(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155361
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両制御方法及び車両制御装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B60W30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070017
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ゴンゴラフロレス ダニエル マルセル
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241BB46
3D241CE04
3D241DA13Z
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3D241DC25Z
(57)【要約】
【課題】自車両と後続車両との間の間隔へ合流車両が合流する場合に、合流に対する自車両の協力を容易にする。
【解決手段】コントローラ18は、自車両Ceが走行する自車線Ln1上の後方の他車両と自車両Ceとの間の間隔ITfが第1閾値未満である場合に、他車両を自車両Ceの後続車両Cfとして認識する処理と、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成されたスペースGspに隣接する位置を走行し且つスペースGspに進入する意図を有する車両を、合流車両Cmとして認識する処理と、後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲った場合に自車両Ceを加速させる加速制御を行う処理と、を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する自車線上の後方の他車両と前記自車両との間の間隔が第1閾値未満である場合に、前記他車両を前記自車両の後続車両として認識する処理と、
前記自車両と前記後続車両との間に形成されたスペースに隣接する位置を走行し且つ前記スペースに進入する意図を有する車両を、合流車両として認識する処理と、
前記後続車両が前記合流車両に進路を譲った場合に前記自車両を加速させる加速制御を行う処理と、
をコントローラに実行させることを特徴とする車両制御方法。
【請求項2】
前記コントローラは、前記加速制御を行うことにより前記自車両と前記後続車両との間の間隔が第2閾値以上になった場合に、前記自車両の車速を前記加速制御前の車速まで戻す処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項3】
前記コントローラは、前記自車線が合流区間において合流車線に隣接する車線である場合に、前記自車両が前記合流区間の終了位置から所定距離超えた位置まで前記後続車両の有無を監視する処理、又は前記自車線が分岐区間において分岐車線に隣接する車線である場合に、前記分岐区間の終了位置から所定距離超えた位置まで前記後続車両の有無を監視する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項4】
前記コントローラは、前記自車線が合流区間において合流車線に隣接する車線である場合に、前記後続車両が前記合流区間の終了位置に達するまで前記合流車両の有無を監視する処理、又は前記自車線が分岐区間において分岐車線に隣接する車線である場合に、前記後続車両が前記分岐区間の終了位置に達するまで前記合流車両の有無を監視する処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項5】
前記コントローラは、前記スペースの方向に前記合流車両の方向指示器が点灯しており、前記自車両と前記合流車両との間の相対速度が所定速度未満であり、且つ前記合流車両が前記スペースの方向へ前記合流車両が走行する車線内において横移動した場合に、前記合流車両が前記スペースに進入する意図を有すると判断することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項6】
前記コントローラは、前記後続車両が前記合流車両に進路を譲らない場合には、前記合流車両が前記自車両と前記後続車両とを結ぶ直線を遮った場合に前記加速制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項7】
前記コントローラは、前記自車両の前方に合流しようとする他車両が存在する場合、前記自車両の車速が制限速度未満でない場合、又は加速することにより前記自車両と先行車両との間の間隔が所定値未満となる場合に、前記加速制御を行わないことを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項8】
前記コントローラは、前記自車線が合流区間において合流車線に隣接する車線であり前記自車両が制限速度で走行して前記合流区間に接近している場合には前記合流区間に到達する前に所定量だけ走行速度を低減する処理、又は前記自車線が分岐区間において分岐車線に隣接する車線であり前記自車両が制限速度で走行して前記分岐区間に接近している場合には前記分岐区間に到達する前に前記所定量だけ走行速度を低下させる処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項9】
最大許容減速度で前記自車両を低減して前記合流区間又は前記分岐区間に到達する前に前記所定量だけ走行速度を低下できるように減速開始位置を決定することを特徴とする請求項8に記載の車両制御方法。
【請求項10】
前記コントローラは、前記自車両と前記合流車両との間の間隔が第3閾値以上になった場合に前記自車両の車速を前記加速制御前の車速まで戻す処理を開始する処理、又は前記加速制御を開始してから所定時間が経過した場合に前記自車両の車速を前記加速制御前の車速まで戻す処理を開始する処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の車両制御方法。
【請求項11】
前記コントローラは、前記加速制御の開始又は終了を前記自車両の乗員に通知することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項12】
自車両が走行する自車線上の後方の他車両と前記自車両との間の間隔が第1閾値未満である場合に、前記他車両を前記自車両の後続車両として認識する処理と、前記自車両と前記後続車両との間に形成されたスペースに隣接する位置を走行し且つ前記スペースに進入する意図を有する車両を、合流車両として認識する処理と、前記後続車両が前記合流車両に進路を譲った場合に前記自車両を加速させる加速制御を行う処理と、を実行するコントローラを備えることを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御方法及び車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前方車両と後続車両との間の間隔に合流車両が合流する際に、合流車両が協力を受けることができるか否かをV2X(Vehicle-to-Everything)通信を利用して確認する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、V2X通信を利用できなければ、前方車両が後続車両との間の間隔を拡げて合流車両の合流を容易にすることが困難になる。例えば、誤ったタイミングで前方車両と後続車両との間の間隔を広げると、後続車両と合流車両との過度な接近を誘発する虞がある。
本発明は、自車両と後続車両との間の間隔へ合流車両が合流する場合に、合流に対する自車両の協力を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による車両制御方法は、自車両が走行する自車線上の後方の他車両と自車両との間の間隔が第1閾値未満である場合に、他車両を自車両の後続車両として認識する処理と、自車両と後続車両との間に形成されたスペースに隣接する位置を走行し且つスペースに進入する意図を有する車両を、合流車両として認識する処理と、後続車両が合流車両に進路を譲った場合に自車両を加速させる加速制御を行う処理と、をコントローラに実行させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自車両と後続車両との間の間隔へ合流車両が合流する場合に、合流に対する自車両の協力が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の車両制御装置の一例の概略構成図である。
【
図2】(a)及び(b)は、実施形態の車両制御方法の一例の模式図である。
【
図3】コントローラの機能構成の一例のブロック図である。
【
図4】自車両による合流区間の通過の判定基準の一例の説明図である。
【
図7】実施形態の車両制御方法の一例の全体フローチャートである。
【
図8】対象シーン検出処理の一例のフローチャートである。
【
図9】後続車両監視処理の一例のフローチャートである。
【
図10】合流車両監視処理の一例のフローチャートである。
【
図11】協調制御可否判定処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
図1は、実施形態の車両制御装置の例の概略構成図である。自車両Ceは、自車両Ceの走行を制御する車両制御装置10を備える。車両制御装置10による走行制御は、自車両Ceの周辺の走行環境に基づいて、運転者が関与せずに自車両Ceを自動で運転する自律運転制御や、自車両Ceの駆動、制動及び操舵 の少なくとも1つを制御することにより運転者による自車両Ceの運転を支援する運転支援制御を含む。運転支援制御は、例えば自動操舵、自動ブレーキ、先行車追従制御、定速走行制御、車線維持制御、合流支援制御などであってよい。
【0010】
車両制御装置10は、外界センサ11と、車両センサ12と、測位装置13と、地図データベース(地
図DB)14と、ヒューマンマシンインタフェース(HMI:Human Machine Interface)15、アクチュエータ17と、コントローラ18とを備える。
外界センサ11は、自車両Ceの前方の周囲環境を監視する前方監視センサと、自車両Ceの後方の周囲環境を監視する後方監視センサとを備える。これら前方監視センサ及び後方監視センサの各々は、自車両Ceに搭載されたレーザレーダやミリ波レーダ、カメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)など、自車両Ceの周辺の物体を検出する複数の異なる種類の物体検出センサを備える。
【0011】
車両センサ12は、自車両Ceに搭載され、自車両Ceから得られる様々な情報(車両信号)を検出する。車両センサ12には、例えば、自車両Ceの車速を検出する車速センサ、自車両Ceのタイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、自車両Ceの3軸方向の加速度及び減速度を検出する3軸加速度センサ、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、操向輪の転舵角を検出する転舵角センサ、自車両Ceの角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ、自車両のアクセル開度を検出するアクセルセンサと、運転者によるブレーキ操作量を検出するブレーキセンサが含まれる。
【0012】
測位装置13は、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して自車両Ceの現在位置を測定する。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置13は、例えば慣性航法装置であってもよい。
地図データベース14は、道路地図データを記憶している。例えば地図データベース14は、自動運転用の地図情報として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という)を記憶してよい。地図データベース14は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビ地図」という)を記憶してもよい。
【0013】
HM15は、車両制御装置10と自車両Ceの乗員との間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI15は、自車両Ceの乗員が視認可能な表示装置(例えば、ナビゲーションシステムの表示画面)や、警報音や通知音、音声情報を出力するためのスピーカやブザーや、乗員に触覚的信号を提示する触覚デバイスを備える。
アクチュエータ17は、コントローラ18からの制御信号に応じて、自車両のステアリングホイール、アクセル開度及びブレーキ装置を操作して、自車両の車両挙動を発生させる。アクチュエータ17は、ステアリングアクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備える。ステアリングアクチュエータは、自車両のステアリングの操舵方向及び操舵量を制御する。アクセル開度アクチュエータは、自車両のアクセル開度を制御する。ブレーキ制御アクチュエータは、自車両のブレーキ装置の制動動作を制御する。
【0014】
コントローラ18は、自車両Ceの走行制御を行う電子制御ユニットである。コントローラ18は、プロセッサ18aと、記憶装置18b等の周辺部品とを含む。プロセッサ18aは、例えばCPUやMPUであってよい。
記憶装置18bは、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置18bは、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等のメモリを含んでよい。
【0015】
以下に説明するコントローラ18の機能は、例えばプロセッサ18aが、記憶装置18bに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ18を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、コントローラ18は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ18はFPGA等のPLD等を有していてもよい。
【0016】
次に、コントローラ18による走行制御方法の一例を説明する。
図2(a)は、実施形態の車両制御方法の一例の模式図である。第1車線Ln1及び第2車線Ln2は本線上の車線であり、第1車線Ln1に隣接する合流車線Lmは、合流区間Smにて本線の第1車線Ln1に合流する。合流区間Smは、開始位置Psにて合流を開始して終了位置Peにて合流を終了する。
【0017】
いま、自車両Ceが第1車線Ln1上を走行しており、自車両Ceの後方且つ第1車線Ln1上を後続車両Cfが走行しており、合流車線Lm上を走行する合流車両Cmが、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成され、他車両が進入できる進入スペース(空間)Gspへ、破線20に示すように合流(進入)することを試みているシーンを想定する。進入スペースGspは、特許請求の範囲に記載の「スペース」の一例である。
この場合に、自車両Ceと後続車両Cfとの間の間隔ITfが十分に大きくないと、合流車両Cmが進入スペースGspへ合流した後に、合流車両Cmと自車両Ceとの間の間隔ITm1や合流車両Cmと後続車両Cfとの間の間隔ITm2が、十分な車間距離とならない。
【0018】
このため、後続車両Cfは、合流車両Cmを合流させるためにブレーキ操作を行って減速させる必要がある。また合流車両Cmが進入スペースGspへ合流した後に、合流車両Cmはブレーキ操作を行って、合流車両Cmと自車両Ceとの間の間隔ITm1を十分な車間距離に回復する必要がある。後続車両Cfもブレーキ操作を行って、後続車両Cfと合流車両Cmとの間の間隔ITm2を十分な車間距離に回復する必要がある。
【0019】
このようなシーンでは、自車両Ceは後方監視センサを利用することにより、合流車両Cmによる合流に協力する必要があるか否かを判断し得る。すなわち、自車両Ceが加速して自車両Ceと後続車両Cfとの間の間隔ITfが拡げることにより、上述のような合流車両Cmと後続車両Cfの負担が軽減できる。
しかしながら、誤ったタイミングで自車両Ceが加速すると、後続車両Cfと合流車両Cmと過度な接近を誘発する虞がある。例えば、自車両Ceの加速を契機として合流車両Cmが合流を開始しているに関わらず、後続車両Cfが自車両Ceに追従しようとして加速を開始すると、後続車両Cfと合流車両Cmとが過度に接近する虞がある。
【0020】
そこでコントローラ18は、自車両Ceが走行する自車線Ln1上の後方の他車両Cfと自車両Ceとの間の間隔ITfが第1所定値IT1未満である場合に、他車両Cfを自車両Ceの後続車両として認識する処理と、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspに隣接する位置を走行し且つ進入スペースGspに進入する意図を有する車両Cmを合流車両として認識する処理と、後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲った場合に自車両Ceを加速させる加速制御を行う処理を行う。なお、第1所定値IT1は特許請求の範囲に記載の「第1閾値」の一例である。
【0021】
例えばコントローラ18は、後方監視センサの検出結果に基づいて、自車両Ceと後続車両Cfの間の間隔ITfや、後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲ったか否かを検出してよい。
このように、後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲ったことを確認したことを条件として、自車両Ceを加速させて自車両Ceと後続車両Cfの間の間隔ITfを広げるため、後続車両Cfと合流車両Cmと過度な接近を誘発するのを抑制できる。この結果、自車両Ceと後続車両Cfとの間の進入スペースGspへ合流車両Cmが合流する場合に、合流に対する自車両Ceの協力が容易になる。
【0022】
なお、自車両Ceと後続車両Cfの間の間隔ITfは、時間的な間隔であってよい。例えば、自車両Ceと後続車両Cfの間の車頭時間(THW:Time HeadWay)であってもよく衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)であってもよい。間隔ITfが車頭時間である場合に第1所定値IT1は例えば4秒であってよい。自車両Ceと後続車両Cfの間の間隔ITfは、空間的な間隔であってもよい。
【0023】
図2(b)は、実施形態の車両制御方法の他の一例の模式図である。第1車線Ln1及び第2車線Ln2は本線上の車線であり、第1車線Ln1に隣接する分岐車線Ldは、分岐区間Sdにて本線の第1車線Ln1から分岐する。分岐区間Sdは、開始位置Psにて分岐を開始して終了位置Peにて分岐を終了する。
【0024】
ここでは、自車両Ceが第1車線Ln1上を走行しており、自車両Ceの後方且つ第1車線Ln1上を後続車両Cfが走行しており、分岐車線Ldと反対側に隣接する第1車線Ln1の隣接車線Ln2を走行する合流車両Cmが、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspへ、破線20に示すように合流(進入)した後に分岐車線Ldへ進出するシーンを想定する。
【0025】
本発明はこのような分岐区間Sdにおいても適用可能であり、コントローラ18は、自車両Ceが走行する自車線Ln1上の後方の他車両Cfと自車両Ceとの間の間隔ITfが第1所定値IT1未満である場合に、他車両Cfを自車両Ceの後続車両として認識する処理と、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspに隣接する位置を走行し且つ進入スペースGspに進入する意図を有する車両Cmを合流車両として認識する処理と、後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲った場合に自車両Ceを加速させる加速制御を行う処理を行ってもよい。
【0026】
さらに本発明は、自車線Ln1が合流車線Lmや分岐車線Ldの隣接車線である場合に限定されず、自車両Ceが走行する自車線Ln1上の後方の他車両Cfと自車両Ceとの間に形成された進入スペースGspに、自車線Ln1の隣接車線を走行する合流車両Cmが合流(進入)することを試みているシーンであれば、広く適用可能である。
以下の説明では、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspへ合流する合流車両Cmが、
図2(a)に例示するように合流車線Lmから進入スペースGspへ合流する車両である場合について説明する。
なお、
図2(b)に例示するように合流車両Cmが分岐車線Ldと反対側から進入スペースGspへ進入した後に分岐車線Ldへ進出する車両である場合については、分岐車線Ldについて言及がない限り「合流車線Lm」を「第2車線Ln2」と読み替える。また、「合流区間Sm」を「分岐区間Sd」と読み替える。
【0027】
図3を参照してコントローラ18を詳しく説明する。コントローラ18は、物体検出部30と、自車両位置推定部31と、地図取得部32と、検出統合部33と、物体追跡部34と、地図内位置演算部35と、加速制御部36と、車両制御部37を備える。
物体検出部30は、外界センサ11の検出信号に基づいて、自車両Ceの周辺の物体、例えば車両やバイク、歩行者、障害物などの位置、姿勢、大きさ、速度などを検出する。物体検出部30は、車車間通信、路車間通信を介して他車両やインフラストラクチャーから自車両Ceの周辺の物体の情報を取得してもよい。
【0028】
自車両位置推定部31は、測位装置13による測定結果や、車両センサ12からの検出結果を用いたオドメトリに基づいて、自車両Ceの絶対位置、すなわち、所定の基準点に対する自車両Ceの位置、姿勢及び速度を計測する。
地図取得部32は、地図データベース14から自車両Ceの周囲の道路に関する地図情報を取得する。地図取得部32は、自車両Ceが走行する道路の構造に関する地図情報のほか、自車両Ceが走行する道路に合流する合流車線Lmや合流区間Smに関する地図情報や、自車両Ceが走行する道路から分岐する分岐車線Ldや分岐区間Sdに関する地図情報を取得してよい。
【0029】
例えば地図取得部32は、合流区間Smに関する地図情報として合流区間Smの開始位置Psや終了位置Peに関する情報を取得してよい。また分岐区間Sdに関する地図情報として分岐区間Sdの開始位置Psや終了位置Peに関する情報を取得してよい。
地図取得部32は外部の地図データサーバから地図情報を取得してもよい。
【0030】
検出統合部33は、複数の物体検出センサの各々から物体検出部30が得た複数の検出結果を統合して、各物体に対して一つの検出結果を出力する。
具体的には、物体検出センサの各々から得られた物体の挙動から、各物体検出センサの誤差特性などを考慮した上で、最も誤差が少なくなる最も合理的な物体の挙動を算出する。例えば、センサ・フュージョン技術を用いて、複数種類のセンサの検出結果を総合的に評価して、より正確な検出結果を取得する。
【0031】
物体追跡部34は、物体検出部30によって検出された物体を追跡する。具体的には、検出統合部33により統合された検出結果に基づいて、異なる時刻に出力された物体の挙動から、異なる時刻間における物体の同一性の検証(対応付け)を行い、かつ、その対応付けを基に、物体の速度などの挙動を予測する。
地図内位置演算部35は、自車両位置推定部31により得られた自車両Ceの絶対位置、及び地図取得部32により取得された地図情報から、地図上における自車両Ceの位置及び姿勢を推定する。また、地図内位置演算部35は、自車両Ceが走行している走行道路を特定する。さらに自車両Ceが走行する車線を特定する。
【0032】
加速制御部36は、対象シーン検出部40と、後続車両監視部41と、合流車両監視部42と、協調制御部43と、通知生成部44とを備える。
対象シーン検出部40は、現在の自車両Ceの走行シーンが、以下に説明する協調制御の対象となるシーン(以下「対象シーン」と表記することがある)であるか否かを判定する。協調制御は、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspへ合流しようとする合流車両Cmが存在する場合に、合流車両Cmによる合流に自車両Ceが協力する制御である。
【0033】
対象シーン検出部40は、自車両Ceが合流区間Smの開始位置Psを通過したか否かを判定する。また対象シーン検出部40は、自車両Ceが走行する第1車線Ln1が合流車線Lmの隣接車線であるか否かを判定する。
合流車両Cmが分岐車線Ldへ進出する車両である場合(
図2(b)の場合)には、自車両Ceが分岐区間Sdの開始位置Psを通過したか否かを判定し、第1車線Ln1が分岐車線Ldの隣接車線であるか否かを判定する。
【0034】
自車両Ceが合流区間Sm(分岐区間Sd)の開始位置Psを通過したと判定し、且つ自車両Ceが走行する第1車線Ln1が合流車線Lm(分岐車線Ld)の隣接車線であると判定した場合に、対象シーン検出部40は現在の自車両Ceの走行シーンが対象シーンであると判定する。自車両Ceが合流区間Sm(分岐区間Sd)の開始位置Psを通過していないと判定するか、自車両Ceが走行する第1車線Ln1が合流車線Lm(又は分岐車線Ld)の隣接車線でないと判定した場合に、対象シーンでないと判定する。
【0035】
現在の自車両Ceの走行シーンが対象シーンであると対象シーン検出部40が判定した場合に、後続車両監視部41は、自車両Ceが合流区間Smを通過するまで自車両Ceの後方を走行する後続車両Cfが存在するか否かを判定する。
まず、後続車両監視部41は、自車両Ceが合流区間Smを通過したか否かを判定する。例えば後続車両監視部41は、
図4に示すように合流区間Smの終了位置Peから所定距離D超えた位置P1を通過した場合に、自車両Ceが合流区間Smを通過したと判定してよい。
【0036】
このように、合流区間Smの終了位置Peから所定距離D超えた位置P1を通過するまで監視を継続することにより、自車両Ceが終了位置Peを通過した後のギリギリのタイミングで後続車両Cfとの間に合流しようとする合流車両Cmに対応できる。
合流車両Cmが合流車線Lmから進入スペースGspへ合流する車両である場合(
図2(a)の場合)には、所定距離Dは例えば50mであってよい。合流車両Cmが分岐車線Ldへ進出する車両である場合(
図2(b)の場合)には、所定距離Dは例えば5mであってよい。
【0037】
自車両Ceがまだ合流区間Smを通過していないと判断しない場合、後続車両監視部41は、自車両Ceの後方且つ第1車線Ln1上の所定範囲に他車両が存在するか否かを判定する。例えば後続車両監視部41は、自車両Ceの後方且つ第1車線Ln1上の他車両と自車両Ceとの間の間隔ITfが第1所定値IT1未満であるか否かを判定する。間隔ITfが第1所定値IT1未満である場合に、後続車両監視部41は、自車両Ceの後方の他車両を後続車両Cfとして検出する。
自車両Ceが合流区間Smを通過するまで自車両Ceの後方且つ第1車線Ln1上の所定範囲に存在する他車両を検出しなかった場合、後続車両監視部41は、後続車両Cfを検出しないと判定する。
【0038】
図3を参照する。後続車両監視部41が後続車両Cfを検出した場合に、合流車両監視部42は、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspに合流しようとする合流車両Cmを監視する。
まず合流車両監視部42は、後続車両Cfが合流区間Smの終了位置Peを通過したか否かを判定する。
【0039】
次に合流車両監視部42は、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspに隣接する位置を走行する他車両が存在するか否かを判定する。以下の説明において進入スペースGspに隣接する位置を走行する他車両を「候補車両」と表記する。
次に合流車両監視部42は、候補車両が、進入スペースGspに合流する意図を有しているか否かを推定する。
【0040】
例えば合流車両監視部42は、候補車両の方向指示器が進入スペースGspの方向に点灯しており、自車両Ceと候補車両との間の相対速度の大きさが所定速度(例えば5km/h)未満であり、且つ合流車線Lm内において候補車両が進入スペースGspの方へ横移動した場合に、候補車両が進入スペースGspに進入する意図を有していると推定してよい。
次に合流車両監視部42は、自車両Ceと後続車両Cfとの間の間隔ITfが第2所定値IT2未満であるか否かを判定する。例えば第2所定値IT2は、第1所定値IT1以下の大きさに設定してよい。
【0041】
後続車両Cfが合流区間Smの終了位置Peを通過したと判定する前に下記条件(A1)~(A3)を全て満足する場合に、合流車両監視部42は候補車両が合流車両Cmであると判定する。すわち合流車両Cmを検出したと判定する。
下記条件(A1)~(A3)を全て満足せずに後続車両Cfが終了位置Peを通過した場合に、合流車両監視部42は合流車両Cmを検出しないと判定する。
(A1)自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspに隣接する位置を走行する候補車両が存在する。
(A2)候補車両が、進入スペースGspに合流する意図を有していると推定される。
(A3)自車両Ceと後続車両Cfとの間隔ITfが第2所定値IT2未満である。
【0042】
合流車両監視部42が合流車両Cmを検出した場合に、協調制御部43は、進入スペースGspへの合流車両Cmの合流に自車両Ceが協力する協調制御の可否を判定する。
図5を参照する。まず協調制御部43は、自車両Ceの前方に破線21に示すように合流しようとする他車両CAが存在するか否かを判定する。
次に協調制御部43は、自車両Ceの車速が制限速度未満であるか否かを判定する。
【0043】
なお、コントローラ18は、合流区間Smよりも手前の地点で自車両Ceが合流区間Smに接近しているか否かを判定してよい。コントローラ18は、自車両Ceが合流車線Lmに隣接する第1車線Ln1を制限速度で走行して合流区間Smに接近している場合には、合流区間Smに到達する前に所定量(例えば5km/h)だけ自車両Ceの車速を低下させてもよい。
また、自車両Ceが分岐車線Ldに隣接する第1車線Ln1を制限速度で走行して分岐区間Sdに接近している場合には、分岐区間Sdに到達する前に所定量(例えば5km/h)だけ自車両Ceの車速を低下させてもよい。
【0044】
このとき、コントローラ18は、最大許容減速度で自車両Ceを低減して合流区間Sm(分岐区間Sd)に到達する前に上記の所定量だけ自車両Ceの車速が低下できるように合流区間Sm(分岐区間Sd)の手前に減速開始位置を決定してよい。
例えば最大許容減速度は、自車両Ceの乗員を不快にしない減速度の範囲の最大値(例えば3.4m/s2)であってよい。
【0045】
次に協調制御部43は、第1車線Ln1上の先行車両CBと自車両Ceとの間の時間的又は空間的な間隔が第3所定値IT3未満であるか否かを判定する。例えば先行車両CBと自車両Ceとの間の衝突余裕距離が第3所定値IT3(例えば4秒)未満であるか否かを判定してよい。このとき例えば協調制御部43は、協調制御において自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspを拡げるために自車両Ceを加速することによって、先行車両CBと自車両Ceとの間の時間的又は空間的な間隔が第3所定値IT3未満になるか否かを判定してもよい。
【0046】
次に協調制御部43は、後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲ったか否かを判定する。例えば協調制御部43は、後方監視センサによる後続車両Cfの検出結果に基づいて、後続車両Cfが減速した場合に後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲ったと判定してよい。例えば、後続車両Cfの減速量が閾値よりも大きい場合や、後続車両Cfの車速が閾値未満になるまで減速した場合、後続車両Cfの減速度が閾値よりも大きい場合に後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲ったと判定してよい。
【0047】
図6を参照する。後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲ったと判定しない場合、協調制御部43は、合流車両Cmが後続車両Cfを遮ったか否かを判定する。例えば、合流車両Cmが自車両Ceと後続車両Cfとを結ぶ直線DPを遮ったか否かを判定する。すなわち、後続車両Cfから自車両Ceまでを結ぶ直接経路(ダイレクトパス:direct path)を遮ったか否かを判定する。
例えば協調制御部43は、後方監視センサによる合流車両Cmの検出結果に基づいて、合流車両Cmが直線DPを遮った否かを判定してよい。例えば合流車両Cmの車幅の50%以上が第1車線Ln1内に入った場合に、合流車両Cmが直線DPを遮ったと判定してよい。
【0048】
下記条件(B1)~(B3)を全て満足し、且つ(B4)又は(B5)のいずれかを満たす場合に、協調制御部43は進入スペースGspへの合流車両Cmの合流に自車両Ceが協力する協調制御が可能であると判定する。
下記条件(B1)~(B3)のいずれかを満足しない場合に、協調制御部43は協調制御ができないと判定する。
下記条件(B1)~(B3)を全て満足し、且つ(B4)及び(B5)のいずれも満足しないと判定した場合に、協調制御部43は協調制御の可否が不確定であると判定し、協調制御ができるか否かの判定を繰り返す。
【0049】
(B1)自車両Ceの前方に合流しようとする他車両CAが存在しない。
(B2)自車両Ceの車速が制限速度未満である。
(B3)第1車線Ln1上の先行車両CBと自車両Ceとの間の間隔が第3所定値IT3未満でない。または、協調制御における自車両Ceの加速によって先行車両CBと自車両Ceとの間の間隔が第3所定値IT3未満にならない。
(B4)後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲った。
(B5)合流車両Cmが後続車両Cfを遮った。
【0050】
図3を参照する。協調制御が可能であると判定した場合に協調制御部43は、協調制御の終了条件を設定する。例えば協調制御部43は、協調制御の終了条件として以下の条件(C1)~(C3)のいずれかを設定してよい。
(C1)協調制御によって自車両Ceを加速することによって、自車両Ceと後続車両Cfとの間の間隔ITfが第4所定値IT4以上になった。
(C2)協調制御によって自車両Ceを加速することによって、自車両Ceと合流車両Cmとの間の間隔ITm1が第5所定値IT5以上になった。
(C3)協調制御によって自車両Ceの加速を開始してから所定時間(例えば10秒)が経過した。
【0051】
終了条件を設定した後に、協調制御部43は、自車両Ceを加速させる加速指令信号を車両制御部37へ出力する。車両制御部37は、協調制御部43による加速指令信号に従って自車両Ceが加速するようにアクチュエータ17を駆動する。
終了条件を満たす場合に協調制御部43は、自車両Ceの車速を協調制御の開始前の元の車速に回復する処理を開始する。自車両Ceの車速が元の車速に回復すると、協調制御部43は、協調制御を終了する。
【0052】
通知生成部44は、協調制御の開始又は終了を自車両Ceの乗員に知らせる通知を生成してHMI15から出力する。通知生成部44は、協調制御の開始又は終了を知らせる通知として、音声による報知、聴覚的な警報、視覚的な警報、触覚的な警報信号、又はこれらの組合せをHMI15から出力してよい。これにより協調制御によって発生する自車両Ceの挙動変化によって乗員が驚くのを抑制できる。
【0053】
(動作)
図7は、実施形態の車両制御方法の一例の全体フローチャートである。
ステップS1において対象シーン検出部40は、対象シーン検出処理を行う。対象シーン検出処理の詳細は
図8を参照して後述する。対象シーン検出処理において対象シーン検出部40が対象シーンを検出しない場合(ステップS2:N)に処理は終了する。対象シーンを検出した場合(ステップS2:Y)に処理はステップS3へ進む。
【0054】
ステップS3において後続車両監視部41は、後続車両監視処理を行う。後続車両監視処理の詳細は
図9を参照して後述する。
後続車両監視処理において後続車両監視部41が後続車両Cfを検出しない場合(ステップS4:N)に処理は終了する。後続車両Cfを検出した場合(ステップS4:Y)に処理はステップS5へ進む。
ステップS5において合流車両監視部42は、合流車両監視処理を行う。合流車両監視処理の詳細は
図10を参照して後述する。
合流車両監視処理において合流車両監視部42が合流車両Cmを検出しない場合(ステップS6:N)に処理は終了する。合流車両Cmを検出した場合(ステップS6:Y)に処理はステップS7へ進む。
【0055】
ステップS7において協調制御部43は、協調制御可否判定処理を行う。協調制御可否判定処理の詳細は
図11を参照して後述する。
協調制御可否判定処理において協調制御が可能であると協調制御部43が判定しない場合(ステップS8:N)に処理はステップS10へ進む。
協調制御可否判定処理において協調制御ができないと判定しない場合(ステップS10:N)、すなわち協調制御の可否が不確定であると判定した場合には処理はステップS7へ戻る。
【0056】
また、協調制御可否判定処理において協調制御できないと判定した場合(ステップS10:Y)に処理は終了する。
一方で、協調制御可否判定処理において協調制御が可能であると判定した場合(ステップS8:Y)に処理はステップS9へ進む。
ステップS9において協調制御部43は、協調制御を行う。協調制御の詳細は
図12を参照して後述する。その後に処理は終了する。
【0057】
図8は、
図7のステップS1の対象シーン検出処理の一例のフローチャートである。
ステップS20において対象シーン検出部40は、自車両Ceが合流区間Smの開始位置Psを通過したか否かを判定する。自車両Ceが開始位置Psを通過していない場合(ステップS20:N)に処理はステップS23へ進む。自車両Ceが開始位置Psを通過した場合(ステップS20:Y)に処理はステップS21へ進む。
ステップS21において対象シーン検出部40は、自車両Ceの走行車線Ln1が合流車線Lmの隣接車線であるか否かを判定する。
【0058】
走行車線Ln1が合流車線Lmの隣接車線でない場合(ステップS21:N)に処理はステップS23へ進む。走行車線Ln1が合流車線Lmの隣接車線である場合(ステップS21:Y)に処理はステップS22へ進む。
ステップS22において対象シーン検出部40は、対象シーンを検出したと判定する(すなわち現在の自車両Ceの走行シーンが対象シーンであると判定する。その後に対象シーン検出処理は終了する。
ステップS23において対象シーン検出部40は、対象シーンを検出しないと判定する。その後に対象シーン検出処理は終了する。
【0059】
図9は、
図7のステップS3の後続車両監視処理の一例のフローチャートである。
ステップS30において後続車両監視部41は、自車両Ceが合流区間Smを通過したか否かを判定する。自車両Ceが合流区間Smを通過した場合(ステップS30:Y)に処理はステップS33へ進む。自車両Ceが合流区間Smを通過しない場合(ステップS30:N)に処理はステップS31へ進む。
ステップS31において後続車両監視部41は、自車両Ceの後方且つ自車両Ceの走行車線Ln1上の所定範囲に他車両が存在するか否かを判定する。
【0060】
所定範囲に他車両が存在しない場合(ステップS31:N)に処理はステップS30へ戻る。所定範囲に他車両が存在する場合(ステップS31:Y)に処理はステップS32へ進む。
ステップS32において後続車両監視部41は、所定範囲に存在する他車両を後続車両Cfとして検出する。その後に後続車両監視処理は終了する。
ステップS33において後続車両監視部41は、後続車両を検出しないと判定する。その後に後続車両監視処理は終了する。
【0061】
図10は、
図7のステップS5の合流車両監視処理の一例のフローチャートである。
ステップS40において合流車両監視部42は、後続車両Cfが合流区間Smの終了位置Peを通過したか否かを判定する。後続車両Cfが終了位置Peを通過していない場合(ステップS40:N)に処理はステップS42へ進む。後続車両Cfが終了位置Peを通過した場合(ステップS40:Y)に処理はステップS41へ進む。
ステップS41において合流車両監視部42は、合流車両Cmを検出しないと判定する。その後には合流車両監視処理は終了する。
【0062】
ステップS42において合流車両監視部42は、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspに隣接する位置を走行する他車両である候補車両が存在するか否かを判定する。候補車両が存在しない場合(ステップS42:N)に処理はステップS40へ戻る。候補車両が存在する場合(ステップS42:Y)に処理はステップS43へ進む。
【0063】
ステップS43において合流車両監視部42は、候補車両が進入スペースGspに合流する意図を有しているか否かを推定する。候補車両が進入スペースGspに合流する意図を有していない場合(ステップS43:N)に処理はステップS40へ戻る。候補車両が進入スペースGspに合流する意図を有している場合(ステップS43:Y)に処理はステップSへ44進む。
【0064】
ステップS44において合流車両監視部42は、自車両Ceと後続車両Cfとの間の間隔ITfが第2所定値IT2未満であるか否かを判定する。間隔ITfが第2所定値IT2未満でない場合(ステップS44:N)に処理はステップS40へ戻る。間隔ITfが第2所定値IT2未満の場合(ステップS44:Y)に処理はステップSへ45進む。
ステップS45において合流車両監視部42は、候補車両を合流車両Cmとして検出する。その後には合流車両監視処理は終了する。
【0065】
図11は、
図7のステップS7の協調制御可否判定処理の一例のフローチャートである。ステップS50において協調制御部43は、自車両Ceの前方に合流しようとする他車両が存在するか否かを判定する。自車両Ceの前方に合流しようとする他車両が存在しない場合(ステップS50:N)に処理はステップS52へ進む。自車両Ceの前方に合流しようとする他車両が存在する場合(ステップS50:Y)に処理はステップS51へ進む。
ステップS51において協調制御部43は、協調制御ができないと判定する。その後に協調制御可否判定処理は終了する。
【0066】
ステップS52において協調制御部43は、自車両Ceの車速が制限速度未満であるか否かを判定する。自車両Ceの車速が制限速度未満でない場合(ステップS52:N)に処理はステップS51へ進む。自車両Ceの車速が制限速度未満である場合(ステップS52:Y)に処理はステップS53へ進む。
ステップS53において協調制御部43は、自車両Ceの走行車線Ln1上の先行車両と自車両Ceとの間の間隔が第3所定値IT3未満であるか否かを判定する。自車両Ceと先行車両との間の間隔が第3所定値IT3未満である場合(ステップS53:Y)に処理はステップS51へ進む。自車両Ceと先行車両との間の間隔が第3所定値IT3未満でない場合(ステップS53:N)に処理はステップS54へ進む。
【0067】
ステップS54において協調制御部43は、後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲ったか否かを判定する。後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲った場合(ステップS54:Y)に処理はステップS55へ進む。後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲っていない場合(ステップS54:N)に処理はステップS56へ進む。
ステップS55において協調制御部43は、協調制御が可能であると判定する。その後に協調制御可否判定処理は終了する。
【0068】
ステップS56において協調制御部43は、合流車両Cmが後続車両Cfを遮ったか否かを判定する。合流車両Cmが後続車両Cfを遮った場合(ステップS56:Y)に処理はステップS55へ進む。合流車両Cmが後続車両Cfを遮っていない場合(ステップS56:N)に処理はステップS57へ進む。
ステップS57において協調制御部43は、協調制御の可否が不確定であると判定する。その後に協調制御可否判定処理は終了する。
【0069】
図12は、
図7のステップS9の協調制御の一例のフローチャートである。
ステップS60において協調制御部43は、協調制御の終了条件を設定する。
ステップS61において通知生成部44は、協調制御の開始を自車両Ceの乗員に知らせる通知を生成してHMI15から出力する。
ステップS62において協調制御部43は、自車両Ceを加速させる加速指令信号を車両制御部37へ出力する。
【0070】
ステップS63において協調制御部43は、協調制御の終了条件を満足したか否かを判定する。協調制御の終了条件を満足しない場合(ステップS63:N)に処理はステップS65へ進む。協調制御の終了条件を満足した場合(ステップS:Y)に処理はステップS64へ進む。
ステップS64において協調制御部43は、自車両Ceの車速を協調制御の開始前の元の車速に回復する処理を開始する。自車両Ceの車速が元の車速に回復すると通知生成部44は、協調制御の終了を乗員に知らせる通知を生成してHMI15から出力する。その後に協調制御は終了する。
【0071】
ステップS65において協調制御部43は、自車両Ce前方に他車両が合流を試みているか否かを判定する。自車両Ce前方に他車両が合流を試みていない場合(ステップS65:N)に処理はステップS62へ戻る。自車両Ce前方に他車両が合流を試みている場合(ステップS65:Y)に処理はステップS64へ進む。ステップS64の後に処理は終了する。
【0072】
(実施形態の効果)
(1)コントローラ18は、自車両Ceが走行する自車線Ln1上の後方の他車両と自車両Ceとの間の間隔ITfが第1閾値未満である場合に、他車両を自車両Ceの後続車両Cfとして認識する処理と、自車両Ceと後続車両Cfとの間に形成された進入スペースGspに隣接する位置を走行し且つ進入スペースGspに進入する意図を有する車両を、合流車両Cmとして認識する処理と、後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲った場合に自車両Ceを加速させる加速制御を行う処理と、を実行する。
これにより、後続車両Cfと合流車両Cmと過度な接近を誘発するのを抑制できる。この結果、自車両Ceと後続車両Cfとの間の進入スペースGspへ合流車両Cmが合流する場合に、合流に対する自車両Ceの協力が容易になる。
【0073】
(2)コントローラ18は、加速制御を行うことにより自車両Ceと後続車両Cfとの間の間隔ITfが第2閾値以上になった場合に、自車両Ceの車速を加速制御前の車速まで戻す処理を実行してよい。これにより、合流車両Cmが合流した後の適切なタイミングで自車両Ceの車速を回復できる。
(3)コントローラ18は、自車線Ln1が合流区間Smにおいて合流車線Lmに隣接する車線である場合に、自車両Ceが合流区間Smの終了位置Peから所定距離超えた位置まで、後続車両Cfの有無の監視を継続してよい。また、自車線Ln1が分岐区間Sdにおいて分岐車線Ldに隣接する車線である場合に、自車両Ceが分岐区間Sdの終了位置Peから所定距離超えた位置まで、後続車両Cfの有無の監視を継続してよい。これにより、自車両Ceが終了位置Peを通過した後のギリギリのタイミングで後続車両Cfとの間に合流しようとする合流車両Cmに対応できる。
【0074】
(4)コントローラ18は、自車線Ln1が合流区間Smにおいて合流車線Lmに隣接する車線である場合に、後続車両Cfが合流区間Smの終了位置Peに達するまで合流車両Cmの有無の監視を継続してよい。また、自車線Ln1が分岐区間Sdにおいて分岐車線Ldに隣接する車線である場合に、後続車両Cfが分岐区間Sdの終了位置Peに達するまで合流車両Cmの有無の監視を継続してよい。これにより、適切なタイミングで合流車両Cmの有無の監視を終了できる。
(5)コントローラ18は、進入スペースGspの方向に合流車両Cmの方向指示器が点灯しており、自車両Ceと合流車両Cmとの間の相対速度が所定速度未満であり、且つ合流車両Cmが進入スペースGspの方向へ合流車両Cmが走行する車線内において横移動した場合に、合流車両Cmが進入スペースGspに進入する意図を有すると判断してよい。これにより、合流車両Cmが進入スペースGspに進入する意図の有無を判断できる。
【0075】
(6)コントローラ18は、後続車両Cfが合流車両Cmに進路を譲らない場合には、合流車両Cmが自車両Ceと後続車両Cfとを結ぶ直線を遮った場合に加速制御を行ってもよい。これにより、自車両Ceが加速しても後続車両Cfと合流車両Cmとが過度に接近する虞がない場合に加速制御を実行できる。
(7)コントローラ18は、自車両Ceの前方に合流しようとする他車両が存在する場合、自車両Ceの車速が制限速度未満でない場合、又は加速することにより自車両Ceと先行車両との間の間隔が所定値未満となる場合に、加速制御を行わなくてもよい。これにより、自車両Ceの加速が困難な状況において加速制御を抑制できる。
【0076】
(8)コントローラ18は、自車線Ln1が合流区間Smにおいて合流車線Lmに隣接する車線であり自車両Ceが制限速度で走行して合流区間Smに接近している場合には合流区間Smに到達する前に所定量だけ走行速度を低減する処理、又は自車線Ln1が分岐区間Sdにおいて分岐車線Ldに隣接する車線であり自車両Ceが制限速度で走行して分岐区間Sdに接近している場合には分岐区間Sdに到達する前に所定量だけ走行速度を低下させる処理を実行してよい。これにより、合流区間Sm又は分岐区間Sdで合流車両Cmを将来検出する場合に備えて自車両Ceを加速する余地を予め設けておくことができる。
(9)最大許容減速度で自車両Ceを低減して合流区間Sm又は分岐区間Sdに到達する前に所定量だけ走行速度を低下できるように減速開始位置を決定してよい。これにより、乗員を不快にしない減速度の範囲で自車両Ceを減速できる。
【0077】
(10)コントローラ18は、自車両Ceと合流車両Cmとの間の間隔が第3閾値以上になった場合に自車両Ceの車速を加速制御前の車速まで戻す処理を開始する処理、又は加速制御を開始してから所定時間が経過した場合に自車両Ceの車速を加速制御前の車速まで戻す処理を開始する処理を実行してよい。これにより、合流車両Cmが合流した後の適切なタイミングで自車両Ceの車速を回復できる。
(11)コントローラ18は、加速制御の開始又は終了を自車両Ceの乗員に通知してよい。これにより、協調制御により生じる自車両Ceの挙動変化によって乗員が驚くのを抑制できる。
【符号の説明】
【0078】
Ce…自車両、Cf…後続車両、Cm…合流車両、Gsp…進入スペース、Lm…合流車線、Sm…合流区間、Ld…分岐車線、Sd…分岐区間、10…車両制御装置、11…外界センサ、12…車両センサ、13…測位装置、14…地図データベース(地
図DB)、14…地図データベース、15…ヒューマンマシンインタフェース、17…アクチュエータ、18…コントローラ、18a…プロセッサ、18b…記憶装置、30…物体検出部、31…自車両位置推定部、32…地図取得部、33…検出統合部、34…物体追跡部、35…地図内位置演算部、36…加速制御部、37…車両制御部、40…対象シーン検出部、41…後続車両監視部、42…合流車両監視部、43…協調制御部、44…通知生成部