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  • 特開-画像処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155429
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/525 20060101AFI20241024BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20241024BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241024BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B41J2/525
B41J2/21
B41J2/01 401
B41J5/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070132
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 一瑛
【テーマコード(参考)】
2C056
2C187
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB58
2C056EC69
2C056EE03
2C056EE18
2C056FC02
2C187AC08
2C187AE01
2C187BF08
2C187CC04
2C187CD12
2C187GA03
2C187GB03
(57)【要約】
【課題】裏抜けとインク消費量を抑えつつ、粒状性の優れた高画質な印刷データを生成する。
【解決手段】印刷装置が印刷に用い出力データを生成する画像処理装置1であって、KからGrに色分配を行うためのKG分解テーブルを記憶する入力データ記憶部41と、CMYKからCMYKGrに色分配する際に、CMYK画素毎にCM明度とK明度とを比較し、CM明度の方がK明度よりも低い場合には、KG分解テーブルを用いることなくKのみで出力データを生成し、CM明度の方がK明度よりも高い場合には、KG分解テーブルを使用して、KとGrの出力データを生成する画像制御部43とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置が印刷に用いる出力データを生成する画像処理装置であって、
KからGrに色分配を行うためのKG分解テーブルを記憶する記憶部と、
CMYKからCMYKGrに色分配する際に、CMYK画素毎にCM明度とK明度とを比較し、CM明度の方がK明度よりも低い場合には、前記KG分解テーブルを用いることなくKのみで前記出力データを生成し、CM明度の方がK明度よりも高い場合には、前記KG分解テーブルを使用して、KとGrの前記出力データを生成する画像処理部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、特に、裏抜けとインク消費量を抑えつつ、粒状性の優れた高画質な印刷データを生成する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出するノズルを複数配列したノズル列からなるヘッドを複数個使用したインクジェットプリンタでは、プロセスカラーであるCMYKインクと合わせてGr(Kと同色相かつ明度が高い)インクを使用することで粒状性を改善するような手段がある。
【0003】
特許文献1に記載の技術では、Kドットを用いて粒状性が悪化する領域では、Grドットを形成するようにすることで高画質な画像を得る方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-277552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のプリンターでは、Kドットで粒状性が悪化する領域の判断方法については具体的に記されていない。また、5色カラープロファイルで色変換をするような実施例についても具体的な記載がないが、Kと同じ濃度をGrで表現しようとするとK単色時に比べてインク量が増えるため、K,Gr以外の色もインクを吐出する場合には裏抜けが許容範囲を超える可能性があり、インク消費量もGrを使用しない場合に比べて悪化する可能性があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、裏抜けとインク消費量を抑えつつ、粒状性の優れた高画質な印刷データを生成することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置の特徴は、
印刷装置が印刷に用いる出力データを生成する画像処理装置であって、
KからGrに色分配を行うためのKG分解テーブルを記憶する記憶部と、
CMYKからCMYKGrに色分配する際に、CMYK画素毎にCM明度とK明度とを比較し、CM明度の方がK明度よりも低い場合には、前記KG分解テーブルを用いることなくKのみで前記出力データを生成し、CM明度の方がK明度よりも高い場合には、前記KG分解テーブルを使用して、KとGrの前記出力データを生成する画像処理部と、
を備えことにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像処理装置の特徴によれば、裏抜けとインク消費量を抑えつつ、粒状性の優れた高画質な印刷データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】(a)は、入力データ記憶部に記憶されたKG分解テーブルの一例を示した図である。(b)は、K,Gr比率とODの関係を示した図である。
図3】(a)は、CM明度を示した明度テーブルの一例を示した図であり、(b)は、K明度を示した明度テーブルの一例を示した図である。
図4】(a)は、比較のため、従来技術による出力データの生成を説明した図であり、(b)は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置による出力データの生成を説明した図である。
図5】本発明の一実施形態に係る画像処理装置における処理内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0011】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。本図に示すように、画像処理装置1は、操作パネル2と、外部入力手段3と、制御部4と、印刷部5とを備えている。
【0013】
操作パネル2は、テンキー等の入力部や表示部等を備えており、ユーザによる入力操作を受け付けると共に、入力結果や画像処理装置1における動作状態等を表示する。
【0014】
外部入力手段3は、例えば、ネットワーク機器であり、アプリケーションソフトウェアなどを用いて生成された入力画像などを受信して、制御部4へ供給する。また、外部入力手段3は、キーボード装置、マウス装置、タッチパネルなどであってもよく、ユーザによる各種の操作情報の入力を受け付ける。
【0015】
制御部4は、例えば、CPUやRAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成され、各種構成機器の動作を制御して印刷処理を実行する。詳細は後述する。
【0016】
印刷部5は、図示しない搬送手段により搬送される用紙に印刷を行う。印刷部5は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、グレイ(Gr)のインクジェットヘッド51C,51M,51Y,51K,51Grを備える。
【0017】
インクジェットヘッド51C,51M,51Y,51K,51Grは、下部にノズルを複数有しており、搬送される用紙に対して、ノズルからインクを吐出することにより印刷する。
【0018】
制御部4は、入力データ記憶部41と、用紙管理部42と、画像制御部43と、ヘッド制御部44とを備えている。
【0019】
入力データ記憶部41は、アプリケーションソフトウェアなどを用いて生成された入力画像などを記憶する。また、入力データ記憶部41は、KからGrに色分配を行うためのKG分解テーブルを記憶する。
【0020】
図2(a)は、入力データ記憶部41に記憶されたKG分解テーブルの一例を示した図である。図2(a)において、X軸は、Kのインクの入力濃度を示しており、Y軸は出力濃度を示している。図2のD101は、Kのインクの入力濃度に対するKのインクの出力濃度を示しており、D102は、Kのインクの入力濃度に対するGrのインクの出力濃度を示しており、D103は、Kのインクの入力濃度に対するK単色でのインクの出力濃度を示している。
【0021】
KG分解テーブルは、粒状性を担保するために以下の条件1~条件3に基づいて予めされ、入力データ記憶部41に記憶されている。
条件1:Kの出始めとなる入力濃度とGr最大インク量となる入力濃度は同じ値とする。すなわち、図2(a)に示すように、Kのインクの入力濃度K01のときに、D101が上昇し始めると共に、D102が最大値となっている。
条件2:Kのインクの入力濃度K01のときに、Kのインクの入力濃度に対するGrのインクの出力濃度D102が最大インク量のとなり、1dropベタ以上であること。
条件3:KG分解カーブの出力K,Grの混色OD値、すなわち、D101とD102との混色のOD値はカラープロファイルの出力KのOD値と同等であること。
【0022】
図2(a)に示したKG分解テーブルは、図2(b)に示したK,Gr比率とODの関係から作成される。図2(b)ではX軸にGrの濃度を示しており、Y軸にKの濃度示している。
【0023】
事前に、K,Gr比率とOD値の関係を図2(b)に示したチャートで把握しておき、それをもとに図2(a)に示したKG分解テーブルが作成され、入力データ記憶部41に記憶されている。
【0024】
また、入力データ記憶部41は、明度テーブルを記憶している。
【0025】
図3(a)は、CM明度を示した明度テーブルの一例を示した図であり、図3(b)は、K明度を示した明度テーブルの一例を示した図である。
【0026】
図3(a)に示すように、CM明度101は、CおよびMの濃度比率により定められ、予めCM明度を示した明度テーブルとして記憶されている。
【0027】
図3(b)に示すように、K明度102は、Kの濃度により定められ、予めK明度を示した明度テーブルとして記憶されている。
【0028】
用紙管理部42は、搬送される用紙のサイズなどを管理する。
【0029】
画像制御部43は、入力データ記憶部41に記憶された入力データを、入力プロファイルを用いて、共通色空間に変換(Lab変換)し、さらに出力プロファイルを用いて、CMYKの出力データへ変換する。
【0030】
そして、画像制御部43は、CMYKの出力データからCMYKGrの出力データに色分配する際に、入力データ記憶部41に記憶された明度テーブルを参照して、CMYK画素毎にCM明度とK明度とを比較する。
【0031】
そして、画像制御部43は、比較の結果、CM明度の方がK明度よりも低い場合には、入力データ記憶部41に記憶に記憶したKG分解テーブルを用いることなくKのみで出力データを生成する。また、CM明度の方がK明度よりも高い場合には、画像制御部43は、入力データ記憶部41に記憶に記憶したKG分解テーブルを使用して、KとGrの出力データを生成する。
【0032】
ヘッド制御部44は、画像制御部43から出力された出力データに基づいて、搬送される用紙に対して図示しないインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出させることにより印刷を行う。
【0033】
図4(a)は、比較のため、従来技術による出力データの生成を説明した図であり、図4(b)は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置1による出力データの生成を説明した図である。
【0034】
図4(a)に示すように、従来技術では、RGBまたはCMYKの入力データを、入力プロファイルを用いて、共通色空間に変換(Lab変換)し、さらに出力プロファイルを用いて、CMYKの出力データへ変換する。そして、KG分解テーブルを用いてCMYKからCMYKGrの出力データへ変換している。
【0035】
この場合、Kと同じ濃度をGrで表現しようとするとK単色時に比べてインク量が増えるため、K,Gr以外の色もインクを吐出する場合には裏抜けが許容範囲を超える可能性があり、インク消費量もGrを使用しない場合に比べて悪化する可能性がある。
【0036】
そこで、本発明の一実施形態に係る画像処理装置1では、図4(b)に示すように、画像制御部43が、CMYKの出力データからCMYKGrの出力データに色分配する際に、入力データ記憶部41に記憶された明度テーブルを参照して、CMYK画素毎にCM明度とK明度とを比較する。
【0037】
そして、画像制御部43は、比較の結果、CM明度の方がK明度よりも低い場合には、入力データ記憶部41に記憶に記憶したKG分解テーブルを用いることなくKのみで出力データを生成する。また、CM明度の方がK明度よりも高い場合には、画像制御部43は、入力データ記憶部41に記憶に記憶したKG分解テーブルを使用して、KとGrの出力データを生成する。
【0038】
CM明度の方がK明度より高い場合はKが目立つが、このように、CM明度の方がK明度よりも高い場合に、画像制御部43が入力データ記憶部41に記憶に記憶したKG分解テーブルを使用して、KとGrの出力データを生成するので、Grを用いて印刷することができる。
【0039】
図5は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置1における処理内容を示したフローチャートである。
【0040】
ステップS101において、外部入力手段3が入力データを取得すると、入力データ記憶部41は取得した入力データを記憶する。
【0041】
ステップS103において、画像制御部43は、入力データ記憶部41に記憶された入力データを、入力プロファイルを用いて、共通色空間に変換(Lab変換)する。
【0042】
ステップS105において、画像制御部43は、共通色空間に変換(Lab変換)された入力データを、出力プロファイルを用いて、CMYKの出力データへ変換する。
【0043】
ステップS107において、画像制御部43は、CMYKの出力データからCMYKGrの出力データに色分配する際に、入力データ記憶部41に記憶された明度テーブルを参照して、CMYK画素毎にCM明度とK明度とを比較する。
【0044】
CM明度の方がK明度よりも低い場合(ステップS109;NO)、ステップS111において、画像制御部43は、入力データ記憶部41に記憶に記憶したKG分解テーブルを用いることなくKのみで出力データを生成する。
【0045】
一方、CM明度の方がK明度よりも高い場合(ステップS109;YES)、ステップS113において、画像制御部43は、入力データ記憶部41に記憶に記憶したKG分解テーブルを使用して、KとGrの出力データを生成する。
【0046】
ステップS115において、画像制御部43は、ハーフトーン処理を実行し、印刷部5のインクジェットヘッド51C,51M,51Y,51K,51Grがインクを吐出するためのドロップデータを生成する。ハーフトーン処理としては、誤差拡散処理やディザマスク処理が用いられる。
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
(付記1)
印刷装置が印刷に用いる出力データを生成する画像処理装置であって、
KからGrに色分配を行うためのKG分解テーブルを記憶する記憶部と、
CMYKからCMYKGrに色分配する際に、CMYK画素毎にCM明度とK明度とを比較し、CM明度の方がK明度よりも低い場合には、前記KG分解テーブルを用いることなくKのみで前記出力データを生成し、CM明度の方がK明度よりも高い場合には、前記KG分解テーブルを使用して、KとGrの前記出力データを生成する画像処理部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【0047】
これにより、粒状性が目立つ領域のみGrのインクが吐出されるので、裏抜けとインク消費量を抑えつつ、粒状性の優れた高画質な印刷データを生成する事ができる。
【符号の説明】
【0048】
1 画像処理装置
2 操作パネル
3 外部入力手段
4 制御部
5 印刷部
41 入力データ記憶部
42 用紙管理部
43 画像制御部(画像処理部)
44 ヘッド制御部
51C インクジェットヘッド
51Gr インクジェットヘッド
51K インクジェットヘッド
51M インクジェットヘッド
51Y インクジェットヘッド
図1
図2
図3
図4
図5