(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155405
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】アンテナアレイ
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/24 20060101AFI20241024BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241024BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q21/06
H01Q13/08
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070093
(22)【出願日】2023-04-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】501243317
【氏名又は名称】耀登科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】唐 慧明
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
【Fターム(参考)】
5J021AA04
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB06
5J021CA03
5J021FA32
5J021HA10
5J021JA06
5J045AA13
5J045DA10
5J045FA02
5J045HA03
5J045MA07
5J045NA03
(57)【要約】
【課題】より良いアイソレーションと軸比の低減を実現する。
【解決手段】アンテナアレイは、共通キャリアと、共通キャリア上に配置された4つのマイクロストリップアンテナとを含む。共通キャリアは、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とを有する。4つのマイクロストリップアンテナは、第1の方向及び第2の方向に沿ってマトリックス状に配置される。4つのマイクロストリップアンテナの各々は、アンテナ構造体とパワーデバイダーとを含む。アンテナ構造体は、円形状本体部と、円形状本体部に囲まれ、円形状本体部に接続しない2つの円形状給電点とを含む。パワーデバイダーは、2つの円形給電ポイントに信号を供給することができる。第2方向に沿ったアンテナ構造の任意の2つの隣接するものは、180度回転対称の関係を有し、第1方向または第2方向に沿ったパワーデバイダーの任意の2つの隣接するものは、鏡面対称の関係を有している。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の板面および第2の板面を含み、第1の方向、及び前記第1の方向と直交する第2の方向を有する、共通キャリアと、
互いに間隔をあけて前記共通キャリア上に、前記第1の方向及び前記第2の方向に沿ってマトリックス状に配置される、4つのマイクロストリップアンテナと、
を含むアンテナアレイであって、
前記マイクロストリップアンテナは、
前記第1の板面上に配置された円形状本体部と、前記第1の板面上に配置され、前記円形状本体部に接続されずに前記円形状本体部によって囲まれた2つの円形状給電点と、を備えるアンテナ構造体と、
前記第2の板面に配置され、前記アンテナ構造体に電気的に結合され、前記2つの円形状給電点の間に90度の位相差を生成するように、前記2つの円形状給電点に信号を供給するように構成される、パワーデバイダーと、
を備え、
前記第2の方向に沿った前記アンテナ構造体の任意の2つの隣接するものは、180度の回転対称関係を有し、前記第1の方向または前記第2の方向に沿ったパワーデバイダーの任意の2つの隣接するものは、鏡面対称の関係を有している、ことを特徴とするアンテナアレイ。
【請求項2】
前記マイクロストリップアンテナにおいて、前記円形状本体部は第1の中心と半径を有し、前記2つの円形状給電点のそれぞれは第2の中心を有し、前記第2の中心と前記第1の中心との最短距離は前記半径の1/2未満である、請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項3】
前記共通キャリアは、第1の層と、第2の層と、第1の層と第2の層の間にある少なくとも1つの中間層とを含み、前記第2の層から離れた前記第1の層の表面は第1の板面として定義され、前記第1の層から離れた前記第2の層の表面は第2の板面として定義され、前記マイクロストリップアンテナは前記第2の層または少なくとも1つの前記中間層に配置された接地素子を含む、請求項1に記載のアンテナアレイ。
【請求項4】
前記第1の層及び前記第2の層の各々は回路基板であり、前記少なくとも1つの中間層は空気媒体である、請求項3に記載のアンテナアレイ。
【請求項5】
前記第1の層と前記第2の層と前記少なくとも1つの中間層の各々は、回路基板である、請求項3に記載のアンテナアレイ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの中間層は2つの貫通孔を有し、前記マイクロストリップアンテナの各々は2つの導電柱を含み、2つの前記導電柱の各々の両端が前記パワーデバイダーおよび前記2つの円形状給電点の1つに電気的に結合されるように、2つの前記導電柱は2つの前記貫通孔を通る、請求項5に記載のアンテナアレイ。
【請求項7】
前記2つの円形状給電点のうちの一方の第2の円心と前記円形状本体部の第1の円心とは、第1の延長線が通るように構成され、2つの前記円形状給電点のうちの他方の前記第2の円心と前記円形状本体部の前記第1の円心とは、第2の延長線が通るように構成され、前記第1の延長線と前記第2の延長線は90度の角をなす、請求項2に記載のアンテナアレイ。
【請求項8】
前記2つの円形状給電点のそれぞれの面積は、前記円形状本体部の面積の1/4以下である、請求項2に記載のアンテナアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに関し、特にアンテナアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロストリップアンテナは、回路基板に直接印刷でき、低コストであるため、電子製品(携帯電話など)に広く使用される。従来のデュアルフィードマイクロストリップアンテナの動作を最適化するため(例えば、電子製品内の部品からの干渉を避けるため)、アイソレーションや軸比などの要素を考慮した設計が行われている。しかし、従来のデュアルフィードマイクロストリップアンテナの開発が成熟してきたため、従来のデュアルフィードマイクロストリップアンテナでは、より良いアイソレーションと軸比の低減を実現することは困難であった。
【0003】
そこで、発明者は、上記欠点を改善することができると考え、意図的に研究し、科学的原理を適用し、最終的に、合理的に設計され、上記欠点を改善するのに有効な発明を完成させるに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そ上記技術的不備に対して、本発明は、アンテナアレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、本発明が採用する技術的態様の1つは、アンテナアレイを提供することである。アンテナアレイは、共通キャリアと、4つのマイクロストリップアンテナとを含む。共通キャリアは、互いに対向する第1板面および第2板面を含む。共通キャリアは、第1の方向と、第1の方向と直交する第2の方向とを有する。4つのマイクロストリップアンテナは、互いに間隔を空けて、共通キャリア上に配置される。4つのマイクロストリップアンテナは、第1の方向及び第2の方向に沿ってマトリックス状に配置される。4つのマイクロストリップアンテナの各々は、アンテナ構造体及びパワーデバイダーを含む。アンテナ構造体は、前記第1の板面に配置された円形状本体部と、円形状本体部に接続されておらずに円形状本体部に囲まれ、円形状本体部と容量効果を生じさせるように構成されている2つの円形状給電点とを含む。パワーデバイダーは、第2の板面上に配置され、アンテナ構造に電気的に結合される。パワーデバイダーは、2つの円形状給電点に信号を供給するように構成されており、2つの円形状給電点の間に90度の位相差を発生させるように構成されている。第2方向に沿ったアンテナ構造の任意の2つの隣接するものは、180度の回転対称の関係を有し、第1方向または第2方向に沿ったパワーデバイダーの任意の2つの隣接するものは、鏡面対称の関係を有する。
【0006】
好ましい実施形態の1つでは、マイクロストリップアンテナのそれぞれにおいて、円形状本体部は第1の中心と半径を有し、2つの円形状給電点のそれぞれは第2の中心を有し、第2の中心と第1の中心間の最短距離は半径の1/2未満である。
【0007】
好ましい実施形態の1つでは、共通キャリアは、第1の層と、第2の層と、第1の層と第2の層との間にある少なくとも1つの中間層とを含む。第2の層から離れた第1の層の表面は、第1の板面として定義され、第1の層から離れた第2の層の表面は、第2の板面として定義される。4つのマイクロストリップアンテナの各々は、第2の層または少なくとも1つの中間層に配置された接地素子を含む。
【0008】
好ましい実施形態の1つでは、第1の層および第2の層の各々は回路基板であり、少なくとも1つの中間層は、空気媒体である。
【0009】
好ましい実施形態の1つでは、第1の層と第2の層と少なくとも1つの中間層との各々は、回路基板である。
【0010】
好ましい実施形態の1つでは、少なくとも1つの中間層は2つの貫通孔を有し、マイクロストリップアンテナの各々は、2つの導電柱を含む。2つの導電柱は、2つの貫通孔を通過し、2つの導電柱の各々の2つの端部が、パワーデバイダー及び円形状給電点に電気的に結合されるようにする。
【0011】
好ましい実施形態の1つにおいて、第1の延長線は、2つの円形状給電点の1つの第2の中心及び円形状本体部の第1の中心を通るように構成され、第2の延長線は、2つの円形状給電点の別の第2の中心及び円形状本体部の第1の中心を通るように構成され、第1の延長線及び第2の延長線はその間に90度の角度を有している。
【0012】
好ましい実施形態の1つにおいて、2つの円形供給点の各々の面積は、円形状本体部の面積の1/4以下である。
【0013】
したがって、本発明によって提供されるアンテナアレイでは、「第2の方向に沿ったアンテナ構造体のいずれか2つの隣接するものが180度の回転対称関係を有する」、及び「第1の方向又は第2の方向に沿ったパワーデバイダーのいずれか2つの隣接するものが鏡像関係を有する」ことによって、その構造を単純化でき、部品をレイアウトできるスペースを大幅に増大させる。
【0014】
発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るアンテナアレイの立体模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るアンテナアレイの別の立体模式図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るアンテナアレイの上面模式図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るアンテナアレイの下面模式図である。
【
図5】
図3の線V-Vに沿ってとった断面模式図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るアンテナアレイの軸比データを示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るアンテナアレイのピークゲインデータを示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係るアンテナアレイの断面模式図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係るアンテナアレイの上面模式図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態によるアンテナアレイの下面模式図である。
【
図11】本発明の第3の実施形態に係るアンテナアレイに回路が接続される様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記より、本願による「アンテナアレイ」にかかる具体的な実施例で本発明が開示する実施形態を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各細節も様々な観点又は応用に基づいて、本発明の精神逸脱しない限りに、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単で模式的に説明するためのものであり、実際的な寸法を示すものではない。以下の実施形態において、さらに本発明に係る技術事項を説明するが、公開された内容は本発明を限定するものではない。また、本明細書に用いられる「又は」という用語は、実際の状況に応じて、関連する項目中の何れか一つ又は複数の組合せを含み得る。
【0017】
本明細書を通じて、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語が様々なコンポーネントや信号を説明するために使用されることがあるが、これらのコンポーネントや信号は、これらの用語によって制限されるべきではないことは理解されたい。これらの用語は、主にあるコンポーネントと別のコンポーネント、またはある信号と別の信号を区別するために使用される。さらに、本明細書で使用される用語「または」は、関連する列挙された項目のいずれか1つまたは組み合わせを適宜含むことができる。
【0018】
さらに、以下の説明において、特定の図面または特定の図面に示されるように参照されることが示されている場合、これは、以降の説明において、説明される関連内容の大部分がその特定の図面に現れることを強調するためだけであり、以降の説明をその特定の図面への参照のみに制限するものではない。
【0019】
[第1の実施形態]
図1~
図7を参照すると、本発明の第1の実施形態は、広帯域に好適なマイクロストリップアンテナ100を提供する。
図1及び
図2に示すように、マイクロストリップアンテナ100は、絶縁性キャリア1と、円形状本体部2と、絶縁性キャリア1上に配置された2つの円形状給電点3、接地素子4、及び2つの導電柱5と、2つの円形状給電点3に電気的に結合されるパワーデバイダーと、を含む。以下の説明では、マイクロストリップアンテナ100の各構成要素の構造および接続関係を説明する。
【0020】
図1、
図2及び
図5を参照すると、本実施形態に係る絶縁性キャリア1は、多層構造のプリント配線板であり、絶縁性キャリア1は、第1の層11と、第2の層12と、第1の層11と第2の層12との間に位置する中間層13とを含む。
【0021】
実際の用途では、第1の層11および第2の層12は物理的な部品(すなわち、回路基板)であってもよく、第1の層11および第2の層12は、第1の層11および第2の層12が空気媒体としての中間層13を有するように、互いに間隔を空けて絶縁支持体(図示なし)によって支持され得る。
【0022】
図1、
図3及び
図5を参照して、本実施形態における円形状本体部2は、シート状(例えば、銅箔)である導電材である。円形状本体部2は、第1の層11の第2の層12から離れた側に配置され、円形状本体部2は、第1の中心C1及び半径Rを有する。
【0023】
さらに、円形状本体部2はまた、2つの円形状貫通孔H21を有し、第1の層11の一部は、2つの円形状貫通孔H21を形成して露出することができる。2つの円形状貫通孔H21の面積は、2つの円形状給電点3の面積よりも大きくなければならず、2つの円形状貫通孔H21をそれぞれ2つの円形状給電点3を収容するために使用できるようにする。さらに、2つの円形状給電点3は、2つの円形状貫通孔H21の中心領域にそれぞれ配置されているので、2つの円形状給電点3は、円形状本体部2に囲まれており、円形状本体部2に接続されておらず、2つの円形状給電点3は、円形状本体部2と容量効果を発揮できる。
【0024】
なお、本実施形態における2つの円形状給電点3のそれぞれも、シート状である導電材料(例えば、銅箔)であることに留意する必要がある。容量効果のアイソレーションを向上させ、容量効果の軸比を小さくすることができるようにするためには、2つの円形状給電点3と円形状本体部2との位置関係が特に重要である。具体的には、円形状給電点3の各々は第2の円心C2を有し、2つの円形状給電点3の各々の第2の円心C2と円形状本体部2の第1の円心C1との間の最短距離T1が必要であり、半径Rの1/2以下が好ましく、言い換えれば、2つの円形状給電点3の位置が円形状本体部2の中心に隣接する。
【0025】
好ましい適用において、2つの円形状給電点3の各々の面積は、2つの円形状給電点3と円形状本体部2との間の容量効果が適切であるように、円形状本体部2の面積の1/4以下であるのが好ましい。さらに、第1の延長線L1は、2つの円形状給電点3の一方の第2の円心C2と円形状本体部2の第1の円心C1とを通ることができ、第2の延長線L2は、2つの円形状給電点3の他方の第2の円心C2と円形状本体部2の第1の円心C1とを通ることができ、第1の延長線L1と第2の延長線L2とはその間に90度の角度を有する。
【0026】
図1及び
図5を参照すると、本実施形態における2つの導電柱5は円筒構造であり、2つの導電柱5は第1の層11と第2の層12との間に設置される。2つの導電柱5は、2つの円形状給電点3に位置的に対応し、2つの導電柱5の両端の一方は、第1の層11を通過して2つの円形状給電点3に電気的に結合でき、2つの導電柱5の両端の他方は、第2の層12を通過してパワーデバイダー6に電気的に結合できる。
【0027】
本実施形態における接地素子4も、シート状の導電材料(例えば、銅箔)であり、接地素子4は、第2の層12の第1の層11に面する側に配置される。接地素子4は、2つの回避孔H4を有し、2つの回避孔H4は、2つの導電ポスト5と位置的に対応し、接地素子4が2つの導電ポスト5に接続されないようになっている。さらに、接地素子4は、好ましくは、第2の層12の第1の層11に面する側を完全に覆うことができるが、本発明は、これに限定されない。
【0028】
図2、
図4、および
図5を参照すると、本実施形態におけるパワーデバイダー6は、ウィルキンソンパワーデバイダーであってもよく、ビームフォーミング集積回路(すなわち、BFIC)から信号を受信するために使用することができる。また、パワーデバイダー6は、第1の層11から離れた第2の層12の側に配置され、パワーデバイダー6は、2つの円形状給電点3の間に90度の位相差を生成するように、2つの導電柱5の両端のうちの別のものによって2つの円形状給電点3に電気的に結合され得る。したがって、マイクロストリップアンテナ100は、円偏波フィールドパターンを生成することができ、また、ビームフォーミング集積回路と協働してビーム制御を実現することができる。
【0029】
なお、
図6は、本発明の第1の実施形態によるアンテナアレイの軸比データの図であり、
図7は、本発明の第1の実施形態によるアンテナアレイのピークゲインデータの図である。軸比データから、マイクロストリップアンテナ100が10.6MHzから14MHzの範囲内にあるとき、マイクロストリップアンテナ100の軸比が3dB以下となり得ることが分かる。また、マイクロストリップアンテナ100が11.6MHzから13.6MHzの範囲にある場合、マイクロストリップアンテナ100の軸比は1.2dB未満にすることができる。さらに、ピークゲインデータから、マイクロストリップアンテナ100が10.9MHzから13MHzの範囲内にあるとき、マイクロストリップアンテナ100のピークゲインを2dBより大きくすることができることがわかる。すなわち、本発明のマイクロストリップアンテナ100は、軸比が小さいという利点だけでなく、利得値を大きくすることができるという効果も有する。
【0030】
[第2の実施形態]
図8を参照して、第2の実施形態は、マイクロストリップアンテナ100’を提供する。本実施形態は、第1の実施形態と同様であり、その類似点については、本明細書では繰り返さない。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、主に以下の通りである。
【0031】
図8に示すように、本実施形態における第1の層11、第2の層12及び中間層13の各々は回路基板であり、接地素子4は中間層13の第1の層11に面する面に配置される。また、中間層13には、2つの貫通孔H13が形成されており、2つの貫通孔H13は、2つの導電ポスト5と位置的に対応しており、2つの導電ポスト5が中間層13を貫通することができる。なお、本実施形態における導電ポスト5の各々もビアホールであってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
従って、中間膜13が(高周波)回路基板である場合、中間膜13を電源や制御回路として利用することができる。また、本実施形態のマイクロストリップアンテナ100’は、製造工程で複数の回路を積層して直接形成するので、第1の実施形態のマイクロストリップアンテナ100(特に、アレイアンテナ)よりも製造の利便性を高めることも可能である。
【0033】
さらに、本発明の別の実施形態(図示せず)において、絶縁キャリア1は、複数の中間層13と複数の接地要素4とを含み、中間層13の一部は回路基板であり、中間層13の別の一部は空気媒体であってもよいことに留意されたい。接地素子4は、回路基板である介在体13上に配置される。
【0034】
当然ながら、中間膜13は全て回路基板であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、絶縁性キャリア1およびグランド部材4の中間膜13の数量は、少なくとも1つであればよい。
【0035】
[第3の実施形態]
図9から
図11を参照すると、本発明の第3の実施形態は、アンテナアレイ1000を提供し、アンテナアレイ1000は、共通キャリアSCと、共通キャリアSCに配置された4つのマイクロストリップアンテナ100”とを含む。以下の説明では、アンテナアレイ1000の各構成要素の構造及び接続関係を説明する。
【0036】
図9及び
図10を参照すると、共通キャリアSCは、互いに対向する第1の板面S1及び第2の板面S2を含み、共通キャリアSCは、第1の方向D1及び第1の方向D1に直交する第2の方向D2を有する。本実施形態において、共通キャリアSCは、第1の実施形態又は第2の実施形態の複数の絶縁性キャリア1であることを例示できる。すなわち、本実施形態の共通キャリアSCは、第1の実施形態又は第2の実施形態の絶縁性キャリア1と同様であり、本実施形態と第1の実施形態又は第2の実施形態との類似点については、ここでは繰り返さない。
【0037】
すなわち、共通キャリアSCは、第1の層11、第2の層12、および第1の層11と第2の層12との間の中間層13も含む(
図5または
図8に示すように)。なお、第1の層11の第2の層12から離れた面を第1の板面S1とし、第2の層12の第1の層11から離れた面を第2の板面S2として定義する。
【0038】
図9及び
図10を参照すると、本実施形態のマイクロストリップアンテナ100”の各々は、第1の実施形態又は第2の実施形態のマイクロストリップアンテナ100、100’であると例示することができる。すなわち、本実施形態の4つのマイクロストリップアンテナ100”の各々は、第1の実施形態又は第2の実施形態のマイクロストリップアンテナ100,100’と同様であり、本実施形態との類似点としては、円形状本体部2、接地素子4、2つの導電ポスト5及びパワーデバイダー6(
図1に示す)が挙げられるため、本実施形態と第1の実施形態又は第2の実施形態の類似点は、ここでは繰り返さないことにする。説明の便宜上、マイクロストリップアンテナ100”の各々の円形状本体部2と2つの円形状給電点3は、さらにアンテナ構造体ASとして定義することができる。
【0039】
なお、共通キャリアSC上の4つのマイクロストリップアンテナ100”に接続される回路200の使用面積を小さくするために(
図11に示すように)、4つのマイクロストリップアンテナ100”を次のように構成することができる。
【0040】
具体的には、4つのマイクロストリップアンテナ100”は、共通キャリアSC上で互いに間隔をあけて配置されており、4つのマイクロストリップアンテナ100”は、第1の方向D1及び第2の方向D2に沿ってマトリクス状に配置されている。また、第1の板面S1において、第2の方向D2に沿ったアンテナ構造体ASのうち、隣接する任意の2つのものは、2回回転対称の関係にある。また、第2の板面S2において、第1の方向D1又は第2の方向D2に沿った分電体6のうち、いずれか2つの隣接するものは、鏡像の関係を有している。
【0041】
例えば、
図9に示すように、第1の板面S1は、第2の方向D2に平行な第1の中心線CL1を有している。また、第1の板面S1は、第1の列CO1における2つのマイクロストリップアンテナ100”の間に第1の回転点CP1を有し、第1の回転点CP1は、第1の中心線CL1(及び2つの円形状本体部2の中心の連結線)によって通過される。さらに、第1の板面S1は、第2の列CO2における2つのマイクロストリップアンテナ100”の間にも第2の回転点CP2を有し、第2の回転点CP2は、第1の中心線CL1(および2つの円形状本体部2の中心の接続線)によって通過される。第1の列RO1における2つのマイクロストリップアンテナ100”の2つの円形状給電点3がそれぞれ第1の回転点CP1及び第2の回転点CP2に対して180度回転すると、第1の列RO1における2つのマイクロストリップアンテナ100”の円形状給電点3を第2の列RO2における2つのマイクロストリップアンテナ100”の円形状給電点3に重ね合わせることが出来る。
【0042】
さらに、
図10に示すように、第2の板面S2は、第1の方向D1及び第2の方向D2に平行な2本の第2の中心線CL2を有する。そして、第1の列RO1の2つのパワーデバイダー6と第2の列RO2の2つのパワーデバイダー6は、2つの第2の中心線CL2のうちの1つを第2の方向D2に平行な軸として対称に配置されており、第1の列CO1の2つのパワーデバイダー6と第2の列CO2の2つのパワーデバイダー6は、2つの第2の中心線CL2のうちの1つを第1の方向D1に平行な軸として対称に配置されている。
【0043】
当然のことながら、本発明の別の実施形態(図示せず)において、アンテナアレイ1000は、4M個のマイクロストリップアンテナ100”を含んでもよく、Mは正の整数である。
【0044】
[実施形態の有益な効果]。
結論として、本発明によって提供されるアンテナアレイでは、「第2の方向に沿ったアンテナ構造体のいずれか2つの隣接するものが180度の回転対称関係を有する」、及び「第1の方向又は第2の方向に沿ったパワーデバイダーのいずれか2つの隣接するものが鏡像関係を有する」ことによって、その構造を単純化でき、部品をレイアウトできるスペースを大幅に増大させる。
【0045】
以上に開示された内容は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではない。そのため、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0046】
1000 アンテナアレイ
100、100’、100” マイクロストリップアンテナ
1 絶縁キャリア
11 第1の層
12 第2の層
13 中間層
H13 貫通孔
2 円形状本体部
H21 円形状貫通孔
3 円形状給電点
4 接地素子
H4 干渉回避穴
5 導電柱
6 パワーデバイダー
C1 第1の円心
C2 第2の円心
R 半径
T1 最短距離
L1 第1の延長線
L2 第2の延長線
SC 共通キャリア
AS アンテナ構造体
S1 第1の板面
S2 第2の板面
D1 第1の方向
D2 第2の方向
RO1 第1の行
RO2 第2の行
CO1 第1の列
CO2 第2の列
CP1 第1の回転点
CP2 第2の回転点
CL1 第1の中心線
CL2 第2の中心線
200 回路