)
最初に、温室効果ガスの吸収量を決定する圃場500をカーボンデータ管理システム1000に登録する動作を説明する。ユーザ、例えば作業者、圃場500の所有者などは、温室効果ガスの吸収量を管理する圃場500をカーボンデータ管理システム1000に登録するための登録操作を端末300の入出力装置310に入力する。端末300の演算装置320は、登録操作に応じて、表示プログラム450を読み出し実行する。表示プログラム450が読み出し実行されると、演算装置320は、カーボンデータ管理方法の一部である図9に示す処理を開始する。また、カーボンデータ管理装置100の演算装置120は、例えば、起動されたとき、カーボンデータ管理プログラム420を読み出し実行する。また、分散型データベース200のデータベースノード201の演算装置220は、例えば、起動されたとき、分散型データベースプログラム440を読み出し実行する。
【0056】
ステップS110において、演算装置320により実現される表示部350は、カーボンデータ管理システム1000に登録される圃場500を表す圃場情報を受け付ける。例えば、表示部350は、ユーザによる登録操作に応じて、圃場500を含む地域を表す画像、例えば圃場500を地図上に表した画像を表示する。ユーザは、表示された画像において、登録する圃場500を表す領域を選択する。表示部350は、選択された領域を表す圃場情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。例えば、圃場情報は、選択された領域に対応する位置、例えば緯度と経度と、形状とを表す。
【0057】
ステップS120において、カーボンデータ管理装置100の圃場登録部150は、端末300から取得する圃場情報に基づき、温室効果ガスの吸収量を管理する圃場500の登録を分散型データベース200に指示する。例えば、圃場登録部150は、登録する圃場500を表す新しいトークン435を発行することを指示する指示データを分散型データベース200に出力する。例えば、指示データは、発行するトークン435に、登録する圃場500の領域を表す圃場領域と、圃場500を識別する圃場識別子とを示す情報が含まれることを表す。また、圃場登録部150は、圃場領域と、圃場識別子とを関連付けて、圃場データ410に記憶する。圃場識別子は、例えば圃場登録部150により決定される。
【0058】
このように、カーボンデータ管理装置100は、ユーザにより選択された圃場500を登録するように分散型データベース200に指示する。
【0059】
分散型データベース200は、カーボンデータ管理装置100からの指示に表される情報をカーボンデータ430に記憶する。例えば、分散型データベース200のデータ記憶部250は、所定の間隔で、カーボンデータ管理装置100からの指示に表される指示データを検証し、カーボンデータ430に記憶する。例えば、データ記憶部250は、分散型データベース200の各データベースノード201において実現され、指示データの正当性を検証する。指示データが正当であるとき、例えば指示データの送信元がカーボンデータ管理装置100であるとき、データ記憶部250は、指示データに表された情報をカーボンデータ430に記憶する。なお、後述するカーボンデータ管理装置100からの指示に表される情報についても同様に、分散型データベース200はカーボンデータ430に記憶する。
【0060】
例えば、分散型データベース200のデータ記憶部250は、カーボンデータ管理装置100から圃場500のトークン435の発行を表す指示データを取得すると、新しいトークン435を発行し、発行したトークン435をカーボンデータ430に記憶する。データ記憶部250は、例えば、図7に示すように、登録する圃場500を表す第1トークン435-1を発行する。データ記憶部250は、新しく発行するトークン435、例えば第1トークン435-1に指示データに表される情報のほか、トークン435を識別するトークンIDを含めてもよい。データ記憶部250は、発行した第1トークン435-1を検証し、第1トークン435-1の正当性が確認されると、第1トークン435-1を格納した新しい第1ブロック431-1を生成する。このように、データ記憶部250は、新しい第1トークン435-1を格納した第1ブロック431-1を生成することで、圃場500に関する情報をカーボンデータ430に記憶する。
【0061】
なお、1つのデータベースノード201において生成されたブロック431を表す情報は、他のデータベースノード201に出力される。他のデータベースノード201のデータ記憶部250は、取得されたブロック431を検証し、検証されたブロック431をカーボンデータ430に記憶する。例えば、データ記憶部250は、任意の方法、例えばプルーフ・オブ・ワーク(PoW)、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)、プルーフ・オブ・インポータンス(PoI)、プルーフ・オブ・コンセンサス(PoC)などを用いて、ブロック431を検証する。
【0062】
(農業機械が排出する部分排出量の決定動作)
次に、農業機械30が圃場500において作業、例えば耕耘、植付、収穫などを行うときに排出する温室効果ガスの部分排出量を決定する動作を説明する。農業機械30は、圃場500において作業を行うとき、稼働情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。例えば、農業機械30は、動力源、例えばエンジンや電動機が停止したとき、動力源が起動してから停止するまでの稼働情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。カーボンデータ管理装置100の演算装置120は、農業機械30から稼働情報を取得すると、カーボンデータ管理方法の一部である図10に示す処理を開始する。農業機械30は、逐次、稼働情報をカーボンデータ管理装置100に出力してもよい。
【0063】
ステップS210において、演算装置120により実現される部分排出量決定部162は、農業機械30の稼働情報に基づき、農業機械30が移動した移動軌跡600を決定する。例えば、部分排出量決定部162は、稼働情報に含まれる位置情報に基づき、農業機械30の各時刻における位置、例えば測位位置610を取得する。部分排出量決定部162は、農業機械30の各時刻における位置を、時間の順番に接続した線を移動軌跡600として決定する。例えば、部分排出量決定部162は、測定された時間が互いに隣接する2つの位置を直線状の線分で接続した線を移動軌跡600として決定する。
【0064】
ステップS220において、部分排出量決定部162は、移動軌跡600に基づき、農業機械30が排出した温室効果ガスの部分排出量を決定する。例えば、部分排出量決定部162は、農業機械30の各時刻における位置に基づき、各時刻における農業機械30の速度を決定する。例えば、部分排出量決定部162は、時間的に互いに隣接する2つの位置の間の距離と、時間差とから、各時刻における速度を決定する。部分排出量決定部162は、各時刻における速度と、移動軌跡600とに基づき、部分排出量を決定する。例えば、部分排出量決定部162は、各時刻における速度と、移動軌跡600のうち各時刻において移動した距離とに基づき、部分排出量を決定する。この場合、部分排出量決定部162は、各速度において、農業機械30が所定の距離、例えば1m移動するときに排出する温室効果ガスの排出量を表す単位距離あたりの排出量を予め保持する。部分排出量決定部162は、各時刻における速度に応じた単位距離あたりの排出量と、各時刻において移動した距離とを乗算し、各時刻における排出量を決定する。部分排出量決定部162は、移動軌跡600全体について、各時刻における排出量を合計し、部分排出量を決定する。部分排出量決定部162は、稼働情報に表された各時刻における農業機械30の速度を用いて、部分排出量を決定してもよい。各速度において、農業機械30が単位距離あたりに排出する温室効果ガスの排出量は、例えば実験により決定される。
【0065】
ステップS230において、部分排出量決定部162は、移動軌跡600に基づき、農業機械30により作業が行われた圃場500を決定する。例えば、部分排出量決定部162は、圃場データ410に記憶された圃場500のうち、移動軌跡600を含む圃場領域を有する圃場500を、農業機械30により作業が行われた圃場500として決定する。
【0066】
ステップS240において、データ登録部170は、部分排出量の記憶を分散型データベース200に指示する。例えば、データ登録部170は、部分排出量を表す新しいトークン435を発行することを指示する指示データを分散型データベース200に出力する。例えば、指示データは、発行するトークン435に、農業機械30により作業が行われた圃場500の圃場識別子を表す情報と、農業機械30により作業が行われた日時を表す情報と、部分排出量に関する情報とを含むことを表す。部分排出量に関する情報は、部分排出量の他に、部分排出量の根拠となる情報を表してもよい。例えば、部分排出量に関する情報は、部分排出量の他に、移動軌跡600、各時刻における速度などを表してもよい。また、部分排出量に関する情報は、部分排出量の他に、農業機械30の位置情報、各時刻における速度などを表してもよい。
【0067】
このように、カーボンデータ管理システム1000は、農業機械30により排出された温室効果ガスの部分排出量を決定し、決定された部分排出量を記憶するように分散型データベース200に指示する。
【0068】
分散型データベース200は、圃場500に関する情報を記憶するときと同様に、部分排出量を記憶する。例えば、分散型データベース200のデータ記憶部250は、カーボンデータ管理装置100から部分排出量の記憶を表す指示データを取得すると、新しいトークン435を発行し、発行したトークン435をカーボンデータ430に記憶する。データ記憶部250は、例えば、図7に示すように、部分排出量を表す第2トークン435-2を発行する。データ記憶部250は、新しく発行する第2トークン435-2に指示データに表される情報のほか、第2トークン435-2を識別するトークンIDを含めてもよい。データ記憶部250は、発行した第2トークン435-2を検証し、第2トークン435-2の正当性が確認されると、第2トークン435-2を格納した新しい第2ブロック431-2を生成する。このように、データ記憶部250は、新しい第2トークン435-2を格納した第2ブロック431-2を生成することで、部分排出量に関する情報をカーボンデータ430に記憶する。
【0069】
(作付領域の登録動作)
次に、圃場500に作物が植え付けられたときに、作物が植え付けられた作付領域をカーボンデータ管理システム1000に登録する動作を説明する。カーボンデータ管理装置100のデータ登録部170は、作付領域を表す作付情報を受け付け、受け付けた作付情報の登録を分散型データベース200に指示する。例えば、データ登録部170は、作物が植え付けられた圃場500を表す圃場識別子と、作付領域を識別する作付識別子と、作物が植え付けられた日時と、植え付けられた作物の種類と、作付領域の面積を示す作付面積と、植付けられた作物の密度を表す作付密度とを表すトークン435を発行することを指示する指示データを分散型データベース200に出力する。また、データ登録部170は、圃場データ410に記憶された圃場識別子と関連付けて、作付識別子を圃場データ410に記憶する。作付識別子は、例えば、データ登録部170により決定される。
【0070】
例えば、作付情報は、ユーザにより端末300の入出力装置310に入力されてもよい。例えば、ユーザは、圃場500において、作物を植え付ける作付領域と、植え付ける作物の種類と、植え付ける日時と、作物の作付密度とを入出力装置310に入力する。例えば、端末300の表示部350は、圃場500を含む地域を表す画像、例えば圃場500を地図上に表した画像を表示する。ユーザは、表示された画像において、圃場500において植付を行った作付領域と、植え付けた作物の種類と、植え付けた日時と、作付密度とを選択する。表示部350は、選択された作付領域と、作物の種類と、植え付けた日時と、作付密度とを表す作付情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。
【0071】
また、作付領域は、植付作業を行った農業機械30の稼働情報に基づき、決定されてもよい。例えば、カーボンデータ管理装置100のデータ登録部170は、稼働情報に表される農業機械30の各時刻における位置に基づき、作物が植え付けられた作付領域を決定してもよい。例えば、データ登録部170は、稼働情報に基づき、任意の方法で農業機械30が植付を行っている期間を決定する。例えば、データ登録部170は、農業機械30の位置が圃場500に含まれる期間を、農業機械30が植付を行っている期間として決定する。また、データ登録部170は、農業機械30の速度に基づき、農業機械30が植付を行っている期間を決定してもよい。
【0072】
例えば、データ登録部170は、植付を行っている期間における農業機械30の位置に基づき、任意の方法で作物が植え付けられた作付領域を決定する。例えば、データ登録部170は、植付を行っている期間における農業機械30の位置を表す植付位置に対する凸包を、作付領域として決定する。また、データ登録部170は、凸包を農業機械30の作業幅だけ広げた領域を作付領域として決定してもよい。
【0073】
また、作付密度も、植付作業を行った農業機械30の稼働情報に基づき、決定されてもよい。
【0074】
なお、農業機械30による作業が植付作業であるかは、ユーザにより入力されてもよく、稼働情報に基づき決定されてもよい。例えば、データ登録部170は、稼働情報から作業の種類、例えば耕耘、植付、収穫などを推定するように学習された学習モデルを用いて、作業の種類を推定してもよい。
【0075】
また、農業機械30により植え付けられた作物の種類も、ユーザにより入力されてもよく、行われた作業の情報、例えば作業が行われた時期、地域などに基づき決定されてもよい。例えば、データ登録部170は、作物の種類に応じて、植付を行う時期と、地域とを表す情報を保持し、この情報から植付が行われた時期と、地域とに対応する作物の種類を取得してもよい。データ登録部170は、さらに農業機械30の稼働情報に基づき、植え付けられた作物の種類を決定してもよい。
【0076】
このように、カーボンデータ管理装置100は、圃場500に植え付けられた作物の情報を表す作付情報の登録を分散型データベース200に指示する。
【0077】
分散型データベース200は、圃場500に関する情報を記憶するときと同様に、作付情報を記憶する。例えば、分散型データベース200のデータ記憶部250は、カーボンデータ管理装置100から作付情報の記憶を表す指示データを取得すると、新しいトークン435を発行し、発行したトークン435をカーボンデータ430に記憶する。データ記憶部250は、例えば、図7に示すように、作付情報を表す第3トークン435-3を発行する。データ記憶部250は、新しく発行する第3トークン435-3に指示データに表される情報のほか、第3トークン435-3を識別するトークンIDを含めてもよい。データ記憶部250は、発行した第3トークン435-3を検証する。データ記憶部250は、第2ブロック431-2の生成までに第2トークン435-2の正当性と第3トークン435-3の正当性とが確認されると、第2トークン435-2と第3トークン435-3とを格納した新しい第2ブロック431-2を生成する。このように、データ記憶部250は、新しい第3トークン435-3を格納した第2ブロック431-2を生成することで、圃場500に関する情報をカーボンデータ430に記憶する。なお、第2ブロック431-2の生成までに第3トークン435-3の正当性が確認されないとき、データ記憶部250は、第2ブロック431-2と異なるブロック431を生成し、第3トークン435-3を生成するブロック431に格納する。
【0078】
(作物による部分排出量と部分吸収量との決定動作)
次に、圃場500に植え付けられた作物により吸収される温室効果ガスの部分吸収量を決定する動作を説明する。ここで、作物は、呼吸により温室効果ガスを排出する。このため、カーボンデータ管理システム1000は、作付情報が登録されると、圃場500における作物により排出される温室効果ガスの部分排出量と、吸収される部分吸収量とを決定する。例えば、カーボンデータ管理装置100の演算装置120は、圃場500において作物が収穫されたときに、図11に示す処理を開始する。
【0079】
ステップS310において、演算装置120により実現される部分吸収量決定部161は、分散型データベース200に作付情報を要求する。例えば、部分吸収量決定部161は、圃場データ410から作物が植え付けられた作付領域を表す作付識別子を取得し、取得された作付識別子を表す情報を含むトークン435を要求する。
【0080】
ステップS320において、分散型データベース200のデータ記憶部250は、カーボンデータ管理装置100からの要求に基づき、作付情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。例えば、データ記憶部250は、カーボンデータ430から、作付識別子を表すトークン435を検出し、検出したトークン435をカーボンデータ管理装置100に出力する。
【0081】
ステップS330において、カーボンデータ管理装置100の部分吸収量決定部161は、作付情報に基づき、作付領域に植え付けられた作物により吸収される温室効果ガスの部分吸収量を決定する。例えば、部分吸収量決定部161は、作付情報から作物が植え付けられた日時を取得し、取得された日時から現在までの気象情報、例えば各日の気温、日照時間などを気象サーバ50から取得する。部分吸収量決定部161は、取得された気象情報に基づき、作物が植え付けられた日時から現在までの各日の気温を積算した積算温度を決定する。また、部分吸収量決定部161は、気象情報に基づき、作物が植え付けられた日時から現在までの日照時間を決定する。部分吸収量決定部161は、植え付けられた作物の種類と、日照時間と、積算温度と、作付密度とに基づき、任意の方法で、部分吸収量を決定する。例えば、部分吸収量決定部161は、作物の種類と、日照時間と、積算温度と、作付密度とに応じて、作物が単位面積あたりに吸収する温室効果ガスの吸収量を予め保持する。例えば、部分吸収量決定部161は、植え付けられた作物の種類と、日照時間と、積算温度と、作付密度とに応じた単位面積あたりの吸収量を抽出し、抽出された吸収量に作付面積を乗算して部分吸収量を決定する。また、部分吸収量決定部161は、作物の種類ごとに、積算温度と作付密度とに応じて単位時間における単位面積あたりの吸収量を出力する関数を予め保持し、出力された吸収量に日照時間と作付面積とを乗算して部分吸収量を決定してもよい。また、部分吸収量決定部161は、作物が植え付けられた日時から現在までの期間を表す栽培期間に基づき作付領域で栽培された作物の作期、例えば夏まき、春まきなどを決定し、決定された作期を用いて単位面積あたりの吸収量を決定してもよい。この場合、例えば、部分吸収量決定部161は、作物の種類と、日照時間と、積算温度と、作期に応じた単位面積あたりの吸収量を予め保持してもよい。
【0082】
また、部分吸収量決定部161は、作物が植え付けられた日時から現在までの各日において作物が温室効果ガスを吸収する吸収量を決定し、各日の吸収量を積算して部分吸収量を決定してもよい。例えば、部分吸収量決定部161は、植付けられた作物の種類と、各日における作物の成長状況と、気温と、日照時間と、作付密度とに基づき、各日の吸収量を決定する。例えば、部分吸収量決定部161は、作物の種類と、作物の成長状況と、気温と、作付密度とに基づき、単位面積において単位時間あたりに作物が吸収する温室効果ガスの吸収量を予め保持する。部分吸収量決定部161は、植付けられた作物の種類と、各日における作物の成長状況と、気温と、作付密度とに基づき、単位時間あたりの吸収量を決定し、決定した吸収量に日照時間と作付面積とを乗算して各日における吸収量を決定する。ここで、作物の成長状況として、作物が植え付けられた日時から各日までの積算温度が用いられてもよい。作物の成長状況として、圃場500の土壌の酸性度、例えばpH(Potential Hydrogen)値が用いられてもよい。土壌の酸性度は、例えば圃場500に設けられた微生物燃料電池40から取得される。また、部分吸収量決定部161は、各日における日照量を用いて、各日の吸収量を決定してもよい。例えば、各日の日照量は、過去の日照量の平均値でもよい。ここで、部分吸収量決定部161が予め保持する吸収量、例えば単位面積あたりの吸収量は、例えば、実験により決定される。
【0083】
ステップS340において、部分排出量決定部162は、作付情報に基づき、作付領域に植えられた作物により排出される温室効果ガスの部分排出量を決定する。例えば、部分排出量決定部162は、作物の種類と、積算温度と、作付密度とに基づき、作物が植え付けられた日時から現在までに作物が温室効果ガスを排出した部分排出量を決定する。例えば、部分排出量決定部162は、作物の種類と、積算温度と、作付密度とに応じて、単位面積あたりに排出される温室効果ガスの排出量を予め保持する。部分排出量決定部162は、作付領域に植え付けられた作物の種類と、栽培期間における積算温度と、作付密度とに対応する単位面積あたりの排出量を抽出し、抽出された単位面積あたりの排出量と作付面積とを乗算して部分排出量を決定する。ここで、部分排出量決定部162が予め保持する排出量、例えば単位面積あたりの排出量は、例えば、実験により決定される。
【0084】
ステップS350において、データ登録部170は、栽培期間において作物により吸収される温室効果ガスの部分吸収量と、排出される温室効果ガスの部分排出量との記憶を分散型データベース200に指示する。例えば、データ登録部170は、部分吸収量と部分排出量とを表す新しいトークン435を発行することを指示する指示データを分散型データベース200に出力する。例えば、指示データは、発行するトークン435に、作物が植付けられた圃場500の圃場識別子を表す情報と、作付領域の作付識別子を表す情報と、現在の日時を表す情報と、作物による部分排出量および部分排出量に関する情報とを含むことを表す。部分吸収量と部分排出量とに関する情報は、部分吸収量と部分排出量との他に、部分吸収量と部分排出量との根拠となる情報を表してもよい。例えば、部分吸収量と部分排出量とに関する情報は、部分吸収量と部分排出量との他に、例えば栽培期間、日照時間、積算温度などを表してもよい。また、部分吸収量と部分排出量とに関する情報は、栽培期間における各日の気温、日照時間などを表してもよい。
【0085】
このように、カーボンデータ管理システム1000は、栽培期間において作物が吸収する温室効果ガスの部分吸収量と、排出する温室効果ガスの部分排出量とを決定し、決定された部分吸収量と部分排出量とを記憶するように分散型データベース200に指示する。
【0086】
分散型データベース200は、圃場500に関する情報を記憶するときと同様に、部分吸収量と部分排出量とを記憶する。例えば、分散型データベース200のデータ記憶部250は、カーボンデータ管理装置100から部分吸収量と部分排出量との記憶を表す指示データを取得すると、新しいトークン435を発行し、発行したトークン435をカーボンデータ430に記憶する。データ記憶部250は、例えば、図7に示すように、部分吸収量と部分排出量とを表す第4トークン435-4を発行する。データ記憶部250は、新しく発行する第4トークン435-4に指示データに表される情報のほか、第4トークン435-4を識別するトークンIDを含めてもよい。データ記憶部250は、発行した第4トークン435-4を検証し、第4トークン435-4の正当性が確認されると、第4トークン435-4を格納した新しい第3ブロック431-3を生成する。このように、データ記憶部250は、新しい第4トークン435-4を格納した第3ブロック431-3を生成することで、圃場500に関する情報をカーボンデータ430に記憶する。なお、農業機械30を用いて作物を収穫したとき、第3ブロック431-3は農業機械30により排出された部分排出量を表すトークン435を格納する場合もある。
【0087】
(微生物燃料電池の発電による部分排出量の決定動作)
次に、圃場500において微生物燃料電池40の発電により排出される温室効果ガスの部分排出量を決定する動作を説明する。微生物燃料電池40は、所定の間隔、例えば1月間隔で、その期間に発電した電力量を表す発電情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。また、微生物燃料電池40は、圃場500から撤去されるときに発電した電力量を表す発電情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。カーボンデータ管理装置100の演算装置120は、発電情報を取得すると、カーボンデータ管理方法の一部である図12に示す処理を開始する。
【0088】
ステップS410において、演算装置120により実現される部分排出量決定部162は、微生物燃料電池40の発電情報に基づき、微生物燃料電池40により排出された温室効果ガスの部分排出量を決定する。部分排出量決定部162は、発電情報に表される電力量に基づき、発電により排出される温室効果ガスの部分排出量を決定する。例えば、部分排出量決定部162は、電力量に応じて部分排出量を出力する関数を予め保持する。部分排出量決定部162は、この関数を用いて、部分排出量を決定する。ここで、部分排出量決定部162が予め保持する関数は、例えば、実験により決定される。
【0089】
ステップS420において、データ登録部170は、部分排出量の記憶を分散型データベース200に指示する。例えば、データ登録部170は、部分排出量を表す新しいトークン435を発行することを指示する指示データを分散型データベース200に出力する。例えば、指示データは、発行するトークン435に、微生物燃料電池40により発電が行われている圃場500の圃場識別子を表す情報と、現在の日時を表す情報と、部分排出量に関する情報とを含むことを表す。部分排出量に関する情報は、部分排出量の他に、部分排出量の根拠となる情報を表してもよい。例えば、部分排出量に関する情報は、微生物燃料電池40により発電された電力量などを表してもよい。また、微生物燃料電池40により発電された電力を圃場500における作業に用いる場合、部分排出量に関する情報は、発電された電力量のうち、作業に使用された電力量を表してもよい。
【0090】
このように、カーボンデータ管理システム1000は、微生物燃料電池40の発電により排出された温室効果ガスの部分排出量を決定し、決定された部分排出量を記憶するように分散型データベース200に指示する。
【0091】
分散型データベース200は、圃場500に関する情報を記憶するときと同様に、部分排出量を記憶する。例えば、分散型データベース200のデータ記憶部250は、カーボンデータ管理装置100から部分排出量の記憶を表す指示データを取得すると、新しいトークン435を発行し、発行したトークン435をカーボンデータ430に記憶する。例えば、データ記憶部250は、発行したトークン435を格納した新しいブロック431を生成する。このように、データ記憶部250は、新しいトークン435を格納したブロック431を生成することで、部分排出量に関する情報をカーボンデータ430に記憶する。
【0092】
(バイオ炭の貯留による部分吸収量の決定動作)
次に、バイオ炭を圃場500に貯留することで吸収される温室効果ガスの部分吸収量を決定する動作を説明する。例えば、ユーザは、圃場500にバイオ炭を貯留するとき、バイオ炭の貯留量を設定するための設定操作を端末300の入出力装置310に入力する。端末300の演算装置320は、設定操作に応じて、表示プログラム450を読み出し実行する。表示プログラム450が読み出し実行されると、演算装置320は、カーボンデータ管理方法の一部である図13に示す処理を開始する。
【0093】
ステップS510において、演算装置320により実現される表示部350は、圃場500に貯留するバイオ炭の貯留量を表す貯留情報を受け付ける。例えば、表示部350は、ユーザの設定操作に応じて、登録された1つ以上の圃場500を表す画像、例えば登録された圃場500を地図上に表した画像を表示する。ユーザは、表示された画像においてバイオ炭を貯留する圃場500を選択し、貯留するバイオ炭の貯留量を設定する。表示部350は、選択された圃場500に、設定された貯留量のバイオ炭を貯留することを表す貯留情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。なお、登録された圃場500に関する情報は、カーボンデータ管理装置100から取得してもよい。
【0094】
ステップS520において、カーボンデータ管理装置100の部分吸収量決定部161は、貯留情報に基づき、圃場500に貯留される温室効果ガスの部分吸収量を決定する。例えば、部分吸収量決定部161は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC;Intergovernmental Panel on Climate Change)の第44回総会において決定された「2006年IPCC国別温室効果ガスインベントリガイドラインの2019年改良(2019 Refinement to the 2006 IPCC Guidelines for National Greenhouse Gas Inventories)」に示された数式を用いて、バイオ炭の貯留量から部分吸収量を決定する。
【0095】
ステップS530において、データ登録部170は、部分吸収量の記憶を分散型データベース200に指示する。例えば、データ登録部170は、部分吸収量を表す新しいトークン435を発行することを指示する指示データを分散型データベース200に出力する。例えば、指示データは、発行するトークン435に、バイオ炭が貯留された圃場500の圃場識別子を表す情報と、バイオ炭が貯留された日時を表す情報と、部分吸収量に関する情報とを含むことを表す。部分吸収量に関する情報は、部分吸収量の他に、部分吸収量の根拠となる情報を表してもよい。例えば、部分吸収量に関する情報は、部分吸収量の他に、貯留されたバイオ炭の貯留量などを表してもよい。
【0096】
このように、カーボンデータ管理システム1000は、バイオ炭の貯留により圃場500に吸収された温室効果ガスの部分吸収量を決定し、決定された部分吸収量を記憶するように分散型データベース200に指示する。
【0097】
分散型データベース200は、圃場500に関する情報を記憶するときと同様に、部分吸収量を記憶する。例えば、分散型データベース200のデータ記憶部250は、カーボンデータ管理装置100から部分吸収量の記憶を表す指示データを取得すると、新しいトークン435を発行し、発行したトークン435をカーボンデータ430に記憶する。例えば、データ記憶部250は、発行したトークン435を格納した新しいブロック431を生成する。このように、データ記憶部250は、新しいトークン435を格納したブロック431を生成することで、部分吸収量に関する情報をカーボンデータ430に記憶する。
【0098】
(圃場吸収量に関する証明データの出力動作)
最後に、圃場500における圃場吸収量に関する証明データを出力する動作を説明する。例えば、ユーザは、カーボンクレジットの認証を受けるために、証明データの発行を要求するための要求操作を端末300の入出力装置310に入力する。端末300の演算装置320は、要求操作に応じて、表示プログラム450を読み出し実行する。表示プログラム450が読み出し実行されると、演算装置320は、カーボンデータ管理方法の一部である図14に示す処理を開始する。
【0099】
ステップS610において、演算装置320により実現される表示部350は、証明データの要求情報を受け付ける。例えば、表示部350は、ユーザの要求操作に応じて、登録されている1つ以上の圃場500を表す画像、例えば登録されている圃場500を地図上に表した画像を表示する。ユーザは、表示された画像において証明データを要求する圃場500を選択する。表示部350は、選択された圃場500に関する圃場吸収量の証明データを要求する要求情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。なお、登録されている圃場500に関する情報、例えば圃場領域は、カーボンデータ管理装置100から取得する。
【0100】
ステップS620において、圃場吸収量決定部160は、要求情報に基づき、要求された証明データに対応する圃場500に関するトークン435を分散型データベース200に要求する。例えば、圃場吸収量決定部160は、要求情報に表された圃場500に対応する圃場識別子を圃場データ410から取得する。また、圃場識別子は、要求情報に表されてもよい。圃場吸収量決定部160は、取得された圃場識別子を表す情報を含むトークン435を要求するトークン要求情報を分散型データベース200に出力する。
【0101】
ステップS630において、分散型データベース200のデータ記憶部250は、トークン要求情報に基づき、圃場500に関するトークン435をカーボンデータ430から検索する。例えば、データ記憶部250は、トークン要求情報に表された圃場識別子を表す情報を含むトークン435を抽出する。データ記憶部250は、抽出されたトークン435をカーボンデータ管理装置100に出力する。
【0102】
ステップS640において、カーボンデータ管理装置100の圃場吸収量決定部160は、分散型データベース200から取得されたトークン435に基づき、圃場500において温室効果ガスが吸収された圃場吸収量を決定する。例えば、圃場吸収量決定部160は、取得された1つ以上のトークン435に表された部分吸収量の合計から、部分排出量の合計を減算することで、圃場吸収量を決定する。
【0103】
ステップS650において、データ登録部170は、決定された圃場吸収量の記憶を分散型データベース200に指示する。例えば、データ登録部170は、圃場吸収量を表す新しいトークン435を発行することを指示する指示データを分散型データベース200に出力する。例えば、指示データは、発行するトークン435に、対応する圃場500を表す圃場識別子を表す情報と、現在の日時を表す情報と、圃場吸収量に関する情報とを含むことを表す。圃場吸収量に関する情報は、圃場吸収量の他に、圃場吸収量の根拠となる情報を表してもよい。例えば、圃場吸収量に関する情報は、圃場吸収量の他に、圃場吸収量の算出に使用したトークン435を識別するトークンIDなどを表してもよい。
【0104】
また、データ登録部170は、分散型データベース200に発行した圃場吸収量に関するトークン435を要求する。
【0105】
ステップS660において、分散型データベース200は、圃場500に関する情報を記憶するときと同様に、圃場吸収量を記憶する。例えば、分散型データベース200のデータ記憶部250は、圃場吸収量に関するトークン435の発行を表す指示データを取得すると、新しいトークン435を発行し、発行したトークン435をカーボンデータ430に記憶する。例えば、データ記憶部250は、発行したトークン435を格納した新しいブロック431を生成する。このように、データ記憶部250は、新しいトークン435を格納したブロック431を生成することで、圃場吸収量に関する情報をカーボンデータ430に記憶する。
【0106】
また、データ記憶部250は、カーボンデータ管理装置100の要求に基づき、発行した圃場吸収量に関するトークン435をカーボンデータ管理装置100に出力する。
【0107】
ステップS670において、カーボンデータ管理装置100の出力部180は、圃場吸収量に関する証明データを端末300に出力する。例えば、出力部180は、圃場吸収量に関するトークン435を含む圃場500に関するトークン435を、証明データとして端末300に出力する。例えば、証明データは、図7に示す第1トークン435-1、第2トークン435-2、第3トークン435-3、第4トークン435-4などを含む。
【0108】
図14に示すステップS680において、端末300の表示部350は、カーボンデータ管理装置100から取得された証明データを入出力装置310に表示する。例えば、表示部350は、証明データに含まれる各トークン435に表された圃場吸収量と、部分吸収量と、部分排出量とを表示する。ユーザは、表示された証明データを確認し、証明データを用いてカーボンクレジットの認証を受けるための手続きを行う。
【0109】
このように、カーボンデータ管理システム1000は、圃場500における各作業により吸収される温室効果ガスの部分吸収量と、排出される温室効果ガスの部分排出量とを決定する。これにより、カーボンデータ管理システム1000は、圃場500において吸収される温室効果ガスの圃場吸収量を精度よく決定することができる。
【0110】
また、カーボンデータ管理システム1000は、圃場500において行われる温室効果ガスの吸収方法により影響をうける作業を抽出し、抽出された作業について部分吸収量と部分排出量とを決定してもよい。ここで、吸収方法により影響をうける作業は、カーボンデータ管理装置100に予め登録されている。カーボンデータ管理装置100は、吸収方法により影響をうける作業が行われたとき、部分吸収量または部分排出量を決定し、決定された部分吸収量または部分排出量を分散型データベース200に記憶する。
【0111】
また、カーボンデータ管理システム1000は、圃場500において行われるすべての作業について、部分吸収量と部分排出量とを決定してもよい。
【0112】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。例えば、図10に示すステップS220において、カーボンデータ管理装置100の部分排出量決定部162は、任意の方法で、農業機械30が排出する温室効果ガスの部分排出量を決定してもよい。例えば、部分排出量決定部162は、移動軌跡600の距離と、単位距離あたりに排出される温室効果ガスの排出量と乗算して部分排出量を決定してもよい。この場合、データ登録部170は、農業機械30の速度を含まないトークン435の発行を分散型データベース200に指示してもよい。単位距離あたりの排出量は、例えば実験により決定される。
【0113】
また、部分排出量決定部162は、農業機械30の稼働情報に含まれるエンジンの回転数に基づき、部分排出量を決定してもよい。また、部分排出量決定部162は、農業機械30の稼働情報に基づき、燃料消費量を決定してもよい。データ登録部170は、決定されたすべてまたは一部の情報を含むトークン435の発行を分散型データベース200に指示してもよい。
【0114】
例えば、図11に示す処理は、圃場500に作物が植付けられてから、所定の間隔、例えば1日間隔で実行されてもよい。この場合、カーボンデータ管理装置100の部分吸収量決定部161と、部分排出量決定部162とは、その期間における温室効果ガスの吸収量と、排出量とを決定する。
【0115】
また、図11に示すステップS330において、気象情報はユーザにより入力されてもよい。例えば、ユーザは、端末300に気象情報を入力するための操作を入出力装置310に入力する。端末300の表示部350は、入力された気象情報をカーボンデータ管理装置100に出力する。
【0116】
また、ステップS330において、カーボンデータ管理装置100の部分吸収量決定部161は、任意の方法で、植付けられている作物により吸収される温室効果ガスの部分吸収量を決定してもよい。例えば、部分吸収量決定部161は、作付密度を用いずに、部分吸収量を決定してもよい。また、部分吸収量決定部161は、植え付けられている作物の種類と、作付面積とに基づき、部分吸収量を決定してもよい。例えば、部分吸収量決定部161は、作物の種類に応じて、温室効果ガスを吸収する単位面積あたりの吸収量を保持する。部分吸収量決定部161は、単位面積あたりの吸収量と作付面積とを乗算し、部分吸収量を決定してもよい。
【0117】
また、ステップS340において、カーボンデータ管理装置100の部分排出量決定部162は、任意の方法で、作物の呼吸により排出される温室効果ガスの部分排出量を決定してもよい。例えば、部分排出量決定部162は、作付密度を用いずに、部分排出量を決定してもよい。また、部分排出量決定部162は、作物の種類と、栽培期間の各日における作物の成長状況と、気温とに基づき、部分排出量を決定してもよい。例えば、部分排出量決定部162は、作物の種類に応じて、作物の成長状況と、気温とに基づき、単位面積あたりに作物が排出する温室効果ガスの排出量を予め保持する。部分排出量決定部162は、植付けられた作物の種類と、各日における作物の成長状況と、気温とに基づき、単位面積あたりの排出量を決定し、決定された排出量に作付面積を乗算して部分排出量を決定する。
【0118】
また、ステップS340において、カーボンデータ管理装置100の部分排出量決定部162は、作物が栽培されている圃場500において、作物の呼吸以外で排出される温室効果ガスの排出量を部分排出量に加えてもよい。例えば、作物の種類によっては、作物の栽培により、圃場500から温室効果ガスが排出される。例えば、水田において稲を栽培するとき、圃場500からメタンガスが排出されることが知られている。例えば、部分排出量決定部162は、作付領域に基づき、圃場500から排出されるメタンガスの排出量を決定し、決定された排出量を温室効果ガスに加えてもよい。
【0119】
また、図14に示すステップS650において、カーボンデータ管理装置100の圃場登録部150は、圃場吸収量を決定した圃場500において続けて温室効果ガスの吸収量を管理するとき、新しく管理する圃場500として登録してもよい。例えば、圃場登録部150は、圃場吸収量を決定した圃場500の登録を分散型データベース200に指示する。例えば、圃場登録部150は、圃場吸収量を決定した圃場500を表す新しいトークン435を発行することを指示する指示データを分散型データベース200に出力する。例えば、圃場登録部150は、圃場吸収量を決定した圃場500を識別する圃場識別子を新たに決定する。指示データは、発行するトークン435に、新たに決定された圃場識別子を表す情報と、圃場500の圃場領域に関する情報とを含むことを表す。また、圃場登録部150は、新たに決定した圃場識別子と、圃場領域とを関連付けて、圃場データ410に記憶する。このように、カーボンデータ管理システム1000は、圃場吸収量を決定した圃場500において、圃場吸収量を決定するまでの温室効果ガスの吸収量と、圃場吸収量を決定した後の温室効果ガスの吸収量とを区別して管理する。
【0120】
また、圃場データ410は、登録されている圃場500の圃場識別子に関連付けて、圃場500に関するトークン435のトークンIDを記憶してもよい。この場合、図14に示すステップS620において、カーボンデータ管理装置100の圃場吸収量決定部160は、圃場データ410において圃場吸収量を決定する圃場500の圃場拡張子に関連付けられたトークンIDのトークン435を分散型データベース200に要求してもよい。ステップS630において、分散型データベース200のデータ記憶部250は、要求されたトークンIDにより表されるトークン435をカーボンデータ管理装置100に出力する。
【0121】
さらに、圃場データ410は、登録されている圃場500の圃場識別子に関連付けて、現時点において圃場500において吸収された温室効果ガスの吸収量を記憶してもよい。この場合、カーボンデータ管理装置100の部分吸収量決定部161は、部分吸収量の記憶を分散型データベース200に指示するとき、圃場データ410に記憶された吸収量に部分吸収量を加算する。また、カーボンデータ管理装置100の部分排出量決定部162は、部分排出量の記憶を分散型データベース200に指示するとき、圃場データ410に記憶された吸収量から部分排出量を減算する。
【0122】
分散型データベース200は、カーボンデータ管理装置100からの指示データを検証する例を示したが、これに限定されない。例えば、分散型データベース200のデータ記憶部250は、指示データを検証することなく、ブロック431に格納してもよい。
【0123】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、カーボンデータ管理装置100は、分散型データベース200の一部、例えばデータベースノード201の処理を実行してもよい。カーボンデータ管理装置100の一部、または、すべての処理を端末300が実行してもよい。また、端末300の一部の処理をカーボンデータ管理装置100が実行してもよい。また、端末300は農業機械30に組み込まれていてもよい。
【0124】
また、カーボンデータ管理システム1000は、端末300を含まず、カーボンデータ管理システム1000に含まれない外部端末に証明データを出力してもよい。
【0125】
また、カーボンデータ管理プログラム420は、分散型データベースプログラム440と、表示プログラム450とのうち、いずれか一方、または、両方を含んでもよい。
【0126】
例えば、圃場データ410は省略されてもよい。この場合、カーボンデータ管理装置100において実現される各部は、圃場500に関する情報を分散型データベース200から取得する。
【0127】
また、カーボンデータ管理装置100は、カーボンデータ430に記憶される各情報を記憶装置140に記憶してもよい。この場合、分散型データベース200は省略されてもよい。また、カーボンデータ管理装置100がカーボンデータ430に記憶される各情報を記憶するとき、任意の形式のデータ構造が選択されてもよい。
【0128】
(付記)
各実施の形態で記載したカーボンデータ管理方法と、カーボンデータ管理システムと、カーボンデータ管理プログラムとは以下のように言うことができる。
【0129】
第1の態様に係るカーボンデータ管理方法は、
圃場において作業を行う農業機械の位置情報に基づき、前記圃場における前記農業機械による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定することと、
前記圃場吸収量に基づき、前記圃場の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力することと、
を含む。
【0130】
第2の態様に係るカーボンデータ管理方法は、第1の態様に係るカーボンデータ管理方法であって、
前記圃場吸収量を決定することは、
前記圃場において温室効果ガスを吸収する第1吸収方法において吸収される部分吸収量を決定することと、
前記圃場において、前記第1吸収方法により影響をうける作業を行う前記農業機械の位置情報に基づき、前記圃場において前記農業機械が温室効果ガスを排出する部分排出量を決定することと、
前記部分吸収量と、前記部分排出量とに基づき、前記圃場吸収量を決定することと、
を含む。
【0131】
第3の態様に係るカーボンデータ管理方法は、第2の態様に係るカーボンデータ管理方法であって、
前記第1吸収方法は、前記圃場における前記作物の光合成により温室効果ガスを吸収することを含み、
前記部分吸収量を決定することは、
前記圃場において前記作物が植え付けられた作付面積と、前記作物の種類とに基づき、前記作物の光合成により吸収される温室効果ガスの前記部分吸収量を決定すること
を含み、
前記部分排出量を決定することは、
前記作付面積と、前記作物の種類とに基づき、前記作物の呼吸により排出される温室効果ガスの前記部分排出量を決定することと、
前記圃場において前記作物を栽培するために作業を行う前記農業機械の位置情報に基づき、前記部分排出量を決定することと、
を含む。
【0132】
第4の態様に係るカーボンデータ管理方法は、第2または第3の態様に係るカーボンデータ管理方法であって、
前記位置情報に基づき、前記圃場において前記農業機械が移動した移動軌跡を決定することと、
前記移動軌跡と、前記圃場における前記農業機械の速度とに基づき、前記部分排出量を決定することと、
を含む。
【0133】
第5の態様に係るカーボンデータ管理方法は、第2から第4のいずれか1つの態様に係るカーボンデータ管理方法であって、
前記第1吸収方法は、前記圃場に設置された微生物燃料電池により発電することを含み、
前記部分排出量を決定することは、
前記微生物燃料電池により発電された発電量に基づき、前記微生物燃料電池の発電により排出される温室効果ガスの前記部分排出量を決定すること
を含む。
【0134】
第6の態様に係るカーボンデータ管理方法は、第2から第5の態様のいずれか1つに係るカーボンデータ管理方法であって、
複数のデータベースノードにおいて、同じ前記部分吸収量と、前記部分排出量とを記憶すること
を含む。
【0135】
第7の態様に係るカーボンデータ管理方法は、第1から第6の態様のいずれか1つに係るカーボンデータ管理方法であって、
前記圃場吸収量を決定することは、
複数のデータベースノードにおいて、同じ前記圃場吸収量を記憶すること
を含む。
【0136】
第8の態様に係るカーボンデータ管理方法は、第7の態様に係るカーボンデータ管理方法であって、
複数のデータベースノードにおいて、同じ前記圃場吸収量を記憶することは、
前記複数のデータベースノードにより形成されたブロックチェーンに、前記圃場吸収量を記憶すること
を含む。
【0137】
第9の態様に係るカーボンデータ管理方法は、第1から第8の態様のいずれか1つに係るカーボンデータ管理方法であって、
前記圃場吸収量を決定することは、
前記圃場吸収量を決定する前記圃場を、温室効果ガスを管理する圃場として新たに登録すること
を含む。
【0138】
第10の態様に係るカーボンデータ管理システムは、
圃場において作業を行う農業機械の位置情報に基づき、前記圃場における前記農業機械による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定する圃場吸収量決定部と、
前記圃場吸収量に基づき、前記圃場の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力する出力部と、
を備える。
【0139】
第11の態様に係るカーボンデータ管理プログラムは、
圃場において作業を行う農業機械の位置情報に基づき、前記圃場における前記農業機械による作物の栽培において、温室効果ガスを吸収する圃場吸収量を決定することと、
前記圃場吸収量に基づき、前記圃場の栽培活動によるカーボンクレジットを証明する証明データを出力することと、
を演算装置に実行させる。
【符号の説明】
【0140】
1、2、3:記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :農業機械
40 :微生物燃料電池
41 :アノード電極
42 :カソード電極
45 :電子
50 :気象サーバ
100 :カーボンデータ管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :圃場登録部
160 :圃場吸収量決定部
161 :部分吸収量決定部
162 :部分排出量決定部
170 :データ登録部
180 :出力部
200 :分散型データベース
201 :データベースノード
210 :入出力装置
220 :演算装置
230 :通信装置
240 :記憶装置
250 :データ記憶部
300 :端末
310 :入出力装置
320 :演算装置
330 :通信装置
340 :記憶装置
350 :表示部
410 :圃場データ
420 :カーボンデータ管理プログラム
430 :カーボンデータ
431 :ブロック
432 :ハッシュポインタ
433 :データ
435 :トークン
440 :分散型データベースプログラム
450 :表示プログラム
500 :圃場
501 :水
502 :泥
503 :微生物
504 :有機物
600 :移動軌跡
610 :測位位置
1000 :カーボンデータ管理システム
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