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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155397
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】空気質センサ装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/89 20180101AFI20241024BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20241024BHJP
   F24F 11/88 20180101ALI20241024BHJP
   F24F 11/33 20180101ALI20241024BHJP
   F24F 110/70 20180101ALN20241024BHJP
   F24F 110/65 20180101ALN20241024BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20241024BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20241024BHJP
   F24F 110/64 20180101ALN20241024BHJP
【FI】
F24F11/89
F24F7/007 B
F24F11/88
F24F11/33
F24F110:70
F24F110:65
F24F110:10
F24F110:20
F24F110:64
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070074
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】河合 均
(72)【発明者】
【氏名】島 康晃
(72)【発明者】
【氏名】東条 匠
(72)【発明者】
【氏名】服部 慎也
(72)【発明者】
【氏名】神谷 和輝
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L260AA01
3L260AB15
3L260BA09
3L260BA12
3L260CA17
3L260FC01
3L260HA01
3L260HA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は居住空間の空気質を高い精度で検知可能な空気質センサ装置の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の空気質センサ装置1は、内部空間12を有する筐体10と、内部空間12と筐体10を固定する壁の内部である壁内空間とを連通する孔部23と、内部空間12に設けられ周囲の空気質を検知する空気質センサ60と、内部空間12を空気質センサ60を含む第一領域72と孔部23を含む第二領域74とに、通風不能に区画する隔壁70と、筐体外の空気を空気質センサ60に導く通気口48と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する筐体と、
前記内部空間と前記筐体を固定する壁の内部である壁内空間とを連通する孔部と、
前記内部空間に設けられ周囲の空気質を検知する空気質センサと、
前記内部空間を、前記空気質センサを含む第一領域と前記孔部を含む第二領域とに、前記第一領域と前記第二領域との間で通風不能に区画する隔壁と、
前記筐体外の空気を前記空気質センサに導く通気口と、を備えた空気質センサ装置。
【請求項2】
前記筐体は、
前記内部空間を背面側の空間である背面空間と正面側の空間である正面空間とに仕切るセパレータと、
前記空気質センサを有するメイン基板と、
前記メイン基板に電力を供給するための電源回路を有する電源基板と、を備え、
前記メイン基板は、前記正面空間に位置し、
前記電源基板は、前記背面空間に位置する請求項1に記載の空気質センサ装置。
【請求項3】
前記孔部は、
前記壁内空間に位置する電源線を前記電源基板に接続するための接続用孔部である請求項1または2に記載の空気質センサ装置。
【請求項4】
前記孔部は、
前記筐体の前記背面及び壁面を貫通して前記壁に前記筐体を固定する固定具を挿入するための固定具用孔部である請求項1に記載の空気質センサ装置。
【請求項5】
前記筐体は、
前記壁内空間に突出する前記背面を有する請求項2に記載の空気質センサ装置。
【請求項6】
前記筐体は、
前記筐体の前記正面空間を構成するカバーと、
前記筐体の前記背面空間を構成するケースと、を備えて形成され、
前記メイン基板は、
前記カバーに固定される請求項2に記載の空気質センサ装置。
【請求項7】
前記孔部は、
前記孔部を介して前記内部空間に空気が流入することを抑制する流入抑制部材を備えた請求項1に記載の空気質センサ装置。
【請求項8】
前記流入抑制部材は、
弾性部材である請求項7に記載の空気質センサ装置。
【請求項9】
前記通気口は、
前記壁面に設置された前記筐体における鉛直方向に沿った側面に設けられる貫通孔であり、
前記貫通孔の下端または上端に位置する前記貫通孔の内面の少なくとも一方は、
前記内部空間から前記筐体の外部に向かって下り傾斜を有する請求項1に記載の空気質センサ装置。
【請求項10】
前記隔壁は、
前記筐体の内面に立設する板状部であり、
前記板状部は、
前記立設方向における先端が前記内面と対向する前記筐体の一面または前記メイン基板の少なくとも一方に当接する請求項2に記載の空気質センサ装置。
【請求項11】
前記隔壁は、
箱状部材であり、
前記第一領域は、
前記カバーの内面と前記箱状部材とで囲まれて形成される請求項6に記載の空気質センサ装置。
【請求項12】
前記空気質センサは、
温度、湿度、埃、微粒子、ガス、二酸化炭素のうち少なくとも1つを検知する請求項1に記載の空気質センサ装置。
【請求項13】
換気装置に前記空気質センサにより検知された情報を送信する請求項1に記載の空気質センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気質センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
居住空間において快適な環境を維持する手段の1つとして、空気質センサの検知結果に基づいて運転モードを制御する換気装置が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、一般的な換気装置の本体は、換気効率向上のために天井付近に設置されるのが好ましく、それに対し空気質センサは居住者の周囲の空気質を検知するのが好ましい。これに加えて、居住空間内において、空気質センサの通信線や電源線等の配線を行うと、居住者の転倒や断線等のリスクが生じる。以上の2点から、空気質センサは、本体とは異なる居住者の目線の高さ付近に設置され、空気質センサに必要な配線は、壁内空間にて行われる場合がある(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-143580号公報
【特許文献2】特開2022-98445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら空気質センサを壁面に設置する場合において、給気量よりも排気量が多くなる換気を行うと居住空間が負圧となり、壁内空間の空気が空気質センサを介して居住空間に向かって流れ込む。そのため空気質センサは、壁内空間の空気質の影響を受け、本来検知すべき居住空間の空気質に対する検知精度が悪化してしまう。結果として換気装置の制御に影響を及ぼし、居住空間の快適性を損ねるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明における空気質センサ装置は、内部空間を有する筐体と、内部空間と筐体を固定する壁の内部である壁内空間とを連通する孔部と、内部空間に設けられ周囲の空気質を検知する空気質センサと、内部空間を空気質センサを含む第一領域と孔部を含む第二領域とに、第一領域と第二領域との間で通風不能に区画する隔壁と、筐体外の空気を空気質センサに導く通気口と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、居住空間が負圧化した場合であっても居住空間の空気質を高い精度で検知可能な空気質センサ装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、空気質センサ装置を備える住宅の模式図である。
図2図2は、壁に設置された空気質センサ装置の斜視図及び側断面図である。
図3図3は、筐体の内部構造を示す斜視図である。
図4図4は、背面側から見たカバーの構成を示す平面図である。
図5図5は、筐体の断面斜視図である。
図6図6は、壁に設置された筐体の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお以下の実施の形態は、本発明に係る空気質センサ装置の一例を示すものである。実施の形態内で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の位置関係等は一例であり、請求の範囲を限定する趣旨ではない。また垂直及び平行などの要素間の関係性を示す用語は、厳格な意味のみを示すものではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する。また各図は必ずしも厳密に図示したものではない。各図において実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。なお説明の便宜上、各図面にX軸、Y軸、Z軸を記載している。X軸及びY軸は水平面上で互いに直交する軸である。Z軸は水平面に対して垂直な軸すなわち鉛直方向の軸である。Z軸において、矢印により示される正の向きは鉛直上方向を表し、正の向きとは逆の負の向きは鉛直下方向を表す。
(実施の形態)
まず本発明の実施の形態に係る空気質センサ装置1を備える換気システム200の概要について説明する。図1は、換気システム200を備える住宅2の模式図である。
【0010】
住宅2は、居住者の生活空間である居住空間4を有し、換気システム200により空気質の快適性を維持する。
【0011】
居住空間4は、壁8に囲まれた空間であり、居住者がプライベートな生活を営む空間である。
【0012】
壁8は、内壁3と、外壁7と、壁内空間5と、を備える。
【0013】
内壁3は、空気質センサ装置1、より厳密には空気質センサ装置1を構成する筐体10を固定するための壁面であり居住空間4に面している。内壁3には石膏ボードや木材等が利用される。
【0014】
外壁7は、内壁3と対向する壁面であり、居住空間4から見て内壁3の外側に位置する。外壁7にはモルタル外壁などが利用されるが、壁8が2つの居住空間を仕切る場合には内壁3と同様に石膏ボードや木材等が利用される。
【0015】
壁内空間5は、内壁3と外壁7との間に形成される空間である。一般的に、壁内空間5には断熱材が充填される。
【0016】
換気システム200は、空気質センサ装置1と、空気質センサ装置1と連動する換気装置90とから構成され、空気質センサ装置1が検知した空気質に基づいて換気装置90の運転を制御し居住空間4の換気を行う。
【0017】
空気質センサ装置1は、居住空間4の空気質を検知し、検知結果を換気装置90に送信する送信部92を備える。空気質センサ装置1は、居住者の周囲の空気質を検知するために、居住者の目線の高さ付近に設置されるのが好ましい。
【0018】
換気装置90は、屋内の空気を屋外に排気する所謂換気扇であり、例えばパイプ用ファンや給排気機能を備えた熱交換型換気扇等である。換気装置90は、空気質センサ装置1から検知結果を受信するための受信部94を備える。換気装置90は、空気質センサ装置1の検知結果に基づいて運転モード、例えば送風機の回転数等を制御する。なお本実施の形態では、居住者の転倒や断線等のリスクを考慮し、空気質センサ装置1の送信部92と換気装置90の受信部94との通信手段として無線通信を採用しているが、通信線を用いた有線通信であっても問題ない。
【0019】
以上が図1を用いた換気システム200の説明である。
【0020】
次に図2を用いて空気質センサ装置1の構成について説明する。図2(A)は、壁8に設置された空気質センサ装置1の斜視図である。また図2(B)は、図2(A)のM―M’破線における空気質センサ装置1の側断面図である。
【0021】
空気質センサ装置1は、筐体10を備える。
【0022】
筐体10は、6つの面に囲まれた内部空間12を有しており、正面101と、背面103と、2つの側面105と、上面107と、下面109と、を備える。
【0023】
正面101は、内壁3に設置された筐体10における鉛直方向に沿った面であり、居住空間4に位置する、内壁3に対して平行な面である。
【0024】
背面103は、内壁3に設置された筐体10の面のうち内壁3の居住空間4側の壁面と同一平面上に位置する面及び壁内空間5に突出する面である。
【0025】
側面105は、内壁3に設置された筐体10における鉛直方向に沿った面であり、正面101から背面103側に起立した、正面101に対して垂直な面である。
【0026】
上面107は、正面101及び側面105に対して垂直な面であり、内壁3に設置された筐体10の鉛直上方、本実施の形態では上端に位置する面である。
【0027】
下面109は、正面101及び側面105に対して垂直な面であり、内壁3に設置された筐体10の鉛直下方、本実施の形態では下端に位置する面である。また下面109は上面107と対向する面である。
【0028】
筐体10は、さらにセパレータ80を備える。
【0029】
セパレータ80は、内部空間12を背面側の空間である背面空間82と正面側の空間である正面空間84とに仕切る板状部材である。セパレータ80は開口86を備える。
【0030】
開口86は、背面空間82と正面空間84とを連通する矩形状の貫通孔であり、背面空間82と正面空間84との間で配線を導く。
【0031】
以上が図2を用いた筐体10の構成についての説明である。
【0032】
続いて、図3を用いて、筐体10のより詳細な構成について説明する。図3(A)は、筐体10の内部構成を示した斜視図である。また図3(B)は、電源基板28をケース20に挿入した状態における接続用孔部24の拡大模式図である。
【0033】
筐体10は、ケース20と、電源基板28と、カバー40と、メイン基板42と、を備えて形成される。
【0034】
ケース20は、筐体10の背面空間82を形成し、正面側が中央部で開口し当該開口から周囲に後述の鍔部21を有する凹形状の箱型である。また当該開口はセパレータ80で塞がれることにより、中央部においてケース20とセパレータ80とで囲まれた空間すなわち背面空間82を形成している。ケース20は、鍔部21と、孔部23と、を備える。
【0035】
鍔部21は、ケース20の開口26からケース20の外周方向に突出する所謂フランジ
部である。鍔部21の内周は、セパレータ80の外周と当接している。
【0036】
孔部23は、筐体10の背面103に設けられた孔であり、内部空間12と壁内空間5とを接続する。つまり、孔部23は、内部空間12と筐体10を固定する内壁3の内部である壁内空間5とを連通する。孔部23は、固定具用孔部22と、接続用孔部24とに分別され、それぞれ流入抑制部材30、を備える。
【0037】
固定具用孔部22は、筐体10の背面103及び壁面を貫通して内壁3に筐体10を固定する固定具を挿入するための孔である。ここで壁面とは、筐体10が固定される内壁3の居住空間4側の面を意味し、固定具とは例えばネジを指す。固定具用孔部22は、鍔部21に設けられる楕円状の貫通孔であり、鍔部21の上端付近に2つと下端付近に2つとで合計4つ設けられる。なお、例えば孔部23に挿入される固定具が内壁3を貫通することなく筐体10を壁に固定するものであれば、内部空間12と壁内空間5とは連通しないため、本願に定義する孔部23に該当しない。
【0038】
接続用孔部24は、壁内空間5に位置する電源線を電源基板28に接続するために設けられ、壁内空間5に突出した背面103を貫通する矩形状の孔である。また、接続用孔部24は、空気質センサ装置1と換気装置90との通信を、通信線を用いて行う有線接続の場合に、通信線を電源基板28に接続するための孔であってもよい。
【0039】
流入抑制部材30は、孔部23を介して内部空間12に空気が流入することを抑制する例えばパッキン等の弾性部材である。なお、弾性部材とは、空気の流入を抑制できる部材であればよく、塗布時に弾性を有することで微孔を塞ぎ塗布後に硬化するシリコーンや、パッキン以外のシール材等であってもよい。流入抑制部材30は、固定具孔用部材32と、接続孔用部材34と、に分別される。
【0040】
固定具孔用部材32は、矩形状のパッキンであり、鍔部21の正面側の面において固定具用孔部22を塞ぐように設けられる。なお図3では説明の便宜上、4つある固定具用孔部22のうち1つのみに固定具孔用部材32を図示しているが、実際には4つの固定具用孔部22すべてに設けられる。
【0041】
接続孔用部材34は、接続用孔部24の開口形状に合わせてくり抜かれた孔を有する外形が矩形状のパッキンであり、接続用孔部24の開口に沿って貼付される。
【0042】
電源基板28は、メイン基板42に電力を供給するための電源回路を有する所謂プリント基板であり、背面空間82に位置する。電源基板28は、電源端子29を有する。
【0043】
電源端子29は、壁内空間5に位置する電源線を接続する電源供給用の端子である。電源端子29は、図3(B)に示すように接続用孔部24に差し込まれ、接続孔用部材34として設けられているパッキンを押し潰した状態で固定される。
【0044】
次に、これまで説明してきた図3(A)に加えて図4を用いてカバー40及びメイン基板42の構成について説明する。図4は、背面側から見たカバー40の平面図である。つまり図3(A)における矢印Jが指し示す方向から見たカバー40の平面図である。
【0045】
カバー40は、筐体10の正面空間84を構成する箱型であり、ケース20に対して着脱可能に係合する。カバー40は、ケース20と係合した状態においてカバー40と鍔部21とセパレータ80とで囲まれる空間すなわち正面空間84を形成する。カバー40は、通気口48を備える。
【0046】
通気口48は、筐体10の空気、すなわち居住空間4の空気を後述の空気質センサ60に導く貫通孔であり、カバー40の一面に設けられる。通気口48は、側面通気口46と、下面通気口47と、を備える。
【0047】
側面通気口46は、壁面に設置された筐体10における鉛直方向に沿った側面105に設けられる貫通孔である。側面通気口46は、一辺が数mmから十数mm程度の矩形状の貫通孔であり、側面105に、鉛直方向に沿って複数個(本実施の形態では10個)並べて設けられる。側面通気口46は、上端内面112と、下端内面113と、を備える。
【0048】
上端内面112は、側面通気口46すなわち貫通孔の上端に位置する貫通孔の内面である。
【0049】
下端内面113は、側面通気口46すなわち貫通孔の下端に位置する貫通孔の内面である。
【0050】
上端内面112と下端内面113との少なくとも一方は、内部空間12から筐体10の外部に向かって下り傾斜を有している。
【0051】
下面通気口47は、下面109に設けられる貫通孔である。下面通気口47は、一辺が数mmから十数mm程度の矩形状の貫通孔であり、下面109の長手方向に沿って複数個(本実施の形態では14個)並べて設けられる。
【0052】
メイン基板42は、正面空間84に位置し、マイコンや発光ダイオード、空気質センサ60等の電子部品を固定する所謂プリント基板であり、ネジ締結によってカバー40に固定されている。メイン基板42は、空気質センサ60を有する。
【0053】
空気質センサ60は、筐体10の内部空間12に設けられ周囲の空気質を検知する。ここで空気質とは、温湿度、空気中に含まれるガス成分量又は微粒子の浮遊量等によって決定される、空気の質を示す指標である。すなわち空気質の状態によって居住者が感じる快適性が左右される。空気質センサ60は、空気質の検知結果を電気信号として出力し、空気質センサ装置1に備えられた送信部92を介して換気装置90に検知結果を送信する。空気質センサ60は、CO2センサ62と、ガスセンサ64と、を備える。
【0054】
CO2センサ62は、周囲のCO2、すなわち二酸化炭素濃度を検知するセンサでありメイン基板42に固定される。CO2センサ62は、後述する箱状部材44と、正面101と、側面105と、下面109と、で囲まれる位置に配置される。
【0055】
ガスセンサ64は、周囲のガス例えば硫黄やメタン等の成分量を検知するセンサであり、メイン基板42に固定される。ガスセンサ64は、後述する板状部50と、鍔部21と、セパレータ80と、正面101と、側面105と、上面107と、で囲まれる位置に配置される。
【0056】
図3及び図4を用いての説明は以上である。
【0057】
次に図5(A)を用いて隔壁70について説明する。図5(A)は、図2のN-N’破線における筐体10の断面斜視図である。
【0058】
筐体10は、さらに隔壁70を備える。
【0059】
隔壁70は、内部空間12、さらに詳細には正面空間84を、空気質センサ60を含む
第一領域72と孔部23を含む第二領域74とに、第一領域72と第二領域74との間で通風不能に区画する。なお通風不能とは、完全に空気を遮断する状態のみを意味するのではなく、製造上の誤差などにより構成要素間の僅かな隙間を介して少量の空気が通風する状態も含めて通風不能と定義している。
【0060】
第一領域72は、空気質センサ60を含む空間であり、通気口48を介して筐体10の外部と連通している。ここで外部とは、空気質センサ60が空気質を測定すべき対象となる空間であり、具体的には居住空間4(図1に図示)を指す。第一領域72は、正面空間84内に形成される。
【0061】
第二領域74は、孔部23である固定具用孔部22を含む空間である。言い換えると第二領域74は、筐体10の内部空間12のうち第一領域72を除いた空間であり、背面空間82(図2(B)に図示)や正面空間84に形成される。
【0062】
隔壁70には、板状部50や箱状部材44が該当する。図5(A)に示す正面空間84には、板状部50により形成された第一領域72と、箱状部材44により形成された第一領域72の2つが設けられている。なお説明の便宜上、板状部50により形成された第一領域72をガスセンサ領域78、箱状部材44により形成された第一領域72をCO2センサ領域76と、それぞれ表記する。
【0063】
板状部50は、筐体10の内面に立設される。より厳密には板状部50は、ケース20の鍔部21若しくはセパレータ80の少なくとも一方、及び/又は、カバー40に立設される。本実施の形態では、板状部50は鍔部21からセパレータ80にわたって立設されており、カバー40からの立設は例示していない。板状部50がケース20の鍔部21セパレータ80の少なくとも一方に立設される場合、板状部50は、立設方向における先端が、板状部50が立設する筐体10の内面と対向する筐体10の一面、つまりカバー40の内面、又はメイン基板42の少なくとも一方に当接する。当該当接により、板状部50と鍔部21とセパレータ80とカバー40とで、ガスセンサ64を囲むガスセンサ領域78を形成し、第二領域74と通風不能となる。なおガスセンサ領域78には、メイン基板42が含まれていてもよい。
【0064】
ここから図5(A)に図5(B)を加えて、板状部50の構成について説明する。図5(B)は、板状部50の斜視図である。板状部50は、ケース板状部51と、セパレータ側板状部81と、を備える。
【0065】
ケース板状部51は、上面側板状部52と、側面側板状部54と、を備える。
【0066】
上面側板状部52は、鍔部21の正面空間84側に位置する面を起点として正面側に向かって立設される。つまり、図5(B)における-Y軸方向に立設される。上面側板状部52は、立設方向における先端が、メイン基板42に当接している。上面側板状部52は、筐体10の正面視において、I形状を有する。なおI形状は、第一領域72と第二領域74とを通風不能に区画する機能を備えた形状であればよく、必ずしもI形状である必要はない。例えば曲線形状や本図の左右に凹凸を有する波形状等であっても構わない。上面側板状部52は、上面107に対して垂直であり、上面側板状部52の鉛直方向における上端部122が上面107に、下端部124がセパレータ側板状部81に、それぞれ当接している。より厳密には、上面側板状部52の鉛直方向における下端部124は、X軸方向において後述のセパレータ側板状部81と重なるように設けられる。
【0067】
側面側板状部54は、鍔部21の正面空間84側に位置する面を起点として正面側に向かって立設される。つまり、図5(B)における-Y軸方向に立設される。側面側板状部
54は、立設方向における先端が、カバー40の内面に当接している。側面側板状部54は、筐体10の正面視において、I形状を有する。なおI形状は、第一領域72と第二領域74とを通風不能に区画する機能を備えた形状であればよく、必ずしもI形状である必要はない。例えば曲線形状や本図の上下に凹凸を有する波形状等であっても構わない。側面側板状部54は、側面105に対して垂直であり、X軸方向において、筐体10の外部側に位置する一端部126(-X軸方向における端部)が側面105に、他端部128(+X軸方向における端部)がセパレータ側板状部81に、それぞれ当接している。より厳密には、側面側板状部54の他端部128は、鉛直方向においてセパレータ側板状部81と重なるように設けられる。
【0068】
セパレータ側板状部81は、セパレータ80の正面空間84側に位置する面に立設される。つまり、図5(B)における-Y軸方向に向かって立設される。セパレータ側板状部81は、立設方向における先端が、メイン基板42に当接している。セパレータ側板状部81は、筐体10の正面視において、L形状を有する。なおL形状は、第一領域72と第二領域74とを通風不能に区画する機能を備えた形状であればよく、必ずしもL形状である必要はない。例えば、I形状や曲線(円弧)形状等であっても構わない。セパレータ側板状部81は、筐体10の正面視において、セパレータ側板状部81の上端が上面側板状部52に、セパレータ側板状部81の左端が側面側板状部54に、それぞれ当接している。言い換えると、セパレータ側板状部81に対して上面側板状部52及び側面側板状部54がそれぞれ面接触することで通風不能性を高めている。
【0069】
以上が図5(A)に図5(B)を加えての板状部50の説明である。
【0070】
次に、図5(A)に図5(C)を加えて、箱状部材44の構成について説明する。図5(C)は、箱状部材44の斜視図である。
【0071】
箱状部材44は、正面空間84に位置し、内部に空間を有する略六面体形状である。なお、略六面体形状とは、第一領域72と第二領域74とを通風不能に区画する機能を備えた形状であればよく、必ずしも六面体である必要はない。例えば一面に凹凸や開口を有する形状、ドーム状等であっても構わない。また、本実施の形態では、箱状部材44を略六面体形状として示したが、少なくとも六面体形状のうちの3つの面は、正面101の一部,側面105の一部、及び下面109の一部を共有しているが詳細は後述する。
【0072】
箱状部材44とカバー40の内面とは、CO2センサ62を囲み、CO2センサ領域76を形成している。つまりCO2センサ領域76は、カバー40の内面と箱状部材44とで囲まれて形成される。またCO2センサ領域76には、メイン基板42が含まれていてもよい。箱状部材44は、基準面55と、箱部左面56と、箱部底面57と、箱部右面58と、箱部天面59と、で構成される。
【0073】
基準面55は、矩形の板状であり、箱状部材44を筐体10に設置した状態において、CO2センサ62と、鍔部21及びセパレータ80と、の間に位置する面である。言い換えると基準面55と、鍔部21及びセパレータ80と、の間には第二領域74が位置している。
【0074】
箱部左面56は、側面105に沿った、基準面55の一辺を起点として正面側(―Y軸方向)に向かって立設される面である。箱部左面56は、側面105と同一平面上に位置しており、筐体10の外部の空気をCO2センサ62に導くための開口を有する。箱部左面56は、基準面55に対して垂直な面である。
【0075】
箱部底面57は、下面109に沿った、基準面55の一辺を起点として正面側(―Y軸
方向)に向かって立設される面である。箱部底面57は、下面109と同一平面上に位置しており、筐体10の外部の空気をCO2センサ62に導くための開口を有する。箱部底面57は、基準面55と箱部左面56とに対して垂直な面である。
【0076】
箱部右面58は、側面105と平行な、基準面55の一辺を起点として正面側に向かって立設される面である。箱部右面58は、立設方向における先端が、メイン基板42カバー40の少なくとも一方の内面に当接している。箱部右面58は、基準面55と箱部底面57とに垂直な面であり、箱部左面56と対向する面である。
【0077】
箱部天面59は、下面109と平行な、基準面55の一辺を起点として正面側に向かって立設される面である。箱部天面59は、立設方向における先端が、メイン基板42カバー40の少なくとも一方に当接している。箱部天面59は、基準面55と箱部左面56と箱部右面58とに垂直な面であり、箱部底面57に対向する面である。
【0078】
以上が図5(A)と図5(C)を用いての箱状部材44の構成についての説明である。
【0079】
以上が本発明に係る空気質センサ装置1の構造に関する説明である。
【0080】
次に図5(A)及び図6を用いて、固定具用孔部22から流入する、厳密には流入する可能性がある壁内空間5内部の空気の流れについて説明する。図6は、図2(A)の破線M-M’における筐体10の側断面図である。
【0081】
換気システム200(図1に図示)が、給気量よりも排気量が多くなる換気を行うと居住空間4が負圧となり、壁内空間5内部の空気は、正面空間84の第二領域74、居住空間4の順に通風する。
【0082】
より詳細に説明すると、壁内空間5内部の空気は、筐体10を固定するために内壁3に設けられたネジ穴9及び固定具用孔部22を介して正面空間84の第二領域74に流入しようとする。しかしながら固定具用孔部22は、流入抑制部材30としてパッキン等の弾性部材を備えるため、壁内空間5内部の空気が第二領域74に流入することを抑制可能である。
【0083】
以上のように、流入抑制部材30の存在によって、壁内空間5内部の空気の内部空間12への意図せぬ流入を抑制できる。このため、壁内空間5内部の空気による各種空気質センサ60への悪影響を抑制でき、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0084】
壁内空間5内部の空気は、その大半が流入抑制部材30によって第二領域74への流入を阻まれるが、居住空間4における排気量が極端に多い場合には居住空間4の負圧状態が強まり、壁内空間5から内部空間12に流入する空気の勢いが増す。
【0085】
この状態においては、壁内空間5内部の空気の一部が流入抑制部材30を通過して第二領域74に流入する可能性がある。
【0086】
第二領域74に流入した壁内空間5内部の空気は、第二領域74に設けられたメイン基板42や隔壁70等の構成要素との接触を繰り返しながら移動し、最終的には筐体10の側面105に設けられた側面通気口46又は下面109に設けられた下面通気口47の少なくとも一方を介して筐体10の外部すなわち居住空間4に排出される。言い換えると壁内空間5内部の空気は、第二領域74内を移動し、第一領域72に通風することなく居住空間4に排出される。これは隔壁70によって空気質センサ60を含む第一領域72と孔部23を含む第二領域74とが通風不能に区画されているためである。
【0087】
以上のように、板状部50や箱状部材44で示した隔壁70は、もし正面空間84の第二領域74に壁内空間5内部の空気が流入した場合であっても、壁内空間5内部の空気が第一領域72内に位置する空気質センサ60に及ぼす影響を抑制する。このため、空気質センサ60は、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0088】
さらに正面空間84において隔壁70は、第一領域72同士、すなわちCO2センサ領域76とガスセンサ領域78と、を通風不能に区画している。隔壁70は、この構成によって一方の空気質センサ60、例えばCO2センサ62の発熱によって高温化した空気が、他方の空気質センサ60、例えばガスセンサ64を含む第一領域72に流入し、ガスセンサ64の検知に及ぼす悪影響を抑制している。その結果、空気質センサ60は、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0089】
さらに本実施の形態では筐体10の正面視において、箱状部材44により形成されたCO2センサ領域76と固定具用孔部22とが重なる位置に配置されている。仮に、CO2センサ領域76が板状部50によって形成されている場合、固定具用孔部22から僅かに流入した壁内空間5内部の空気が、CO2センサ領域76内に位置するCO2センサ62の検知精度に悪影響を及ぼす可能性がある。それに対し本実施の形態では、CO2センサ領域76が箱状部材44により形成されている。箱状部材44は、CO2センサ領域76と固定具用孔部22との間に基準面55(図5(C)に図示)を備えるため、固定具用孔部22から流入する可能性のある壁内空間5内部の空気がCO2センサ領域76に流入することを抑制可能である。結果として、CO2センサ62、すなわち空気質センサ60は、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能である。これに加えて空気質センサ60は、筐体10の正面視において孔部23と重なる位置にも配置可能となるため、空気質センサ60の配置における自由度が高まり、メイン基板42を小型化させ、結果的に筐体10を小型化することができる。
【0090】
さらに、メイン基板42は、カバー40側に取付けられている。メイン基板42には、電子部品を配置するための孔が設けられており、この孔を空気が通過する可能性がある。カバー40側にメイン基板42を固定することで、筐体10の背面側から流れ込む空気がメイン基板42の孔を介してCO2センサ領域76に侵入することを抑制している。つまり、筐体10の背面側から順にセパレータ80、第二領域74、箱状部材44(基準面55)、第一領域72、CO2センサ62、メイン基板42の順に配置することで、背面空間82から流入した空気がメイン基板42の孔を介してCO2センサ領域76へ侵入することを抑制している。結果として、空気質センサ60は、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0091】
次に図5(A)及び図6を用いて接続用孔部24から流入する可能性がある壁内空間5内部の空気の流れについて説明する。換気システム200(図1に図示)が、給気量よりも排気量が多くなる換気を行うと居住空間4が負圧となり、壁内空間5内部の空気は、背面空間82、正面空間84の第二領域74、居住空間4の順に通風する。
【0092】
より詳細に説明すると、居住空間4が負圧になると壁内空間5内部の空気は、接続用孔部24を介して筐体10の背面空間82に流入しようとする。しかしながら接続用孔部24には、流入抑制部材30としてパッキン等の弾性部材を設けているため、壁内空間5内部の空気が背面空間82に流入することを抑制可能である。
【0093】
以上のように、流入抑制部材30の存在によって、壁内空間5内部の空気の内部空間12への意図せぬ流入を抑制できる。このため、壁内空間5内部の空気による各種空気質センサ60への悪影響を抑制でき、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0094】
上述したように、壁内空間5内部の空気は、その大半が流入抑制部材30によって背面空間82への流入を阻まれるが、空気の勢いが増した状態においては、壁内空間5内部の空気の一部が流入抑制部材30を通過して背面空間82に流入する可能性がある。
【0095】
背面空間82に流入した壁内空間5内部の空気は、さらにセパレータ80の開口86を介して正面空間84に流入する。
【0096】
ここで電源基板28は、壁内空間5に突出する背面空間82に設けられている。つまり筐体10は、壁内空間5に突出する背面103を有する。この構成によって、電源基板28が運転時に生じる発熱は、壁内空間5の冷気によって冷却される。なお冷気とは、電源基板28の発熱温度未満の温度を有する空気を指している。例えば電源基板28が50℃まで発熱するのであれば、40℃の空気であっても冷気として定義している。つまり、電源基板28が冷却されることで、正面空間84に流入する空気の高温化を抑制することが可能となる。結果として、電源基板28の発熱が空気質センサ60の検知に及ぼす悪影響を抑制でき、空気質センサ60は、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0097】
さらにセパレータ80は、空気質センサ60が設けられる正面空間84と電源基板28が設けられる背面空間82とを仕切っている。この構成によって電源基板28から発せられた熱が、正面空間84に伝搬することを抑制可能である。結果として空気質センサ60は、電源基板28の発熱による悪影響を受けにくく、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0098】
背面空間82から正面空間84に流入した空気は、固定具用孔部22から流入した空気と同様に、側面通気口46又は下面通気口47の少なくとも一方を介して居住空間4に排出される。言い換えると壁内空間5内部の空気は、第二領域74内を移動し、隔壁70によって第一領域72に通風することなく筐体10の外部に排出される。
【0099】
以上のように、板状部50及び箱状部材44で例示した隔壁70は、壁内空間5内部の空気が、第一領域72内に位置する空気質センサ60に及ぼす悪影響を抑制するため、空気質センサ60は、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0100】
さらに、空気質センサ60やコンデンサ等の電子部品は、電源基板28とメイン基板42とに分けて配置されている。これに加えて、筐体10の正面視において、電源基板28とメイン基板42との少なくとも一部が重なるように配置することで、正面視における筐体10の面積を縮小することができる。つまり、筐体10を小型化させることが可能である。
【0101】
次に、図5(A)を用いて居住空間4から第一領域72に流入する空気の流れについて説明する。居住空間4の空気は、通気口48によって第一領域72内に位置する空気質センサ60まで導かれる。居住空間4の空気は、第一領域72、より詳細には、CO2センサ領域76とガスセンサ領域78とにそれぞれ流入する。
【0102】
CO2センサ領域76に流入する居住空間4の空気は、筐体10の通気口48、より詳細には、側面通気口46又は下面通気口47の少なくとも一方によってCO2センサ62まで導かれる。通気口48を介してCO2センサ領域76に流入した居住空間4の空気は、CO2センサ62の周囲、すなわちCO2センサ62の検知範囲を通過した後、箱状部材44の内面、すなわち隔壁70に接触することで進行方向を変え、流入時と同様に筐体10の側面通気口46又は下面通気口47から居住空間4に排出される。つまり、隔壁70がCO2センサ領域76と第二領域74とを通風不能に区画していることで、CO2セ
ンサ領域76には、居住空間4の空気のみが通風する。そのため、空気質センサ60は、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0103】
さらに側面通気口46は、側面105に設けられた側面通気口46の上端に位置する上端内面112と下端に位置する下端内面113の少なくとも一方が内部空間12から筐体10の外部に向かって下り傾斜を有する(図4に図示)。また通気口48は、上面107以外の面に設けられる。これらの構成によって筐体10の外周面に水滴などの液体が付着した際に、当該下り傾斜と重力によって筐体10の外部に液体を導くことが可能となる。この構成とすることで、内部空間12にて、筐体10の外部から侵入した液体が気化し、空気質センサ60が気化した当該液体を検知するリスクを低減することができる。つまり、空気質センサ60は、本来検知すべき居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。これに加えて液体が電子部品に付着し、電子部品が故障するリスクも低減可能である。
【0104】
また、ガスセンサ領域78に流入する居住空間4の空気は、側面通気口46によってガスセンサ64まで導かれる。側面通気口46を介してガスセンサ領域78に流入した居住空間4の空気は、ガスセンサ64の周囲、すなわちガスセンサ64の検知範囲を通過した後、板状部50に接触することで進行方向を変え、流入時と同様に側面通気口46から居住空間4に排出される。つまり、隔壁70がガスセンサ領域78と第二領域74とを通風不能に区画していることで、ガスセンサ領域78には、居住空間4の空気のみが通風する。そのため、空気質センサ60は、居住空間4の空気質を高い精度で検知可能となる。
【0105】
次に図1を用いて空気質センサ装置1と換気装置90との連動制御について説明する。換気装置90の受信部94と空気質センサ装置1の送信部92とは、無線通信を用いて空気質センサ60の検知結果を送受信できる構成となっている。つまり、空気質センサ装置1は、換気装置90に、空気質センサ60により検知されたKを送信する。換気装置90は、空気質センサ60の検知結果に基づいて居住空間4が快適な環境となるように運転モードを切り替える。例えば本実施の形態に示すCO2センサ62の検知結果に基づいて制御を行う場合について説明する。CO2センサ62が、居住空間4のCO2濃度が室内の安全なCO2濃度の上限基準値とされる1000ppmを超えたことを検知した場合、空気質センサ装置1の送信部92から換気装置90の受信部94に電気信号が送られる。その後、換気装置90は、排気量若しくは給排気量を増加させるために送風機のモータの回転数を上昇させる。これにより居住空間4のCO2濃度を低下させることができ、快適な環境を提供することが可能となる。ここで、各種空気質センサ60は、上述した構成により居住空間4の空気質を高い精度で検知可能である。このため、換気システム200は、壁内空間5内部の空気の影響を受けることなく居住空間4の快適な環境を実現することができる。
(変形例)
以上本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は一例であり、実施の形態中に示した各構成要素には様々な変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあたることは当業者に理解されるところである。
【0106】
以下実施の形態における変形例について説明する。実施の形態と重複する構成、その他内容については説明を省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。なお説明には、図5(A)を用いる。
【0107】
実施の形態では空気質センサ60としてCO2センサ62及びガスセンサ64を用いる例を示したが、温度、湿度、埃、PM2.5や花粉などの微粒子、臭い、などを検知するセンサを用いてもよい。
【0108】
また実施の形態では、第一領域72にのみ空気質センサ60を設置する構成を示したが
、第一領域72に加えて、第二領域74においても空気質センサ60を設置してもよい。第二領域74に備える空気質センサ60には、花粉やPM2.5等の微粒子を検知する微粒子センサや、埃を検知する埃センサ等を用いるのが好ましい。これは筐体10の孔部23が流入抑制部材30を備えることで、壁内空間5から内部空間12に侵入する微粒子や埃が極めて少量となり、壁内空間5内部の空気が空気質センサ60の検知精度に及ぼす影響が温湿度等と比較して小さいためである。
【0109】
また実施の形態では、板状部50がケース20とセパレータ80とに分離して形成される例を示したが、板状部50は、ケース20又はセパレータ80のみに形成されてもよい。これによって構成要素間の隙間を削減できるため第一領域72と第二領域74との気密性をより向上させることができる。
【0110】
また板状部50の立設方向における先端は、板状部50が立設する内面と対向する筐体10の一面又はメイン基板42に当接するが、この当接部にパッキン等の弾性部材を設けることでも第一領域72と第二領域74との間の気密性を向上させることが可能である。
【0111】
また実施の形態では空気質センサ装置1と連動する機器として、熱交換型換気扇等の換気扇を示したが、エアコンなどの空調機と連動させてもよい。また、空気質センサ装置1は、モニタ等の映像出力装置と連動し、空気質の状況、例えばCO2濃度や温湿度等の情報をモニタに出力する構成としてもよい。
【0112】
また実施の形態では、孔部23として固定具用孔部22と接続用孔部24とを例示したが、いずれか一方を備えていれば既述の課題が存在することは言うまでもない。
【0113】
また実施の形態では空気質センサ装置1は、住宅2の居住空間4に設置される例を示したが、保育園や医療施設、介護施設等の住宅2以外の建物に設置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
一般住宅の壁面等に設けられる空気質センサ装置において広く利用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 空気質センサ装置
2 住宅
3 内壁
4 居住空間
5 壁内空間
7 外壁
8 壁
9 ネジ穴
10 筐体
12 内部空間
20 ケース
21 鍔部
22 固定具用孔部
23 孔部
24 接続用孔部
26 開口
28 電源基板
29 電源端子
30 流入抑制部材
32 固定具孔用部材
34 接続孔用部材
40 カバー
42 メイン基板
44 箱状部材
46 側面通気口
47 下面通気口
48 通気口
50 板状部
51 ケース板状部
52 上面側板状部
54 側面側板状部
55 基準面
56 箱部左面
57 箱部底面
58 箱部右面
59 箱部天面
60 空気質センサ
62 CO2センサ
64 ガスセンサ
70 隔壁
72 第一領域
74 第二領域
76 CO2センサ領域
78 ガスセンサ領域
80 セパレータ
81 セパレータ側板状部
82 背面空間
84 正面空間
86 開口
90 換気装置
92 送信部
94 受信部
101 正面
103 背面
105 側面
107 上面
109 下面
112 上端内面
113 下端内面
122 上端部
124 下端部
126 一端部
128 他端部
200 換気システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6