(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155431
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02P 27/06 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02P27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070134
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康平
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505CC04
5H505DD08
5H505HA03
5H505HA05
5H505HA10
5H505HB03
(57)【要約】
【課題】モータの高出力化を図ること。
【解決手段】駆動装置10は、モータ20と、インバータ40と、を備える。インバータ40は、モータ20を駆動する。モータ20は、ロータを備える。ロータは、永久磁石を備える。永久磁石は、磁化配向方向がラジアル方向である。インバータ40は、電流形インバータである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを駆動するインバータと、を備え、
前記モータは、磁化配向方向がラジアル方向である永久磁石を有するロータを備え、
前記インバータは、電流形インバータである、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動装置は、モータによって機器を駆動する。駆動する機器によっては、モータの高出力化が求められる。特許文献1に開示のモータは、ロータに用いられる永久磁石としてラジアル磁気異方性磁石を用いている。これにより、モータの高出力化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駆動装置には、更なるモータの高出力化が求められる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する駆動装置は、モータと、前記モータを駆動するインバータと、を備え、前記モータは、磁化配向方向がラジアル方向である永久磁石を有するロータを備え、前記インバータは、電流形インバータである。
【0006】
磁化配向方向がラジアル方向である永久磁石を有するロータを用いることで、モータの高出力化が図られる。インバータとして電流形インバータを用いることで、更なるモータの高出力化が図られる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モータの高出力化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
駆動装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、駆動装置10は、モータ20を備える。モータ20は、三相交流モータである。駆動装置10は、モータ20によって機器を駆動する。モータ20によって駆動される機器は、例えば、圧縮機、又はフォークリフトである。圧縮機は、流体を圧縮して吐出する。フォークリフトは、荷役装置による荷役を行う。モータ20によって駆動される機器がフォークリフトの場合、モータ20は、フォークリフトを走行させるために用いられてもよいし、荷役装置を駆動させるために用いられてもよい。
【0010】
<モータ>
図2に示すように、モータ20は、ステータ21を備える。ステータ21は、ステータコア22を備える。ステータコア22は、例えば、電磁鋼板を積層することで構成されている。ステータコア22は、ヨーク23と、6つのティース24と、を備える。ヨーク23は、円筒状である。ティース24は、ヨーク23の内周面に設けられている。6つのティース24は、ヨーク23の周方向に互いに間隔を空けて設けられている。ステータ21は、3相のコイル25,26,27を備える。コイル25,26,27は、ティース24に巻かれている。コイル25は、U相に対応している。コイル26は、V相に対応している。コイル27は、W相に対応している。
【0011】
モータ20は、ロータ30を備える。モータ20は、永久磁石31を有するPM(Permanent Magnet)モータである。モータ20は、IPM(Interior Permanent Magnet)モータであってもよいし、SPM(Surface Permanent Magnet)モータであってもよい。SPMモータを例に挙げて説明を行う。
【0012】
ロータ30は、ロータコア34を備える。ロータコア34は、例えば、電磁鋼板を積層することで構成されている。ロータコア34は、例えば、円筒状である。ロータ30は、ロータコア34を備えていなくてもよい。
【0013】
ロータ30は、永久磁石31を備える。永久磁石31は、ロータコア34の外周面に設けられている。永久磁石31は、円筒状である。永久磁石31は、第1部位32と、第2部位33と、を備える。第1部位32は、N極である。第2部位33は、S極である。第1部位32と第2部位33とは、永久磁石31の周方向に交互に設けられている。
【0014】
永久磁石31は、ラジアル磁気異方性磁石である。永久磁石31は、ラジアル着磁されている。ラジアル着磁によって永久磁石31の磁化配向方向がラジアル方向となる。ラジアル方向は、永久磁石31の径方向である。N極である第1部位32の磁化配向方向は、永久磁石31の径方向外側から永久磁石31の中心に向かう方向である。S極である第2部位33の磁化配向方向は、永久磁石31の中心から永久磁石31の径方向外側に向かう方向である。
【0015】
ロータ30は、ステータ21の内側に配置されている。本実施形態のモータ20は、ステータ21の内側にロータ30が配置されたインナーロータ型である。モータ20は、ステータ21の外側にロータ30が配置されたアウターロータ型であってもよい。
【0016】
<インバータ>
図1に示すように、駆動装置10は、インバータ40を備える。インバータ40は、電流形インバータである。インバータ40は、三相インバータである。インバータ40には、直流電源E1が接続される。直流電源E1は、例えば、バッテリ、又は電源回路である。インバータ40は、直流電源E1から入力される直流電力を交流電力に変換してモータ20に出力する。これにより、モータ20が駆動する。
【0017】
インバータ40は、正極線41と、負極線42と、インダクタ43と、ブリッジ回路50と、を備える。正極線41は、直流電源E1の正極に接続されている。負極線42は、直流電源E1の負極に接続されている。正極線41及び負極線42は、直流電源E1とブリッジ回路50とを接続している。
【0018】
インダクタ43は、正極線41に設けられている。インダクタ43は、直流電源E1の正極に接続されている。インダクタ43は、直流電源E1とブリッジ回路50との間に設けられている。ブリッジ回路50には、インダクタ43を介して直流電力が入力される。
【0019】
ブリッジ回路50は、第1レグ51と、第2レグ52と、第3レグ53と、を備える。第1レグ51、第2レグ52、及び第3レグ53は、互いに並列接続されている。
第1レグ51は、第1上アームスイッチング素子Q1と、第1下アームスイッチング素子Q2と、2つのダイオードD1,D2と、を備える。第1上アームスイッチング素子Q1と第1下アームスイッチング素子Q2とは正極線41と負極線42との間で互いに直列接続されている。第1上アームスイッチング素子Q1、及び第1下アームスイッチング素子Q2のそれぞれには、ダイオードD1,D2が直列接続されている。ダイオードD1,D2は、正極線41から負極線42に電流が流れることを許容するように設けられている。第1上アームスイッチング素子Q1と第1下アームスイッチング素子Q2との接続点は、コイル25に接続されている。第1レグ51は、U相に対応している。
【0020】
第2レグ52は、第2上アームスイッチング素子Q3と、第2下アームスイッチング素子Q4と、2つのダイオードD3,D4と、を備える。第2上アームスイッチング素子Q3と第2下アームスイッチング素子Q4とは正極線41と負極線42との間で互いに直列接続されている。第2上アームスイッチング素子Q3、及び第2下アームスイッチング素子Q4のそれぞれには、ダイオードD3,D4が直列接続されている。ダイオードD3,D4は、正極線41から負極線42に電流が流れることを許容するように設けられている。第2上アームスイッチング素子Q3と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点は、コイル26に接続されている。第2レグ52は、V相に対応している。
【0021】
第3レグ53は、第3上アームスイッチング素子Q5と、第3下アームスイッチング素子Q6と、2つのダイオードD5,D6と、を備える。第3上アームスイッチング素子Q5と第3下アームスイッチング素子Q6とは正極線41と負極線42との間で互いに直列接続されている。第3上アームスイッチング素子Q5、及び第3下アームスイッチング素子Q6のそれぞれには、ダイオードD5,D6が直列接続されている。ダイオードD5,D6は、正極線41から負極線42に電流が流れることを許容するように設けられている。第3上アームスイッチング素子Q5と第3下アームスイッチング素子Q6との接続点は、コイル27に接続されている。第3レグ53は、W相に対応している。
【0022】
各スイッチング素子Q1~Q6は、半導体スイッチング素子である。半導体スイッチング素子は、例えば、IGBT又はMOSFETである。スイッチング素子Q1~Q6が逆阻止型のIGBTである場合、ブリッジ回路50は、ダイオードD1~D6を備えていなくてもよい。
【0023】
インバータ40は、第1コンデンサ61を備える。第1コンデンサ61の第1端部は、第1上アームスイッチング素子Q1と第1下アームスイッチング素子Q2との接続点に接続されている。
【0024】
インバータ40は、第2コンデンサ62を備える。第2コンデンサ62の第1端部は、第2上アームスイッチング素子Q3と第2下アームスイッチング素子Q4との接続点に接続されている。
【0025】
インバータ40は、第3コンデンサ63を備える。第3コンデンサ63の第1端部は、第3上アームスイッチング素子Q5と第3下アームスイッチング素子Q6との接続点に接続されている。
【0026】
第1コンデンサ61の第2端部、第2コンデンサ62の第2端部及び第3コンデンサ63の第2端部は、互いに接続されている。
インバータ40は、制御部70を備える。制御部70は、プロセッサと、記憶部と、を備える。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)である。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部70は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部70は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0027】
制御部70は、各スイッチング素子Q1~Q6をスイッチング動作させることによってインバータ40からモータ20に電流を出力する。制御部70は、例えば、ロータ30の回転速度が回転速度指令値に追従するようにインバータ40を制御する。回転速度指令値は、例えば、外部機器から入力される。
【0028】
[本実施形態の作用]
図3に示すように、磁化配向方向がラジアル方向の場合、永久磁石31による誘起電圧が方形波となる。永久磁石31による誘起電圧が方形波の場合、誘起電圧が正弦波の場合に比べて、モータ20の高出力化が図られる。
【0029】
図4に示すように、インバータ40が電流形インバータの場合、インダクタ43によってブリッジ回路50への入力電流が一定に保たれる。このため、スイッチング素子Q1~Q6のスイッチング動作によってインバータ40から出力される出力電流は方形波となる。インバータ40の出力電流が正弦波の場合に比べて、モータ20への出力電力が高くなる。
【0030】
[本実施形態の効果]
(1)ロータ30は、磁化配向方向がラジアル方向である永久磁石31を有する。これにより、永久磁石31による誘起電圧が方形波となる。インバータ40として電流形インバータを用いることで、インバータ40の出力電流が方形波となる。これにより、電圧形インバータを用いる場合に比べて、更なるモータ20の高出力化が図られる。
【0031】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0032】
○ロータ30は、筒状の部材に永久磁石31を収容したものであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…駆動装置、20…モータ、30…ロータ、31…永久磁石、40…インバータ。