(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155374
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】除菌洗浄剤組成物及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 3/48 20060101AFI20241024BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20241024BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20241024BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20241024BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20241024BHJP
C11D 3/34 20060101ALI20241024BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20241024BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20241024BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20241024BHJP
C11D 3/26 20060101ALI20241024BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20241024BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20241024BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20241024BHJP
A01N 33/12 20060101ALI20241024BHJP
A01N 47/44 20060101ALI20241024BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C11D3/48
C11D1/62
C11D1/72
C11D1/68
C11D3/20
C11D3/34
C11D3/43
C11D17/08
C11D3/37
C11D3/26
A01P1/00
A01P3/00
A01N25/02
A01N33/12 101
A01N47/44
A01N25/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070038
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000115429
【氏名又は名称】ライオンハイジーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】大曽根 咲希
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌裕
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003AC03
4H003AC08
4H003AC15
4H003AE05
4H003BA12
4H003BA13
4H003DA05
4H003DB02
4H003EB04
4H003EB06
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB22
4H003EB28
4H003ED02
4H003ED28
4H003ED29
4H003FA04
4H003FA16
4H003FA17
4H003FA23
4H003FA34
4H011AA02
4H011BA01
4H011BA05
4H011BB04
4H011BB11
4H011BC03
4H011BC04
4H011BC06
4H011BC07
4H011BC08
4H011BC19
4H011DA13
4H011DH03
(57)【要約】
【課題】除菌力及び洗浄力に優れ、かつ、保存安定性、作業時の泡立ち性及び泡切れ性が良好な除菌洗浄剤組成物と、前記除菌洗浄剤組成物を使用した被洗物の洗浄方法の提供。
【解決手段】(A)成分:特定のカチオン界面活性剤及びグアニジン系化合物から選ばれる1種以上と、(B)成分:特定のノニオン界面活性剤及び糖系界面活性剤から選ばれる1種以上とを含有する除菌洗浄剤組成物であって、前記除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、前記(A)成分の含有量が1~20質量%であり、前記(B)成分の含有量が20質量%超50質量%以下である、除菌洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:下記一般式(a1)で表されるカチオン界面活性剤及びグアニジン系化合物から選ばれる1種以上と、
(B)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤及び糖系界面活性剤から選ばれる1種以上と、
を含有する除菌洗浄剤組成物であって、
前記除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、前記(A)成分の含有量が1~20質量%であり、前記(B)成分の含有量が20質量%超50質量%以下である、除菌洗浄剤組成物。
【化1】
(式(a1)中、R
1~R
4のうちの1つ又は2つは、炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、残りはそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基、ベンジル基又は-(R
5O)
mHで表される基(R
5Oは炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、mはR
5Oの平均付加モル数であり、1~5の数である。)であり、Z
-は陰イオンである。)
R
6-O-[(EO)
x/(R
7O)
y]-R
8 ・・・(b1)
(式(b1)中、R
6及びR
8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基又は炭素数3~18のシクロアルキル基であり、EOはエチレンオキシドであり、R
7Oは炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xはEOの平均付加モル数であり、0~40の数であり、yはR
7Oの平均付加モル数であり、0超40以下の数であり、x及びyの合計が1以上の数である。[(EO)
x/(R
7O)
y]は、EOとR
7Oとがランダム鎖とブロック鎖のいずれを形成していてもよいことを示す。)
【請求項2】
前記一般式(a1)中のZ-が、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、アルキル硫酸イオン、有機カルボン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン又は芳香族硫酸イオンである、請求項1に記載の除菌洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(A)成分が前記一般式(a1)で表されるカチオン界面活性剤を含み、前記(B)成分が前記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤を含み、前記除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、前記一般式(a1)で表されるカチオン界面活性剤及び前記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤の含有量の合計が30質量%超である、請求項1に記載の除菌洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(B)成分が、前記一般式(b1)中のR6が炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R8が水素原子、炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R7Oが炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xが3~20の数であり、yが1~10の数であるノニオン界面活性剤を含む、請求項1に記載の除菌洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(B)成分が、前記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤から選ばれる2種以上を含む、請求項1に記載の除菌洗浄剤組成物。
【請求項6】
(C)成分:低級アルコール、多価アルコール、グリコールエーテル系溶剤、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸の塩、芳香族カルボン酸及び芳香族カルボン酸の塩から選ばれる1種以上をさらに含有する、請求項1に記載の除菌洗浄剤組成物。
【請求項7】
(D)成分:前記(A)成分及び前記(B)成分以外の界面活性剤をさらに含有する、請求項1に記載の除菌洗浄剤組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の除菌洗浄剤組成物を10~1000倍に希釈した洗浄液を用いて被洗物を洗浄する、洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌洗浄剤組成物及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品工場や厨房、その他の施設では、衛生管理面から設備内の加工機、調理器具、床等の被洗物を洗浄し、さらに除菌する必要がある。被洗物の洗浄、除菌効果が不十分な場合、細菌が増殖し、食中毒を引き起こす原因となる。そのため、防止策としてカチオン界面活性剤を配合した除菌剤が一般的に使用されている。
【0003】
また、洗浄力や除菌効果を高める目的で、カチオン界面活性剤と、カチオン界面活性剤以外の界面活性剤とを併用して使用することもある。
しかし、カチオン界面活性剤とアニオン界面活性剤とを併用した場合、除菌効果が著しく低下することがある。そのため、洗浄工程と除菌工程とに分けて作業する必要があり、手間や時間がかかるという問題がある。
【0004】
そこで、洗浄と除菌を一工程で行うことができる除菌洗浄剤として、カチオン界面活性剤と両性界面活性剤とを併用した組成物(例えば特許文献1参照)や、カチオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とを併用した組成物(例えば特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-65203号公報
【特許文献2】特開2022-118589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カチオン界面活性剤と両性界面活性剤とを併用しても、十分な洗浄効果は得られにくい。
また、カチオン界面活性剤とノニオン界面活性剤とを併用した場合、洗浄効果は向上するものの、ノニオン界面活性剤の種類や含有量によっては、組成物が分離、白濁、増粘、ゲル化する等の保存安定性が低下することがある。加えて、洗浄作業時の泡立ちが不十分であったり、泡切れが悪く濯ぎに時間を要したりするなどの課題がある。
【0007】
本発明は、除菌力及び洗浄力に優れ、かつ、保存安定性、作業時の泡立ち性及び泡切れ性が良好な除菌洗浄剤組成物と、前記除菌洗浄剤組成物を使用した被洗物の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の態様を有する。
[1] (A)成分:下記一般式(a1)で表されるカチオン界面活性剤及びグアニジン系化合物から選ばれる1種以上と、
(B)成分:下記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤及び糖系界面活性剤から選ばれる1種以上と、
を含有する除菌洗浄剤組成物であって、
前記除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、前記(A)成分の含有量が1~20質量%であり、前記(B)成分の含有量が20質量%超50質量%以下である、除菌洗浄剤組成物。
【0009】
【0010】
式(a1)中、R1~R4のうちの1つ又は2つは、炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、残りはそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基、ベンジル基又は-(R5O)mHで表される基(R5Oは炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、mはR5Oの平均付加モル数であり、1~5の数である。)であり、Z-は陰イオンである。
【0011】
R6-O-[(EO)x/(R7O)y]-R8 ・・・(b1)
(式(b1)中、R6及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基又は炭素数3~18のシクロアルキル基であり、EOはエチレンオキシドであり、R7Oは炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xはEOの平均付加モル数であり、0~40の数であり、yはR7Oの平均付加モル数であり、0超40以下の数であり、x及びyの合計が1以上の数である。[(EO)x/(R7O)y]は、EOとR7Oとがランダム鎖とブロック鎖のいずれを形成していてもよいことを示す。)
【0012】
[2] 前記一般式(a1)中のZ-が、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、アルキル硫酸イオン、有機カルボン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン又は芳香族硫酸イオンである、前記[1]の除菌洗浄剤組成物。
[3] 前記(A)成分が前記一般式(a1)で表されるカチオン界面活性剤を含み、前記(B)成分が前記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤を含み、前記除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、前記一般式(a1)で表されるカチオン界面活性剤及び前記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤の含有量の合計が30質量%超である、前記[1]又は[2]の除菌洗浄剤組成物。
[4] 前記(B)成分が、前記一般式(b1)中のR6が炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R8が水素原子、炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R7Oが炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xが3~20の数であり、yが1~10の数であるノニオン界面活性剤を含む、前記[1]~[3]のいずれかの除菌洗浄剤組成物。
[5] 前記(B)成分が、前記一般式(b1)で表されるノニオン界面活性剤から選ばれる2種以上を含む、前記[1]~[4]のいずれかの除菌洗浄剤組成物。
[6] (C)成分:低級アルコール、多価アルコール、グリコールエーテル系溶剤、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸の塩、芳香族カルボン酸及び芳香族カルボン酸の塩から選ばれる1種以上をさらに含有する、前記[1]~[5]のいずれかの除菌洗浄剤組成物。
[7] (D)成分:前記(A)成分及び前記(B)成分以外の界面活性剤をさらに含有する、前記[1]~[6]のいずれかの除菌洗浄剤組成物。
[8] 前記[1]~[7]のいずれかの除菌洗浄剤組成物を10~1000倍に希釈した洗浄液を用いて被洗物を洗浄する、洗浄方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、除菌力及び洗浄力に優れ、かつ、保存安定性、作業時の泡立ち性及び泡切れ性が良好な除菌洗浄剤組成物と、前記除菌洗浄剤組成物を使用した被洗物の洗浄方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明の好ましい実施の形態を上げて本発明をさらに詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。
なお、本明細書において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0015】
[除菌洗浄剤組成物]
本発明の除菌洗浄剤組成物は、以下に示す(A)成分と、(B)成分とを含有する組成物である。
除菌洗浄剤組成物は、(A)成分及び(B)成分に加えて、以下に示す(C)成分及び(D)成分の少なくとも一方をさらに含有することが好ましい。
除菌洗浄剤組成物は、水をさらに含有してもよい。
除菌洗浄剤組成物は、必要に応じて(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び水以外の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。
【0016】
<(A)成分>
(A)成分は、以下に示すカチオン界面活性剤(以下、「(A1)成分」ともいう。)及びグアニジン系化合物(以下、「(A2)成分」ともいう。)から選ばれる1種以上である。
除菌洗浄剤組成物が(A)成分を含有することで、除菌力及び洗浄力が高まる。加えて、泡立ち性が向上する。
(A)成分は、少なくとも(A1)成分を含むことが好ましい。
【0017】
(A1)成分は、下記一般式(a1)で表されるカチオン界面活性剤である。
【0018】
【0019】
式(a1)中、R1~R4のうちの1つ又は2つは、炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、残りはそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基、ベンジル基又は-(R5O)mHで表される基(R5Oは炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、mはR5Oの平均付加モル数であり、1~5の数である。)であり、Z-は陰イオンである。
【0020】
R1~R4におけるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、それぞれ8~14が好ましく、10~14がより好ましい。
R1~R4のうちの2つが、それぞれ独立に炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であることが好ましく、より好ましくは炭素数8~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、さらに好ましくは炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、特に好ましくは炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基である。
【0021】
前記-(R5O)mHで表される基において、R5Oは炭素数2~3のアルキレンオキシドが好ましく、mは1~3が好ましい。
なお、アルキレンオキシドの平均付加モル数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
【0022】
除菌洗浄剤組成物を被洗物の洗浄に使用するに際し、被洗物の少なくとも一部が金属で構成されている場合、金属の腐食を良好に防止できる観点から、Z-は、ハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、アルキル硫酸イオン、有機カルボン酸イオン、芳香族カルボン酸イオン、芳香族スルホン酸イオン又は芳香族硫酸イオンが好ましく、ハロゲンイオン、アルキル硫酸イオン、有機カルボン酸イオンがより好ましく、塩素イオン、アルキル基の炭素数が1~5のアルキル硫酸イオン、プロピオン酸イオンがさらに好ましく、アルキル基の炭素数が1~5のアルキル硫酸イオン、プロピオン酸イオンが特に好ましく、プロピオン酸イオンが最も好ましい。
【0023】
(A1)成分としては、一般式(a1)中のR1~R4のうちの2つがそれぞれ独立に炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、残りがそれぞれ独立に炭素数1~3のアルキル基、ベンジル基又は-(R5O)mHで表される基であり、Z-が陰イオンであるカチオン界面活性剤が好ましく;一般式(a1)中のR1~R4のうちの2つがそれぞれ独立に炭素数8~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、残りの1つが-(R5O)mHで表される基であり、残りの1つが炭素数1~3のアルキル基又はベンジル基であり、Z-が陰イオンであるカチオン界面活性剤がより好ましく;一般式(a1)中のR1~R4のうちの2つがそれぞれ独立に炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、残りの1つが-(R5O)mHで表される基であって、R5Oは炭素数2~3のアルキレンオキシドであり、mは1~5の数であり、残りの1つが炭素数1~3のアルキル基又はベンジル基であり、Z-が陰イオンであるカチオン界面活性剤がさらに好ましく;一般式(a1)中のR1~R4のうちの2つがそれぞれ独立に炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、残りの1つが-(R5O)mHで表される基であって、R5Oは炭素数2のアルキレンオキシド(EO)であり、mは1~5の数であり、残りの1つが炭素数1~3のアルキル基であり、Z-が陰イオンであるカチオン界面活性剤がよりさらに好ましく;一般式(a1)中のR1~R4のうちの2つがそれぞれ独立に炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、残りの1つが-(EO)mHで表される基であって、mは1~3の数であり、残りの1つが炭素数1のアルキル基(メチル基)であり、Z-が陰イオンであるカチオン界面活性剤が特に好ましく;一般式(a1)中のR1~R4のうちの2つがそれぞれ独立に炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、残りの1つが-(EO)mHで表される基であって、mは1~3の数であり、残りの1つがメチル基であり、Z-がプロピオン酸イオンであるカチオン界面活性剤が最も好ましい。
【0024】
(A1)成分としては、具体的に、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムエチルサルフェート、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、オクチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ドデシルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらの中でも、ジデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムエチルサルフェート、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライドがより好ましく、ジデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライドがさらに好ましく、ジデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネートが特に好ましく、ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネートが最も好ましい。
【0025】
これらの(A1)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0026】
(A2)成分は、グアニジン系化合物である。
グアニジン系化合物としては、例えばポリアルキレングアニジン、ポリアルキレンビグアニジン等が挙げられる。
【0027】
ポリアルキレングアニジンとしては、例えば下記一般式(a2)で表される化合物が挙げられる。
-[R9-NH-C(NH)-NH]p- p・HY ・・・(a2)
(式(a2)中、R9は炭素数2~8のアルキレン基であり、pは1~100の数であり、HYは有機酸又は無機酸である。)
【0028】
R9におけるアルキレン基の炭素数は、4~8が好ましく、R9はヘキサメチレン基がより好ましい。
pは10~100が好ましく、60~90がより好ましく、70~80がさらに好ましい。
HYとしては、例えば塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸、安息香酸、デヒドロ酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、ソルビン酸、燐酸、フマル酸、マレイン酸、炭酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、塩酸、グルコン酸、酢酸、燐酸が好ましく、燐酸がより好ましい。
【0029】
ポリアルキレングアニジンとしては、式(a2)において、R9がヘキサメチレン基であり、pが10~100であるポリヘキサメチレングアニジン塩が好ましく、R9がヘキサメチレン基であり、pが60~90であるポリヘキサメチレングアニジン塩がより好ましく、R9がヘキサメチレン基でありpが70~80であるポリヘキサメチレングアニジン燐酸塩がさらに好ましい。
【0030】
ポリアルキレンビグアニジンとしては、例えば下記一般式(a3)で表される化合物が挙げられる。
-[R10-NH-C(NH)-NH-C(NH)-NH]n- n・HZ ・・・(a3)
(式(a3)中、R10は炭素数2~8のアルキレン基であり、nは2~14の数であり、HZは有機酸又は無機酸である。)
【0031】
R10におけるアルキレン基の炭素数は、4~8が好ましく、R10はヘキサメチレン基がより好ましい。
nは10~14が好ましく、11~13がより好ましく、12がさらに好ましい。
HZとしては、例えば塩酸、硝酸、蟻酸、酢酸、安息香酸、デヒドロ酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、ソルビン酸、燐酸、フマル酸、マレイン酸、炭酸、硫酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、塩酸、グルコン酸、酢酸が好ましく、塩酸がより好ましい。
【0032】
ポリアルキレンビグアニジンとしては、式(a3)において、R10がヘキサメチレン基であり、nが10~14であるポリヘキサメチレンビグアニジン塩が好ましく、R10がヘキサメチレン基でありnが11~13であるポリヘキサメチレンビグアニジン塩がより好ましく、R10がヘキサメチレン基でありnが11~13であるポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩がさらに好ましい。
【0033】
これらの(A2)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0034】
(A)成分の含有量は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、1~20質量%であり、7~12質量%が好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、十分な洗浄力及び除菌力と、泡立ち性が得られる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、泡切れ性及び保存安定性に優れる。
【0035】
<(B)成分>
(B)成分は、以下に示すノニオン界面活性剤(以下、「(B1)成分」ともいう。)及び糖系界面活性剤(以下、「(B2)成分」ともいう。)から選ばれる1種以上である。
除菌洗浄剤組成物が(B)成分を含有することで、洗浄力が高まる。加えて、泡立ち性が向上する。
(B)成分は、少なくとも(B1)成分を含むことが好ましい。
【0036】
(B1)成分は、下記一般式(b1)で表されるポリオキシアルキレン型のノニオン界面活性剤である。
R6-O-[(EO)x/(R7O)y]-R8 ・・・(b1)
(式(b1)中、R6及びR8はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基又は炭素数3~18のシクロアルキル基であり、EOはエチレンオキシドであり、R7Oは炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xはEOの平均付加モル数であり、0~40の数であり、yはR7Oの平均付加モル数であり、0超40以下の数であり、x及びyの合計が1以上の数である。[(EO)x/(R7O)y]は、EOとR7Oとがランダム鎖とブロック鎖のいずれを形成していてもよいことを示す。)
【0037】
R6及びR8におけるアルキル基及びアルケニル基の炭素数は、それぞれ8~22が好ましく、10~16がより好ましい。アルキル基は、第1級アルキル基であってもよいし、第2級アルキル基であってもよい。アルケニル基は、第1級アルケニル基であってもよいし、第2級アルケニル基であってもよい。
R6及びR8におけるシクロアルキル基の炭素数は、10~18が好ましく、14~16がより好ましい。
【0038】
R6及びR8のうち、一方が炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、他方が水素原子であることが好ましく、一方が炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、他方が水素原子であることがより好ましく、一方が炭素数10~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数10~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、他方が水素原子であることがさらに好ましく、一方が炭素数10~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、他方が水素原子であることが特に好ましく、R6が炭素数10~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、R8が水素原子であることが最も好ましい。
R6としては、例えば1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等の原料に由来するものが挙げられる。
【0039】
R6が直鎖である場合、-O-は、R6の1級炭素に結合していてもよいし、R6の2級炭素に結合していてもよい。
R7Oは、プロピレンオキシド(PO)又はブチレンオキシド(BO)であり、プロピレンオキシドが好ましい。
xは1~40が好ましく、1~30がより好ましく、3~20がさらに好ましい。
yは1~40が好ましく、1~20がより好ましく、1~10がさらに好ましい。
x及びyの合計は1~60が好ましく、3~40がより好ましく、5~20がさらに好ましい。
【0040】
(B1)成分としては、一般式(b1)中のR6が炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R8が水素原子、炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R7Oが炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xが1~40の数であり、yが1~40の数であるノニオン界面活性剤が好ましく;一般式(b1)中のR6が炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R8が水素原子、炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R7Oが炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xが1~30の数であり、yが1~20の数であるノニオン界面活性剤がより好ましく;一般式(b1)中のR6が炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数8~22の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R8が水素原子、炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R7Oが炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xが3~20の数であり、yが1~10の数であるノニオン界面活性剤がさらに好ましく;一般式(b1)中のR6が炭素数10~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数10~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R8が水素原子、炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又は炭素数1~5の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基であり、R7Oが炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xが3~20の数であり、yが1~10の数であるノニオン界面活性剤がよりさらに好ましく;一般式(b1)中のR6が炭素数10~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、R8が水素原子であり、R7Oが炭素数3~4のアルキレンオキシドであり、xが3~20の数であり、yが1~10の数であるノニオン界面活性剤が特に好ましく;一般式(b1)中のR6が炭素数10~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であり、R8が水素原子であり、R7Oがプロピレンオキシド(PO)であり、xが3~20の数であり、yが1~10の数であるノニオン界面活性剤が最も好ましい。
【0041】
これらの(B1)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
特に、洗浄力及び泡立ち性がより高まる観点から、(B)成分は(B1)成分から選ばれる2種以上を含むことが好ましい。(B1)成分の組み合わせとしては特に制限されない。
【0042】
(B2)成分は、糖系界面活性剤である。
糖系界面活性剤は、親水性部位に糖鎖を有し、疎水性部位に脂質を有するノニオン界面活性剤である。
糖系界面活性剤としては、例えばアルキルポリグリコシド系界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル系界面活性剤、ソルビタンエステル系界面活性剤、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド系界面活性剤等が挙げられる。
【0043】
アルキルポリグリコシド系界面活性剤としては、例えば炭素数8~18の直鎖若しくは分岐鎖のアルコールと糖類とが縮合した化合物等が挙げられる。アルコール残基としては、炭素数8~18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数8~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基がより好ましい。
【0044】
また、アルキルポリグリコシド系界面活性剤としては、例えば下記一般式(b2)で表される化合物が挙げられる。
R11-(OR12)q-Gr ・・・(b2)
(式(b2)中、R11は炭素数8~20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数8~20の直鎖若しくは分岐鎖のアルケニル基又は炭素数8~20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキルフェニル基であり、OR12は炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基であり、qはOR12の平均付加モル数であり、0~5の数であり、rはその平均値が1~5となる数である。)
【0045】
R11におけるアルキル基、アルケニル基及びアルキルフェニル基の炭素数は、それぞれ8~16が好ましく、8~14がより好ましく、10~14がさらに好ましい。
Gとしては、例えばグルコース、ガラクトース、キシロース、マンノース、リキソース、アラビノース及びフルクトースから選ばれる1種以上の単糖類に由来する残基;マルトース、キシロビオース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチビオース、ラクトース、スクロース、ニゲロース、ツラノース、ラフィノース、ゲンチアノース及びメンジトースから選ばれる1種以上の多糖類に由来する残基等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性及びコストの観点から、Gとしてはグルコース及びフルクトースから選ばれる1種以上の単糖類に由来する残基、マルトース及びスクロースから選ばれる1種以上の単糖類に由来する残基が好ましく、グルコースの単糖類に由来する残基(グルコシド残基)がより好ましい。
rは糖の重合度を示し、平均で1~5の数を表し、平均で1~3の数が好ましく、平均で1.2~1.6の数がより好ましい。
【0046】
アルキルポリグリコシド系界面活性剤の具体例としては、オクチルポリグルコシド、デシルポリグルコシド、ドデシルポリグルコシド、ドデシルポリマンノシド、ドデシルポリガラクトシド等が挙げられる。
【0047】
ショ糖脂肪酸エステル系界面活性剤としては、例えば炭素数8~18の脂肪酸基を有するショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。脂肪酸基としては、炭素数8~18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数10~14の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基がより好ましい。
【0048】
ソルビタンエステル系界面活性剤としては、例えば炭素数8~18の脂肪酸基を有するソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。脂肪酸基としては、炭素数8~18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素数12~18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基がより好ましい。
このようなソルビタン脂肪酸エステルとしては、具体的に、ソルビタンカプリレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレート等が挙げられる。
【0049】
ポリヒドロキシ脂肪酸アミド系界面活性剤としては、例えば下記一般式(b3)で表される化合物が挙げられる。
【0050】
【0051】
式(b3)中、R13は水素原子、炭素数1~4のヒドロカルビル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基又はそれらの混合物からなる基であり、R14は炭素数5~31のヒドロカルビル基又はそれらの混合物からなる基であり、Mは鎖に直接連結された少なくとも3つのヒドロキシ基を有する直鎖のヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル基又はそのアルコキシ化誘導体(好ましくはエトキシ化又はプロポキシ化)からなる基である。
【0052】
R13としては、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がより好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)がさらに好ましい。
R13の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
【0053】
R14としては、炭素数7~19の直鎖のアルキル基又は炭素数7~19の直鎖のアルケニル基が好ましく、炭素数9~17の直鎖のアルキル基又は炭素数9~17の直鎖のアルケニル基がより好ましく、炭素数11~17の直鎖のアルキル基又は炭素数11~17の直鎖のアルケニル基がさらに好ましい。
R14-CO-Nの具体例としては、ココアミド基、ステアロアミド基、オレオアミド基、ラウリンアミド基、ミリストアミド基、カプリンアミド基、パルミトアミド基、タローアミド基等が挙げられる。
【0054】
Mとしては、還元アミノ化反応において還元糖から誘導される基が好ましく、グリシチル基がより好ましい。
還元糖としては、例えばグルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース等が挙げられる。
原料として、高デキストロースコーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、又は高マルトースコーンシロップを前記還元糖と同様に利用できる。これらのコーンシロップは、M用糖成分の混合物として調製することができる。
Mとしては、-CH2-(CHOH)t-CH2OH、-CH(CH2OH)-(CHOH)t-1-CH2OH、-CH2-(CHOH)2(CHOR15)(CHOH)-CH2OH、及びそれらのアルコキシ化誘導体からなる基が好ましい。なお、tは3~5の数であり、R15は水素原子、環状構造の単糖又は脂肪族単糖である。これらの中でも、tが4であるグリシチル基がより好ましく、-CH2-(CHOH)4-CH2OHが特に好ましい。
Mの具体例としては、1-デオキシグルシチル基、2-デオキシフルクチチル基、1-デオキシマルチチル基、1-デオキシラクチチル基、1-デオキシガラクチチル基、1-デオキシマンニチル基、1-デオキシマルトトリオチチル基等が挙げられる。
【0055】
これらの(B2)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0056】
(B)成分の含有量は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、20質量%超50質量%以下であり、21~35質量%が好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値超であれば、十分な洗浄力と泡立ち性が得られる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、泡切れ性及び保存安定性に優れる。
【0057】
(A)成分及び(B)成分の含有量の合計は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、25~60質量%が好ましく、30~55質量%がより好ましく、35~50質量%がさらに好ましい。(A)成分及び(B)成分の含有量の合計が上記下限値以上であれば、除菌力と洗浄力をより良好に両立することができる。(A)成分及び(B)成分の含有量の合計が上記上限値以下であれば、保存安定性をより良好とすることができる。
【0058】
除菌洗浄剤組成物の製造の観点から、(A)成分が(A1)成分を含み、(B)成分が(B1)成分を含むことが好ましい。その場合、(A1)成分及び(B1)成分の含有量の合計は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、30質量%超が好ましく、30質量%超60質量%以下がより好ましく、30質量%超55質量%以下がさらに好ましく、35~50質量%が特に好ましい。(A1)成分及び(B1)成分の含有量の合計が上記下限値以上であれば、除菌力と洗浄力をより良好に両立することができる。(A1)成分及び(B1)成分の含有量の合計が上記上限値以下であれば、保存安定性をより良好とすることができる。
【0059】
(B)成分/(A)成分で表される質量比(以下、「B/A比」ともいう。)は、1~30が好ましく、1.5~10がより好ましく、2~4がさらに好ましい。B/A比が上記下限値以上であれば、保存安定性をより良好とすることができる。B/A比が上記上限値以下であれば、十分な除菌力を示す。
【0060】
<(C)成分>
(C)成分は、低級アルコール、多価アルコール、グリコールエーテル系溶剤、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸の塩、芳香族カルボン酸及び芳香族カルボン酸の塩から選ばれる1種以上である。
(C)成分は、安定化剤である。除菌洗浄剤組成物が(C)成分を含有することで、各種保存環境での保存安定性がより向上する。
【0061】
低級アルコールとは、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール等の炭素数1~5のアルコールが挙げられる。
【0062】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200~5000のポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0063】
グリコールエーテル系溶剤としては、例えば下記一般式(c1)で表される化合物が挙げられる。
R16-(OR17)s-OH ・・・(c1)
(式(c1)中、R16は水素原子、炭素数1~6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はフェニル基であり、OR17は炭素数2~4のアルキレンオキシドであり、sはOR17の平均付加モル数であり、1~30000の数である。)
【0064】
グリコールエーテル系溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコール系エーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコール系エーテル類;フェニルジグリコールなどが挙げられる。
【0065】
一般式(c1)中のR16が水素原子である化合物としては、ポリエチレングリコールが挙げられる。ポリエチレングリコールとしては、一般式(c1)中のsが5以上のものが好ましい。
また、ポリエチレングリコールの質量平均分子量は、180~10000が好ましく、300~5000がより好ましく、500~3000がさらに好ましく、800~1500が特に好ましい。これらの中でも、質量平均分子量が900~1200のポリエチレングリコールが特に好ましい。なお、ポリエチレングリコールの質量平均分子量は、溶媒としてメタノールを用いてGPCにより測定した値を、ポリエチレングリコールにおける較正曲線に基づいて算出した値を示す。
【0066】
芳香族スルホン酸及びその塩としては、例えばp-トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、置換若しくは非置換ナフタレンスルホン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。芳香族スルホン酸の塩としては、芳香族スルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0067】
芳香族カルボン酸及びその塩としては、例えば安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼントリカルボン酸類、及びこれらの塩等が挙げられる。芳香族カルボン酸の塩としては、芳香族カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0068】
これらの(C)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
(C)成分としては、多価アルコール、グリコールエーテル系溶剤、芳香族スルホン酸及びその塩が好ましく、多価アルコール、芳香族スルホン酸及びその塩がより好ましい。
【0069】
(C)成分の含有量は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、1~10質量%が好ましく、2~7.5質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、保存安定性がより向上する。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、泡切れ性をより良好に維持できる。
【0070】
<(D)成分>
(D)成分は、前記(A)成分及び前記(B)成分以外の界面活性剤(以下、「他の界面活性剤」ともいう。)である。
除菌洗浄剤組成物が(D)成分を含有することで、洗浄力と泡立ち性のバランスがより向上する。
【0071】
他の界面活性剤としては、(A)成分以外のカチオン界面活性剤(以下、「他のカチオン界面活性剤」ともいう。)、(B)成分以外のノニオン界面活性剤(以下、「他のノニオン界面活性剤」ともいう。)、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
【0072】
他のノニオン界面活性剤としては、例えば脂肪族アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0073】
アニオン界面活性剤としては、例えば炭素数10~20のα-オレフィンスルホン酸塩(AOS);炭素数10~20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS);炭素数8~18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS、ABS);炭素数10~20のアルカンスルホン酸塩(SAS);炭素数10~20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はこれらの混合物を付加した、アルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩(AES);炭素数10~20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均付加モル数が10モル以下のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はこれらの混合物を付加した、アルキルエーテルカルボン酸塩又はアルケニルエーテルカルボン酸塩;炭素数10~20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩;炭素数10~20の高級脂肪酸塩(石鹸);α-スルホ脂肪酸塩又はそのエステル塩(好ましくは、炭素数8~20(好ましくは12~18)の飽和若しくは不飽和のα-スルホ脂肪酸塩又はそのエステル塩(好ましくは、メチルエステル塩(MES)、エチルエステル塩若しくはプロピルエステル塩))等が挙げられる。
【0074】
両性界面活性剤としては、例えばベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤、アミンオキシド型両性界面活性剤等が挙げられる。
ベタイン型両性界面活性剤としては、例えばラウリン酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン系両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、イソステアラミドプロピルベタイン等のアミドベタイン系両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルジメチルスルホベタイン等のスルホベタイン系両性界面活性剤;2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリニウムベタイン(アルキルイミダゾール)型両性界面活性剤等が挙げられる。
アミノ酸型両性界面活性剤としては、例えばヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム等が挙げられる。
アミンオキシド型両性界面活性剤としては、例えばラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、n-ドデシルジメチルアミンオキシド等のアルキルジメチルアミンオキシド型両性界面活性剤;ラウリン酸アミドプロピルアミンオキシド等のアルカノイルアミドアルキルジメチルアミンオキシド型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0075】
これらの(D)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
これらの中でも、泡立ち性を向上させ、また、洗浄助剤としての効果に優れる観点から、他のノニオン界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、両性界面活性剤がより好ましく、ベタイン型両性界面活性剤がさらに好ましい。
【0076】
(D)成分の含有量は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、1~20質量%が好ましく、2~10質量%がより好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であれば、洗浄力及び泡立ち性がより向上する。(D)成分の含有量が上記上限値以下であれば、泡切れ性及び保存安定性をより良好に維持できる。
【0077】
(A)成分、(B)成分及び(D)成分の含有量の合計、すなわち、除菌洗浄剤組成物に含まれる全ての界面活性剤の含有量(総界面活性剤量)は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、26~80質量%が好ましく、28~70質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。総界面活性剤量が上記下限値以上であれば、除菌力と洗浄力をより良好に両立することができる。総界面活性剤量が上記上限値以下であれば、保存安定性をより良好とすることができる。
【0078】
<水>
水としては、例えば水道水、井戸水、イオン交換水、純水等が挙げられる。
水の含有量は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対して、20~74質量%が好ましく、30~50質量%がより好ましい。水の含有量が上記下限値以上であれば、除菌洗浄剤組成物の粘度の上昇を抑制できる。水の含有量が上記上限値以下であれば、十分な洗浄力を示す。
なお、水の含有量は、(A)~(D)成分及び後述の任意成分の合計量を100質量%から減じた値である。
【0079】
<任意成分>
任意成分としては、例えば金属封鎖剤、色素、香料、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
金属封鎖剤としては、例えばメチルグリシンジ酢酸三ナトリウム等のアミノカルボン酸塩、クエン酸等の有機酸等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えばクエン酸、硫酸、塩酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基が挙げられる。
これらの任意成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0080】
<pH>
除菌洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、5~10が好ましく、被洗物の腐食防止の観点から、6~8がより好ましい。
除菌洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、JIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠した方法により測定される値である。
【0081】
<製造方法>
除菌洗浄剤組成物の製造方法としては、例えば、上述した(A)成分及び(B)成分と、水と、必要に応じて(C)成分、(D)成分及び任意成分の1つ以上とを混合する方法が挙げられる。
各成分を混合する方法としては、例えば、水の一部に、(A)成分及び(B)成分と、必要に応じて(C)成分、(D)成分及び任意成分の1つ以上とを加えて混合した後、水の残部を加えて全体量を100質量%とする方法が挙げられる。また、各成分を混合する方法としては、全体量が100質量%となるように、水の全部に、残りの成分を全て加えて混合してもよい。
【0082】
<作用効果>
以上説明した本実施形態の除菌洗浄剤組成物は、上述した特定量の(A)成分と、特定量の(B)成分とを含有するので、除菌力及び洗浄力に優れ、かつ、保存安定性、作業時の泡立ち性及び泡切れ性が良好である。
しかも、本実施形態の除菌洗浄剤組成物であれば、従来の除菌剤に比べて水分量を減らすことができ、いわゆる濃縮型の除菌洗浄剤とすることもできる。よって、保管スペースや取り換えの手間を削減でき、コストの面でも優れる。
【0083】
<用途>
本実施形態の除菌洗浄剤組成物は、食品工場や厨房、その他の施設内の加工機、調理器具、床等の被洗物を洗浄及び除菌するための除菌洗浄剤として好適である。
以下、本実施形態の除菌洗浄剤組成物を用いた被洗物の洗浄方法の一例について説明する。
【0084】
[洗浄方法]
本実施形態の洗浄方法は、上述した本発明の除菌洗浄剤組成物を10~1000倍に希釈した洗浄液を用いて被洗物を洗浄する方法である。
除菌洗浄剤組成物の希釈倍率は、30~800倍が好ましく、50~700倍がより好ましく、100~600倍がさらに好ましい。
【0085】
洗浄の対象となる被洗物としては、食品工場や厨房、その他の施設内の加工機(例えばおにぎり成型機等の食品加工機)、調理器具、床、壁、ドアノブ、作業台等が挙げられる。
【0086】
被洗物を洗浄する方法としては、除菌洗浄剤組成物を特定の希釈倍率に希釈した洗浄液に被洗物を漬け置き、一定時間放置した後に水ですすぐ洗浄方法(漬け置き洗浄);洗浄液を被洗物に噴霧した後に水ですすぐ洗浄方法(噴霧洗浄);洗浄液をスポンジなどの洗浄具に含ませ、この洗浄具を用いて被洗物を擦り洗いした後に水ですすぐ洗浄方法(擦り洗い洗浄)等が挙げられる。
【0087】
本発明の除菌洗浄剤組成物を用いて被洗物を洗浄すれば、被洗物に付着した油脂などの落ちにくい汚れを一度の洗浄で十分に除去でき、しかも除菌することもできる。
【実施例0088】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0089】
「使用原料」
<(A)成分>
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A-1:ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド((A1)成分)。
・A-2:ジデシルメチルポリオキシエチルアンモニウムプロピオネート(一般式(a1)中、R1~R4のうちの1つが-(EO)mHで表される基であり、mは1.6であるカチオン界面活性剤((A1)成分))。
・A-3:ジデシルジメチルアンモニウムメチルサルフェート((A1)成分)。
・A1-4:ポリヘキサメチレンビグアナイド((A2)成分)。
【0090】
<(B)成分>
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・B-1:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(一般式(b1)中、R6がイソトリデシル基であり、R8が水素原子であり、R7OがPOであり、xが7であり、yが3であるノニオン界面活性剤((B1)成分))。
・B-2:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(一般式(b1)中、R6が炭素数12~14の直鎖の第2級アルキル基であり、R8が水素原子であり、R7OがPOであり、xが7であり、yが2.5であるノニオン界面活性剤((B1)成分))。
・B-3:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(一般式(b1)中、R6が炭素数12~14の直鎖の第1級アルキル基であり、R8が水素原子であり、R7OがPOであり、xが5であり、yが2であるノニオン界面活性剤((B1)成分))。
・B-4:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(一般式(b1)中、R6が炭素数12~14の直鎖の第1級アルキル基であり、R8が水素原子であり、R7OがPOであり、xが15であり、yが3であるノニオン界面活性剤((B1)成分))。
・B-5:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(一般式(b1)中、R6が炭素数11~15の直鎖の第2級アルキル基であり、R8が水素原子であり、xが7であり、yが0であるノニオン界面活性剤((B)成分の比較品))。
・B-6:アルキルポリグルコシド(一般式(b2)中、R11が炭素数10~16の直鎖のアルキル基であり、Gがグルコースの単糖類に由来する残基であり、qが0であり、rが1.4である糖系界面活性剤((B2)成分))。
【0091】
<(C)成分>
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・C-1:p-トルエンスルホン酸ナトリウム。
・C-2:プロピレングリコール。
【0092】
<(D)成分>
(D)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・D-1:N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム。
・D-2:ラウリルジメチルアミンオキシド。
【0093】
<水及び任意成分>
水及び任意成分として、以下に示す化合物を用いた。
・水:イオン交換水。
・pH調整剤:クエン酸又は水酸化カリウム。
【0094】
「評価方法」
<洗浄力の評価>
ポリプロピレン製のカップ(容量120mL)に食用油0.5gを塗布した試験カップに、除菌洗浄剤組成物をイオン交換水で500倍に希釈した洗浄液100mLを投入し、10分放置した後、試験カップ内の洗浄液を除去した。その後、50℃で8時間、乾燥し、試験カップを洗浄した。洗浄前後の試験カップの重量を測定し、下記式(1)より洗浄率を算出し、下記の評価基準で洗浄力を評価した。
洗浄率[%]=(洗浄前の試験カップの重量-試験後の試験カップの重量)/0.5×100 ・・・(1)
【0095】
(評価基準)
○:洗浄率が60%以上である。
△:洗浄率50%以上、60%未満である。
×:洗浄率が50%未満である。
【0096】
<除菌力の評価>
供試菌として、大腸菌(Escherichia coli(NBRC3972))又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus(NBRC12732))を用いた。
また、3質量%牛血清アルブミン水溶液(BSA溶液)0.5mL、及び菌液0.5mLを加えた際に、300倍希釈となるように除菌洗浄剤組成物をイオン交換水で予め希釈したものを洗浄液として用いた。
供試菌をSCDLP寒天培地で35℃、24時間培養し、108CFU/mLに調整した菌液を作製した。
洗浄液4.0mLに、BSA溶液0.5mL及び菌液を0.5mL接種し、混和した。10分間接触させた後、SCDLP Broth培地10mLに混和液0.1mLを接種し、35℃で24時間培養した。培養後、培地の濁りを目視にて確認し、下記の評価基準で各菌体に対する除菌力を評価した。
【0097】
(評価基準)
○:SCDLP Broth培地が透明である。
×:SCDLP Broth培地が混濁している。
【0098】
<泡立ち性の評価>
エプトン管(容量100mL、胴径25mm)に、除菌洗浄剤組成物をイオン交換水で500倍に希釈した洗浄液20mLを投入し、エプトン管を手で1ストローク/秒で20回振とうした。
振とう終了から1分後の泡の高さ(泡と洗浄液との境界から、泡の上端面までの高さ)を目視にて確認し、下記の評価基準で泡立ち性を評価した。
【0099】
(評価基準)
○:泡立ちがよい。
△:泡立ちがやや悪い。
×:泡立ちが悪い。
【0100】
<泡切れ性の評価>
栓をしたシンクに、除菌洗浄剤組成物をイオン交換水で200倍に希釈した洗浄液20Lを貯留し、手でかき混ぜて泡立たせた後に、シンクの栓を抜き、排水した。シンクに残った泡をシャワーで流した際の、全ての泡が排出されるまでの時間を測定し、下記の評価基準で泡切れ性を評価した。
【0101】
(評価基準)
○:泡切れがよい。
△:泡切れがやや悪い。
×:泡切れが悪い。
【0102】
<保存安定性の評価>
ガラス容器(容量100mL)に除菌洗浄剤組成物80mLを入れ、ガラス容器を密閉した状態で、40℃、20℃又は-5℃の恒温槽内で1ヵ月保存した。保存後の除菌洗浄剤組成物の液外観を目視にて観察し、下記の評価基準で保存安定性を評価した。
【0103】
(評価基準)
○:均一透明で異物が認められない。
△:濁っているが、沈殿、浮遊物、分離、固化は認められない。
×:沈殿、浮遊物、白濁、分離、固化が認められる。
【0104】
「実施例1~19、比較例1~5」
表1~4に示す組成に従い、除菌洗浄剤組成物100gを下記手順で調製した。
1Lビーカーに(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び水を投入し、撹拌機で十分に撹拌し、必要に応じて表1~4に示すpHとなるようにpH調整剤を添加し、各例の除菌洗浄剤組成物100gを調製した。
除菌洗浄剤組成物のpHは、除菌洗浄剤組成物を25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、製品名「HM-30G」)を用い、ガラス電極を除菌洗浄剤組成物に直接浸漬し、1分間経過後に示すpHを測定した。測定方法はJIS Z 8802:1984「pH測定方法」に準拠して行った。
各例の除菌洗浄剤組成物について、洗浄力、除菌力、泡立ち性、泡切れ性及び保存安定性を評価した。結果を表1~4に示す。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
表1~4中、「A+B」は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対する(A)成分及び(B)成分の含有量の合計である。「A1+B1」は、除菌洗浄剤組成物の総質量に対する(A1)成分及び(B1)成分の含有量の合計である。「B/A比」は、(B)成分/(A)成分で表される質量比である。
なお、表1~4中の各成分の配合量は純分換算量である。また、表中の空欄は、その成分が配合されていないこと(配合量0質量%)を示す。表中の「適量」とは、除菌洗浄剤組成物を表中のpHとするのに要した量である。表中の「バランス」とは、除菌洗浄剤組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)を100質量%にするのに要した水の量である。
【0110】
表1~3から明らかなように、各実施例で得られた除菌洗浄剤組成物は、除菌力及び洗浄力に優れ、かつ、保存安定性、泡立ち性及び泡切れ性が良好であった。
一方、表4から明らかなように、(A)成分の含有量が1質量%未満である比較例1で得られた除菌洗浄剤組成物は、洗浄力及び除菌力が低く、泡立ち性にも劣っていた。
(A)成分の含有量が20質量%超である比較例2で得られた除菌洗浄剤組成物は、保存安定性及び泡切れ性に劣っていた。
(B)成分の含有量が20質量%以下である比較例3で得られた除菌洗浄剤組成物は、洗浄力が低く、保存安定性及び泡立ち性にも劣っていた。
(B)成分の含有量が50質量%超である比較例4で得られた除菌洗浄剤組成物は、保存安定性及び泡切れ性に劣っていた。
(B)成分の代わりに、一般式(b1)中のyが0である、すなわち、R7Oを含まないノニオン界面活性剤(B’1-1)を用いた比較例5で得られた除菌洗浄剤組成物は、保存安定性、泡立ち性及び泡切れ性に劣っていた。