(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155360
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電池セル及び電池セルの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20241024BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20241024BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20241024BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/545
H01M50/553
H01M10/658
H01M50/536
H01M50/566
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070016
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】大道寺 孝夫
【テーマコード(参考)】
5H031
5H043
【Fターム(参考)】
5H031KK02
5H043AA19
5H043CA04
5H043DA03
5H043DA20
5H043EA36
5H043EA39
5H043JA06E
(57)【要約】
【課題】蓋材及び接続導体の接続によって発生する熱の電池要素への影響を抑制する。
【解決手段】電池セル10Aは、正極集電体110が引き出された所定端面を有する電池要素100と、電池要素100の所定端面を覆う前方蓋材210と、正極集電体110に電気的に接続された第1導体部312A及び前方蓋材210に電気的に接続された第2導体部314Aを有する接続導体310Aと、を備えている。接続導体310Aは、第1導体部312A及び第2導体部314Aの間で折り曲げられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体が引き出された所定端面を有する電池要素と、
前記電池要素の前記所定端面を覆う蓋材と、
前記集電体に電気的に接続された第1導体部及び前記蓋材に電気的に接続された第2導体部を有する接続導体と、
を備え、
前記接続導体が、前記第1導体部及び前記第2導体部の間で折り曲げられている、電池セル。
【請求項2】
前記集電体の少なくとも一部分が、前記電池要素の前記所定端面に対して非垂直に折り曲げられている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記接続導体が、前記第1導体部から突出して前記集電体に接合された突出導体部をさらに有する、請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1導体部及び前記集電体が、前記電池要素の前記所定端面と重なる位置で互いに接合されている、請求項2に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1導体部及び前記集電体が互いに接合された前記位置と、前記電池要素の前記所定端面と、の間に位置する断熱材をさらに備える、請求項4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記接続導体における前記第1導体部及び前記第2導体部の間の折れ曲がり部分の剛性が、前記第1導体部の剛性及び前記第2導体部の剛性の少なくとも一方より低い、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記蓋材が、前記第2導体部に電気的に接続された金属部と、前記金属部を囲む樹脂部と、を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記金属部が、前記金属部及び前記樹脂部の界面に凹部及び凸部の少なくとも一方を有している、請求項7に記載の電池セル。
【請求項9】
電池要素の所定端面から引き出された集電体と、接続導体の第1導体部と、を互いに電気的に接続する工程と、
蓋材と、前記接続導体の第2導体部と、を互いに電気的に接続する工程と、
前記接続導体を前記第1導体部及び前記第2導体部の間で折り曲げて、前記電池要素の前記所定端面を前記蓋材によって覆う工程と、
を備える、電池セルの製造方法。
【請求項10】
前記蓋材及び前記第2導体部を互いに電気的に接続する工程が、前記第2導体部が前記電池要素の前記所定端面に対して非平行となった状態で、前記蓋材及び前記第2導体部を互いに接合する工程を有する、請求項9に記載の電池セルの製造方法。
【請求項11】
前記集電体及び前記第1導体部を互いに電気的に接続する工程が、前記集電体の少なくとも一部分を前記電池要素の前記所定端面に対して非垂直に折り曲げる工程を有する、請求項9又は10に記載の電池セルの製造方法。
【請求項12】
前記集電体及び前記第1導体部を互いに電気的に接続する工程が、前記集電体と、前記接続導体における前記第1導体部から突出した突出導体部と、を互いに接合する工程を有する、請求項11に記載の電池セルの製造方法。
【請求項13】
前記集電体及び前記第1導体部を互いに電気的に接続する工程が、前記電池要素の前記所定端面と重なる位置で前記集電体及び前記第1導体部を互いに接合する工程を有する、請求項11に記載の電池セルの製造方法。
【請求項14】
前記集電体及び前記第1導体部を互いに接合する工程において、前記第1導体部及び前記集電体が互いに接合された前記位置と、前記電池要素の前記所定端面と、の間に断熱材が位置している、請求項13に記載の電池セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セル及び電池セルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な電池セルが開発されている。電池セルは、正極、負極及びセパレータを有する電池要素を備えている。電池要素からは、正極集電体及び負極集電体が引き出されている。正極集電体は、電池要素の正極に電気的に接続されている。負極集電体は、電池要素の負極に電気的に接続されている。
【0003】
特許文献1には、電池セルの一例について記載されている。この電池セルでは、正極シートを有するカバーと、負極シートを有するカバーと、が電池要素の両端面を覆っている。正極集電体及び正極シートは、電池要素の両端面の一方に設けられた導体シートを介して互いに固定されている。負極集電体及び負極シートは、電池要素の両端面の他方に設けられた導電シートを介して互いに固定されている。
【0004】
特許文献2には、電池セルの一例について記載されている。この電池セルは、一対の接続体を有する集電部材を備えている。各接続体は、電池要素から引き出された集電体に接続されている。各接続体は、電池要素の端面に対して平行に折り曲げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開第115275454号明細書
【特許文献2】米国特許第11417935号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献1に記載されているように、接続導体を介して集電体及び蓋材を互いに電気的に接続することがある。しかしながら、蓋材及び接続導体をレーザ溶接等の接合方法によって互いに単に接合する場合、蓋材及び接続導体の接続によって発生する熱が電池要素へ影響を与えることがある。
【0007】
本発明の目的の一例は、蓋材及び接続導体の接続によって発生する熱の電池要素への影響を抑制することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
集電体が引き出された所定端面を有する電池要素と、
前記電池要素の前記所定端面を覆う蓋材と、
前記集電体に電気的に接続された第1導体部及び前記蓋材に電気的に接続された第2導体部を有する接続導体と、
を備え、
前記接続導体が、前記第1導体部及び前記第2導体部の間で折り曲げられている、電池セル。
[2]
前記集電体の少なくとも一部分が、前記電池要素の前記所定端面に対して非垂直に折り曲げられている、[1]に記載の電池セル。
[3]
前記接続導体が、前記第1導体部から突出して前記集電体に接合された突出導体部をさらに有する、[2]に記載の電池セル。
[4]
前記第1導体部及び前記集電体が、前記電池要素の前記所定端面と重なる位置で互いに接合されている、[2]に記載の電池セル。
[5]
前記第1導体部及び前記集電体が互いに接合された前記位置と、前記電池要素の前記所定端面と、の間に位置する断熱材をさらに備える、[4]に記載の電池セル。
[6]
前記接続導体における前記第1導体部及び前記第2導体部の間の折れ曲がり部分の剛性が、前記第1導体部の剛性及び前記第2導体部の剛性の少なくとも一方より低い、[1]~[5]のいずれか一に記載の電池セル。
[7]
前記蓋材が、前記第2導体部に電気的に接続された金属部と、前記金属部を囲む樹脂部と、を有する、[1]~[6]のいずれか一項に記載の電池セル。
[8]
前記金属部が、前記金属部及び前記樹脂部の界面に凹部及び凸部の少なくとも一方を有している、[7]に記載の電池セル。
[9]
電池要素の所定端面から引き出された集電体と、接続導体の第1導体部と、を互いに電気的に接続する工程と、
蓋材と、前記接続導体の第2導体部と、を互いに電気的に接続する工程と、
前記接続導体を前記第1導体部及び前記第2導体部の間で折り曲げて、前記電池要素の前記所定端面を前記蓋材によって覆う工程と、
を備える、電池セルの製造方法。
[10]
前記蓋材及び前記第2導体部を互いに電気的に接続する工程が、前記第2導体部が前記電池要素の前記所定端面に対して非平行となった状態で、前記蓋材及び前記第2導体部を互いに接合する工程を有する、[9]に記載の電池セルの製造方法。
[11]
前記集電体及び前記第1導体部を互いに電気的に接続する工程が、前記集電体の少なくとも一部分を前記電池要素の前記所定端面に対して非垂直に折り曲げる工程を有する、[9]又は[10]に記載の電池セルの製造方法。
[12]
前記集電体及び前記第1導体部を互いに電気的に接続する工程が、前記集電体と、前記接続導体における前記第1導体部から突出した突出導体部と、を互いに接合する工程を有する、[11]に記載の電池セルの製造方法。
[13]
前記集電体及び前記第1導体部を互いに電気的に接続する工程が、前記電池要素の前記所定端面と重なる位置で前記集電体及び前記第1導体部を互いに接合する工程を有する、[11]に記載の電池セルの製造方法。
[14]
前記集電体及び前記第1導体部を互いに接合する工程において、前記第1導体部及び前記集電体が互いに接合された前記位置と、前記電池要素の前記所定端面と、の間に断熱材が位置している、[13]に記載の電池セルの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、蓋材及び接続導体の接合によって発生する熱の電池要素への影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】外装フィルムを取り除いた状態の実施形態1に係る電池セルの斜視図である。
【
図3】正極端子及び外装フィルムを取り除いた状態の実施形態1に係る電池セルの前部の上面図である。
【
図4】正極端子及び外装フィルムを取り除いた状態の実施形態1に係る電池セルの前部の右側面図である。
【
図5】実施形態1に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図6】実施形態1に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図7】実施形態1に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図8】正極端子及び外装フィルムを取り除いた状態の実施形態2に係る電池セルの前部の上面図である。
【
図9】正極端子及び外装フィルムを取り除いた状態の実施形態2に係る電池セルの前部の右側面図である。
【
図10】実施形態2に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図11】実施形態2に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図12】正極端子及び外装フィルムを取り除いた状態の実施形態3に係る電池セルの前部の右側面図である。
【
図13】実施形態4に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図14】実施形態4に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図15】実施形態4に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
【
図18】実施形態1又は2に係る前方蓋材の断面の第1例を示す図である。
【
図19】実施形態1又は2に係る前方蓋材の断面の第2例を示す図である。
【
図20】実施形態1又は2に係る前方蓋材の断面の第3例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
以下、特に断りがない限り、AがBに対して略平行であるとは、AがBに対して厳密に平行であることだけでなく、Bに対するAの角度が-5°以上5°以下であることも意味している。以下、特に断りがない限り、AがBに対して略垂直であるとは、AがBに対して厳密に垂直であることだけでなく、Bに対するAの角度が85°以上95°以下であることも意味している。
【0013】
図1は、実施形態1に係る電池セル10Aの斜視図である。
図2は、外装フィルム400を取り除いた状態の実施形態1に係る電池セル10Aの斜視図である。
図3は、正極端子216及び外装フィルム400を取り除いた状態の実施形態1に係る電池セル10Aの前部の上面図である。
図4は、正極端子216及び外装フィルム400を取り除いた状態の実施形態1に係る電池セル10Aの前部の右側面図である。
【0014】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向が付されている。X方向は、電池セル10Aの前後方向を示している。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池セル10Aの左右方向を示している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池セル10Aの上下方向を示している。X方向を示す矢印によって指し示される方向、Y方向を示す矢印によって指し示される方向及びZ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、前方向、左方向及び上方向である。ただし、電池セル10AのX方向、Y方向、Z方向、前後方向、左右方向及び上下方向の関係は、この例に限定されない。X方向、Y方向又はZ方向を示す黒点付き白丸は、紙面の奥から手前に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。X方向、Y方向又はZ方向を示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。
【0015】
以下、必要に応じて、X方向を示す矢印によって示される側及びX方向を示す矢印によって示される側の反対側をそれぞれ+X側及び-X側といい、Y方向を示す矢印によって示される側及びY方向を示す矢印によって示される側の反対側をそれぞれ+Y側及び-Y側といい、Z方向を示す矢印によって示される側及びZ方向を示す矢印によって示される側の反対側をそれぞれ+Z側及び-Z側という。
【0016】
図1~
図4を参照して、電池セル10Aについて説明する。
【0017】
電池セル10Aは、複数の電池要素100、前方蓋材210、後方蓋材220、接続導体310A及び外装フィルム400を備えている。前方蓋材210は、前方金属部212、前方樹脂部214及び正極端子216を有している。後方蓋材220は、後方金属部222、後方樹脂部224及び不図示の負極端子を有している。接続導体310Aは、第1導体部312A、第2導体部314A及び一対の突出導体部316Aを有している。
【0018】
実施形態1では、
図2に示すように、複数の電池要素100がZ方向に積層されている。各電池要素100は、略直方体形状となっている。電池要素100の長手方向は、X方向に対して略平行となっている。電池要素100の短手方向は、Y方向に対して略平行となっている。電池要素100の厚み方向は、Z方向に対して略平行となっている。ただし、電池要素100の形状は、この例に限定されない。電池セル10Aに含まれる電池要素100の数は1つのみであってもよい。以下、特に断りがない限り、実施形態1では、電池セル10Aが複数の電池要素100を備えるものとして説明する。
【0019】
電池要素100は、不図示の少なくとも1つの正極、不図示の少なくとも1つの負極及び不図示の少なくともセパレータを有している。一例において、複数の正極及び複数の負極は、Z方向に交互に積層されている。セパレータの少なくとも一部分は、Z方向に隣り合う正極及び負極の間に位置している。具体的には、一例において、複数枚のシート状のセパレータの各々がZ方向に隣り合う正極及び負極の間に位置している。ただし、1枚のシート状のセパレータが正極の左端部及び負極の右端部で交互に折り返され、又は正極の右端部及び負極の左端部で交互に折り返されていてもよい。或いは、正極、負極及びセパレータは、セパレータが正極及び負極の間に配置されるように巻回されていてもよい。一例において、正極及び負極の一方の両面がセパレータによって覆われた状態で正極、負極及びセパレータは巻回されている。他の例において、正極、セパレータ及び負極をこの順に含む単位積層体を複数含む積層体が巻回されていてもよい。ただし、正極、負極及びセパレータの巻回構造は、これらの例に限定されない。
【0020】
実施形態1において、電池セル10Aは、電解液を含む電池セルである。しかしながら、電池セル10Aは、全固体電池であってもよい。全固体電池においては、セパレータに相当する部分に固体電解質層が設けられている。全固体電池は、電解液を含んでいない。以下、特に断りがない限り、電池セル10Aは電解液を含む電池セルであるとして説明する。
【0021】
図3及び
図4に示すように、各電池要素100の前端面からは正極集電体110が引き出されている。
図4に示す例において、各電池要素100の前端面の前方に描写された略三角形は、各電池要素100に含まれる複数の正極から引き出された複数の正極集電体110を模式的に示している。
【0022】
各電池要素100の後端面からは、各電池要素100の前端面から引き出された正極集電体110と同様にして、不図示の負極集電体が引き出されている。
【0023】
前方蓋材210は、電池要素100の前端面を覆っている。前方から見て、前方蓋材210は、Z方向に対して略平行な一対の長辺及びY方向に対して略平行な一対の短辺を有する略長方形形状を有している。ただし、前方蓋材210の形状は、この例に限定されない。
【0024】
前方金属部212は、Z方向に対して略平行な一対の長辺及びY方向に対して略平行な一対の短辺を有する略長方形形状を有している。前方金属部212は、導電性を有している。前方金属部212及び各正極集電体110は、接続導体310Aを介して互いに電気的に接続されている。よって、前方金属部212は、電池要素100の正極に電気的に接続された端子としても機能することができる。したがって、前方金属部212が樹脂部に置き換わって比較的薄いタブが端子として用いられる場合と比較して、前方金属部212を介して大電流を流すことができる。加えて、前方金属部212は、前方樹脂部214よりも、水分を透過させにくい。よって、前方金属部212が樹脂部に置き換わっている場合と比較して、前方蓋材210によって水分を遮断することができる。
【0025】
前方樹脂部214は、前方金属部212をX方向の周りに囲んでいる。具体的には、前方樹脂部214は、前方金属部212の全辺に沿って延在している。前方樹脂部214は、前方金属部212よりも、外装フィルム400に熱融着によって接合しやすい。後述するように、前方金属部212の外周面と、外装フィルム400の前端部の内周面と、は熱融着によって互いに接合することがある。よって、前方樹脂部214が金属部に置き換わっている場合と比較して、前方蓋材210の外周面と、外装フィルム400の前端部の内周面と、を互いに接合しやすくすることができる。
【0026】
正極端子216の後端部及び前方金属部212の右端部は、互いに電気的に接続されている。正極端子216の前端部は、前方蓋材210の前面から前方に向けて突出している。例えば、前方金属部212及び正極端子216は、一体となっていてもよい。ただし、正極端子216の位置は、
図2に示す例に限定されない。例えば、正極端子216は、前方金属部212のY方向の略中央部に位置していてもよい。或いは、前方蓋材210は、正極端子216を有していなくてもよい。すなわち、前方金属部212が端子として機能していてもよい。
【0027】
後方蓋材220は、電池要素100の後端面を覆っている。前方蓋材210について説明した事項は、後方蓋材220にも同様に適用可能である。
【0028】
図1に示すように、外装フィルム400は、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220にX方向の周りに巻き付けられている。外装フィルム400は、前方及び後方の双方に向けて開口した略筒形状となっている。外装フィルム400の前方の開口の内部には、前方蓋材210が配置されている。外装フィルム400の後方の開口の内部には、後方蓋材220が配置されている。よって、前方蓋材210、後方蓋材220及び外装フィルム400は、電池要素100、複数の正極集電体110及び複数の負極集電体を収容する収容空間を形成している。収容空間には、電池要素100、複数の正極集電体110及び複数の負極集電体とともに、不図示の電解液が収容されている。なお、外装フィルム400の電池要素100の巻き付きの態様は、上述した例に限定されない。
【0029】
前方樹脂部214のX方向の周りの外周面と、外装フィルム400の前端部のX方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、前方樹脂部214のX方向の周りの外周面と、外装フィルム400の前端部のX方向の周りの内周面と、の間に封止部が形成されている。
【0030】
後方樹脂部224のX方向の周りの外周面と、外装フィルム400の後端部のX方向の周りの内周面と、は例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、後方樹脂部224のX方向の周りの外周面と、外装フィルム400の後端部のX方向の周りの内周面と、の間に封止部が形成されている。
【0031】
一例において、外装フィルム400は、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220にX方向の周りに1周巻き付けられた巻付部分と、巻付部分のX方向の周りの両端から引き出された2つの引出部分と、を有している。この例において、2つの引出部分は、例えば熱融着によって互いに接合されている。よって、2つの引出部分の間に封止部が形成されている。
【0032】
図3及び
図4を参照して、正極集電体110、前方蓋材210及び接続導体310Aの電気的接続について説明する。各電池要素100の正極集電体110及び前方蓋材210の前方金属部212は、接続導体310Aを介して互いに電気的に接続されている。各電池要素100の負極集電体及び後方蓋材220の後方金属部222も、接続導体310Aと同様の接続導体を介して、以下で説明する方法と同様の方法によって、互いに電気的に接続されている。
【0033】
実施形態1では、
図4に示すように、2つの電池要素100がZ方向に互いに重なっている。以下、必要に応じて、2つの電池要素100のうち+Z側に位置する電池要素100を+Z側の電池要素100といい、2つの電池要素100のうち-Z側に位置する電池要素100を-Z側の電池要素100という。以下、必要に応じて、+Z側の電池要素100から引き出された複数の正極集電体110を+Z側の複数の正極集電体110といい、-Z側の電池要素100から引き出された複数の正極集電体110を-Z側の複数の正極集電体110という。
【0034】
第1導体部312Aは、各電池要素100の前端面に対して略平行な略板形状を有している。第1導体部312Aは、X方向に対して略垂直に延在している。第1導体部312Aは、Y方向に対して略平行な長手方向及びX方向に対して略平行な短手方向を有している。第1導体部312A及び2つの電池要素100は、X方向に互いに重なっている。
【0035】
第2導体部314Aは、各電池要素100の前端面に対して略平行な略板形状を有している。第2導体部314Aは、X方向に対して略垂直に延在している。接続導体310Aは、第1導体部312A及び第2導体部314Aの間で互いに折り曲げられている。
図3に示す例において、接続導体310Aは、第1導体部312Aの左端部及び第2導体部314Aの左端部の間で略180°折り返されている。よって、接続導体310Aが第1導体部312A及び第2導体部314Aの間で略直角に折り曲げられている場合と比較して、電池要素100の前端面及び前方蓋材210の後面の間の領域のX方向の寸法を低減することができる。ただし、接続導体310Aは、第1導体部312A及び第2導体部314Aの間で略180°折り返されることなく、例えば略90°折り曲げられていてもよい。第2導体部314Aの前面及び前方金属部212の左端部の後面は、互いに接合されている。よって、第2導体部314A及び前方金属部212は、互いに電気的に接続されている。
【0036】
接続導体310Aにおける第1導体部312A及び第2導体部314Aの間の折れ曲がり部分の剛性は、第1導体部312Aの剛性及び第2導体部314Aの剛性の少なくとも一方より低くなっている。よって、接続導体310Aの全体の剛性が同じ程度に比較的高い場合と比較して、接続導体310Aを第1導体部312A及び第2導体部314Aの間で折り曲げやすくすることができる。加えて、接続導体310Aの全体の剛性が同じ程度に比較的低い場合と比較して、第1導体部312A及び第2導体部314Aの強度を向上させることができる。接続導体310Aの折れ曲がり部分には、例えば、孔又は切欠きが形成されている。或いは、接続導体310Aの折れ曲がり部分の厚さが部分的に薄くなっていてもよい。これらの例において、接続導体310Aの折れ曲がり部分の剛性を部分的に低くすることができる。なお、接続導体310Aの折れ曲がり部分の剛性は、第1導体部312Aの剛性及び第2導体部314Aの剛性と等しくなっていてもよい。
【0037】
一対の突出導体部316Aは、第1導体部312AのZ方向の両側の辺から突出している。以下、必要に応じて、一対の突出導体部316Aのうち+Z側に位置する突出導体部316Aを+Z側の突出導体部316Aといい、一対の突出導体部316Aのうち-Z側に位置する突出導体部316Aを-Z側の突出導体部316Aという。+Z側の突出導体部316Aは、第1導体部312Aの+Z側の辺の略中央部から突出している。-Z側の突出導体部316Aは、第1導体部312Aの-Z側の辺の略中央部から突出している。
【0038】
図4に示すように、+Z側の突出導体部316A及び+Z側の複数の正極集電体110の先端部112は、各電池要素100の前端面に対して、非垂直に、具体的には略平行に、折り曲げられている。
図4に示す例では、+Z側の突出導体部316A及び+Z側の複数の正極集電体110の先端部112は、-Z側に向けて折り曲げられている。+Z側の突出導体部316Aの前面及び+Z側の複数の正極集電体110の先端部112の後面は、互いに接合されている。よって、+Z側の突出導体部316A及び+Z側の複数の正極集電体110は、互いに電気的に接続されている。したがって、第1導体部312A及び+Z側の複数の正極集電体110は、+Z側の突出導体部316Aを介して互いに電気的に接続されている。
【0039】
図4に示すように、-Z側の突出導体部316A及び-Z側の複数の正極集電体110の先端部112は、各電池要素100の前端面に対して、非垂直に、具体的には略平行に、折り曲げられている。
図4に示す例では、-Z側の突出導体部316A及び-Z側の複数の正極集電体110の先端部112は、+Z側に向けて折り曲げられている。-Z側の突出導体部316Aの前面及び-Z側の複数の正極集電体110の先端部112の後面は、互いに接合されている。よって、-Z側の突出導体部316A及び-Z側の複数の正極集電体110は、互いに電気的に接続されている。したがって、第1導体部312A及び-Z側の複数の正極集電体110は、-Z側の突出導体部316Aを介して互いに電気的に接続されている。
【0040】
実施形態1では、複数の突出導体部316Aによって、接続導体310A及び正極集電体110の接合部を複数箇所に分けることができる。よって、接続導体310A及び正極集電体110が1箇所のみで互いに接合されている場合と比較して、各突出導体部316Aに接合される正極集電体110の数を少なくすることができる。溶接等の接合条件に応じて、接続導体310A及び正極集電体110の各接合部に接合可能な正極集電体110の数には上限が存在することがある。実施形態1では、接続導体310A及び正極集電体110の接合部を複数箇所に分けることで、各突出導体部316Aに接合される正極集電体110の数を当該上限以下にすることができる。よって、接続導体310A及び正極集電体110が1箇所のみで互いに接合されている場合と比較して、接続導体310A及び正極集電体110を確実に互いに接合しやすくすることができる。言い換えると、接続導体310A及び正極集電体110が1箇所のみで互いに接合されている場合と比較して、接続導体310Aに電気的に接続される正極集電体110の総数、すなわち、複数の電池要素100のZ方向の厚さを増加させることができる。
【0041】
実施形態1では、+Z側の突出導体部316Aが+Z側に向けて折り曲げられている場合と比較して、+Z側の突出導体部316Aの第1導体部312Aの外側への広がりを抑制することができる。ただし、+Z側の突出導体部316Aは、+Z側に向けて折り曲げられていてもよい。この場合、第1導体部312Aの前面及び前方蓋材210の後面の間に+Z側の複数の正極集電体110及び+Z側の突出導体部316Aを位置させなくすることができる。よって、第1導体部312Aの前面及び前方蓋材210の後面の間の領域のX方向の幅が、+Z側の複数の正極集電体110及び+Z側の突出導体部316AのX方向の厚みに応じて増加しなくさせることができる。+Z側の突出導体部316Aについて説明した上述した事項は、-Z側の突出導体部316Aについても同様である。
【0042】
図5~
図7は、実施形態1に係る電池セル10Aの製造方法の一例を説明するための図である。この例において、実施形態1に係る電池セル10Aは、以下のようにして製造されている。
【0043】
まず、電池要素100を形成する。電池要素100は、少なくとも1つの正極、少なくとも1つの負極及び少なくとも1つのセパレータを有している。電池要素100からは複数の正極集電体110及び複数の負極集電体が引き出されている。
【0044】
次いで、
図5に示すように、接続導体310Aを準備する。
図5に示す例において、第1導体部312Aは、X方向に対して略垂直に延在している。第1導体部312Aの+Z側の端部及び第2導体部314Aの-X側の端部は、互いに略直角に折り曲げられている。第2導体部314Aは、Z方向に対して略垂直に延在している。第1導体部312Aの+Y側の辺の略中央部及び+Y側の突出導体部316Aの-X側の端部は、互いに略直角に折り曲げられている。+Y側の突出導体部316Aは、Y方向に対して略垂直に延在している。第1導体部312Aの-Y側の辺の略中央部及び-Y側の突出導体部316Aの-X側の端部は、互いに略垂直に折り曲げられている。-Y側の突出導体部316Aは、Y方向に対して略垂直に延在している。
【0045】
次いで、+Z側の複数の正極集電体110を超音波接合等の接合方法によって互いに接合することで、+Z側の複数の正極集電体110一束にまとめる。同様に、-Z側の複数の正極集電体110を超音波接合等の接合方法によって互いに接合することで、-Z側の複数の正極集電体110一束にまとめる。
【0046】
次いで、
図6に示すように、一束にまとめられた+Z側の複数の正極集電体110の-Z側の面と、+Z側の突出導体部316Aの+Z側の面と、を互いに接合させる。実施形態1において、+Z側の複数の正極集電体110の-Z側の面及び+Z側の突出導体部316Aの+Z側の面は、+Z側の複数の正極集電体110に対して+Z側から照射されたレーザによって溶接されている。よって、+Z側の複数の正極集電体110及び+Z側の突出導体部316Aが互いに電気的に接続される。同様に、一束にまとめられた-Z側の複数の正極集電体110の+Z側の面と、-Z側の突出導体部316Aの-Z側の面と、を互いに接合させる。実施形態1において、-Z側の複数の正極集電体110の+Z側の面及び-Z側の突出導体部316Aの-Z側の面は、例えば、-Z側の複数の正極集電体110に対して-Z側から照射されたレーザによって溶接されている。よって、-Z側の複数の正極集電体110及び-Z側の突出導体部316Aが互いに電気的に接続される。この例では、X方向に対して略平行にレーザを照射する場合と比較して、正極集電体110及び突出導体部316Aの溶接によって発生する熱の電池要素100への影響を抑制することができる。
【0047】
次いで、+Z側の複数の正極集電体110の先端部112及び+Z側の突出導体部316Aを-Z側に向けて略90°折り曲げる。同様に、-Z側の複数の正極集電体110の先端部112及び-Z側の突出導体部316Aを+Z側に向けて略90°折り曲げる。よって、正極集電体110及び突出導体部316Aが折り曲げられずにX方向に対して略平行である場合と比較して、電池要素100の前端面及び前方蓋材210の後面の間の領域のX方向の寸法を低減することができる。したがって、上述した場合と比較して、電池セル10A内の空間利用率を高くし、電池セル10Aのエネルギー密度を向上させることができる。
【0048】
次いで、
図7に示すように、第2導体部314Aが電池要素100の前端面に対して、非平行、具体的には略垂直となって、かつ、前方蓋材210が電池要素100の前端面に対して、非平行に、具体的には略垂直に向けられた状態で、第2導体部314Aの+Y側の面及び前方金属部212の-Y側の面の下端部を互いに接合する。よって、第2導体部314A及び前方金属部212が互いに電気的に接続される。実施形態1において、第2導体部314Aの+Y側の面及び前方金属部212の-Y側の面の下端部は、第2導体部314Aに対して-Y側から照射されたレーザによって溶接されている。よって、X方向に対して略平行にレーザを照射する場合と比較して、第2導体部314A及び前方蓋材210の接合によって発生する熱の電池要素100への影響を抑制することができる。
【0049】
次いで、第2導体部314Aを第1導体部312Aに向けて折り曲げる。よって、接続導体310Aが第1導体部312Aの左端部及び第2導体部314Aの左端部の間で略180°折り返される。接続導体310Aが折り曲げられることで、前方蓋材210も第2導体部314Aとともに移動する。よって、前方蓋材210が電池要素100の前端面を覆う。
【0050】
図5~
図7を用いて説明した方法と同様にして、接続導体310Aと同様の接続導体を介して負極集電体及び後方蓋材220を互いに電気的に接続する。
【0051】
次いで、外装フィルム400を電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220のX方向の周りに1周巻き付ける。次いで、前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、外装フィルム400の前端部のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。よって、前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、外装フィルム400の前端部の開口のX方向の周りの内周面と、の間に封止部が形成される。次いで、後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、外装フィルム400の後端部のX方向の周りの内周面と、を熱融着によって互いに接合する。よって、後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、外装フィルム400の後端部のX方向の周りの内周面と、の間に封止部が形成される。この状態において、前方蓋材210、後方蓋材220及び外装フィルム400は、電池要素100、複数の正極集電体110及び複数の負極集電体を収容する収容空間を形成している。この状態において、外装フィルム400は、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220にX方向の周りに1周巻き付けられた巻付部分のX方向の周りの両端から引き出された2つの引出部分を有している。
【0052】
次いで、外装フィルム400の2つの引出部分の間の隙間を介して収容空間に電解液を注入する。次いで、外装フィルム400の2つの引出部分の間の隙間を介して収容空間を真空引きする。次いで、外装フィルム400の2つの引出部分を熱融着によって接合して封止部を形成する。よって、収容空間が真空封止される。
【0053】
収容空間の真空封止の方法は、上述した例に限定されない。他の例においては、まず、外装フィルム400の2つの引出部分を熱融着によって接合して封止部を形成する。次いで、前方蓋材210及び後方蓋材220の少なくとも一方に設けられた注液孔を介して収容空間に電解液を注入する。次いで、当該注液孔を介して収容空間を真空引きする。次いで、当該注液孔を所定の蓋材によって塞ぐ。
【0054】
このようにして、電池セル10Aが製造される。
【0055】
図8は、正極端子216及び外装フィルム400を取り除いた状態の実施形態2に係る電池セル10Bの前部の上面図である。
図9は、正極端子216及び外装フィルム400を取り除いた状態の実施形態2に係る電池セル10Bの前部の右側面図である。実施形態2に係る電池セル10Bは、以下の点を除いて、実施形態1に係る電池セル10Aと同様である。
【0056】
実施形態2に係る接続導体310Bは、実施形態1に係る一対の突出導体部316Aに相当する導体部を有さずに、第1導体部312B及び第2導体部314Bを有している。
【0057】
第1導体部312Bの前面の+Z側の部分と、+Z側の複数の正極集電体110の先端部112の後面と、は互いに接合されている。同様に、第1導体部312Bの前面の-Z側の部分と、-Z側の複数の正極集電体110の先端部112の後面と、は互いに接合されている。第1導体部312B及び各正極集電体110の先端部112は、電池要素100の前端面とX方向に重なる位置で互いに接合されている。第1導体部312Bの後面と各電池要素100の前端面との間には、断熱材350Bが位置している。実施形態2では、実施形態1と比較して、一対の突出導体部316Aに相当する導体部が存在しない分だけ電池セル10Bの寸法を低減することができる。加えて、断熱材350Bを構成する材料に応じて、断熱材350Bは、各電池要素100への衝撃を緩和する緩衝材としても機能させることができる。
【0058】
実施形態1に係る接続導体310Aと同様にして、実施形態2に係る接続導体310Bは、第1導体部312Bの左端部及び第2導体部314Bの左端部の間で略180°折り返されている。第2導体部314Bの前面及び前方金属部212の左端部の後面は、互いに接合されている。
【0059】
図10及び
図11は、実施形態2に係る電池セル10Bの製造方法の一例を説明するための図である。この例は、以下の点を除いて、実施形態1に係る電池セル10Aの製造方法の一例と同様である。
【0060】
まず、実施形態1と同様にして、電池要素100を形成する。
【0061】
次いで、
図10に示すように、接続導体310Bを準備する。
図10に示す例において、第1導体部312Bは、X方向に対して略垂直に延在している。第1導体部312Bの+Z側の端部及び第2導体部314Bの-Z側の端部は、互いに略直角に折り曲げられている。第2導体部314Bは、Z方向に対して略垂直に延在している。
【0062】
次いで、+Z側の複数の正極集電体110を超音波接合等の接合方法によって互いに接合することで、+Z側の複数の正極集電体110一束にまとめる。同様に、-Z側の複数の正極集電体110を超音波接合等の接合方法によって互いに接合することで、-Z側の複数の正極集電体110一束にまとめる。
【0063】
次いで、
図11に示すように、電池要素100の前端面及び第1導体部312Bの後面の間に断熱材350Bが配置された状態で、一束にまとめられた+Z側の複数の正極集電体110を-Z側に向けて略90°折り曲げて、一束にまとめられた-Z側の複数の正極集電体110を+Z側に向けて略90°折り曲げる。断熱材350BのX方向の厚さに応じて、電池要素100の前端面に対する第1導体部312BのX方向内の位置を調整することができる。すなわち、断熱材350Bは、電池要素100の前端面に対する第1導体部312BのX方向内の位置を調整するスペーサとしても機能することができる。
【0064】
次いで、+Z側の複数の正極集電体110及び-Z側の複数の正極集電体110に対して+X側からレーザを照射して、各正極集電体110の後面及び接続導体310BのY方向の略中央部の前面を互いに接合する。レーザが照射される場合、各正極集電体110及び接続導体310Bが互いに接合される位置と、電池要素100の前端面と、の間には断熱材350Bが位置している。よって、断熱材350Bが設けられていない場合と比較して、各正極集電体110及び接続導体310Bの接合によって発生する熱の電池要素100への影響を抑制することができる。断熱材350Bを構成する材料としては、各正極集電体110及び接続導体310Bの接合によって発生する熱を遮蔽することができる材料であれば特に限定されない。
【0065】
次いで、実施形態1と同様にして、第2導体部314B及び前方金属部212を互いに電気的に接続する。以降の工程は、実施形態1に係る電池セル10Aの製造方法と同様である。
【0066】
図12は、正極端子216及び外装フィルム400を取り除いた状態の実施形態3に係る電池セル10Cの前部の右側面図である。実施形態3に係る電池セル10Cは、以下の点を除いて、実施形態1に係る電池セル10Aと同様である。
【0067】
実施形態3に係る電池セル10Cは、3つの電池要素100及び接続導体310Cを備えている。3つの電池要素100は、Z方向に対して略平行に並んでいる。以下、必要に応じて、-Z側から1つ目の電池要素100を第1電池要素100aといい、-Z側から2つ目の電池要素100を第2電池要素100bといい、-Z側から3つ目の電池要素100を第3電池要素100cという。実施形態3に係る接続導体310Cは、実施形態1に係る接続導体310Aと同様にして、第1導体部312C、第2導体部314C及び一対の突出導体部316Cを有している。
【0068】
実施形態3では、第1電池要素100aから引き出された複数の正極集電体110と、第2電池要素100bの-Z側の部分から引き出された一部の正極集電体110と、が一束にまとめられて、-Z側の突出導体部316Cに接合されている。同様に、第3電池要素100cから引き出された複数の正極集電体110と、第2電池要素100bの+Z側の部分から引き出された他の一部の正極集電体110と、が一束にまとめられて、+Z側の突出導体部316Cに接合されている。よって、実施形態1と同様にして、接続導体310Cを介して、3つの電池要素100及び前方蓋材210を互いに電気的に接続することができる。
【0069】
実施形態3に係る接続導体310Cは、実施形態1に係る接続導体310Aと同様にして、一対の突出導体部316Cを有している。しかしながら、実施形態3に係る接続導体310Cは、実施形態2に係る接続導体310Bと同様にして、一対の突出導体部316Cを有していなくてもよい。接続導体310Cが一対の突出導体部316Cを有していない場合であっても、第1電池要素100aから引き出された複数の正極集電体110と、第2電池要素100bの-Z側の部分から引き出された一部の正極集電体110と、を一束にまとめて、第1導体部312Cの-Z側の部分に接合させることができる。同様に、第3電池要素100cから引き出された複数の正極集電体110と、第2電池要素100bの+Z側の部分から引き出された他の一部の正極集電体110と、を一束にまとめて、第1導体部312Cの+Z側の部分に接合させることができる。
【0070】
実施形態1及び実施形態3の説明より、電池セルが2N(Nは1以上の整数である。)個の電池要素100を備える場合、例えば、-Z側のN個の電池要素100から引き出された複数の正極集電体110を一束にまとめて接続導体に接合させ、+Z側のN個の電池要素100から引き出された複数の電池要素100を一束にまとめて接続導体に接合させることができる。電池セルが2N+1個の電池要素100を備える場合、例えば、-Z側のN個の電池要素100から引き出された複数の正極集電体110と、中央側の1個の電池要素100の+Z側の部分から引き出された一部の正極集電体110と、を一束にまとめて接続導体に接合させ、+Z側のN個の電池要素100から引き出された複数の正極集電体110と、中央側の1個の電池要素100の-Z側の部分から引き出された他の一部の正極集電体110と、を一束にまとめて接続導体に接合させることができる。
【0071】
図13~
図15は、実施形態4に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。実施形態4に係る電池セルの製造方法は、以下の点を除いて、実施形態1に係る電池セル10Aの製造方法と同様である。実施形態4に係る電池セルの製造方法では、以下のようにして、3つの電池要素100及び接続導体310Dが互いに電気的に接続されている。
【0072】
図13に示すように、接続導体310Dを準備する。実施形態4に係る接続導体310Dは、第1導体部312D及び3つの突出導体部316Dを有している。3つの突出導体部316Dは、Z方向に対して略平行に並んでいる。以下、必要に応じて、-Z側から1つ目の突出導体部316Dを第1突出導体部316Daといい、-Z側から2つ目の突出導体部316Dを第2突出導体部316Dbといい、-Z側から3つ目の突出導体部316Dを第3突出導体部316Dcという。
【0073】
第1突出導体部316Daは、第1導体部312Dの-Z側の辺から+X側に向けて突出している。第2突出導体部316Dbは、第1導体部312DのZ方向の略中央部から+X側に向けて突出している。第2突出導体部316Dbは、切曲げ加工によって、第1導体部312Dに対して略90°折り曲げられている。第1導体部312Dにおける第2突出導体部316Dbが切り取られた部分には、開口313Dが残っている。第3突出導体部316Dcは、第1導体部312Dの+Z側の辺から+Z側に向けて突出している。
図13に示す例では、第1突出導体部316DaのY方向の位置と、第3突出導体部316DcのY方向の位置と、第2突出導体部316DbのY方向の位置と、がY方向において略揃っている。
【0074】
次いで、
図14に示すように、第1電池要素100aの複数の正極集電体110を第1突出導体部316Daに対して-Z側に配置する。第1電池要素100aの複数の正極集電体110は、予め、超音波接合等の接合方法によって互いに接合されている。次いで、第1電池要素100aの複数の正極集電体110に対して-Z側からレーザを照射して、第1電池要素100aの複数の正極集電体110の+Z側の面と、第1突出導体部316Daの-Z側の面と、を互いに接合する。
【0075】
次いで、第2電池要素100bの複数の正極集電体110を開口313Dに通して、第2電池要素100bの複数の正極集電体110を第2突出導体部316Dbに対して+Z側に配置する。第2電池要素100bの複数の正極集電体110は、予め、超音波接合等の接合方法によって互いに接合されている。次いで、第2電池要素100bの複数の正極集電体110に対して+Z側からレーザを照射して、第2電池要素100bの複数の正極集電体110の-Z側の面と、第2突出導体部316Dbの+Z側の面と、を互いに接合する。
【0076】
第1電池要素100a及び第2電池要素100bの各々の複数の正極集電体110と、第1突出導体部316Da及び第2突出導体部316Dbと、を互いに接合する方法は、上述した例に限定されない。例えば、第1電池要素100aの複数の正極集電体110を第1突出導体部316Daに対して-Z側に配置し、かつ第2電池要素100bの複数の正極集電体110を第2突出導体部316Dbに対して+Z側に配置した後、第1電池要素100aの複数の正極集電体110に対して-Z側からレーザを照射するとともに、第2電池要素100bの複数の正極集電体110に対して+Z側からレーザを照射してもよい。
【0077】
次いで、
図15に示すように、第3突出導体部316Dcを第1導体部312Dに対して+X側に向けて略90°折り曲げる。
図13~
図15に示す例では、第2電池要素100bの複数の正極集電体110と、第2突出導体部316Dbと、を互いに接合した後、第3突出導体部316Dcを第1導体部312Dに対して+X側に向けて略90°折り曲げている。よって、第2電池要素100bの複数の正極集電体110と、第2突出導体部316Dbと、を互いに接合する際に第2電池要素100bの複数の正極集電体110の+Z側から照射されるレーザに第3突出導体部316Dcが干渉しなくすることができる。
【0078】
次いで、第3電池要素100cの複数の正極集電体110を第3突出導体部316Dcに対して+Z側に配置する。第3電池要素100cの複数の正極集電体110は、予め、超音波接合等の接合方法によって互いに接合されている。次いで、第3電池要素100cの複数の正極集電体110に対して+Z側からレーザを照射して、第3電池要素100cの複数の正極集電体110の-Z側の面と、第3突出導体部316Dcの+Z側の面と、を互いに接合する。
【0079】
第2突出導体部316Dbが+X側に向けて折り曲げられた状態で、第3突出導体部316Dcが-X側に向けて予め折り曲げられていてもよい。第3突出導体部316Dcが-X側に向けて折り曲げられている場合であっても、第1電池要素100aの複数の正極集電体110及び第3突出導体部316Dcをレーザ照射によって互いに接合することができる。第3突出導体部316Dcが-X側に向けて予め折り曲げられている場合、第2電池要素100bの複数の正極集電体110と、第2突出導体部316Dbと、を互いに接合する際に第2電池要素100bの複数の正極集電体110の+Z側から照射されるレーザに第3突出導体部316Dcが干渉しなくすることができる。したがって、第1電池要素100a及び第2電池要素100bの各々の複数の正極集電体110と、第1突出導体部316Da及び第2突出導体部316Dbと、を互いに接合する前に、第3突出導体部316Dcを第1導体部312Dに対して予め折り曲げることができる。
【0080】
【0081】
図16に示す例において、第3突出導体部316Dcは、第1導体部312Dに対して+X側に向けて略90°予め折り曲げられている。しかしながら、
図16に示す例では、第2突出導体部316DbのY方向の位置が、第3突出導体部316DcのY方向の位置及び第1突出導体部316DaのY方向の位置に対して-Y側にずれている。よって、第3突出導体部316Dcが第1導体部312Dに対して+X側に向けて略90°予め折り曲げられていても、第2電池要素100bの複数の正極集電体110と、第2突出導体部316Dbと、を互いに接合する際に第2電池要素100bの複数の正極集電体110の+Z側から照射されるレーザに第3突出導体部316Dcが干渉しなくすることができる。したがって、
図16に示す例では、第1電池要素100a及び第2電池要素100bの各々の複数の正極集電体110と、第1突出導体部316Da及び第2突出導体部316Dbと、を互いに接合する前に、第3突出導体部316Dcを第1導体部312Dに対して予め折り曲げることができる。
【0082】
【0083】
図17に示す例において、第1突出導体部316DaのY方向の位置は、第2突出導体部316DbのY方向の位置に対して-Y側に向けてずれている。第3突出導体部316DcのY方向の位置は、第2突出導体部316DbのY方向の位置に対して+Y側に向けてずれている。よって、
図16に示す例と同様にして、第1電池要素100a及び第2電池要素100bの各々の複数の正極集電体110と、第1突出導体部316Da及び第2突出導体部316Dbと、を互いに接合する前に、第3突出導体部316Dcを第1導体部312Dに対して予め折り曲げることができる。加えて、
図17に示す例では、各電池要素100の複数の正極集電体110及び各突出導体部316Dをレーザ照射によって互いに接合する際、すべての突出導体部316Dについて+Z側又は-Z側の同じ側からレーザを照射することができる。
【0084】
図18は、実施形態1又は2に係る前方蓋材210の断面の第1例を示す図である。
図18は、前方蓋材210のZ方向に垂直な断面を示している。
【0085】
図18に示す例において、前方金属部212の外周面には、突起213Pが設けられている。突起213Pは、X方向に対して略垂直な方向に突出している。突起213Pは、前方金属部212の後端部に位置している。突起213Pは、前方金属部212の外周面の全周に沿って連続的に延在していてもよいし、又は前方金属部212の外周面の全周に沿って断続的に位置していてもよい。突起213Pによって、前方金属部212は、前方金属部212及び前方樹脂部214の界面に凹部及び凸部の少なくとも一方を有している。よって、前方金属部212及び前方樹脂部214の界面において前方金属部212の外周面が平坦である場合と比較して、前方金属部212及び前方樹脂部214の接触面積を増加させることができる。したがって、上述した場合と比較して、前方金属部212及び前方樹脂部214を互いに強固に接合することができる。
【0086】
図19は、実施形態1又は2に係る前方蓋材210の断面の第2例を示す図である。
図19に示す第2例は、以下の点を除いて、
図18に示す第1例と同様である。
【0087】
図19に示す例において、前方金属部212の外周面には、突起213Qが設けられている。突起213Qは、前方金属部212のX方向の略中央部に位置している。
図19に示す例においても、前方金属部212は、前方金属部212及び前方樹脂部214の界面に凹部及び凸部の少なくとも一方を有している。よって、前方金属部212及び前方樹脂部214の界面において前方金属部212の外周面が平坦である場合と比較して、前方金属部212及び前方樹脂部214を互いに強固に接合することができる。
【0088】
図20は、実施形態1又は2に係る前方蓋材210の断面の第3例を示す図である。
図20に示す第3例は、以下の点を除いて、
図18に示す第1例と同様である。
【0089】
図20に示す例において、前方金属部212の外周面には、突起213Raが設けられている。突起213Raは、孔213Rbを画定している。孔213Rbは、突起213RaをX方向に対して略平行に貫通している。よって、前方樹脂部214の一部分は、孔213Rbの中に入り込むことができる。
図20に示す例においても、前方金属部212は、前方金属部212及び前方樹脂部214の界面に凹部及び凸部の少なくとも一方を有している。よって、前方金属部212及び前方樹脂部214の界面において前方金属部212の外周面が平坦である場合と比較して、前方金属部212及び前方樹脂部214を互いに強固に接合することができる。
【0090】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0091】
例えば、各実施形態では、正極端子及び負極端子が電池要素100のX方向の互いに反対側に配置されている。しかしながら、正極端子及び負極端子の双方が電池要素100のX方向の前側及び後側の一方のみに配置されていてもよい。この場合、電池要素100の前端部及び後端部は、例えば、2つの蓋材によって覆われている。或いは、電池要素100の正極端子及び負極端子が引き出された側のみが蓋材によって覆われていてもよい。この例において、電池要素100の蓋材の反対側では、外装フィルム400が封止されて電池要素100に沿って折りたたまれていてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10A,10B,10C 電池セル、100 電池要素、100a 第1電池要素、100b 第2電池要素、100c 第3電池要素、110 正極集電体、112 先端部、210 前方蓋材、212 前方金属部、213P,213Q,213Ra 突起、213Rb 孔、214 前方樹脂部、216 正極端子、220 後方蓋材、222 後方金属部、224 後方樹脂部、310A,310B,310C,310D 接続導体、312A,312B,312C,312D 第1導体部、313D 開口、314A,314B,314C 第2導体部、316A,316C,316D 突出導体部、316Da 第1突出導体部、316Db 第2突出導体部、316Dc 第3突出導体部、350B 断熱材、400 外装フィルム