(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155410
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】化粧皿包装体及び化粧皿包装体形成用ブランク
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20241024BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B65D5/50 E
B65D5/66 311D
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070101
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】100122541
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 友彰
(72)【発明者】
【氏名】長田 達明
(72)【発明者】
【氏名】堀 誉子
(72)【発明者】
【氏名】杉田 朋史
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB16
3E060BA08
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC19
3E060CC52
3E060DA26
3E060EA14
(57)【要約】
【課題】構成資材を減らして製造コストの削減を図り、かつ、緩衝効果の高い化粧皿包装体及び化粧皿包装体形成用ブランクを提供する。
【解決手段】底面板の上に離間して延在する第1角筒部及び第2角筒部と、第1角筒部の筒部上面と該筒部上面から垂下する筒部側面とでなす角部に形成される第1凹所と、第2角筒部の筒部上面と該筒部上面から垂下する筒部側面とでなす角部に形成されて、第1凹所と対向する第2凹所と、を有し、被包装体である化粧皿が第1凹所及び第2凹所に掛け渡された状態で保持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面板の上に離間して延在する第1角筒部及び第2角筒部と、
前記第1角筒部の筒部上面と該筒部上面から垂下する筒部側面とでなす角部に形成される第1凹所と、
前記第2角筒部の筒部上面と該筒部上面から垂下する筒部側面とでなす角部に形成されて、前記第1凹所と対向する第2凹所と、を有し、
被包装体である化粧皿が前記第1凹所及び前記第2凹所に掛け渡された状態で保持されること
を特徴とする化粧皿包装体。
【請求項2】
前記第1角筒部及び前記第2角筒部の延在方向と直交する方向に沿って、かつ、前記底面板から立ち上がる側面板を有し、前記化粧皿の上面側を閉塞可能な蓋板が、前記側面板から延設されることを特徴とする請求項1に記載の化粧皿包装体。
【請求項3】
前記第1凹所及び前記第2凹所の凹所底部から、前記第1角筒部及び前記第2角筒部の筒部上面までの高さは、前記化粧皿の高さよりも高いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項4】
前記第1角筒部及び前記第2角筒部のそれぞれの開口部は、前記第1角筒部及び前記第2角筒部のそれぞれの前記筒部上面から垂下する外フラップ及び差込片により閉塞されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項5】
前記第1凹所は、前記第1凹所に収容される前記化粧皿の部位に対応した形状に形成されており、前記第2凹所は、前記第2凹所に収容される前記化粧皿の他の部位に対応した形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項6】
前記第1角筒部の筒部上面及び前記第2角筒部の筒部上面に張設されたフィルムシートを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項7】
前記化粧皿包装体は、1枚のシート状のブランクからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項8】
請求項1又は請求項2のいずれか1に記載の化粧皿包装体を形成可能な化粧皿包装体形成用ブランク。
【請求項9】
底面板と、
前記底面板の第1辺に隣接して前記底面板に連設された第1側面板と、前記第1側面板に連設された蓋板と、
前記底面板の前記第1辺と対向する第2辺に隣接して前記底面板に連設された第2側面板と、前記第2側面板に連設された副蓋板と、
前記底面板の前記第1辺と直交する第3辺に隣接して前記底面板に連設された第1外方側面板と、前記第1外方側面板に連設された第1上面板と、前記第1上面板に連設された第1内方側面板と、前記第1内方側面板に連設された第1固着板と、
前記底面板の前記第3辺と対向する第4辺に隣接して前記底面板に連設された第2外方側面板と、前記第2外方側面板に連設された第2上面板と、前記第2上面板に連設された第2内方側面板と、前記第2内方側面板に連設された第2固着板と、有し、
前記第1上面板及び前記第1内方側面板には、第1凹所形成用のスリット及び折曲線が形成され、
前記第2上面板及び前記第2内方側面板には、第2凹所形成用のスリット及び折曲線が形成されていること
を特徴とする化粧皿包装体形成用ブランク。
【請求項10】
前記第1外方側面板、前記第1内方側面板、前記第2外方側面板及び前記第2内方側面板は、それぞれ内フラップを連続的に備え、前記第1上面板及び前記第2上面板は、それぞれ外フラップを連続的に備え、前記外フラップは、それぞれ差込片を連続的に備えることを特徴とする請求項9に記載の化粧皿包装体形成用ブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧皿包装体及び化粧皿包装体形成用ブランクに関し、特に、化粧品の詰め替え品(レフィル)を収容するのに適した紙製の化粧皿包装体及び化粧皿包装体形成用ブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファンデーションのような化粧料は、打型や湿式充填等の方法で固化された状態で化粧皿(中皿)に充填され、この化粧皿を化粧料容器(コンパクト容器)に固着して使用されるものが多く知られている。
【0003】
そのような化粧料容器においては、化粧料が使い切られた化粧皿を、化粧料が充填された新しい化粧皿に交換可能に構成されたものが多く知られており、化粧料が充填された化粧皿は、それ自体が詰め替え品(レフィル)として取引の対象となっている。
【0004】
このような化粧料が充填された化粧皿(レフィル)の輸送や保管等を含む取引に際し、未開封(バージン)性を確保しつつも、包装作業を簡素化し、製造工程やコストの削減を図ることができるものとして、特許文献1に示す包装体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1においては、化粧料が充填された化粧皿が、緩衝構造を備えた開閉式のレフィルケース(特許文献1における被包装体50)に収容され、更に、このレフィルケースが包装体によって包装される構成のものが開示されている。本発明は、特許文献1の包装体を更に改良したものであって、化粧料が充填された化粧皿を、前記のようなレフィルケースを用いることなく、緩衝構造を備えた包装体によって直接包装する構成のものを提供する。
【0007】
本発明は、構成資材を減らして製造コストの削減を図り、かつ、緩衝効果の高い化粧皿包装体及び化粧皿包装体形成用ブランクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の化粧皿包装体は、底面板の上に離間して延在する第1角筒部及び第2角筒部と、前記第1角筒部の筒部上面と該筒部上面から垂下する筒部側面とでなす角部に形成される第1凹所と、前記第2角筒部の筒部上面と該筒部上面から垂下する筒部側面とでなす角部に形成されて、前記第1凹所と対向する第2凹所と、を有し、被包装体である化粧皿が前記第1凹所及び前記第2凹所に掛け渡された状態で保持されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の化粧皿包装体は、前記第1の化粧皿包装体において、前記第1角筒部及び前記第2角筒部の延在方向と直交する方向に沿って、かつ、前記底面板から立ち上がる側面板を有し、前記化粧皿の上面側を閉塞可能な蓋板が、前記側面板から延設されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第3の化粧皿包装体は、前記第1又は第2の化粧皿包装体において、前記第1凹所及び前記第2凹所の凹所底部から、前記第1角筒部及び前記第2角筒部の筒部上面までの高さが、前記化粧皿の高さよりも高いことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第4の化粧皿包装体は、前記第1乃至第3のいずれかの化粧皿包装体において、前記第1角筒部及び前記第2角筒部のそれぞれの開口部が、前記第1角筒部及び前記第2角筒部のそれぞれの前記筒部上面から垂下する外フラップ及び差込片により閉塞されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第5の化粧皿包装体は、前記第1乃至第4のいずれかの化粧皿包装体において、前記第1凹所が、前記第1凹所に収容される前記化粧皿の部位に対応した形状に形成されており、前記第2凹所が、前記第2凹所に収容される前記化粧皿の他の部位に対応した形状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第6の化粧皿包装体は、前記第1乃至第5のいずれかの化粧皿包装体において、前記第1角筒部の筒部上面及び前記第2角筒部の筒部上面に張設されたフィルムシートを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第7の化粧皿包装体は、前記第1乃至第6のいずれかの化粧皿包装体が、1枚のシート状のブランクからなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第1の化粧皿包装体形成用ブランクは、前記第1乃至第7のいずれかの化粧皿包装体を形成可能な化粧皿包装体形成用ブランクである。
【0016】
また、本発明の第2の化粧皿包装体形成用ブランクは、底面板と、前記底面板の第1辺に隣接して前記底面板に連設された第1側面板と、前記第1側面板に連設された蓋板と、前記底面板の前記第1辺と対向する第2辺に隣接して前記底面板に連設された第2側面板と、前記第2側面板に連設された副蓋板と、前記底面板の前記第1辺と直交する第3辺に隣接して前記底面板に連設された第1外方側面板と、前記第1外方側面板に連設された第1上面板と、前記第1上面板に連設された第1内方側面板と、前記第1内方側面板に連設された第1固着板と、前記底面板の前記第3辺と対向する第4辺に隣接して前記底面板に連設された第2外方側面板と、前記第2外方側面板に連設された第2上面板と、前記第2上面板に連設された第2内方側面板と、前記第2内方側面板に連設された第2固着板と、有し、前記第1上面板及び前記第1内方側面板には、第1凹所形成用のスリット及び折曲線が形成され、前記第2上面板及び前記第2内方側面板には、第2凹所形成用のスリット及び折曲線が形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第3の化粧皿包装体形成用ブランクは、前記第2の化粧皿包装体形成用ブランクにおいて、前記第1外方側面板、前記第1内方側面板、前記第2外方側面板及び前記第2内方側面板は、それぞれ内フラップを連続的に備え、前記第1上面板及び前記第2上面板は、それぞれ外フラップを連続的に備え、前記外フラップは、それぞれ差込片を連続的に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、構成資材を減らして製造コストの削減を図り、かつ、緩衝効果の高い化粧皿包装体及び化粧皿包装体形成用ブランクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る化粧皿包装体形成用ブランクを示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る化粧皿包装体の製造工程を示す図であり、(a)は、底面板に固着板を固着する工程を示す平面図、(b)は、角筒部及び凹所を立体化するための山折り線及び谷折り線を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る化粧皿包装体の製造工程を示す図であり、(a)は、角筒部及び凹所が立体化された状態を示す斜視図、(b)は、化粧皿を装着する工程を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る化粧皿包装体の製造工程を示す図であり、(a)は、凹所に化粧皿が載置された状態を示す斜視図、(b)は、蓋板を閉じる工程を示す斜視図、(c)は、蓋板を係止する工程を示す斜視図である。
【
図5】
図4(a)のA-A線における端面を模式的に示した拡大端面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る化粧皿包装体の開封工程を示す図であり、(a)は、化粧皿包装体の開封前の状態を示す斜視図、(b)は、開封線を破断させた状態を示す斜視図、(c)は、蓋板を展開した状態を示す斜視図、(d)は、上面板を展開した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る化粧皿包装体及び化粧皿包装体形成用ブランク(以下、それぞれ「包装体」、「ブランク」とも称する。)を、化粧品の詰め替え品(レフィル)を収容するのに適した紙製の化粧皿包装体及び化粧皿包装体形成用ブランクに適用した実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
[化粧皿包装体形成用ブランク]
まず、本実施形態に係る化粧皿包装体形成用ブランクについて、
図1を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る化粧皿包装体形成用ブランクを示す平面図である。
【0022】
図1に示すように、ブランク1は、包装体100(
図6(a)参照)を展開したものであり、これを組み立てることによって、被包装体である化粧皿90を、離間して延在する第1角筒部6及び第2角筒部7の第1凹所81と第2凹所82とに掛け渡された状態で保持可能な包装体100となるものである(
図3、
図5等参照)。即ち、包装体100は、1枚のシート状のブランク1からなる。
【0023】
包装体100を形成するためのブランク1は、一例として、1枚の紙製シートから打ち抜き加工によって形成される。
【0024】
ブランク1は、正方形又は矩形状の底面板2を有し、
図1に示すY軸方向に沿って、底面板2の第1辺(折曲線F8)に隣接して底面板2に連設された第1側面板3aと、第1側面板3aに連設された蓋板4と、蓋板4に連設された舌片4aと、を連続的に備える。
【0025】
また、ブランク1は、
図1に示すY軸方向に沿って、底面板2の第1辺(折曲線F8)と対向する第2辺(折曲線F11)に隣接して底面板2に連設された第2側面板3bと、第2側面板3bに連設された副蓋板5と、を連続的に備える。
【0026】
また、ブランク1は、
図1に示すX軸方向に沿って、底面板2の第1辺(折曲線F8)と直交する第3辺(折曲線F1a)に隣接して底面板2に連設された第1外方側面板61と、第1外方側面板61に連設された第1上面板62と、第1上面板62に連設された第1内方側面板63と、第1内方側面板63に連設された第1固着板64と、を連続的に備える。
【0027】
また、ブランク1は、
図1に示すX軸方向に沿って、底面板2の第3辺(折曲線F1a)と対向する第4辺(折曲線F1b)に隣接して底面板2に連設された第2外方側面板71と、第2外方側面板71に連設された第2上面板72と、第2上面板72に連設された第2内方側面板73と、第2内方側面板73に連設された第2固着板74と、を連続的に備える。
【0028】
第1外方側面板61及び第1内方側面板63は、
図1に示すY軸方向の両側に、それぞれ内フラップ65を連続的に備える。
【0029】
第1上面板62は、
図1に示すY軸方向の両側に、それぞれ外フラップ66を連続的に備え、更に、それぞれの外フラップ66は、
図1に示すY軸方向に沿って、差込片67を連続的に備える。
【0030】
第2外方側面板71及び第2内方側面板73は、
図1に示すY軸方向の両側に、それぞれ内フラップ75を連続的に備える。
【0031】
第2上面板72は、
図1に示すY軸方向の両側に、それぞれ外フラップ76を連続的に備え、更に、それぞれの外フラップ76は、
図1に示すY軸方向に沿って、差込片77を連続的に備える。
【0032】
図1に示すように、底面板2及び蓋板4のY軸方向の長さは互いに略同一、第1側面板3a及び第2側面板3bのY軸方向の長さは互いに略同一に設定される。また、底面板2及び蓋板4のY軸方向の長さは、第1側面板3a及び第2側面板3bのY軸方向の長さよりも長く設定される。
【0033】
舌片4aのY軸方向の長さは、第1側面板3a及び第2側面板3bのY軸方向の長さ以下に設定される。
【0034】
副蓋板5のY軸方向の長さは、底面板2及び蓋板4のY軸方向の長さ以下に設定される。
【0035】
図1に示すように、底面板2、第1外方側面板61、第1上面板62、第1内方側面板63、第1固着板64、第2外方側面板71、第2上面板72、第2内方側面板73、及び、第2固着板74のY軸方向の長さは略同一に設定される。
【0036】
第1外方側面板61、第1内方側面板63、第2外方側面板71、及び、第2内方側面板73のX軸方向の長さは、互いに略同一に設定され、かつ、第1側面板3a及び第2側面板3bのY軸方向の長さよりも僅かに短く設定される。
【0037】
図1に示すように、第1上面板62及び第2上面板72のX軸方向の長さは、底面板2のX軸方向の長さの2分の1よりも短く設定される。より好ましくは、第1上面板62及び第2上面板72のX軸方向の長さは、「{(底面板2のX軸方向の長さ)-(人の指の幅)}/2」により求まる値以下に設定される。ここで、人の指の幅は、一般的な例として約1cm~2cmを想定することができる。
【0038】
図1に示すように、第1固着板64及び第2固着板74のX軸方向の長さは、特に限定されるものではないが、後述するように接着剤や両面テープなどの固着手段により、第1固着板64及び第2固着板74を底面板2へ固着するのに適した長さを設定するのが好ましい。
【0039】
図1に示すように、内フラップ65、75のX軸方向の長さは、第1外方側面板61、第1内方側面板63、第2外方側面板71、及び、第2内方側面板73のX軸方向の長さ以下に設定される。内フラップ65、75のY軸方向の長さは、外フラップ66、76のX軸方向の長さ以下に設定される。
【0040】
図1に示すように、外フラップ66、76のX軸方向の長さは、第1上面板62及び第2上面板72のX軸方向の長さと略同一に設定される。外フラップ66、76のY軸方向の長さは、第1外方側面板61、第1内方側面板63、第2外方側面板71、及び、第2内方側面板73のX軸方向の長さと略同一に設定される。
【0041】
以上の寸法によって、ブランク1は、組み立てた時に扁平な包装体100となる(
図6(a)参照)。なお、本実施形態に係る上記各寸法は一例を示すものであり、本発明に係るブランク1はこれに限定されず、種々のデザイン形状を採用することができることは言うまでもない。
【0042】
図1に示すように、ブランク1は、底面板2と第1外方側面板61との境界に折曲線F1aを、第1外方側面板61と第1上面板62との境界に折曲線F2aを、第1上面板62と第1内方側面板63との境界に折曲線F5aを、及び、第1内方側面板63と第1固着板64との境界に折曲線F7aを有する。
【0043】
また、
図1に示すように、ブランク1は、底面板2と第2外方側面板71との境界に折曲線F1bを、第2外方側面板71と第2上面板72との境界に折曲線F2bを、第2上面板72と第2内方側面板73との境界に折曲線F5bを、及び、第2内方側面板73と第2固着板74との境界に折曲線F7bを有する。
【0044】
また、
図1に示すように、ブランク1は、底面板2と第1側面板3aとの境界に折曲線F8を、第1側面板3aと蓋板4との境界に折曲線F9を、蓋板4と舌片4aとの境界に折曲線F10を有する。また、
図1に示すように、ブランク1は、底面板2と第2側面板3bとの境界に折曲線F11を、第2側面板3bと副蓋板5との境界に折曲線F12を有する。
【0045】
また、
図1に示すように、ブランク1は、第1外方側面板61及び第1内方側面板63とそれぞれの内フラップ65との境界に、並びに、第2外方側面板71及び第2内方側面板73とそれぞれの内フラップ75との境界に、折曲線F13を有する。
【0046】
また、
図1に示すように、ブランク1は、第1上面板62と外フラップ66との境界に、及び、第2上面板72と外フラップ76との境界に、折曲線F14を有する。
【0047】
また、
図1に示すように、ブランク1は、外フラップ66と差込片67との境界に、及び、外フラップ76と差込片77との境界に、折曲線F15を有する。
【0048】
図1に示すように、第1上面板62及び第1内方側面板63には、被包装体である化粧皿90の寸法に対応させて、第1凹所形成用のスリット及び折曲線が形成される。
【0049】
より具体的には、第1上面板62及び第1内方側面板63には、対称となる一対の第1スリットC1(第1凹所形成用のスリット)と、一対の第1スリットC1の間に形成された折曲線F3a、F4a、F6a(第1凹所形成用の折曲線)と、が形成される。
【0050】
第1スリットC1(第1凹所形成用のスリット)は、第1上面板62及び第1内方側面板63にわたって形成された切り込みであり、被包装体である化粧皿の外形形状の一部に対応した形状とするのが好ましい。本実施形態において、化粧皿90は、平面視、一例として略角丸四角形状に形成されたものを想定しているため(
図3(b)参照)、
図1に示すように、第1スリットC1は、このような化粧皿90の外形形状の2つの丸角部の形状に対応させて、向かい合う略円弧状の切り込みとして形成するのが好適である。
【0051】
図1に示すように、第1凹所形成用の折曲線として、本実施形態においては、一対の第1スリットC1の一端同士を結ぶ折曲線F3aと、一対の第1スリットC1の他端同士を結ぶ折曲線F6aと、一対の第1スリットC1の中央部同士を結ぶ折曲線F4aと、を形成する。
【0052】
図1に示すように、被包装体である化粧皿90の寸法に対応させて、第1上面板62の中央部にY軸方向に沿って折曲線F3aを形成し、第1内方側面板63の中央部にY軸方向に沿って折曲線F6aを形成し、折曲線F3aと折曲線F6aとの間にY軸方向に沿って折曲線F4aを形成する。
【0053】
図1に示すように、第2上面板72及び第2内方側面板73には、被包装体である化粧皿90の寸法に対応させて、第2凹所形成用のスリット及び折曲線が形成される。
【0054】
より具体的には、第2上面板72及び第2内方側面板73には、対称となる一対の第2スリットC2(第2凹所形成用のスリット)と、一対の第2スリットC2の間に形成された折曲線F3b、F4b、F6b(第2凹所形成用の折曲線)と、が形成される。
【0055】
一対の第2スリットC2(第2凹所形成用のスリット)は、第2上面板72及び第2内方側面板73にわたって形成された切り込みであり、第1スリットC1同様に、被包装体である化粧皿の外形形状の一部に対応した形状とするのが好ましい。本実施形態においては、
図1に示すように、第2スリットC2は、このような化粧皿90の外形形状の2つの丸角部の形状に対応させて、第1スリットC1と対称となる、向かい合う略円弧状の切り込みとして形成するのが好適である。
【0056】
図1に示すように、第2凹所形成用の折曲線として、本実施形態においては、一対の第2スリットC2の一端同士を結ぶ折曲線F3bと、一対の第2スリットC2の他端同士を結ぶ折曲線F6bと、一対の第2スリットC2の中央部同士を結ぶ折曲線F4bと、を形成する。
【0057】
図1に示すように、被包装体である化粧皿90の寸法に対応させて、第2上面板72の中央部にY軸方向に沿って折曲線F3bを形成し、第2内方側面板73の中央部にY軸方向に沿って折曲線F6bを形成し、折曲線F3bと折曲線F6bとの間にY軸方向に沿って折曲線F4bを形成する。
【0058】
本実施形態における折曲線F1a、F1b、F2a、F2b、F3a、F3b、F4a、F4b、F5a、F5b、F6a、F6b、F7a、F7b、F8~F15は、図面中に細線として図示する通りであり、一例として、押し罫、ミシン目加工線、半切線(ハーフカットライン)などで構成される。
【0059】
折曲線F1a、F1b、F2a、F2b、F3a、F3b、F4a、F4b、F5a、F5b、F6a、F6b、F7a、F7bは相互に平行に設けられ、折曲線F8~F15は相互に平行に設けられる。
【0060】
図1に示すように、ブランク1は、切離部30を切り離すために破断可能な開封線Pと第3スリットC3とが設けられている。
【0061】
図1に示すように、第3スリットC3は、折曲線F12の中央部に設けられている。一例としては、第3スリットC3は、第2側面板3bから副蓋板5側に張り出すような台形状の切り込みとして構成されている。
【0062】
図1に示すように、第3スリットC3のX軸方向の長さは、舌片4aのX軸方向の長さと略同一に設定される。
【0063】
第3スリットC3は、舌片4aを係止する係止孔として機能すると共に、切離部30の切り離しの際の指掛かり32(
図4(b)参照)を形成するスリットとして機能する。
【0064】
また、
図1に示すように、開封線Pは、第3スリットC3の両端から折曲線F11に向かって、Y軸方向に沿って伸びる一対の切り取り線であり、途中の数箇所に繋ぎを備えた切り込み線、ミシン目加工線とするのが好適である。
【0065】
図1に示すブランク1の紙面には、予め種々の情報を記載しておくのが好適である。一例として、その記載領域は、包装体100の内側となる面では、蓋板4、第1側面板3a、第2側面板3b、副蓋板5の領域が好ましく、包装体100の外側となる面では、蓋板4、第1側面板3a、底面板2、第2側面板3bの領域が好ましい。
【0066】
記載する情報としては、一例として、ブランドロゴ、メーカーロゴ、バーコードの他、化粧料に関して法令上必要な告知情報が挙げられる。化粧料に関して法令上必要な告知情報は、内容物である化粧料(化粧品)に関して表示することが法令上義務付けられている情報(責任表示又は法定表示ともいう。)である。一例として、製造販売業者の氏名又は名称及び住所、製品の名称、製造番号、成分の名称、内容量、原産国名、問い合わせ先、使用期限などが挙げられる。
【0067】
[化粧皿包装体]
次に、ブランク1から形成される包装体100について、
図2乃至
図5を参照して説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る化粧皿包装体の製造工程を示す図であり、(a)は、底面板に固着板を固着する工程を示す平面図、(b)は、角筒部及び凹所を立体化するための山折り線及び谷折り線を示す平面図、
図3は、本発明の実施形態に係る化粧皿包装体の製造工程を示す図であり、(a)は、角筒部及び凹所が立体化された状態を示す斜視図、(b)は、化粧皿を装着する工程を示す斜視図、
図4は、本発明の実施形態に係る化粧皿包装体の製造工程を示す図であり、(a)は、凹所に化粧皿が載置された状態を示す斜視図、(b)は、蓋板を閉じる工程を示す斜視図、(c)は、蓋板を係止する工程を示す斜視図、
図5は、
図4(a)のA-A線における端面を模式的に示した拡大端面図である。なお、各図中に示すX軸方向、Y軸方向、Z軸方向は、それぞれ、化粧皿包装体の左右方向、前後方向、上下方向を示すものである。
【0068】
1枚の紙製シートから打ち抜き加工によって形成されたブランク1を用意し(
図1参照)、
図2(a)において表示する斜線領域に接着剤を塗布する。前記斜線領域には、接着剤が浸み込み易いように複数列のミシン目を設けたり、コーティングのない領域としておくのが好適である。なお、接着剤に替えて、両面テープを用いてもよい。
【0069】
次に、ブランク1を折曲線F2aにおいて谷折りすることにより、第1上面板62、第1内方側面板63及び第1固着板64を底面板2側に倒して、第1固着板64を底面板2に貼り合わせる。
【0070】
同様に、ブランク1を折曲線F2bにおいて谷折りすることにより、第2上面板72、第2内方側面板73及び第2固着板74を底面板2側に倒して、第2固着板74を底面板5に貼り合わせ、
図2(b)に示す状態とする。
【0071】
次に、平坦な状態の包装体100の縁部、即ち、折曲線F2aから力を加えて、折曲線F1aを谷折り、折曲線F3aを山折り、折曲線F4aを谷折り、折曲線F5aを山折り、折曲線F6aを山折り、折曲線F7aを谷折りすることにより、第1角筒部6を立体化する。
【0072】
同様に、包装体100の折曲線F2bから力を加えて、折曲線F1bを谷折り、折曲線F3bを山折り、折曲線F4bを谷折り、折曲線F5bを山折り、折曲線F6bを山折り、折曲線F7bを谷折りすることにより、第2角筒部7を立体化し、
図3(a)に示す状態とする。
【0073】
なお、
図2において、所定の折曲線における一点鎖線は山折り線を表し、破線は谷折り線を表しており、
図3及び
図4においても同様である。
【0074】
ここまでの工程によって、底面板2の上に離間してY軸方向(前後方向)に延在する第1角筒部6及び第2角筒部7と、第1角筒部6の筒部上面(第1上面板62)と該筒部上面から垂下する筒部側面(第1内方側面板63)とでなす角部に形成される第1凹所81と、第2角筒部7の筒部上面(第2上面板72)と該筒部上面から垂下する筒部側面(第2内方側面板73)とでなす角部に形成されて、第1凹所81と対向する第2凹所82と、を有し、被包装体である化粧皿90(
図3(b)参照)を第1凹所81及び第2凹所82に掛け渡された状態で保持される包装体100が得られる。
【0075】
第1凹所81は、第1角筒部6の第1上面板62と、この第1上面板62から垂下する第1内方側面板63とでなす角部に、内側へ凹むようにして形成されている。第1凹所81は、凹所底部81aと凹所側壁81bにより断面L字形に形成される(
図5参照)。
【0076】
同様に、第2凹所82は、第2角筒部7の第2上面板72と、この第2上面板72から垂下する第2内方側面板73とでなす角部に、内側へ凹むようにして形成されている。第2凹所82は、凹所底部82aと凹所側壁82bにより断面L字形に形成される(
図5参照)。
【0077】
続いて、
図3(a)に示すように、折曲線F13を山折りして内フラップ65、75のそれぞれを折り曲げた後、折曲線F14、F15を山折りして差込片67、77を第1角筒部6、第2角筒部7のそれぞれの内方へ差し込み、
図3(b)に示す状態とする。
【0078】
ここまでの工程によって、第1角筒部6及び第2角筒部7のそれぞれの開口部が、第1角筒部6及び第2角筒部7のそれぞれの筒部上面(第1上面板62、第2上面板72)から垂下する外フラップ(66、76)及び差込片(67、77)により閉塞された包装体100が得られる。
【0079】
続いて、
図3(b)に示すように、ファンデーション等の化粧料が、打型や湿式充填等の方法で充填固化された化粧皿90を準備する。
【0080】
化粧皿90は、充填された化粧料を保持するものであって、
図3(b)及び
図5に示すように、底面90aと、底面90aの周縁部から立ち上げて形成された側壁90bとを備えて構成される。化粧皿90は、一例としてアルミニウムにより扁平な皿状に一体成形したものを用いることができるが、本発明においては特に限定されるものではない。
図3等においては、化粧皿90は、平面視、一例として略角丸四角形状に形成されたものを表しているが、化粧皿90の外形形態は特に限定されるものではない。
【0081】
図3(b)に示すように、化粧皿90を第1凹所81の凹所底部81aと第2凹所82の凹所底部82aに載置させる。
【0082】
これにより、化粧皿90の一部が第1凹所81に収容され、化粧皿90の他の一部が第2凹所82に収容されることにより、化粧皿90が第1凹所81及び第2凹所82に掛け渡された状態となる。
【0083】
本実施形態において、化粧皿90の一部とは、
図3(b)に示すように、化粧皿90の2つの丸角部を含む一側91であり、化粧皿90の他の一部とは、化粧皿90の残りの2つの丸角部を含む他側92である。
【0084】
続いて、
図4(a)に示すように、折曲線F11を谷折りして第2側面板3bを外フラップ66、76に当接させ、折曲線F12を谷折りして副蓋板5を第1上面板62及び第2上面板72側に倒す。これにより、第2側面板3bと面一の指掛かり32が僅かに立ち上がる(
図4(b)参照)。
【0085】
また、折曲線F8を谷折りして第1側面板3aが外フラップ66、76に当接するまで、第1側面板3a及び蓋板4を折り上げ、
図4(b)に示す状態とする。
【0086】
続いて、
図4(b)に示すように、折曲線F9を谷折りして蓋板4を副蓋板5側に倒す。更に、
図4(c)に示すように、折曲線F10を谷折りして蓋板4から折り曲げられた舌片4aを、第3スリットC3に完全に挿入させて蓋板4をロックすることにより、包装が完了する。
【0087】
これにより、第1角筒部6及び第2角筒部7の延在方向(前後方向・Y軸方向)と直交する方向(左右方向・X軸方向)に沿って設けられ、かつ、底面板2から立ち上がる側面板(第1側面板3a、第2側面板3b)を有し、化粧皿90の上面側を閉塞可能な蓋板4が、側面板(第1側面板3a)から延設された包装体100が得られる。
【0088】
次に、包装体100の開封工程について、
図6を参照して説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る化粧皿包装体の開封工程を示す図であり、(a)は、化粧皿包装体の開封前の状態を示す斜視図、(b)は、開封線を破断させた状態を示す斜視図、(c)は、蓋板を展開した状態を示す斜視図、(d)は、上面板を展開した状態を示す斜視図である。
【0089】
図6(a)に示すように、化粧皿90を包装した状態の包装体100を開封するときは、指掛かり32に指をかけて外側に力を加え、一対の開封線Pを破断させていく。
【0090】
図6(b)に示すように、開封線Pを完全に破断させると、第2側面板3bから切離部30が切離される。これにより露出した舌片4aを摘み、蓋板4全体を矢印方向に引き上げて、
図6(c)に示す状態とする。
【0091】
最後に、副蓋板5を、
図6(c)に示す矢印方向に開くことにより、
図6(d)に示すように化粧皿90が露出し、化粧皿90に充填された化粧料(バルク)に触れることなく、両矢印方向から化粧皿90の側壁90bを摘んで取り出すことができる状態となる。
【0092】
以上のように構成されたブランク1及び包装体100によれば、以下のような効果を奏する。
【0093】
図5に示すように、包装体100は、化粧皿90の一側91を第1凹所81の凹所底部81aに載置し、化粧皿90の他側92を第2凹所82の凹所底部82bに載置することで、化粧皿90を第1凹所81及び第2凹所82に掛け渡された状態で保持する構成となっている。このため、包装体100は、化粧皿90の底部90aの中央部分には当接しない構造、換言すれば、化粧皿90の底部90aの中央部分の下方に空間を有する構造としたことにより、化粧皿90の底部90aの中央部分に対して衝撃が伝達され難く、緩衝効果の高い包装を実現することができる。
【0094】
また、
図5に示すように、包装体100によれば、第1角筒部6及び第2角筒部7に形成される第1凹所81、第2凹所82の近傍が中空の階段構造をなすため適度な弾力があり、緩衝効果の高い包装を実現することができる。
【0095】
また、
図1に示すように、ブランク1によれば、第1上面板62及び第2上面板72のX軸方向の長さは、底面板2のX軸方向の長さの2分の1よりも短く設定される。より好ましくは、第1上面板62及び第2上面板72のX軸方向の長さは、「{(底面板2のX軸方向の長さ)-(人の指の幅)}/2」により求まる値以下に設定される。このように寸法付けされたブランク1で形成した包装体100は、開封して
図6(d)に示すように化粧皿90を露出した状態において、第1角筒部6と第2角筒部7との間に前後両方向(Y軸方向に沿った両矢印方向)から指を差し入れ、化粧皿90の側壁90bを摘むことができる構成であるため、化粧皿90に充填された化粧料(バルク)に触れることなく、化粧皿90を容易に取り出すことができる。
【0096】
また、包装体100によれば、化粧皿90の側壁90bのうち、第1凹所81及び第2凹所82に覆われていない開放部分(主に、側壁90bの正面側及び背面側)を、第1側面板3a及び第2側面板3bにより覆い、化粧皿90の上面(化粧料のバルク面)を、蓋板4により覆う構成であるため、外箱として化粧皿90の全方位を完全に覆うことができ、化粧皿90に充填された化粧料の飛散防止が図られる。
【0097】
また、包装体100は、第1角筒部6及び第2角筒部7の延在方向(前後方向・Y軸方向)と直交する方向(左右方向・X軸方向)に沿って設けられる第1側面板3a及び第2側面板3bを有し、化粧皿90の上面側を閉塞可能な蓋板4が、第1側面板3aから延設される構成なので、第1角筒部6と第2角筒部7との離間部分は、第1側面板3a及び第2側面板3bによって覆うことができ、そのための別パーツを設ける必要がない。そのため、より少ない構成部材によって化粧皿90の全方位を覆うことができ、構成資材を減らして製造コストの削減を図ることができる。
【0098】
また、
図5に示すように、包装体100は、第1凹所81及び第2凹所82の凹所底部81a、82aから、第1角筒部6及び第2角筒部7の筒部上面(第1上面板62、第2上面板72)までの高さH1(即ち、凹所側壁81b、82bの高さ)が、化粧皿90の高さH2よりも高く設定されている。これにより、包装された状態の包装体100に蓋板4側から加えられた衝撃が吸収されるため、化粧皿90の上面(化粧料のバルク面)への緩衝効果が得られる。
【0099】
本実施形態に係る包装体100は、第1角筒部6及び第2角筒部7のそれぞれの開口部が、第1角筒部6及び第2角筒部7のそれぞれの筒部上面(第1上面板62、第2上面板72)から垂下する外フラップ(66、76)及び差込片(67、77)により閉塞される構成である。これにより、第1角筒部6及び第2角筒部7の立体状態が強固に維持されるため、包装体100の歪みが防止されると共に剛性も向上する。
【0100】
また、ブランク1は、被包装体である化粧皿90の寸法に対応させて、第1凹所形成用のスリット(第1スリットC1)及び折曲線(F3a、F4a、F6a)並びに第2凹所形成用のスリット(第2スリットC2)及び折曲線(F3b、F4b、F6b)が形成されているため、包装体100によれば、第1凹所81が、第1凹所81に収容される化粧皿90の部位(一側91)に対応した形状に形成され、第2凹所82が、第2凹所82に収容される化粧皿90の他の部位(他側92)に対応した形状に形成される。これにより、包装体100によれば、第1凹部81、第2凹部82の凹部側壁81a、82aを含む各所が、化粧皿90の前後左右の側壁90bを支持するため、化粧皿90の水平方向(左右方向・X軸方向、前後方向・Y軸方向)の移動が規制され、化粧皿90が強固に固定される。
【0101】
また、包装体100は、製造が極めて容易な1枚のシート状のブランク1から、接着や折曲げという簡易な工程のみで化粧皿90の包装を完了することができる。
【0102】
また、包装体100は、破断線Pを破断させることなく舌片4aを第3スリットC3から無理に引き抜けば、舌片4aや第3スリットC3にダメージが残るため、上記した開封方法以外の方法で開封することは困難である。そのため、未開封であるか否かを容易に判断できるため、未開封(バージン)性を担保することができる。
【0103】
また、
図6(d)のように開封された包装体100は、蓋板4、第1側面板3a、第2側面板3b、副蓋板5が完全に展開された状態とすることができる。これにより、包装体100の内側となる面に予め記載されていた情報を、蓋板4、第1側面板3a、第2側面板3b、副蓋板5という広い紙面において確認され得る状態となる。即ち、包装体100の開封という作業を行うだけで、包装体100の内側となる面に記載されている情報を広い紙面で直ちに確認できるため利便性がよく、ひいては別紙による能書などを準備・同封する必要がないため、製造工程を短縮しかつコストを削減することができる。
【0104】
また、従来は、化粧料が充填された化粧皿と、緩衝構造のあるレフィルケースと、外箱(輸送用組箱)と、同封用の能書とを準備して、化粧皿を包装する必要があったところ、包装体100によれば、従来のレフィルケース及び能書を省略して、化粧皿を外箱である包装体100により直接包装することができるので、構成資材を格段に減らして製造コストの削減を図ることができる。
【0105】
また、本実施形態による包装体100又はブランク1によれば、従来のように化粧皿を一次収容するレフィルケースを必要としないため、包装体100やブランク1の製造に必要な原料(例えばパルプ)は、従来のレフィルケース及び包装体の製造に用いられていた量よりも削減することができ、環境問題及び資源問題により対応した包装体及びブランクを提供することができる。
【0106】
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的または本発明の思想の範囲内において改良または変更が可能である。
【0107】
例えば、上記実施形態に係る包装体100における第1角筒部6の筒部上面(第1上面板62)及び第2角筒部7の筒部上面(第2上面板72)に張設されたフィルムシート(不図示)を有する構成としてもよい。これにより、化粧皿90に充填された化粧料の保護及び飛散防止が図られる。また、第1角筒部6と第2角筒部7とがフィルムシートで連結されることにより、化粧皿90をより強固に保持でき、包装体100の剛性も向上する。
【符号の説明】
【0108】
1 ブランク(化粧皿包装体形成用ブランク)
2 底面板
3a 第1側面板
3b 第2側面板
4 蓋板
4a 舌片
5 副蓋板
6 第1角筒部
7 第2角筒部
30 切離部
32 指掛かり
61 第1外方側面板
62 第1上面板(筒部上面)
63 第1内方側面板(筒部側面)
64 第1固着板
65 内フラップ
66 外フラップ
67 差込片
71 第2外方側面板
72 第2上面板(筒部上面)
73 第2内方側面板(筒部側面)
74 第2固着板
75 内フラップ
76 外フラップ
77 差込片
81 第1凹所
81a 凹所底部
81b 凹所側壁
82 第2凹所
82a 凹所底部
82b 凹所側壁
90 化粧皿
90a 底面
90b 側壁
91 一側(部位)
92 他側(他の部位)
100 包装体(化粧皿包装体)
C1 第1スリット(第1凹所形成用スリット)
C2 第2スリット(第2凹所形成用スリット)
C3 第3スリット
F1a、F1b、F2a、F2b、F3a、F3b、F4a、F4b、F5a、F5b、F6a、F6b、F7a、F7b、F8~F15 折曲線
P 開封線
H1、H2 高さ
【手続補正書】
【提出日】2024-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面板の上に離間して延在する第1角筒部及び第2角筒部と、
前記第1角筒部の筒部上面と該筒部上面から垂下する筒部側面とでなす角部に形成される第1凹所と、
前記第2角筒部の筒部上面と該筒部上面から垂下する筒部側面とでなす角部に形成されて、前記第1凹所と対向する第2凹所と、を有し、
前記第1凹所の凹所底部及び前記第2凹所の凹所底部は、それぞれ前記底面板から離間しており、
被包装体である化粧皿の一側が前記第1凹所の凹所底部に載置され、前記化粧皿の他側が前記第2凹所の凹所底部に載置されることにより、前記化粧皿が前記第1凹所及び前記第2凹所に掛け渡された状態で保持されること
を特徴とする化粧皿包装体。
【請求項2】
前記第1角筒部及び前記第2角筒部の延在方向と直交する方向に沿って、かつ、前記底面板から立ち上がる第1側面板を有し、前記化粧皿の上面側を閉塞可能な蓋板が、前記第1側面板から延設され、
前記蓋板に連設された舌片を有し、
前記底面板から立ち上がり、かつ、前記第1側面板と対向する第2側面板を有し、前記第2側面板から副蓋板が延設され、
前記第2側面板と前記副蓋板との境界の折曲線の中央部に、前記舌片を係止するスリットが、前記舌片の幅に対応した長さで形成され、
前記スリットの両端から前記底面板と前記第2側面板との境界の折曲線に向かって設けられた一対の開封線を有すること
を特徴とする請求項1に記載の化粧皿包装体。
【請求項3】
前記スリットにより、前記第2側面板と面一に立ち上がる指掛かりが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項4】
前記第1角筒部及び前記第2角筒部のそれぞれの開口部は、前記第1角筒部及び前記第2角筒部のそれぞれの前記筒部上面から垂下する外フラップ及び差込片により閉塞されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項5】
前記第1凹所は、前記第1凹所に収容される前記化粧皿の部位に対応した形状に形成されており、前記第2凹所は、前記第2凹所に収容される前記化粧皿の他の部位に対応した形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項6】
前記第1角筒部の筒部上面及び前記第2角筒部の筒部上面に張設されたフィルムシートを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項7】
前記化粧皿包装体は、1枚のシート状のブランクからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧皿包装体。
【請求項8】
請求項1又は請求項2のいずれか1に記載の化粧皿包装体を形成可能な化粧皿包装体形成用ブランク。
【請求項9】
底面板と、
前記底面板の第1辺に隣接して前記底面板に連設された第1側面板と、前記第1側面板に連設された蓋板と、
前記底面板の前記第1辺と対向する第2辺に隣接して前記底面板に連設された第2側面板と、前記第2側面板に連設された副蓋板と、
前記底面板の前記第1辺と直交する第3辺に隣接して前記底面板に連設された第1外方側面板と、前記第1外方側面板に連設された第1上面板と、前記第1上面板に連設された第1内方側面板と、前記第1内方側面板に連設された第1固着板と、
前記底面板の前記第3辺と対向する第4辺に隣接して前記底面板に連設された第2外方側面板と、前記第2外方側面板に連設された第2上面板と、前記第2上面板に連設された第2内方側面板と、前記第2内方側面板に連設された第2固着板と、有し、
前記第1上面板及び前記第1内方側面板には、第1凹所形成用の第1スリット及び折曲線が、前記第1外方側面板と前記第1上面板との境界の折曲線から離間させて形成され、
前記第2上面板及び前記第2内方側面板には、第2凹所形成用の第2スリット及び折曲線が、前記第2外方側面板と前記第2上面板との境界の折曲線から離間させて形成され、
前記第1外方側面板、前記第1内方側面板、前記第2外方側面板及び前記第2内方側面板は、それぞれ内フラップを連続的に備え、前記第1上面板及び前記第2上面板は、それぞれ外フラップを連続的に備え、前記外フラップは、それぞれ差込片を連続的に備えること
を特徴とする化粧皿包装体形成用ブランク。
【請求項10】
前記蓋板に連設された舌片を有し、前記第2側面板と前記副蓋板との境界の折曲線の中央部に、前記舌片を係止するための第3スリットが、前記舌片の幅に対応した長さで形成され、前記第3スリットの両端から前記底面板と前記第2側面板との境界の折曲線に向かって設けられた一対の開封線を有することを特徴とする請求項9に記載の化粧皿包装体形成用ブランク。