(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155389
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20241024BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20241024BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G09G3/20 660U
G09G3/20 611A
G09G3/20 611E
G09G3/20 650J
G09G3/36
G09G3/20 611G
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070063
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 明
(72)【発明者】
【氏名】藤川 徹也
(72)【発明者】
【氏名】西原 雄祐
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA04
2H193ZC39
2H193ZD32
2H193ZE03
2H193ZE04
2H193ZF11
2H193ZF16
5C006AA02
5C006AA22
5C006AF19
5C006AF69
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC11
5C006FA04
5C006FA23
5C006FA47
5C080AA06
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD06
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080KK02
5C080KK43
5C080KK47
5C080KK49
(57)【要約】
【課題】画像信号の変化の周期が短い状態から画像信号の変化の周期が長い状態に移行した場合でも、輝度の変化を低減することが可能な表示装置及び表示装置の制御方法を提供する。
【解決手段】表示装置100は、画素電極と、画素電極を充電させるソース駆動回路13と、ソース駆動回路13により画素電極を充電させるタイミングを制御する制御回路20と、を備える。制御回路20は、画像信号の変化の周期が短い状態から画像信号の変化の周期が長い状態に移行した場合、画像信号の変化の一周期内に複数回、画素電極をソース駆動回路13により充電させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極と、
画像信号に基づいて、前記画素電極を充電させる駆動回路と、
前記駆動回路により前記画素電極を充電させるタイミングを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記画像信号が変化する周期が、第1の周期から前記第1の周期よりも長い第2の周期になった場合、前記画像信号の変化の一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる、表示装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、前記画素電極へ出力する電圧の極性を充電させるごとに反転させ、
前記制御部は、前記画像信号の変化の周期が前記第1の周期から前記第2の周期になった場合、前記一周期内に、3以上の奇数の回数、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2の周期の長さは、0.1秒以上であり、
前記制御部は、前記画像信号の変化の周期が前記第1の周期から前記第2の周期になった場合、前記一周期のうちの前半に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像信号の変化の周期が前記第1の周期から前記第2の周期になった場合、前記一周期内に3回又は5回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる、請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像信号の変化の周期が1秒以上の場合に、前記一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
画素電極と、前記画素電極を充電させる駆動回路と、を備えた表示装置の制御方法であって、
画像信号を取得し、
前記画像信号が変化する周期が、第1の周期から前記第1の周期よりも長い第2の周期になった場合、前記画像信号の変化の一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる、表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置及び表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画素への書き込みを休止して静止画を表示する休止駆動を実行する表示装置が記載されている。この表示装置は、休止駆動を実行する休止期間から、走査信号線を走査して画像信号電圧を画素に書き込む駆動期間に移行する際に、高速スキャンと階調値強調駆動とを実行する。高速スキャンは、画像信号に基づいて求めた画像信号電圧を画素に書き込む第1スピードよりも速い第2スピードで画素に、同一の極性の画像信号電圧を書き込むことである。階調値強調駆動とは、駆動期間の開始直後の第1のフレームの画像データ及び第1のフレームの直後の第2のフレームの画像データに対して、階調値を補正する動作である。これにより、この表示装置は、休止期間から駆動期間へ移行する際に、フリッカが視認されるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、表示装置が、画素への画像信号電圧の印加(画像の書き込み)を60Hzで行う状態から、画像の書き込みを1Hzで行う状態に移行させる場合がある。この場合、画素へ充電される回数が1秒当たり60回から、1秒当たり1回に減少する。また、表示装置は、充電1回当たりの時間を変更しないため、画像の書き込みを1Hzで行う場合、画素の書込み間隔が60Hzでの書込み間隔よりも長くなる。また画素TFTにはオフリークがある。これにより、画像信号の変化の周期が短い期間から画像信号の変化の周期が長い期間へ移行する際に、輝度の変化(低下)が生じる。
【0005】
そこで、本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、画像信号の変化の周期が短い状態から画像信号の変化の周期が長い状態に移行した場合でも、輝度の変化を低減することが可能な表示装置及び表示装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の第1の態様に係る表示装置は、画素電極と、画像信号に基づいて、前記画素電極を充電させる駆動回路と、前記駆動回路により前記画素電極を充電させるタイミングを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像信号が変化する周期が、第1の周期から前記第1の周期よりも長い第2の周期になった場合、前記画像信号の変化の一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる。
【0007】
また、本開示の第2の態様に係る表示装置の制御方法は、画素電極と、前記画素電極を充電させる駆動回路と、を備えた表示装置の制御方法であって、画像信号を取得し、前記画像信号が変化する周期が、第1の周期から前記第1の周期よりも長い第2の周期になった場合、前記画像信号の変化の一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、画像信号の変化の周期が短い状態から長い状態に移行した場合でも、一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて画素電極が充電されるので、充電が1回のみの場合に比べて、画素電極が充電される期間が長くなる。このため、輝度の変化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態における表示装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、一実施形態によるソース信号の波形及びゲートスタートパルス信号の波形の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、高周波モードにおける書き込み回数と低周波モードにおける書き込み回数を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1比較例による書き込み回数を説明するための図である。
【
図6】
図6は、一実施形態の実施例と第2比較例との輝度変化率及び消費電力の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の構成を充足する範囲内で、適宜設計変更を行うことが可能である。また、以下の説明において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態および変形例に記載された各構成は、本開示の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。また、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。
【0011】
[第1実施形態]
(表示装置の全体構成)
図1は、第1実施形態における表示装置100の概略構成を示すブロック図である。表示装置100は、図示していないホストコントローラ(以下、「ホスト」という)から供給される画像信号(R、G、B)に基づいて、画像(映像)を表示する装置である。表示装置100は、例えば、パーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォン、スマートウォッチ、及びテレビジョン装置である。表示装置100は、表示パネル10と、制御回路20と、を備える。
【0012】
図1に示すように、表示パネル10は、液晶ディスプレイ11と、ゲート駆動回路12と、ソース駆動回路13とを含む。
図2に示すように、液晶ディスプレイ11には、ゲート駆動回路12に接続されたゲート線12aと、ソース駆動回路13に接続されたソース線13aと、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)14と、画素電極15と、共通電極16とが設けられている。ゲート線12aは、TFT14のゲート電極に接続されている。ソース線13aは、TFT14のソース電極に接続されている。画素電極15は、TFT14のドレイン電極に接続されている。TFT14及び画素電極15は、複数のゲート線12aと複数のソース線13aとが交差することにより区画された領域内に配置されている。共通電極16は、画素電極15に対向して配置されている対向電極である。また、共通電極16は、複数の画素電極15に対して共通に設けられている。
【0013】
ゲート駆動回路12は、制御回路20から供給される制御信号(垂直同期信号に同期したゲートスタートパルス信号、クロック信号など)に応じて、ゲート線12aを介して、各行のTFT14に順次ゲート信号を供給する。なお、ゲートスタートパルス信号は、
図3に示すように、1フレームの冒頭に1回出力される信号であり、ゲート駆動回路12が1フレームの走査を開始するためのトリガとなる信号である。ここで、本開示では、「フレーム」とは、映像を構成するために画面に表示される画像(1コマ)を意味する。
【0014】
ソース駆動回路13は、制御回路20から供給される画像信号及び制御信号(水平同期信号など)に応じて、ソース線13a及びTFT14を介して画素電極15にソース信号(電圧)を供給し、画素電極15を充電させる。これにより、ゲート駆動回路12及びソース駆動回路13は、入力される画像信号に応じて、液晶ディスプレイ11に表示する画像を書き込む。
【0015】
図3は、第1実施形態によるソース信号の波形及びゲートスタートパルス信号の波形の一例を示す図である。
図3に示すように、ソース駆動回路13は、画素電極15へ出力する電圧の極性を、電圧を供給するごとに正極性(+)と負極性(-)とで反転させて、表示パネル10に表示する画像の書き込みを行う。なお、ソース駆動回路13は、ゲート線が延びる方向及びソース線が延びる方向にそれぞれ隣接する画素に対して互いに異なる極性の電圧を印加するドット反転駆動を行うように構成されている。また、ソース駆動回路13は、ソース線が延びる方向に隣接する画素に対して、同一の極性の電圧を印加し、ゲート線が延びる方向に隣接する画素に対して、互いに異なる極性の電圧を印加するカラム反転駆動を行うように構成されてもよい。また、ソース駆動回路13は、全画素に対して同一の極性の電圧を印加してもよい。なお、本開示では、「書き込み」とは、表示中の画像を異なる画像に書き換えることのみならず、表示中の画像と同一の画像を再び画素電極15に書き込むことを含む概念である。
【0016】
図1に示すように、制御回路20は、フレームメモリ21と、メモリコントローラ部22と、動き検出部23と、タイミング生成部24と、を含む。制御回路20は、例えば、集積回路により構成されている。
図1では、制御回路20を機能ブロックとして図示しているが、制御回路20内の各機能が別個のハードウェア(回路)として構成されていてもよい。あるいは、制御回路20がプロセッサを含み、プログラムを実行することによって、メモリコントローラ部22、動き検出部23、及びタイミング生成部24の機能を提供する構成であってもよい。
【0017】
フレームメモリ21は、少なくとも1フレームの全体の各画素の画像信号(R、G、及びBの各々の画素値(階調))が記憶されるメモリである。メモリコントローラ部22は、フレームメモリ21に対して、画像信号を書き込む処理及び読み出す処理を行う。詳細には、メモリコントローラ部22は、ホストから画像信号を受信し、当該画像信号をフレームメモリ21に記憶させる。そして、メモリコントローラ部22は、タイミング生成部24の指令に応じて、フレームメモリ21から画像信号を読み出して、ソース駆動回路13に当該画像信号を供給する。
【0018】
動き検出部23は、ホストから画像信号を受信する。そして、動き検出部23は、現在入力中の画像信号と、直前に入力された画像信号(フレームメモリ21に記憶された画像信号)とを比較し、現在入力中の画像信号と直前に入力された画像信号との間の変化(動き)の有無を検出する。すなわち、動き検出部23は、現在入力中の画像信号と、直前に入力された画像信号とが同一の画像か否かを判定する。例えば、動き検出部23は、現在入力中の画像信号における画素値(階調)が、直前に入力された画像信号における画素値(階調)と異なる場合、現在入力中の画像信号と直前に入力された画像信号とが同一の画像でないと判断する。すなわち、全画素のうちのいずれか1つの画素の画素値(階調)が変化した場合、動き検出部23は、画像信号が変化したもの(動きがあったもの)と判断する。そして、動き検出部23は、画像信号の変化の周期を検出する。
【0019】
ホストは、所定の条件を満たす場合に、60Hzで画像信号が変化する状態(60Hzのフレーム周波数)から、1Hzで画像信号が変化する状態(1Hzのフレーム周波数)に切り替える。上記の「所定の条件」とは、例えば、図示しない操作部(操作ボタン、キーボード、マウスなど)に対して所定の期間継続して入力操作が行われない場合である。この場合、ホストは、画像信号の変化の周期をTf1からTf2に変更する。本実施形態では、60Hzで画像信号が変化する状態を「高周波モード」と呼び、1Hzで画像信号が変化する状態を「低周波モード」と呼ぶ。
【0020】
そして、動き検出部23は、ホストから取得した画像信号の変化の周期がTf1からTf2に変更されたことを検出する。すなわち、動き検出部23は、ホストの制御モードが、高周波モードから低周波モードに変更されたことを検出する。
【0021】
タイミング生成部24は、ホストから画像信号を受信する。タイミング生成部24は、画像信号に基づいて、ゲート駆動回路12及びソース駆動回路13の各々に供給する制御信号(垂直同期信号に同期したゲートスタートパルス信号、クロック信号、及び水平同期信号など)を生成する。そして、タイミング生成部24は、ゲート駆動回路12にゲートスタートパルス信号を含む制御信号を送信し、ソース駆動回路13に制御信号を送信する。例えば、タイミング生成部24は、画像信号の変化の周期がTf1の場合、Tf1の周期で、ゲート駆動回路12及びソース駆動回路13により画素電極15に充電させる(画像を書き込む)。この際、メモリコントローラ部22は、フレームメモリ21から画像信号を読み出してソース駆動回路13に画像信号を供給する。また、
図4に示すように、タイミング生成部24は、動き検出部23によって検出された画像信号の変化の周期に基づいて、ゲート駆動回路12及びソース駆動回路13を制御して、フレーム期間Tfの長さを変更する。
【0022】
ここで、本実施形態では、
図4に示すように、タイミング生成部24は、高周波モードでは、1フレーム期間内に1回、ゲート駆動回路12及びソース駆動回路13に画像の書き込みを実行させる。すなわち、1フレーム期間内に1回、液晶ディスプレイ11の画素電極が充電される。また、タイミング生成部24は、低周波モードにおいて、1フレーム期間内に3回(奇数)の回数、ゲート駆動回路12及びソース駆動回路13に同一の画像の書き込みを実行させる。すなわち、タイミング生成部24は、1フレーム期間内に複数回、同一の画像信号に基づいてゲート駆動回路12及びソース駆動回路13に画素電極15を充電させる。例えば、
図4に示す例では、タイミング生成部24は、1フレーム期間(1つのTf2)内に3回、ゲート駆動回路12及びソース駆動回路13に同一の画像の書き込みを実行させる。なお、
図4に示すように、3回の充電は、電圧の極性を反転(「+」、「-」、及び「+」)させながら実行される。そして、次のフレームでは、直前に充電された電圧の極性(例えば、「+」)とは異なる極性(例えば、「-」)から充電が開始される(例えば、「-」、「+」、及び「-」の順に実行される)。なお、「同一の画像信号」とは、全画素の画素値が同一であることを意味する。
【0023】
これにより、画像信号の変化の周期がTf1の状態からTf1よりも長いTf2の状態に移行した場合でも、一周期内(1フレーム期間内)に複数回、同一の画像信号に基づいて画素電極15が充電されるので、充電が1回のみの場合に比べて、画素電極15が充電される期間が長くなる。このため、輝度の低下を防止することができ、輝度の変化を低減することができる。
【0024】
図5は、第1比較例による表示装置の動作例を説明するための図である。
図5に示すように、第1比較例では、低周波モードにおいて、1フレーム期間内に偶数の回数(例えば、2回)、画素電極を充電させる。この場合、充電後の画素電極の極性が、いずれの周期(フレーム)においても、同一の極性(
図5の例では「-」)となる。
図5の例では、画素電極は、正極性に帯電している期間よりも、負極性に帯電した期間が長くなる。これにより、共通電極の電位が変化(ドリフト)し、画素に画像の残像が残る焼き付き現象が生じる場合がある。そこで、本実施形態の構成によれば、
図4に示すように、1フレーム期間内に奇数の回数(例えば、3回)、画素電極15が充電されるので、周期(フレーム)ごとに、画素電極15に帯電する電荷の極性が反転し、正極性に帯電している期間と負極性に帯電した期間とが同じ長さになる。これにより、焼き付き現象を防止しながら、輝度の変化を低減することができる。
【0025】
また、画像信号の変化の周期が、0.1秒以上の場合には、変化の周期が長い程、人はちらつきを感じにくくなることが知られている。そこで、上記の構成によれば、タイミング生成部24は、
図4に示すように、1フレーム期間のうちの前半にまとめて充電(画像の書き込み)を行い、後半には充電を実行しない。これにより、等時間間隔で3回充電が行われる場合(3Hzと充電するタイミングが等しくなる状態)に比べて、変化の周期が短くなるのを防止することができる。これにより、画像を視認するユーザに対して、画像のちらつきを感じにくくさせることができる。
【0026】
[本実施形態による実施例の輝度変化率の測定結果]
次に、
図6を参照して、本実施形態の各実施例及び第2比較例における輝度変化率の測定結果について説明する。
【0027】
図6は、画像信号の変化の周期が16.6ms(周波数が60Hz)である状態から、画像信号の変化の周期が1秒(周波数が1Hz)に変化した際に、一周期内(1フレーム期間内)に実行される書き込み回数に対する、輝度変化率を測定した結果を示す図である。「輝度変化率」とは、画像信号の変化の周期が16.6ms(周波数が60Hz)である状態における輝度(「L60」とする)から、画像信号の変化の周期が1秒(周波数が1Hz)である状態における輝度(「L1」とする)を差分し、当該差分した値(L60-L1)を、画像信号の変化の周期が16.6ms(周波数が60Hz)である状態における輝度を除算したもの((L60-L1)/L60)である。また、
図6は、書き込み回数と消費電力の大きさとの関係も示している。なお、1フレーム内には、同一の画像が書き込まれる。
【0028】
図6に示すように、一周期内に実行される書き込み回数が1回である第2比較例と、一周期内に実行される書き込み回数が3回、5回、7回、9回、15回、及び19回の各々の実施例とにおいて、輝度変化率を求めた。その結果、比較例の輝度変化率は、1.7%であった。書き込み回数が3回、5回、7回、9回、15回、及び19回の各々の実施例の輝度変化率は、いずれも0.2%であった。すなわち、実施例によれば、輝度変化率が低減されることが判明した。
【0029】
また、一周期内に実行される書き込み回数が1回である第2比較例と、一周期内に実行される書き込み回数が2回、3回、5回、10回、及び20回の各々の実施例とにおいて、消費電力を測定した。
図6に示すように、消費電力は、書き込み回数と一次関数の関係を有し、書き込み回数が多くなる程、消費電力が大きくなることが判明した。そして、輝度変化率が0.2%に低減される実施例のうち、消費電力が最も低い書き込み回数は、3回であることが判明し、次に低い書き込み回数は5回であることが判明した。
【0030】
[変形例]
以上、発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。以下、上述した実施の形態の変形例について説明する。
【0031】
(1)上記実施形態では、ホストコントローラが、低周波モードと高周波モードとを切り替える例を示したが、本開示はこれに限られない。表示装置100の制御回路20が低周波モードと高周波モードとを切り替える制御を実行してもよい。
【0032】
(2)上記実施形態では、表示パネルに液晶ディスプレイを設ける例を示したが、本開示はこれに限らない。例えば、表示パネルに有機ELディスプレイを設けてもよい。
【0033】
(3)上記実施形態では、ソース駆動回路から出力されるソース信号の極性を、充電を実行するごとに反転させる例を示したが、本開示はこれに限らない。例えば、ソース信号の極性を、複数回充電するごとに反転させてもよいし、極性を反転させなくてもよい。ここで、極性を反転させない場合には、低周波モードにおいて、一周期内(1フレーム期間内)に画素電極が充電される回数は、偶数回であってもよい。すなわち、極性の反転を行わない場合には、充電が偶数回であっても極性の偏りは発生せず、焼き付き現象は生じないからである。
【0034】
(4)上記実施形態では、一周期内の前半に複数回の書き込みを実行する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、一周期内の後半に複数回の書き込みを実行してもよいし、フリッカの影響を考慮する必要がなければ、一周期内で分散して複数回書き込みを実行してもよい。
【0035】
(5)上記実施形態の実施例では、書き込み回数を、2回、3回、5回、7回、9回、10回、15回、19回、及び20回のいずれかとする例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、書き込み回数を、1よりも大きい2回、3回、5回、7回、9回、10回、15回、19回、及び20回以外の数であってもよい。
【0036】
(6)上記実施形態では、画像信号の変化の周期を検出する動き検出部23を、表示装置100内に設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、表示装置の外部(例えば、ホスト)に動き検出部の機能を設けてもよい。この場合、ホストを、表示装置に、フレームの期間の長さ(フレームレート)を示す信号、又は、フレームの期間の長さが変更されたことを示す信号が送信するように構成してもよい。そして、表示装置を、上記信号を受信して、画像信号が変化する周期が、第1の周期から前記第1の周期よりも長い第2の周期になったと判断するように構成してもよい。
【0037】
(7)上記実施形態では、高周波モードのフレーム周波数を60Hz、低周波モードにおけるフレーム周波数を1Hzとしているが、この例に限られない。例えば、高周波モードにおけるフレーム周波数は、例えば、60Hz以外であってもよく、30Hz、120Hzであってもよい。また、低周波モードにおけるフレーム周波数は、高周波モードにおけるフレーム周波数よりも低い周波数であればよく、1Hz以外の周波数であってもよい。
【0038】
上述した構成は、以下のように説明することもできる。
【0039】
第1の構成に係る表示装置は、画素電極と、画像信号に基づいて、前記画素電極を充電させる駆動回路と、前記駆動回路により前記画素電極を充電させるタイミングを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像信号が変化する周期が、第1の周期から前記第1の周期よりも長い第2の周期になった場合、前記画像信号の変化の一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる(第1の構成)。
【0040】
上記第1の構成によれば、画像信号の変化の周期が短い状態から長い状態に移行した場合でも、一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて画素電極が充電されるので、充電が1回のみの場合に比べて、画素電極が充電される期間が長くなる。このため、輝度の低下を防止することができ、輝度の変化を低減することができる。
【0041】
第1の構成において、前記駆動回路は、前記画素電極へ出力する電圧の極性を充電させるごとに反転させるように構成されてもよい。前記制御部は、前記画像信号の変化の周期が前記第1の周期から前記第2の周期になった場合、前記一周期内に、3以上の奇数の回数、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させるように構成されてもよい(第2の構成)。
【0042】
ここで、画素電極へ出力する電圧の極性を充電させるごとに反転させる場合、一周期内に偶数の回数、画素電極を充電させると、充電後の画素電極の極性が、複数の周期において、いずれの周期においても、同一の極性となる。例えば、一周期内で、正極性の電圧を印加した後に、負極性の電圧を印加すると、画素電極が負極性に帯電した状態の期間の長さが、画素電極が正極性に帯電した状態の期間の長さよりも長くなる。この場合、画素に画像の残像が残る焼き付き現象が生じる場合がある。そこで、上記第2の構成によれば、一周期内に3以上の奇数の回数、同一の画像信号に基づいて画素電極が充電されるので、周期ごとに、画素電極に帯電する電荷の極性が反転する。これにより、画素電極が負極性に帯電した状態の期間の長さが、画素電極が正極性に帯電した状態の期間の長さに等しくなるので、焼き付き現象を防止しながら、輝度の変化を低減することができる。
【0043】
第2の構成において、前記第2の周期の長さは、0.1秒以上であってもよい。前記制御部は、前記画像信号の変化の周期が前記第1の周期から前記第2の周期になった場合、前記一周期のうちの前半に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させるように構成されてもよい(第3の構成)。
【0044】
また、画像信号の変化の周期が、0.1秒以上の場合には、変化の周期が長い程、人はちらつきを感じにくくなることが知られている。そこで、上記第3の構成によれば、第2の周期のうちの前半にまとめて充電(画像の書き込み)を行うので、分散して複数回充電が行われる場合に比べて、変化の周期が短くなるのを防止することができる。これにより、画像を視認するユーザに対して、画像のちらつきを感じにくくさせることができる。
【0045】
第2または第3の構成において、前記制御部は、前記画像信号の変化の周期が前記第1の周期から前記第2の周期になった場合、前記一周期内に3回又は5回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させるように構成されてもよい(第4の構成)。
【0046】
上記第4の構成によれば、充電の回数が増加し過ぎないので、消費電力の増大を抑制しながら、輝度の変化を低減することができる。
【0047】
第1~第4の構成のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記画像信号の変化の周期が1秒以上の場合に、前記一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させるように構成されてもよい(第5の構成)。
【0048】
ここで、通常の画像信号の変化の周期(例えば、16.6ms、60Hz)から、画像信号の変化の周期が変更される場合、周期が1秒(1Hz)以上であると、輝度の変化が大きくなる。これに対して、上記第5の構成によれば、画像信号の変化の周期が1秒に変更された場合に、輝度の変化を低減することができる。この結果、ユーザに輝度の変化が認識されるのを防止することができる。
【0049】
第6の構成に係る表示装置の制御方法は、画素電極と、前記画素電極を充電させる駆動回路と、を備えた表示装置の制御方法であって、画像信号を取得し、前記画像信号が変化する周期が、第1の周期から前記第1の周期よりも長い第2の周期になった場合、前記画像信号の変化の一周期内に複数回、同一の画像信号に基づいて前記画素電極を前記駆動回路により充電させる(第6の構成)。
【0050】
上記第6の構成によれば、画像信号の変化の周期が短い期間から画像信号の変化の周期が長い期間に移行した場合でも、輝度の変化を低減することが可能な表示装置の制御方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0051】
10…表示パネル、12…ゲート駆動回路、13…ソース駆動回路、20…制御回路、21…フレームメモリ、22…メモリコントローラ部、23…動き検出部、24…タイミング生成部、100・・・表示装置