(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155408
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】絶縁型直流電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02M3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070098
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】清水 貴洋
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730BB43
5H730BB57
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD11
5H730FF19
5H730FG05
5H730XX02
5H730XX11
5H730XX22
5H730XX31
5H730XX42
(57)【要約】
【課題】直流電圧が入力されていることを検知して一次側の回路の動作を停止させることができる絶縁型直流電源装置を提供する。
【解決手段】第1ダイオード・ブリッジ回路と、トランスを備え第1ダイオード・ブリッジ回路により整流された電圧を直流電圧に変換して第1の負荷へ供給する絶縁型電圧変換回路と、交流入力に基づいてスイッチ回路により第2の負荷へ電源を供給または遮断可能に構成された絶縁型直流電源装置において、トランスの一次側には交流電圧を整流する第2ダイオード・ブリッジ回路とその出力側に接続された第1発光素子が設けられ、トランスの二次側には第1発光素子からの光信号を受信する第1受光素子を備え交流入力端子に直流電圧が入力されていることを検知する直流入力検知回路が設けられ、直流電圧が入力されていることを検知した場合に、前記スイッチ回路がオフされることで第2の負荷への第2の電圧源の供給が遮断されるようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流入力端子に入力された交流電圧を整流する第1ダイオード・ブリッジ回路と、トランスを備え前記第1ダイオード・ブリッジ回路により整流された電圧を直流電圧に変換して第1の負荷へ供給する絶縁型電圧変換回路と、交流入力に基づいてスイッチ回路により前記第1の負荷とは異なる第2の電圧源を第2の負荷へ供給または遮断可能に構成された絶縁型直流電源装置であって、
前記トランスの一次側には、入力された交流電圧を整流する第2ダイオード・ブリッジ回路と、前記第2ダイオード・ブリッジ回路の出力側に接続された第1発光素子と、が設けられており、
前記トランスの二次側には、前記第1発光素子からの光信号を受信する第1受光素子を備え前記交流入力端子に直流電圧が入力されていることを検知する直流入力検知回路が設けられ、
前記直流入力検知回路が前記交流入力端子に直流電圧が入力されていることを検知した場合に、前記スイッチ回路がオフされることで前記第2の負荷への前記第2の電圧源の供給が遮断されるように構成されていることを特徴とする絶縁型直流電源装置。
【請求項2】
前記スイッチ回路は、前記交流入力端子間に接続されたトライアックおよび該トライアックと並列に接続された第2受光素子を備え、
前記トランスの二次側には、前記第2の負荷への前記第2の電圧源の供給または遮断を指示する信号を光信号として送出するための第2発光素子が設けられ、前記第2発光素子から発せられた光信号が前記第2受光素子に入力されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁型直流電源装置。
【請求項3】
前記直流入力検知回路は、
電源電圧端子と接地点との間に接続された抵抗分圧回路と、
電源電圧端子と接地点との間に直列に接続された抵抗素子および前記抵抗分圧回路により分圧された電圧が制御端子に印加される第1トランジスタと、
前記抵抗素子と前記第1トランジスタとの接続ノードと接地点との間に接続された容量素子と、
前記前記抵抗素子と前記第1トランジスタとの接続ノードの電圧が制御端子に印加される第2トランジスタと、を備え、
前記抵抗分圧回路の内部ノードと接地点との間に前記第1受光素子が接続されていることを特徴とする請求項2に記載の絶縁型直流電源装置。
【請求項4】
前記第2発光素子は発光ダイオードであり、該発光ダイオードのアノード端子と接地点との間に前記第2トランジスタが接続されていることを特徴とする請求項3に記載の絶縁型直流電源装置。
【請求項5】
前記トランスの二次側には、前記第1の負荷へ出力される直流電圧のレベルを検出する出力電圧検出回路と、該出力電圧検出回路により検出された電圧に応じた光信号を前記トランスの一次側の回路へフィードバック信号として送出する第3発光素子が設けられ、
前記トランスの一次側には、前記第3発光素子から発せられた光を受信する第3受光素子と、前記トランスの一次側巻線と直列に接続されたスイッチング素子と、該スイッチング素子をオン/オフする信号を生成する電源制御回路と、が設けられ、
前記直流入力検知回路が前記交流入力端子に直流電圧が入力されていることを検知した場合に、前記電源制御回路は前記第3受光素子により受信した信号に基づいて前記スイッチング素子をオン/オフを停止するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁型直流電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流を直流に変換して供給する絶縁型直流電源装置に関し、特に二次側にDC入力検知機能を備えた絶縁型直流電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電源装置には、交流を整流するダイオード・ブリッジ回路と、該回路で整流された直流電圧を電圧変換用トランスで変換して所望の電位の直流電圧を出力する絶縁型AC-DCコンバータがある。
また、絶縁型のAC-DCコンバータにおいては、第1の負荷となるデバイス等に所定の電位の直流電圧を出力する直流電源回路の他に、第1の負荷となるデバイス等の付加的機能として設けられた第2の負荷に電源を供給可能であるとともに、第2の負荷に電源を供給したり遮断したりするスイッチ素子を備えるように構成されたものがある。
【0003】
従来、上記のようなAC-DCコンバータにおいては、電源のACプラグから誤って交流電圧ではなく直流電圧が入力されると、例えばスイッチ素子がトライアックの場合、第2の負荷を駆動させる信号を入力した際に、トライアックの特性上、電源をオフすることができない為、第2の負荷への電力供給が停止できない。これにより負荷の種類によっては異常状態が発生することがあり、それによって装置が故障するなどの不具合が発生するおそれがある。そこで、AC入力端子に交流電圧ではなく直流電圧が入力された場合に、負荷への電力の供給を停止することができるようにした負荷制御装置に関する発明が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている負荷制御装置(電源装置)においては、AC-DCコンバータの一次側に電源信号のゼロクロスタイミングでパルスを発生させるゼロクロス回路を含む直流検出部を設ける。これとともに、第2の負荷の近傍に配設されたサーミスタや高温検出部および該高温検出部からの検出信号と直流検出部からの検出信号に基づいて、第2の負荷と直列に接続されたトライアックをオン、オフする信号を生成する信号生成回路を設けることで、直流電圧が入力された場合に、第2の負荷への電力の供給を停止するようにしている。
【0006】
上記のように特許文献1の負荷制御装置においては、ゼロクロス回路や温度検出手段を設けているため、回路が複雑で素子数も多くなりコストアップを招く。また、高温検出部および信号生成回路を、AC-DCコンバータで変換した二次側の電圧で動作させるようにしているため、直流検出部による検出信号を伝達するフォトカプラのような絶縁型の信号伝達手段を別途設ける必要があるという課題がある。
【0007】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、比較的簡単な直流入力検知回路を二次側に設けるだけで、交流入力端子に直流電圧が入力された場合にそれを検知して一次側の回路の動作を停止させることができる絶縁型直流電源装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、絶縁型の信号伝達手段を追加することなく、交流入力端子に直流電圧が入力された場合に第2負荷への電力の供給を停止させることができる絶縁型直流電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、
交流入力端子に入力された交流電圧を整流する第1ダイオード・ブリッジ回路と、トランスを備え前記第1ダイオード・ブリッジ回路により整流された電圧を直流電圧に変換して第1の負荷へ供給する絶縁型電圧変換回路と、交流入力に基づいてスイッチ回路により前記第1の負荷とは異なる第2の電圧源を第2の負荷へ供給または遮断可能に構成された絶縁型直流電源装置において、
前記トランスの一次側には、入力された交流電圧を整流する第2ダイオード・ブリッジ回路と、前記第2ダイオード・ブリッジ回路の出力側に接続された第1発光素子と、が設けられており、
前記トランスの二次側には、前記第1発光素子からの光信号を受信する第1受光素子を備え前記交流入力端子に直流電圧が入力されていることを検知する直流入力検知回路が設けられ、
前記直流入力検知回路が前記交流入力端子に直流電圧が入力されていることを検知した場合に、前記スイッチ回路がオフされることで前記第2の負荷への前記第2の電圧源の供給が遮断されるように構成したものである。
【0009】
上記のような構成によれば、ゼロクロス回路のような複雑な回路を用いることなく、比較的簡単な直流入力検知回路を二次側に設けることで、交流入力端子に直流電圧が入力された場合にそれを検知して一次側の回路の動作を停止させ、第1の負荷への電力の供給を停止させることができる。また、直流電圧が入力された場合にスイッチ回路をオフさせることで第2の負荷への電力の供給を停止させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の絶縁型直流電源装置によれば、比較的簡単な直流入力検知回路を二次側に設けるだけで、交流入力端子に直流電圧が入力された場合にそれを検知して一次側の回路の動作を停止させることができる。また、交流入力端子に直流電圧が入力された場合に、第2負荷への電力の供給を停止させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る絶縁型直流電源装置(AC-DCコンバータ)の一実施形態を示す回路構成図である。
【
図2】実施形態の絶縁型直流電源装置を構成する直流入力検知回路の具体的な回路構成例を示す回路構成図である。
【
図3】(A)は実施形態の絶縁型直流電源装置にAC電圧が入力された場合における回路各部の電圧の変化を示す波形図、(B)は実施形態の絶縁型直流電源装置にDC電圧が入力された場合における回路各部の電圧の変化を示す波形図である。
【
図4】
図1の実施形態の絶縁型直流電源装置の変形例を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る絶縁型直流電源装置(AC-DCコンバータ)の一実施形態の回路構成図が示されている。
【0013】
本実施形態のAC-DCコンバータは、
図1に示すように、ノーマルモードノイズを遮断するため、AC電源11からの交流電圧(AC)が入力される一対のAC端子間に接続されたXコンデンサC1とコイルL1,L2などからなるACフィルタ12と、交流電圧(AC)を整流するダイオード・ブリッジ回路13Aを備える。
【0014】
また、AC入力の一方の端子とフィルタ12との間には、過大な電流が流れ込むのを防止するための電流ヒューズF1が接続され、ダイオード・ブリッジ回路13Aの後段には、整流後の電圧を平滑する平滑用コンデンサC2が設けられている。また、ダイオード・ブリッジ回路13Aの一方の出力ノードに、電圧変換用のトランス14の一次側巻線Npが接続され、一次側巻線Npと直列にスイッチング素子SW1および抵抗R1が接続されている。スイッチング素子SW1は、一次側制御IC(半導体集積回路)15によってオン、オフ駆動され、それによって一次側巻線Npに間欠的に電流を流す。
【0015】
上記一次側制御IC15には、上記抵抗R1により電流-電圧変換された電圧Vcsが入力される外部端子が設けられている。これとともに、一次側制御IC15には、第1のフォトカプラを介して二次側からの光信号によるフィードバック信号FBを受けるフォトトランジスタPT1が接続される外部端子が設けられており、電圧Vcsとフィードバック信号FBに応じてスイッチングトランジスタSW1のスイッチング周波数あるいはSW1の駆動パルスのデューティを変化させて、スイッチング素子SW1を駆動制御するように構成されている。なお、本実施形態のAC-DCコンバータは、二次側回路で過電圧状態が発生するとフィードバック信号FBに基づいてそれを検知して、スイッチング素子SW1のオン/オフ駆動を停止する機能を一次側制御IC15が有している。
【0016】
また、ACフィルタ12の一対の出力ノードにそれぞれアノード端子が接続されたダイオードD1,D2が設けられ、このダイオードD1とD2のカソード端子が抵抗R0を介して接続される外部端子が一次側制御IC15に設けられている。図示しないが、この一次側制御IC15は、AC電圧を監視する電圧検出回路と、抵抗R0と直列に接続されたスイッチ素子とを備えており、AC電圧がなくなるとスイッチ素子をオンさせてXコンデンサC1の残留電荷を接地点へ放電させる機能を有している。
【0017】
さらに、本実施形態においては、トランス14として、補助巻線Nbを備えたものが使用されており、この補助巻線Nbと直列に接続された整流用ダイオードD3と、該ダイオードD3のカソード端子と接地点との間に接続された平滑用コンデンサC3とからなる整流平滑回路16が設けられ、該整流平滑回路16で整流、平滑された電圧が電源電圧として印加される電源端子が上記電源制御用IC15に設けられている。
【0018】
さらに、本実施形態の絶縁型直流電源装置においては、上記ダイオード・ブリッジ回路13Aとは別に、第2のダイオード・ブリッジ回路13Bが設けられている。そして、このダイオード・ブリッジ回路13Bの出力ノード間には、AC入力端子に電源(ACまたはDC)が入力されていることを二次側回路へ知らせるための第2のフォトカプラを構成する発光ダイオードLD2が接続されている。
【0019】
さらに、AC入力端子間には、トライアックTA1を有するスイッチ回路17と、二次側回路からの信号により該スイッチ回路17のトライアックTA1をオン/オフさせるための第3のフォトカプラを構成するフォトダイオードPD3とが並列に接続されている。また、上記トライアックTA1およびフォトダイオードPD3と直列に、ファンなどの第2負荷へ電源を供給するための負荷接続端子としてのコネクタ18が設けられている。上記スイッチ回路17は、フォトダイオードPD3に電流が流れるとオン状態になり、コネクタ18に接続されている第2負荷へ電流を流し、フォトダイオードPD3に電流が流れなくなるとオフ状態になって第2負荷の電流を遮断するように構成されている。
【0020】
次に、二次側回路の構成について説明する。
図1に示すように、トランス14の二次側には、二次側巻線Nsと直列に接続された整流用ダイオードD4と、このダイオードD4のカソード端子と二次側巻線Nsの他方の端子との間に接続された平滑用コンデンサC4とが設けられ、一次側巻線Npに間歇的に電流を流すことで二次側巻線Nsに誘起される交流電圧をダイオードD4で整流しコンデンサC4で平滑することによって直流出力電圧Voutを生成し、出力端子OUT1,OUT2より出力する。
【0021】
また、上記トランス13の二次側には、出力端子OUT1,OUT2間に、出力電圧検出信号を一次側へ伝達するためのフォトカプラを構成する発光ダイオードLD1と、出力電圧Voutに比例した電流を流すシャントレギュレータSRとが直列に接続された回路が設けられている。また、出力端子OUT1,OUT2間には直列抵抗R41,R42からなる抵抗分圧回路が設けられている。
【0022】
そして、この抵抗R41,R42により出力電圧Voutを分圧した電圧がシャントレギュレータSRに印加されることによって、出力電圧Voutに比例した電流がシャントレギュレータSRにより発光ダイオードLD1に流される。そのため、シャントレギュレータSRと抵抗分圧回路(R41,R42)によって出力電圧検出回路21が構成され、検出された電圧に応じた電流が発光ダイオードLD1に流れる。この発光ダイオードLD1と前述の一次側のフォトトランジスタPT1がフォトカプラを構成しているため、出力電圧検出信号が光信号によって一次側へ伝達され、一次側で電気信号に変換されることで出力電圧Voutのレベルに応じた信号が一次側制御IC15に入力されることとなる。
【0023】
さらに、本実施形態の絶縁型直流電源装置においては、一次側の上記発光ダイオードLD2と共に第2のフォトカプラを構成するフォトトランジスタPT2を備えたDC入力検知回路22が設けられており、AC入力端子に電源(ACまたはDC)が入力されていると、第2のフォトカプラを構成する上記発光ダイオードLD2に電流が流れて、光信号によってDC入力検知回路22へ入力状態を伝達するように構成されている。
また、二次側回路には、外部から供給される第2負荷のオン、オフ制御信号ON/OFFに応じて駆動される発光ダイオードLD3が設けられている。この発光ダイオードLD3は、一次側の上記フォトトランジスタPT3と共に第3のフォトカプラを構成しており、この第3のフォトカプラを介して第2負荷のオン、オフ制御信号ON/OFFが光信号として一次側へ伝達される。
【0024】
図2には、上記DC入力検知回路22の具体的な回路例が示されている。
この実施例のDC入力検知回路22は、
図2に示すように、電源電圧端子VDDと接地点GNDとの間に直列に接続された抵抗R21,R22,R23からなる第1の抵抗分圧回路22Aと、抵抗R21とR22の接続ノードN1と接地点GNDとの間に直列に接続された抵抗R24およびフォトトランジスタPT2を備えている。このうちフォトトランジスタPT2は、一次側の前記発光ダイオードLD2とフォトカプラを構成しており、発光ダイオードLD2から光信号を受信するとコレクタ電流を流す。
【0025】
また、DC入力検知回路22は、電源電圧端子VDDと接地点GNDとの間に直列に接続された抵抗R25,R26,R27からなる第2の抵抗分圧回路22Bと、抵抗R26とR27の接続ノードN3と接地点GNDとの間に直列に接続された抵抗R28およびMOSトランジスタQ1を備え、このトランジスタQ1のゲート端子は上記抵抗分圧回路22Aを構成する抵抗R22とR23の接続ノードN2に接続されている。なお、電源電圧端子VDDには、直流電源装置の二次側で整流平滑された出力電圧Vout(例えば24V)が印加される。
【0026】
さらに、DC入力検知回路22は、抵抗R26とR27の接続ノードN3と接地点GNDとの間に、上記抵抗R27と並列に接続されたコンデンサC5と、ベース端子が上記接続ノードN3に接続され、エミッタ端子が接地点GNDに接続されたNPNバイポーラトランジスタQ2を備えている。そして、このトランジスタQ2のベース端子に抵抗R28を介してトランジスタQ1のドレイン端子が接続され、Q2のコレクタ端子が、第1のフォトカプラを構成する前記発光ダイオードLD1と出力電圧検出回路21を構成するシャントレギュレータSRとの接続ノードに接続されている(
図1参照)。
【0027】
次に、
図2のDC入力検知回路22の動作について、
図3の波形図を用いて説明する。
図3(A)は本実施形態の絶縁型直流電源装置のAC入力端子間に交流電圧が入力された場合における回路各部の電圧の変化を示し、(B)はAC入力端子間に直流電圧が入力された場合における回路各部の電圧の変化を示している。
【0028】
AC入力端子間に交流電圧(AC)が入力されている場合、第2ダイオード・ブリッジ回路13Bによって整流された電流が第2フォトカプラを構成する発光ダイオードLD2(
図1)に流れることによってLD2の印加電圧Vbが、
図3(A)の(b)に示すようにハイ/ロウに変化する。すると発光ダイオードLD2が間欠的に発光し、DC入力検知回路22のフォトトランジスタPT2に間欠的に電流が流れ、抵抗分圧回路22AのノードN2の電圧VcすなわちMOSトランジスタQ1のゲート電圧が、
図3(A)の(c)のように、Vbと逆相でロウ/ハイに変化する。
【0029】
そして、ノードN2の電圧Vcがハイ/ロウに変化するとMOSトランジスタQ1がオン/オフされ、トランジスタQ1がオンされると抵抗R27に流れていた電流がトランジスタQ1に流れ抵抗R27と並列のコンデンサC5の電荷が放電され、トランジスタQ1がオフするとコンデンサC5が充電される。そのため、コンデンサC5が充電と放電を繰り返すことで、ノードN3の電圧Vdが、
図3(A)の(d)のように、三角波状に変化する。その結果、ノードN3の電圧VdはバイポーラトランジスタQ2のオン電圧Vonに達することはなく、Q2がオン状態になることはない。
【0030】
一方、本実施形態の絶縁型直流電源装置のAC入力端子間に直流電圧が入力されると、
図3(B)に示すように、ノードN2の電圧Vbがハイに固定、ノードN2の電圧Vcがロウに固定される。そのため、トランジスタQ1はオフ状態のままにされるので、ノードN3の電圧VdがバイポーラトランジスタQ2のオン電圧Vonに維持され、Q2がオンされ続ける。
その結果、発光ダイオードLD1に、出力電圧検出回路21のシャントレギュレータSRにより流される電流よりも大きな電流が流れ、それが光信号によって一次側の制御用IC15へフィードバックされる。そのため、制御用IC15は過電圧状態が発生していると判断して、スイッチング動作を停止し、二次側の出力電圧Voutがなくなる。
【0031】
なお、トランジスタQ2のコレクタ端子を抵抗R42とR41の中間ノードに接続し、Q2のオン時にシャントレギュレータSRの検出電圧が下がることにより、一次側の制御用IC15が、出力電圧が低下していると判断し、出力電圧を上昇させる。そして、出力電圧が上昇すると、補助巻線Nbに誘起される電圧も上昇し、整流平滑回路(補助電源回路)16に接続されたIC15の電源端子電圧が上昇し、IC15が過電圧状態と判定しスイッチング動作を停止させるように構成しても良い。
【0032】
そして、出力端子OUT1,OUT2に接続されている回路がそれを検知して、第3フォトカプラを構成する発光ダイオードLD3をオン/オフさせる信号ON/OFFをロウレベルにすることで、LD3の発光を停止させると、一次側のフォトダイオードPD3に電流が流れなくなってトライアックTA1がオフされ、コネクタ18に接続されている第2負荷に流れる電流を遮断させることができる。
【0033】
次に、上記実施形態の絶縁型直流電源装置の変形例について、
図4を用いて説明する。
図4に示す変形例の直流電源装置は、DC入力検知回路22の出力端子を、第1のフォトカプラを構成する前記発光ダイオードLD1と出力電圧検出回路21を構成するシャントレギュレータSRとの接続ノードに接続する代わりに、第3フォトカプラを構成する発光ダイオードLD3のアノード端子に接続するようにしたものである。DC入力検知回路22の構成は、
図2に示す回路と同じで良い。
【0034】
上記のようにDC入力検知回路22の出力端子を発光ダイオードLD3のアノード端子に接続することにより、直流電源装置のAC入力端子間に直流電圧が入力されてトランジスタQ2がオンされると、発光ダイオードLD3のアノード電圧を下げることで、オン/オフ信号ON/OFFがハイレベルであっても、LD3の発光を停止させることができる。その結果、一次側のフォトダイオードPD3に電流が流れなくなってトライアックTA1がオフされ、コネクタ18に接続されている第2負荷に流れる電流が遮断させることができる。
【0035】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、AC入力端子間に直流電圧が入力されると、第3フォトカプラによりトライアックTA1をオフさせ、コネクタ18に接続されている第2負荷に流れる電流を遮断させているが、
図1に符号Eで示すような箇所にリレーを設ける。そして、このリレーのコイルに二次側からの電圧を印加するように構成して、二次側の出力電圧Voutがなくなるとリレーのコイルに電流が流れなくなってリレーの接点がオフされることで、コネクタ18に接続されている第2負荷に流れる電流を遮断させるとともに第2ダイオード・ブリッジ回路13Bの整流動作を停止させるように構成しても良い。
【0036】
また、前記実施形態では、
図1における二次側回路として整流用ダイオードD4を用いたダイオード整流方式の回路を示したが、同期整流方式の二次側回路を使用するようにしても良い。
さらに、
図3(A)の(c)の波形から分かるように、前記実施形態のDC入力検知回路22(
図2)においては、ノードN2の電圧VcはAC入力波形と同期した信号であり、AC入力波形のゼロクロスポイントを検出するための信号として利用できることが分かる。そこで、
図2の回路において、ノードN2の電圧Vcがゲート端子に印加されたトランジスタを設けて、
図2の回路を、ゼロクロスポイント検出用信号を生成する回路と兼用させるように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0037】
11…AC電源、12…ACフィルタ、13A,13B…ダイオード・ブリッジ回路(整流回路)、14…トランス、15…電源制御回路(電源制御用IC)、16…整流平滑回路(補助電源回路)、17…トライアックを有するスイッチ回路、18…コネクタ、21…出力電圧検出回路、22…DC入力検知回路、LD…発光ダイオード(フォトカプラ)、PT…フォトトランジスタ(フォトカプラ)