(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155422
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/02 20060101AFI20241024BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G03G15/02 102
G03G21/00 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070121
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木原 汐里
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽介
(72)【発明者】
【氏名】染手 麻希
【テーマコード(参考)】
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H200GA12
2H200GA18
2H200GA23
2H200GA45
2H200HA02
2H200HB12
2H200HB22
2H200HB45
2H200HB47
2H200HB48
2H200JA01
2H200JB10
2H200JC03
2H200MA03
2H200MC01
2H200NA02
2H200NA06
2H200PA03
2H200PB04
2H200PB05
2H200PB24
2H200PB26
2H270KA22
2H270LA02
2H270LA04
2H270MA02
2H270MA08
2H270RA14
2H270RB03
2H270RC03
2H270RC04
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制しながら帯電部材の寿命予測の精度を向上可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部は、帯電部材の初期状態を検知する初期検知モードと、帯電部材の交換時期を判定する判定モードと、を実行可能であり、初期検知モードの実行時に、初期帯電開始電圧と、初期変曲点ピーク間電圧と、を記憶する。初期帯電開始電圧は、直流成分のみから成る直流電圧を帯電部材に印可して電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出される。初期変曲点ピーク間電圧は、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を前記帯電部材に印可して前記電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出される。判定モードの実行時に、帯電開始電圧と、変曲点ピーク間電圧と、初期帯電開始電圧と、初期変曲点ピーク間電圧と、に基づいて帯電部材の交換時期を判定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に感光層が形成された像担持体と、
前記像担持体に対向配置され、前記像担持体を帯電させる帯電部材を有する帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像担持体を露光することにより静電潜像を形成する露光装置と、
前記像担持体に対向配置され、現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記像担持体に形成された前記静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、
を含む画像形成部と、
前記帯電部材に電圧を印加する帯電電圧電源と、
前記帯電部材に電圧を印加したときに前記帯電部材と前記像担持体との間に流れる直流電流値を検出する電流検出部と、
前記画像形成部及び前記帯電電圧電源を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置において、
前記制御部は、前記帯電部材の初期状態を検知する初期検知モードと、前記帯電部材の交換時期を判定する判定モードと、を実行可能であり、
前記初期検知モードの実行時に、直流成分のみから成る直流電圧を前記帯電部材に印可して前記電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出された初期帯電開始電圧と、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を前記帯電部材に印可して前記電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出された初期変曲点ピーク間電圧と、を記憶し、
前記判定モードの実行時に、直流成分のみから成る直流電圧を前記帯電部材に印可して前記電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出された帯電開始電圧と、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を前記帯電部材に印可して前記電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出された変曲点ピーク間電圧と、前記初期帯電開始電圧と、前記初期変曲点ピーク間電圧と、に基づいて前記帯電部材の交換時期を判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記初期検知モードの実行時に、前記初期変曲点ピーク間電圧を前記初期帯電開始電圧で除算した値を記憶し、前記判定モードの実行時に、前記変曲点ピーク間電圧を前記帯電開始電圧で除算した値と、前記初期変曲点ピーク間電圧を前記初期帯電開始電圧で除算した値と、を比較して前記帯電部材の交換時期を判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像形成部が画像を形成したシートの画像形成枚数を認識し、前記画像形成枚数が、前回の前記帯電部材の交換から予め定められた閾値枚数に達するまで、次の前記判定モードを実行しないことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記帯電部材の抵抗値が、4.0logΩ以上7.0logΩ以下であるときに、前記判定モードを実行することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光層は、アモルファスシリコンから成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は特許文献1に開示されている。この画像形成装置は、画像形成部と、帯電電圧電源と、温度検出部と、制御部と、を備える。画像形成部は、像担持体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、を含む。像担持体は、表面に感光層が形成されている。帯電装置は、像担持体に対向配置され、像担持体を帯電させる帯電部材を有する。露光装置は、帯電装置により帯電された像担持体を露光することにより静電潜像を形成する。現像装置は、像担持体に対向配置され、現像剤を担持する現像剤担持体を有し、像担持体に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。
【0003】
帯電電圧電源は、帯電部材に電圧を印加する。温度検知部は、帯電部材の温度を検知する。制御部は、画像形成部及び帯電電圧電源を制御する。
【0004】
制御部は、温度検知部が検知する帯電部材の温度と、帯電部材に印可する電圧と、に基づいて帯電部材の寿命を予測して帯電部材の交換時期を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、温度検知部の感度が低い場合に帯電部材の寿命予測の精度が低下する。このため、温度検知部の感度を向上するために製造コストが上昇する問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、製造コストを抑制しながら帯電部材の寿命予測の精度を向上可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、画像形成部と、帯電電圧電源と、電流検出部と、制御部と、を備えた画像形成装置である。画像形成部は、像担持体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、を含む。像担持体は、表面に感光層が形成される。帯電装置は、像担持体に対向配置され、像担持体を帯電させる帯電部材を有する。露光装置は、帯電装置により帯電された像担持体を露光することにより静電潜像を形成する。現像装置は、像担持体に対向配置され、現像剤を担持する現像剤担持体を有し、像担持体に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。帯電電圧電源は、帯電部材に電圧を印加する。電流検出部は、帯電部材に電圧を印加したときに帯電部材と像担持体との間に流れる直流電流値を検出する。制御部は、画像形成部及び帯電電圧電源を制御する。制御部は、帯電部材の初期状態を検知する初期検知モードと、帯電部材の交換時期を判定する判定モードと、を実行可能であり、初期検知モードの実行時に、初期帯電開始電圧と、初期変曲点ピーク間電圧と、を記憶する。初期帯電開始電圧は、直流成分のみから成る直流電圧を帯電部材に印可して電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出される。初期変曲点ピーク間電圧は、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を帯電部材に印可して電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出される。判定モードの実行時に、帯電開始電圧と、変曲点ピーク間電圧と、初期帯電開始電圧と、初期変曲点ピーク間電圧と、に基づいて帯電部材の交換時期を判定する。帯電開始電圧は、直流成分のみから成る直流電圧を帯電部材に印可して電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出される。変曲点ピーク間電圧は、帯電開始電圧と、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧を帯電部材に印可して電流検出部が検出する直流電流値に基づいて算出される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の構成によれば、製造コストを抑制しながら帯電部材の寿命予測の精度を向上可能な画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の内部構成を示す側面断面図
【
図2】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の制御経路を含む画像形成部Pa周辺の部分拡大図
【
図3】本発明の第1実施形態に係る帯電ローラー34に印可した直流電圧Vdcと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフ
【
図4】本発明の第1実施形態に係る帯電ローラー34に印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフ
【
図5】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の判定モードの実行例を示すフローチャート
【
図6】本発明の第2実施形態に係る帯電ローラー34に印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフ
【
図7】本発明の第3実施形態に係る帯電ローラー34に印可した直流電圧Vdcと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフ
【
図8】本発明の第3実施形態に係る帯電ローラー34に印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す断面図であり、
図2は、画像形成装置100の制御経路を含む画像形成部Pa周辺の部分拡大図である。なお、画像形成部Pb~Pdの構成及び帯電装置2a~2dの制御経路は、画像形成部Paの構成及び帯電装置2aの制御経路と同様であるため説明を省略する。
【0012】
画像形成装置100は、画像形成部Pa~Pdと、一次転写ローラー(転写部材)6a~6dと、帯電電圧電源45と、電流検出部46と、主制御部(制御部)80と、を備える。
【0013】
画像形成装置100(ここではカラープリンター)本体内において、4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(
図1では左側)から順に配設されている。画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0014】
画像形成部Pa~Pdは、一次転写ローラー(転写部材)6a~6dと、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a~1dと、帯電装置2a~2dと、露光装置5と、現像装置3a~3dと、を含む。また、各画像形成部Pa~Pdに隣接して、駆動手段(図示せず)により
図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト(被転写体)8が設けられている。
【0015】
一次転写ローラー(転写部材)6a~6dは、感光体ドラム(像担持体)1a~1dに対向配置され、所定の転写電圧が印可されて感光体ドラム(像担持体)1a~1d上に形成された各色の可視像(トナー像)を中間転写ベルト(被転写体)8に転写する。これにより、感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。
【0016】
中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としてのシートS上に二次転写される。トナー像が二次転写されるシートSは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されている。シートSは、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。
【0017】
中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0018】
感光体ドラム(像担持体)1a~1dは、表面に感光層(不図示)が形成されている。本実施形態では、感光体ドラム(像担持体)1a~1dは、アルミニウム製シリンダの表面に感光層が形成されており、感光層は、正帯電性光導電体であるアモルファスシリコンが蒸着されて形成されている。すなわち、感光層は、アモルファスシリコンから成る。
【0019】
帯電装置2a~2dは、それぞれ帯電ローラー(帯電部材)34を有する。各帯電ローラー34は、感光体ドラム(像担持体)1a~1dに対向配置され、感光体ドラム(像担持体)1a~1dを帯電させる。帯電ローラー34は、例えば、芯金に導電性のある弾性材料であるエピクロルヒドリンゴム層を被覆して形成される。本実施形態では、帯電ローラー34は、感光体ドラム1a~1dにそれぞれ接触している。
【0020】
露光装置5は、帯電装置2a~2dにより帯電された感光体ドラム(像担持体)1a~1dを露光することにより静電潜像を形成する。
【0021】
現像装置3a~3dは、感光体ドラム(像担持体)1a~1dに対向配置され、現像ローラー(現像剤担持体)31を有する。現像装置3a~3dは、現像ローラー(現像剤担持体)31に所定の現像電圧を印加して感光体ドラム(像担持体)1a~1dに形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。現像ローラー(現像剤担持体)31は、感光体ドラム(像担持体)1a~1dに対向配置され、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を担持する。
【0022】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0023】
現像装置3a~3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0024】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0025】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、シートSがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像がシートS上に二次転写される。トナー像が二次転写されたシートSは定着部13へと搬送される。
【0026】
定着部13に搬送されたシートSは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像がシートSの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成されたシートSは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0027】
さらに、中間転写ベルト8を挟んで駆動ローラー11と対向する位置には画像濃度センサー40が配置されている。画像濃度センサー40は、中間転写ベルト8上のトナー付着量を測定する。
【0028】
帯電ローラー34は、帯電電圧電源45に接続されている(
図2参照)。帯電電圧電源45は、帯電ローラー(帯電部材)34に電圧を印加する。具体的には、帯電電圧電源45は、交流定電圧電源45aと、直流定電圧電源45bとを備える。交流定電圧電源45aは、昇圧トランス(図示せず)を用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を出力する。直流定電圧電源45bは、昇圧トランスを用いてパルス状に変調した低圧直流電圧から発生させた正弦波の交流電圧を整流した直流電圧を出力する。
【0029】
帯電電圧電源45は、画像形成時には交流定電圧電源45a及び直流定電圧電源45bから直流電圧に交流電圧を重畳させた帯電電圧を帯電ローラー(帯電部材)34に印可する。また、帯電電圧電源45は、後述する初期検知モード及び判定モードの実行時には、帯電電圧又は直流電圧のみをローラー(帯電部材)34に印可する。電流検出部46は、帯電ローラー(帯電部材)34に電圧を印加したときに帯電ローラー34と感光体ドラム(像担持体)1aとの間に流れる直流電流値Idcを検出する。
【0030】
現像電圧電源43は、現像ローラー31に直流電圧に交流電圧が重畳された現像電圧を印加する。現像電圧電源43の構成は帯電電圧電源45と同様である。転写電圧電源47は、一次転写ローラー6a~6d、二次転写ローラー9(
図1参照)に、それぞれ一次転写電圧、二次転写電圧を印加する。
【0031】
クリーニング装置7aは、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するクリーニングブレード32と、感光体ドラム1a表面の残留トナーを除去するとともに感光体ドラム1a表面を摺擦して研磨する摺擦ローラー33と、クリーニングブレード32及び摺擦ローラー33によって感光体ドラム1aから除去された残留トナーをクリーニング装置7aの外部に排出する搬送スパイラル35と、を含む。
【0032】
画像形成装置100には、CPU等で構成される主制御部80が設けられている。主制御部80は、ROMやRAM等からなる記憶部70に接続される。主制御部80は、記憶部70に格納された制御プログラムや制御用データに基づいて画像形成装置100の各部(帯電装置2a~2d、現像装置3a~3d、露光装置5、一次転写ローラー6a~6d、クリーニング装置7a~7d、二次転写ローラー9、定着部13、現像電圧電源43、電流検出部46、帯電電圧電源45、転写電圧電源47、電圧制御部50等)を制御する。
【0033】
電圧制御部50は、現像ローラー31に現像電圧を印加する現像電圧電源43、帯電ローラー34に帯電電圧を印加する帯電電圧電源45、一次転写ローラー6a~6d及び二次転写ローラー9に転写電圧を印加する転写電圧電源47を制御する。なお、電圧制御部50は、記憶部70に記憶される制御プログラムで構成されていてもよい。
【0034】
主制御部80には液晶表示部90、送受信部91が接続されている。液晶表示部90は、ユーザーが画像形成装置100の各種設定を行うためのタッチパネルとして機能するとともに、画像形成装置100の状態、画像形成状況や印字枚数等を表示する。送受信部91は、電話回線やインターネット回線を用いて外部との通信を行う。
【0035】
主制御部(制御部)80は、通常の画像形成モードとは別に帯電ローラー(帯電部材)34の交換時期を判定する判定モードを実行可能である。主制御部80は、判定モードの実行により、帯電開始電圧Vdc(P)と、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)と、に基づいて帯電ローラー34の寿命を予測して帯電ローラー34の交換時期を判定する。
【0036】
帯電ローラー34は、所定の直流電圧Vdcを印可したときに帯電が開始される。すなわち、帯電開始電圧Vdc(P)は、帯電ローラー34が帯電を開始する電圧であり、帯電ローラー34に帯電開始電圧Vdc(P)より大きい電圧を印可したときに、帯電ローラー34は帯電する。
【0037】
本実施形態では、帯電開始電圧Vdc(P)は、直流成分のみから成る直流電圧Vdcを帯電ローラー34に印可して電流検出部46が検出する直流電流値Idcに基づいて算出される。なお、電流検出部46が検出する直流電流値Idcは、感光体ドラム1a表面の帯電電位に対応しており、直流電流値Idcを検出することにより、帯電開始電圧Vdc(P)を算出できる。
【0038】
図3は、帯電ローラー34に印可した直流電圧Vdcと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフである。異なる二つの直流電圧Vdc(A)、Vdc(B)を印加したときに検出される直流電流値Idc(A)、Idc(B)に基づいて座標A(Vdc(A)、Idc(A))、座標B(Vdc(B)、Idc(B))が得られる。また、座標A(Vdc(A)、Idc(A))、座標B(Vdc(B)、Idc(B))を通る直線L1が得らえる。これにより、直線L1と直流電圧Vdcを表す座標軸との交点Pから帯電開始電圧Vdc(P)が算出される。
【0039】
すなわち、帯電開始電圧Vdc(P)は、帯電ローラー34に印可する直流電圧Vdcと電流検出部46が検出する直流電流値との相関関係から取得される関係式(1)から算出される。具体的には、関係式(1)から、帯電開始電圧Vdc(P)は、b1/a1であると算出される。
y=a1x-b1 ・・・(1)
【0040】
なお、帯電ローラー34に印可する直流電圧Vdcの回数を3回以上に増やして、電流検出部46の検出する直流電流値Idcの平均値から関係式(1)を算出してもよい。これにより、帯電開始電圧Vdc(P)の算出精度を向上できる。
【0041】
感光体ドラム1aは、帯電ローラー34に直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧Vppを印可することにより帯電する。このとき、帯電電圧Vppを変化させて印可したときに、感光体ドラム1aの帯電電位は、印可する帯電電圧Vppに比例して上昇する。また、印可する帯電電圧Vppが変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)より大きくなった時に、感光体ドラム1aの帯電電位は、上昇率が低下する。
【0042】
本実施形態では、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧Vppを帯電ローラー34に印可して電流検出部46が検出する直流電流値Idcに基づいて算出される。なお、電流検出部46が検出する直流電流値Idcは、感光体ドラム1a表面の帯電電位に対応しており、直流電流値Idcを検出することにより、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を算出できる。
【0043】
図4は、帯電ローラー34に印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフである。変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、帯電開始電圧Vdc(P)から決定される基準電圧Vpp(S)に基づいて決定された帯電電圧Vppを帯電ローラー34に印可して電流検出部46が検出する直流電流値Idcに基づいて算出される。
【0044】
例えば、基準電圧Vpp(S)は、帯電開始電圧Vdc(P)に所定の定数を乗じて設定される。基準電圧Vpp(S)は、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を想定した電圧である。基準電圧Vpp(S)は、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)よりも小さい電圧又は変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)よりも大きい電圧を予想する際に用いられる。
【0045】
帯電開始電圧Vdc(P)及び変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度の変化により変動するため、帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度に応じた帯電開始電圧Vdc(P)をまず算出する。次に、算出された帯電開始電圧Vdc(P)から基準電圧Vpp(S)を想定する。これにより、帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度の変化に応じた変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を精度高く予想できる。
【0046】
帯電開始電圧Vdc(P)に乗じられる所定の定数は、例えば、帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度に基づいて予め記憶部70に記憶されたテーブルデータに基づいて決定される。また、基準電圧Vpp(S)は、帯電開始電圧Vdc(P)を偏するとする関数により決定されてもよい。
【0047】
異なる二つの帯電電圧Vpp(C)、Vpp(D)を印加したときに検出される直流電流値Idc(C)、Idc(D)に基づいて座標C(Vpp(C)、Idc(C))、座標D(Vpp(D)、Idc(D))が得られる。なお、異なる二つの帯電電圧Vpp(C)、Vpp(D)は、基準電圧Vpp(S)より小さい値が選択される。これにより、座標C(Vpp(C)、Idc(C))、座標D(Vpp(D)、Idc(D))を通る直線L2が得らえる。
【0048】
次に、基準電圧Vpp(S)より大きい帯電電圧Vpp(E)を印加したときに検出される直流電流値Idc(E)に基づいて座標E(Vpp(E)、Idc(E))が得られる。これにより、座標E(Vpp(E)、Idc(E))を通り、帯電電圧Vppを表す座標軸に平行な直線L3が得られる。直線L2と直線L3との交点の座標Q(Vpp(Q)、Idc(Q))から変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)が得られる。
【0049】
変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)と想定される基準電圧Vpp(S)よりも小さい帯電電圧Vppを帯電ローラー34に段階的に印可し、電流検出部46が検出する各直流電流値Idcを取得する。これにより、印可した帯電電圧Vppと検出された直流電流値Idcとから、関係式(2)が算出される。また、基準電圧Vpp(S)よりも大きい帯電電圧Vppを帯電ローラー34に印可し、電流検出部46が検出する直流電流値Idcを取得する。これにより、印可した帯電電圧Vppと検出された直流電流値Idcとから、関係式(3)が算出される。関係式(2)及び関係式(3)から変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)が算出される。
y=a2x-b2 (x<Vpp(S))・・・(2)
y=c(x≧Vpp(S))・・・(3)
【0050】
すなわち、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、基準電圧Vpp(S)よりも小さい複数の帯電電圧Vppを帯電ローラー34に印可し、印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する各直流電流値Idcとの相関関係から取得される関係式(2)と、基準電圧Vpp(S)よりも大きい複数の帯電電圧Vppを帯電ローラー34に印可し、印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの相関関係から取得される関係式(3)と、から算出される。具体的には、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、(c+b2)/a2であると算出される。
【0051】
なお、本実施形態では、基準電圧Vpp(S)に基づいて基準電圧Vpp(S)より小さい帯電電圧Vpp(C)、帯電電圧Vpp(D)を印可するとともに、基準電圧Vpp(S)より大きい帯電電圧Vpp(E)を印加したが、本発明はこれに限定されない。例えば、帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度に基づいて予め記憶部70に記憶されたテーブルデータに基づいて帯電電圧Vpp(C)、帯電電圧Vpp(D)、帯電電圧Vpp(E)を設定してもよい。
【0052】
なお、帯電開始電圧Vdc(P)及び変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度の変化により変動する。このため、帯電開始電圧Vdc(P)に基づいて基準電圧Vpp(S)を算出することにより、直線L2及び直線L3を得る際に印可する帯電電圧Vppを変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)の前後に精度よく決定することができる。これにより、帯電電圧Vppの印可回数を抑制しながら関係式(2)及び関係式(3)を容易に算出でき、判定モードの実行時間を短縮できる。また、帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度によって変化する変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)の算出精度が向上し、帯電ローラー34の寿命予測の精度を向上できる。
【0053】
また、帯電ローラー34に印可する基準電圧Vpp(S)よりも小さい帯電電圧Vppの回数を3回以上に増やして、電流検出部46の検出する直流電流値Idcの平均値から関係式(2)を算出してもよい。これにより、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)の算出精度をより向上することができる。
【0054】
また、帯電開始電圧Vdc(P)は、帯電ローラー34の所定幅の抵抗値の変化によって変動しないが、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、帯電ローラー34の所定幅の抵抗値の変化によって変動する。帯電ローラー34の抵抗値の変化は、帯電ローラー34の劣化によって変動する。例えば、印字枚数に応じて生じ、帯電ローラー34の導電層が劣化し、帯電ローラー34の抵抗値も変動する。帯電ローラー34の抵抗値が変動すると、画像濃度のムラが発生する。
【0055】
本実施形態では、帯電開始電圧Vdc(P)及び変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)に基づいて、帯電ローラー34の寿命予測を行い、帯電ローラー34の交換時期を判定する。具体的には、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値に基づいて帯電ローラー(帯電部材)34の寿命予測を行う。
【0056】
帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度が同じ場合に、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値は、帯電ローラー34の劣化により大きくなる。このとき、帯電開始電圧Vdc(P)は、帯電ローラー34の抵抗値の変化によって変動しない。このため、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)に対する帯電開始電圧Vdc(P)の比率は、帯電ローラー34の劣化(帯電ローラー34の抵抗値の上昇)に応じて大きくなる。従って、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値から帯電ローラー34の寿命予測を精度よく行うことができる。
【0057】
なお、本実施形態では、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値に基づいて帯電ローラー34の交換時期を判定するが、帯電開始電圧Vdc(P)及び変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)に基づいて他の方法により帯電ローラー34の交換時期を判定してもよい。
【0058】
帯電ローラー34の交換時期の判定は、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値が、予め記憶部70記憶されたテーブルに基づいて行われる。記憶部70記憶されたテーブルは、例えば、判定モードの実行時の帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度に応じて変更できる。これにより、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値に基づいて帯電ローラー34の交換時期を精度よく判定できる。
【0059】
なお、本実施形態では、主制御部(制御部)80は、帯電ローラー34の抵抗値が、4.0logΩ以上7.0logΩ以下であるときに、判定モードを実行する。すなわち、帯電ローラー34の抵抗値が、4.0(logΩ)より小さい又は7.0(logΩ)より大きい場合に、判定モードを実行しない。帯電ローラー34の抵抗値が、4.0(logΩ)より小さい又は7.0(logΩ)より大きい場合に、帯電開始電圧Vdc(P)より小さい電圧を印可したときに、帯電ローラー34が帯電する可能性がある。このため、関係式(1)から算出される帯電開始電圧Vdc(P)が実際の帯電開始電圧Vdc(P)に対してズレる可能性がある。
【0060】
主制御部(制御部)80は、画像形成部Pa~Pdが画像を形成したシートの画像形成枚数を認識し、画像形成枚数が、前回の帯電ローラー(帯電部材)34の交換から予め定められた閾値枚数に達するまで、次の判定モードを実行しない。例えば、判定モードの実行は、帯電ローラー34の耐久枚数である画像形成枚が1万枚に達するまで実行されない。これにより、通常の画像形成モードが実行されるたびに判定モードが実行され、通常の画像形成モードが遅延することを防止できる。
【0061】
また、帯電開始電圧Vdc(P)及び変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度の変化により変動する。このため、主制御部(制御部)80は、帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度の変化に応じて、次の判定モードを実行するか判定してもよい。
【0062】
図5は、画像形成装置100における判定モードの実行例を示すフローチャートである。ステップS1では、例えば、前回の帯電ローラー34の交換からの累積印字枚数が所定枚数(50k枚~100k枚)以上となっているか否かを判定する。前回の帯電ローラー34の交換からの累積印字枚数が所定枚数(50k枚~100k枚)未満の場合は、ステップS2に移行して通常の画像形成モードが実行される。一方、前回の帯電ローラー34の交換からの累積印字枚数が所定枚数(50k枚~100k枚)より多い場合は、ステップS3に移行して判定モードが実行される。
【0063】
ステップS3では、帯電開始電圧Vdc(P)を推定する。具体的には、上述したように主制御部(制御部)80が、帯電ローラー34に直流電圧Vdcを段階的に印可し、電流検出部46が検出する各直流電流値Idcを取得する。次に、主制御部(制御部)80は、印可した直流電圧Vdcと検出された直流電流値Idcとから、関係式(1)を算出する。次に、主制御部(制御部)80は、関係式(1)から帯電開始電圧Vdc(P)を推定する。
【0064】
ステップS4では、主制御部(制御部)80は、帯電開始電圧Vdc(P)に基づいて上述の基準電圧Vpp(S)を算出する。
【0065】
ステップS5では、上述したように、主制御部(制御部)80が、基準電圧Vpp(S)よりも小さい帯電電圧Vppを帯電ローラー34に段階的に印可し、電流検出部46が検出する各直流電流値Idcを取得する。次に、主制御部(制御部)80は、印可した帯電電圧Vppと検出された直流電流値Idcとから、上述の関係式(2)を算出する。
【0066】
ステップS6では、上述したように、主制御部(制御部)80が、基準電圧Vpp(S)よりも大きい帯電電圧Vppを帯電ローラー34に印可し、電流検出部46が検出する直流電流値Idcを取得する。次に、主制御部(制御部)80が、印可した帯電電圧Vppと検出された直流電流値Idcとから、関係式(3)を算出する。
【0067】
ステップS7では、主制御部(制御部)80が、関係式(2)及び関係式(3)から変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を推定する。
【0068】
ステップS8では、主制御部(制御部)80は、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値が、予め記憶部70に記憶されたテーブルに基づいて決められる所定値よりも大きいか否かを判定する。変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値が、所定値より大きい場合に、帯電ローラー34の交換時期にあると判定してステップS9に移行する。
【0069】
また、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値が、所定値以下の場合に、ステップS2に移行して通常の画像形成モードが実行される。
【0070】
ステップS9では、主制御部(制御部)80は、液晶表示部90に帯電ローラー34の交換を促すメッセージを表示する。
【0071】
本実施形態によると、帯電開始電圧Vdc(P)及び変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)に基づいて、帯電ローラー34の寿命予測を行い、帯電ローラー34の交換時期を判定することにより、製造コストを抑制しながら帯電ローラー34の寿命予測を精度よく行うことができる。
【0072】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る帯電ローラー34に印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフである。説明の便宜上、前述の
図1~
図5に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。第2実施形態では変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)の算出方法が異なる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0073】
本実施形態では、座標C(Vpp(C)、Idc(C))、座標D(Vpp(D)、Idc(D))を通る直線L2を得た後に、異なる二つの帯電電圧Vpp(F)、Vpp(G)を印加する。このときに検出される直流電流値Idc(F)、Idc(G)に基づいて座標F(Vpp(F)、Idc(F))、座標G(Vpp(G)、Idc(G))が得られる。このとき、異なる二つの帯電電圧Vpp(F)、Vpp(G)は、基準電圧Vpp(S)より大きい値が選択される。これにより、座標F(Vpp(F)、Idc(F))、座標G(Vpp(G)、Idc(G))を通る直線L4が得らえる。
【0074】
直線L2と直線L4との交点の座標Q(Vpp(Q)、Idc(Q))から変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)が得られる。
【0075】
すなわち、基準電圧Vpp(S)よりも大きい帯電電圧Vppを帯電ローラー34に段階的に印可し、電流検出部46が検出する直流電流値Idcを取得する。これにより、印可した帯電電圧Vppと検出された直流電流値Idcとから、関係式(4)が算出される。上述の関係式(2)及び関係式(4)から変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)が算出される。
y=a2x-b2 (x<Vpp(S))・・・(2)
y=a4x-b4(x≧Vpp(S))・・・(4)
【0076】
すなわち、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、基準電圧Vpp(S)よりも小さい複数の帯電電圧Vppを帯電ローラー34に印可し、印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する各直流電流値Idcとの相関関係から取得される関係式(2)と、基準電圧Vpp(S)よりも大きい複数の帯電電圧Vppを帯電ローラー34に印可し、印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する各直流電流値Idcとの相関関係から取得される関係式(4)と、から算出される。具体的には、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)は、(b2-b4)/(a2-a4)であると算出される。
【0077】
本実施形態によると、基準電圧Vpp(S)よりも大きい帯電電圧Vppを帯電ローラー34に段階的に印可し、電流検出部46が検出する直流電流値Idcを複数取得する。これにより、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)の算出精度がより向上し、帯電ローラー34の寿命予測の精度を向上できる。
【0078】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は、帯電ローラー34に印可した直流電圧Vdcと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフであり、
図8は、第3実施形態に係る帯電ローラー34に印可した帯電電圧Vppと電流検出部46が検出する直流電流値Idcとの関係を示すグラフである。説明の便宜上、前述の
図1~
図5に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付す。第3実施形態では帯電ローラー34の交換時期の判定方法が異なる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0079】
主制御部(制御部)80は、通常の画像形成モード及び上述の判定モードとは別に初期検知モードを実行可能である。初期検知モードは、未使用の帯電ローラー34の初期状態を判定する。
【0080】
帯電ローラー34は、個体差によって抵抗値が異なるため、未使用の帯電ローラー34の初期状態において算出される初期帯電開始電圧Vdc(P′)及び初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)も、個体ごとに異なる。
【0081】
このため、本実施形態では、設置直後の又は帯電ローラー34の交換後の未使用の初期状態にある帯電ローラー34の初期帯電開始電圧Vdc(P′)及び初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)を予め算出しておき、記憶部70に記憶しておく。
【0082】
また、判定モードの実行時に、算出された帯電開始電圧Vdc(P)と、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)と、初期帯電開始電圧Vdc(P′)と、初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)と、に基づいて帯電ローラー34の交換時期を判定する。
【0083】
具体的には、主制御部80は、画像形成装置100の設置時又は帯電ローラー34の交換後に未使用の帯電ローラー34の初期状態を判定する初期検知モードを実行する。初期検知モードが実行されると、主制御部80は、未使用の初期状態にある帯電ローラー34の初期帯電開始電圧Vdc(P′)及び初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)を算出し、初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)を初期帯電開始電圧Vdc(P′)で除算した値を記憶部70に記憶する。
【0084】
このとき、初期帯電開始電圧Vdc(P′)の算出は、帯電開始電圧Vdc(P)と同様の方法により行われる。具体的には、異なる二つの直流電圧Vdc(A′)、Vdc(B′)を印加したときに検出される直流電流値Idc(A′)、Idc(B′)に基づいて座標A′(Vdc(A′)、Idc(A′))、座標B′(Vdc(B′)、Idc(B′))が得られる。また、座標A′(Vdc(A′)、Idc(A′))、座標B′(Vdc(B′)、Idc(B′))を通る直線L1′が得られる(
図7参照)。これにより、直線L1′と直流電圧Vdcを表す座標軸との交点P′から帯電開始電圧Vdc(P′)が算出される。
【0085】
また、初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)の算出は、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)と同様の方法により行われる。具体的には、異なる二つの帯電電圧Vpp(C′)、Vpp(D′)を印加したときに検出される直流電流値Idc(C′)、Idc(D′)に基づいて座標C(Vpp(C′)、Idc(C′))、座標D(Vpp(D′)、Idc(D′))が得られる。なお、異なる二つの帯電電圧Vpp(C′)、Vpp(D′)は、基準電圧Vpp(S′)より小さい値が選択される。これにより、座標C(Vpp(C′)、Idc(C′))、座標D(Vpp(D′)、Idc(D′))を通る直線L2′が得られる。
【0086】
次に、基準電圧Vpp(S′)より大きい帯電電圧Vpp(E′)を印加したときに検出される直流電流値Idc(E′)に基づいて座標E(Vpp(E′)、Idc(E′))が得られる。これにより、座標E(Vpp(E′)、Idc(E′))を通り、帯電電圧Vppを表す座標軸に平行な直線L3′が得られる。直線L2′と直線L3′との交点の座標Q′(Vpp(Q′)、Idc(Q′))から変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)が得られる。
【0087】
その後、判定モードが実行されたときに、帯電開始電圧Vdc(P)及び変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を算出し、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値と、記憶部70に記憶された初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)を初期帯電開始電圧Vdc(P′)で除算した値と、を比較する。
【0088】
このとき、例えば、初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)を初期帯電開始電圧Vdc(P′)で除算した値と、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値との差が、予め記憶部70に記憶されたテーブルに基づいて決定される所定値よりも大きいか否かを判定する。主制御部80は、差が所定値よりも場合に、帯電ローラー34の交換時期にあると判定する。
【0089】
すなわち、主制御部(制御部)80は、帯電ローラー(帯電部材)34の初期状態を検知する初期検知モードを実行可能であり、初期検知モードの実行時に、直流成分のみから成る直流電圧Vdcを帯電ローラー(帯電部材)34に印可して電流検出部46が検出する直流電流値Idcに基づいて算出された初期帯電開始電圧Vdc(P′)と、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧Vppを帯電ローラー(帯電部材)34に印可して電流検出部46が検出する直流電流値Idcに基づいて算出された初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)と、を記憶する。
【0090】
また、判定モードの実行時に、直流成分のみから成る直流電圧Vdcを帯電ローラー(帯電部材)34に印可して電流検出部46が検出する直流電流値Idcに基づいて算出された帯電開始電圧Vdc(P)と、直流電圧に交流電圧を重畳した帯電電圧Vppを帯電ローラー(帯電部材)34に印可して電流検出部46が検出する直流電流値Idcに基づいて算出された変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)と、初期帯電開始電圧Vdc(P′)と、初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)と、に基づいて帯電ローラー(帯電部材)34を判定する。
【0091】
主制御部(制御部)80は、初期検知モードの実行時に、初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)を初期帯電開始電圧Vdc(P′)で除算した値を記憶し、判定モードの実行時に、変曲点ピーク間電圧Vpp(Q)を帯電開始電圧Vdc(P)で除算した値と、初期変曲点ピーク間電圧Vpp(Q′)を初期帯電開始電圧Vdc(P′)で除算した値と、を比較して帯電ローラー(帯電部材)34を判定する。
【0092】
これにより、帯電ローラー34の個体差によって変動する抵抗値による影響を低減しながら、帯電ローラー34の寿命予測を精度よく行うことができる。なお、判定モード実行時の帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度は、初期検知モード実行時の帯電ローラー34の周囲の環境温度及び環境湿度と同じことが好ましい。
【0093】
また、上記実施形態では画像形成装置100として
図1に示したようなカラープリンターを例に挙げて説明したが、カラープリンターに限らず、モノクロ及びカラー複写機、デジタル複合機、ファクシミリ等の他の画像形成装置であってもよい。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば、上記実施形態では、交流電圧の交流電圧成分の波形は正弦波であるものについて説明したが、矩形波や、三角波、パルス波等であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、帯電ローラーを備える画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1a~1d 感光体ドラム
2a~2d 帯電装置
3a~3d 現像装置
5 露光装置
6a~6d 一次転写ローラー
7a~7d クリーニング装置
8 中間転写ベルト
9 二次転写ローラー
10 従動ローラー
11 駆動ローラー
12a 給紙ローラー
12b レジストローラー対
13 定着部
13a 定着ローラー対
14 分岐部
15 排出ローラー対
16 用紙カセット
17 排出トレイ
18 面搬送路
19 ベルトクリーナー
31 現像ローラー
32 クリーニングブレード
33 摺擦ローラー
34 帯電ローラー
35 搬送スパイラル
40 画像濃度センサー
43 現像電圧電源
45 帯電電圧電源
45a 交流定電圧電源
45b 直流定電圧電源
46 電流検出部
47 転写電圧電源
50 電圧制御部
70 記憶部
80 主制御部
90 液晶表示部
91 送受信部
100 画像形成装置
A~G、Q 座標
Idc 直流電流値
L1~L4 直線
P 交点
Pa~Pd 画像形成部
Vdc(P)帯電開始電圧
Vdc 直流電圧
Vpp(S)基準電圧
Vpp(Q)変曲点ピーク間電圧
Vpp 帯電電圧