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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155367
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/245 20180101AFI20241024BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241024BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20241024BHJP
   F21S 43/241 20180101ALI20241024BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20241024BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20241024BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20241024BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20241024BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20241024BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241024BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20241024BHJP
【FI】
F21S43/245
F21S43/14
F21S43/237
F21S43/241
F21V8/00 310
F21V8/00 320
F21W103:20
F21W103:55
F21W103:10
F21W105:00
F21Y115:10
F21Y113:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070026
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】伊東 徹
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA09
3K244BA07
3K244BA12
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA16
3K244EA08
3K244EA12
3K244EB02
(57)【要約】
【課題】発光効率の低い光源の電流値を上げることなく、電流値を上げた場合と同様の所望の明るさで該光源の光を出射可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】
本開示の車両用灯具1は、光源ユニット2と、光源ユニット2の光を導く導光体23とを備える。光源ユニット2は、白色LED21とアンバーLED22と、これらを配設する配設領域Sとを備える。配設領域Sは、導光体23の入光部231と正対向する。配設領域Sの中央部S1にアンバーLED22を配設し、周縁部S2に白色LED21を配設する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、前記複数の光源を配設する配設領域と、前記複数の光源から出射される光を灯具前方へ照射させる光学部材と、を備え、
前記複数の光源が、所定の色に発光する第1光源と、前記第1光源とは異なる色に発光する第2光源と、を含み、
前記第2光源の発光効率は、前記第1光源の発光効率よりも低く、
前記第2光源は、前記第1光源よりも前記配設領域の中央寄りに配設されたことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記光学部材は導光体であり、
前記導光体は、前記配設領域と対向する入射部を含む、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第2光源の個数は前記第1光源の個数よりも多く、
全ての前記第2光源は、全ての前記第1光源よりも前記配設領域の中央寄りに配設された請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
複数の第2光源を備え、
前記第2光源同士の間隔よりも、前記第1光源と前記第2光源との間隔を大きく設けた、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記入射部が、前記第2光源に向けて膨出する凸部を含む、請求項2に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の光源を備え、複数の異なる色に照明可能な車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一の灯具に、ターンシグナルランプ(TSL)、デイタイムランニングランプ(DRL)、クリアランスランプ(CLL)等の複数の灯具機能を統合し、車体全体における灯具の設置領域を省スペース化する技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の光源(発光素子)を備え、各々の発光素子をTSL、DRL等の異なる点灯モードで点灯する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-048625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、DRLには白色に発光する白色LED、TSLにはアンバーに発光するアンバーLEDが用いられる。ここで、アンバー光は白色光よりも発光効率が低く、出射光が弱くなるという特徴がある。しかし、出射光を強めるためにアンバーLEDの電流値を上げると、アンバーLEDの発熱量が増大し、ヒートシンクが大型化するという問題があった。
【0006】
そこで、本開示の目的は、複数の灯具機能を統合した車両用灯具において、発光効率の低い光を出射する光源の電流値を上げることなく、電流値を上げた場合と同様の所望の明るさで該光源の光を出射可能な車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の車両用灯具は以下の特徴を有する。
(1)複数の光源と、複数の光源を配設する配設領域と、複数の光源から出射される光を灯具前方へ照射させる光学部材と、光源の光を入射させる光学部材と、を備え、複数の光源が、所定の色に発光する第1光源と、第1光源とは異なる色に発光する第2光源と、を含み、第2光源の発光効率は、第1光源の発光効率よりも低く、第2光源は、第1光源よりも配設領域の中央寄りに配設されたこと。
【0008】
(2)(1)の場合に、光学部材は導光体であり、導光体は、配設領域と対向する入射部を含むこと。
【0009】
(3)(1)又は(2)の場合に、第2光源の個数は第1光源の個数よりも多く、全ての第2光源は、全ての第1光源よりも配設領域の中央寄りに配設されたこと。
【0010】
(4)(1)~(3)の何れか一つの場合に、複数の第2光源を備え、第2光源同士の間隔よりも、第1光源と第2光源との間隔を広く設けたこと。
(5)(2)~(4)の何れか一つの場合に、入射部が、第2光源に向けて膨出する凸部を含むこと。
【発明の効果】
【0011】
本開示の車両用灯具によれば、第1光源よりも発光効率の低い第2光源を配設領域の中央寄りに配設したため、第2光源の光を効率的に使用することができ、第2光源の電流値を上げることなく、電流値を上げた場合と同様の所望の明るさで第光源の光を出射させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】車両用灯具の(a)概略図、(b)斜視透視図である。
図2】光源ユニットの正面模式図である。
図3】(a)従来の構成、(b)本開示の構成の、接続端子及びワイヤとコネクタとの位置関係を示す模式図である。
図4】配設領域における光源の配置パターンのバリエーションを示す模式図である。
図5図4の場合における、光源と導光体の位置関係及び導光体に入射した光の進路を示す模式図である。
図6】配設領域における光源の配置パターンの変形例による、バリエーションを示す模式図である。
図7図6の場合における、光源と導光体の位置関係及び導光体に入射した光の進路を示す模式図である。
図8】配置領域の形状のバリエーションを示す模式図である。
図9】光学部材の変形例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示を車両用灯具に具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、アウターカバー3側を灯具正面側(灯具前方側)とする。また、光源ユニット2の基板26及びヒートシンク25の基板載置面は、鉛直面内に配置され、「上方」は鉛直上方、「下方」は鉛直下方を示す。
【0014】
図1(a)に示すように、車両用灯具1は、DRL、CLL、TSL等の複数の灯具機能を備えたコンビネーションランプであって、車幅方向に伸びるように長尺に設けられている。
【0015】
図1(b)に示すように、車両用灯具1は、光源ユニット2と、光源ユニット2の複数の光源から出射される光を灯具前方へ照射させる光学部材としての導光体23と、光学部材から出射した光を灯具外部に透過させるアウターカバー3とを備える。導光体23は、一対の円柱を側面部で結合してなる棒状導光体であり、車体コーナー部に沿って湾曲する湾曲部232を有する。また、導光体23の背面側には、光を灯具正面に向けて内面反射させる反射ステップ233(図5参照)が設けられている。アウターカバー3や導光体23は、アクリルやポリカーボネート等の透明樹脂材料から形成されている。
【0016】
光源ユニット2は、白色に発光する第1光源(白色LED21)と、第1光源とは異なる色であるアンバーに発光する第2光源(アンバーLED22)と、白色LED21及びアンバーLED22を搭載した基板26と、基板26を載置したヒートシンク25と、基板26と外部電源とを電気的に接続するコネクタ24とを備える。なお、白色LED21及びアンバーLED22は、ヒートシンク25に直接載置することも可能である。また、白色LED21及びアンバーLED22は、各々、LEDパッケージ28(図3参照)として実装されている。
【0017】
第1光源と、第1光源よりも発光効率の低い第2光源との組み合わせは適宜変更できる。本開示では、白色LED21を第1光源とし、白色LED21よりも発光効率の低いアンバーLED22を第2光源としているが、例えば、白色LED21又はアンバーLED22を第1光源とし、白色LED21又はアンバーLED22よりも発光効率の低い赤色LED(図示なし)を第2光源とすることも可能である。
【0018】
図2に示すように、光源ユニット2は、白色LED21とアンバーLED22とを配設する複数の配設領域Sを備える。配設領域Sは、導光体23の一端部に設けられた一対の入光部231と、各々正対向する領域である。配設領域Sの中心部は、入光部231の中心部、即ち、一対の円柱の中心軸と対向する。
【0019】
図3に示すように、白色LED21及びアンバーLED22は、各々、矩形形状のLEDパッケージ28に搭載され、LEDパッケージ28の長辺端部には、接続端子29が設けられている。また、配設領域Sの下方にはコネクタ24が設けられている。
【0020】
図3(a)に示すように、従来の構成では、LEDパッケージ28の短辺同士を上下向かい合わせに配設していたため、下側のLEDパッケージ28の接続端子29を基端とするワイヤ27がコネクタ24に向かって延伸され、コネクタ24が障害となってワイヤボンディングに手間がかかるという問題があった。図3(b)に示すように、本開示の構成では、LEDパッケージ28の短辺同士を左右向かい合わせに配設したため、ワイヤ27の延伸方向にコネクタ24が存在せず、スムーズにワイヤボンディングを行うことができる。
【0021】
また、図3(b)に示すように、アンバーLED22同士の間隔d1よりも、白色LED21とアンバーLED22との間隔d2を大きく(d1<d2)設けることが好ましい。アンバーLED22は温度特性が悪くなると、温度上昇の影響により発光色が変化したり光の強度が変化したりするおそれがある。また、DRLやCLL等として一定の時間連続点灯する白色LED21は、アンバーLED22よりも発熱が大きくなることが見込まれる。間隔d2を間隔d1よりも広く設けることにより、熱源(白色LED21)の影響を低減させ、アンバーLED22の光Laの変化を抑制することができる。
【0022】
図4に、配設領域Sにおける、白色LED21及びアンバーLED22の配設パターンを示す。図4(a)では、複数のアンバーLED22を配設領域Sの中央部S1に配設し、複数の白色LED21を中央部S1を包囲する周縁部S2に配設している。また、アンバーLED22の個数を白色LED21の個数よりも多く設け、全てのアンバーLED22を配設領域Sの中央部S1に配設し、全ての白色LED21を周縁部S2に配設している。図4(b)では、単数のアンバーLED22を配設領域Sの中央部S1に配設し、単数の白色LED21を周縁部S2に配設している。図4(c)では、複数のアンバーLED22を配設領域Sの中央部S1に配設し、単数の白色LED21を周縁部S2に配設している。
【0023】
図4のように配設することで、図5に示すように、アンバーLED22の光Laを従来の構成(図3(a)参照)よりも効率的に導光体23に入射させることができ、アンバーLED22の電流値を上げることなく、電流値を上げた場合と同様の所望の明るさで光Laを出射させることができる。
【0024】
また、導光体23の入光部231に、アンバーLED22に向けて膨出する凸部231aを形成することも可能である。凸部231aは、光Laを集光する集光レンズとして機能し、光Laをさらに効率的に導光体23に取り込むことができる。
【0025】
熱は下方よりも上方に伝わり易いので、点灯時間の長い白色LED21は、アンバーLED22よりも上方に配設することが好ましい。白色LED21をアンバーLED22よりも上方に配設することにより、アンバーLED22を白色LED21の熱から保護し、アンバーLED22の光Laの変化を抑制することができる。
【0026】
図6に、配設パターンの変形例を示す。図6の例では、白色LED21を導光体23の湾曲部232の湾曲外側寄りに配設している。このように配設することで、図7に示すように、白色LED21の光Lwの導光体23内部での反射角度Θがより小さくなり、即ち、全反射がし易い状態となり、光Lwの光束の減少を抑制することができる。
【0027】
以上の構成の車両用灯具1によれば、アンバーLED22を、白色LED21よりも配設領域Sの中央寄りに設けたため、アンバーLED22の光Laを従来の構成よりも効率よく、多く導光体23に入射させ、アンバーLED22の電流値を上げることなく、電流値を上げた場合と同様の所望の明るさで光Laを出射させることが可能となる。このため、ヒートシンク25を大型化する必要がない。
【0028】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。例えば、配設領域Sの形状を、導光体23の断面形状と略同一とすることができる。具体的には、図8(a)の配設領域Sは円形、図8(b)の配設領域Sは正方形に設けられている。このように設けることで、白色LED21の光Lw及びアンバーLED22の光Laを、より効率的に導光することが可能となる。また、図9に示すように、光学部材をリフレクタ51やレンズ52とすることも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 車両用灯具
2 光源ユニット
3 アウターカバー
21 白色LED
22 アンバーLED
23 導光体(a:入光部)
24 コネクタ
25 ヒートシンク
26 基板
27 ワイヤ
28 LEDパッケージ
29 接続端子
51 リフレクタ
52 レンズ
231 入光部(a:凸部)
232 湾曲部
233 反射ステップ
θ 反射角度
Lw 白色光
La アンバー光
S 配設領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9